題「とある日常」3 | |
まず、ウルの部屋に行った。 「ウル?入るぞ?」 「はい・・・」 「起きてたか、今から夕飯の買い出し行ってくるから、ちゃんと寝とけよ?」 「はい、行ってらっしゃいお母さん」 「ん、行ってくる」 「グリ、これマフラー、出来たぞ」 ふわりと首に巻かれた。 「お、おう!サンキュー」 ふわふわの感触にどぎまぎした。 「えっ、これって一護が編んだの?すげー!」 「簡単だよ、模様編みって訳じゃないし、色は?気にいったか?グリ」 「ん?おお、気に入った」 マフラーの端の房の部分をいじりながら答えた。 「良かった、じゃ行くか」 自分のオレンジのマフラーを巻いて家を出る。 近所のスーパーでちょっとした注目を集めた。グリの友達がいわゆるイケメンだからだ。 「で、お前ら結構食うのか?」 「えー、普通じゃね?」 「そうか、じゃあ結構買わなきゃな・・・」 「何言ってんの?普通って言ってんじゃん」 「うちに普通じゃないのが居るんだよ・・・」 「誰?まさかウルキオラとか?」 「旦那と娘」 食いっぱぐれんなよ?と一護は言った。 豚ミンチとニラとキャベツと、 「鶏ミンチはどうする?入れるか?」 「いつもは入れるんですか?」 イールが聞いてきた。 「いや、豚と野菜だけ」 「じゃあ、いいと思います。いつものってやつが食べてみたいです」 「そか?なぁ、イール?同い年だし別に敬語とか使わなくて良いぞ」 「あ、はい・・・」 「うん、後は皮と、味噌汁の具かあ・・・、何にしよ?なあ何がいい?」 「え〜とね、俺何で良いよ!」 「じゃ、長ねぎと油揚げな」 「げっ!」 「なんでもいいんだろ?」 くすくす笑いながらポイポイかごの中に入れて行く。 ぶーっと不貞腐れているロイ。 「いやなら、好きなの言えば良かったんだよ」 会計に進む。 「なあ、こんだけ買って大丈夫なの?」 「何が?」 袋に詰めて行く一護とグリ。 「余んないの?」 「「それはねーわ」」 思わずハモった。 「だって、なあ?」 「無い無い、ありえねえ」 4つの袋を一つずつ持つ。 「そんなに食べるのか?一護の旦那は」 「あー、すげぇよ、まっ、作る方としちゃ嬉しいけどな」 ふんふんと鼻歌を歌う。 「そんなもんかな?」 「みてえだぜ?笑いながら見てっからな」 「ふーん、分かんないや」 途中、実家に寄って支払いを済ませる。 家に着くと、荷物をキッチンに置くと全員に手洗い、うがいをさせる。勿論自分もする。 「客にこんなんさせるなんて思わなかった・・・」 ロイが呟く。 「風邪引きたくねえだろ?おまけに今からギョーザ作るのに」 とたとた歩いて、ウルの様子を見に部屋へ向かう。扉をノックして声を掛ける。 「ウル、入るぞ」 「お帰りなさい、お母さん」 にこりと笑った。 「ただいま。留守中大丈夫だったか?」 髪を撫でる。熱はだいぶ下がってる。 「はい、お陰さまで随分楽です」 「そうか、良かった、念のため冷却シート替えとくか」 「はい」 シートを替えて、着替えも終わらせた。 「じゃあ、夕飯にまた来るな」 ちゅっと頭の天辺にキスした。 「なっ!はっ、かあ!なにを!」 驚いて意味不明の言葉を発してしまったウルキオラ。 「いい子で居たご褒美」 ぽんぽんと頭を撫でて部屋から出て行った。少し熱が上がったウルキオラ。 「うっし!作るかー!」 「おー!俺ギョーザ作んの初めて!」 「俺もだ」 「へえ、簡単だから大丈夫だよ。ああ、肌とか弱いか?」 「俺へーき!」 「俺は、弱いかな」 「んじゃ、はいコレ」 ビニール手袋。 「それはめてやるといいよ」 「ん・・・」 ニラとキャベツを刻んで塩を振り掛けて水気を絞る。それに肉と調味料を入れて混ぜていく。 「おーし、力の限り混ぜろ〜」 「うわっ、変なの〜。気持ち悪い」 と言いながら楽しそうなロイ。 「巧く混ざらん・・・」 とイール。 「ああ、握りつぶす感じでやってみ、そうそう、巧い巧い」 グリはさっさと包むところまで行っている。 「うわっ、グリムジョーってば早!ずっりー!」 「何がだよ、何回も手伝わされてんだよ。当たり前だ」 「へえぇ、意外」 「ほら、もう良いぞ、包もう」 「どうやンの?」 「こうやって、真ん中に、こんぐらい、で淵を水で濡らしてくっつける。難しかったらヒダは要らないぞ」 「えっと、こ・・うかな?」 「そうそう」 「む、一護これくらいか?」 「うん、それで、そうやって、ああ、巧いじゃねーか」 キッチンには店でもやんの?というくらいのギョーザの山があった。 「さて、後は焼くだけなんだけどな、剣八いつ帰るかな?」 手を洗って、呟いた。 「なー、なー、俺ら今日役に立った?」 「ん?うん、助かったよ。あんがとな」 イールとロイの頭を撫でてやった。一瞬ポカンとした顔をした。 「どした?二人とも」 「何でもねえよ」 とグリが後ろから言った。 「帰ったぞ」 「たっだいまー!いっちー!」 「お帰り、剣八、やちる」 「おう」 手を洗いに行く二人。さて焼くかね。 「おーい、グリ、皿出してー」 「ほいよ」 大きめの皿を3枚出した。 ギョーザを焼いて行く。一皿目が焼けた。 「良いにおーい!今日はギョーザだあ!」 「へえ、で一護、こいつ等は?」 「グリの友達、髪の長いのがイールで、短いのがロイ」 「お邪魔してます・・・」 「・・・お邪魔してます・・・」 「おう、メシ喰ってくんだろ?遠慮してっと喰いっぱぐれんぞ」 「わあ、グリ、皿!皿!」 「おお!はい!」 「あ、焦げた・・・」 「良いんじゃね?生焼けよりは」 「それもそうか」 最後も焼き終わり、ウルを起こしに行く。 「ウール、起きてるか?夕飯だぞ?入るぞ」 ベッドの上で座っているウルが居た。 「今、行こうと思ってたんですが・・・」 「しんどいか?」 「いえ、大丈夫です、行きます」 「ん、一緒に行こうぜ」 手を握る。熱いな。 「まだ熱あるみたいだな」 「いえ、そんな・・・」 「どれ?」 おでことおでこをくっつけて測ってみる。いきなりのアップにドキドキするウルキオラ。 「んーあんま、ねえな。食欲は?」 「ふっ、普通です」 「そうか、良かった」 食卓に着くと、 「あっ、来た!ウル兄平気?」 「ああ・・・」 「ふーん、顔色は戻ったな」 「はい」 「さっさと喰え、血が足んねえんだよ、お前は」 「はい、いただきます」 「ほら、お前らも食えよ、折角作ったんだから」 「うん」 「ああ」 全員にご飯と味噌汁を配って一護が「いただきます」 というと他の3人もそれに倣って「いただきます」と言い食べ始めた。 「い、いただきます」 「いただきます」 パリッと焼けたギョーザが美味しかった。 「美味しい!一護ー、俺こんなん初めて喰ったー」 ロイがパクパク食べている。 「そっか、良かったな。イールは?口に合うか?」 「ん、美味い。何でだ?」 「さあ?愛情の賜物?」 どんどん食えよ、無くなっちまうぞ。と笑った。一番食べてないのは一護なのに・・・。 「いっちー、ご飯おかわりー」 「俺も」 「はいよ」 「ウル、味噌汁いけるか?」 「はい、おかわりを」 「良し!後は?」 「あ、俺もー」 ロイだ。 「なんだ?きらいじゃなかったのかよ?」 渡しながら一護がからかう。 「だって、一護の味噌汁おいしいもん」 すごく嬉しそうに笑う一護。 「そうだよー!いっちーのご飯はね、世界一なの!」 やちるが自慢する。 「大きくでたな、やちる」 「その割にゃ、焦げてんな」 「うっせーよ、剣八!一言多いの!おかわりは?」 「ん」 とお椀を差し出す。 「はい」 受け取りながら、 「お前も喰えよ、さっきから喰ってんのか?」 と言いながら一護の皿にぽいぽい入れてくる。 「く、食ってるよ!心配症」 「へっ!そりゃどーも」 「ウルは?食えてるか?」 「はい、大丈夫ですよ」 と茶碗の中身は空だった。 「おかわりは?まだあんぞ?」 「いえ、もういいです」 味噌汁を飲み終え、 「ご馳走様でした、部屋に帰ります」 「一人で大丈夫か?」 「大丈夫ですよ」 部屋に帰るウルキオラ。 「お前らおかわりは?イール、ロイ?」 「あ、貰うー」 「俺も・・・」 にっこり笑って受け取ると、山盛り盛ってやった。 「うわっ、すげ、食えっかな?」 「食える、食える、男の子なんだから。はい、イール」 「うおっと、すごいな」 「お袋、俺も」 「ほい」 これまた山盛り。 普通に食べるグリに剣八。案外食べれた二人。 「ふー、もう入んない!ご馳走様、一護」 「ご馳走様でした」 全員食べ終わった。 「はい、お粗末様でした。なっ、残んなかっただろ?」 「ほんとだ、すげえ」 剣八とやちるに食後のお茶を出し、三人にコーヒーを出した。 「良く喰うガキだな、おもしれえ」 ずずっとお茶を啜りながら言う剣八。 「なんで?」 「あん?たいがいの奴はうちに来ても喰わねえからな。一護も張り合いねえんだよ」 「ふうん、じゃあ食べて良かったんだ」 ニッと笑うと欠けた歯が見えた。 「まあ、喰わねえ奴よりゃ俺は好きだね」 「いっちーは?」 「ウルキオラんとこ行った」 とグリ。 「妹?名前は?」 「あたし?やちるだよ!」 「俺はロイ。よろしくな」 「イールフォルトだ、イールと呼んでくれ」 「うん、よろしくね!」 「小さいのも居んじゃん」 「最初から居たぞ」 「あたしはねー、剣ちゃんに拾って貰ったんだよ!」 「え、そうなの」 「うん」 「へえ、初耳だ」 「言ってねえからな、どうでもいいし」 「そんなもんなの?」 「ああ」 「何の話だー?」 一護が戻ってきた。 「ああ、やちるを拾った話だ」 「ああ、まだしてなかったっけ?まあいいや」 「軽っ!何それ」 「ん?良いんじゃね?もう家族なんだし」 開いた口が塞がらない二人。 「それより帰んなくて大丈夫なのか?遅いと親御さん心配するだろ?」 「あ・・・、うん」 「そうだな、お暇するか・・・」 「玄関まで送るよ」 「そういやぁ、お茶の淹れ方教えて無いな、また暇な時にでも来いよ、連絡は入れろよ?」 「ああ・・・」 玄関に着いた。 「じゃ、またな一護」 「またな、ロイ」 「また、来るぞ、一護」 「ああ、気をつけて帰れよ?今日は楽しかったよ、美味しそうに食べてくれて嬉しかった」 「いや俺らこそ、ご馳走になって」 「じゃあな」 「バイバイ」 「バイバイ」 手を振り、送り出す。見えなくなるまで見送って、扉を閉めて鍵を閉めた。 「ふー!騒がしい奴らだな」 「学校でもあんなだよ」 「ふふっ、元気でなにより、おやすみ、さて片付けるか」 グリは部屋に帰った。 キッチンは片付いていた。 「誰だ?剣八か?」 「ああ、さっさとやった」 「サンキュ、明日、仕事は?」 「非番だ・・・」 にやりと笑った。やばい気がする。 「ガキも休みだろ?丁度いいだろ」 「何が・・・」 「お前が寝坊しても誰も困んねえだろうが、ん?」 「やっぱりかー!」 「とは言っても、俺も鬼じゃねえからよ」 「?な、何だよ?」 「隊舎に行くぞ。人払いも済んでるしな♪」 「ふざけんな!子供だけになっちまうじゃねーか!」 「やちるがいんだろうが、見られていいなら俺は別に構わねえぞ?手加減しねえし」 「ぐっ!キッタネぇ!」 「何とでも言え、おあずけばっか喰らわせやがって・・・、覚悟しろよ」 一護・・・。と耳元で囁かれた。 終 09/01/13作 この後「非番の日」に続きますヨ。エロ親父 |
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