題「ホワイトデーのお返しは?」
 3月14日。今日はホワイトデーだ。朝食が済んだ時に子供達と剣八が、
「昼飯時までキッチンに入るな」
と言って来た。
「別に良いけど、何かやんのか?」
「ちょっとな、良いからお袋はやちると遊んでろよ」
「そうです、出来上がるまでのお楽しみです、お母さん」
「つー訳だ、言うこと聞け、一護」
「キッチン壊すなよ?」
そう言うと大人しくキッチンから出て行く一護。洗濯物を済ませ縁側で一休みしているとやちるに、
「いっちー、一緒にマシュマロ食べよ〜」
「マシュマロ?良いのか、ありがと」
「いいよー、だってお返しだもん」
「お返し?なんの?」
「バレンタインデーのお返し!」
「そっか、ん?じゃあ、アイツ等がキッチンで何かしてんのもそれか?」
「うん!みんなでお返し作るんだって!良かったね、いっちー」
「うん、やちるマシュマロってココアと食べると美味いんだぞ」
「ほんとに?ちょっと待っててね」
「あ、おい」
手元には可愛くラッピングされたマシュマロの袋が残された。

「ねーねー、あたしだよー、入ってい〜い?」
「やちるか、どうした」
「いっちーとココア飲むから作って?」
「ああ、ちょっと待ってろ」
とウルが手早く作ってやった。
「しかし、お前が言ってくれて助かったぞ、危うく忘れるところだった。
「いっちーも忘れてたよ」
とケラケラ笑って言うやちる。
「母様らしいな、ヤケドするなよ?」
「うん!ありがと!ウル兄」
今キッチンでは、男が3人寄って粉だらけになっている。
「おい!早くこっち手伝えよ!」
「材料のグラムを量るのに騒ぐな」
「手前等は口じゃなく手を動かせ!」

昨日、一護が風呂に入ってる時にやちるが3人に聞いてきた。
「ねーねー、剣ちゃんと、ウル兄とグリ兄はいっちーに何あげるの?」
「は?何とは?」
「だって、明日はホワイトデーでしょ?いっちーにお返しあげなきゃ!」
「「「あっ!」」」
「忘れてたの?」
「そうか、明日か!」
「ヤべえな、何にするよ?」
「いっちー、甘いもの好きだよ」
「じゃあ、なんか菓子でも作ってやりゃぁ喜ぶんじゃねえのか」
「さっすが剣ちゃん、クッキー作れば?ウル兄よく手伝ってるよね?」
「あ?ああ」
「よし、お前教えろ」
「決まりだな。やちるは何やるんだよ?」
「ん〜?マシュマロだよ」
それで今に至るのだ。

「いっちー、お待たせ」
「おお、大丈夫か?」
一護はやちるが寒くないようにとガラス戸を閉め胡坐の中に納めて、ココアとマシュマロを一緒に食べた。
「さ、一緒に食べよー」
「おう、ありがとな」
「いいよ、美味しいね、いっちー」
「うん、あ、これコーヒー味だ、最近は色んな味が出てんだな」
等と長閑な時間を過ごしているとキッチンの方から、ガッチャーン!!という音が聞こえてきた。何にか喧嘩をしているような声も聞こえる。
「何やってんだ?あいつら・・・」
「ほっときなよ」
「そだな」
どうせ、ウルとグリが喧嘩を始めたのだろう。
「キッチン壊されなきゃいいけど・・・」
こく、とココアを飲みながら呟いた。

「で、出来た!」
「結構時間掛るもんだな」
「普通はこんなに掛かりませんよ・・・」
全員が粉だらけだ。シンクはぐちゃぐちゃだ。味の方は大丈夫だろう。いつも手伝っている事を忠実に再現したから。
「後片付けは・・・」
「そんなもん後だ、後!」
「さっさと渡すぞ!」
頭の三角巾を外しながら剣八が言う。
「おい!、一護」
縁側でやちると洗濯物を取り込んでいる一護に声を掛けた。
「なんだ?出来たのか?」
「ああ、早く来いよ」
「これ畳んだらな」
「いいよ、いっちーあたしやっとくから」
「でも」
「良いから来い!」

キッチンに連れて行かれた。ドアを開けるとコーヒーの香りが漂ってきた。
「で?なに作ってくれたんだ?」
「クッキーです」
「早く食ってくれよ」
まだ温かいクッキーを摘まむと口に入れた。
サクッとした口当たりのいい、美味しいクッキーだった。
「美味しい・・・」
「やった!」
「よかったです・・・」
「ふん・・・」
三者三様の喜び方に、にっこり笑う一護。
「それにしてもお前ら粉だらけだなぁ、男前が台無しだぞ」
ウルキオラの鼻の粉や、グリムジョーの髪に付いた粉を取ってやった。
「で、剣八は服だけだな汚れてんの、エプロンしなかったのか?」
「邪魔だ」
「ふうん、あ、星型だ、俺これ好きなんだよな」
サクサクと食べ、コーヒーを飲む。
「お返しは嬉しいんだけどさ、この片付けは誰がすんの?」
「俺達がします、お母さんは休んでて下さい」
「つったって、床から、シンクまでエライ事になってんぞ?手伝うよ」
そう言ってさっさと洗いものを片しだす一護。
「何やってんだ?お前らはそ・う・じ。剣八は風呂の用意してくれよ」
「へいへい」
「風呂が沸いたらお前ら先に入れよ」
鼻歌を歌いながら一護が子供たちに言う。
「はい」
「おう」
「俺が作るより上手いかもな」
「ほんとか?」
「ああ、せめて後片付けも計算に入れられたらな」
悪戯っぽく笑って見せた一護。
「おい、風呂沸いたぞ」
「ああ、ほら入って来い」
「失礼します」

この日の夕飯は、皆の好物がたくさん並んだ。一護は始終にこにこしていた。

寝室にて。
「一護、嬉しいか?」
「うん、すごく嬉しい、お前と結婚してよかった、アイツ等の親になれて良かった・・・!」
「そうかよ・・・」
ちゅっと、口付けが降ってきた。
「ん・・・」
「俺からのお返しだ・・・」
「手加減は・・・?」
クスッと笑った一護が聞いた。
「なるべくしてやるよ」
「あ・・・ん、ふふ」

「あ、はあ、剣八ぃ・・・」
「一護、次はどうして欲しい?」
「ああん、顔が見たい・・から、前から抱いて・・・?」
「ああ、いいぜ、それから?」
「ひあん!そ、それから?ああう・・・、いっぱいにして、いっぱい出して・・・!」
「ああ・・・!」
グッと腰を掴むと力強く奥を穿った。
「んあぁっ!あぁんっ!善いっ!剣八、気持ち良い!ひぃいん!も、もうらめぇっ!」
きゅううと締め付けて来たので剣八も一緒にイった。
「くっ」
「あう・・・、熱い・・・」
「まだだぞ?一護」
「ひ?らめぇ・・・、むりぃ・・・」
ひくん、ひくんと締め付ける一護の中で既に復活している剣八。
「あ、ああ・・・、び、びくびくしてう・・・」
「明日は日曜だろ?良いじゃねえか」
「あう〜、ばかぁ、手加減すりゅっていったぁ・・・」
「なるべく、な」
腰を揺らめかせ、軽く掻き混ぜる。
「やあぁん!やらぁ、らめぇ」
カリッと胸の飾りに歯を立てると、
「ひっ!ひああん!」
それだけで達してしまった。
「しゃあねえな、これで終いにしてやるよ」
「あ?あぁんっ!」
剣八は一護の首筋や胸に跡を付けながら、奥や前立腺を攻めた。
「やあぁん!ひゃあ!け、剣!八!だめ!だめぇっ!ああっ!あーーっ!」
剣八の背中に爪を立てながら、果てた一護。目尻から涙を零しながら、ビクンビクンと痙攣している。
「一護?」
呼びかけるが答えない。
「また気絶か、風呂に入れるか・・・」
やりすぎの感は否めないが、こいつ相手だと止まらない。討伐増やすか?それはそれで怒るしな・・・。
一護の身体を洗い清め、湯船に浸かる。
「んん?」
「起きたか?気絶してたぞ」
「ご、ごめん・・・」
「いい、俺がやり過ぎてんだ」
「んなこと、ねえよ・・・。俺の体力が、鈍ってんだよ」
振り向いて、
「もうちょっと、力付けるから、変に討伐とか増やすなよ?」
「分かってるよ・・・」
くしゃくしゃと髪を掻きまわした。
「寝るぞ」
「うん」
明日は、日曜日。早く起きれたら、朝ごはんの用意をしなくちゃ。








09/03/10作 第74作目です。バレンタインデーのお返しにクッキーを焼く3人でした。やちるがたくさん食べたけど誰も文句言いません。



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