題「看病」4
 京楽が帰った後は暫らく指名される事も無かった。
手の中のビー玉をころころ玩んでいた一護だった。

一方、京楽はこの事を剣八に言った方が良いのかも知れないと思った。記憶が無くとも二人は恋人同士なのだから、と。
「あら、京楽隊長ではありませんか。どうなされたのです?浮かないお顔で」
「ああ、卯ノ花さん。あのさ、剣八さんなんだけどねぇ、記憶がなくても恋人の貞操の危機は護るべきだよねぇ?」
「どういう事ですか?」
「うん、あのね」
と自分が紹介したバイト先の先輩に娼館を紹介されてそこで働いている一護の話をした。
「薬代?あれは更木隊長の給金から出ているのではなかったのですか?」
「どうやら、一護君が出してたみたいだね。代行の給金が底をついて、仕方なくってとこじゃないかな」
「それを更木隊長に?」
「うん、言った方が良いよねぇ?一護君自分のせいだってずっと責めてるんだよ」
「そうですね、私も聞きたい事があって今から行く所です。御一緒しましょう」
「うん」

十一番隊。
「隊長、卯ノ花隊長と京楽隊長が来てますよ」
「はあ?」
「今晩は、剣八さん」
「今晩は、更木隊長」
「おお・・・」
「早速ですがお聞きしたい事があります。更木隊長、貴方もう回復なさってますね?」
と怖い顔で言われた。
「なんだ、もうバレたのかよ。結構速かったな」
「何だって!それ本当かい!なんてこった!」
「んだよ・・・」
「どうしてそんな事したんだい!一護君が・・・」
「一護?一護がどうしたんだ」
「男娼館に身を売ったよ・・・」
「んだと・・・。なんでだよ!おい!京楽!」
「貴方の薬を買うお金を稼ぐためです・・・。私も先程聞かされました」
「一護!」
飛び出そうとする剣八に、
「お店、どこか知ってるの?」
「どこだ!くっそ!」
「ここ、紙に書いてるとこだよ。僕は今すぐ行って誰にも買われないようにしとくから。すぐ来てよ?」
と言うと瞬歩で消えた京楽隊長。
「お遊びが過ぎましたね・・・。更木隊長」
「うるせえ・・・」
寝巻きから着流しに着替えると、紙に書かれた場所へと急ぐ剣八。

京楽隊長が着いた時、既に一護は買われた後だった。
「一足遅かったか・・・!女将!その子を買いたいんだ!倍の値でも良いから!早く!」
「そう言われましてもねえ・・・」
といやらしい顔で笑うだけだった。
「じゃあ、3倍だ・・・。こっちが笑ってるうちに頷いた方がいいよ・・・」
と鋭い目と霊圧を出して言う。
「わ、分かりましたよ!こっちの部屋です・・・」
部屋の前まで案内させてから金を渡した。
スパン!と襖を開けると赤い襦袢だけになって押し倒されている一護が居た。
「きょ、らく、さ・・・」
驚いた顔で見上げる一護。
「君を買った。今から僕のだ・・・」
「なっ!失礼な奴だな!ルール違反だぞ!」
「あんたも命が惜しかったら帰った方がいいよ」
と冷え冷えとした視線を送ってやった。
男は着物を持ってすぐに出ていった。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
重い沈黙が流れた。
「あの・・・」
「なんだい・・・」
一護が京楽の着物の裾を割って手を忍ばせ、顔を近付けた。
「なっ!何やってるの!僕はそんなの期待した訳じゃないよ!」
「でも!これが俺の仕事だ、俺はもう大事な人を無くしたくないよ!お袋の時は何も出来なかったけど、今は違う。アイツを助ける事が出来るんだ、薬があれば助かるんだ!それには金が要るんです!」
「一護君・・・」
暫くして一階の方が騒がしくなった。馴染んだ霊圧を感じた京楽が、
「じゃ、僕ちょっと出てるね」
と部屋を出ていった。

下に降りると案の定、剣八が暴れていた。
「京楽!一護は無事か!」
「ん、まあ無事っちゃあ無事だったよ。間一髪?」
「部屋は?」
「こっちだよ」
と案内した。
スラリと開けられた襖を見て一護は絶句した。剣八が立っていたからだ。
「一護・・・」
「・・・なんで、剣八が・・・ここ、に・・・?」
「京楽に聞いた・・・。済まねぇ一護、お前に甘えちまった。もう俺は治ってる!だからこんなことしなくて良い!」
一護をきつく抱き締める剣八の言う事をどこか遠くで聞いてるような一護。
「・・・もう、遅いよ・・・、俺、他の男に抱かれちまったよ・・・、おそいよ・・・」
だらりと力の抜けた身体、その手からビー玉が転がり落ちて部屋の隅の壁に当たって止まった・・・。
「一護・・・?」
身を捩って剣八の腕から逃げだした一護。
「もう遅いよ!俺はもうお前を裏切ったんだ!もう、汚れたんだ!」
「一護」
名前を呼んで近付く剣八から逃げる一護。
「やだ、来ないで・・・、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
それでも狭い部屋の中、すぐ捕まった。
「いや!離してよ!」
「一護、そんなに俺が見たくなけりゃなんにも見えなくすりゃあ良い・・・」
「え・・・?」
一護の目に濃い色の帯で目隠しがされた。
「ちょっと、剣八!なんにも見えない・・ひっ!」
「ああ・・・、何も見なくていい・・・、俺の声を聞いて、俺を感じてろ・・・」
緋襦袢の胸元から手を入れ撫で回すとビクン、と跳ねる一護の身体。
「一護・・・」
耳のすぐそばで囁かれ直接鼓膜が震えるのを感じた一護。
「んん!」
いつもはこんなの感じなかったのに・・・。
「それでいい・・・、一護、一護、すまねえ・・・」

「ん、あ、ああ・・・、ひん!」
「一護・・・」
一護の身体を隈なく愛撫する剣八の手付きはこれまでになく優しかった。
「は、はぁん、け、剣八、キス、してくれないの?」
「一護・・・」
ちゅ、ちゅ、と軽いものから深いものへと変わっていく口付け。
「ん、くふぅん、ちゅう、んあ、ああ、剣八、名前を呼んでいい?お前に触っても良い?俺、汚れ・・んん!」
「好きなだけ呼べ、好きなだけ触れ!お前は何にも、どこも汚れちゃいねえ!」
「剣八、剣八ぃ!」
何も見えない闇の中で剣八の声だけを体温だけを探して縋った。

鋭敏になった感覚に翻弄される身体を持て余す一護。
剣八は、一護の指先から一本一本口に含み舐めていった。
「ひゃあん!何?あう!」
「一護、まだ触ってねえのにお前のココ、勃っちまったな・・・」
と呼気が掛るほど近くで囁かれ一護の中心からまた先走りが溢れる。
「ああ・・・剣八・・・」
キュ・・・っと軽く握られただけで声を上げる一護。
「ああっ!」
ぶるっぶるっと震える身体を愛おしく思いながらそれを舐めていく。
ぴちゅ、ぴちゅ、くちゅくちゅ、ちゅっちゅっと音を拾ってしまう一護の耳。
「も、う!イク・・・!」
「まだ駄目だ・・・」
と根元を押さえられる。その上で口に含まれ、丹念に口淫を施された。
「ああ!んああー!いや!いや!もうだめぇ!」
根元の指を外し、勢いよく吸ってやると同時に剣八の口内に吐き出した一護。
「あぁ・・・、あ、はあぁ・・・」
ゴクリ、と飲み込む音が聞こえて居た堪れない。
「ばかぁ・・・」
「気持ち良かったろうが」
「うう・・・」
「一護・・・」
ひたりと熱く湿った何かが一護の蕾に当てられ、丹念に皺の一本一本を数えるかの様に動かされた。
「や!やだぁ!舐めないでぇ!」
腰をひねって逃げようとする一護の腰を押さえつける。
「あ、あうう・・・」
くにゅ、と舌を入れた時、
「ん?一護、切れたのか?ここ・・・」
「ひ?な、なに?」
半分飛びかけている一護は何を言われてるのかも分からない。
「だからここ、慣らさずに入れられたのか?」
「あう!ゆ、指、いきなり・・・」
「ちっ!何処のどいつだ・・・」
「剣八・・・、も、良いから、きて・・・」
「・・・だめだ、また切れちまうかもしれねえだろ?」
「そんな・・・、はん!」
執拗にねぶられ一護の思考はふやけていった。
「ひっ、ひっ、お、お願いぃ、も、イッチャう・・・のぉ」
ひくんひくん、とヒクつく蕾と中心からは止めどなく先走りが溢れていた。
「イッちまえ・・・」
くにゅくにゅ、と舌と指で弄られ、また達してしまった一護。
「ああっあー!」
「入れるぞ・・・一護・・・」
こめかみにキスしてやりながら訊いてきた剣八。
「う、うん、早、く・・・」
空を掻くように伸ばされた手をしっかり握ってやり、首に回してやる剣八だった。


第5話に続く





09/08/06作 ついに剣八にバレてしまいました。京楽さん何気に良い仕事?ちなみに一護とは何もありませんよ。
仲直りエッチ。




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