題「初夜」
 剣八と一護の想いが通じ合って数日が経った。
「更木様、この書類に押印をお願いします」
「ああ」
ペタペタ判子を押す剣八を見て給湯室へ消える一護。
「あ、僕も手伝うよ」
と弓親も付いていった。

「ありがとうございます。助かります」
「ううん、良いよ。ねえ一護君、どうして隊長のこと名字で呼ぶの?」
「は?」
「いやだって、恋人同士になったんでしょ?だったら普通名前で呼ぶものなんじゃないの?」
「そうなのですか?俺はそう言う事に詳しくないので良く分かりませんがただ・・・」
「ただ?」
「今は仕事中なのでいつも通りに呼ばせて頂いております」
「あ、そうなの。一護君って公私混同しないタイプなんだねぇ」
「そうなのかも知れませんね」
喋っているうちにお茶が入り部屋に持って行く。
「お疲れ様です、更木様」
「おう」
自然な流れで渡された湯呑みを受け取りお茶を飲む。
「ふぅ。おい一護、飯食いに行くから予定空けとけよ」
「はい、分かりました」
ごく普通にデートに誘う剣八と受ける一護だが一護の方は気付いていない可能性もある。
いつもの仕事終わりに一緒に行く食事だと思っているのだろう。
「ねぇ一角。アレって一護君分かってないよね?」
「分かってねえな。賭けるか?」
「何をさ」
「今晩一護が喰われるかどうかってよ」
「はぁ、無粋だねぇ。どうでも良いけど、それ隊長にバレない様にやってよね」
「んだよ、お前は乗んねえのかよ?」
「僕は良いよ。そっとしておくよ」
「ふ〜ん・・・」

仕事も終わり、部屋の施錠をしていると後ろから声を掛けられた。
「おう、もう済んだか?早く行くぞ」
「あ、はい!もう扉だけです」
扉に鍵を掛け、二人並んで歩く。夜勤組に鍵を渡して外へ出た。

先を行く剣八の足はいつも行く居酒屋の方角ではない。
「あの更木様・・・」
「名前」
「え」
「もう仕事終わってんだろうがよ。名前」
「あ、剣八様」
「おう、なんだよ」
「今日はどちらへ行かれるのですか?いつものお店ではないのですか?」
「ああ、今日は別だ」
「そうですか」

てくてくと歩いていると前を歩いていた剣八が止まった。
「おう、ここだ」
と示されたのは料亭だった。
「ふわぁ・・・大きいですね」
店構えに驚いていると暖簾を潜ろうとしている剣八に急かされた。
「何やってんだ。早く来い」
「あ、はい!」
店に入ると個室の座敷へと通された。
落ち着きなく一護がソワソワしていると先に座った剣八に、
「落ちつけよ。飯食う前に緊張してたら味分かんねえぞ?」
「あ、そ、そうですね」
暫くして料理や酒が運ばれた。
「ではどうぞごゆっくり」
そう言って仲居が退出すると、
「ほれ」
と剣八が徳利を傾ける。
「あ、ありがとうございます」
注がれた酒を飲み干すと今度は一護が剣八に酒を注ぐ。
「おう、ワリィな」
「いえ」
酒を酌み交わし、料理に舌鼓を打ちながら話をする。
「剣八様はこう言う味付けが好ましいのですか?」
「あ?嫌いじゃねえけどよ。なんだ?」
「いえ、参考にしようかと」
「ふうん、こう言うのは店で食やぁ良いんだよ。お前の飯は特別だろ」
刺身を食べながらそう言えば、一護が頬を染めて俯いてしまった。
「あ?顔赤いぞ、熱でもあんのか?」
「いいえ!大丈夫です!」
パクパクと箸を動かす一護。

食事も済み、店を出る。
会計の時に一護が自分も出すと言ったのだが剣八が聞く耳持たずさっさと出した。
「俺も少しは持って来てましたのに」
「馬鹿野郎。ああいう時は黙って出されてろ」
「はあ・・・」
分かったのか分かっていないのか。
てくてく歩いて来た道を戻る。もうすぐ分かれ道だ。
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
「あの・・・」
「ん?」
「お礼と言ってはなんですが、俺の部屋でお茶でも・・・」
「・・・。ああ、そうだな」
「良かった・・・」

一護の部屋に来た剣八。
相変わらず片付けられた部屋だと思った。
「すぐ用意しますね」
「あ、ああ」
暫くしてお茶が出された。
「どうぞ」
「ああ」
「今日は御馳走様でした」
「別に構わねえよ」
ずず、とお茶を啜る。
お互い何も喋らないが心地よい沈黙。ふと顔を上げると目が合い、穏やかに笑い合う。
湯呑の中身が無くなると、
「あ、新しいお茶でも・・・」
と立ち上がる一護。
「茶はいい、それよりコッチ来い一護」
ぐい、と腕を引っ張る。
「あ・・・!」
剣八の逞しい胸板に抱きこまれ身体が熱くなる。
「剣八様、あの・・・ん」
触れるだけの口付けをされた。
「ん、ん、ふ、ん」
ちゅ、ちゅ、と繰り返し次第に深く口付ける。
「ん、あ、ふぅ!」
くたりと力が抜けるまで繰り返し、抜けた所でベッドへと運んだ。

「ん・・・、あ、あの・・・」
「心配すんな。最後までしねぇ。慣らすだけだ」
「は、はあ」
ベッドに寝かされ、死覇装を脱がされる一護。
その白い首筋に軽く吸い付く。
「ん、あ」
薄い胸に手を這わせ、邪魔な着物を取って行く。
鎖骨の辺りまで来ると強く吸い付き跡を付けた。
「あ!」
「ここなら見えねえだろ」
ペロッとそこを舐めながら言うと、その下の小粒に指で悪戯を仕掛けた。
「ひゃぁ!あ、あ、や!」
親指と人差し指で摘まんではクリクリと刺激する。
「んや!あ!あ!ああ!」
片方を口に含むと舌で転がし、カシカシと歯を立て、空いた手で下帯を外した。
「あ・・・、あう!」
軽く握り込まれ身が竦んだ。
「怖がんな、痛くねえ様にする」
「は、はい・・・ひゃあ!」
次の瞬間には一護の中心は剣八に咥えられていた。
「ひ、あ、ああ!ンッ!」
数回舐められただけで呆気なく達してしまった一護。
「ッはあ!はあ!あ、あ・・・」
「一護・・・」
「あ、申し訳、ありませ・・・!」
「謝んな、まだ続くぞ」
「は、はい・・・」
剣八は懐から小瓶を取り出した。
「そ、それは?」
「潤滑剤だ、気にすんな」
トロリとしたそれを手の平で温めると一護の蕾に塗り付けた。
「ひ、ゃ」
潤滑剤の助けを借りてすんなりと剣八の指が入って来た。
「あ、あ、あっ」
「ここら辺か・・・」
クイッと指を曲げると一護の声が大きくなった。
「ひ!ひゃあ!あ、なんですか、こ、これ!」
「ここはお前の良い所だ。覚えとけ」
剣八は2本に増やした指で中を擦る。
「ひ!あっ!あっ!」
3本に増えた指で奥を突かれ、同時に前も扱かれ達した所で気を失った一護。
「まぁ、もった方か・・・」
と呟きながら一護を風呂に入れた剣八。

「ん・・・」
「起きたか」
「あ!け、剣八様!」
「どっか痛えトコねぇか」
「う、あ、腰が・・・」
「そうか。まぁ慣れとかねぇと辛いからな」
ちゅ、と額に口付けると、
「俺は帰るからな」
「あ、はい。おやすみなさいませ」
「ああ」
扉の所まで行った剣八が振り向き、
「明日もやるからな」
と言って出ていった。
「あ、明日も?・・・大丈夫かな」
と腰を摩る一護が居た。

そんな具合に1週間が過ぎていった。
「おい、一護。お前明日非番だったな?」
「?はい。そうなってます」
「そうか・・・」
隊首机に座ってそれだけ言うと黙った剣八。
「?」
「弓親」
「分かってますよ」
剣八に呼ばれた弓親がそれだけ返すと小声で一護に、
「頑張ってね」
と囁いた。
何をと問う前に弓親は居なくなっていた。

終業時。
「おい一護。飯食いに行くぞ」
「あ、はい」
素直に頷き、剣八の後に付いて行く。

着いた所はいつもの居酒屋だった。
がやがやと賑わっている中で注文をする。
剣八は酒だけを飲んでいた。
「お身体に悪いですよ」
と揚げだしを勧めると黙って食べた。
食事が済むと席を立ち、会計をしようとする一護だったが店員に、
「もう頂いております」
と言われた。
「おら、帰んぞ」
「あ、はい!」

てくてく二人で歩く。
「おい」
「はい」
「お前今日うちに泊まれ」
と突然言われた。
「え、あの、良いんですか?急に・・・」
「ああ、どうせ今日はやちるの奴も泊まりに出てっからな」
「そうなんですか。残念ですね」
言っているうちに剣八の家に着いた。
灯りの点いていない部屋は少し寒く感じられたがすぐに何も感じなくなった。
「おい、先に風呂に入って来い」
「え?いえ、剣八様お先にどうぞお入りください」
どうぞ、と勧められ渋々風呂に入る剣八。
「おい、出たぞ。今度は・・・」
「あ、はい」
一護は剣八の蒲団を整えていた。
「着替えだ」
と寝巻きを渡された。
「はい、ありがとうございます」
一護が風呂に入っている間に蒲団の上で、
「分かってねえな・・・」
と呟いた剣八だった。

「お湯頂きました」
「ああ」
「では・・・」
と以前使っていた部屋に行こうとしたが、
「一護。ここに来い」
と剣八に呼ばれた。
「はい?」
蒲団の上に座っている剣八の向かいに腰を下ろす一護。
そんな一護の眼を真っ直ぐ見て、
「今からお前を抱く。良いな」
ときっぱり言いきった剣八。
固まってしまった一護の身体を蒲団に寝かせ、覆いかぶさる。
「あ、あの!」
「なんだ?」
「ほ、本当に?」
「その為に一週間も慣らしたんだろうが・・・」
ちゅ、と額に口付け宥める。
「嫌か・・・?まだ怖いか?」
髪を撫でながら訊いた。
「い、いいえ!」
「じゃあ良いな」
「ん・・・!」
深く口付けた。

「ん、ふぅ・・・ん、あ!」
「一護、一護・・・」
「ん、あ、剣八様・・・あぅ」
首筋にチリッとした痛みを感じた。一護の衣服を脱がせながら愛撫を施していく。
「跡が付いたな・・・、一護・・・」
「あ・・・ひあ!」
胸の小粒に舌を這わせ、もう片方を指で押し潰した。
「や、あ、ぁ」
慣れない快感に身を捩る一護に煽られる剣八の愛撫はどんどん下肢へと向かって行く。
「一護、一護・・・」
名を呼びながら緩く頭を擡げている一護の中心を口に含んだ。
「ひゃあぁ!あ、やッ!剣八様!あ、あ、熱い・・・!」
ぬめる舌で舐められ、すぐに固くなったそこからは先走りの液が溢れていた。
それを啜り、もっと寄越せと言わんばかりに先端に舌をねじ入れた。
「いっ!やぁああ!」
ぴゅくん!と剣八の口内に吐精した一護。剣八はそれを一滴も零さず飲み下した。
「あ、はぁ、はぁ、あ・・・」
吐精の余韻にヒクヒクと腹筋が震えている。
くたりと力の抜けている一護の身体を反転させると双丘を割り広げ、ひっそりと息づいている蕾に舌を這わせた。
「やッ!嫌です!なんて所を!あ!ああ!」
今までは指だったのに・・・!
熱く柔らかい舌が襞の数を数える様に丁寧に動いていたかと思うと、くにゅ、と中に入って来た。
「ひぃ!や、ああ!やめ!そんな、汚い・・・」
「汚くねぇ」
「は!ああぁあ!」
限界まで伸ばされた舌が抜き差しされ、一護の足がガクガクと震えた。
「んあ!」
今度は指が入って来た。浅い所を舌が、奥を指が蹂躙していく。
「あ!あ!も!ダメ!もう!もう!」
一護が限界を訴えるとそこから離れた剣八。
ヒク付く一護の蕾に、用意していた潤滑油をたっぷりと垂らすと自身にも塗り付けた。
「一護、こっち向け」
と一護の身体を前に向けると腰の下に枕を差し込んだ。
「ん・・・」
一護の腕を取ると自分の首に回した。
「行くぞ・・・」
一護の腰を掴むと自身を沈めていった。
「あ!やっ!い、痛!ああっ!くっ!」
慣らされていたとはいえ、やはり痛みが伴った。思わず剣八の背に爪を立てた。
「ッ!息止めんな、吐き出せ」
「ふっ!はぁっ!ああ!」
ゆっくりと中に入る剣八。
「ん、んん!」
「全部、入ったぞ・・・!」
「あ、あ、熱い・・・!」
閉じられた目からは真珠の様な涙がぽろぽろと零れていた。
「は・・・、あったけぇ・・・」
一護のこめかみに口付けを繰り返し、そっと囁いた。
「動くぞ・・・」
「は、い・・・」
きゅっと首に回した腕に力を込める一護が愛おしい。

ヌ、と少し抜くとヌク!と奥を突くのを繰り返した。
「あ!ああ!や、あ!ああ!」
感じる一点を突きながら痛みで萎えた前を扱いてやる。
「ひん!いや!だめです!剣八様!だめ!だめ!」
「何!がだ?」
「お!おかしく!なって!しまいます!ああ!」
蜜を零す先端に溢れた蜜を塗り込める様にしてやるとぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「く!良いから、イけ!」
前立腺を抉り、先端に爪を引っ掛けた。
「ひッ!!やぁああ!あっ!あーーッ!」
達した一護の締め付けで剣八も中に熱を注ぎ込んだ。
「くう!」
「うあ!熱い・・・!」
最後に呟くと意識を手放した一護。

気絶した一護を風呂に入れ、清めてやった。
「ん・・・」
湯船に入っていると一護が目を覚ました。
「目ぇ覚めたのか」
「あ!剣八!様!あ、痛・・・!」
「急に動くな」
「はい・・・」
顔を赤くしてこっちを見ようとしない一護。
「どうした?そんなに辛かったか?」
「ち、違ッ!あ、あの!恥ずかしくて・・・!」
両手で顔を覆ってしまった。
「何がだよ?すげぇ綺麗だったぜ?」
顔を隠したまま、いやいやと首を振る一護の手を掴み、こちらを向かせる。
「一護、すげぇ良かった。一護、一護、好きだ、一護・・・」
「剣八様、あぁ剣八様、俺も好きです。誰よりも、貴方が好きです」
「一護」
触れるだけの口付けの雨を一護の顔中に降らせた剣八。

新しい蒲団に二人で寝る。疲労困憊の一護はすぐに眠ったが剣八は一人、一護の髪を梳いていた。

翌日、起きれない一護はずっと剣八の家で休んでいた。
仕事に出た剣八は一日中、機嫌良く判子を押していた。

時折家の方を見ては一人にやにや笑っているのを見た弓親と一角が、
「アレは確実だねぇ」
「確実だな。大丈夫か?一護」
「大丈夫でしょ」
「なんで分かんだよ?」
「だって隊長が仕事に来てるんだもん、無事ってことでしょ」
「ああ、なるほど」
そんな会話をしていた。







11/08/09作 剣八と一護のお初の話しでした〜!長い!途中削っても良かったかな〜と思わなくもない。
ブラック卯ノ花さんが降臨しない事を祈って・・・!まぁ多分大丈夫でしょう。一護も幸せそうにしてる事でしょうから(笑)




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