題「丸鍋」
 まだ寒い日が続く2月。一護は毎月の恒例行事になった剣八の書類仕事を手伝っていた。
「今夜はまた一段と寒いですね」
ポンポンと書類に判子を押している剣八に熱いお茶を差し出す一護。
「そうだな」
ずず、とお茶を啜りながら手元の書類を確認する剣八。
「この書類に判子押したら今月の分は終いだ」
「では戸締りの確認をして来ますね」
捺印を済ませた剣八は机の上を粗方片付けると、戻ってきた一護に、
「お前明日非番だったな?」
と聞いた。
「あ、はい。そうです」
「ふぅーん」
「あの、何か?」
「いや。さっさと帰るぞ」
「はい」

 隊舎を出ると剣八が、
「今日は鍋食いに行くぞ」
と言った。
「お鍋ですか?」
「ああ。こないだすっぽん食わせてやるって言っただろ」
「すっぽん鍋ですか。楽しみです」
白い息を吐きながら楽しげに会話をしながら夜道を歩いた。
「ああ、ここだ」
と目の前の店を指差した。
「まるなべ?」
「ああ、すっぽん鍋の事を丸鍋つーんだ。入るぞ」
「あ、はい!」
暖簾を潜り、中に入ると既に予約していたのか、
「お待ちしておりました。お部屋はこちらになっております」
と仲居が部屋に案内した。
「すぐにご用意致しますので、少々お待ち下さいませ」
と仲居が下がると、
「個室なのですねぇ。やちる様もご一緒出来れば良かったのに」
今頃、乱菊や他のメンバー達と楽しんでいるであろうやちるの事を思う一護。
「あいつにはまだ早いだろ・・・」
「?そうなのですか?」
「ああ」
そうこう言っているうちに鍋が運ばれてきた。
「失礼致します」
仲居が鍋や器を用意していく。そして、
「こちらが生き血の焼酎割でございます」
とガラスの酒器に入った赤い液体を差し出した。
「生き血、ですか?」
「はい。すっぽんの生き血は滋養強壮に良うございます。任務でのお疲れもたちどころに吹き飛んでお元気になられます」
にっこりと微笑んで二人の盃に酒を注いでいく。
「はぁ・・・」
向かいの剣八を見るとグイッと盃を呷っているのを見て、一護も飲んでみる。
「ん・・!ケホッ!」
「キツかったか?焼酎だからな」
「ケホ!大丈夫です」
少しずつ口を付ける一護。
「綺麗な色ですねぇ」
「そうか?」
と言い一護の方を見ると紅い酒で濡れた唇を舐めている所だった。
「!」
「どうかなさいましたか?」
「いいや・・・」
と言いながら自分の盃を呷る剣八。
「こちらお先にレバーと心臓のお刺身と鼈の卵でございます」
心臓とレバー、そして黄色い粒の卵を盛り合わせた皿をテーブルに置いた。
「心臓の・・・」
まだ微かにビクビクと動いている心臓とレバーの刺身を見ている一護に、
「食わねえのか?」
と促す剣八。
「はぁ・・・。心臓は半分ずつにしましょうか?」
「そうか」
と一つしかない心臓を二つに分けて食べた。
「あ、美味しいです!こちらは・・・」
とレバーにも箸を伸ばす一護。
「わ、こちらも!卵は繊細なお味ですねぇ」
にこにこと食べている一護を見つつ、剣八も箸を伸ばしている。
「酒が美味えな」
と満悦な一護を肴にしているようだ。
エンペラの湯引きを食べ終える頃には鍋が食べごろになっていた。
「ほれ鍋が食べごろだ」
鍋の蓋を開けるとすっぽんの甲羅が丸ごと入っていた。
「あ、はい!」
生姜の効いたアツアツの鍋を食べていると身体の芯から温まって来た。
「ふ・・・っ、暑くなってきました・・・!」
頬を紅潮させ、汗を掻きながらすっぽんの身やえんぺら、卵、野菜をはふはふ食べる一護。
鍋の中身が無くなり、〆の雑炊を食べ、鍋は空っぽになった。
「ふぅっ!とても美味しかったです!」
「そうか、じゃ帰るぞ」
と店を後にした。

 2月の寒い底冷えのする夜道を白い息を吐きながら帰路に着く剣八と一護。
「はあ!お外は寒いのに身体がポカポカします」
「そいつぁ良かったな」
「はい!」
家に着くと風呂の用意をする一護。
「剣八様。もうすぐお風呂が沸きますので入って下さいね」
「おう」
剣八の着替えを用意が終わると丁度、風呂も沸いた。
「さ、どうぞ。剣八様」
脱衣所に来た剣八と入れ違いに出て行こうとした一護の腕を掴む剣八。
「あの・・・?」
「一緒に入るぞ」
「え?あ、あの!」
慌てる一護に、
「時間短縮だ」
とだけ告げ、一緒に入浴を済ませた。

 風呂から上がり、寝室に入るなり一護を押し倒した。
「うあ!ど、どうしたので・・・!」
驚く一護の耳元で、
「お前ももう我慢出来ねえだろ?」
と囁き、グッ!と自分の腰を一護に押し付けた。
「あ・・・っ!」
そこは既に兆しており一護にその存在を知らしめた。そして一護の中心も既に昂ぶっていた。
一護の小さな顎を掬いあげ口付ける。
「ん・・!剣八様・・あ!ん、んふ・・・、ん、んん」
口付けを交わしながら、お互いの寝巻きを脱がせていく。
「ん、ふあ!」
剣八の長い舌が一護の舌を絡め取る。上顎の弱い所を擽り、舌を甘噛みしては吸い上げる。
「ん!くふぅ!ん!ん!」
ふるふると全身が震え剣八の身体に縋りつく一護。
「ん、はあ・・・」
漸く口付けを解くと二人の唇を繋ぐ銀糸が名残惜しげにぷつりと切れた。
「は・・・、良い顔だ・・・」
一護のそそり立つ中心に手を伸ばした。
「んあ!」
「へえ・・もうヌルヌルだな」
先端から溢れ出る蜜でクチクチと粘着質な音を響かせる度に息を乱し、剣八に縋りつく一護。
「あっ!あっ!やあ!け、剣八様ぁ!」
「イくか?良いぜ、イけよ」
ぐちゅりと親指の腹で先端を擦るとびゅくん!と白濁を散らした一護。
「んんん!ああっ!あ、はあ、はあ、ん・・・」
「まだだぞ、一護」
「あ・・・!」
一護の首筋に顔を埋め、吸い付いては赤い跡を残していく剣八。
「ん、あ、あう!剣八様、剣八様・・・」
なだらかな稜線を描く胸の突起にカリカリと歯を立てるとびくびく!と跳ねる一護の身体。
「一護・・・」
先程放った一護の精でぬる付く指で蕾を撫でるとヒクヒクとその指を食もうと反応を返す。
「あ、ああ・・・」
ゆらゆらと誘うかの様に揺れる一護の腰の下に枕を差し入れると、一護の足が腹に付くほど折り曲げ、濡れてヒク付く蕾に舌を這わせた。
「はああ!あ!ああ!やっ!やあぁ!」
弓なりに背を撓らせ喘ぐ一護の蕾に長い舌を捻じ込む剣八。
にゅぐにゅぐと蠢く舌が抜き差しされ、ぐちゅぐちゅと濡れた音を響かせる。
「う、うあ、あっ!あっ!」
「もうトロトロだな」
ちゅぽ、とそこから顔を上げるとヒク付き蕩ける其処へ指を入れて解していく。
「ひんっ!ひああぁっ!ああっ!ンッ!やっ!やっ!も!いやぁあ!」
「嫌?何が嫌なんだ、ん?」
張り詰めた一護の中心を舐め上げ、ガチガチに固くなった陰嚢を舌で転がしてやる。
「くふぅうんっ!あ、あうう・・・!ぱち、さま!剣八様ぁ・・・!も!おかしく!なってしま!います・・・!」
涙をぽろぽろと零しながら懸命に手を伸ばし、剣八を求める一護。
「は、早く・・剣八様、と!繋がりたい・・・っ!」
「っ!!」
その一言を聞いた剣八は痛いほど張り詰めている自身を一気に一護の胎内へと突き刺した。
「ひぃっ!あぁあああーーっ!」
「ぐっ!」
その一突きで吐精した一護の締め付けに持って行かれそうになったが必死に堪えた剣八が容赦なく奥を突いて来た。
「ひっ!いぁっ!あうっ!あっ!ああっ!ンッ!ん!ひ!ひぃあぁっ!ああぁっ!あうんっ!」
一度達して敏感になった内壁を熱い楔で擦られ嬌声を上げる一護。
「うああっ!また!またイッて!ああん!ひぃぃっん!」
「何度でもイけ!何度でも善くしてやるよ!」
ゴリゴリと前立腺を抉ってやると、剣八の背に爪を突き立て果てた一護。
「いああぁ!あーーっ!」
「ぐ!くうっ!」
熱の塊を一護の最奥へと叩き付けてもなお剣八は萎える事は無かった。
「ひ、ひ、は、はぁ、はあぁ・・・あ、う・・・」
「お前もまだまだイケるだろ・・・?」
「ん・・・はい・・・」
先に3度達している一護の中心も隆々と昂ぶっていた。
「でも、ど、して・・?」
「すっぽん食ったからな・・・」
ちゅ、ちゅ、と一護に口付けの雨を降らせながら答えてやる。
「では、けんぱちさまも・・・?」
「そう言うこった」
ぐちゅ!と腰を揺らして奥を突いてやると甘い声で啼く一護。
「あぁん!ん、ふ!あ、あの・・」
「うん?」
「お、お手柔らかに」
と一護から口付けた。その行為に煽られた剣八が一護の身体を抱き起こすと胡坐の中に納め、より深く繋がるよう下から突き上げた。
「うっ!うあっ!」
「全く、てめえは、俺を煽るのが、上手えよな!」
「あっ!あんっ!ああっ!ああンッ!」
背を撓らせ、啼き叫ぶ一護に口付けると、目の前にある胸の小粒を口に含み、キツく吸い上げた。
「ひぃああん!だめ!だめ!剣八様!それ、だめぇ!」
「あ?これか?んん?」
コリ!コリ!と犬歯で甘噛みを繰り返すと堪らないと言いたげに眉根を寄せ、腰を揺らし剣八の腹に先端を擦り付けると白濁を撒き散らした。
「んああっ!あ、はあ、はあ、ああ、う・・・。あ・・・」
剣八の顎先にまで飛んだ自分の精をぺろぺろと舐め取る一護。その顔はどこかうっとりとしていた。
「可愛いことしやがって・・・」
一護の身体を持ち上げ、中からずるるる、と引き抜くとそのまま手を離した。
「んあ、あ、あ・・・、あああっ!」
自重で更に奥深くまで剣八の熱杭が突き刺さり、ガクガクと瘧に罹ったかのように震え、その中心からはトロトロと白濁が溢れていた。
それを何度か繰り返すと、一護の身体を押し倒し激しく腰を打ち付けた。
「うあっ!あっ!あっ!熱、い!熱い!剣八様、熱いぃい!」
「ああ?!どこが熱いんだ?言ってみろ!」
「や!嫌!熱い!んっ!んっ!お尻、熱いのぉ!剣八様ので擦れてぇ!あっ!あっ!熱いぃ!」
身も世も無く首を打ち振り、囈言(うわごと)の様に熱いと繰り返す一護と己の結合部に指を這わすと過敏に反応する一護。
「ひぃン!や、だめ!だめぇ!」
「ここか、熱いのは?・・・ああ、確かに熱いな」
其処は確かに熱を持ち、赤く熟れていた。クニクニと其処を揉んでいると自分の分身を飲みこんでいる其処へ指を入れて来た。
「ひっ!」
「ああ・・・指一本、入っちまったな」
みちみちと音が聞こえそうなぐらい拡がった其処に指を入れ、ぐるりと内壁を撫でる剣八。
「ひ、ひっ!や、や、こわ、い!やめ・・・!」
「もう一本ぐらい入りそうだな・・・」
「ひぃっ!」
人差し指と中指を根元まで入れると剣八はそのまま腰の動きを再開させた。
「やらあぁっ!嫌!厭です!ぬ、抜いてぇ!んぁっ!あっ!あっ!ひぎっ!ひっ!やぁあああーーー・・・っ!」
「うっ!く!」
一護は薄くなった精を吐き出すとそのまま意識を失った。
剣八はまだ名残惜しいのか一護の中に暫く居座ってから、漸く引き抜いて切れていないか確かめた。
「・・・っし!大丈夫だな。後は一護の機嫌だな・・・」
と呟きながら気絶した一護を抱き上げ、清める為に風呂に入った。

 翌日、目を覚ました一護に盛大に拗ねられ、いつもに増して一護を甘やかす剣八が見受けられた。
その左頬には季節外れの真っ赤な紅葉が張り付いていた。






13/07/28作 すっぽん食べて箍が外れた剣八と一護。可愛い嫁に暴走した旦那様でした。



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