題「黒猫」後半
昼飯も済んで、後は夕飯と風呂だな〜、と居間で呑気に一護が考えていると剣八がずしっと背中に寄りかかって来た。
振り向くと剣八の背中があった。
「なんだよ?何かあったのか?」
覗き込んで見ると目を閉じていた。
ああ、確か猫って一日の3分の1は寝るっていうもんな。
感心しながら一護は剣八が眠りやすいように、ゆっくり動いて座布団の枕を作ってやった。
時折、尻尾の先がぴくぴく動いていた。やる事も無いので枕元で本を読んでいたら、剣八が急に起き出した。
「ん?どうした」
と聞いたすぐ後に弓親の声で、
「一護君、夕飯出来たよ、入って良い?」
「あ、うん、すぐ開ける」
障子の前に行くとチッと舌打ちしたような音が聞こえた。まさかな・・・。と思いつつ障子を開ける。
「遅くなってゴメン、お腹すいたでしょ?」
「もうそんな時間なのか?」
「うん、7時だよ、気付かなかった?ああ本読んでたんだね」
「晩飯なに?」
「うん、雑炊にしたよ。食べさせやすいでしょ?それに栄養も摂れるしね」
「ああ、そっか。色々考えてんな、弓親は」
感心しきりの一護だ。
「じゃ後、お願いね。お風呂も皆入っちゃったから、ご飯食べて落ち着いたら入りなよ」
「おう、分かった」
茶碗によそった雑炊を冷ましてやりながら、剣八に喰わせる。自分の分は先に茶碗に入れて後で食べよう。
「やっぱ、弓親は違うな、お前のこと色々と考えてんだな。すげえや」
二杯目をよそいながら呟いた。先に剣八の分を済ませると自分用に取っておいた雑炊を食べた。
「うめえな、冷めてんのになぁ」
食べ終わると剣八が一護の顔を覗き込んだ。
「な、なん・・」
言い終わる前に口許を舐められた。飯粒が付いていたらしい。舌先に見えた。
「なっ!なっ!いや、落ち着け俺。こいつは今猫なんだから」
顔を赤くしながらぶつぶつ呟いた。
機嫌を損ねたと思ったのか、黒く光る毛並みの尻尾で顔を撫でてきた。それが思いのほか気持ち良くて一護は目を閉じた。
「怒ってねーよ。さ、片付けるか」
朝と同じ様に片付ける一護、その後ろに剣八。
「なあ、俺風呂入るけど、お前どうする?一緒に入るか?」
「ぐるる」
「そっか、じゃあ用意しなきゃな」
一護は自分の部屋に着替えを取りにいった。その後ろを剣八が音も立てずに付いて来ているなど思わずに。
「え〜と、着替え、っと」
ばさっ!という音で後ろを振り向いた一護。そこには上半身裸の剣八がいた。
「なっ!お前なんでここに!」
それだけ言うとその場の押し倒された。

「ぐるるる」
いつもより低い唸り声。
「今から風呂入るつったろーが!早く退け」
しかし剣八は一護の手を上から握り締めた。
「あ!いって・・・」
剣八の顔が近付いてきた。射竦める様に見つめてくる黒曜石のような瞳、その視線に動けない一護。
剣八の舌が唇を舐めて行く。ぺろぺろと繰り返し舐め続けた。
「ん、あ、こら、やめ」
抵抗する様子の一護に剣八は死覇装の袷を開いた。そこに顔を埋めて、舌を這わす。ツツッと刀傷に舌を這わせた時、一護が、
「んんっ!そ、そこやめろ・・」
震える声で言いだした。剣八は、舌を尖らせ、執拗にそこを舐めては吸い付き、跡を付けた。
「あっ!ひっ!やめ・・て!いや、だ!」
手を押さえ込まれているので身を捩って逃げようとするが無駄だった。
「はっ、ああ!やだ!やだ!ああ!」
そのうち頭の上で手が重ねられた。空いた片方の手で胸の突起に触れるとビクッと跳ねあがる身体に、ニヤリと笑い、そこに吸い付いた。
「あっああ!や、だぁ」
仔猫の様にチュクチュクと音を立て吸いたてる。その音が耳に届いて一護は頭を振った。
「あっ!いやっ、何?」
太腿の内側を滑(すべ)らかなナニかが動いている。なんとか身体を起こし、確かめるとそれは袴の脇から差し込まれた剣八の尻尾だった。
「ああ、やあぁ、剣八、やめ、ろ」
ふいに乳首に歯を立てられた。
「ああっ!あっ、剣八」
尻尾は、袴の中で太腿とその付け根の間を往復していた。
「くっ、ふっ、はあっ」
いつの間にか袴が脱がされていた。それに一護が気付いた時はもう下穿きも取られた後だった。
「あっいつの間に・・・」
言ってる間も剣八は舌を這わせ続けた。跡を付けては下へと進んでいった。
「あ、あ、剣八、剣八・・・」
腰骨の皮膚の薄い所に吸い付き、赤くなったソコにチロチロと舌を這わせた。
「あっ!はあ、んん」
揺れる腰を止められない。一護自身は、既に硬く上を向いていた。
(あ、今日キスしてない・・・)
朦朧とする頭で思い出した。
「剣八・・・、こっちきて・・・」
ぐるる、と一声鳴いて身体を上に持ってきた。一護が剣八の顔を引き寄せ口付けた。チュッチュッと啄むキスを繰り返していると、突然噛みつくように口付ける剣八。
「ん、んん、あう、ん」
息苦しくなって口を開くと舌が入ってきた、貪る様な一方的な口付けに一護が息を上げる。
「あっ、はぁっはぁっ、お、前な、殺す気か」
ぐったりしながらそう言うと今度は一護から舌を絡ませた。いつも与えられてばかりなので、どこか拙いがゆっくりとした優しいキスだった。お互いの唾液が混ざり合い、くちゅくちゅと音が響いて気恥ずかしくなった。
ちゅっと舌を吸い上げ、お互いの唾液を飲み込んだ。
「んく、あっ、はあ・・・」
目元が朱を差したように色づいて、眦には涙が溜まっていた。剣八はそれを舐めとると、首筋に顔を埋めきつく吸い付き跡を付けた。
「俺ばっか裸ってずりぃ、お、お前も脱げ・・」
そう言うと一護は剣八の袴に手を掛けた。その手を上から押さえ、自分で脱いでいく。お互い裸になって、一護の下には死覇装を敷いてある状態だ。剣八が一護を押し倒して一護自身を口に含んだ。
「あっ!馬鹿!お前何やって・・・!」
身を捩って抵抗するがどうにもならなかった。
「ふっ!くう、んん、あっ!ああっ!」
自分の口に吐き出されたソレを飲み下した後もまだ咥えていた。
「こ、の馬鹿猫!早く離せよ!」
手で頭を押し返そうとすると、根元に噛み付いてきた。
「ああっ!やっ!痛っ」
噛み切られると思った。今は中身が猫だという事を思い出した一護は身震いした。
「や、やめ・・、離して」
まだギリギリ歯を立てる剣八に怯えて、ふるふる震えた。そんな一護を上目遣いに見ると漸く口を離して舐めあげた。
「あ、やだ、やめ、あうっ!」
また軽く噛んだ。いやだとか、やめろと言った言葉に反応しているようだ。
噛まれた跡に血が滲んでいた。剣八はぺろぺろ舐め始めた。
「あ、あ、や、け、剣八」
また形を成し始めた事に羞恥を覚え引き剥がそうとしたが、びくともしなかった。剣八の方は一護の反応に気分を良くしたのか執拗に舐め続けた。完全に硬くなったソレをさっきと同じように口に含み、舌で追い詰めていき、またイカせた。
「んんっ!ああっ!あぁ・・」
ぐったりとしている一護の身体を反転させると腰を高く持ち上げた。
「何、する気だ、まさか・・・」
力の入らないまま後ろを向いた時には遅く、秘孔に舌を這わされていた。
「ばっ!やめっ!あっああっ!んんっ、はぁっ!」
ガクガクと背中を震わせる。
「はっ、はっ、やあっん!もうやだぁ!あっ、あっ、だめ!だめ!ああっ!あっあっー!」
一護が達した。ぱたたっと死覇装の上に撒き散らした。
びくびくとソコがひくついてるのが分かって羞恥から頭(かぶり)を振った。なのにまだ舌を蠢かせる剣八。今度は差し入れて来た。柔らかい舌が自分の中に入っては出てを繰り返す。
「いやだ・・・、もうやめ・・・」
涙を流しながら畳に爪を立てる。ザリリと爪の間に藺草(いぐさ)が食い込んだ。
剣八がようやく顔を離すと腰を掴んで、熱く滾った自身を宛がい沈めていった。
「あっ!ああっ!剣八っ!」
一護は、如何にいつも剣八が力を抑えていたか思い知った。両の膝が擦り剥けるほどの力で穿ってきた。
「ああっ!ああっ!あうっ!ううっ!剣っ!八っ!」
先程達して敏感になっている一護は激しい抽挿で、すぐに果てた。今度こそ腕に力が入らず顔を床に埋(うず)めた。
剣八も一護の中に熱を吐き出した。
「ん、ああ、あつい・・・」
なのにまだ硬さを維持している剣八は、すぐ動き始めた。
「んっ!ああっ!あっ!ひっ!」
剣八の尻尾が一護の胸を這いまわった。
「いやっ!あああ!ああっ!」
肩甲骨を舐めあげられ、噛みつかれた。尻尾は執拗に傷のあたりを撫でまわす。
「いやあっ!もう・・・、だめっ、イク!」
びくびくっと背を撓らせ果てた。一護が締め付けたので剣八もつられて中に吐き出した。
たてつづけにイカされ、はあっ、はあっ、と息を乱していると、ひくつく一護の中にある剣八のモノが硬さを取り戻した。
「あ、ああ、もう、むりぃ・・・」
逃げようとしたが、背中を引っ掻かれ、項に噛みつかれた。
「あうっ!い、痛・・」
大人しくなったところで、背中の傷を舐めた。
「剣、八・・・」
虚ろな目で呼びかける。剣八は覆い被さるように、一護の耳を舐めた。ひくんっと揺れる身体。
「あ、あ、剣八、剣八」
熱に浮かされたように呼び続けた。剣八が尻尾で一護の顔を撫でた。気持ち良さそうにしていたのを覚えていたのか。
「ん、あ、剣八、顔が見たい・・・」
そう言うと身体の向きを変えられた。
「あっ、んん!」
向い合わせになると、一護が剣八の尻尾を自分の口へ運んだ。軽く口付けた後、先の方を舐め始めた。
小さく覗く舌でペロペロ舐めるのを見ていた剣八が一護の顎を掴んで口付けしてきた。
「ん、んん、ふ、あ」
湿った音を立て離れると、一護の膝に視線を落とす。そこは擦り剥け、血が滲んでいた。
剣八は膝を抱えると、その傷に舌を這わせ血を舐めとった。もう片方の膝も同じ様に舐めた。
「あ、剣八、も、なんも出ねえよ、も、離して・・・」
体力の限界を感じて訴えると、ぐっと腰を押し進めてきた。
「あっ!ああんっ!ダメッ!」
ズルッとギリギリまで抜くと容赦なく突いた。
「あ!ああ!あ!ああ!もうダメ・・・」
あっけなく果てたが、剣八の動きは止まることは無かった。
「あっ!ああ!あっ!ああっ!やあ!らめぇっ!もうやらぁ!」
最後の方は呂律が回らなかった。
「ああっ!ああっ!あっ!あっー!」
首を仰け反らせ、剣八の背に爪を立てながら果てた。剣八も一護を抱きしめながら果て、最奥に熱を注ぎ込んだ。
「ん、ああ・・・」
一護は剣八の腕の中でびくびくと痙攣しながら気を失っていた。
剣八は一護の中から抜き取ると、隣りに移り髪を梳きながら、尻尾で一護の背中をさすっていた。

 「ん・・・」
一護が何やらくすぐったい感覚で覚醒した。左右を見ても剣八の姿が見当たらなない。
「あっ!」
下半身の方で舐められた感じがして、眼をやると剣八が一護の身体を舐めて清めていた。
「ば、馬鹿!そんな事しなくて良いから!〜っやめろ!」
ちら、と一護を見たが止めるどころか一護自身を舐め終わると、腹や胸に飛び散った一護の精液を舐めとった。
「ばかぁ、もうやめろってば」
叫びすぎて掠れた声で剣八の髪を掴んで止めた。剣八は全部舐め終わるとようやく、離れた。立て膝で座り一護を見降ろしていた。
少し荒くなった呼吸のせいで上下する胸を見ていたら、一護の身体が横を向いた。身体を起こそうとしていた。
「う、イテテ、痣になってんじゃねえか」
膝を見ながら言うと剣八が近づいてそこを舐める。ゆっくり慰撫するように舐めるので一護が、
「怒ってねえよ、今度こそ風呂入るぞ」
汚れた死覇装を丸めて新しい襦袢を着て立とうとしたら、カクンと腰から座りこんだ。
「な、なんだ?立てねえぞ?」
踏ん張ってみるが中から剣八の名残が伝い落ちて震えるだけで力が入らなかった。剣八が尻尾で顔を撫でる。
「こ、腰が抜けてる、のか?」
顔を赤くしながら呟いた。とりあえず風呂の用意はしてあったので立てるまで待つかと考えていると、剣八が一護を抱き上げた。
「うわっ、け、剣八、せめてなんか羽織れ!」
一旦一護を下ろした。さっき着ていた死覇装の上着を羽織り一護に風呂の用意を持たせ抱きあげて風呂場へ行った。

一護の襦袢を脱がすと洗い場に運んだ。自分も脱いでから入ってきた。一護がお湯を被り、
「な、なあ剣八・・、ワリィんだけどさ、少しだけ脱衣所で待っててくんねえか?」
さすがに処理するところは見られたくない。言い終わると剣八が一護を後ろから抱えあげ、秘孔に指を入れ、中のモノを掻き出した。
「やっ!いいから!自分でするから!一人に、ああっ!あっ!あっ!」
いやいやと首を振っている間に処理が済んだ。
「この、バカ猫・・・」
真っ赤になった顔で悪態を吐いた。
「身体洗うから、下ろせ」
言われたとおりに下ろす。お湯を頭から被って髪を洗ってから身体を洗う。泡を落とした一護が剣八に、
「お前も洗ってやるから、こっち来い」
隣りの椅子に座らせると一護はブラシで髪を梳いてから、髪を洗ってやる。洗い終わると、身体を洗う。背中を流すと、
「他は自分で洗えるだろ?」
手ぬぐいを渡すと尻尾で一護を捕まえた。
「なんだよ?全部洗えってか?」
尻尾を動かして一護の身体を撫で上げる。
「んん!」
敏感になってる一護は、思わず声を上げた。
「テメエ・・・」
睨みつけ手ぬぐいを取り上げ剣八の身体を洗う。腕から胸を洗い、下半身に行くとやはり躊躇した。
心の中で、見慣れてると、唱えながら手を這わせ洗う。さっさと済ませたかった。何故かすごく恥ずかしかった。
「ほら、足出せよ」
爪先から洗ってお湯を掛けて泡を流す。満足そうな顔をして一護を抱いて湯船に浸かる。後ろから抱き締め、離そうとしなかった。少し苦しかったが、身を委ねた。眠くなってきたので、
「もう出よう、眠い」
促すとようやく離す。剣八が立ち上がる。一護も立ってみる。ようやく一人で立てるようになった。
ほっとして脱衣所に出て身体を拭いて身支度を整える。
「剣八、こっち来い」
剣八の髪の水気を取って、身体を拭く。襦袢を着せ、ドライヤーが置いてあったので、それで剣八の髪を乾かした。
その後自分の髪を乾かした。

 部屋に戻ると何故か蒲団が敷かれてあった。自分たちが風呂に入ってる間に誰かが敷いてくれたのか。
枕元に水差しが置いてあったので、ああ、弓親だと分かった。彼はいつもそうしてくれるからだ。
「剣八、髪梳いてやるよ。そのまま寝たら絡まっちまう」
蒲団の上で自分の前をポンポン叩いて呼ぶ。大人しく座る剣八の髪をブラシで梳かす。絹糸のような髪の感触が気持ち良かった。
「ほら、終わったぞ」
剣八は振り向くと一護に覆い被さるように倒れ込んできた。こんな剣八は見たことが無かった。結構疲れてんのか?
頭を過ぎった考えに真っ赤になった。それはいつも制御している行為を今日は制御してなかった事と同じだと思ったからだ。
「おやすみ、剣八」
蒲団を被り剣八の髪を手で撫でながら一護も眠りに落ちていった。





08/09/15作 第19作目です。いかがでしょう?猫剣。彼の方はすぐ元に戻ります。
続き読みたいって方が居たら分かりません。(続くのか?)


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