題「新しい家族」4
 姫抱きされて寝室に行くまでに京楽の腕の中で暴れる白。
「離せ!この馬鹿!」
「暴れるんじゃないよ、落ちたらどうするの」
「お前がさっさと下ろしゃ良いんだよ!」
「駄目」
そうこうしているうちに寝室に着いてしまった。優しく蒲団の上に下ろすと、
「ねえ、どうしたの?この間から変だよ白」
「・・・うるせえ・・・」
「・・・白?最近僕の周りの人たちに攻撃的だったり、さっきみたいに七緒ちゃんに邪険したり・・・」
「うるさい!他の女の名前なんか聞きたくねえよッ!」
「・・・白・・・?」
白が京楽の胸倉を掴むと必死の顔で、
「なんで、お前は俺のなのに!違う女の匂いをさせてんだよ!お前は俺のじゃないのかよ!」
「白」
「やらない・・・誰にもやらねえ、七緒にも!誰にも渡さねえ!」
「・・・白、落ち着いて、僕は君のだよ。どこにも行かないから、傍に居るから安心して?」
「ホントか・・・?」
「うん。さ、落ち着いたかい?」
「ん・・・。今日は?」
「うん?もちろん。たくさん愛し合おうね」
と口付けしようとすると、
「やだ・・、風呂入ってこいよ・・・酒と女の匂いしてる・・・」
と押しのけた。
「うん、すぐだからね!」
と大急ぎで風呂に行き、髪から全身を洗い、全ての匂いを落とした。
「お待たせ!白」
まだ湿っている髪と湯気の上がる身体で白を抱きしめる。
「ん・・・」
白い腕を京楽の首に回し口付けを強請る白。
「ん、ふぁ・・・ん、ん」
ちゅ、と離れると首筋に顔を埋めてチリッときつく吸いつき跡を残した。
「あ、ん!春水・・・春水の匂いだ・・・」
と囁いて身を任せていった。

翌朝。
「う〜ん、頭痛い・・・」
「二日酔いか?」
「そうみたい・・・、うえ、気持ち悪い。ごめんね、朝は出来そうにないよ・・・」
と申し訳なさそうに言うと、
「無理すんなよ、ちょっと待ってろ」
と部屋から出ていった白。
「?ドコ行ったのかな?」
台所の方から、ガチャガチャと音が響いて来た。
「まさか・・・、白?」
と出て行こうとしたが、既に白が障子の前に立っていた。
「春水、ここ開けろ」
「あ、うん」
言われた通りに開けると、中くらいの土鍋と茶碗にレンゲを乗せた盆を持って白が立っていた。
「食え」
と差し出されたのはいつか一護に教わった大根雑炊。
「き、君が作ってくれたのかい!?」
「俺以外に今いねえだろ」
と茶碗に掬いながら、呆れて言う。
「何ニヤニヤしてんだよ」
「あ、あのさ、僕ちょっとだるいから、その・・・」
「なんだよ、要らねえのか?」
「や、その!白、食べさせてくれる、かい?」
とお願いして来た。
「・・・ああ・・・」
「やった!あ〜ん」
「熱いぞ?」
「じゃ、フーフーして冷まして♪」
「今日だけだからな!」
「うん!」
赤くなりながらもふう、ふう、と息を掛け冷ました雑炊を一口ずつ食わせていく白。
「美味しいねえ、白お料理上手になったね」
「そうか?」
「うん、なんだかさっぱりして来たよ」
とにこにこ笑って伸びをした。
「仕事か?」
「うん、今日はいつも通りだからね!」
「ああ」
そう言って上機嫌で仕事に行く京楽。土鍋には何も残らなかった。
「昼にでも、弁当買って行くか・・・」
と朝月と一緒に3人で食べようと思った白。

八番隊隊舎。
「ご機嫌ですね、隊長」
「おはよう七緒ちゃん、まあね〜」
「白さんは大丈夫でしたか?」
「うん」
「そうですか」
と仕事をこなしていく二人。
そしていつの間にかお昼時になっていた。
「もうお昼かい、早いねぇ」
「京楽隊長!奥さまがいらっしゃいましたが・・・」
と隊士に言われた。
「へ?」
「おう」
「とと様!」
「白!朝月も!どうしたの?」
「飯、ここで食おうかと思って・・・」
「やあ、嬉しいな。お上がんなさい」
と隊首室のソファに座るように進めた。
「お弁当かい?」
「ああ、どっかで買おうかと思ったんだけどよ、お手伝いさんが作ってくれた」
「へえ、楽しみだねぇ」
そこへお茶を持って七緒が現れた。
「お茶です。ゆっくりして行ってくださいね、白さん」
「ん、ああ・・・」
全員が気を利かせて出ていった。
和気あいあいと昼食は進んだ。
「白、もうそろそろ卯ノ花さんに診てもらおうね」
「うん?ああ、検診か」
「うん」

時間が来て帰ろうとした白と朝月。
「あらぁ、白じゃないの!どう?調子の方は」
乱菊が現れた。
「ああ、まあまあだよ・・・」
「お腹も結構大きくなってきたのね、楽しみだわ。ね、朝月」
「うん!」
「乱菊さん、どうしたんですか?」
「七緒、別に?白が来てるみたいだったから」
「お昼を御一緒に食べていた様ですよ。隊長、余り無理はさせない方が良いですよ」
「うん」
「昨日も飲み過ぎです。総隊長や他の方から勧められたとはいえ・・・」
「帰る・・」
と少し低い声で呟く白。
「え?おひとりで大丈夫ですか?」
「うるせえな二人で来たんだからいけんだろ・・・朝月帰るぞ!」
「はい!」
見るからに不機嫌な白に額を押さえる京楽と心当たりがある乱菊。
「七緒、言い過ぎたわね・・・」
「え・・?何ですか?」
無言のまま帰っていく白を見送る。
「自分の旦那があんな言われ方したら良い気分じゃないってコトよ。特にあの子も一人が長かったでしょ?」
と乱菊。
「あ・・・!」
「しょうがないよ、僕も悪いからね」
「すいません・・・」

「かか様?」
「ん?朝月遊んで来いよ」
「でも・・・、かか様も行こ?一護にぃのとこ」
「ああ・・・」
と十一番隊へ向かう二人。
「にぃに!朝月も!十六夜ー、朝月が来たよー」
「はーい!朝月遊ぼ!」
「行って来い」
「うん」
子供が居なくなると縁側に勧められた座布団に座る白。
「どうしたの?にぃに。元気ないね」
「あのよ、一護聞きてえんだけどよ・・・」
「うん」
と先程あったことや最近の自分を一護に説明した。
「なあ一護、コレっておかしいのか?俺アイツになんて言ったらいい?今の俺は変だから話掛けるなって言っても傷つけちまいそうだし・・・」
と俯いてしまう白に一護は、
「にぃに、それってヤキモチって言うんだよ。ちゃんと京楽さんとお話した方が良いよ」
「ヤキモチ・・・?なんだそれ?」
「う〜んとね、好きな人が自分以外の人と仲良くしたりするともやもやする気持ちとか、そんな感じかな?」
「う・・・」
夕方になり家に帰る白と朝月。
「ん?春水帰ってるのか・・・」
「お帰り、どこ行ってたの?」
「一護んトコ・・・」
「そう、さ、早く手洗いうがいしなさい」
「は〜い」
「ん」
大人しく夕飯も終え、朝月も寝かしつけ蒲団に入ると京楽が話し掛けて来た。
「今日はどうしたの?なんだかおかしかったよ?」
「だって!なんか変だ俺!」
「何がだい?」
「だって・・、アイツ自分の方がお前のコト分かってるみたいな話し方だし・・・、それで・・・」
「それって七緒ちゃんにだけかい?」
「・・・違う・・・、浮竹とかにも・・・。それがやだ・・・、お前は俺のなのに!俺にはお前だけなのに!」
泣きそうに顔を歪めながら言い募る白に京楽は、
「白、それはね、嫉妬っていうんだよ。ああ、可愛いなぁ」
「しっと・・・?一護はヤキモチって言ったぞ」
「同じだよ、君は僕を一人占めしたいんだよ」
と優しく言うと、
「・・・んだよ、お前はどうなんだよ!」
「そんな当たり前の事聞かないでよ。言ったでしょ?誰にも見せたくないって」
「うう、馬鹿春水!俺は怖かったんだぞ!」
ぎゅうっと抱き付く白を優しく押し倒すと、
「なんだか我慢出来ないよ・・・白」
「う・・・、きょ、今日は朝してないし・・・好きにしろよ!」
「分かった。でも赤ちゃんが傷つかない様にするからね・・・」
とちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスをしながら囁いた。


第5話へ続く



10/04/03作  次はエッチのターン!濃厚にしたいんですが、どうなりますやら。




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