題「変化」オマケ
 ここは十一番隊隊舎。そこでは最近、
「お母さん、お母さーん!」
「ただいまー、お母さん!」
と言うあまり似つかわしくない呼称が飛び交っていた。「お母さん」と呼んでいたのは桃色の髪の少女。呼ばれたのは・・・、橙色の髪の女性。黒崎一護だ。嫌がる風でも無く受け入れている。初めて呼ばれた時こそ驚いたが、今では普通に、
「なんだ?やちる?」
「お帰り、やちる、剣八」
と当然の様に振舞っている。元男で現在の身体は一時的に女性。もうすぐ元に戻るらしい。色々と悶着があったが今は落ち着いてきた。
「今日は何があった?やちる。楽しかったか?」
「うん!つるりん達と遊んで、びゃっくんちでも遊んだよ!」
「そうか、楽しかったかー、良かったなー」
「うん!きょうのご飯何?」
「肉じゃがと、味噌汁だけど足りないか?」
「ううん、美味しそう!やったぁ!」
「ちゃんと手洗い、うがいしろよ」
「はーい」
「お帰り、剣八。どうした?」
「いや、何で嫌がんねえんだと思ってよ」
「何を?おさんどんをか?」
「いや、母親呼ばわりつーか、代わりつーかよ」
「元に戻る間だけだろ?それにやちるなら良いよ」
「ほら、家に入れよ、手洗い、うがいちゃんとしろよ、お父さん?」
「うるせえ・・・」
「いっちー!剣ちゃん早くー!おなか減ったよー」
「ハイハイ、今行くよ」
剣八が着替えて居間に行くと食事の用意がされていた。
「おっ、早かったな、酒はどうする?」
「いい、飯喰う」
「そか、じゃあ早く座れよ」
お膳の真ん中に肉じゃがの入った鍋が置かれ、一護が味噌汁と、ご飯をよそい二人に渡す。
「いただきます」×3
「おいし〜い!いっちーのご飯美味しいね?剣ちゃん」
「ん、ああ」
「あんがと、お前ら好き嫌い無いからな。助かる、明日は何がいい?」
「何でも良い。納豆とカレー以外ならな」
「まだ慣れないんだなぁ、じゃあ、シチューは?クリームシチューとかビーフシチュー」
「なんだそりゃ?」
「人参、玉葱、じゃが芋に、鶏肉か牛肉が入った食いもん。見た感じはカレーに似てるけど、匂いは強くないから大丈夫だと思うんだけど・・・」
「あんま気が進まねえなあ」
「文句ばっか言っちゃダメだよ、お父さん!お母さんは大変なんだから!」
やちるが意見した。
「そうだぞー、お母さんは大変なんだ。なー、やちる?」
「ねー」
「ふん、好きにしろ、おかわり」
「あ、あたしもー」
「はいはい」
食事を終え、片付ける。物の見事に残らなかった。嬉しいけどね・・・。洗いものを済ました。
「やちる、風呂一緒に入るか?」
「えっ、本当!わーい、やったぁ」
着替えを持って二人で風呂場に行く。先に脱いだやちるが一護をじーっと見てくる。
「?、何だよ、おかしいか?」
「ううん、いっちー綺麗ー・・・」
「は?そうか?ほら風邪ひくから入ろ」
「うん」
やちるの髪を洗ってやる。お湯を掛けて泡を落としてやり、手拭いを泡立て背中を洗ってやる。
「ほら、後は自分で洗えよ?耳の後ろもちゃんと洗うんだぞ」
「はーい、お母さん!」
その返事に笑いながら一護は自分の髪を洗い始めた。泡を落としているとガララと戸の開く音がして振り向くと剣八が居た。
「あー、剣ちゃんだ」
「なんだ、一緒に入んのか?」
「おう、都合でもワリいか?」
「別に?良いけど、珍しいなと思って・・・」
ほんのり頬を染めて告げる一護。
「たまにはな・・・」
髪を洗い始めた。一護は身体を洗うとやちると湯に浸かった。ぱちゃぱちゃとやちるが泳いで遊べるぐらいには広い。
「いっちー〜、ど〜ん!」
「うお!危ねえな」
泳いで軽く体当たりするやちるを受けとめる一護。
「えへへ〜、いっちー柔らかくて気持ち良い〜」
胸をふにゅふにゅと揉んで喜んでいる。
「くすぐってえよ、や〜め〜ろ!」
ぱしゃぱしゃと湯船で遊ぶ二人。ふっと影が差したと思ったら後ろに剣八が立っていた。黙って湯に浸かる。
大量にお湯が溢れる。
「わあ〜、剣ちゃんすっごーい!」
「うおっ、まるで洪水だな」
「ふうー、お前ら、ちっとは静かに入れねえのか」
「だって、いっちーの身体、柔らかいし、良い匂いするんだもん」
「石鹸だろ?やちるも良い匂いだよ」
「ほんと?えへへ。あ、あたしもう上がるね〜」
「ああ、拭いてやるよ」
「うん」
脱衣所でやちるの体を拭いたり髪を乾かしてやり、着替えさせた。
「冷蔵庫の中にフルーツ牛乳あるから一本飲んでいいぞ」
「やったぁ!」
「一本だけだぞ」
「わかったー」
冷えた身体を温める為に湯船に浸かると抱き寄せられた。
「うわ!何すんだ」
「うるせえ、他の奴に触らすな」
「やちるは特別だろ?」
「そうだけどよ」
「男にゃ触らせねえよ、あんた以外にはな。あっ!」
剣八が乳房に吸い付いて、薄桃色の飾りを口に含んだ。
「ふあ!馬鹿っ、こんなとこで!」
カリッと歯を立てられた。
「ひあっ、ん、んん」
「良いじゃねえか、いつもやってんだろ・・・?」
「いつもはやちるが寝た後だし、それに後でじゃねえか・・・」
真っ赤になって取り繕う。
「ああ、いつも蒲団でやってからだったな」
「はっきり言うな!」
「じゃあ、上がるか?それともここで一回ヤッてくか?」
するすると背中や太腿を撫でて行く。
「あ、あ、や、剣八っ!」
それでも情欲にまみれた眼で見られれば何も言えなくて・・・。
「う〜・・・、お前のその眼、卑怯だ・・・」
「そうかよ、お前は俺に流されてろよ・・・・」
「ちぇっ、ずりぃの・・・」
「ほら来いよ、一護?」
「ん、ふう、ンあ・・・」
口付けされて力の抜ける身体、好きにしろと言わんばかりだ。秘所に指を忍ばせれば、そこは湯ではないモノで濡れていた。
「なんだ、結構やる気じゃねえか」
「ば、馬鹿ぁ、あ、あ、嫌、お湯入る・・・」
剣八に縋りながら訴える。
「しょうがねぇな、後ろ向いて縁(へり)に捕まってろ」
「え、うん」
言われた通りにする一護。その腰を掴んで既に硬くなっている自身を宛がう。
「あっ、あんただって、その気じゃねえかよ・・・」
「当たり前だ・・・、こんな色っぽい状態のてめえが目の前にいんだからなぁ?」
「い、色っぽい?」
「湯上りで、色づいた身体とかよ?」
くっくっと低く笑う。
「ば、馬鹿っ、ああっ!はあぁ・・・」
不意を衝いて一気に奥まで入れた。
「あ、あ、あ・・・」
ぶるぶる震えて、風呂の縁に縋る一護。剣八が動く度に湯が音を立てて揺れ動く。ばしゃばしゃと耳に届く音が一護を煽る。
「はっ、はああ、け、剣八ぃ、やあ、もうだめぇ・・・」
「は!なんだ今日はやけに早いな?」
「し、知らないよぅ・・・ん、んああ、あ!」
どくんと奥に熱いものが感じられて一護が、
「ふああ、剣八の熱い・・・」
と呟いた。身体の向きを変えられて、まだ動こうとする剣八に、
「や、一回って・・・言ったのに・・・」
「ワリィな、熱が収まらねえ・・・、一護、一護・・・」
「ああ・・・、そんな声で呼ぶなよ、俺まで我慢効かなくなるじゃんよ・・・」
「良いじゃねぇか、俺ら夫婦らしくてよ」
「ばか・・・」
剣八が湯船の縁に腰掛け、一護を抱き上げる。
「はぁん!奥まできてる・・・、ねぇ剣八、いっぱい出してよ?気持ち良くして?」
「上等だ、泣き入ってもやめねぇぞ」
「いつも、そうでしょ?剣八、剣八が大好き、・・・愛してるよ」
「一護、お前俺が幸せだとお前も幸せだとか言ってたな」
「へ?い、言ったけど・・・」
「じゃあ、お前は俺の傍から離れるな、今は現世に帰るの許してやるけどよ、正式な死神なり、魂魄になったらもう離さねえ」
「うん。分かった、俺も嬉しい・・・」
口付けを交わす。角度を変え深く深く何度も繰り返す。
「んん、剣八、う、動いて?俺の中お前で溢れさせてよ・・・」
「ああ・・・」
動きを再開させる。何度も一護を絶頂に導き、自分も惜しげもなく一護の中に注いだ。
「あ、ああ・・・、剣八ぃ、もう、もうらめぇ・・・、溶けちゃうよう・・・」
「そういうとこが可愛いんだよ、お前はよ・・・、これで終いだ」
「ああ、んああ!あうう・・・」
「くう・・・」
最後の一滴まで、注いだ。満足気に一護を抱いて湯に浸かる剣八。その腕の中で眠る一護。
やちるにどうしたのか聞かれて、「のぼせただけだ」と答え、蒲団に寝かせる。

後日、夜一に頼んでドレスのカタログを持って来て貰い、乱菊達に渡す一護。その後無理矢理、ドレスを着せられ、化粧までされた。
「失礼しまーす!」
隊首会が開かれている最中の一番隊に連れて行かれ、全員にお披露目された。純白のドレスとオレンジの髪が、見事に合っていて、みんなが見惚れていた。が、すぐ剣八に連れ去られた。
「てめえ!なんて格好してやがる!」
「集団で来られたんだ!しょうがねぇだろ!」
それでもしっかりと姫抱きにされている一護。
剣八の部屋で一日中、その格好のままだった。

満更でもない?





08/11/28作 変化のオマケです。楽しんで頂ければ幸いです(^^)



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