題「捨て猫」序章
 ― 同じ形になりたくて・・・。同じ形になれば一緒に居られると思ったから・・・。そう願った・・・。

足りない頭で考えて、同じに形になれば、きっとずっと一緒で、離れるなんてないと思ってた。

それが負担になってるなんて思わなくて・・・。

 同じ形になれた事が嬉しかった。俺の頭を撫でてくれる大きな手と俺の手が同じ形で、俺の手を繋いでくれる。
足の形も同じになって身体も同じになった。

抱き合えば、ぴったり合わさって、気持ち良くて安心できた。

剣八の名前を呼べる事が嬉しかった。それだけで届かない思いなんか無いんだって思った。

・・・やっぱり俺はただの猫。

人間になんて・・なれやしなかった・・・。

ああ・・・、せめてここを出ていくから、イラナイモノは居なくなるから、幸せになって・・・。ね?剣八・・・。

好きと大好きは分かったけど・・・、愛してるって何か分からなかったな・・・。

お前が居なくて冷たくなってる蒲団も、違う種類のオンナの匂いをさせてるお前もどっちもキライ・・・。
けど、そうさせてるのは・・・、俺なんだよね・・・。

バイバイ、ココが好きだったよ。

バイバイ、あんたが好きだったよ。だから俺はココから消えなくちゃいけない・・・。


さようなら






09/10/03作 裏ページへ続きます。内容は、精神的に重いしキツイですよ。
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