題「夫婦の時間」
 剣八は毎晩一護と晩酌するのが常である。
一護と出会う前はツマミなど食べずに酒だけを味わっていた。だが一護と飲みに出掛ける様になり、
「お酒だけではお身体に悪いですよ」
と言われ、勧められる小鉢に箸を付ける様になっていった。

 一護と結婚すると晩酌には必ず一護お手製のツマミが付く様になった。これが絶品で店で飲むより酒が進む事もあった。
そんな訳で今では酒とツマミを両方楽しむ事が出来る。

 さて、今夜の晩酌は・・・?
「剣八様」
「うん?」
「今日は良いきのこを頂きましたので、今宵の晩酌に御出し致しますね」
「へえ、きのこねぇ。どんなのだ?」
「ええと、松茸、平茸、椎茸に舞茸 、ホンシメジ、サクラシメジ・・・たくさんです」
笊に大盛りになっているきのこ。
「・・・炙って食うか」
「他にも何か作りますか?」
「いや、いい。余った分は晩飯に使え」
「ではそのように」
にっこり笑う一護。
その日の夕食は松茸のお吸物と茸ご飯だった。
「いい匂いだねぇ、いっちー」
「はい」
おかずに椎茸の肉詰めも付けた。

 食事も済み、やちるが寝た後で取り置いていた茸を持ってきた一護。
「お待たせしました」
「おう」
今夜の酒は『越後で候』を冷やで出した。
「まだ茸のかさに皺が出来てなくて良かった・・・」
松茸を手で裂いて火鉢の上の網に乗せた。パチパチと爆ぜる炭火とチリチリと焼ける松茸の音と共に部屋中に良い香りが漂い始めた。
「あ・・・良い香り・・・」
一護がうっとりした様にくふんと鼻を鳴らした。
「剣八様、塩と醤油どちらになさいますか?」
「醤油。お前は?」
「俺は塩で・・・。カボスもありますし」
「ふうん、俺も次はそれで食うかな」
何度かひっくり返し、丁度良い具合に色付いた物に醤油を塗り皿に入れ、剣八に渡す。
「どうぞ」
「お、ワリィな」
焼き立てアツアツの松茸を食べる剣八。
「ん・・美味えな」
キュッと杯を呷る。
「うふふ・・・」
一護も焼けた松茸に塩とカボスを絞り堪能する。
「美味しい・・・」
「ん」
顔を綻ばす一護の盃に酒を注いでやると嬉しそうに飲み干す一護。
炭を補充しつつ、新しく燗を付ける一護。
「少し冷えて来ましたね」
「ああ」
松茸の後は他の茸を焼いては食べ、酒を飲んだ。

 茸も食べ終え、片付けを始めた一護。
銚子や盃、皿などを盆に乗せ、卓袱台に乗せた時、不意に部屋の灯りが消えた。
「え!」
振り返ると行燈の火を吹き消す剣八が火鉢の紅い火でぼんやりと浮かび上がっていた。
「剣八様・・・?」
「うん?」
「どうして灯りを・・・?」
「このまま部屋に行ったって寒いだろうがよ」
それよりは暖かいこの部屋で・・・。
「あ・・・!」
剣八に腕を取られ、あっという間に組み伏せられた。自分に覆い被さる剣八の目は火鉢の火に照らし出され、欲情を隠さず妖しく光っていた。
「あ・・・」
「一護・・・」
「ん・・・」
優しい口付けは次第に深く、官能的になっていく。
「ん、ふ・・くふ、んぁ・・・」
その口付けに酔っていると知らぬ間に寝巻きを脱がされていた。
「ふあ・・・」
ほんの少しの肌寒さと胸を這う剣八の手の熱さに脱がされた事に気付く一護。
「は・・・、綺麗だな、一護・・・」
火鉢の紅い火によって薄暗闇に浮かび上がる一護の白い肢体を目で味わう。
「あ・・・や、です・・剣八様も、脱いで・・」
羞恥と欲情にとろりと潤んだ目で見上げ、剣八の寝巻きの袷を肌蹴ていく一護が震える手で腰紐を解くと、ハラリと剣八の寝巻きの前が開いた。それを自分で脱いでいく剣八。
一護と同じ様に照らし出された剣八の逞しい胸板や腹筋に指を這わす一護。
「綺麗・・・剣八様」
「擽ってぇよ」
とその手を取ると、指先をぺろりと舐めた。

 部屋中に響く甘い嬌声と水音。
「は、ああぁ・・・!」
後ろから貫かれ、前を弄られる一護。ぐちゅり、と剣八の手が動く度に粘着質な音が耳を犯す。
「ふ!くぅん・・・!ん、んあ!」
前からと後ろからの刺激で撓る一護の背中に口付ける剣八。
「あ、あ!剣八様ぁ・・・!」
「一護・・・」
そのまま項に吸い付けば更に深く、奥へと剣八の熱杭が入ってきた。
「んっ!んああっ!」
その衝撃で剣八の手の中に吐精した。
「あ、はぁ、はぁ・・・」
達した余韻に浸る間もなく耳元で、
「こら、俺はまだだぞ」
と囁かれた。
「ンンッ!剣、剣八様・・・」
後ろを振り返り口付けを強請る一護に深く口付け舌を絡める剣八。
「ん、ふ、ん、ん、あぁ・・・んん!」
口付けながら剣八が体勢を入れ替え正常位になり、正面から一護を見据える。
紅い灯りに浮かび上がる橙の髪と白い肌に刻まれた赤い所有印。
「クッ!堪んねえな・・・」
グツリと奥を穿つ。
「ん!はあう!あ!あ!剣!八!様!あっ!あっ!」
剣八の太い腰に足を絡ませ一護はより深く繋がろうとする。
「一護・・・!」
勃ちあがった胸の小粒を口に含み、吸い上げては歯を立てた。
「ひっ!ひん!あっ!あっ!もう!」
「イくか?良いぜ、俺もイクからよ・・・!」
ガツガツと奥を目指し突いていく。
「あっああっ!剣八様!ああーーっ!」
達した一護の締め付けで剣八もその最奥へと精を注いでいく。
「う!く・・・!」
「んん!はぁああ・・・!あ、熱い・・・ん」
どちらからともなく口付けを交わす二人。

 一護と風呂に入り、蒲団に寝かせると剣八は居間の障子を全開にして換気した。
そして自分も眠る為一護の待つ部屋へと戻った。







12/11/26作 茸で一杯!な夫婦でした。ほのぼのエロ。



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