題「遅れて来た聖夜」
今週の報告日は、クリスマスが過ぎた週末だった。
一護は少し複雑だった。剣八は多分知らないだろうな・・・。けど逢いたかったかな、俺は・・・。
いつもより早めに瀞霊廷に着き報告を済ませ、十一番隊隊舎に行く。
「おはよう一護君、今日は早いね」
「まあな・・・」
「・・・。丁度良いや、隊長起こしてきてくれるかな?」
「良いけど」
弓親に頼まれて剣八を起こしに行く一護。
その様子を見ていた一角が、
「おい弓親、隊長今日、非番だぞ?」
「知ってるよ、でも良いの!さて人払い、人払いっと」

「おい、剣八入るぞ、起きろ朝だぞ」
もぞもぞと蒲団の中で動いている剣八。
「ほら、早く起きろよ!」
「うるせえな・・・」
むくりと起き上がるとガシガシ頭を掻いて徐に、
「遅かったな、一護」
と言った。
「はあ?何言ってんだ?いつもよりは早く来てるぞ」
「違う。なんで一昨日に来なかったのか聞いてんだ」
「なんでって?」
「一昨日は現世で祭りがあったんだろ?なんか番いの祭りで栗がどうたら言う」
「・・・クリスマスの事か?」
「あー、そういうのか?」
「知ってたのか?て言うか、つがいって・・・」
「俺らみてぇな奴らがはしゃぐんだろ?」
そう言って一護の腕を掴んで自分に引き寄せた。
「うわっ!っとそんな事より、し、仕事だろ!」
「あん?俺ぁ今日非番だ」
「んなっ!弓親の奴何にも言わなかったぞ!」
「ははあ、アイツなりに気ぃ使ったんだろ」
「う・・・」
「ほれ、甘えてろ・・・」
「・・・ん」
一護は剣八の膝に顔を埋めて甘えた。
「ごめんな、来れなくて・・・。でもあの、プレゼントにこれ・・・」
ごそごそ取り出したのは、手編みのマフラー。ちょっといびつな所はご愛敬。
「なんだ?こりゃ」
「マフラー、首に巻くんだ」
「ふーん・・・」
まじまじと見る剣八。
「お前が作ったのか?」
「う、うん、下手だけど一応は・・・」
「いい色だな・・・」
「そ、そうか!」
なでなでと頭を撫でてくれた。
「俺は何も用意してねえからなぁ・・・、悪いがこれでお返しだ」
一護の顎を掴むと口付けた。
「んっ、んふ、あ・・・、ふ、む」
ふるっ、ふるっと震える一護をそのまま押し倒す剣八。
「あ、やだ・・、こんな朝から・・・」
「気にすんな、どうせもう誰も居ねえよ・・・」
一護の首筋に跡を付けながら囁く。
「あっん、そんな・・・」
「一護・・・」
「剣八・・・」
逢いたかったのは俺だけじゃなかったんだ・・・。
嬉しくて両手を伸ばして抱き締めた。
「一護、今日は夜まで付き合ってもらうぜ?可愛がってやるよ・・・」
「うん、いいよ・・・」
幸せそうに笑う一護。

「もうちっと、甘え上手になりゃあいいのによ・・・」
眠ってしまった一護を撫でながら一人呟く剣八。
その膝の中、安心した顔で眠る一護。







08/12/26作 第48作目です。色々力付きました・・・。寸止めでごめんなさい。元気になったら加筆修正します!
みすずさんに捧げます。



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