題「お月見」 | |
剣八が帰宅すると玄関の花瓶にススキや萩等の季節の花が活けてあるのに気付いた。 「なんだこりゃ」 ススキをつつくとふわふわと揺れた。 「おかえりなさいませ」 と一護が出迎えたのでキスをしてすぐに忘れた。 食事が終わり、入浴が済むと一護が剣八とやちるを縁側に誘った。 そこにはススキの入った花瓶や丼に入った水と団子が用意されていた。それを見て「月見か」と合点がいった剣八。 「わぁい!お団子いっぱいだ〜!」 と喜ぶやちる。 「これまた大量に作ったもんだな」 山の様に積まれた白い団子と漉し餡に包まれた団子を見て剣八が呟いた。 「二種類あったのでどちらが良いか迷ってしまいまして…両方作ってみました」 と照れながらお茶を淹れる一護。 「ふぅん。まぁ残る心配は無さそうだがな」 と早く早く!と待っているやちるを見て苦笑する剣八。 「ですね。ではいただきましょう」 「わ〜い!」 と団子に手を伸ばすやちる。 「美味しい!」 ニコニコ笑顔で団子を平らげていく。剣八も摘んでいく。 「美味いな」 二人の言葉に嬉しそうに笑う一護。団子を食べ終えた後、月が映った水を飲んでやちるは就寝となった。 「剣八様」 「ん?」 「まだ月も中天に掛かっておりません。お酒でも?」 「そいつは良いな」 一護は白磁の酒器に入った酒と摘みにサトイモの煮っ転がしを持ってきた。 「お夕食の残りですが」 「構わねぇよ。美味いもんには変わりねぇからな」 と笑いながら盆を受け取る剣八。 トロリとした質感の杯を剣八に渡し、酒を注ぐ一護。グイッとそれを呷ると 「ほれ」 と一護に杯を渡して酒を注いだ。 「月が映って綺麗です」 きらきら揺れる水面を見ながら呟くとクイッとそれを呷った。その後は注しつ注されつ飲んでいく。 良い加減に酔いが回る頃、剣八に抱き寄せられた。 「一護」 うっすらと朱に染まった頬を撫で、上を向かせ口付けた。 「ん…」 鼻から甘い吐息を漏らし深くなる口付けに翻弄され没頭していく一護。 「ん、ん…ふ、ぅ、ん…あ、剣八様ぁ」 は、は、と息を乱し潤んだ目で剣八を見上げる一護の濡れた唇を舐めて首筋まで啄み、赤い跡を付けていく。 「あ、あ、ん!」 首をのけ反らせ喘ぐ一護の袷に手を入れ胸の小粒を口に含みもう片方を捏ねてやる。 「ひっ!やぁ」 縁側で致してるとふと誰かの視線を感じ、見ると何者かがこちらをジッと見ていた。 「嫌だ!」 急に体を強張らせ声をあげた一護。 「どうした?」 「剣八様、誰かが居ます!見られてる!」 「んだと!」 一護を抱き寄せ霊圧を上げる剣八。すぐにドサリ!と音が聞こえ、見に行くと見知らぬ男が倒れていた。一角と弓親を呼んで回収させ一護の元へ帰る剣八。 「部屋に行くか?」 耳元で囁いてやる剣八。 「はい…」 きゅう、と剣八の袷を握り締めながらその胸に額を擦り付けた。そんな一護を抱き上げ、寝室へと入り後ろ手で障子を閉めた。 「もう誰も見てねえぞ」 「ん…はい、あ!」 「うん?」 「あ、明るい…」 いつもより部屋が明るく、お互いが見えやすくなっていた。 「満月だからな…。お前の身体も顔もよく見えるぜ…」 「あ!やぁ…!」 満月の蒼白い光に浮かぶ一護の体を隅々まで堪能した剣八だった。 終 14/11/11作 庭に居たのは他隊の一護に懸想していた男です。取り敢えず生きてます(笑) |
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