題「小さな隊長・番外編」 | |
隊長がまた子供になった。原因は副隊長だ。面白半分に薬を飲ませたらしい。 朝、時間になっても起きて来ないから僕が起こしに行くと蒲団の上で座っていた。 「ん?弓親か、一護は?」 と開口一番聞いてきた。 「えっと、今は居ません・・・」 と言うと途端に不機嫌になった。一護君大丈夫かな? 隊長は起き上がると部屋を出て隊舎中を見て回った。道場も、それこそ厠も・・・。 「一角!なんで一護が居ねえんだ!」 「何でって、現世に帰ったからですよ。週末には来ますよ」 「しゅうまつ?いつだそれ」 「え〜と、今日が水曜だから3日後くらいですかね」 「3日・・・?」 眉間の皺がまた深くなった。 「と、取り敢えず、ご飯食べましょ?腹が減っては戦は出来ぬって言いますし、大丈夫ですよ一護君は絶対に来ますから」 「ちっ、なんでそんなこと分かんだよ」 「だって、君が居るからね」 そう言うと幾分落ち着いてきたようで、朝食に手を付けてくれた。ああ、早く来て、一護君・・・! 「はっくしょん!っあ〜、風邪か?まあいいや、さっさと行こ」 週末、一護が瀞霊廷に訪れた。一番隊で報告を済ませ、廊下を歩いていると雀部に声を掛けられた。 「黒崎殿、大丈夫ですか?」 「何がですか?」 「ああ、まだ会ってないんですね、まあ、気を付けて下さい」 「? はあ・・・」 そんな会話をしていると黒い塊に体当たりされた。 「一護ーっ!」 「ぐっ!」 その衝撃で廊下に倒れた俺は、上に乗っかってるやつを見て驚愕した。 「剣八・・・?」 「どこ行ってた!起きたらお前居なくなってるし!帰ったって、何処に帰ってたんだ、一護!」 俺の上に乗っかって捲し立てるのは、俺と同じくらいの歳格好になった剣八だった。でも覚えているのはこないだの記憶みたいだ。 「えと、ごめん。俺んちここには無いから、週末だけここに来てんだ。取り敢えず隊舎に帰ろうぜ」 「ああ・・・」 起き上がった剣八は、もう既に俺より頭一つ分デカかった。 「一護が縮んだ・・・?」 「違う、お前が大きくなったんだよ」 「ふうん・・・」 もう既に、左目には傷があった。歩く道すがら、 「・・・痛くねえの?それ」 「ん、ああ、全然」 「そか」 隊舎に着いた。 隊首室に行くと弓親がお茶を出してくれた。 「どうなってんだ?」 「副隊長がさ、また子供の隊長に逢いたいって言い出して薬飲ませたらしいんだけど、量の問題でこうなったみたいだよ」 「あっそ、お前らも大変だなぁ・・・」 「まあね、で、どうしよう?」 「何が?」 「鈍いね、この3日の間ずーっと君の事探してたよ、隊長。絶対放さないと思うよ」 「それは、帰れないってことか?」 「恐らくは・・・」 現世ではもう、春休みに入ってはいるが大丈夫だろうか? 「聞くけど解毒剤は?」 「あるけど、副隊長が隠しちゃって。十二番隊隊長は同じものを作るのは嫌だとかで作ってくれないんだ・・・」 心労が滲む顔で言われてしまった。そして、 「勝手なこと言うようで心苦しいんだけど、一護君。此処に居る間の隊長のお世話頼めるかい?」 「しょうがねえよ、俺に出来ることで良いならするから、ちゃんと休めよ」 「ありがとう!一護君!」 隊首室を出て、剣八の部屋に行く。 「剣八ー、入るぞ〜」 からりと障子を開けるが誰も居ない。 「あれ?どっか遊びに行ったのか?」 今度は自分の部屋に行った。からりと障子を開けるとそこには剣八が寝ていた。 「わっ、ここに居たのかよ、昼寝か・・・ガキでも大人でもやること変わんねえな」 傍に行き顔を覗き込む。髪を撫でて、 「風邪ひくぞ」 とそこにあったシーツを掛けてやった。 「ん、む」 少し身じろいだが起きた様子はない。一護はその少し後ろで本を読み始めた。 ふと、視線を感じて剣八の方を見るとジッとこっちを見つめていた。 「起きたのか?お茶でも淹れてこようか?」 「・・・」 「ん?どうした」 傍に近寄り髪を撫でるとその腕を掴まれた。 「痛った・・・、剣八?」 「一護は俺のだ、俺は一護の特別だ」 「そうだよ」 「じゃあなんで!居なくなったりしたんだよ!」 起き上がり一護を抱き締め腕の中に閉じ込めた。 「剣八・・・」 「この髪も、その目も全部俺のだ・・・。誰にも渡さねぇ・・・、どこにも行かせねぇ・・・」 ぎゅう、と抱き締める腕に力を込めた。 「うあ・・・、苦し、剣、八」 息を詰める一護の耳元で、 「はあ、一護、一護・・・」 と呟きながら顔を擦り付けてきた。まるで猫のようだ・・・と思った一護は、同時に自分の不在がこんなにも不安にさせたのだと気付いた。 「剣八、風呂、入るか・・・?」 「ああ・・・」 漸く離れると一護の髪を撫でた。 二人で着替えを持って風呂場へと向かった。剣八が、 「弓親、風呂に誰も来させんなよ」 「はい」 返事をした弓親は、一護の部屋に蒲団を敷きに消えた。 脱衣所で一護が脱いでいると、マジマジと見てくるので、 「何やってんだ?早く脱げよ」 と促した。 「あ、ああ・・・」 返事をして脱ぎ出した。 浴室で髪と身体を洗い終わり、湯船に行こうと顔をあげると今まで待っていた剣八が一緒に入ってきた。 「ふう〜・・・、髪伸びたなぁ、剣八」 「そうか?切るか?」 「勿体ねえよ、綺麗な髪なのに」 ついっと摘んでみた。 「一護っ!」 「んっ・・・」 急に抱き寄せられて口付けられた。 「あ、何だよ、急に」 「一護、俺がお前をどうしたいか知ってるか?」 「え・・・?」 「このあいだ、俺の爪切った時からずっとこうしたかったんだぜ?」 「剣八・・・?」 「一護、この跡は誰に付けられたんだ?」 と肩口に舌を這わせた。 「あっ!な、何?」 見てみると、薄らと歯型が残っていた。 「こ、これはお前が!」 「その前にもう付いてただろ?あれは?誰だ?」 どう言えば良いのだろう?同一人物なのに、今は若返って記憶も違う。 「なあ?一護?」 意を決した一護は真っ直ぐ剣八を見据え、 「お前だよ」 「はぁ?何言って・・・」 「良く聞け、今のお前はやちるに薬を飲ませられて若返ってるんだ。で、若返る前のお前と俺はそう言う事をする間柄なんだよ」 「それって、恋人ってことか?」 「多分な」 「多分ってなんだよ」 「だってお前言ってくんねえもん、俺はお前が好きだから良いけどさ・・・、ちょっと怖い時もあるよ・・・」 「怖い?何が・・・」 「いつか、違う誰かのトコに行くかも知れない。やっぱり女の人が良いって綺麗な女の人のトコに行くかも・・・ん」 「ねえよ、そんなことありえねぇ、んな泣きそうな顔すんな・・・」 抱き締めて言い聞かせる。 「ほんと・・・に?」 「ああ・・・」 「良かった・・・」 深く口付け合うと一護の中心に手を伸ばす剣八。 「あっ!やっん!」 「ヤじゃねぇ、今の俺とは嫌なのか?」 「違っ!あんっ!」 「昔の俺も今の俺も同じだ・・・、安心して抱かれろ」 「せ、せめて蒲団の上でしてくれ・・・!」 精一杯の虚勢を張る一護。仕方なく一護の部屋へと連れていく剣八。 部屋には弓親によって蒲団が敷かれ、水差しも置かれていた。 「用意周到だな、おい」 「ほんとにな・・・」 「一護・・・」 「ん・・・?」 後ろから抱き締められ少し驚いた。 「俺とお前が恋人同士なのは分かったけどよ、今の俺はお前を抱いたことねぇんだ・・・、どうすりゃいい・・?」 「どうって!どうって、す、好きにすりゃ良いじゃねえか!」 「好きに?どうやってお前ん中入るんだ?」 「そんなことは分かるんだな」 「本能だろ・・・、なあ教えろ」 「ん〜、じゃあ、俺がいつもやられてることお前にやるから、覚えろよ」 「あ、ああ、分かった」 「よし、えっといつもは・・・」 と言いながら口付けし、お互いの舌を絡めた。 「ん、んん、ふぅ、あ、剣八・・・」 「一護・・・」 はぁ、はぁ、と息も荒くお互いの着ている物を脱がせていく。 一護は、剣八の首筋に吸い付き跡を付けた。赤く咲く所有の印に満足気に笑う一護。 鎖骨まで舌を這わせ軽く甘噛みし、胸にも跡を散らす。胸の飾りを口にすれば、 「くすぐってぇ」 と身を捩るのは、大人の時も同じだ。 ゆるゆると一護が剣八の中心に手を伸ばすと、そこはもう既に硬くなっていた。 「あっ・・・」 と言って赤くなる一護。その様子を可愛いなと思い見ていると一護がソコに口付けて舌を這わせてきた。 「おいコラ!何やってんだ!」 「何って、お前がいつも俺にやってくれることだよ」 そう言ってちゅっと音を立てて先端に吸い付いた。 「んなこと言ってもよ・・・!」 「気持ち良いか?剣八?」 「くっ!ああ・・・」 「よかった・・・、俺はお前以外にはやったことないから、上手くならねぇんだ・・・」 一護も自分が気持ち良いと感じた所を重点的にやった。 「くうっ!あ・・・」 「んっ・・・!」 堪らず吐精した剣八が慌てて、 「ワリィ、顔に・・・!」 「ん・・・、良いよおまえのだもん」 ぺろりと舐めてそう言った。一護は顔に付いた名残を掻き集めて指に乗せると、自分で蕾を解していった。 「う、ん、あ、はあ!」 「一護・・・」 「あっ!あ、ああっ!ふっ、くう、剣八ぃ・・・!」 「一護!」 剣八はその媚態に堪らず一護の胸の飾りにむしゃぶり付いた。 「あぁんっ!や、やあ、あ、あ!」 「一護、一護!」 カリッと歯を立てれば身体を震わせ達してしまった一護。 「うあぁん!あ、あ・・・」 ヒクつくソコから指を抜くと、既に回復している剣八を跨ぐと自分から招き入れた。 「ん!は、あ!ああっ!んん!」 「くっ!熱い、一護、中、熱い・・・」 「ひっ、く、お前も、あ、ん、熱い・・・!」 剣八の首に腕を絡めて一護が動く。ギリギリまで抜くと自分の体重で奥まで貫いた。 「いあぁん!あ、ああ、ああっ!あっ!ああっ!」 それを何度も繰り返した。 「一護・・・っ!気持ち良いのか?」 「う、ん、うん、善い!気持ち良い!」 コリッと中のしこりが擦られると、 「ひぃっあ!ああっ!ひっ、ひぃ!んっ!ああっ!」 一際声が上がった。キュウゥと締め付けられると、 「んああ!ああっあーーっ!」 一護がイッて一拍遅れて剣八が達した。 「くぅぅ!」 「んん・・・あつい・・・」 「一護、もっとしてぇ・・・」 「んく、じゃあ次はお前動けよ・・・」 「ああ・・・」 一護を優しく押し倒すと、ゆるゆると動きだした。 「ああ・・・、ん、ゃっ、変な感じ、だ・・・」 「一護、一護・・・」 段々と激しくなる動きに、一護も喘ぎ出す。 「ああっ!剣八!奥!奥に来て!」 「一護・・・!」 「ああ・・・!剣八ぃ!」 「く、あ、一護・・・!」 がくがくと震えて達する一護に剣八が覆いかぶさって抱き締めながら達した。 「一護・・・」 名前を呼びながら髪を梳くと、 「ふふふ、けん、ぱち・・・」 と返ってきた。 「一護・・・?」 覗き込むと、とろん、とした目でこちらを見ていた。 「ねぇ、剣八は俺のこと好き?」 「ああ、好きだ」 「嬉しいな、もっと言って?」 「好きだ、一護」 「俺も剣八が好き・・・」 もっと言って欲しい・・・。でも元の姿に戻ったら忘れてるんだ・・・。いつも俺しか言わない言葉。今は剣八から言われてる。 いつもの剣八にも言われたい・・・。 「ふふふ、嬉しいな・・・、ふふふ・・・」 「一護?」 「もうお終い?」 「まだやる」 「・・じゃあさ、もっと好きって言って・・・?」 お願い・・・。聞かせて・・・。 「一護、好きだ・・・」 「あぅ・・・」 ピクンと揺れる身体を反転させて、後ろから覆い被さった。 「ああっ、ん・・・」 「一護、一護・・・」 耳元で囁きながら、奥を貫く。 「ああっ!剣八、好きだよ、大好き・・・!」 「一護!ああ、俺もお前が好きだ・・・!」 「ああ・・・!嬉しい・・・!ああっ!もうイクッ!んんっ!ああっ!あっあーー!」 「うっ!くう!」 二人同時に果て、気絶した一護とその隣りで眠る剣八。 「んん・・・?あん?一護、何だその格好・・・」 「ん、あ・・・、剣八・・・?」 目覚めた一護が見たモノは元に戻った剣八だった。 「おい、どういう状態だ?こりゃ・・・?」 少し怒気を孕んだ声で聞かれた一護は素直に、 「若返ったお前と寝た」 と告げた。 「・・・ふうん・・・、で、何で俺は若くなったんだ?」 「やちるが薬飲ませたから」 「ほう、なんでお前は若い俺と寝た?」 「なんでって、シタいって言われたから、後お前だからいいかなって・・・」 「ふうん、よかったか?」 「え?なに?」 「若い俺は善くしてくれたのか?一護」 「そうだな・・・、よくわかんねぇけど一つだけ良かったよ・・・」 「言え・・・!」 「言わない」 「なんでだよ」 「良いだろ、別に。風呂入んぞ」 グイッと腕を引かれて蒲団に舞い戻る一護。 「なにすんだよ」 「言えって言ってんだよ、俺は」 「やだ、言わない!」 「一護!」 ビクッと身体を竦める一護。 「他の奴と寝るんじゃねえよ・・・」 「他の奴じゃない、剣八だもん・・・」 「俺に記憶はねえ!別人だ!」 ああ、やっぱり覚えてないんだ・・・。 「何泣いてやがる・・・」 「好きって・・・、言ってくれた」 「あん?」 「あいつは、俺に好きって言ってくれた、お前からは言ってもらえなかった。それが良かった事だよ・・・」 「一護・・・!」 剣八は一護の顎を掴むと口付けした。 「ん、んん、ふうん、くは!」 「言って欲しいなら何で言わねえんだ・・・」 「強制して言ってもらったって嬉しくない・・・」 「だからってな、てめえの恋人がよその男に寝取られるなんざ・・・」 「だから、お前だって。お前以外に抱かれて良い訳あるか」 「一護」 「浮気じゃねーぞ」 「一護、一護・・・」 「何だよ!」 「愛してる・・・」 「あ、な、に、急に!」 「抱かせろ、全部消してやる」 「わっ!馬鹿!腰痛えよ!」 「明日一日中寝てろ・・・」 「不意打ちなんて卑怯だ・・・」 「ふん、好きなんて生温いんだよ、覚悟しろよ、一護・・・」 翌日、剣八にお説教されるやちるが見られましたとさ。 終 09/03/15作 第77作目です。この後一晩中泣かされます。頑張れ!一護! |
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