題「大きな子猫」 |
|
「ねー、ねー、いっちー」 「んー、なんだ?やちる?」 縁側で剣八の髪の手入れしていた一護が、やちるに話しかけられた。 「あのね、コレ、あげる」 赤い飴玉。 「ん?おお、ありがとな」 何の警戒もせず、口に入れる一護。 「えへへ、これでいっちー、剣ちゃんのお嫁さんね!」 満面の笑みで言われた言葉の意味が分からない。 「はあ?何言ってんだ?」 「こっちのはなしー!」 それだけ言うとその場から居なくなった。 「何だあ?まあいいや、ほら剣八、続き」 「ぐるる」 その日は、それで済んだ。 翌朝、一護の部屋から叫び声が聞こえた。 「ほわあぁあああっ!」 ばたばたと足音がして弓親が、 「一護君!どうかしたの!」 「ゆ!弓親か?一人か?剣八は?」 「僕一人だよ、隊長は外に行ってる」 「良かった。じゃあ入ってくれ」 部屋に入った弓親が見たものは、女の子の身体になった一護だった。 「どう、したの?それ」 「起きたらこうなってた・・・」 「ちなみに心当たりは、あるの?」 「む〜、そういや昨日やちるに赤い飴貰って食ったな、その後でなんか『これで剣ちゃんのお嫁さん』とか言ってたぞ」 「それだ・・・。また十二番隊で貰ったんだよ。まったく・・・」 「どうすんだよ、こんな身体で剣八の近くに居たら・・・」 「襲われるね、間違いなく。今でもそうなのに」 「はっきり言うなぁ!」 顔を真っ赤にして怒鳴った。 「どうしよう?どうしよう?」 「良いんじゃないの?恋人なんだし?」 「そうじゃなくて!もし!子供とか出来たらの話だよ!俺まだ16だぞ!学校とかもあんだよ!」 「あっ!そっちの問題かぁ!卯ノ花隊長呼ぶ?その間結界用の札貼っとくよ」 「頼む!恩に着るよ、弓親」 「いいよ、あの状態の隊長の世話して貰ってるんだから。おあいこだよ」 そう言い、卯ノ花隊長を呼びに行った。 蒲団、どうしようかな?敷いたままでいいのかな?と考えていると、障子がガタガタ揺れて、唸り声が聞こえた。 「ぐるるる!」 「剣八か?」 「ぐるる・・・」 「悪いけどよ、体調が悪くてさ、今、卯ノ花隊長呼んでんだ。診察終わるまで一人にしてくんねえか?」 障子に手を当て、話掛けた。暫くの沈黙の後、 「うるる」 と返ってきた。がその場で座り込んでいる。 意味無えよ!と突っ込みたかったが、 「ありがとう」 と言った。 すぐに卯ノ花隊長がやってきて素早く部屋に入った。 「卯ノ花隊長〜・・・」 思わず泣き声になってしまった。 「大丈夫ですよ、見せて下さいな」 診察を始める。完全に女の身体になっていた。 「どしましょう?俺ここの隊に居て大丈夫ですか?」 「ある意味、危ないですね。一先ずうちに入院してください」 ちらっと後ろにいるであろう剣八を見た。 「はい」 少しほっとした一護。 すぐ用意をした。蒲団を片付けて、着物も厚めに着て、四番隊に行く事にした。 事情が分かっている弓親を呼んで、説明した。後は剣八だ。 「どうするの?」 「検査入院って言って誤魔化すしかねえよ」 「そうだね、こっちで引きつけとくから、早く行っておいで」 「サンキュ!」 弓親が何とか誤魔化し引きつけてくれたお陰で楽に四番隊に行くことが出来た。 「はあ〜あ、何考えてんだ?やちるの奴?」 ふふっと笑った卯ノ花隊長が、 「きっと、一護君にずっと居てほしかったんでしょうね」 「まあ、毎日居る訳じゃないから、でもこれはひどくないですか?」 本人の意思を無視して、性転換って・・・。 はあっと重い溜め息をついて、自分の胸を揉んだ。見事な果実だ。前にも女性化した事があったがそれくらいか? 重い。大変だなぁ、女の人って・・・。 「あの、これってすぐ治るんですかね?」 「さあ?こればかりは・・・。解毒剤があれば良いんですが・・・」 「ですよね・・・」 ベッドの上で膝を抱えてしまった一護。 「大丈夫ですよ。この間だって、治ったじゃありませんか」 くぐもった声で、 「はい・・・」 コンコンと扉がノックされた。 「あの、一護君にお見舞いというか、やちるちゃんが・・・」 「どうしますか?一護君」 「すいません・・・、会う元気ありません・・・」 顔も上げずに告げた。 「そうですか・・・」 えー!っと聞こえて来た。一護はイラッとした。誰のせいだと思ってるんだ?俺が悪いのか?シーツを頭まで被った。 何も見たくない。自分の身体も。何も聞きたくない。誰の言葉も耳に入れたく無い。 シーツの暗闇の中で知らずに泣いていた。 病室の外が、どたどた、バタバタしていて目が覚めた。ぐすっと鼻をすすって、身体を起こした。 一角の声だ。 「頼んます!一護を出して下さい!じゃないと、うちの隊が壊滅しちまう!」 なんかあったのか? 「無理です、今は眠っていらっしゃいます。病人に何をさせるんです?」 ベッドから降りた。ドアの前で声を掛けた。 「一角か?弓親は居るのか?」 「一護!ああ、横に居る。なあ、頼むからよ戻ってきてくれよ」 「・・・・・・」 「一護〜」 「話は弓親から聞く。俺の病室から離れてくれ・・・」 沈んだ声で言った。 「入るよ、一護君」 その疲れた顔に何があったか大方分かった。 「どうせ剣八が暴れてんだろ」 「うん・・・、すごい荒れようでね、ごめんね」 「いいよ・・・、何となく分かってたよ・・・」 勇音に女物の死覇装を用意して貰った。 すぐ帰るから、剣八を隊首室にでも待たせとけと一角に言った。 着替えてすぐ、病室を出た。 「良いのですか?一護君」 「しょうがないじゃないですか・・・、どうせ、こうなると思ってましたよ・・・」 目に見えて沈んでいる。 弓親と一緒に一護が隊舎に戻って来た。すぐ隊首室に向かった。 扉が開かれると、剣八が立ち上がり、ゆっくりと近付いてきゅっと抱き締めた。 「すぐ、離れろ・・・」 低い声で言い放った。そこに居たやちるが、 「いっちー!何でさっき会ってくんなかったの?」 イラついて眉間の皺が深くなった。握りしめた拳に爪が食い込んで血が出た。一角が、 「そうだぜ、お前が居ないせいで隊長の機嫌が悪くなったんだからよ」 まるで全て一護が悪いかの様な言い様に一護が切れた・・・。 自分の横の壁を殴った。ドゴッと音と共にひび割れ、抉れた。 「うるさいっ!全部俺のせいかよ!誰が俺の身体をこんなにしたんだっ!俺はお前らの玩具じゃねえ!人形じゃねえ!なんでもかんでも押し付けんなっ!」 「一護君」 「触んな!」 隊首室から飛び出して自分の部屋に入ると、蒲団に突っ伏して泣きだした。 「うっ、うあっ、うああ、うああああっ!」 感情が溢れて止まらなかった。ひっくひっくと泣きやもうとしていると、障子が開けられた。 「入ってくんな・・・、どっか行け」 剣八だ。のしのしと近付くと、一護の血が出ている手を取った。 「触んな!離せ!出て行け!」 払いのけようとしたが、全然離れなかった。まだ血の止まっていない手の平をべろりと舐めた。 「あっ、止めろ!離せったら」 反対の手で外そうとしたが、無駄だった。逆に掴まれて押し倒された。 「やだっ!離せっ!離せよ!」 顔が近付いてきて、びくっとした。まだ顔に残る涙を優しく舐めとった。 「あ・・・、や・・・だ・・・」 一護の首筋に顔を沈めて、舐めていった。 「あっ!やっ、やめ!だめ!この身体じゃ駄目・・・」 チリッとした痛みが走った。 「あうっ!」 袷から手が忍びこんで、乳房を揉んだ。 「あ、やあ、お願い、だから・・・」 涙で潤んだ瞳で懇願されても、獣の欲情に火を付けただけだった。 ビリィッ!と死覇装を破り始めた。 「やっ!やだあっ!」 ばしばし叩いて止めさせようとしたが、止まらなかった。上着を全て取り去った。 「ぐるる・・・」 ペロペロと優しく顔を舐めて来た。怖くてずっと目を閉じていた一護がやっと目を開けて剣八を見た。 ぐすっと鼻が鳴る。 柔らかい舌が頬に触れてくる。手はずっと髪を梳いていた。 「剣八・・・、剣八ぃ・・・、怖いよぉ、怖かったよぅ」 ちゅっと、口付けした。啄むように繰り返し一護の唇に口付けた。 「あ・・・、ん、剣八、剣八・・・」 「うるるる・・・」 不意に乳房の小粒を口に含んで吸いだした。 「あっ!ああっ!ばっ、かぁ!」 ちゅっ、ちゅっと吸い続けた。一心不乱に吸い続ける姿に、子猫の様だと寝てしまった耳の乗った頭を撫でた。 油断した所で、歯を立てられた。 「んあ!痛ぁ・・・」 長い舌でべろりと舐められた。 「んん!は、あ、このやろ・・・」 袴の腰紐に手を掛けられた。 「ひっ!ダメだったら!」 剣八の手を押さえたが構わず動き続ける手。 「こっ!子供が!出来たらどうすんだ!」 ピクッと動きが止まった。 良かった、分かってくれたか?と思ったが、剣八は顔を上げニヤリと笑うと一気に下着ごと剥ぎ取った。 「ぎゃあ!このばか!離せぇ!」 ばしばし叩くが女の細腕ではあまり意味を為さなかった。 その手を取るとチュッと口付けた。そして一護のお腹にもキスをした。尻尾がゆらゆら揺れている。 「お前・・・、子供、欲しいのか?その、俺との・・・」 一護は身体を起こして座ると剣八に聞いてみた。 「ぐるる」 どう、答えていいのか分からなかった・・・。多分俺は変な顔をしたんだろう。剣八が尻尾で顔を撫でてきて、顔を擦り付けて来た。 「剣八・・・、嬉しいよ、すごくな・・・、でも、俺まだ子供だから、せめて成人してからじゃ駄目か?俺もお前の子供が、欲し、ん」 いきなり口付けられた。息が苦しくて、口を開くと舌がぬるりと這入ってきて、口内を蹂躙した。 「んん、あう、ふうん!んっ、んっ!あぁ」 飲み込み切れない唾液が口の端から伝い落ちた。はあ、はあ、と荒い息を繰り返していると首筋を舐めて来た。 「やあん!熱い、剣八、剣八」 ぎゅううと抱き締められた。苦しかった。けれど何かが充たされた。俺は剣八にも充たされてほしくて俺も抱き締めた。 いつもよりも小さくなってしまって、全然届かなかったけど剣八は尻尾で頭を撫でてくれた。嬉しかった。 「ああ・・・、剣八、もう良いよ、抱いて?俺を抱いて、いつもみたいに・・・、お願い・・・」 止められない・・・。剣八が欲しい、子供が出来たら、産もう、こいつの邪魔には決してならない様に・・・。 剣八を愛してるくらい愛そう・・・。そしたらこいつはヤキモチ焼くかな?ふふっと笑ってしまった。 コッチを見て来たから、 「子供が出来たらさ、お前とおんなじぐらい愛して育てようと思って。そしたらお前ヤキモチ焼くかもって思ったらおかしくて」 「・・・、ふん」 って否定はしないのかよ。まあいいや。俺は剣八の鎖骨にキスマークを付けた。とさっと押し倒された。体中にキスをされた。 胸は、ちょっと痛かったけど、揉まれては舐められた。その度に痺れが体中に走って、下肢が疼いてもじもじした。 剣八の手はいつもより優しくて、下腹まで舐められると腰が揺れて、どうしようもなく感じてしまった。 「はあ、ん、剣八ぃ・・・、変、変、お、おかしいよ・・・」 ちゅっと吸い上げると、足を割り広げた。 「やあ!ダメェ!は、恥ずかし・・・!」 剣八は優しく、橙色の茂みにキスすると、ぺろりと舐めた。 「ひゃあぁん!あっ、あっ、いやっ、いやっ、だめぇ!」 聞く耳持たず、ペロペロ舐め続けた。奥から溢れて来る蜜でぐちゃぐちゃだ。 「は、あ、ああ!なに?なに?いやあぁあっ!」 ビクッビクッと痙攣した一護。女の身で初めて舐められただけで達してしまった事に戸惑っているようだ。 「あ、あ、剣八ぃ・・・」 ぐいっと口を拭うと、一護の秘所に自身を宛がった。ぐっと一気に奥まで侵入した。 「あっ!あぁんっ!あ、熱い・・・!」 動かない剣八を見ると、目を瞑って呼吸を整えていた。きゅうんとした一護は思わず締め付けてしまった。 自分の中の剣八の脈動をより感じ取ってしまい、 「ああん、び、びくびくしてる・・・」 ずるりと抜くと、慣れるまでゆっくりと動いた。 「あっ、あっ、んっ、あっ、善いっ、剣八、気持ちいいよぅ!」 もっとと強請る様に揺れる細腰を捕まえると、抜けるギリギリまで抜くと奥まで突いた。 「ああんっ!もっと!剣八っ!好きっ!好きっ!あっ!愛してるっ!んああっ!」 どくんっと奥に熱いモノが出された。 「ああん!剣八のがぁ・・・」 剣八の背中に爪を立てて、イッた一護。まだ中で硬さを維持している剣八が、ゆるゆると動きだした。 「ふぁん!あ、あ、も、もう?」 「ぐるる」 ハッ、ハッ、と興奮している剣八は獣そのものだった。 ああ・・・、喰われる・・・。どこか恍惚とそんな事を考えた。一護の身体を反転させると背中から覆い被さった。 「ん・・・、あ、奥に、くる・・・」 グチュッと奥を穿った。背が撓る。仰け反る首に煽られる。その頬に涙が伝い落ちた。 「ああ、ああ、あっ、んっ、良いっ、剣八、ひあっ!」 一護の耳に舌を這わせた。ぐちゅぐちゅと音を響かせて、耳穴を犯した。 「やああん!だめ、だめ!おかしくなる!おかしくなるよう!」 ヂュッと耳を吸うとシーツを手繰り寄せ、剣八を締め付けて達した一護。 「んああんッ!はぁぁあ・・・」 はぁっ、はぁっ、と上下する一護の背中、後ろから手が伸びてきて、両の乳房を揉みしだく。 「ああん、も、もうだめぇ・・・」 びくびく反応する身体。 「ぐるるる・・・」 「ああ・・・ん・・・」 背中にちゅっちゅっとキスを降らせては跡を付ける剣八。また反転させて一護をこちらに向ける。 「んあ、剣八の顔、見えた・・・」 両手で包んで、ふわりと笑った。その顔にたまらなく、愛おしいという感情が溢れた剣八。 ぱふっと胸に顔を埋めて、一護の匂いを胸一杯嗅いだ。 「うるるるる・・・」 ペロペロと乳房を舐めるとまた乳首を吸い出したが、ちゅうちゅうと本当に子猫が甘えるように吸い始めた。 「ああ・・・、剣八、俺もお前が愛しいよ・・・」 あんなにも強いクセに、なんて儚く見えるんだろう?愛しい、愛おしい。誰よりも、何よりも・・・。 何度も何度も、繰り返し頭を撫でて、繰り返し囁いた。 「うるるるる、うるるるる、るあぁああ・・・」 くちゅりと動き始めた。 「んっ!」 それでもさっきよりは優しくて、俺はいつもより感じてしまった。 「あっ、あっ、けんっ、ぱちっ、あぅっ、ううんっ、と、溶けちゃうよう!あっ、ああっ、んあっあっあーー!」 ビクンッビクンッと痙攣する一護の奥深くに精を注ぎ込む剣八。その熱さに気絶してしまった一護。 剣八は、尻尾でお腹をさすりながら、蒲団を掛けてやった。 「ん・・・、あ、えと・・・」 目が覚めたが、イマイチ状況が思い出せない。覚醒するに従って思い出した。ガバッと起き上がる。 ・・・まだ女の身体だ・・・。内腿が気持ち悪い・・・。風呂に入りたい・・。横を見ると剣八がこっちを見ていた。 「風呂・・・、一緒に入るか?」 「ぐるる」 当たり前のようについてくる。ふっと笑って、身体を洗う。首筋に一段と赤い跡が付いていた。 「お前は・・・」 ふいっと横を向く剣八。 剣八の身体も洗い終えて一緒に湯船に浸かる。いつものように後ろから抱き竦めるように入る剣八。 楽でいいんだけどね・・・。何故か今日は尻尾が絡み付いていた。 お湯の中でふにふに胸を揉んでいる剣八。何を思ったかいきなり噛みついた。 「痛あ!何すんだ!お前!」 ぺろりとその後を舐め、まるで自分のモノだと宣言しているようだ。ふうっと息を吐くと、 「俺の身体は、全部お前のだから、安心しろ」 そう言ってぽんぽんと頭を叩いた。 剣八がギュッと抱いてきて、一護の頭に顔をすりすり擦り付けて来た。 でっけえ子供・・・。 そう思った。 それから、剣八は一護の身体を求めなくなったが、夜、一緒に寝る時は同じ蒲団で寝て、乳房に吸い付いてきた。 ふにふに揉んでは、ちゅくちゅく吸ってきた。 俺は、母親か?やっぱりでっけえ子猫だ・・・。 一護はそう思いながら、頭を撫でてやった。 安心して眠る大きな子猫。 終 09/01/11作 第56作目です。いつもと立場が逆転しちゃった黒猫さん。たまには良いよね? 元の身体に戻るまでだし、戻ったらイケイケどんどんだし・・・(笑) |
|
文章倉庫へ戻る |