題「ホワイトデー」
 いつも週末は定期報告の日だけど、その日は少し意味が違っていた。
3月14日。現世で言うところのホワイトデーだ。一護は期待半分、知らないだろうなという諦め半分。

いつもの様に報告を終え十一番隊に顔を出す。隊首室に行くと剣八が居ない。
「あれ?剣八は?」
「あぁうん、ちょっと出かけてるんだ」
と弓親が教えてくれた。
「へえ、珍しいな、一角稽古に付き合ってくれよ」
「良いけどよ・・・」
一角に稽古をつけてもらう。その内お昼になったので飯でも食うかとなった。

「でも一角も弓親も居るのに剣八だけ居ないっておかしな感じだな、じいちゃんに説教でももらってんのか?」
「そういう訳じゃねえよ」
二人で隊首室に戻ると剣八が居た。
「よお、帰ってたのか剣八」
「ああ、稽古か?一護」
「ああ、これから昼飯に行こうと思ってさ、剣八は?どうする」
「・・・。そうだな、行くか」
「そっか!」
嬉しそうに笑う一護。
一護はこれで、剣八がホワイトデーを知らなくても良いや、と思った。一緒にお昼を食べるだけでも御の字だ。
「いつもの食堂か?何食おうかな」
「何でも喰えよ、奢ってやる」
「ホントか!ヤリィ!」
こんな事で喜ぶところは子供なんだな、と剣八は考えながら口の端だけで笑った。

食堂。
「え〜と、何にしようかな?剣八は何にするんだ?」
「日替わりでいい」
「じゃあ、俺もそれにするかな」
本日の日替わりの内容は、鶏のから揚げ・味噌汁・サラダ・切干大根の煮物。
「結構、品数あんのな」
「そうか?普通だろ」
食べながら、最近現世では虚が増えてる気がするが、こちらはどうなのかと聞いてみた。
「そうだな、こっちも増えてんじゃねえか?討伐増えてるしな」
「ふ〜ん・・・」
その顔が曇ったのに気付いた剣八は、
「大したモンは出てねえさ」
「油断、すんなよ?」
「言うな?俺は更木剣八だぜ?負けるかよ」
「そ、うだな、そうだよな」
話している内に食べ終わり隊舎に帰る二人。
「そういや今日はやちるは?見てねえんだけど?」
「ああ、女どもと遊んでんだろ、なんか言ってたな」
「なら安心だな」
あれもお前よりは年上で強えんだぞ、と思ったが飲み込んだ。代わりに頭をくしゃくしゃと撫でてやった。

「あ、お帰りなさい、隊長、一護君」
「おう」
「ただいま、弓親」
「弓親、茶ぁ淹れて俺の部屋に持ってこい」
「はい、分かりました」
「一護、部屋まで来い」
「へ?ああ」
素直に付いていく。
部屋に着いてしばらくすると弓親がお茶を持ってやってきた。
「失礼します。お茶をお持ちしました」
「おう」
お茶を置くと弓親は、
「じゃあ、僕達は仕事してますんで、一護君ごゆっくり」
と微笑んで出て行った。
「へ?ああ」
余計なことをと内心舌打ちしながらも茶を啜った。
「なあ、仕事しなくていいのか?邪魔なら俺帰っけど?」
「阿呆か、アイツ等は自分の仕事に戻っただけだ、変な気回してんじゃねえよ」
「そうか?なら良いけど。で、何か用なのか?部屋に呼んで」
「ああ、ほれ」
ポスン、と大きな袋を投げて寄こされた。御丁寧に大きなリボンまで付いている。
「なんだ?これ。でっけえリボンだな」
「こないだの返礼だ」
「こないだ?返礼?」
「鈍いな、ちょこ貰っただろ」
「あっ!ホワイトデーの!」
途端に赤くなる一護。
「開けろよ」
「う、うん・・・」
ガサガサと袋を開けて中を見るとお菓子がぎっしり詰まっていた。
「コレって・・・」
クッキー、マシュマロ、キャンディーが詰まっていた。
「何かよく分かんねえがそう言うモンやるんだろ?聞いても答えがマチマチでよ、どうせだから全部入れた」
照れているのかこちらを見もしないで言う剣八。
無言のまま近付く一護。
「剣八」
徐に首に抱き付いた一護は、
「嬉しいよ、ありがとう、ありがとう・・・!」
大好き・・・!と耳元で囁いた。
「い、良いから喰えよ」
「うん、緑茶でこの手のお菓子食べるのもおかしいけどな」
とにこにこ笑いながらマシュマロを口へと運ぶ。
黙って見ていた剣八が一つ摘んで一護の口に運んでやった。大人しく食べる一護。
「美味いか?」
と聞いてきたので、
「今まで食べてきた中で一番」
と頬を染めて答えた一護の顎を掬って口付けた。
「ん・・・ふ」
「甘えな・・・」
と言いつつ袷から手を忍ばせてくる剣八に、
「何考えてんだ、真昼間から!」
甘い匂いをさせて一護が言い募った。
「夜ならいいのか?」
脇腹に手を這わせながら訊いてきた。
「んっ!じゃあ、今やって夜は解放してくれんのか?」
「しねえな、明日まで放してやんねえよ」
「一緒じゃねえか!」
「ああもう、うるせえな」
一護を押し倒しながら囁く。
「特別な日なんだろ?良いじゃねえか・・・」
「あ、ばかぁ・・・」
途端に抵抗する力を無くす一護。
「いい子だな、一護・・・」
「せめて蒲団敷けよ・・・」
「それもそうだな」

甘い匂いのする一護に甘い口付けをする剣八。
「ん、ぁ、ふぅん、んくん」
「これもお返しと思っとけよ」
「ばかぁ・・・」

身体中に吸い付き跡を付ける。そこかしこに噛みついては歯型を付ける。
甘い痺れと甘い痛みが綯い交ぜとなり一護の思考を蕩かせていく・・・。
「あ、あ、うぅん、剣八ぃ・・・」
ヒク、ヒク、とひくつく一護の太腿の内側の皮膚の薄い部分にキツく吸い付いて跡を付けた剣八。
「あうんっ!や、あ、あ」
普段は付けない所に付けられて過敏に反応してしまう一護。
「どうした一護?いつもより感じてんのか?」
「し、知らない・・・っ」
「知らねぇつってもよ、こんだけ濡らしてりゃバレバレだぞ?」
「〜分かってんなら聞くなよ!」
真っ赤にした顔と涙を滲ませた目で睨まれてしまった剣八。苦笑しながらも愛撫の手を休める事はしなかった。
「あっ!ああっ!やだぁん!も、もう、イクッ!」
「ん?そうか・・・」
それだけ言うと一護の中心をパクリと口に含んでしまった。
「ひあっ!な!何やって!あああ!んっんーー!」
一護は剣八の口の中で達してしまった。
「ひっ、ひっ、ば、ばかぁ・・・」
「・・・泣くこたねえだろうが」
一滴も零すこと無く飲み干した剣八が呆れたように呟いた。
「何度もやってんだろうが、何を今更恥ずかしがってんだ」
「うっく、うるせえ・・・、早く挿れろよ」
「まだ慣らしてねえだろ?我慢しろ」
一護の身体を反転させ双丘を割り広げた。
「あっ、やだ!やめろ!」
何をされるか分かって身を捩って逃げようとする一護を押さえつけ、ヒクつく蕾に舌を這わせた。
「ひっ!やだっ!やだっ!」
がっちり腰を掴んで逃げる事を許さない剣八。チロチロと尖らせた舌で擽る様に舐めては、べろりと舐めあげた。
「や、やだ!やめてぇ!」
ガクガクと震えながら懇願するも聞き入れてはもらえなかった。ビクンッビクンッと達してしまった一護。
「あ、あうう・・・、ひっ?やあぁ!あぁ!」
ぐぐっと舌が入ってきた。熱く柔らかいソレが中に入っては出る、を繰り返され、
「やあぁ、も、もう許してぇ、お、お願いだからぁ・・・!」
許しを請うた。
「なに謝ってんだよ?お前は何もしてねえじゃねえか」
「ら、らってぇ・・・、やらって、やめてっていってるのにぃ・・・」
「つっても慣らさにゃ切れんだろ」
「あう・・・」
「まあいい、こんだけ慣らせばいけんだろ、挿れるぞ一護」
「う、ん・・・」
剣八は熱く猛る自身を宛がうとゆっくりと奥まで納めていった。
「あぁ、あぁあぁああん!」
「くう・・・」
ひくっ、ひくっ、と軽く痙攣している一護。
「キツイぞ、弛めろ一護。・・・一護?」
「あ、あ、あ、や」
目の焦点が合っていない。聞こえてねえな、このまま動くか。ずるり、と引き抜くと嬌声をあげる一護。
「ひぃあぁん!ムリ、むり・・・」
一気に奥まで貫いた。
「うああっ!ああっ!剣っ!八っ!むりっ!むりぃ!」
「何が、無理だ!イキたきゃイケ!」
「ああっ!やああっ!あーーっ!」
きゅううと剣八を締め付ける一護。迸る熱にも感じて、イってしまった。
「んああ!あ!あ!」
「くっ!一護・・・!」
ずるん、と引き抜くと力尽きた一護が倒れ込んだ。
「ちっ!加減間違えちまった・・・」
隣りの一護の髪を梳くとぴくんと揺れる身体。
「ん、ふぅん・・・」
早々に風呂に入れてやる。

湯船の中で目を覚ました一護が掠れた声で呟いた。
「ひでぇ・・・」
「悪かったな」
少し腫れぼったい目尻に口付けた。
「ん・・・!」
「泣くことねぇだろ?ったく」
「だって・・・」
「なんだよ・・・?」
「だって、あんな明るいのに・・・!ま、丸見えじゃねえか!馬鹿!」
だからかよ・・・。なんつーか初心な奴だな・・・。言えばまた怒るな・・・。
「悪かったよ・・・、夜は添い寝だけにしてやるから機嫌直せよ」
「う、ホントか?」
「ああ、ああ、ホレ出るぞ」
「うん・・・、あれ?」
「なんだよ?」
「た、立てない・・・」
「・・・腰抜けたか・・・」
真っ赤になる一護に手を貸してやり、身支度を整えてやる。

「やり過ぎだ、ばか・・・」
「へーへー、悪うござんした」
新しい蒲団に寝かされながら一護は、
「こっちに来れなくなったらどうすんだよ、やだかんな?そんなの」
「手加減ぐらい覚えてやるよ・・・、さっさと寝ろ」
「お前は?」
「一緒に寝てやるよ」
「ん・・・」
すぐに睡魔によって眠りに落ちてゆく一護。くう、くう、と可愛い寝息を聞きながら剣八も眠りに落ちていった。







09/03/12作 第75作目です。何か後半ホワイトデー関係無くね?





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