題「縁側にて」 | |
ふと、春先の冷たい風に顔を撫でられ目が醒めた一護。 先程まで熱く情を交わしていた男は、隣りに居なかった。 身体が重くて頭を起こすと、一人縁側で酒を飲んでいた。 また置いてけぼりにされて文句を言おうと思ったのに口を付いて出たのは、 「綺麗・・・」 という言葉。 今宵は満月なのかやけに明るくて、剣八の身体の輪郭が光っている様に見えた。 剣八は手にした杯を呷ると、 「なんだ、起きたのか」 と振り向いた。 「ん、今な」 一護も縁側まで出て剣八の顔を見る。現世と違って余計な明かりが無い分、月明かりだけでもお互いが良く見える。 剣八が一護の顔に手を伸ばす。頬に暖かさを感じて安心した一護は剣八の親指に舌を絡ませる。 「ん、んふぅ」 「なんだ・・・、誘ってんのか一護」 指から、舌を離すと一護はクスリと笑って、スルリと剣八の腕から逃げると庭の白木蓮の樹まで行き、一枝折ると空になった徳利に生けた。 「何のマネだ?そりゃ」 「ん?さっきの剣八に似てんなと思ってよ」 くすくす笑う一護は襦袢に袖を通しただけだ。 「俺が?これにか」 一護を引き寄せながら、剣八は訝しげに聞いて来た。胡坐をかいた剣八の肩口に頭を預けながら、 「うん、ほら、月の光弾いて・・・、さっきの剣八とおんなじ・・・」 花の輪郭を指でツツッとなぞって言った。 「そんなモンか?俺にしてみりゃ、今のお前にそっくりだがなぁ」 顎を掴んで上に持ち上げられ、喉から胸まで撫でられ、先程の余韻がまだ燻っている一護はそれだけで、 「は、ふぅ」 と声を出してしまった。お互い向かい合って、座って、剣八が一護の襦袢を脱がせていった。 「あ、や、剣八、此処じゃ、や」 「なんでだよ、、ほれ、見ろよ、手前ぇの方がよっぽど光、弾いてんじゃねぇか」 いいながら、胸の傷跡に舌を這わせて来た。 「やぁ!剣八、それ駄目!」 他よりも皮膚が薄く敏感な部分を舐められて、腕を突っ張って逃げようとしたが、胸の突起を両方捏ねられまた声が上がる。 「あぁっ!んっ!剣八っ」 むず痒い様な感覚と痺れる様な感覚に下肢にズンとした快感が沸き起こり、下に目をやるとそこは上を向き始めていた。 「もう反応してるぜ?どうする?一護?」 ゆるゆると指で一護自身を撫で上げる剣八。 「あっ、あっ、やっ、もう・・・、」 もう駄目だと目で訴える。 「しゃあねえな」 くっくっと低く笑いながら一護の後庭に指を這わせていく。 先程いやという程、注ぎ込んだ己の白濁が潤滑油代わりになり、苦もなく、飲み込んで行く。 「あ、あ、もう来て、剣八」 襦袢を腕に絡ませ、剣八自身を飲み込もうとする一護は、剣八の言うように月の光を弾いて妖艶ですらあった。 「早く・・・っ、剣八」 ヒクつくそこに、あてがうと剣八は一気に奥まで貫いた。 「あっ、あっー!」 ガクガク震えながら身体を反らす一護。遠慮無しに突いてくる剣八に一護が、 「あっ、あっ、剣っ、八、独りにっ、しない、でっ!あっん!」 うわ言の様に口にした。 「あっ!あっ!もうっ!イクッ!」 ビクビクと締め付けて来た一護の中にまた熱を注ぎ込んだ。 「くっ」 「んぁっ」 はぁはぁと息の荒い一護の髪を梳きながら、剣八が、 「俺が横に居なくて、そんなに淋しかったか?」 と、からかい半分で訊いたのに、達した余韻で素直になっている一護が、潤んだ目で、 「うん・・・、縁側に居たのにすごく遠くにいるみたいだった。手を伸ばしても、もう触れ無いんじゃないかって思ったんだ・・・」 そう言って剣八の胸に頭を擦り付けて、蒲団に潜り込んだ。剣八は、ギュッと一護を抱きしめた。 「んっふ、苦しいよ剣八」 コイツはいつもこんな事感じてたのか? 「俺はココに居るんだ。不安になるこたぁねぇ」 剣八の胸に押し付けられ、剣八の心音が聞こえた。 「あ・・・、剣八の胸の音が聞こえる、俺のは?剣八聞こえる?」 「あぁ、さっきから、どくどく聞こえてるよ」 自分で付けた首筋の紅い跡に耳を押し当てて言った。 「ふふっ、嬉しい」 ねぇ、お風呂入ろ。自分じゃ立て無いと強請って来た。 しょうがない、そこまでしたのは、自分なのだからそれぐらいしてやるか。綺麗な身体にしてやって一緒に寝て、 今日はコイツが目覚めるまで隣りに居てやろう、剣八は一人口許に笑みを浮かべ一護を風呂に連れて行った。 終 08/08/13作 第12作目の剣一です。08/08/15に剣一同盟にてアップされました。涼市さん代理投稿ありがとうございます。 私のサイト作りに全面協力して下さった涼市さんへの捧げ物です。本当にありがとうございます。 |
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