題「母、倒れる」
 そういや昨日の夜から、ちっとおかしかったな・・・。
剣八は一護の隣りで思い出していた。
「んっ!はぁっ!ああっ!」
「一護、声でけえぞ」
「ん、でも、抑えらんない・・・!ひぁっ!あっ、あっ、もっと・・・!」
いつもなら声を抑えようと必死になるのに、今日は無理なようだ。
「こっち来い・・・一護・・・」
「ん・・・、あう、あつい、剣八、ん、んふ」
口付けで声を殺された。それから最奥を穿った。
「んっ!んんっ!ふんん!ふううう」
息継ぎの為に口を離す、が、すぐ一護から口付けて来た。
「ぁんん・・・、くふうん、ん!んんっ!」
背に爪を立てられ一護の背が撓った。もうすぐのようだ。剣八が目を細めて見ていた。
一緒にイクか・・・。などと考えていた。
「ひっ、ふくっ!ん、んっ、んんっ、んっんっーー!」
「くっ」
「んあぁ、あつぅい・・・」
ひくくっと痙攣しながら呟いた。剣八が風呂に連れて行き、処理しようとすると、
「まだ駄目・・・、もっと・・・」
そう言って抱き付いてきた。
「一護?どうした、珍しいな」
「そう?それより早く・・・!」
剣八にとっても嬉しい申し出だから断る理由は無かった。そこで少し悪戯心が出た。
「一護、欲しかったら自分で挿れてみな、出来たらもう一回だ」
「え?あ、う・・・と」
「ん?ホレさっきまで入ってたもんだろ?」
くちゅりと指を入れてきた。
「ひぁん!あ・あん・・・」
まだ柔らかくグズグズに蕩けている。一護はそこを自分の指で開くと既に熱く硬くなっている剣八自身を宛がうと一気に腰を落とした。
「んああっーー!」
「くっ・・、てめえ・・・」
まさか一気にくるとは思わなかった剣八は思わず持っていかれそうになった。
「けんぱち・・・、はぁ、ああ、う、動いて・・・?」
今ので腰が立たなくなったようだ。おかしい・・・。いつもより熱いか?
「おねがい・・・、はやくぅ・・・」
「あ、ああ・・・」
ここでも口付けで一護の声を殺してやった。子供らに見つかったら絶対ヤラセてくれないだろうからな。
「ひん、ふうう、んくっ!んん、んんん!」
一護は腕で剣八の後頭部を持って髪をぐしゃぐしゃにしながら、行為に溺れていた。
「はぁ、はぁ、んん!けんぱちぃ・・・」
目がいつもよりも潤んでいる。やはり熱があるようだ。早く終わらせて寝かせるか。
強く奥を穿つ。
「ひっ!ひぃんっ!いいっ!気持ち良いよう、剣八ぃ・・・」
「くく!今日は随分と乱れてんな?どうした、一護?」
「分かんなあい・・、んああ!やあ、またイクゥ・・・!」
「好きにイケよ、ホレ!」
ズクッと奥を突いてやる。
「ひああん!あ、あ、はあ・・・」
「一護、俺はまだイってねえぞ?」
耳元で低く囁かれた。鼓膜を震わすその声に身体を震わす一護。
「ふああ・・・、きて、剣八・・・」
淫らに揺れる腰を掴み、持ちあげるとギリギリまで抜いた。
「ふあ、あ、あ」
「一護、これから何されるか分かってんな?声どうする?」
「あ・・・、キスして?剣八」
「ん・・・」
「ふ・・む、んっ、んっーー!」
奥まで突き上げられた。何度も繰り返された。
「ふっんっ!んっ!んんっ!うくうっ!はぁっ、あっ、もう、らめぇ・・・、やああ・・・、ひっ、いっちゃう、うんん・・・」
きゅううと締め付けてきた。
「イクなら俺も中に出すぜ」
「うん、うん、きて、きて!なかれ、らしてぇ・・・」
呂律が回っていない。顔を見ると恍惚として目の焦点が合っていない。
「くっ!良い顔だな、一護。おら、イクぜ」
「ふむう、んんっ!んっんんっ!んっーー!」
がくがく震えてイクと同時に気を失った一護。剣八は手早く処理して、身体を洗い、湯船に浸かり身体を温める。
すぐに身体を拭いて、蒲団にも入れたんだがなぁ。と、昨日の事を回想している剣八。

その横で、熱を出して寝ている一護が居た。意識も朦朧としているらしい。
「卯ノ花呼ぶか」
部屋を出て、電話で連絡する。すぐに行くとの事。後はガキか・・・。
「おい、やちる。兄貴共起こしてこい。今日は俺がやる」
「んー、分かった」
さてと、一護に粥でも作るか・・・。
「ウル兄ー!起きてー、今日は剣ちゃんだから今起きないと、ひどい目にあうよ」
ぼふっとベッドに飛び乗って起こす。
「んん・・・、む・・・」
「次は、グリ兄ー!起きてー、今日は剣ちゃんだから今起きないと、ひどい目にあうよ」
同じことを繰り返していた。ウルはすぐに起きて着替える。グリはなかなか起きない。
「む〜、眠い・・・」
「蹴られても知らないよー?」
やちるがキッチンに戻るとウルが立っていた。
「あっ、ウル兄、おはよー」
「おはよう、お母さんは?」
何やら煮込んでいる剣八を見ながら不安そうにしている。
「倒れた」
一言だけ告げる剣八。
「・・・!」
「医者も呼んだ、てめえらが居ても邪魔なだけだ。それより自分の事やれ、朝飯ぐらい作れんだろ」
「はい、ひどいんですか?母様は・・・」
最後の方は震えていた。
「熱出しただけだ、で?もう一人は?」
「まだ寝てると思います」
自分のトーストを焼きながら答えるウルキオラ。
「ちっ!しょうがねえな!」
どすどすとグリの部屋に向かった。バンッとドアを開けると、寝ているグリの脇腹を蹴って起こす。
「グへっ!」
「起きろ。手間掛けさすな」
「ゲホッ、ひで、イテぇな!」
「今日は自分で朝飯やれよ」
「あ?お袋は?」
「熱出してぶっ倒れた」
「なっ!大丈夫かよ、熱ってどんぐらいなんだ?!」
「お前らは飯を食え。医者はすぐに来る」
「う〜、ウルキオラ!」
「うるさい、母様の体に触る」
「う、聞いたのか」
「詳しくは何も」
「大丈夫だよ、卯ノ花さん呼んだから。剣ちゃんもいっちーも信用してるすごいお医者さんだよ」
「そうか」
そわそわしながらパンに齧りつくグリムジョー。
「せめて焼け」
食べ終わったウルが言うと、
「うるせえ、めんどい」
「それを毎日やってくれているんだろうが、母様は」
「そりゃ、ぶっ倒れるわな」
ピンポーンと呼び鈴が鳴った。
「はい」
ウルが出る。
「おはようございます。卯ノ花です、一護さんが倒れたと聞いたもので」
「おう、卯ノ花こっちだ」
「失礼しますね」
にっこりと柔和な笑顔で話す女医だった。
「あれか?卯ノ花って?」
「うん、すごいんだよ、怒ると怖いから誰も逆らわないの」
「へえ、見えねえな」
一護の部屋に入って行き、剣八が出てきた。
「どうだった?」
やちるが聞く。
「追い出された、後で言うとよ。おら、てめえらは学校行け。一護に怒られんぞ」
「「イヤだ。です」」
「ああ?なに綺麗にハモってやがる」
「せめて診察が終わるまで居ます」
「おめえのそういうとこ一護に似て来たなぁ・・・。おめえもか?」
「おう・・・」
そんな話をしている内に卯ノ花が出てきた。
「どうですか?母様は?」
「大丈夫ですよ、疲労で熱が出ただけです。病気ではありませんが弱っている事に違いはありませんからね。消化の良い物と、水分補給とビタミン類を与えてあげてください。更木隊長、お話が・・・」
「何だよ・・・」
「ああ、どうぞお顔を見せてあげて下さいな」
子供たちに向かって言った。
「はい」「おう」
「何だよ」
「やり過ぎですよ?一護さんの過労の半分は貴方に責任があります!気を付けてください」
「しょうがねえだろ、向こうが誘ってくるんだ、こっちだって抑えてんだぜ」
「まったく、今は子供達の為にも考えて下さいな、二人で!」
そんな話をしている時、子供達は、一護の様子を見ていた。
「大丈夫ですか?お母さん?」
「おい、お袋・・?」
「・・・ん?お、前ら、学校は?」
「んなもんより、あんたの方が大事だろ!」
「そうです、お母さん。お叱りは受けますのでどうか、今日は傍に・・・!」
「しょ、が、ねえな」
微かに笑う一護の頬は赤く上気しているのに、透き通って見えた。熱で潤む目は少し周りを彷徨う。
「みず、あるか?」
「はい、ここに、どうぞ」
コップに入れて一護を起こして飲ませる。
「・・・ん」
こくこくと二口ほど飲んで、
「ありがとう、もう良いよ」
ゆっくりと寝かせる。
「もう、大丈夫だよ、ちゃんと寝るからよ。心配すんな」
「・・・はい」
「・・・おう」
部屋を出る二人。
まだ卯ノ花と話している剣八が居た。こちらに気付いた卯ノ花が笑って、
「どうでしたか?」
と聞いてきた。その場を離れる剣八。
「どうって、寝るって言ってたよ」
「熱の方は、解熱剤を出しましたし、注射もしたので明日にでも元気にはなると思いますが、無理はさせないで下さいね。 人の為に無理をなさる方ですから・・・」
「・・・あの、俺達に出来ることはありますか?」
「そうですね。食事と水分を取れればいいですから。貴方達のお父上が全てやるでしょうから、額の濡れタオルをこまめに替えてあげて下さい」
「分かりました」
「おう、そのよ・・・、あんがとよ」
「まあ。本当に一護さんから聞いた通りの子達ですね、可愛らしい」
「は?」
「はあ?」
「うふふ、よく自慢なさってますよ、貴方達のこと」
良いお母さんですね、と笑って帰っていった。
「自慢って・・・」
「どういう事だ・・・」
そこに粥を持った剣八が通りがかった。
「邪魔だ、どけ。一護、飯だ」
カラリと障子を開けて中に入る。
「ん・・・、あんま食いたくねえ・・・」
「腹に何か入れねえと薬飲めねぇだろうが、ガキにはやかましく言うくせによ」
「う〜・・・」
剣八は一護を膝に乗せると程よく冷ました粥を食わせた。
「ん、もういい、あんがと」
「じゃあ、薬飲め」
処方された薬を飲むと、寝間着を脱がされ、汗を拭かれた。新しい寝間着に着替えさせるとサラッとした着心地に、
「ふぅ、気持ちいい・・・」
と呟いた。
「すげえ汗だな。ちゃんと水飲めよ」
「ん・・・」
口移しで水を飲ませた。
「ちゃんと寝ろよ」
「うん・・・、昼と、晩飯は店屋物でも頼んでくれ・・・」
「ああ、お前の昼はどうする?」
「出来れば、素うどんでも・・・」
「分かった、じゃあな」
「ん・・・」
一護はすぐに寝息を立て始めた。部屋のすぐ外では、ウルとグリが立っていた。
「何やってんだ、お前ら?」
「別に、お袋の様子が気になって・・・」
「今寝たとこだ。そっとしとけ」
「でも額のタオルをこまめに替える様にと・・・」
「それより寝かせて汗掻かせとけ」
「はい・・・」
「・・・」

 一護の居ないキッチンは静かで落ち着かなかったので、部屋に帰る二人。それでも気なってそわそわしてしまう。
静かな場所を好んで居た筈なのに、一人でいる事など慣れている筈なのに・・・。一護が居ないだけで、こんなにも家の中が沈んでしまうなんて、母の存在がいつの間にやらこんなにも大きくなっていた二人。
 お昼時。
「おい、ガキ共!メシだ、ちょっと来い」
呼ばれて初めてそんなに時間が経っていた事に気付いた。キッチンに顔を出す。
「飯は店屋物とれって言ってやがるからそうするけどよ、おめえらは何が食いてえ?一護はうどんだそうだ」
お品書きを見せて選ばせる。
「俺は、キツネうどんを」
「じゃあ、俺は天麩羅うどん」
「ふーん、やちるお前は?」
「えーとね、お稲荷さんとたぬきそばにする!」
「たぬき?」
ウルが興味を示す。
「あのね、おアゲさんの入ったおそばだよ」
「食べた事がないな、じゃあ俺もそれにするか」
「わぁ、お揃いだ。剣ちゃんは?」
「俺は、キツネと天麩羅盛りにする、全員決まったな電話すんぞ」
「お母さんは?」
「素うどんだとよ」
「あるんですか、そんなの?」
「言えば作る」
電話を済ませた剣八が一護を起こす為に寝室へ行った。
「おい、一護。昼飯時だ、起きれるか?」
「う・・・ん、・・何とか」
「ここで食うか、キッチンで食うか?」
大分頭が軽くなっていたので、
「向こうで・・・」
「分かった、もうすぐ来るだろうから起きてろよ」
背中に半纏を着せる。言っている内に出前が届いた。
ウルとグリが出て、金を払いキッチンに運ぶ。剣八が一護を抱き上げて連れて行く。
「お母さん、大丈夫なんですか?」
「うん、心配かけてごめんな」
「良いからよ、早く治してくれよ・・・」
「うん、わかった」
「おら早く食って薬飲め」
「そうだな、ん?やちるとウルはお揃いか」
「うん!いいでしょ!」
「良かったな。やちる」
「えへへ、いっちー、おアゲさん半分こする?」
「あんがと、でも今はイイよ」
漸くみんな食べ出す。つるつるとゆっくり食べる一護を見る子供達。汗がすごい。
「一護、水だ」
「あんがと」
何とかうどんを残さず食べ終え、薬を飲む一護。剣八がまた抱き上げて部屋に連れ帰る。普段なら暴れるとこだろうが、かなり辛いのだろう。されるがままだ。部屋に着くと汗を拭かれて寝間着を替えてくれた。
「ありがとう・・・」
「いいから寝ろ。ガキ共が心配してんだよ」
「ふふ・・あんたは?」
「分かんだろうがよ」
「ん、お休み」

ひやりとした感覚で目が覚めた一護。ふと横を見るとウルキオラが座っていた。
「ウ・・ル」
「起こしてしまいましたか?お母さん。気分はどうですか?」
「だいぶ良いよ・・・。お前いつから?」
「そうですか、良かった・・・!」
すぐにタオルが替えられた。冷たくて気持ちが良い。ふとウルキオラの手が赤い事に気付いた一護。
「ウル、その手・・・、痛いだろう?」
「平気です、大丈夫です、痛くありません」
そう言うウルの両手を取って、自分の頬に押し当てた。
「お母さん?」
「ん、冷たくて気持ち良い・・・、あんがとなウル・・・」
「いいえ、いいえ・・・!俺達こそ・・!」
あなたにたくさんのモノを頂いた・・・!帰る場所、感情、涙、家族・・・。
「子供が気ぃ遣うなよ。グリもあんがとな」
障子に凭れている次男にも声を掛ける。
「おう・・・」
「寝てれば治るんだから、そんなに心配すんな。な?」
ウルとグリの頭を撫でる。サラサラした髪とふわふわした髪、剣八似と俺似と言われてもしょうがねえなぁ。
ふふふと笑った。
「何、笑ってんだよ?」
「いや、お前らの髪がさ、俺らに似てると思って嬉しくなってさ」
その笑顔にぽうっと頬を染める二人。
「あ、ありがとうございますっ!」
「おっ、おう!」
赤くなって返事する息子に苦笑する一護。
「入んぞ」
がらりと障子が開けられ剣八が入ってきた。
「晩飯だ、食えるか?」
「ああ、もうそんな時間か?中身なに?」
「雑炊だ、お前ら出てろ」
「はい・・・」
「む・・、わあったよ」
「そんな言い方ねぇだろ。あんがとな二人とも」
障子を閉め、一護を膝に乗せると食べさせる。
「ん・・、もう一人で食えるよ」
「うるせえ、黙って食え」

キッチンに戻るとやちるが二人を見つけた。
「あ、やっぱり追い出された」
「んだよ、やっぱりって」
「剣ちゃん、いっちーが倒れると誰にも会わせなくなるんだよ。着替えもさせるからね」
「俺らにゃ、会わせてんじゃねえか」
「だって、ウル兄も、グリ兄も剣ちゃんといっちーの子供でしょ?あったりまえじゃん!」
無邪気に告げる妹が頼もしく見えた。
「そうだな、当たり前だな・・・」
「ん・・・」
信用されているという事か。だとしたら嬉しい事だ。今まで色んな家に貰われたが信用などされなかったし、しなかった。
すぐに元の孤児院に戻された。
「出来る事ならずっとこの家に留まりたいな・・・」
「・・・そう・・だな」
突然の兄二人の呟きに驚いたやちるが、
「え?二人ともどっか行っちゃうの?どこにも行かないよね?ね?ねえ!」
しきりに聞いてきた。
「うるせえな、一護が起きるだろうが」
「あっ!剣ちゃん!ねえ!二人ともどっか行っちゃうの?居なくならないよね?ずっと一緒だよね?」
「あん?何言ってんだ?急に。当たり前だろうが」
やちるの頭を撫でる剣八。
「だって、二人が急に変な事言うんだもん!ずっとここに居たいって」
「なんだそりゃ。どういうこった?」
「いえ・・・、その、今まではすぐに、戻されたものですから・・・」
「信用も、されなかったしよ・・・」
「あー、それで不安になったってか?ガキだな。あいつはお前らが問題起こしても返さねえよ。むしろ余計に構うぞ」
「では、ここに居てもいいと・・・?」
「厭きるまで居やがれ。そんでから好きなトコに行きゃあ良いだろ」
「マジかよ・・?何考えてんだ、あんたら二人とも・・・」
「そんな覚悟もなくガキ二人も引き取れるか、馬鹿が」
晩飯、何にすると聞いてきた。ウルキオラがおずおずと言った感じで、
「あの、お、父さんが作った物が食べて・・・、みたいです」
「あ、俺・・・も・・」
「あん?何だ急に。・・・何でも良いのか?」
「はい、構いません」
「おう」
「つってもなぁ、おいチャーハンでいいか?材料ねえぞ」
「はい」
「わーい、剣ちゃんのチャーハン、久し振りだ」
「てか、作れんだ・・・」
「うん、おいしいよ!中身卵だけだけど」
「なんだそりゃ」
「おい、そこの水色!皿くらい用意しろ!」
「なっ!誰が水色だ!ちゃんとグリムジョーって呼べ!馬鹿親父!」
「ふん、てめえらの名前長えんだよ、緑の、卵4つ出しとけ」
「ウルキオラです、分かりました」
手早く4人分のチャーハンを作って出してやった。
「わーい!いったっだっきまーす!」
「いただきます」
「・・いただきます」
「おう」
やちるがぽろぽろ零しているのを見てグリが、
「あーあー、なんでこんなに零れんだよ?」
拾ってやりながら、頬に付いた飯粒も取って食っていた。その様子をニヤニヤしながら見ている剣八。
「何だよ・・・」
「別に?おめえも冷めねえうちに食えよ。グリムジョー」
「分あって・・!今、なんて!」
さっさと自分の皿をシンクに持って行く剣八。
「ウルキオラ、皿洗い頼むぞ」
「・・!分かりました」
そういうと寝室へ向かった。
「今、俺らの名前呼んだよな・・?」
「・・ああ」
「んふふ、剣ちゃんご機嫌!気に入った人の名前しか覚えないんだよ、後、強い人!」
「そうなのか」
食べ終える3人。皿を洗うウル。やちるの世話を焼くグリ。

 「おい、一護。あいつ等ちゃんと兄弟になってんのな、安心したぜ」
「何だよ、いきなり。ニヤニヤしてると思ったら、良いもん見たのか?」
「まあな。おれにゃあ上等のガキ共だ」
「当たり前だ、何言ってんだ今更」
「今更かよ」
「今更だ、アイツ等はいい子だよ。解り難いだけだ」
「ふうん・・・、母親のお墨付きがでたな。さて寝るかね」
「ん・・・」
同じ蒲団の中で眠る二人。

翌朝、元気な一護の声が響いていた。
「起きろー!寝坊してもしんねーぞ!」
「わーい!いっちー、元気になったぁ!良かったあ!」
「お母さん!大丈夫ですか?無理はしないで下さい」
「おい、お袋まだ寝てた方が良いんじゃねえのか」
「大丈夫だっての!早く飯喰え!」
「おい、一護。熱は?」
「平熱だった」
「そうか、まあ、油断すんなよ」
「うん」




08/11/25作 第37作目です。お母さんが倒れて、お父さんと交流が深まった子供達。もっと仲良くなればいい。
そんな感じ。後、たぬきそばは、関西風にしました。関東じゃ揚げ玉を入れると聞きましたが、関西じゃ、甘揚げが入ってます。
大阪だけかも・・・。また自分で生息地ばらしてるし・・・。

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