題「虫のいどころ」
ここは十一番隊隊舎。隊首室の空気が重い。隊長の機嫌がワリィ。原因は一護だろう。
この間の報告日は討伐で会えなかった。今日の報告日は、一護がウチの隊舎に来ない。
いつもは一番隊からすぐウチに寄るのに、どうも非番の恋次と玉蹴りして遊んでるらしい。
他の連中に聞いたら先週はギリギリまで待ってたらしいが、なんで今日に限って他隊に行ってんだ?
ガタン!と音を立てて隊長が立ち上がった。
「隊長?どっか行くんスか?」
「散歩だ、テメエも来るか?一角」
暗に一護探しを手伝えと言ってきた。
「あ、はい」
こう応える以外俺に何が出来ただろう?
 隊長は散歩とは思えないぐらいの早足で歩いていた。俺は遅れないように付いて行くと、隊長の足が止まった。
俺は隊長の目線の先を見ると嫌でも目立つ赤髪とオレンジ頭がめに入った。他にも何人か居た。一護は楽しそうに玉蹴りに興じていた。その様子は16歳に相応しい顔をしていた。隊長は声を掛けずに見続けていた。霊圧は少し上がっていたが・・・。
『イエー!』
頭の上で手をハイタッチして何やら喜んでいた。休憩するのか、恋次が上の死覇装を肌蹴て脱いで汗を拭いていた。
一護も手ぬぐいを取り出し上半身を裸になって汗を拭く。恋次の入れ墨に興味津津のようで覗き込んで指で触っていた。
それを見た隊長の霊圧が跳ね上がった。恋次が気付いてコッチを向いた。一護に教えた。こちらを見た一護が笑って応える。
周りの連中は頭を下げて挨拶する。死覇装を正す一護に瞬歩で近付いた。
「よう、遠征から帰ってたんだな」
嬉しそうに笑った。
「帰るぞ」
不機嫌な低い声。
「え!おい」
引きずって連れて行く。
「ワリィな、恋次」
俺は隊長の代わりに恋次に言う。
「じゃ〜な〜、恋次」
一護は呑気に声を返した。
「ちょっと、苦しいって、剣八離せよ」
漸く離された一護はケホケホ咳き込んでから、
「いつ帰ってたんだ?」
「・・・・・・」
「剣八?機嫌悪いな」
どうしたんだ?と覗き込むが、目も合わせない。
「っくしゃん!」
一護がくしゃみをした。俺は、
「なんだよ、風邪か?一護」
と聞いた。
「いや、さっき汗かいたから少し冷えたみてぇ」
ずずっと鼻を啜った。
「隊舎に着いたらすぐ風呂入れよ」
俺が言うと、
「ん。分かった」
と返事した。
「なぁ剣八、何でさっきから黙ってんだ?」
地雷を踏んだ。
「・・・・・・」
懐手のまま歩く隊長に、
「どっか怪我でもしたのか?」
心配そうに聞くので俺が、
「いや、かすり傷もねえよ」
と言ってやった。一護は、
「良かった」
と言うと隊長の袖を摘んだ。
「なぁ一護、何で今日は恋次と遊んでたんだ?」
俺が訊くと、
「ん〜、こないだから誘われてたんだけど、今日は報告が終わってすぐに待ってたから一回試合すりゃ、諦めるかなって」
またひとつ地雷を踏んだ。
隊長より先に選んだ事に気付いてない。一護、お前は今日いくつも地雷を踏んでる事に気付いてないだろう・・・。
隊長が始終無言のままなので俺と話す一護。
「えらく楽しそうだったな」
「そうか?まぁ現世じゃ学校か妹の相手ぐらいだからなぁ」
「妹いんのか?」
「あぁ双子でさ、一人は大人しいんだけど、もう一人がやんちゃでよ、男子に混ざってサッカーばっかやってんだ」
「へぇ」
一護の口から初めて家族の話を聞いた。隊長も少し気になったらしい。もう隊舎に着いた。俺は一護に、
「湯は沸いてるから、ちゃんと入れよ」
と声を掛ける。
「おう、分かった」
自室に向って着替えを取りに行った。
「隊長、人払いしときますけど、手加減ぐらいしてやって下さいね」
「手加減ね、どの程度を言うんだ?」
地を這うような低い声に俺は心の中で一護に合掌した。
「取り敢えず、壊さない程度に」
そう言って俺は人払いのため、消えた。

一護が風呂から上がると剣八しか居なかった。
「あれ、お前一人?」
縁側に座っている剣八に
話し掛けた。
「あぁ・・・」
やっと返事が返ってきた事に一護は嬉しそうに笑って、その横に座る。
「遠征ご苦労さん。ゴメンな、すぐに来れなくて」
湯上りで、少し色付いた顔でこちらを見て言った。
「別に餓鬼じゃねぇんだ。気にすんな」
「俺は逢いたかったよ」
その言葉を聞いた途端剣八が一護の顎を掴んで、
「なら何ですぐ俺の所に来なかった」
と言った。怒気を孕んだ声に一護が何か言おうと口を開けた時、素早く舌を差し入れた。
「ん!んん!」
逃げる舌を追いかけ、絡めて吸い上げた。
噛み付く様に口腔内を蹂躙され、一護は息も荒く、剣八から離れようとしたが身体に力が入らない。
「なんだ、口吸っただけで反応すんのか?お前」
浴衣の上から一護の中心を触る。
「ぅあ!」
声を上げる。そこは剣八が言う様に反応し熱を持ち始めていた。
「いやらしい餓鬼だな、お前は」
「な、何を!」
反論しようとした一護の浴衣の袷に片手を滑り込ませ、その胸の突起を捏ねる。
「あっ!ヤメ!」
「嘘言えよ、ココこんなにしてよ。ん?」
退路を断つように一護の中心を撫で上げる剣八。
「やだっ、なんで?剣八」
「なんで、か・・・。分かんねぇか?」
剣八は、一護の胸に舌を這わせもう一つの突起を口に含んで、軽く歯を立てた。
「あっ、うぅん!」
両方弄られ、中心にもやわやわと刺激を与えられ完全に硬くなった一護に剣八が、
「ハッ!やっぱイヤラシイな、お前はよ。縁側でこんな事されて感じてやがる」
一護が目を見張る。首を振って剣八から逃げようとしたが、
「逃がすと思うか?」
耳に流し込まれた熱い吐息と強い眼差しに、
「ひ」
と息を飲む一護を担いですぐ後ろの自室の蒲団に運ぶと、すぐ押し倒した。
一護を裸にして全身くまなく触っていった。一護の口からは、抑え切れない声が出ていた。
「はぁっ、やだ剣八怖い。なんで?」
それには応えず、一護の中心を握る。
「うぁ!い、た・・・」
「痛い?こんなに汁垂らしてるくせに」
先走りの液を先端に指の腹で塗り込める様にするとビクビクと身体が跳ねる。
「んぁ、ああ、あっ」
「どんどん溢れてんぞ、下まで垂れてきた」
指で上から下へなぞっていく。手で上下に扱くと、
「んん、く、ふっ!」
と声を堪えて震えていた。
「イキてぇか?イキたかったらお願いしてみな、『イカせて下さい』ってな」
それを聞いた一護は、
「ぜ、絶対いわねえ」
涙目で睨み付け言った。
「へぇ、何時まで持つかな?」
絶対的な余裕を持つ剣八が一護の根元を握り込む。そうした上で、口に含んだ。
「ひっ、ああっ、やめ!」
ゆるゆると、熱く湿った柔らかい舌を這わせていく。舌を尖らせて先端に押し込んだり、括れをぐるりと舐める。
「くっ!んん!」
「へぇ、まだ我慢出来んのか」
剣八は口を離すと、唾液を絡ませた中指を秘孔に入れていった。
「あっ、ああ!」
くちゅくちゅと音を立て、出入りする指に一護は敷布を握り締めていた。
「二本目・・・」
もう一本入れてきた。
「くっ!」
まだ『お願い』をして来ない一護に剣八が、
「三本目・・・」
指の動きを激しくしてきた。
「んあっ!ああ!やぁ!」
びくびく身体を震わせ、声を上げた。そんな一護に剣八は前立腺を攻め始めた。
「やあぁっ!ああっ!あっ!もうっ!」
「もう?何だイキてぇか?じゃあ何て言うんだった?」
執拗な指の動きはやめず耳元で囁いた。一護は焦点の合わない目で剣八を見ると、
「イか、せて・・・!」
やっとそれだけ口にした。
「違うだろ、『お願いします。イかせて下さい』だ」
一護が泣きそうな顔をして、
「い、イか、せて!下さいぃ!お、願い・・・」
それを聞いた剣八が一護の戒めを解いて指だけで前立腺を突き一護をイかせた。
「あっ!ああっ!ああぁああーっ!」
今まで我慢させられていた分、強烈な快感に一護は一瞬気を失ったが剣八によって起こされた。
「指だけでイッたな」
嗤っている。
耳元で、
「インラン・・・」
と囁かれた。一護は、唇を噛み締めた。血の味が口に広がった。
動けない一護から指を抜くと、剣八は自身を勢いよく突き入れた。
「いっ!ああっ!」
根元まで全部収めた。指で慣らされていたが急激な抽挿によって少し切れたらしく、敷布に赤い跡が付いた。
「くう、痛ぇ・・・、ちくしょう」
ぼろぼろ涙を零して呟いた。
「痛い、ね・・・、その割にまた勃ってんぞ?」
言葉通りそこは上を向いていた。
「スキモノ」
「あ・・なんで・・・?」
どうしてそんな酷い言葉ばかり聞かないといけないのか?ずっと逢いたかったのに・・・。やっと逢えたのに、待っていたのは自分だけだったのか?そんな疑問が頭を満たしていく。
それでも剣八によって引き出される快感を覚えてしまった一護。逆らう事など出来ない。
何度も追いやられ達した。気絶しても起こされ揺さぶられた。イっても何も出なくなって、
「もう・・・、許して・・・、お願い・・・」
泣いて許しを請うた。
ごめんなさい、許して、許して・・・。一護はうわ言のように繰り返し謝った。何故剣八は自分をこんなにも責め苛むのか?解らなかった。
 目が覚めた。気絶した事に気付いた。隣りで剣八が寝息を立てていた。
「風呂入んなきゃ・・・」
呟いて傍にあった浴衣を手に引きずって風呂に行こうと立った。
ドロリ。
一護の足を剣八の精液が伝い落ちた。
「あ、あ・・・」
腰が抜けそうになったが風呂場まで耐えた。風呂場で処理をした。血が混じっていた。まだ新しい血だった。
湯に浸かる。身体中噛み傷だらけだった。湯が染みた。涙が込み上げてきた。痛いのは心と身体どちらだろう・・・。
身体の傷を消すには、地下温泉に行くしかない。剣八がまだ寝てたら行こう。
壁伝いに歩いていると、弓親が声を掛けてきた。
「一護君、お茶、飲む?」
返事をするのが億劫だったので頷く。
「ワリいけど立ったままで勘弁な」
掠れた声で断わった。お茶を受け取りゆっくりと啜る。
「ねぇ・・・、身体、大丈夫?」
気遣いながら聞いてきた。一護は微かに笑いながら頷いた。
「そ、そう?そうは見えないよ」
もう一口飲んで、まだ掠れる声で、
「身体は・・・、大丈夫だよ。ただ」
「ただ?」
「名前呼んでくんなかったから。悲しいだけ・・・」
それだけ、そう言うと笑ってお茶を飲んでいる。
お茶ありがとうな、そう言うと剣八の部屋に戻った。剣八はまだ寝てるらしい。ホッとして新しい手ぬぐいを持って一護は剣八の顔を見ていたら不意に目が開いた。びくりとした。
「う、あ、ごめんなさい・・・」
剣八が何も言ってないのに、咄嗟に口にした。剣八は苦い顔をした。それをみた一護は、繰り返し謝った。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
腕が伸びてきて、一護は身を竦める。剣八は一護を抱き寄せて、髪を梳いた。一護は恐る恐る剣八の顔を見た。剣八はバツが悪そうな顔をしていた。
「名前、呼んで・・・?どうして今日呼んでくんないの?俺が嫌いになった?ならもう来ないから・・・」
目に涙を溜め自分を問い詰める。
こんなに傷付けたかった訳じゃねぇ・・・。剣八は激情に流された事を後悔した。
「悪かった・・・、一護・・・」
「もっと呼んで・・・?剣八に呼ばれたい、声が聞きたい」
「一護・・・!ワリィ、悪ふざけが過ぎた」
抱き締める力が強くなる。
「あっ!いた・・・」
「どうした?あ・・・」
浴衣の袷から覗く鎖骨に自分でつけた歯型を見つけた。袷を開くとそこらじゅうに歯型やキスマークがあった。
「悪い、四番隊行くか?」
「やだ、恥ずかしい・・・、良い温泉知ってるから、一緒に行こ?」
「温泉、今からか?」
「うん、すぐそこだよ、それに」
「それに?何だよ」
「中、切れてるから連れてって」
耳元で赤くなって囁いた。
「一護、煽るなよ、温泉で襲っちまうぞ」
「うん良いよ、ちゃんと名前呼んでくれるなら」
「よし、連れてけ、道案内はお前だ、一護」
「うん、双極の近くだよ」
剣八は一護を横に抱くと瞬歩を使い一瞬で着いた。

「ここだよ」
「へえ、こんなとこがあるとはね」
「知ってんのは、夜一さんと恋次ぐらいだから誰も来ないよ」
浴衣を脱ぎながら、恋次の名を口にした。
むっとした剣八に、
「どうした?入んねえの?」
声をかける。剣八も浴衣を脱ぎ、一護の背中を見て我ながら呆れていた。背中にも至る所に歯型があった。一護を後ろから抱き締める。
「なに、どうしたの」
いいながら二人で湯に浸かる。見る間に傷が癒えていく。
「すげえな」
「剣八も怪我したら使えよ、俺以外使ってねえみたいだし、恋次もあん時ぐらいか」
「おい、俺といる時は他の男の名前口にすんじゃねえ」
「なんだよ、やきもちか?」
「ふん」
一護の肩に噛みついた。
「あっ!剣八、聞いて良い?今日の、その酷かったのって、ヤキモチ?」
「・・・ああ」
一護が剣八に抱きついて、
「嬉しい・・・、いつも俺ばっか妬いてるから・・・」
その言葉だけで、身体と心の痛みが溶けて消えていく。
「何時妬くんだ、お前が」
「だって、いつも討伐とか、遠征とか一緒に行けないし、傍に居れるの報告日ぐらいじゃん、だから、嬉しいそんな言葉聞けて」
抱き付く一護の腰に手を忍ばせ、
「そういや、中が切れたって言ったな」
「う、うん」
「治さなきゃな」
ニヤリと笑うと一護の身体の向きを変え、膝裏から抱えた。
「や!やだ!剣八」
剣八は一護の秘孔に指を入れて中に湯を入れて傷を治した。
「やぁぁ、気持ち悪い・・・」
「じゃあ、俺が気持ち良くしてやるよ、一護・・・」
深い口付けを交わし、身も心もトロトロに溶かされる一護。
「心配しなくても、俺はお前以外目に入らないよ、剣八」
チュッと左目にキスをする一護。
剣八は、こりゃ俺も抜けられねえなと、内心笑った。




08/09/06作 第16作目です。鬼畜でラブラブ、なんだこいつら・・・、徹夜のハイテンションは、こんな物を生み出します。
恐るべし、真夜中のハイテンション(自制しろ)


08/09/11加筆修正しました。あんまり変わってませんが、入れたい文章があったので。
08/11/30修正
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