題「毛繕い」黒猫編
 剣八の毛繕い用に新しいブラシを買った。
良く抜け毛が取れてお気に入りになったようで、それを持って呼ぶとすっ飛んでくる。
「剣八〜!ブラッシングやんぞー」
縁側に座ってブラシで床を叩くとすぐに来た。
「ぐるぁああ」
「よ〜し、そこに寝っ転がれ」
大人しく言う事を聞く剣八の頭から背中をブラシで梳いていく。
気持ち良いのか、目を細めてグルグル喉を鳴らせている。

尻尾も丁寧に梳いていく。
「ほら剣八、首の下も」
さふっ、さふっ、と梳いてブラシに付いた毛を取って頬の所もやる。
お返しのつもりなのか指や手を舐めてくる剣八。
ぺろぺろ、ちゅ、ちゅ、さりさりと舐めてくる。
「くすぐってえよ、ほら、次お腹」
ごろん。とお腹を出す。
ふわふわの腹毛もさくさくと梳いていく。
警戒なんか微塵も感じさせない格好―。前脚は曲げて時折クイクイ動いて可愛い。
尻尾もずっと先の方がぴくぴくと動いては床を叩いている。
「気持ちいいか?」
声を掛けるとうっすらと目を開けて、口の周りを舐め、
「るあぁ・・・」
と一声啼いてまた目を閉じた。

「はい、お終い!起きろ」
渋々と言った感じで起きると、ぐ、ぐ〜〜・・・、と伸びをした。
俺は周りの抜けた毛を集めるとゴミ箱に捨てた。
縁側に戻ると剣八は箱を組んでウトウト微睡(まどろ)んでいた。
「こうしてたら可愛いのになぁ」
横に座って頭を撫でると急に起きて俺に圧し掛かって来た。
「うを!重っ!」
ドサッと後ろに倒れた俺の胸に顔を乗せてふーこ、ふーこと寝息を立て寝始めた。
「重いんだけど・・・」
まあ、いいか。と剣八の顔のマッサージを始めた。

うりうりと頬から口にかけてを揉んでやる。うるる、ごろごろとご機嫌だ。
口の中に指を入れ、牙の辺りを触っているとまた舐めて来た。
目を瞑ってぺろぺろ・・・。

可愛過ぎるんだけど・・・!

つい、ぎゅっ!と抱き締めたらお返しなのか俺の髪も舐めてきた。

・・・嬉しいんだけどさ、結構痛い。後、甘噛みでほっぺた噛むのやめてくんねえかな?歯が怖いよ・・・。

気が済んだ剣八は本格的に寝始めた。

そろそろと身体を退かしていって俺も一緒に昼寝した。

起きたら一緒に風呂だな。と思いながら・・・。









10/03/12作 第137作目です。 猫剣と一護のある日の一コマでした。






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