題「媚薬・確信犯」後編
湯船で目を覚ました一護は、自分の身体に違和感を覚えた。
「ん?」
「目ぇ覚めたか?」
後ろから抱きすくめられている一護は、
「あれ?剣八?あっ何?まだ入ってる!?」
慌てて後ろを振り向くと髪を下ろした剣八と目が合った。
「くく、手前ぇが言ったんじゃねぇか、俺のをいっぱい出してってよ」
「んん!言ったけど・・・あっ!」
肩甲骨を甘咬みされ、背が反り返る。それにつられて、剣八を締め付ける。
「まだイケるみてぇだな」
「ばか、んっ!あ!」
一護の背中に口付けを落とし、跡を付けた。
「なぁ、何、で、んっ!薬とか、使うんだよ?」
「あ?まぁこんなに乱れた手前ぇを見れるし、俺も楽しめるしな」
「俺は、やだ・・・、こんなの。怖いよ、その内誰でも良くなるかも知れない・・・!」
「誰が?俺か?お前か?」
震える一護の耳朶にキリリと歯を立て、尋ねる。
「アゥ!痛!」
「言っとくが手前ぇを誰かにやるつもりは無えぞ」
血が滲んだ耳朶を舐めながら剣八は低い声で言った。
「じゃあいつもの俺は物足りないのかよ?俺はお前を感じたい。 薬が入ると頭に膜が張ったみたいになる・・・。
剣八と・・・、触れてるのか分からなくなるかもしれねぇんだぞ・・・?他の誰かかも知れない・・・」
それが怖い、と俯いて告白する一護に剣八は、
「そうかよ・・・」
と呟くと一護に納めていた自身を抜いた。
「あぅっ!剣八?」
「出ろ、一護」
腕を掴んで一護の身体を立たせ湯殿から出る。おおまかに身体を拭き、一護を蒲団の上に投げ出した。
「痛ってぇな、何すんだよ」
文句を言ってる間に圧し掛かられた。
「今からその身体に教え込んでやるよ、誰がお前を抱いてんのかをな・・・!」
剣八の声にいつもよりも凄味が増していた。上から射すくめるような視線が降ってきて、一護は何も言えなくなった。
視線を逸らすこともできず、剣八の顔がゆっくり近付いてきて一護に口付けた。いつもよりも時間を掛けた濃厚な口付けに一護の頭は芯から痺れた。
「あ、んふぅ、んン」
「一護・・・、覚悟しろよ気絶なんかさせねぇからな・・・」
「剣八?」
一護の身体を反転させて、双丘を割り拓くと、そこの蕾に舌を這わせた。
「ひぃっ!やぁっ!何して、あぁん!」
「黙れよ・・・」
それだけ言うと行為を再開させた。思う存分に舐め尽くし、今度は舌を尖らせ差し込んで来た。
「あっ!やぁっ!やだ!んあっ!」
熱くて長い、そして柔らかい舌が自分の中に入り込んでくる初めての感覚に一護は身悶えた。グチュグチュと音が響いて内腿を唾液とも先走りとも分からないモノが伝い落ちて行くのが分かる。
「んん!はぁっ!も、もうやだ・・・」
「嫌がってる割に此処は元気だな?」
剣八は前に手を伸ばし一護自身を握ってきた。
「あうっ!け、剣八痛い、よ」
ビクビクと背を撓らせ訴える。そんな一護の訴えに耳を貸さず、先程の行為に加え一護自身を扱いた。既に溢れ出る体液で
滑りが良くなっているソコは、後ろと同じく湿った音を立てている。
「イ、ヤッ!剣八!もうイク!」
後ろを締め付けたその時、舌も手も離された。快感を途中で止められ一護は、
「あ・・・、剣八?」
後ろを振り向き剣八を見る。口許を拭って笑いながら、
「イキてぇか?一護、どうする?さっきみてぇに自分で慰めるか?それとも俺のモン咥え込むか?どっちだ」
先程の自分の行為を思い出して、真っ赤になって剣八から顔を逸らす。
「け、剣八のが・・・欲しい」
それでも消え入りそうな声で告げる。
「んん?俺のが、なんだって?」
意地悪く聞いてくる。
「だから!剣八のが欲しいって言って!じっ、自分の指じゃ嫌だ、剣八の、ちょうだい・・・!」
起き上がって剣八の顔を見て一気に言う。
「じゃあ自分で・・、好きな様にしろよ、好きなように動け」
そう言われて一護は、剣八の唇に触れるだけのキスをした後、剣八の顔の傷跡を唇で辿った。そしてもう一度顔を見て今度は深く口付ける。歯列をなぞり、剣八の舌を探り出す。剣八の舌に自分の舌を絡ませチュッと吸い上げた。
「んっ、ふっ、んン」
自分の鼻から甘ったるい吐息が漏れる。剣八は何もして来ない。唇を離すと互いの唾液が糸を引いてプツッと切れた。剣八の唇を舐め、首筋に吸い付き跡を付けた。
「ん、剣八・・・」
名前を繰り返し呼びながら、剣八の身体にキスを降らせる。胸から腹、そして剣八自身に・・・。
既に熱くなっているソコに一つだけキスマークを付けた。一護は剣八に跨り、自分で後ろに宛がいゆっくりと腰を沈めていった。
ゆっくりと自分が侵蝕される感覚に一護は酔う。全て納めきった一護は、両腕を剣八の首に絡ませ抱き付いて耳元で、
「あ、あ、剣八の匂い・・・、はぁっ!ん、剣八がココに居る・・・、俺の・・、中にも居る・・・」
自分の下腹部を触りながら囁いた。
「動かねぇのかよ?一護」
「うん・・・、まだ、このまま繋がってたい・・・」
肩口に顔を預けて微笑んだ。
「一護、俺が我慢出来ねえよ、動くぞ」
「えっ!あっ!剣八!」
急に押し倒され、ガツガツとした性急な動きに一護が
「剣八、剣八!どう、したの?あっ!はぁっ!」
「手前ぇが悪い!」
「な、に?んあっ!やぁ!剣八!イク!」
一護が先にイき、その痙攣で剣八が一護の中に熱を放った。
「んあぁ剣八、お腹熱い・・・」
「くっ!この餓鬼、煽ってんじゃねぇよ!こっちは必死で押さえてんだぞ」
まだ一護の中で硬さを維持している剣八が一護に言う。
「?なんで我慢すんの?いつもみたいにして?気絶しても、無理矢理起こしていいから、ね?」
剣八の顔を両手で包んで、キスをした。
「剣八。剣八が俺をどうしようと俺は剣八が大好きだよ。だから好きにして?」
剣八が驚いたような顔をしたのを見て、一護は不安そうな顔をした。
「嫌だった?俺にこんな事言われるの?」
「いや・・・、そんな事、言われ慣れてねぇから、どんな顔すりゃ良いのか分からねえ・・・」
「・・・これから俺が言ってやるよ、剣八が俺に飽きるまで・・・」
「なんだそりゃ」
「良いから、早く来て剣八、奥がつらいよ」
「そういやお前、俺とこうする時いつもより名前呼ぶ回数多いよな、何でだ?」
「・・・いいじゃん、別に」
急に赤くなって顔を背ける一護の様子が可愛くて、少し意地悪をした。少しだけ腰を動かし、奥を突く。
「あぁんっ!剣八、もっと・・・」
少し腰を引いて、剣八は一護にもう一度聞く。
「なぁ?何でだよ、一護」
「ふぁっん!あぁっ剣八・・・の意地悪!そんなの特別だからに決まってんだろ、剣八は俺の特別だから、あっ!」
急に再開された動きに声が途中で喘ぎ声に変わる。一度、中で出され滑りが良くなったソコは奥まで入っていく。
ギリギリまで抜いて奥を突く。何度も繰り返され一護の口は閉じることもできず、喘ぎ続けた。目尻からは涙が溢れた。
「んあぁ!剣八、あっ!またイク!」
「あぁ、イケよ、またお前ん中に注いでやるよ」
「あっ!あっ!あぁっ!イクッ!」
「くっ!」
一護と同時に達した剣八は、一護の顔を覗き込む。
「な、何、剣八?」
「いや、悪かったな」
「なにが?」
「薬と、八つ当たりだ」
「八つ当たり・・・?」
「お前が、他の奴とヤッても分からねぇかもって言った時、ムカムカした。それをぶつけちまった」

それは嫉妬といわれるモノ

それを聞いた一護が抱き付いて笑いを含んだ声で、
「剣八、まだいける?俺まだ足んない、もっときてよ・・・」
自分で腰を揺らして誘う一護。まだヒクつくそこに納まったままの剣八。
「剣八、後ろからの好きでしょ?まだヤッてないよ」
「でも手前ぇあれ苦手だろ?」
「嫌いじゃないよ、ただ剣八の顔が見えないのが嫌なだけ」
下から剣八の髪を梳きながらそう言ってわらう。
「ね、きて」
一護の誘いに乗る剣八は入ったまま体位を変える。
「んあっ!」
「なんだ?イイトコにでも当たったか?」
軽口を叩きながら、一護の細い腰を掴んだ。
「あ、剣八・・・」
腰を動かす度に溢れる体液で淫猥な水音が響く。
「一護、テメエぇの此処動く度にグシュグシュにしやがって、仕方ねぇなぁ」
「あっ、あっ、バカ!んな、こと、言うなっ!」
「なんだよ、手前ぇが俺の顔見れないのが嫌だっつぅから、声聞かせてんじゃねぇか」
「だからって、んあっ!そんな事言う奴があるか!」
「我が儘だな、じゃあ一護、何で俺がこの体位が好きか教えてやるよ・・・。俺は手前ぇの背中と細い腰が好きなんだよ、この格好だと良く見えるし、掴めるからな・・・」
くっくっと喉の奥で笑いながら、腰から脇腹を撫で上げ、肩甲骨を舐め上げた。
「あぁっ!あっ!くっ!剣八!もうダメッ!イク!」
四肢を震わせる一護に、
「もうちょっと待てよ」
そう囁き一護自身に指を絡ませ快感を塞き止めた。
「んあっ!やぁ!もう・・・」
すぐ後にドクリと熱いモノが奥に感じられた。
「んあぁ!剣八・・・」
「ほら、こっち向け一護」
ひくひくと小刻みに震える一護の身体を反転させて、胡坐をかいた剣八と向かい合った。
「あ、は、はぁ、ん、剣八ぃ、もう」
「もうちょっとな、これで終いだからよ」
腰を掴んで持ち上げられ、打ち込まれる。
「あぁんっ!剣八!」
腕を絡ませ、腰を自分で擦り付けてくる一護に、剣八は笑って腰を突き上げる。
「んん!剣八!もう無理・・・、お願い・・・!」
「じゃあ一緒にイクか一護」
一護から指を離し剣八は最後に一際大きく突き上げ、最奥に熱を注ぎ込んだ。同時に一護も達した。
「くうっ!」
「んあっ!あぁあん!」
一護は絡ませた腕で、剣八を抱き寄せた所で気絶した。
ふっと目を覚ました一護の隣りにいた剣八が片肘でこちらを見つめていた。
「目ぇ醒めたか?」
「あ、俺、気絶したのか?」
「まぁな」
「起こしてくれりゃあ良いのに」
「あぁ、あんまり気持ち良さそうだったんでな」
「んな!だからそういう事を!っ!」
「あんまり動くと俺のが出るぞ?それに手前ぇ俺のこと離さなかったぞ」
「えっ!」
「あんまり可愛いんでな、そのままにしてみた」
一護は立ち上がって浴衣を羽織ると、
「風呂入る!」
と言って湯殿に行った。
「くっくっ、あれだからなぁ・・・」
剣八は一人楽しそうに笑うと、ひとまずシーツを新しく換えて、風呂に向かう。
「おい一護手伝ってやるよ」
「うわっ!良いよ!別にって、わぁ!」
言うが早いか剣八は一護の処理を手伝う。一緒に湯船に浸かって、
「大人しいな一護」
「べ、別に」
恥ずかしくて顔が見れない。
「特別・か・・・」
ポツリと剣八が呟いた。
「な、なんだ急に!」
「いや・・・、確かに特別だな、手前ぇに呼ばれると俺の名前も捨てたモンじゃねぇなと思ってよ・・・」
もっと・・・何か別な意味を持ち獲そうで・・・。
「だから、もっと呼べよ一護・・・」
一護の唇に触れるだけのキスをした。みるみる赤くなった一護が、
「もう出るぞ!」
と言って先に上がった。やれやれといった感じで後を追う剣八。脱衣所で着替え、二人が蒲団に入ると一護が、
「あれ?シーツ新しい」
「あぁ、寝るだけだからな。新しいほうがいいだろ?」
「うん、ありがと。剣八、おやすみ」
そう言ってチュッと唇にキスして蒲団に潜り込んだ。剣八は一人楽しそうに笑っていた。残った飴は一角にでもやるか。そんな事を考えて剣八も眠りについた。愛しい存在を腕に感じながら・・・。




08/05/27作 第10作目です。

剣一同盟にアップされたみすずさんの絵に触発されて書きました。お題は「舐める」
みすずさんありがとうございます。

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