題「月曜日の朝」 | |
月曜日〜金曜日まで一護は結構忙しい。朝から4人分の弁当や朝食の準備をしなければいけないからだ。 剣八も分かっているのか平日は手加減してくれるが金曜の夜から土曜の夜は手加減はしなくなる。 それでも足りないと非番の日は向こうに連れて行かれるのだが・・・。 早朝5時に起きて、お弁当と朝食の用意をしようを起きて身支度を整える。剣八は起きる気配がない。 「ったく、後でちゃんと起きろよ・・・」 顔を洗ってキッチンへと行く。 「ふわぁああ・・・、ねむ・・・」 カチャ、とキッチンの扉を開けると、 「よお」 と声を掛けられた。 「へ?な、なんで居るんだ?」 そこには、ノイトラとすまなさそうな顔をしたテスラが居た。 「別に、こんだけ朝早かったら、おっさんいんだろ」 「剣八か?居るけどさ・・、どうやって入ったんだ?」 「鍵開けた」 「・・・どうやって」 「ピッキング」 「犯罪だ、やめろ」 背中で溜め息を吐きながら、2つのお弁当箱とお重を出しておかずを作りだした。 4つの卵焼きとウィンナーで作った動物たちにから揚げ、ひじきの煮物とプチトマトなどを詰めていく。 「さてと、次は・・・」 ウルとグリのごはん入れにご飯を入れ、ふりかけを振っていく。 「んー、こんなもんかな。後は、と・・・」 お重におにぎりを作っては詰めていく。中身は梅と鮭だ。 「よし!完成!あとは朝メシだな」 「おっはよう!いっちー!」 やちるが起きてきた。 「おはよう、やちる。いつも一番乗りだな」 「うん!あれ?ノイノイとテッスんが居る。なんで?」 「さあ?朝来たらココに居たぞ」 「ふうん、また剣ちゃんと遊びに来たんだねー」 「だろうな、やちる、お兄ちゃんたち起こして来てくれるか?」 「良いよー!」 一護は手早く目玉焼きを焼いていった。付け合わせはカリカリのベーコンにポテトサラダ。 今日は7人分だ。 「あの・・・」 「んー?何」 「これは?」 「あんた等の分だよ。食ってけよ、もう食って来たのか?」 「いえ、まだですが、すいません・・・」 「あはは、ピッキングしといてご飯で謝んなよ。ちゃんと食えよ?」 ウルが起きてきた。 「おはようございます、お母さん。・・・また引き入れたんですか?」 「いんや、勝手に居た」 「叩き出しましょうか?」 「朝から騒がしいのは勘弁な、ほら、座れ」 「・・・はい」 ウルキオラは釈然としない顔でいつもの椅子に座る。 「いっちー!グリ兄起きないよー」 「しょうがねえな、あいつは」 「放っておけば?」 「遅刻すんじゃんよ」 とウルの頭をポンポン叩いて出て行く一護。 「毎日、こんななのかよ?」 「そうだ」 「そうだよー、剣ちゃんもグリ兄も早く起きればいいのにね」 「剣八、起きろ客来てんぞ」 「・・・客だぁ、誰だよ・・・」 「ノイトラとテスラ」 「すぐ行く・・・」 「後はグリか」 「グーリ!起きろ!もう朝だぞ!夜更かしすんなって言ってんだろ!」 「むー・・・、眠い・・・」 「ほーら、起きろ。今日は客が来てんだから」 「客・・・?」 「ノイトラとテスラだよ」 「・・・なっ!なんで!」 「知らねえよ、俺が起きてキッチンに行ったらもう居たし」 「あの野郎・・・」 「いいから起きろ。飯が冷めちまう。な?」 「ん・・・」 起きて一緒にキッチンに行くグリ。 「ほんとに居やがった。何しに来たんだよ?てめーら!」 「てめえは眼中にゃねえよ、安心しろや」 「朝から家ん中で喧嘩すんな、出入り禁止にするぞ」 「チッ!」 4人分のトーストを焼いて、自分と剣八、やちるのご飯をよそう。 「いただきます!」 「いっただっきまーす!」 「いただきます」 「いただきます」 「・・・」 「何やってんだよ?早く食えよ、遅刻すんぞ?」 「はあ」 コーヒーに口を付ける二人の珍客。 「あ、そうだ、お前ら弁当は?」 「持ってねーよ、そこらで買えば良いからな」 「はい」 「たく、ちょっと待ってろ!すぐ作る」 「お母さん!」 「なに?」 一護はキャベツの千切りと玉ねぎをスライサーで薄く切っていった。冷蔵庫からウィンナーを取り出すと斜めに切って炒め始めた。程よくあったまった所へさっきの野菜を入れてまた炒める。 しんなりしてきたら、塩コショウ・カレー粉で味付けしていった。 それをホット・ドッグ用のパンに挟んでいった。計6本。 「え〜と、これとサラダがあれば良いか」 「あー!ずっりぃ!それ俺も好きなやつ!」 と後ろからの抗議に一護は苦笑しつつ、まだ余ってる分を弁当箱に入れてやった。 「ほら、これで良いだろ?ウルも入れるぞ」 「はい」 「お前らよくそんなもん喰えるな」 と剣八が言った。 「剣八はカレー自体が駄目だもんな」 「鼻が馬鹿にならぁ」 「美味しいのにねぇ?」 「なー」 子供達のお弁当をナプキンに包んでいく。お重も風呂敷で包んでおいた。 「これ、お前らのな、足りなかったら、まぁ勝手になんか喰え」 と手渡されたそれはまだ温かかった。 「あ、あの、ありがとうございます・・・」 「いいよ」 「・・・サンキュ・・・」 「うん」 「で?今日はやんねえのかよ」 と剣八が食後のお茶を啜りながら訊いてきた。 「・・・今日はいい。気分じゃなくなった・・・」 「なんだそりゃ?まあいい、勝手に人んちに上がり込むんじゃねえよ・・・!」 「わあったよ」 「ほら、時間じゃねえの?用意しろよ」 「おう。一護」 「ん?ん!」 突然引き寄せられてキスされた。 「隙見せんじゃねえ・・・」 「む、分かってるよ・・・」 「ラッブラブ!」 「やちる!髪梳いてやるからこっち来い」 「はーい!」 「まったく・・・、心配症が・・・」 「それだけいっちーが好きなんだよ、剣ちゃんは」 「だけどさ・・・」 子供らの前では止めてほしい。 それじゃ牽制にならないから目の前でやっているのに気付かないのは一護だけ。 呼び鈴が鳴って一角達が迎えに来た。 「行ってくんぞ」 「行ってきまーす、いっちー!」 「行ってきます、お母さん」 「いってきやーす」 ノイトラとテスラは既に出ている。 「いってらっしゃい!」 いつもの笑顔で送り出す一護。 終 09/08/26作 第112作目です。ほのぼの。ノイトラ全然喋って無い! いつもの風景プラスお客さん。 |
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