題「子猫、家出する」
―その日、隊長は朝から機嫌が悪かった。
書類の不備や、隊士が四番隊で暴れた事を総隊長にくどくど説教されていた。
だからきっと間が悪かったんだと思う。だっていつもならあんな事で怒らないもの。
「あーっ!うっとーしかったぜ。なんで俺があそこまで嫌味言われなきゃなんねえんだよ!」
「まあまあ、僕らも書類片付けるの手伝いますから」
ドスドスと歩いて帰ってくると縁側で昼寝してた一護君が目を覚ました。
「んに?」
「やあ、一護君お目覚めかい?」
「にゃあ」
トテテテと剣八に近づいてすりすりしようとするが、すぐに隊首室の自分の席に座って、不機嫌も露わだ。
「? にゃ?」
「何か用かよ?用がねぇなら出てけ。俺は忙しい」
「 !・・・ふ、に・・・」
「隊長!言い過ぎですよ、一護君ホント今日は忙しいだけだからね」
耳を寝かせて、今にも泣きそうな顔を一瞬だけ見せた一護君。
「・・・にゃあ」
へらっと笑って出て行く一護。自分の部屋に行くと、この前貰った巾着に一杯お菓子を詰めて静かに隊舎を出た。

行くあても無く一護は歩いていた。とぼとぼ歩いていると目の前が霞んできて涙が溢れていた。
「に、ひっく、う・・・」
こしこし目を擦りながら、茂みに隠れた。泣いてる顔なんて見られたくない。
「誰じゃ?そこで泣いておるのは」
「にっ!」
尻尾が倍に膨らんで茂みから、はみ出た。
「尻尾が出ておるぞ、黒崎かの?」
「み、ふみぃ・・・」
おずおずと顔を出した。
「どうした?何を泣いとった?ん?」
擦り過ぎて赤くなった目で元柳斎を見ると、申し訳なさそうに笑った。それを見た元柳斎は、
「更木に八つ当たりでもされたかの?ちと今日は説教したからのぅ」
困ったもんじゃ。そう言いながら一護の頭を撫でてやった。カサカサした手が心地良かった。その指先は剣八と同じ様に小さなキズがたくさんあった。ぺろ、と舐めると、
「ふぉ、ふぉ、可愛いのぉ。茶でも飲みに来るかの」
「にゃー」
漸く茂みから出るとそこら中、葉っぱだらけだった。
『ぐ〜きゅるるる』
一護の腹の虫が鳴いた。
「あう・・・」
思わずお腹を押さえる。
「ふむ、お茶より先に昼ご飯が先じゃな」
「にゃう・・・」
「気にするでない、こんなジジイでもよければ一緒に飯を食ってくれんか」
「にゃあ」
一護は元柳斎の隊長羽織を握った。
その日のお昼は一番隊で食べた一護。人づてに箸が使えないと聞いていたので副官の雀部に食べさせてもらう。
人から食べさせて貰うのに慣れているのか、一口食べ終えると、「あ」と口を開く。そんな仕草も可愛らしくまるで雛鳥のようだ。
食事が終わると、いつもの習慣で眠くなってきた一護。船を漕ぎ始めると、
「眠いのかの?日当たりの良い縁側で昼寝でもするが良い」
「ん〜、にゃあう・・・」
大きな欠伸をすると静かで日当たりの良い縁側で昼寝を始めた。

その頃の十一番隊ではお昼になっても一護が帰って来ないので少しざわついていた。
「隊長のせいじゃないんですか?」
と弓親。
「なんで俺だよ」
「だって、あんな言い方されたら帰って来にくいじゃないですか」
「けっ!どうせまた他の隊で遊んでんだろ。ほっとけ!」
「もう、知りませんよ。帰って来なくっても!」
「けっ!」

お昼寝から1時間後。
「んんー・・・、んにぃ」
「おや、起きられましたか黒崎殿」
「んにゃあ?」
「ここは一番隊ですよ、お昼ご飯を食べた後にそのまま寝てしまわれましたよ」
雀部に言われて思い出す。
「・・・にゃぁー」
ごそごそと巾着の中からお菓子を取り出して、雀部に差し出す。
「おや、くれるんですか?ありがとうございます」
「にゃあ」
きょろきょろと周りを見回す一護。
「んにゃ?」
「ああ、総隊長はお仕事ですよ。隊首室にいらっしゃいます」
「うなう」
案内してもらって扉の前に行くとノックをしてから、
「んにゃーう」
と声を掛けた。
「なんじゃ?入っても良いぞ」
「にゃ!」
他にも何人かの隊士が居たが、一護は元柳斎の机の上に巾着からお菓子を出して乗せた。
「なんじゃ、くれるのか?」
「にゃあ」
「そう言えばお茶をまだ飲んで無かったの、仕事が入ってスマンの」
「うなーう」
ぶんぶんと首を横に振る一護。最後に髭に触って、満足気に笑うと帰っていった。

帰ると言っても次にあてがある訳もなく、ふらふらと歩いていると朽木邸に来ていた。
「・・・、んにゃーう」
「おや、これは一護殿。遊びに来て下さったんですかな」
「にゃう」
こちらの様子を窺う様子にいつもと違うと気付いたが素知らぬふりをして、招き入れた。
ホッと息をつくのが聞こえた。
「今日は若がお休みでして、宜しければお茶でも?」
「なあう」
嬉しそうに笑った。
池の傍では鯉に餌をやる白哉が居た。
「白哉様、黒崎殿がいらっしゃいました」
「ほう・・・、珍しいな」
「ふに?」
手元を覗き込む。
「コレは鯉の餌だ。・・・やってみるか?」
「にゃあ!」
尻尾がふよふよと揺れ、目がきらきらと輝いていた。
まるで子供ではないか・・・。
「少しずつばら撒く感じでやるのだ」
「にっ!」
少し手に持つと、パラパラと撒いた。すると水面に、ばちゃばちゃと鯉が集まっては餌を食べた。
「ほ〜・・・」
ぱちゃんっ!と尾ヒレで水面を叩いていくものも居た。
「にゃっ!」
ちょっとびっくりして白哉の後ろに隠れた。
「白哉様、一護殿、お茶が入りましたよ」
「うむ」
「うにゃ」
ぴこぴこ耳を動かしていた。手を洗ってお茶を飲む。やはり清家は自分の分を用意していない。
「んにゃう?」
「良いのですよ」
なぜか会話が成立している二人に、
「何の話だ」
と聞く白哉。
「いえ、一護殿がなぜ私の分のお茶が無いのかと以前筆談にてされましたので」
「ほう、なるほどな」
その手があったか。
「時に黒崎、その巾着は何だ。パンパンに膨らんでおるぞ」
「ん?んにゃ」
中身を見せる。ぎっしり菓子が詰まっていた。
「これはまた。頂き物ですかな?」
少し目を伏せ、ふるふると首を振る。
「あう・・・、あ、な、う」
またじわりと涙が滲んだ。
「爺、筆と紙を」
「御意」
「ふみ?」
ぐすっと鼻を啜っているとすぐに筆と紙が用意された。
「何があったか、ここに書くが良い」
「にゃぁ」
一護は、剣八に言われた言葉と初めて取られた態度にどうしていいか分からないのだと書いた。
「なら好きなだけここにいるが良い。どうせすぐ草鹿に見つかるだろうがな、あ奴がどう出るかで変わってくる」
「にゃあう・・・」
とても怖い。寂しい。何が悪かったの?俺が悪いの?分かんない。悪いとこ直すよ?そばに行きたい。剣八のそばにいたいの。
「黒崎・・・」
寝てばっかだから?何か出来る仕事あったらするよ?白哉、分かる?俺何が出来るの?
ぽろりと涙が零れた。
「あっー!いっちーが泣いてるー!」
「草鹿、遅かったな今日は」
「どうしたの?なんでいっちー泣いてるの?」
「更木のせいのようだが?」
紙をやちるに見せる。
「いっちーは悪くないよ!今日の剣ちゃんは虫の居所が悪かっただけだよ!」
「でもねぇ、こんなにも一護を凹ますなんて、いくら更木隊長でも許せないわねぇ」
いつの間にか乱菊を始めとするメンバーが集まっていた。
「その方達はどこから・・・」
屋敷の壁に空間が出来ていた。
「ねえ、ここなら霊圧も遮断できるから、一護アンタここにいなさい。良いわよね?やちる」
「うん、いいよ」
「うう、みあ、みあぁ・・・」
「ああ、泣かないで一護。良い子だから」
乱菊がその胸に抱き寄せた。いつもなら嫌がるのに、みィ、みィと泣き縋るように甘える一護。ぴすぴすと泣きやむと眠くなったのか船を漕ぎ出した。
「可愛いわぁ。更木隊長ってば何がそんなに気に食わない事があったのかしら」
「山本のおじいちゃんにお説教貰ったってゆみちーが言ってたよ」
「ああ、それだわ」
乱菊の膝の上ですう、すうと寝息を立てる一護、白哉も清家もメンバーもこんな無防備な一護は始めてみる。
それだけ傷ついていたようだ。
「という訳で、朽木隊長お屋敷借りますねぇ」
「何を言っても聞かぬであろうが」
好きにしろと言って自分の部屋に帰った。
「ほら、こっちいらっしゃい一護、ここなら見つかんないし、あったかいわよ」
「にゃあ・・・」
寝惚けまなこで秘密基地の中に入っていく。
「さ、ここで好きなだけ遊ぶなり、寝るなりなさい。あたし達は仕事があるから、また後でね一護」
「にゃあ・・・」
部屋の隅っこで丸くなって眠る一護。

お腹が空いて目が覚めた。誰もいなくてシーンとしている。明かりは点いていたが暗く感じた。
巾着からお菓子を出すと、はむはむと食べる。食べている内に涙が溢れて来た。泣きながら食べていた。
「ひっく、う、んくん、うう、あむ、うっく、うえぇん」
ひとしきり泣いて、食べ終わると膝を抱えて震えた。誰も居ない。剣八もやちるも・・・。酷く心細かった。
「いっちっご!来たわよって、どうしたの?泣いてたの?」
「ふみぃ・・・」
「ああ、ごめんなさいね。一人きりだったものね、よしよし」
「うにゃあ・・・」
すりすりと頭を擦り付けて甘えた。
「もう夜の8時ね。今日はここで一緒に寝ましょうか?」
「・・・んにい・・・」
剣八に会いたい、怒られてもいいから傍に居たい。
こんな時間まで帰らなかった事無いのに探してる様子もないみたいだ。そこへ、
「一護ぉっ!ここにいんだろ!出て来い!」
「ぴっ!」
「あら、更木隊長だわ」
怖い、でも逢いたい・・・。
「逢いたいの?一護」
「んにゃあ」
「しょうがない子ね・・・」
壁から外に出ると白哉と剣八が一触即発の状態だった。
「一護!」
思わず乱菊の腕に掴まる一護。おずおずと上目遣いに剣八の顔を見る。
「帰んぞ、さっさとしろ!」
「黒崎は帰らん。自分で追い出しておいて勝手が過ぎるというものだぞ」
「てめえに関係ねえだろ!おら!一護お前はどうしてぇんだ」
「黒崎は先程から泣いてばかりいたぞ。兄の軽率な行動のせいでだ」
「ぐ・・・」
一護の泣き腫らした目を見て言葉に詰まる。
「んにゃあう・・・」
くいくいと白哉の着物の裾を引っ張る一護。
「帰りたいみたいですよ?やっぱり恋人の傍を離れるのは嫌だったみたいですね」
バツの悪そうな顔の剣八。
「・・・にゃあぅ?」
伺うような一護に、
「帰って来い。・・・ここに来い」
と言うと一護は、ばふっと剣八の胸に飛び込んだ。グリグリ顔を押しつけて甘えながら匂いを嗅いだ。
「ふみぃ、んなあぅ、んなあぅ」
「致し方あるまい。あまり子供を泣かせるな更木」
白哉もその甘えっぷりに折れた。
「早く連れて帰れ」
「ふん、邪魔したな」
「にゃあう」
バイバイと一護が手を振る。
「なんだかんだ言っても更木隊長も心配だったみたいですね。ここまで探しに来るなんて」
くすっと笑って乱菊が言った。

十一番隊に戻ると弓親に、
「ああ良かった!見つかったんですね!一護君心配したよ、夕飯の時間になっても帰って来ないんだもの」
「んなあう・・・」
「良いよ、さっ、お風呂に入っておいで」
「にゃあ」
着替えを持って風呂場へ行く一護。風呂に入ると剣八が先に入っていた。
「遅えよ、こっち来い洗ってやる」
「んなあぅ」
頭を洗われ、身体も洗われる。
「・・・冷えてんな・・・」
「にい」
ぬるっと胸に手を這わせる。
「あっ、にゃっ」
ぬるぬると下へ下へと伸びて行く手・・・。
「やっ、ぁっ、ん」
「一護・・・」
「ふぁ・・・」
中心に辿り着く手に弄られる。
「あっ!あっ!」
後ろから抱かれて逃げられない。
「いにゃぁ・・・、ん!あっ!ああっ!んっー!」
ぴゅくっぴゅくっと吐精した。はあ、はあ、と息も荒く背中を剣八に預ける。
「気持ち良かったか?」
「んなあう・・・」
ぺろぺろと頬を舐める。柔らかく温かな舌が擽ったかった。
「可愛いな、蒲団の上でもっと可愛がってやるよ」
「ふうん・・・・?」
泡を落として風呂を出る。ざっと着替えさせて自室に向かう。一護は剣八に抱きあげられていた。
「一護・・・、今日は、悪かった・・・」
その一言で良かった。一護は両手で剣八の顔を包むとちゅっちゅっとキスを降らせた。
蒲団に下ろされ、今度は剣八からキスの雨が降ってきた。
「ん、にゃぁ、んぁ」
顔と言わず、胸まで吸われた。一つキスを落とす度に、
「一護・・・」
と名前を呼んだ。
「あ、なあう・・・」
一護が両手を伸ばして剣八に抱き付く。
「一護・・・」
下顎を掬われ、深く口付けられた。何度も角度を変えて、深く深く・・・。
「ん、んん、ふあ、っぁん、んっ、んっ、んうっ」
こくんと、混ざり合ったお互いの唾液を飲み干した。
「はあ、ん、なぁああん」
涙で潤んだ瞳で剣八を見る。
「煽んなよ・・・」
首筋に吸い付いて跡を付けた。自分のモノだと。証しを付けた。
「あうん、に、にゃあうん」
じれったくて腰を揺らす一護。それを見て苦笑する剣八。
「まだだ、一護。ゆっくり行こうぜ・・・」
胸の飾りに舌を這わす。ちろちろと舐めては、吸い上げ歯を立てる。
「あんッ!あっ、あっ、やぁあんッ!」
「一護・・・」
背中を大きな手が撫でて行く。
「ふ、ふあぁああ、んなぁぁあん」
一護の背が撓る。
「もう勃ってんな」
ツツッと撫で上げる。
「やッ!やああん!」
「くくっ!可愛いな、もっと啼けよ?一護」
そう言うと尻尾を根元から舐めあげた。
「ひっ!いあぁん!」
耳がぴるぴる震えている。剣八は執拗に尻尾を舐め続けた。肌蹴た浴衣が乱れに乱れ、もう袖にしか纏っていなかった。
「あ、あうう・・・、ひっ、ひぃん・・・」
剣八は尻尾の根元を強めに噛んだ。
「ひっ!いあぁああんっ!」
一護は前に触れもせずに達してしまった。びくびくと痙攣する身体。
「一護・・・、まだまだイケるか?」
「あ、あ、なぁあん」
一護を裸にし、自分も着ている物を脱いで裸になる。一護の中心に手を伸ばし触れてくる。くちゅっと音がして身を捩る。
「あっ、あううん」
「逃げんな、大人しくしろ・・・」
そう言うと一護自身を口に含んだ。
「やっ!やあ!ああん!」
剣八の髪を掴んで仰け反る一護。
「まだ、イクにゃ早ぇぞ?」
舐めあげて、先端の窪みに舌を押し入れる。
「あっ、あん、あんッ」
こぷっと先走りが溢れ出す。それを指に絡めて秘孔に埋めていった。
「あッ、あッ、んんッ!んにゃあぁあん!」
「ほら・・・、イケよ一護・・・」
「ひぃっ!んああぁあ!」
ぐりっと前立腺を押されて果てた一護。
「あ、あ、ん、はぁ・・・」
その名残を塗り付けて自身を宛がう剣八。
「あ・・・ん、んなぁん」
「一護、お前ん中に入りてぇ、行くぞ」
「あうん、あっ!あぅ・・・ッ!やあ!」
「や・・・、じゃねえだろ?締め付けてきやがって・・・」
「ぁッ、うあっ!」
「動くぞ、一護」
ずるっと抜くと奥まで一気に挿れた。
「ああっ!」
ズンッと奥まで突かれた一護は、それだけで果てた。
「は・・・、あ、あ、んん」
「まだまだこれからだぞ?一護」
「あ、ああ、あっ!あッ!んんっ!いあっ!ああンっ!」
「くっ」
どくんと奥で熱いモノが弾けた。
「んああっ!」
ヒクっ、ヒクっと痙攣する一護。
「一護・・・、まだ足んねえよ・・・、昼も夜も見てねえんだ・・・、もっと見せろ、もっと聞かせろ・・・」
「あ、あうう・・・」
はあ、はあ、と息も荒い一護の耳は寝てしまっている。抱き付いては身体を擦り付ける。
「ああ・・・、なあう、なあう・・・」
「一護・・・!」
ずっ、ずくっ、ちゅッ、ずるッと先程より卑猥な音が響いてより興奮する一護。
「あっ!ああんっ!やああんっ!」
的確に前立腺を抉る剣八の動きにあられもなく鳴き叫び、あっという間に果ててしまう。
「ああ・・・、あ、う、はッ、はッ、ぁぁん・・・」
休む間もなく、ぐんッと奥を突かれ思わず剣八の肩に噛みついた一護。
「あ・・・、にゃあう・・・」
ぺろぺろと舐めて癒す。
「くくっ、噛みグセか?悪いクセが付いたな、一護」
「あう」
一護の牙に親指を押し当て笑う剣八。よく見ると一護の手に傷があった。血が滲んでいたソレを舐める剣八。
「ん、や・・・」
「可愛いことすんじゃねえか、後ろ向け一護」
一護の身体を反転させると、腰を高く掴みあげた。
「あぅっ」
「一護、もっと奥まで突いてやるよ・・・」
そう囁きながら、項に吸い付きここにも跡を付けた。
「あん・・・、あっ、ひあっ!」
ズルリとギリギリまで抜くと、最奥まで満たしてやった。
「んああーー!あ、あ、ん、んあっ!あんッ!あぐっ!やああー!」
強すぎる快感に泣くことしか出来ない一護。
「良い声だな、一護。もっとだ、もっと聞かせろよ・・・」
貪欲に一護の身体を支配する剣八。
「ああんっ!あんッ!ひんっ!やあぁああんっ!んんっ!んんっ!ああっ!あっ!あっーー!」
「くっう・・・」
同時に果てる二人。一護の中から溢れる白濁、その眺めに硬くなる剣八。
「あ・・・、はあん・・・」
中の剣八を感じ取り、後ろの剣八を見返す。涙に濡れた目で何かを訴える。
「何だよ・・・?」
手を伸ばして、顔に触れる。
「・・・ぁ、に、にゃあう・・・」
抱きよせて口付ける。
「前から抱けってか?」
「あう・・・」
ぐいっと引き寄せられ、胡坐をかいた足の中に納められる一護。ずずっと更に奥まで侵入されて、
「なぁんっ!」
と鳴いて震えた。
「一護・・・、顔、見せろ・・・」
は、は、と整わない呼吸で剣八の顔を見る。上気した頬、潤んだ目、悩ましげに寄せられた眉、散らされた赤い花・・・、全てが愛おしかった。
喰っちまいてぇ・・・。肉も、骨の欠片も、髪の毛一本残さずに・・・、流れた血は飲み干してやる。こいつは誰にも渡さねえ・・・。
「に、にゃあう・・・?」
動かない剣八を訝しんで一声鳴いた。
「一護・・・」
目が合った。狂気を宿した目にびくっとした。
「あ、あ、あぅっ!」
腰を掴んでいた手に力が籠った。
「逃げるな・・・、逃がさねえ、一護・・・、逃げられると思うなよ・・・」
「あ、ああ・・・」
まるで甘い毒の様に一護の身体を痺れさせた。一護は自分から口付けた。それしか出来なかった。
腕を絡ませ、指に髪を絡ませて、自分から腰を揺らめかせた。
「んっ、ふっ、はっ、ああんっ、ふあぁんっ!」
自分から動いた。いつもの様にギリギリまで腰を浮かせては、自分の体重だけで身体を貫いた。
「一護・・・」
ふるふる震える一護を見て、
「一護・・・、一護・・・!一護
力の限り抱き締めていた。
「あ、う、かはっ!」
その咳で我に返った剣八が、
「ワリィ、一護」
まだケホケホしている一護の膝裏を持ち上げて、ギリギリまで抜いてゆっくりと抜き差しを繰り返した。
「あっ、あっ、んあっ、はぁんっ!」
仰け反って歯を食いしばる一護。その首筋に舌を這わせながら、指を口に入れる剣八。
「声抑えんじゃねえよ・・・」
「あ・・・、ん、ちゅ」
と舌を絡める一護。
「一護、俺も限界だ、一緒にイコうぜ・・・」
グッと奥を突いては、前立腺を攻めた。
「ひあっ!ひぃっ!ああんっ!ああっ!ああっ!ああんっ!んあ!ああっあーー!」
「ぐっ!」
奥に剣八の欲望が弾けたのを感じて、声を漏らす一護。
「んああ・・・、あぁ・・・」
そしてそのまま意識を手放した。
「おい?一護?気絶したのか・・・」
やり過ぎたか?取りあえず中から抜いた。プチュッと中から溢れる白濁したモノ。それは一護の痙攣と共にまだ溢れて来た。
浴衣を雑に巻いて風呂に入れてやる。一護の処理を済ますと身体を洗ってやる。自分も洗って湯に浸かり温まる。
「・・・家出、されるとは思わなかったな・・・」
一護の髪を梳きながら呟いた。今日は余程消耗したのか目を覚まさない。そのまま身体を拭いて着替えて部屋に帰った。
新しい蒲団で、二人で寝る。

朝、一護が起きた時剣八が隣りに居てくれた。グリグリと顔や頭を擦り付けて甘えた。
腰が痛くて動けなかったが、一護はその日一日剣八の傍を離れなかった。隊首会にも付いて行った。
咎める者は居なかった。

その日、一日幸せそうに過ごす一護が居た。







08/12/24作 第47作目です。皐月さんからのリクエスト「剣ちゃんに冷たくされて、家出する子猫。1日帰らなくて大騒動!」でした。
それが何でかこんなエロになりました。さあ、貴女のための作品です。どうぞ、召し上がれ(笑)
お持ち帰りは皐月さんのみです。

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