題「お年玉」
 年の暮、一護は少し悩んでいた。やちるにあげるお年玉だ。現世とは通貨が違うだろうし、やはりお菓子だろうか?
そう考えて、金平糖も入った大きなお菓子の詰め合わせを買った。後は剣八だ。これもやはり酒だろう。
現世の珍しい酒なんか喜びそうだ。
「ん〜、何が良いかな?バーボンとか強い酒の方が良いか?ウイスキーとブランデーはどっちが良いんだろ?」
分からなくなったので、父親に聞いてみた。
「なあ親父、酒の強い知り合いがいるんだけどさ、どんなのやったら良いと思う?」
「んん?何だいきなり?何が好きか知らんのか?」
「何でも飲んでたな、強い方がいいかな、味重視の方がいいかな」
「ちゃんと成人してんだろうな?」
「あー、結構いってる(百や二百は軽く)、こないだ世話になったから」
「ふーん、じゃあこれ持って行け」
一心が差し出したのは、歳暮に貰った洋酒のセットだった。見るからに高価そうだ。
「良いのかよ!貰っちまっても!」
「いいの、いいの、酒の味なんて分からんもん」
「これ何の酒?」
「バーボンとブランデーだな」
「どう違う訳?」
「ワインを熟成させたのがブランデー、バーボンはウイスキーだな」
「へ〜、サンキュ―助かったぜ、親父!」
「お前は飲むなよ?未・成・年?」
「分かってるよ」
正月2日に逢いに行こう。一護はわくわくしながら、年明けを待った。

 瀞霊廷に着いた一護は、すぐに十一番隊に向かった。
隊首室に入って新年の挨拶をした。
「あけましておめでとうございます、今年も宜しくお願いします」
少し照れた様にはにかむ一護。
「おう、宜しくな、一護」
「こちらこそ、宜しく一護君」
「あけましておめでとー!いっちー!」
「おめでとう、やちるコレ、お年玉」
「わっ!ありがと!何かなぁ!」
ガサガサと袋を開けるやちる。
「うわあ!お菓子がいっぱいだぁ!ありがとう!いっちー!」
ピョコピョコ飛び跳ねて喜んだ。
「剣八は?」
「まだお部屋だよっ」
お菓子に夢中のやちるに教えてもらい、部屋に向かう。
「いいのかな?」
「いいんじゃね?隊長も非番だし」
「そうだね」

「おーい、剣八!起きろよ!寝正月にも程があるぞ!」
「うるせえな・・・、一護か・・・?」
「おう、あけましておめでとう、コレ!お年玉だ」
「子供か?俺は」
漸くむっくりと起きて、それに目をやる。
「なんだよー、喜ぶと思ったのに。要らねえなら一角と弓親にやってくる」
「要らねえとは言ってねえ・・・」
腕を掴んで引き止める。
「中身、なんだ?」
「酒、現世の洋酒だよ」
「ようしゅ?」
「外国の酒の事だよ、珍しいと思って喜ぶかなって・・・」
「ふうん・・・、美味いのか?」
「さあ?俺はあんまり飲まないからな」
箱から出して、匂いを嗅いでいる。
「悪かねえ匂いだな、このまま飲むのか?」
「あ、え〜と確か、水とかお湯で割ったり、氷だけで飲んだり、そのままでも飲めるみたいだけど」
「ふ・・・ん」
剣八は、ブランデーを枕もとに置いてあった湯呑みに入れた。
「お、色付きか」
くっと一口飲んだ。濃い、が美味い。
「美味いな・・・」
ご満悦だ。くいくい飲んでいる。
「お前、朝から・・・、しかも寝起きで良く飲めるな・・・」
「ふん、鍛え方が違うんだよ」
くいっと最後の一口を飲み干すと、次はバーボンに腕を伸ばした。
「これも似たようなモンか?」
「うん、多分・・・」
また湯呑みに入れて、くいっと飲んだ。
「へえ、味が全然ちがうな」
「あ、分かるんだ、どっちが好きだ?」
「どっちねぇ・・・」
湯呑の中身を飲み干すと、
「そりゃあ、こっちだな」
と一護を押し倒した。
「うあっ!な、何言ってんだ!酒の話だ、酒の!」
「年玉なんだろ?ならより嬉しい方選ばせて貰うさ・・・」
と口付けをした。
まだ舌に残っている強い酒の味が一護の舌に染みていく。
「んっ、んん、ぁっ、ふあ、んぅ・・・」
唇を離すと、とろんとした目で見てきた。その目尻は朱をさしたかの様に赤くなっていた。
「あ・・・、剣八・・・」
「なんだ?酔ったのか?酒にか?それとも口吸いか?」
ちゅっちゅっと首筋にキスしながら訊いてきた。
「ん、ばかぁ、あ、ん」
くっくっと低く笑うとブランデーを軽く一口、口に含むとそのまま一護に口付けた。
「んっ!んんっ!くふぅ、んくん!」
とろとろと口移しで与え、口腔内を舌で掻きまわした。コクンと飲み込んだ途端に喉が焼けるようだった。その痛みを癒す様に剣八の舌に吸い付いた。
一護は全身が熱くなり、頭がぼうっとしてきた。
「んん、はあぁ・・・」
「美味かったか?」
胸の袷から手を入れてくる剣八。
「はぁんっ!」
と派手にビクつく一護。
「やあぁ・・・、やらぁ、離してぇ・・・」
ふるふると震える手で突っぱねて、
「こんな、正月から、なに、かんがえてんらよぉ・・・」
もう呂律が回っていない。
「なあ、一護?その年初めての情事の事なんて言うか知ってるか?」
「・・・?」
「姫始めって言うんだよ・・・、いいから大人しく抱かれてろ・・・」
「ばかぁ、ん」
憎まれ口を叩いても、もう抵抗できないらしい。力の入らない身体は既に裸にされていた。
「ふぁ、いつの間に」
「さてな、良い声で鳴けよ?お姫さん?」
胸の飾りを口に含む。
「はぁあんッ!ゃ、あっ、あっ」
もう片方は摘まみながら、ぬるつく熱い舌で転がしては、噛んで吸い付く。その度に甲高い声を上げる一護。
「やだぁ・・・、変、何か身体変だよぉ・・・」
縋るように剣八の髪を握り締める一護。今日は前よりも後ろが反応して居た堪れない。
「何が変なんだ?一護?」
顔を上げ、手を下肢へと伸ばし、中心を包みこむ。
「やっ!やだ!あっん!んんっ!」
「一護?言わねえなら意地悪すんぞ?」
「やだぁ・・・、恥ずかしい・・・」
「言えよ・・・」
耳元で低く囁いて、耳朶を食む。
「んあぁ・・・、あ、あ、ゃぁん」
身体に刺激を与えられる度、期待するかのように後ろがヒクついた。
「一護・・・」
名前を呼びながら、耳に舌を差し込んでくる。その熱さと柔らかい感触と湿った音に身悶える。
「ああ、ああ、もう、もう・・・!」
敷布を握りしめ、背を撓らせる一護に、
「まだだ、勃ちも悪いし、我慢できんだろ?」
くちゅくちゅと音させて、指を動かすがあまり変化が見られなかった。
「酒のせいか?」
「あ、あ・・・」
コリ、と双球を摘まむと、
「ひゃあん!やだ!」
こぷりと先走りを溢れさすと、それを指に掬って後ろに塗り付けると、
「ああん!や、いや・・・、変、変だからぁ・・・」
「・・・、なるほど・・・」
ぬくくと中指を埋めていく。
「はああん、あ、あ」
「お前、後ろが疼いてしょうがなかったんだろ?ん?」
嬉しそうに聞いてきた。
「し、知らない!んあっ!」
剣八の指が中の壁をかり・・・と引っ掻いた。
「そうかぁ?気持ち良さそうだがなぁ?」
曲げたままの指を抜いていき、入口あたりで引っ掛けた。
「やあぁあ!あ!あ!」
そしてそのまま奥まで戻す。を繰り返した。
「あ!あ!ば、ばかぁ!ひん!ひあ!」
コリッとしこった場所に指が当たった時、一際高くなった声に、
「ココ・・・、気持ちいいか?」
と囁き何度も擦ってきた。
「やぁ、ああ!ああ!あっ!んあぁああっ!」
強めに指の腹で押し上げた。背を撓らせ、ビクンッ、ビクンッと痙攣する一護。
「イッたか?一護」
「あ、あ、わ、分かんない・・・、だって、でてない・・・」
なのに脳髄が甘く痺れて、動くことすら儘ならない。
指を抜き取ると、
「んあ!」
と鼻に掛った声を漏らす一護。名残惜しげにヒクついていた。
「可愛いな、一護。早く中に入りてえよ・・・、いくぞ」
「う、うん、来て剣八・・・」
両手を伸ばし、剣八の首に抱き付いた。
「一護・・・」
腰を持ち上げ、抱きかかえる。
「んっ、あぁ・・・、剣八」
すりすりと顔を擦り付けた。
向かい合わせに座る形になり、ゆっくりと一護の中に入っていった。
「んああ、剣八ぃ・・・、奥まで来て・・・」
「ああ、全部埋めてやるよ」
根元まで全部納めきった。
「あ、あ、け、剣八が、中にいっぱい、い、居るぅ・・・」
震えながら呟く一護。
「今度は奥まで突いてやる、好きなだけイケよ一護」
「う、うん・・・」
膝裏に手を差し入れ、抜けるギリギリまで持ち上げた。
ズルッと抜ける感覚に一護が、
「んああ」
と声を出す。次の瞬間には奥まで貫かれた。
「ひあああん!剣八、剣八、すごい・・・」
「くっ、そんなに締め付けんなよ、動きづれぇだろ?」
「んんっ、だって、今日はおかしいもん・・・」
「何が?」
言いながら緩く腰を動かす剣八。
「あ、あん、あっ、気、気持ち良すぎるからぁ・・・!なんか怖い・・・」
「怖くねえだろ、お前抱いてんのは俺なんだからよ」
そう言いつつも、抱き締めて背中を撫でてやった。
「う、うん・・・、剣八の身体、気持ち良い・・・」
安心した様に顔を擦り付けた。ふわっと自分の身体が軽くなったと思ったら、蒲団に押し倒された。
「んっ・・・」
「一護・・・、ワリィな我慢出来ねえよ」
「あ・・・」
自分の中で脈打つ存在に頬を赤らめつつ、
「いいよ・・・、だって剣八だもん」
めちゃくちゃにしてもいいよ。と耳元で囁いた。
「一護・・・!」
ぐちゅっと奥まで突いてやった。
「ああっ!いいっ!気持ちいいっ!剣八!」
「一護、一護!」
いつもより多少乱暴な気もするが自分が止められない。
「はっ!あっ!あぁんっ!いっ、イくっ!イクッ!イッチャうよう!」
「イケよ!俺もお前ん中に出してやるからよ!」
「あぁんっ!うっ、嬉しい!はあっ!あぁああっーー!」
「く、う!」
どくんと奥に熱いモノを感じた一護は、
「ああ・・・、剣八の・・・、気持ちいい・・・」
と呟いた。
ヒクヒクとヒクつく中から、ずるりと抜き取ると一護がしがみついて、
「だめ・・・、まだ・・・、出てっちゃやだぁ・・・」
剣八の耳朶を唇で食んでは、舌でなぞっていった。
「っ、一護・・・!煽りやがって・・・、後ろ向け・・・」
「ん・・・」
反転させると、その腰を掴んで高く持ち上げた。
「あ・・・、や、剣八ぃ・・・」
「や、じゃねえよ、いくぞ・・・」
まだ硬い自身を宛がい、奥まで満たしてやった。
「んあぁぁあ・・・、剣八・・・」
はっ、はっ、と息も荒く名前を呼んだ。
「一護・・・」
一護の背中に密着して、耳元で囁いた・・・。びくんっと撓る一護の背中。
「あ、ああ・・・」
それだけでキュウゥと締め付けてしまった。
「くっ、今日はほんとに感じやすいな・・・」
くくくと笑い、一護の耳を舐め回す。
「やあぁん!もうだめぇ・・・!」
ふるふる震えて、それだけで達してしまった。
「ああぁん・・・、剣八、剣八、顔見たいよ・・・?どこ?」
ぐん!と奥を突かれた。
「ひあん!剣八ぃ・・・」
「ここにいるだろうが、甘ったれだな」
まあ、そこが可愛いんだけどよ・・・。と心の中で呟きながら、一護の片足を持ち上げ肩に掛けた。
「んあ!な、何するの?」
不安そうに聞いてきた。
「顔が見てぇんだろ?よく見ろよ」
初めての格好で交わる一護は、
「剣八ぃ・・・」
と呼んだ。
「大丈夫だ、気持ち良くしてやるから、お前は感じてろ」
と額にキスしながら、動きだした。
いつものように、抜けるギリギリまで抜いてから奥を穿った。
「ああっ!ふっ、深いよぅ・・・」
「良いじゃねえか、好きだろ?」
「ばかぁ、あっ!あっ!いやっ!やだっ!怖いよう!」
「気持ち良くねえか?ん?」
ずるるとギリギリまで抜いて、聞いてきた。
「んん、あ、あ・・・、き、気持ち良すぎて、やぁ・・・」
さっきまで満ちていた奥が、何も無くなって疼き出す。知らず揺れ出す腰に苦笑する剣八。
「ならどうしたい?一護」
「どうって、いつもみたいに・・・、して・・・」
「いつも?」
「前から抱いて、よ」
両手を伸ばして、首に縋りついた。
「しょうがねえな・・・」
と前から抱き込んだ。
「ん・・・、剣八、好き、大好き・・・」
ぐいっと奥まで埋めてやる。
「ああ・・・、熱い、剣八ぃ・・・」
「一護、こっち向け」
「ん・・・」
口付けをした。一護は剣八の髪や背に手を這わせた。
「ん、んん、くちゅ、あ、んふ、あぁ・・・」
くたくたした身体の動きで、限界だなと察した剣八が、
「いくぞ、これで終いだ」
「あん、剣八・・・」
ズッと腰を動かした。
「ああっ!あっ!いいっ!剣八っ!剣八っ!気持ちいいっ!ああっ!」
ギリリとその背に爪を立てる一護。
「く!可愛いことすんじゃねえか、返礼だ」
一護の肩に噛みついた。
「あぁんっ!んんっ!」
ピュクッピュクッとイってしまった。剣八の動きはまだ止まらない。
「ああっ!ああっ!やっ!もう、またイクゥッ!」
「イケよ、一緒にイコうぜ、一護・・・」
「ん!ああっ!ああっ!ああっあっーー!」
「くっ、う!」
最後の一滴まで中に注ぎ込んだ。
「あ、あ、は、あ、剣八ぃ・・・」
「一護・・・」
髪を梳いて、生え際に口付けた。
「ん、きもちいい・・・」
「そうか、風呂入んぞ」
「うん・・・」
まだ中に入っているモノを抜き取った。
「あっ・・・、んん」
ふるると震えた。
「立てるか?」
「ん」
立とうとしたが、膝からカクンと崩れてしまった。
「腰、抜けたか」
真っ赤になって俯く一護に襦袢を掛け、抱きあげて風呂場に連れて行く。

「ゴメン・・・」
「いつものこったろ」
「う・・・」
「気にすんな、俺もやり過ぎた」
身体を洗われ、二人で湯船に浸かっていると一護が、
「なぁ、後ろ向けよ」
と言った。
「あん?何でだよ」
「良いから・・・」
背中を向けると、やはりと言おうか、引掻き傷があった。自分が付けたものだ。
「痛いか?」
背中に手を置き聞いてきた。
「いや・・・」
「そうか・・・」
と呟くと一護は傷跡を舐めて来た。
ぺろぺろと舐めてきて、剣八が、
「もう良いだろ、こっち来い」
と言うまで舐めていた。
「そんなもん気にするより、抱かれてろ」
グイッと胸に引き寄せられた。
「うん、あったかいな、剣八は」
「この後は、どうすんだ?」
「ん?」
「寝るか、雑煮食うか?」
「剣八は?どうするの?」
「寝る」
「じゃあ、一緒に寝る」
「そうかよ・・・じゃあ、上がるぞ」
「うん」
着替えて部屋に帰る。
綺麗な蒲団に入って寝る二人。
「お前にもお年玉やんねえとなぁ・・・」
「いいよ、今貰ってるから」
「あん?なんだそりゃ?」
一護は指で、剣八を黙らせると胸に耳をくっ付けた。
―トクン、トクン、と心臓の音に耳を傾ける一護。
「これでいい。これが、あるからいいよ・・・」
と呟いた。剣八は、一護をぎゅっと抱き締めると、
「そうかよ・・・」
と言い、髪を梳いた。一護が眠るまで梳き続けた。幸せそうに眠る一護の顔がそこにあった。







09/01/01作 第49作目。新年一発目からエロですわ。ちょっと甘いのを目指してみました。

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