題「旦那様、風邪を引く」
 剣八と一護は同じ蒲団で寝ている。だからすぐに一護は気付いた。
その日の朝、一護は蒲団の中がいつもより暖かい事に気付いた。
「ん・・・あったかい・・熱い・・・?」
ふと隣の剣八の身体に触れるといつもより体温が高かった。
「剣八様?」
起き上がると剣八の額に触れてみる。
「熱い!剣八様!大丈夫ですか!」
「う・・ああ、朝か・・・?」
いつもより熱い額にしゃがれた声。一護は、
「剣八様、少しお待ちください」
と言い置き、寝室から出て行った。
「なんだ・・・?頭重てえ・・・」
すぐに戻ってきた一護の手には愛用の救急箱があった。
「剣八様、失礼しますね」
と耳温計を取り出すと剣八の体温を測った。
ピピッと機械音が鳴り表示された数字は・・・。
「38度・・・。剣八様、今日はお休みくださいませ」
「ああ?」
「すぐに卯ノ花様をお呼びいたします。やちる様!」
「おい・・・」
剣八が声を掛けるも一護は既にやちるの部屋へと走っていた。

「やちる様、やちる様、起きて下さいませ」
「おはよー、いっちー」
「おはようございます。やちる様、今日は剣八様の体調がよろしくないのでお仕事をお休み致します」
「え?剣ちゃんどうしたの?病気?」
「はい、お熱が高くて声もしゃがれていましたので風邪ではないかと・・・。今から卯ノ花様にご連絡いたしますので・・・」
「そっかー。うん、分かった!」
「朝食はもう出来ておりますので」
「うん!」
やちるを起こすとすぐに四番隊へ連絡を入れた一護。
卯ノ花隊長に今朝の事を説明するとすぐに来てくれた。
「風邪ですね。珍しい事もある物ですね、今日は槍でも降るのかしら?」
「うるせえ・・・」
「あの、剣八様は大丈夫なのでしょうか?」
と心配そうに尋ねる一護。
「ええ、この薬を毎食後に飲ませて下さいな。すぐに治るでしょう」
と粉薬を差し出され、
「ああ!良かった!」
と胸を撫で下ろす一護。
「予防の為に貴方も飲んでおきなさい、一護」
「はい」
「それと総隊長には言っておきますから安静にしてくださいね?更木隊長」
何やら含みを持たせた言い方で剣八に釘をさす。それに対して苦い顔で答える剣八。
「・・・おう」
「ありがとうございます、卯ノ花様」
玄関まで卯ノ花隊長を見送り、遅くなってしまった朝食を作る一護。

 やちるにはいつも通り普通の朝食を、剣八にはお粥を作った一護。
「お待たせしました」
「ううん!いいよ!剣ちゃん風邪引いちゃったんだねぇ」
「はい、俺が傍に居ながら気付けなくて・・・」
しゅん・・・、と落ち込む一護。
「そんな事無いよ!いっちーが居たからすぐ分かったんだよ!そうじゃなかったら剣ちゃんそのまま仕事に言ってる所だよ!」
やちるの慰めに心から礼を言う一護。
「ありがとうございます」
やちるにお弁当を持たせ、送り出すと剣八の寝ている寝室にお粥を持って行く一護。
「剣八様、お粥をお持ちしました」
「おう・・・」
のそりと起き上がる剣八だが、やはり動きは緩慢だった。
「食欲はおありですか?お薬を飲まないといけないので少しだけでもよろしいのでお食べ下さいね?」
「ああ・・・」
差し出されたお粥とおかずを食べる剣八。2杯程おかわりをして、
「もういい・・・」
と言うと白湯と薬を差し出す一護。大人しく飲む剣八。
「では俺は洗濯をして参りますので、また後で見に来ますね」
「ああ」
蒲団に潜った剣八の額に冷たい手拭いを乗せ、部屋を後にする一護。
パタパタパタ・・・、と一護の足音が離れて行くのを意識の端で聞きながら眠りに落ちた剣八だった。

 洗濯物を干し終わると剣八と自分の昼食を作り始めた一護。
トントン、トントン、コトコト、コトコト、かちゃかちゃ、という音で目が覚めた剣八。
(一護か・・・。・・・喉がヒリ付くな)
と周りを見回すと枕元に湯冷ましが用意されていた。
「ふ・・・出来た嫁さんだ」
とそれを飲み干した。
「剣八様、お昼をお持ちしました」
「おう」
「お昼は雑炊にしましたが、大丈夫ですか?」
「ああ。美味そうな匂いだな」
「良かった。どうぞ」
茶碗によそった野菜たっぷりの雑炊を渡し、一護も一緒に食べた。食事が終わり食後のリンゴを剥き始めた一護。
ショリショリと小気味の良い音と爽やかな香りが部屋に漂い始めた。
「さ、どうぞ。剣八様」
「ああ」
シャリシャリとリンゴを食べ終わると食器を片づける一護。
「洗濯物を取り込んだら剣八様のお身体を拭きますから、少々お待ち下さいね」
「あ?ああ・・・」
そういやあ結構寝汗掻いちまってたな、と首の後ろを掻く剣八。

 洗い物をし、洗濯物を取り込んで畳むと、手拭い数枚と熱い湯を用意して寝室へ戻る一護。
「お待たせしました」
着替えを出し、剣八を脱がして絞った手拭いで背中を拭いていく。
「んしょ、んしょ」
「おい、一枚寄越せ」
「あ、はい」
と新しく絞った手拭いを剣八に渡すと自分で拭っていく剣八。
「早く良くなって下さいね、剣八様」
そう言って部屋を出て行こうとする一護の腕を掴むと蒲団に押し倒した。
「あっ!剣八様、何を・・・!」
抗議する一護の口を口付けで塞ぎ、舌を絡める。
「ん!くふぅ!ふ、あ!」
唇を離すと二人の間にとろりとした糸が繋がっていた。
「なあ一護」
着物の袷から手を差し込み、胸を撫でていく。
「は、はい・・・」
「風邪ってなぁ汗掻きゃあ治んだろ?」
「い、いえ、それもありますがまずは安静と栄養を・・・」
剣八の言わんとする事が分かった一護が慌てて説明する。
「安静か」
「そ、そうです!」
「じゃあお前が上になるってぇ話だな」
「え、えええ〜!」

 仰向けで寝ている剣八の腹の上に跨る一護。既に勃ち上がっている剣八の中心に手を添えると胎内へと受け入れた。
「あ、あ、熱い・・・!」
にゅぷ、と先端が入り込み、ゆっくりと熱い楔が自分の中に入って来るのを感じる一護。
「ひ、あ、ああ!ああっ!あ・・っく!ふぅぅッ!」
びくびく!と背を撓らせ、剣八の逞しい腹筋に両手を付いて息を整える。
「は、はあ、はあ、ん、あ、熱い・・・剣八様の、あつい・・・」
俯いている一護の顎を掬い、上向かせるとその唇に親指を這わせると、
「ほら、動いてみろ。一護」
と自分で動く様に促した。
「あ、あ、待って・・・剣八様、熱いです、それに奥まで・・・!」
「このままでもツライだろ?」
「は、い・・・」
意を決した一護はゆるゆると馴染ませる様に、円を描く様に腰を動かした。
「あ!んん!ふ!ああ・・・」
一護の先端から溢れ出た蜜はとろとろと滴り、結合部を濡らし、いやらしい音を響かせていた。
「あ、あん!や、いや・・んん!」
「厭じゃねえだろ?こんなにトロトロにしちまって・・・」
くちゅりとその長い指で一護の先端を撫でてやる。
「んああ!」
きゅう!と締め付けて動かなくなる一護に、
「こら、そんなんじゃいつまで経ってもイけねえし、俺の風邪も良くなんねえぞ?」
と言ってやる。
「ああ・・・申し、わけ・・・!ッ!」
謝る一護の両乳首をきゅうっと摘まんでやる。
「ふぅぅンッ!だめ、です・・!それ、ああ!」
ビク!ビク!と震え快感に耐える一護。
「く・・!食い千切る気か、一護」
苦しげな剣八の声を聞き、剣八を見ると眉間に皺を寄せ、何かに耐える様な顔をしていた。
「ん、ふ、剣八様?うあ!」
「俺が我慢出来ねえよ」
「え?あ、あーーっ!」
熱があるにも関わらずガツガツと激しい動きと与えられる快感に啼く事しか出来ない一護。
「ああ!ああ!剣八様!剣八様ぁ!」
「クッ!一護、一護、一護!」
「あう!ああ!イ、イってしまいます!ああ!もう!だめ・・・!」
「イけ・・・!俺も限界だ・・・!」
「ふあ!んああぁあっ!」
「くうっ!」
ドクドクと最奥に注がれた精はいつもより熱く感じた。
「ひああ!あつぅい・・・!」

 その後すぐ風呂に入り、着替えもしたので剣八の風邪はすぐに治ったが、やはりと言おうか一護に風邪が移ったのだった。
そのことで卯ノ花隊長から、
「予防の為の薬を飲んでいたと言うのに、一体なにをしていたのです?」
と真っ黒な笑みで質問される剣八が居た。






13/05/27作 風邪っぴき剣ちゃんと看病一護。一護の看病は剣八とやちるが頑張りました。



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