題「夫婦喧嘩」 | |
剣八はここ数日周りからの誘いで飲みに出掛ける事が多くなった。 普通の飲み会なら断ったかも知れないがそれが全て『一護との結婚を祝して』と言う事なので付き合っている。 朝、一護が剣八を起こす。 「剣八様、起きれますか?朝ですよ」 「う・・・もう、朝かよ・・・」 「はい、お食事は摂れそうですか?」 「・・・ああ」 「良かった」 若干ふら付きながらも居間まで行くと炬燵に入り、一護の淹れてくれた濃いお茶を啜る。 「あ”〜、だりぃ・・・」 「剣八様、最近飲み過ぎではありませんか?お身体に毒ですよ?」 と心配する一護。 「ああ、だなぁ・・・」 剣八もいい加減嫌気がさしている所である。何せ、酔って帰って来た頃には一護はもう寝ているのである。 朝から晩まで家事の一切をやっている一護。疲れているだろう一護を無理矢理起こすのは忍びないと大人しく隣りで寝るに留まっている剣八。 つまりは、ここ数日一護を抱いていないのだ。 朝ご飯を並べる一護の襟から覗く項に腰にむしゃぶり付きたい衝動に駆られるが泣かれるのも嫌なので堪える。 (今日と言う今日は抱く!) と言う決意を固める剣八が居た。 3人で朝食を食べ、掃除、洗濯、買い物、3時のおやつ、夕食を食べた後、またお誘いが来た。 「やあ!剣八さん!飲みに行かなぁい?」 今日は京楽だ。手で杯を呷る真似をして笑っている。 「今日は・・・」 行かないと言おうとした時、京楽が剣八の耳元で囁いた。 「あのお酒、手に入ったんだ〜。来るよね?」 「マジでか」 「本当だよ」 剣八は迷ったが誘いに乗った。 「一護、今から・・・」 「お出かけですか?お帰りの頃は寒くなりますからこれを」 と羽織と襟巻を渡してきた。 「おお、ワリィな。ちゃんと戸締りしろよ。俺が帰って来るまで誰も入れんじゃねえぞ。一角でもだ」 「まぁ!では雨戸も閉めてしまいましょう」 くすくすと笑う一護。 「おう、そうしろそうしろ」 「では行ってらっしゃいませ」 とその頬にキスをして送り出した。 「良いねぇ、剣八さんは。あんな可愛い奥さんが居てさ〜」 「ふん、羨ましかったらさっさと嫁でも見つけるこったな」 へっ!と鼻であしらう剣八。 「で、あの酒が手に入ったってのは本当だろうな?」 こちとら一護との逢瀬を伸ばしてまで来ているのだ。ギロリと睨む剣八。 「ホントホント!いや〜、たまたま入った店で見つけてね〜。即買いだよぉ」 んふふ、とこちらも上機嫌だ。 「ああ、此処だよ」 と見ればそこは京楽が贔屓にしている飲み屋だった。 「あ!遅いですよぉ!京楽隊長!更木隊長!」 と二階の窓から乱菊が手を振っている。 「やあごめんね〜。遅れちゃったねぇ」 二階の座敷に入るなりヘラリと笑いながら言うと、 「そうですよぅ!あたしもこれ飲むの楽しみにしてるんですから〜!」 と乱菊が頬を膨らませて言った。 「いやぁ松本君もこのお酒知ってたんだねぇ〜」 「そりゃそうですよぉ!幻のお酒って有名なんですから!」 とその酒瓶を持ち上げる。その酒の銘は、 『大魔王ころし』 何度も搾った強い酒。強いだけでなく、味も香りも芳醇で最高の酒だった。 「さて、剣八さんと一護君の結婚を祝して!乾杯!」 「かんぱ〜い!」 とそこに集まった死神全員から祝された。一角から恋次、檜佐木、吉良等が居た。 「おう」 と酒を呷る剣八。 「ああ、やっぱり美味ぇな・・・」 一本は一護に持って帰ってやるかと考えていると、 「一護君にも飲ませてあげてね〜」 と風呂敷に包まれた酒を渡された。 「ふん、やけに気が利くじゃねえか」 と宴会は続いて行く。 ここ数日飲み歩いている剣八は自分では気付いてなかったがかなり酔いが回っていた。 目が据わっているのに気付いた一角が声を掛けた。 「あの、隊長?」 「ああ?」 と睨みつける様に一角を見据えると、 (ああ、やべえ。かなり回ってる!) と長年の付き合いで勘付いた一角。 「た、隊長!も、もうそろそろ帰った方が・・・」 「ああん?」 と大虚が泣いて逃げだすのではないかと言うくらい怖い顔で凄まれた。 「い、いや!あんまり遅くなったら一護が心配するんじゃねえっすか!?ココん所毎日でしょ!?」 と慌てて言うと、 (ああ、そういやぁ・・・) と久しく見ていない褥の中の一護を思い出し、 「帰るぜ」 と立ち上がる剣八。だが足がふら付いた。 「おっと・・・」 「だ、大丈夫っすか!隊長!」 「おぉ。ちょっとふら付いただけだ。じゃあな」 と土産の『大魔王ころし』も忘れず持って帰ったのだった。 「・・・あんな酔った隊長初めて見たんすけど・・・」 「一護、大丈夫ッすかね?」 「大丈夫でしょ?あれだけ大事にしてたら」 「そうですよね」 と深く考えなかった面々だった。 その頃の一護は、一人寂しく特注の布団で眠っていた。 「すぅ、すぅ、ん、さむ・・・むにゃ・・」 もぞりと蒲団に潜りこんだその時、 「帰ったぞ!一護ぉ!」 と剣八の大声が聞こえた。 「ふえ!け、剣八様!?」 と寝ぼけた頭で起きようとしていると台所の方から、ドゴォン!ガシャアン!パリン!と派手な破壊音が聞こえて来た。 「ひゃあ!なんですか!一体!」 起き上がり身支度を整えている間に剣八の声は居間の方へと向かった様だ。 「一体なにが・・・」 と寒い廊下を歩いて台所を覗くと、そこは刀で暴れたのかそこいら中に刀傷と割れた食器などが散乱していた。 「あ、皆の茶碗が・・・」 下駄で歩く度に足の下から聞こえるパリン、パリンと言う音。しゃがんで拾い上げた食器の欠片は一護が初めて買った3人の茶碗だった。 とても大事に扱っていた物のなれの果て・・・。 一護は腹の底から沸々と何かが沸き上がるのを感じたが、取りあえず今は剣八の様子を見なければと居間に向かった。 居間では炬燵の前で剣八が大の字で寝ていた。 「剣八様!こんな所で寝ては風邪をひいてしまいます!起きて下さい!」 行燈に火を入れ、ゆさゆさ!と肩を揺さぶって起こすもまるで起きる気配が無い。 「あ、それより水を・・・」 と居間から出ようと障子に手を掛けた瞬間、足首を掴まれた。 「どこ行くんだ、一護・・・」 「ひゃあ!目が覚めましたか?今、水を取って来ようかと」 「要らねえ、こっち来い・・・!」 足首をグイッ!と引き寄せる。 「う、うわ!な、何を!んぐ!」 一護が振り向くと噛み付く様な口付けが襲って来た。 「ん!ん〜!く!ふっ!ンッ!ンッ!」 剣八の舌に残っていた強い酒気に一護の身体も熱を持ってきた。 「ん、ふぅ!ん、あ・・・」 「一護・・・一護・・・」 剣八は一護の首筋にむしゃぶりつくと寝間着の袷を乱暴に開いて胸の小粒を摘まんでいく。 「んあっ!あ!あ!け、剣八、様!」 久し振りの刺激に一護の身体は快感に染まって行く。 鎖骨を甘噛みしていた剣八が赤く色づいた小粒を口に含んで味わう。 「あ!熱い・・!」 ちゅうぅ!と吸い上げ、もう片方は指でクリクリと摘まんでいる。 「ん!ん!やぁ、あ!」 腰紐を解かれ、下帯もいつの間にか抜き取られていた。 反応を返しているそこを剣八の大きな手が握り込む。 「あ、ああ・・・」 手筒で上下に扱くとあっと言う間に硬度を増した一護の中心は、先端から蜜を溢れさせた。 「ん、ん、く、んん!」 「は・・・、一護、一護・・・」 「ん、剣八様・・・、あ、ああ・・・!」 クチュクチュと淫らな音が響き、一護も剣八も興奮していく。 次の瞬間、グイッと身体が反転したかと思うと背中に冷たくて堅い物が当たった。 「ひん!冷た!な、なに?」 と見てみると炬燵の天板の上に寝かされていた。 「あ、いや・・・!」 剣八の目の前に下肢を突き出す格好になってしまっている。身を捩り抜けだそうとするが、がっしりと腰を押さえられていて抜けだせない。 「一護・・・」 「あ・・・っ!やぁ、ん!」 剣八は一護の足を持ち上げると、眼前に曝け出された一護の蜜を溢れさせる中心や垂れた蜜によりテラテラと濡れ、ヒク付く蕾を見つめ続けた。剣八に見られてジンジンと熱を持ってしまう。 「あ、いやぁ・・・!」 足を閉じようとしても剣八によって阻まれどうにも出来ない。 「一護・・・」 「あ!」 剣八が長い舌を蕾に這わせた。ちゅくちゅくと皺の一本一本を数える様に舐めては奥まで舌を入れては抜き差しを繰り返した。 「あ、ああ、あ、ああ、や、いやです・・・!んああ!」 ぬちゅりぬちゅりとなんとも言えない感触に身悶えながらも中心はひくん、ひくんと脈打ち、ぽたぽたと蜜を零していた。 そのうち、つぷんと指が入って来た。 「はあ!あ、ああ!」 ぬ、ぬくくく・・・、と奥まで納めるとゆっくりと抜いては奥まで埋めた。 「痛くねえか・・?」 「は・・い」 二本目の指が入って来た時に中を割り開かれた。 「ああ、もう蕩々だな、俺の指に吸い付いて来やがる」 「やッ!見ないで!あ、ああっ!」 開かれたそこを舌で舐められる。 「んっ!ンンッ!も、駄目ぇ!」 きゅうぅ!と収縮すると同時に剣八は根元を押えた。 「うあっ!ん、なんでぇ?い、イかせて・・・ッ!」 グッ、グチュ!と自身を扱く一護の手を払いのけ、熱く怒張している自身を宛がった。 「あ・・・」 「行くぞ・・・」 「きて・・・きて、剣八様・・・!」 剣八は一護の腰を抱え直し、奥を目指して貫いた。 「あ、あーーっ!あ!あ!」 トロリとした白濁を吐き出し、ひくひくと震える一護。 「入れただけだぜ?一護・・・」 「ん、んあ・・・剣、八様ぁ・・・」 ゆらゆらと両手を剣八に伸ばすと、その手を取って自分の首へと導いてやる。 そして一護の腰を掴んでガツガツと腰を打ちつけた。 「ああっ!あっん!あっ!あっ!剣ッ!八ッ!様!ンッ!ンッ!」 口付けながら一護を絶頂へと追い上げる。 「ふっ!うん!ンンッンーー!」 2度目の絶頂でくたりと力が抜けた一護の身体を反転させると後ろから熱杭で穿った。 「うあッ!あ!ああ!」 ずるりと抜ける際まで抜くと一気に奥まで貫いた。 「ああっん!ああっ!あっ!ああっ!あっ!」 ギシギシと音をさせ、ぐらぐら揺れる炬燵のうわ掛けに後ろから突かれる度に先端を擦られ、淫らなシミを広げてゆく。 「んっ!んっ!あ、いい・・・!」 ひくっ!ひくっ!とヒク付く内壁にもうすぐ一護の絶頂を知り、剣八も速度を上げていく。 「あ!ああッ!イヤッ!イク!イク!んあっあーーっ!!」 ぎゅうぅ!と締め付ける中へ熱を注ぎ込む剣八。 「ん、んああ・・・!あ、あつい・・・」 最奥へと注がれる剣八の精を甘受していると、まだ大きいままである事に気付いた。 「あ・・・、剣八様・・・」 はふ!はふ!と息を乱しながらも後ろを振り返る。 「ワリィな。まだ終わらねえぞ・・・」 ぐちゅッ!と奥を突くと、白い背中に口付けては赤い跡を残していく。 「ああっ!」 グイッと一護の身体を天板から引きはがすと胡坐の中へと納めた。 「うっ!んああぁあっ!」 自重によって前立腺を抉られ、あられもない声をあげる一護。達したばかりで敏感になっている内壁は剣八に絡み付いて来た。 「くう・・・っ!」 一護の膝裏に手を差し入れ身体を持ち上げる。 「ん、んあああ・・・」 手を離すと重力に従い、絡み付く内壁を掻きわけて最奥まで到達する。 「やあぁああっ!剣八様ッ!だめ!だめ!もう駄目ぇ!」 身も世も無く首を左右に打ち振り、泣き叫ぶ一護。 結局、一護は出る物が無くなるまで喘がされ、啼かされた。 「う・・・?」 全身の痛みと倦怠感に一護が目を覚ますと二人とも裸のままで寝てしまっていた。 「あ!風邪を、うあ・・・」 どろり・・・と自分の中から剣八の精が溢れ出て来た。 「あ、あのまま気絶したのか・・・」 剣八の方を見ると鼾を掻いて満足そうに眠っている。 「もう・・・」 はふ・・・、と溜息を吐くと痛む身体を叱咤して浴場へと向かう一護だった。 炬燵のうわ掛けを洗濯しつつ、自分の身体の処理を終え、軽く昨日の残り湯で身体を流すと着物に着換えた。 風呂を沸かし直そうと点火した時にガス漏れに気付いた。 どうやら、昨日剣八が台所で暴れた時にガス管にヒビでも入ったらしく、このままでは暫く家事も出来ないないと思いながら、電気ポットのお湯でお絞りを作り、剣八の身体を拭っていった。 火鉢に火を熾し、十一番隊の食堂で朝食を作り、剣八を起こす。 「起きて下さい、剣八様。剣八様!」 「ああ・・・?」 やけにさっぱりした顔の剣八がのっそりと起きあがった。 「おう、今日も早えな、一護」 「剣八様、そこに正座なさってください」 「あん?」 「正座なさってください」 卯ノ花隊長仕込みなのか、変な迫力に負けてその場に正座する剣八。 「剣八様、昨日の事を覚えておいでですか?」 「昨日の事ぉ?あ〜、京楽と飲み行った事か?」 「その後此処に帰ってきてからの事です」 「帰ってきてから・・・?俺、いつ帰って来たんだ?」 「覚えておられないのですね。では今のうちの台所がどうなっているのかも?」 「はあ?」 「百聞は一見にしかずです。見て来て下さい」 「なんで俺が・・・」 「見て来て下さいませ」 「へいへい」 なんだってんだ、ったく。ぶつぶつ文句を言いながら台所へ行くとその惨状に思わず叫んだ。 「なんじゃこりゃあ!おい!一護!なんでぇこりゃあ!」 いつの間にか後ろに居た一護が、 「昨日酔って帰って来た剣八様が暴れた跡でございます。刀を振り回したようでそこかしこに刀傷が残っております」 にっこりと綺麗な笑顔で説明する一護の後ろに卯ノ花隊長が重なって見えた。 (やべ・・・かなり怒ってやがるな) 「剣八様のお茶碗も、やちる様のお茶碗も、俺の茶碗も全て壊れてしまいました」 「あ〜、後で新しいの買ってやるよ」 と言うセリフにカチン!と来た一護。 「そんな言葉が聞きたい訳ではありません」 「んだよ。他にどうするってんだ?接着剤でくっ付けんのかよ」 まるで分かっていない剣八に、はぁ〜、大きな溜息を吐いてしまった一護。 「それと、昨日の事は何も覚えておられないのですか?」 「あ?まだなんかあんのかよ!いい加減にしろよ、そんな事より一護、何日お前を抱いてねえと思ってんだ?これから・・・ぶッ!」 近づいてくる剣八の顔を手で押さえる一護。 「何しやがる!」 「・・・本当に何も覚えていらっしゃらないのですね・・・」 ふるふると肩を震わせる一護。 「おい、一護?どうし・・・」 一護の肩に手を置くと同時に、 「剣八様のバカァ!!」 パーンッ!と左頬に一護のビンタが食い込んだ。 「ぃいってぇ!!何しやがんだ!こらぁ!」 「実家に帰らせて頂きます!」 「はあ・・・?」 呆気に取られている剣八を置いてズンズン歩いて部屋へと帰る一護。 四番隊 「あらまぁ、一護とやちるちゃんではありませんか。どうしたのです?」 「家出をして来ました。申し訳ありませんが俺の部屋をまた貸していただけますか?」 「それはいいですが・・・。何があったのです」 とお茶を出されつつ昨日の事を話していく一護。 もう一週間近くも飲み歩いている事、昨日暴れてお気に入りの食器を割られた事、それに対して謝罪が無かった事。 「えーー!!あたしもあのお茶碗お気に入りだったのにぃー!」 とやちるも怒っている。 そして少し恥ずかしかったが、最近夫婦の営みが無かった事を話した。 「そうですか・・・」 「あのぅ、剣八様はもう俺に飽きてしまわれたのでしょうか・・・?そうだとしたら俺はどうしたらいいのでしょうか?」 と悲しそうな顔で問うてきた。 そこへ、 「一護ぉ!此処に居んだろ!出て来い!」 と大声で自分を呼んでいる剣八の声が四番隊に木霊した。 「あ、剣八様・・・」 「一護・・・、更木隊長と話し合いはしましたか?」 「え?いえ・・・」 「そうですか。では初めに二人で話をすることを勧めます。お互いの事が分からなければ仲直りなんて出来ないでしょう?」 「はい・・・卯ノ花様・・・」 素直に頷く一護の頭を撫でてやるとまだ何やら言っている剣八の所へ向かう卯ノ花隊長。 「更木隊長、そんなに大きな・・・!?」 「卯ノ花!一護此処に来てんだろ!」 「来てますが・・・、その左頬は?」 剣八の左頬にはくっきりと紅葉模様が出来ていた。 「あ?うっせえな!どうでも良いだろ!んなこたぁ!」 「・・・一護は自分の部屋に居ますよ。あまり怖がらせないで下さいね」 「わあってんよ!」 どかどかと荒い足音で一護の部屋へと向かい剣八を見送ってから、 「ふっ!うふふふふっ!一護ったら!ふふふふ!」 「どうしたの?卯ノ花さん」 「やちるちゃん。やちるちゃんは私と一緒に待ってましょうね」 「うん!早く仲直りするといいね!」 「ええ、きっとすぐですわ」 「一護!」 一護の部屋の扉を開け、一護を見つけるとその体を捕まえてベッドの上に座らせる。 「あ、あの・・・」 「悪かった!」 「え?」 「そんな怒るなんて思わなかったんだよ。たかが茶碗なんてすぐ買えるしよ。なんか理由があんだろ?」 「まぁ、それなりに・・・」 「それなりかよ」 「剣八様・・・、お聞きしても良いですか?」 「ん?」 「どうして飲みに行く時に俺も連れて行って下さらなかったのですか?」 「俺以外に酔ってるお前の姿見せたく無かったからだよ」 「どうして一週間も一人にしたのですか?とても寂しかったです」 「ワリィ・・・」 「どうして、抱いてくれなくなったのですか?」 「あ?」 「もう、俺には飽きてしまいましたか・・・?」 「おい・・・!」 思わず怒鳴りそうになった剣八が見た物は今にも零れそうな涙を湛えた一護の顔だった。 「んな訳ねぇ!」 ガバリ!と一護の身体を抱きしめると、 「悪かった!俺が悪かった・・・!お前がそんな風に思ってるなんざ考えもしなかった!普通の飲み会なら断ってたんだけどよ、お前との祝言の祝いだっつうからよ」 「そうですか」 「後な、俺だっておめえを抱きたかったんだぞ。何日触ってねえ?何日抱いてねえ?限界だっつの!」 「でも昨日剣八様は俺を抱かれましたよ?」 「ああ?」 「居間で、俺が気絶するまで」 「マジかよ・・・」 まるで記憶に無かったが下半身がやけにスッキリしているのはそのせいか・・・。 「後、おうちのガス管にひびが入っていますのでお料理を作ったりお風呂を沸かす事が出来ませんので」 「げ!まじかよ・・・」 「はい。工事が終わるまではエッチは駄目ですからね?」 「なあ?!」 「だって、お風呂に入れないと無理でしょう?」 「この部屋の風呂があるじゃねえか!」 「もう元栓も何もかも閉めてしまってますよ」 「くっそ!」 「自業自得です。俺を置いてけぼりにした罰です」 ちゅ、と剣八に口付ける一護。すぐ剣八からもお返しのキスをされ、ちゅ、ちゅ、と甘いキスの応酬となった。 朝の喧嘩なぞなんのその。すぐさま仲直りした剣八と一護だった。 その日の夕方には剣八の家のガス管の修理も、台所の修繕、片付けも終わってしまった。 剣八を飲みに誘った全員が総動員で片付けたのだ。 勿論、命令をしたのは卯ノ花隊長。 その日のうちに剣八に押し倒される事になった一護。 やっぱり気絶するまで離してもらえなかった。 終 12/01/08作 夫婦喧嘩(?)でした。 一人で置いて行かれて寂しかった一護と酔ってもっと可愛くなる一護を誰にも見せたくなかった剣八。 ブラック卯ノ花さんが降臨しなくてよかったね、旦那様! 剣八を飲みに誘った方々は「一護を悲しませた。寂しくさせた」と言う事で卯ノ花さんに凄まれました(笑) |
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