題「家族旅行」 | |
子供たちの冬休みと、剣八とやちるがぶんどった休暇で温泉へ家族旅行に来た。 「なー、なー、どこに行きたい?」 「どこでもいいだろうが」 「食いモンが美味いトコとかあんだろ?お前らは?」 「はあ、行った事がない物で・・・」 「なあ・・・」 「じゃあ、露天があって、飯が美味いトコな」 「大概そうだろ」 「一言多いんだよ、剣八は」 そんなこんなで宿に着いた。雪深い日本家屋の旅館だった。 「へえ〜、こんな穴場あったんだな」 とグリが言った。 「まあな、ちょっとコネ使ったんだ」 と一護。 「浦原か?」 珍しく洋装の剣八が聞いてきた。 「う、うん」 髪を下ろして、黒いロングコートに身を包む剣八に見惚れてしまう一護。 「あれー?いっちー顔赤いよ」 「さ、寒いからだよ、早く入ろうぜ」 「そうですね」 中に入ると仲居さんが出てきた。 「いらっしゃいませ、遠い所をお疲れ様です」 「予約してた、更木です。よろしくお願いします」 「はい、五名様ですね、こちらです」 と部屋に通された。 「おー!すげぇ!絶景じゃん!」 窓からの景色に、はしゃぐグリに釣られて俺もはしゃぐ。 「おい、一護寒いから閉めろ」 「えー、折角の雪景色だぜ?綺麗なのに、なぁ?やちる?」 「うん、綺麗だけど後で露天風呂で見ようよ!」 「そだな、早速入ろうぜ!」 息子たちと温泉に入る為に数日前から、禁欲させられている剣八。正直イライラが溜まっている。 (夜中になったら覚えとけよ) 不穏な事を考えている剣八などそっちのけで、温泉を楽しみにしている一護。 「内風呂と露天どっち先にする?」 「俺、露天入った事ねえから、明るいうちに入りてえな」 とグリ。 「そうだな、景色見たいしな」 と5人で露天風呂へ向かう前に、宿の浴衣と丹前に着替えた。好きな色や模様が選べた。 脱衣所でサクサク脱いでいく一護とやちるに剣八。 「何やってんだ?早く来いよ?」 「お、おう」 「はい・・・」 どぎまぎしてうまく脱げない二人。先に入る3人。 「こらー、危ないから走るな!やちる!」 「きゃー、おっきーい」 「ほお、なかなかだな」 「ちゃんと掛け湯してから入れよ!」 「へいへい」 後から入ってきた二人は、一護の後ろ姿に見惚れてしまった。それに気付いた剣八が一護を引き寄せた。 「わ、何すんだよ?あ、やっと来た。寒いだろ早く入れよ」 「あ、はい」 「おう・・・」 「いっちー、泳げるよ〜」 「危ないから気を付けろよ」 「は〜い」 「ったく、はあ、気持ち良い・・・」 ちらちらと雪が降ってきた。 「お〜、雪見露天、風流だな」 「酒が欲しいな・・・」 「贅沢もん」 「いっちー!」 「あん?」 振り向いた所へ雪玉をぶつけられた。 「冷てぇ!何すんだ、やちる!」 ザバァッ!と立ち上がり追いかける一護。目のやり場に困ったのは二人の息子。 はぁ・・・、と息を吐く剣八。無意識ってのが質悪いよな・・・。 今度は向こうで、やちると二人で何かやっている。ウルが近付いていった。 「何をしているんですか?お母さん」 「おお、ウルか。これ作ってたんだ」 「? それは?」 「知らねえか?雪ウサギだよ」 「雪ウサギ・・・、可愛いですね」 「うん、家族分作ろうかと思ってさ。一番でかいのが剣八だ、今やちるが作ってる」 「何やってんだ?」 後の二人もやって来た。 「雪ウサギ作ってるの!」 「雪ウサギにしちゃでけえな、おい」 「それ剣八だよ、これがウルで、こっちがグリ、一番小っさいのがやちるで、これが俺」 「ふうん、雪だるまじゃねえのか」 「それだったらでかいの作りたいじゃん、これでいいの」 「可愛いです」 「ふうん、やちるは親父の上じゃねえのかよ」 「ん〜、乗せられるかな?」 「やってみる!」 「そ〜っとな」 でかい雪ウサギの上に小さな雪ウサギが乗った。 満足気に笑う一護。 「ほら、やちる、手が冷えたろお湯に浸けろ」 「うん、えへへー、嬉しいな。グリ兄ありがとね」 「へ?ああ・・・」 「なんかのぼせて来たな、出るか?」 「う、俺はまだ居るわ」 「俺も、まだ。見て居たいですし・・・」 剣八が、ははぁんと思い到り、 「いいじゃねえか、ほっとけよ。飯時にはあがるだろ」 「んー、のぼせんなよ?」 内心、助かったと思った二人が頷いて、 「分かった」 「分かりました」 「ほら、やちる出るぞ」 「はーい」 ザバッとあがる一護と剣八とやちる。連れだって歩く。 「お前またキズ増えたか?」 「まぁな、楽しいぜ?」 「ったく、飯食ったら内風呂な」 「なにが楽しいんだか・・・」 脱衣所に着いた。 「温泉は何度も入るもんなんだよ」 「湯あたりすんなよ」 「しねえよ、ほらやちるちゃんと拭けよ」 「はーい」 部屋に戻る3人。残された2人は? 「おい、早く帰れよ」 「お前こそ、帰れ」 「くそっ、なんでいきなり」 「・・・お前もか?」 「あん?じゃあお前も?」 「ふん・・・」 はああぁ、自分たちの若さが憎かった。 「遅いな、大丈夫かな?」 「ほっといてやれ、それより水でも用意しといてやれよ」 「ん・・・、分かった」 水差しで水を貰って来た一護。薄紅色に染まった頬が色っぽかった。 「剣八、はいお茶」 「おう」 「やちる、髪乾かしてやるよ」 「わーい!」 漸く上がってきた二人が水を飲み、休んでいると 「夕食までどうする?土産物屋でも覗くか?」 「んー、俺は明日でいい、しんどい」 「俺も今はちょっと・・・」 「そうか?じゃあのんびりするか」 少し残念そうな一護。 「なんだ?そんなに行きたかったのか?」 「いや、そういうんじゃなくてさ・・・」 コートを着た剣八が見たかったとはここでは言えない一護。 「風邪ひくのもあれだし、のんびりしとくよ」 夕飯の時間。 舟盛りや、初めてのボタン鍋にはしゃぐ子供達。そんな様子を幸せそうに見る一護と酒を飲む剣八。 「おい、一護、酒」 「ん」 小声で、 「後で露天でな・・・」 「?、・・・あ!」 「お袋?喰わねえのか?」 「た、食べるよ」 食事も終わり、後は寝るだけとなった。 「・・・んー、やっぱ5人は無理か・・・」 と一護。 「じゃあ、いっちーと剣ちゃんは今日一緒に寝ればいいよ!今日は、あたしとウル兄とグリ兄とで寝るから!」 「そうか?じゃあ明日は俺とウルとグリな、そんで剣八とやちるで良いか?」 「ああ、別に良いけど・・・」 「いいですよ、俺も」 「じゃあ、決まりね!」 二間続きの部屋で3人と2人に別れる。 「じゃあ、明日はお土産見て回ろうな」 「うん!楽しみ!おやすみなさい、いっちー、剣ちゃん」 「おやすみなさい、お母さん、お父さん」 「おやすみ、お袋、親父」 「おやすみなさい、やちる、ウル、グリ」 「ちゃんと寝ろよ」 襖を閉める。 「まだ起きてるか?」 「ちょっとな・・・」 お茶を入れる一護。 「来て良かったな、あんなに笑うウル見たの初めてかもな。グリもはしゃいでさ」 「そうだな・・・」 ずず・・と茶を啜る。 「さ・て・と」 「ん?」 「風呂行くぞ」 「マジで?」 「ここでヤルか?我慢も限界だぜ?激しくなるだろうなぁ?」 「う・・・、あ、跡とか残さないんだったら行く」 「何でだよ?」 「明日も、子供達と風呂に入るだろ!」 「ああ・・・、良いぜ、付けないでやる」(正気が有るうちはな・・・) 「じゃ・・・、行こ?」 きゅっと剣八の浴衣の袖を詰まんだ。 脱衣所。 「ちょっ・・・、自分で脱ぐよ!」 「良いじゃねえか、偶にはよ・・・」 「う〜・・・」 後ろから手を忍ばせて、帯を解いていく剣八。しゅるりと浴衣を脱がされた一護。 「剣八も・・・」 浴衣を脱がせていった一護。 「くくっ、可愛いな、お前は」 風呂場へ行くと掛け湯をして湯に浸かる。 「こっち来いよ、一護」 「う、うん・・・」 抱きこまれる一護。はふ、と息を吐いた。 「久し振りの剣八の胸だ・・・」 「お前が禁欲命令出したんだろうが」 「だって、お前のキスマークなかなか取れないんだもん。折角家族で温泉に来てるのに俺だけ入れないなんてヤダもん」 「そうかよ、一護・・・」 「ん・・・?」 口付けが降ってきた。 「あ、んん、ふぅ、あ、剣八・・・」 首筋から胸元まで軽くちゅっちゅっと吸いついていった。 「あ、あ、ん、気持ち良い・・・」 胸の飾りにキスすると、 「ひゃぁん!剣八ぃ・・・」 久々の快感に声を上げた。そしてその小粒の周りの色の濃い皮膚に強く吸い付いた。 「あぁん!あ、跡、付けないって・・・言ったのに・・・」 「目立たねえから良いだろ・・・、付けさせろ・・・」 「うう・・・、馬鹿・・・」 両方に付けていく。かり、と歯を立てた。 「ひぃっん!」 「一護・・・」 耳元で囁いて吸い付いた。耳朶を舐めあげては、耳穴に舌を差し込んで楽しんだ。 「やあぁ、剣八ぃ・・・、もう触って・・・、お願い・・・」 ぴくぴく震えて懇願して来た。 「なんだよ?もう降参か・・・?」 「お、俺だって、我慢してたもん・・・」 「一護・・・!」 つーっと指を滑らせ下肢で主張している一護自身を掴んだ。 「ああ・・・、剣八の手だ・・・」 「気持ち良さそうだな」 「うん、気持ち良い・・・もっと・・・」 「なあ?もう挿れて良いか?我慢出来ねぇ・・・」 「良いよ、剣八」 ちゅっと触れるだけのキスをした。ゆるゆると蕾に指を這わせ解したいった。 「あっ、あっ、くッ、くふっ、んあ、あ!いや、お湯入る・・・」 「ああ、悪い」 剣八は一護を湯船の縁に座らせると膝裏に腕を入れ抱えあげた。 「え?何、するの・・・、あ、あ、あーー!」 立ったまま挿れた。 「あ・・・、あ・・・、いや、何これ?」 「そういや初めてか、存外悪くねえと思うぜ?」 そう言って突きあげた。 「ひぃっ!ああっ!ふ、深ぁい・・・!いつもと、違ぁう、あぁんっ!お、奥に!奥が熱いの!」 ぐっぐっと揺さぶられながら、剣八の背中に爪を立てた。 「痛えよ・・・、俺に跡付けてどうするよ?」 「ふあっ、ご、ごめぇん・・・」 慌てて指を離すも強い快感に再度爪を立ててしまった。 「一護・・・!」 ぐんっっと強く奥を突くと一護が果てた。 「ああっんっー!」 その締め付けで剣八も一護の中に注ぎ込んだ。 「くう」 「んあぁ・・・」 「一護、今度は縁を持って後ろ向けよ」 「はぁい・・・」 「離すなよ・・・」 再び抽挿が始まった。 「ああっ!ああっ!剣八!剣八!んんっ!善い!あっ、愛してる!」 「一護・・・」 耳元に近付いて、 「俺も愛してるぜ・・・」 と低く囁いてやった。 「はぁん!剣八ぃ・・・」 がくがくと震えてイってしまった一護。そして剣八も一拍遅れで中に出した。 「剣八・・・」 「ん・・・?」 腕の中に一護を抱いてご満悦の剣八。 「雪ウサギ、どうなったかな?」 「さあな、見てみるか?」 「ん、連れてって」 そこにはまだ家族分の雪ウサギが残っていた。 「明日まで残ってるかなぁ?」 「さあな、また作りゃ良いじゃねえか」 「そうだな、剣八、のぼせるからあがろ?」 「そうだな、寝るか。明日は土産見るんだったな」 「何が良いかな?やっぱ温泉饅頭とか?」 「好きにしろ」 「うん」 一護を着替えさせてやり、部屋へ帰る二人。 「ごめんな」 「あん?」 「その、背中・・・」 赤くなって俯く一護。 「いいさ、朝にゃ消えてんだろ、いつもそうだ」 「そうなのか?」 「ああ、寝るぞ」 「うん、お休み、剣八」 翌日、土産物屋で、十三隊分の饅頭やらを買いこんだ一護。 隣りには洋服姿の剣八が居た。一護が、 「俺、お前の洋装好きだなぁ、コートよく似合ってるのに着ないのか?」 と言われたから。その場で熱いキスをされたのは言うまでもない。子供が見てなくて良かったと思った一護。 次の晩は、子供達と川の字で寝た一護。 夜中に剣八に露天に連れ出された。 「この馬鹿・・・」 「良いじゃねえか・・・、これから忙しくなるんだからよ。触らせとけよ」 「う・・・、激しくすんなよ?」 「さてな・・・」 雪ウサギは、まだ残っていた。 終 09/02/11作 第65話です。温泉の雰囲気出てますでしょうか?内風呂余裕無かった・・・。 |
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