題「子猫、子供になる」お着替えver | |
風呂上がり、一護にパンツを穿かせて縁側で涼んでいると松本達が来た。 「あらー、一護可愛い格好してるわね。かぼちゃパンツじゃないの」 「褌じゃ腹が冷えるとか言って卯ノ花が持ってきたんだよ」 と着流しの剣八が説明する。牛乳をンクンク飲みながら尻尾を振る一護。 「そう良かったわね〜、一護」 「う?」 と見上げてくる。うちわで煽られて気持ちよさそうだ。 「尻尾はどうなってるんですかぁ?」 「あん?見りゃいいじゃねえか」 と一護をくるりと後ろ向きにする。ボタンを外すとすぐ脱げるように縫い直されていた。 「もしかして、貰ったヤツ全部ですか?」 「おう」 もこもこのかぼちゃパンツを穿いてこちらを振り向き見上げてくる一護はとても可愛かった。 「くちゃん!」 と、これまた可愛いくしゃみをしたので剣八が浴衣を着せた。 「う〜、むぅん・・・」 「あら、おねむ?一護」 「みゃう」 もぞもぞと剣八の懐に潜り込んで丸くなって昼寝を始めた。 「うみゅ・・・、くぁ・・・」 「可愛いわぁ〜」 剣八は黙って扇いでいる。 「更木隊長、明日一護と遊んでもいいですか?」 「別に構わねえよ」 と返事を貰い、ウキウキと帰っていく乱菊達。 翌日、朝食の後の昼寝を済ませた一護の元に乱菊達が現れ、 「じゃ一護、一緒に遊びましょ」 「みー」 手を繋いで出掛ける一護。 「あれ、一護君出掛けたんですか?」 「あー、松本が連れてった」 「はぁ、そうですか」 一方、一護は乱菊に連れられて秘密基地にやって来ていた。 「みゅう?」 「うふふ、今日はね、一護。可愛い格好に着替えましょ」 「みいー?」 「心配しなくてもいいのよ、痛くもないしね?」 と言いながら、いそいそと洋服を取り出していた。 それは女の子の着るワンピースだった。 「パンツは今日はこれを穿いてくれるかしら?」 と出して来たのは、大きなイチゴの絵とフリルの付いたカボチャパンツだった。 特に嫌がる風でもなく、着替えていく一護だが尻尾の所でつまづいた。 「う〜、むぅん」 ぷん、ぷん、と尻尾を振って怒っているようにも見える。 「ああ、ほらあたしがやってあげるから・・・、はい、出来た!」 ちょっとお尻を突き出し、確かめる一護。 「かーわーいーいー!」 「みゅ」 青と水色のチェック柄のワンピースを着た一護。チラチラと裾からはパンツが見え隠れしていた。 「後は、髪飾り!コレを・・・、ここに、っと」 緑色のリボンが付いた髪留めで、こめかみの所の髪を纏めてもらった一護。 「ハイ、これはあたし達からのプレゼントよ」 とウサギのぬいぐるみを渡された。気に入ったようでキュッと抱き締めて離さなくなった。 「さ、後は靴下と靴を履いてみんなに見せに行きましょ?」 「うみゃ?」 「卯ノ花隊長や、朽木隊長よ」 「みい!」 靴下と靴を履かせてもらい、尻尾を左右に振る一護。 「ふふ、可愛いわね。プレゼントは気に入ってもらえたようで嬉しいわ」 「みい!」 右手を乱菊に握ってもらい、左手にウサギの腕を握って歩いて六番隊まで行った。 「んみゃーう!」 「む?」 「あれ?今日は乱菊さんも居るっすね」 ギイ、と扉を開けると中に入って白哉と恋次に今日の格好を見せる。 「一護?なんだそのカッコ?」 「松本か・・・」 「ふみゅ?」 似合わない?と言いたげに小首を傾げて、人差し指を唇に持っていった。 「うっ!」 「いいや、良く似合っておるぞ。こちらへおいで」 「みぃ!」 膝に乗ると、白哉が引き出しからお菓子を出してきた。 「さ、好物であろう?」 「みい!みゃくあ、みゃあう!」 「礼か?子供は気を使うものではない」 「み〜?」 もぐもぐとお菓子を食べ終えると、ぴょん!と膝から下りて扉に向かった。 走るたびにもこもこのパンツと尻尾が見えて二人は思わず笑ってしまった。 「みぃ!」 と挨拶して帰っていった。 「はぁ、可愛かったっすね」 「そうだな・・・」 「みい!らんにゃう!」 「お帰り、一護。朽木隊長は喜んでくれた?」 「みい!」 「そう、良かったわね!次は卯ノ花隊長の所に行きましょうか」 「みい!」 四番隊。 「んみゃーう!」 「あら、一護君、今日は可愛らしい格好ですこと」 「みぃ、まあー」 たたた、と走っていく一護。 「いらっしゃい、まぁ、可愛いぬいぐるみも一緒ですのね」 「みい、まあー、みゅう」 すりすりと顔を擦り寄せる一護。 「ふふふ、一護君今休憩中なんですよ。一緒に甘味処に行きませんか?乱菊さんもご一緒に」 「みい!」 という訳で3人で、甘味処へと行った。 「いやー、何か悪いですね、あたしまでご一緒しちゃって」 「構いませんよ、ね?一護君」 「みあ!」 卯ノ花隊長の膝の上でパフェを食べている一護。口の周りはベトベトだ。 「あらあら、一護君こっち向いて下さいな」 「んん?みゅうん」 手拭いで口の周りを拭いてくれた。 「みゃあう」 にっこり笑ってお礼を言う一護。 「良い子ですね、一護君は」 ぱくぱくと最後のフレークを食べている。けぷっと満足そうにお腹を撫でると、卯ノ花隊長の胸に頬ずりして欠伸をした。 「くあぁ・・・、むにゅ・・・」 「おねむの様ですね。更木隊長の所に帰りますか?」 「みい・・・」 こっくりこっくりと船を漕いでいる。 「さ、一護君、新しいお友達を忘れてはいけませんよ?」 「みゅう・・・」 きゅう、と抱き締めながら眠ってしまった一護。 外の出ると乱菊が、 「すいません、写真撮ってもいいですか?」 「ええ」 と快諾し何枚か撮った。 一緒に十一番隊まで一護を送り届けた。 剣八は一護の格好を見て一言。 「なんだこりゃあ?」 「可愛くないですか?みんなには概ね好評でしたけど」 「どうでもいい・・・」 「ん?みぃ、剣にゃん・・・」 両手を伸ばして甘える一護。 無言で抱き上げる剣八。 「あ、そうだ。写真何枚か撮りましたんで。明日にでも持ってきますねー」 というと帰って行った乱菊。 「何考えてんだ?」 「みゅう、みぃあ?」 小首を傾げて見上げてくる一護に、 「あー、似合ってんよ」 とぽんぽん頭を撫でてあやしてやった。 「み!」 ご満悦な一護はウサギのぬいぐるみと昼寝した。 次の日、乱菊が昨日の一護の写真を持ってやってきた。 「可愛いでしょ?もっと着替えさせたかったんですけどねー」 と言っている。その中に、白哉に貰った襟巻を首に大きなリボン結びにしている一護の写真があった。 ちょこんと座って髪には緑のリボンが付いていた。 「あ、それ気に入りました?差し上げますよー」 と言って帰っていった。 後日、他の写真は女性死神協会のメンバーによって売り出され、結構な売上を記録したそうである。 終 09/05/21作 第90作目です。白哉と、卯ノ花隊長はちゃんと全種類買ってます。愛されまくりチビ一護。 |
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