題「娘子猫と旦那様」
 一護と縁側で昼寝してたら何やら女どもがやって来た。
「何か用か?」
せっかく寝てたのを起こされていい迷惑だ。
「ふにゃぁ?」
一護も起きてきた。
「いえいえ?一護に美味しい飴をあげようかと思って来ただけですよ」
松本がコロコロ笑いながら言った。
「ふうん・・・、勝手にやれよ」
俺は欠伸をしながら言い放った。
「は〜い、一護、ほら、ア〜ン」
目の前に出された赤い飴に鼻を近づけてみるものの、口は開けなかった。
「あら、飴嫌いだったかしら?」
首を傾げる松本に、
「よこせ」
と飴を受け取った。その飴を一護にやる。
「ほれ、喰え」
すぐにアムッと口にして、チュッと指を吸ってきた。
「くすぐってえ」
飴をコロコロさせながら、船を漕ぎ出した。
「おい、涎出すなよ?」
「ふみ?」
きゅるるる〜、と一護の腹の虫が鳴いた。
かりかりと口の中の飴を噛み砕いて飲み込んだ。
「にゃー、にゃー」
「ああ、ああ、すぐ弓親が作ってくれんだろ」
「一護、お腹空いたの?」
松本が頭を撫でながら、顔を覗き込む。
「おい・・・、危ねえぞ・・・」
と忠告した。
「は?何がですか?」
言い終わるか言い終わらないうちに一護がその豊満な胸に吸い付いていた。
「きゃっ、一護?」
「忠告はしといたぞ」

一護は握った手で、ふにふに胸を揉みながら乱菊の死覇装から覗く乳房にちゅうちゅう吸い付いていた。
「最近ついた癖だ。飯が出るまで離れねえぞ」
「くすぐったいわよ、一護。やめなさい」
「んな〜ぅ・・・」
眉を下げて見上げてくる。名残惜しそうに揉んでくる。ペロペロ舐めてはちゅっちゅっと吸う。
「ほれ、こっち来い一護」
「にい」
胡坐の中に一護を座らせると口に親指を宛がった。今度はそれに吸い付いた。
目を瞑って、手で剣八の胸をムニムニと揉んでは、剣八の指を吸っていた。
「可愛いわぁ・・・。この子何でこんなに可愛いのかしら」
「知るか」
「乱菊さん、キスマーク出来てますよ」
「あら、ホント、もう消すの大変なのよ?いけない子ね」
プニプニと一護のほっぺをつついた。薄目を開けて見てきたがすぐ瞑った。
くすっと笑って髪を撫でると、鼻に掛った声を出した。
「くふうん・・・」
「弓親ぁ!メシはまだか!」
「はい!ただいま!遅くなってすいません!」
とたとた走って持ってきた。
「あ、乱菊さんこんにちは。それ一護君でしょ?」
胸の跡を見てそう言った。
「そうよ、良く分かったわね」
「あれ、見れば分かるでしょ?何か最近の癖なんですよ」
弓親が持ってきた雑炊の匂いに鼻をひくひくさせながら頻りに、
「にゃーにゃー」
と鳴いている。居間に姿を消す二人。食事をやるらしい。
「二人の邪魔しないでね」
と障子を閉めた弓親。

「乱菊さん・・・、良いんですか?あの薬飲ませちゃって」
「今更何言ってんの?もっと可愛くなるわよ」
楽しみだわぁ、と一人楽しんでいる。

翌朝、弓親が一護を起こしに来た。
「一護君、朝だよ。起きよう」
バサッと蒲団をはぐと、丸まって背中を向けた一護が居た。なんかおかしい・・・。若干の違和感を感じた弓親。
「ん、んー、なあぅ」
起きて、伸びをした。
こんなに小さかったっけ?その割に、アレ?お尻大きくなってる?
「い、一護君・・・?」
「ん?」
くりんと振り返る一護の身体には、胸に膨らみがあった。昨日は無かったよね?て言うか無い筈のモノだよね?
弓親の頭の中でぐるぐる回るセリフ、次の瞬間、
「たっ、隊長ー!」
と叫んで出て行った。
「ふにゃ?」
一護は顔を洗うために洗面所に行った。
「?」
みんなが自分を見て驚いている。何でみんな大きくなったんだろう?寝巻きも大きいや。
歯を磨き、顔を洗って隊首室に行く。いつも着替えさせてくれる弓親が居ないのでそのままの格好だ。
「んにゃーう」
部屋に入ってきた一護を見て全員絶句した。寝乱れた寝巻きから覗く胸の果実や裾の乱れに目が行ってしまう。
「こっち来い、一護・・・」
「にゃあ!」
てててっと剣八の方へ走り寄る。裾や胸元を整えてやる。
「どうなってんだ?こりゃあ」
自分の羽織を巻きつけて、膝に座らせる。別段一護は今の所困ってないようだ。
「あの、隊長、着替えさせた方がいいと・・・」
「ああ、俺がやる」
「助かります」
弓親が頭を下げる。流石にあの身体の一護には触れない。

部屋に連れて行かれた一護。暫くしてから部屋の方から、
「ふぎゃああああ!」
という叫び声が聞こえてきた。
「あ・・・、気付いて無かったんだ・・・、一護君・・・」

「うっせえな、人の耳元でいきなりよ」
「あ、あ、あ、な、なあう?」
「さあな、心当たりといやあ、昨日の飴か?」
不安そうに見つめてくる一護。着替えさせているため膝を着いている剣八の肩の着物を握り締めている。
「気にすんな、いつもどおりにしてりゃ良いんだよ」
「ふにゃあ・・・」
すりすりとすり寄ってきた。
乱菊に貰った水色の女物の着物を着せるが、尻尾が気持ち悪いみたいでうねうね動かしている。
「ん、んなあん・・・」
「ちょっと、あげるか・・・?」
裾を短くしてやった。足首よりちょっと上辺りだ。ぴこぴこ動かして何かを確かめている。
「にゃあぅ」
満足したらしい。
それから一護は俺から離れない。常にくっついてる。飯を食わせた後、隊首会があると言うとやはりくっ付いてきた。
頭から、剣八の替えの羽織を被っている。
「更木よ・・・、此処は子供の来る所ではないぞ・・・」
「しょうがねぇだろ、離れねえんだからよ」
きゅうぅと羽織を掴んで離さない一護。
「仕方がないのぅ・・・、ではこのまま会議を始める」

数十分後、早くも船を漕ぎ始める一護。コックリ、コックリしては、はっと起きるの繰り返し。
「おら、来い一護」
「ん〜、にゃあう・・・」
剣八が抱きあげる。首に手を回して首に顔を埋めて眠りだした。
「起きろ一護、終わったぞ」
「ん、くあぁ〜む」
こしこし目を擦って、起き出した。
「俺はこれから討伐の仕事が入ったからお前は卯ノ花んとこに居ろ」
「・・・、いにゃ・・・」
ふるふると顔を横に振る。
「嫌じゃねえ、すぐ帰ってくる。我慢しろ!」
ふるふると無言のまま顔を振り続ける一護を下ろして、
「卯ノ花、こいつ頼むぞ」
「ええ、私どもは構いませんが・・・」
剣八から目を離さない一護。零れそうなほど見開かれている目。
扉に進む剣八の後を追う一護、くるっと振り向き一護の頭に手を乗せると、
「帰ってくるまでの我慢だ、俺はちゃんと帰ってくるだろうが・・・」
こくんと頷くと、唇を噛んだ。ぶつりと唇が破れて血が滴った。気付かない剣八は、
「じゃあな」
と一言言うと、バタンと扉を閉めて出て行った。
その音に弾かれた様に顔をあげる一護。もうそこには剣八の姿は無かった。

ふるふると顔を横に振りながら、顔を歪めていった。
「う・・・あーー!」
膝から崩れ落ち、床に顔を埋めて泣き出した。
「あーー!あーー!あーー!」
こんな一護を見た事がない他の隊長はどうしていいか分からない。
「一護君、泣かないで下さいな、更木隊長はすぐに戻って来てくれます」
卯ノ花隊長が声を掛ければ起き上がって見てくるがすぐに泣きだした。
「うう、うあ、あーー!あーー!あーー!」
その頭を繰り返し撫でていると落ち着いてきた。
「あー、あー、っく、ひっく、ひっく・・・」
剣八が出て行った扉を見て、起き上がると羽織を持って部屋の隅に行った。
羽織に包(くる)まり、丸まって自分の指を吸い出した。
ちゅっちゅっと吸いながら、丸まって動かない。時折嗚咽を漏らしながらも先程よりはマシだ。

「あの、失礼します、一護がここに居るって聞いたんですけど?」
乱菊が顔を覗かせた。
「松本、何の用だ?」
日番谷が聞いた。
「いえ、ちゃんと女の子になったって聞いたんで、一緒に遊ぼうかと思いまして」
「今、なんて言った?アイツのあの姿はお前のせいかよ!」
「何ですか、いきなり怒んないで下さいよ」
「見てみろ、そこの隅にいる・・・」
白い布が丸まっている中から、オレンジ色が覗いている。
「どうしたんですか?一護ってば」
「更木が討伐で居なくなった途端ああなったんだよ」
「さっきまでもっと酷かったよ?泣き叫んでたもんねぇ・・・、なんでだろうね」
と京楽。
「恐らく急激なホルモンバランスの変化によって情緒不安定になったんでしょう・・・」
と卯ノ花隊長。
「一護?」
近付いて声を掛けると、敵意の籠った目で睨みかえしてきた。
「ごめんなさいね、こんな風になるなんて思わなかったのよ。楽しく一緒に遊びたかったんだけど・・・」
「うう〜・・・」
唸り出した。
「一護・・・」
撫でようと手を近付けた途端に、
「フッ!カーッ!うう〜、わぁうう〜・・」
威嚇してきた。涙で濡れた目には敵意しかなかった。
「乱菊さん、そっとしてあげて下さい。恐らく更木隊長が戻られるまでは、こうでしょう・・・」
一護を包(くる)み直してやると大人しくなった。
羽織の端をチュクチュク吸い出し、手は床を揉んでいた。耳は完全に寝てしまっていた。
「ふ、ん、ん、ちゅ、ちゅ、なあう、なあう・・・」
「黒崎・・・」
狛村隊長が思わず呟いた。
「左陣、黒崎は何と?」
山本総隊長が聞いた。
「は、更木を呼んでおります」
「そうか・・・」
「さ・・・、一護君、ここでは寒いでしょう?四番隊に行きませんか?」
ふ、と見つめてくるが、やはりそこから動かなかった。ついっと一護の頭を自分の膝に乗せて、髪を撫でた。
ビクッと震えたが、大人しかった。
「いい子ですね、一護君。でも更木隊長は四番隊に貴方が居ると思っていますよ?帰ってきて一番先にいらしてくれるんじゃないでしょうか?」
「ふぇ・・・、なあう?」
「ええ、きっと一番に逢いたいでしょうからね」
来てくれますか?と聞かれ、こくりと頷いた一護。
「では行きましょう」
卯ノ花隊長に連れられていく一護。その手には卯ノ花隊長の羽織が握られていた。

四番隊。
「この部屋で、遊んでいてくださいな、寝るのも自由ですよ」
「ふみぃ・・・」
もそもそとベッドの中に潜り込んで、寝始めた一護。
夕方まで起きなかった一護は聞きたかった声で目が覚めた。どやどやした声も聞こえるからみんな居るんだなと思った。
「入るぞ、一護」
剣八だ。ガラリと扉が開かれた。剣八一人だった。
「ふみ?」
首を傾げると、ベッドの横に椅子に腰かけて、
「お前が荒れてるから、早く慰めろってよ。・・・寂しかったのか?」
「あう、う・・・」
泣きそうな顔の一護の頬に手を当てる。目を閉じて身を委ねる一護。ツッと音もなく一筋の涙が零れた。
「一護・・・、悪いな。討伐は好きな仕事なんでな、出来るだけ早く帰ってくっからよ勘弁してくれ・・・」
一護の涙を舐めとり、口付けた。
「ん、くふうん、あぅ、ん・・・」
ちゅ・・・と離れると髪を撫で、
「帰るか・・・」
「にゃあん・・・」
剣八の肩口に顔を擦り付けながら頷いた。

四番隊を後にして、一緒に帰る。剣八の後ろを遅れない様に懸命について行く。
「早いか?」
「んーん」
ふうふう肩で息をしながら答えた。ふわっと抱き上げられ、目線が高くなった。
「これなら一緒に帰れんだろ?・・・お前その羽織、一日中使ってたのかよドロドロじゃねえか」
「ふみぃ・・・」
「別に良いけどよ、今は本人が居るんだからもういいだろ」
隊舎に着いた。
「ほれ、風呂に入んぞ」
「んにゃ」
着替えは既に用意されていた。一緒に入って頭や身体を洗って貰う。
湯に浸かりながら甘えてくる一護に、
「今日はどうする?一人で寝るか?一緒に寝るか?」
ギュッと抱きついて離れないのでこれが答だろう。一緒に寝る事にした。

着替えて剣八の部屋に行く。蒲団は敷かれてあった。剣八が胡坐をかいて座り、一護を誘う。
「ほら、来いよ一護・・・」
大人しく足の間に納まる一護。胸にすり寄ると剣八の鼓動に耳を傾けた。
「ふ、みィ・・・」
一護の髪を梳きながら、今夜は抱いても良いものか悩んでいると、一護が、剣八の胸をペロペロ舐めては吸い出した。
「なんだ?腹減ったのか?」
ふるふると首を横に振る一護。潤んだ目でこちらを見上げて来た。
「んなぁああん・・・」
やんわりと俺の首に腕を回して来た。そして唇に吸い付いてきた。ちゅっと吸っては、ちゅっと離れる。を何度も繰り返す一護。柔らかい感触を楽しんでいたが、そろそろ我慢も限界だ。
「一護、そんなんされっと我慢出来ねえよ、抱いちまうぞ?」
小さく舌を覗かせた一護が深く口付けた。自分から舌を差し入れ剣八の舌を探した。
「ん、ん、あうん、んふ」
小さな身体を抱き締めて応える剣八。
「一護、一護・・・」
一護の胸の谷間に顔を埋めて、名前を呼ぶ剣八。
「・・・にゃあぅ・・・」
ぺろぺろと髪の生え際を舐めては、顔を擦り付けた。
「一護・・・」
寝巻きの袷からするりと手を入れ脱がせていく。ちゅ、ちゅと啄むようなキスを胸に降らせ、薄桃色の小粒を口にした。
「あっ、ひぁ、にゃぅ・・・」
自由になった尻尾が剣八の顔や、身体を撫でていく。カリッと歯を立てられ、
「あうんっ・・・」
と甘い声を上げて剣八の頭を抱き締める。ふわっと優しく押し倒された。
「にゃぅ・・・」
「一護、もう無理だ、挿れるぞ・・・」
「にゃあうん・・・」
そろりそろりと伸ばされた指は一護のぬかるんだ秘所に辿り着くと剣八の滾った自身を宛がった。
「あ、あう・・・、ああっ!」
一気に奥まで侵入を許したそこは既に熱く蕩けていた。
「うあ、すげえ、蕩けてんぞ、一護」
「な、なあぅ・・・」
もどかしげに腰を揺らす一護に剣八も余裕をなくし、腰を打ちつけていった。
「あっ、ああっ、なあぅっ、うああっ!」
「一護、一護!堪らねえ!くっ!」
「んああっ!」
一護の中に精を注ぎ込んだ。
「うあ・・・」
「一護、足りねえ、全然足りねえよ、くそっ」
その晩も気絶するまで抱かれた一護。
「はふう・・・」
満足した様に息を吐きながら眠った。剣八も満足して寝た。

 次の日剣八が、一人縁側に居ると、乱菊が解毒剤を持って謝罪に来た。
そこへ一護が現れた。
「にゃ〜うぅ」
「ん、一護、やっと起きたか」
とたたた、と走り寄り座っている剣八の背中にすり寄った。気の済むまで身体を擦り付けると、前に来て首にも擦り寄った。
「あうん、なあうん、うるるあぁ、あああん」
「大人しくしろ・・・」
胡坐をかいて足の中に納め、乱れた寝巻きの裾等を直してやった。それでも剣八甘えるのを止めない一護。
「うるるる、なうあぁん」
その内、剣八の胸をペロペロと舐めては吸い付いて、跡を付け出した。
「こら、悪い娘だな、人前でよ?」
「ふぅ?」
促されてみると、乱菊がそこに居た。尻尾をゆあん、ゆよんと揺らし何か考えたらしいが剣八の胸に顔を埋めた。
「あ、お邪魔みたいなんで、私はこれで」
「おう、薬は貰っとくぜ」
「あ、はい、じゃあね、一護?」
尻尾で返事する一護。
誰も居なくなった。一護の髪を撫でてやる剣八。昨日の事で何故か休みが貰えた。
「なぁ一護?今日俺は休みだから、一日中一緒に居られるけどよ、何がしてぇ?」
「くふん?」
一護はぺろりと剣八の唇を舐めると、胡坐をかいた足の上で丸くなると昼寝を始めた。
「色気より食い気、食い気より眠気か?お前は・・・」
安心しきって、すう、すう、と寝息を立てる一護を撫で続けた。
「ま、悪かねぇな・・・」
そう言って、剣八も一緒に昼寝した。







09/01/17作 第59作目です。ど、どうでしょうか?娘にゃんこ。



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