題「媚薬」
なんだ・・・コレ・・・?
一護は部屋で一人怯えていた。先程から自分の身体が熱く、それが特に下半身に集まっているのが良く分かる。
(おかしい、なんだよコレ、怖ぇよ・・・)
ズクン、ズクンと痛みにも似た感覚に耐え、原因を考える事に没頭した。

 今日、瀞霊廷にやって来た一護は、取り敢えず自分の部屋に荷物を置くと十一番隊隊舎に向ったが、生憎と誰も居なかった。
珍しい事もあるなと思いながら、そこらを散策する事にした。


その頃十二番隊では、不穏な実験が行われていた。
「出来たヨ!さぁ誰に試して貰おうカネ」
「マユリ様、何のお薬が出来たのですか?」
「フン、隣で見て居て解らないとは、このウスノロが!これは催淫剤つまり媚薬ダヨ。さぁ、誰に・・・ん?」
運悪くマユリの視界に散策中の一護が入って来た。
「よし、あの小僧で試すとするか。ネム!コレを飲み物にでも混ぜて奴に飲ませて来い」
「はい。マユリ様」
そして、お茶に混ぜられた、媚薬を一護に勧める為ネムが声を掛けた。
「黒崎様」
「えっ?」
そんな呼び方をされた事がなかった一護が、びっくりして振り向くと、そこには湯呑みをのせたお盆を持ったネムが佇んでいた。
「あ、なんか用スか?え〜と」
「十二番隊の副官のネムと申します。初めまして。黒崎様、お茶でもいかがですか?今日はお暑いので喉が渇いていませんか?」
「えっ、いや急に、それに隊長さんを差し置いて俺が貰うのも・・・」
「マユリ様はもう済まされました。そうなるとこのお茶は無駄になってしまいます」
心なしか淋しそうな顔で言われてしまい一護は、
「じゃあ遠慮無く、頂きます」
そう言って一護は妖しい薬が入ったお茶を、一気に飲み干した。
「ありがとうございます、ネムさん。丁度喉が渇いてたんですよ」
そう言って礼を言うと、湯呑みを返した。ネムは少し胸に痛みが走った気がした。

それからいくらもしない内に、一護の身体の調子がおかしくなって来た。
身体が異常に熱い、心臓がうるさい。やばい、十一番隊に戻ろう。
隊舎に帰って部屋に着くと浴衣と手ぬぐいを持って風呂場へ向かう。
いつの間にか、数人の隊士が帰っていた。一護が風呂を借りると言って、風呂場にいくと、誰も居なくて助かった。
 死覇装を脱ぎながら、一護は、自身が勃起しているのに驚いた。
風呂場で、水を被り熱を下げようとしたが一向に下がらない。
 やばい、こんな所を剣八に見られたら、何言われるか分かったもんじゃない。早々に体を拭き、浴衣を着て急いで部屋に戻る。
蒲団を敷いて、潜り込みどうしたら良いか考えた。
(やっぱりあのお茶か?十二番隊って確か技術開発局っていったな。変な薬でも入ってたのか?)
「どうしよう・・・?コレ、収まんねぇ。痛ぇし、苦しぃ・・・」
その内、先走りが出てきて下着を濡らしているのを感じて、ますます困惑した。それでも股間を押さえて、痛みと恐怖に耐えていた。
 それからほどなくして、隊舎に剣八が帰って来た。一護の姿が見当たらないので、
「おい一護の奴どこ行った?」
そこらに居た隊士に聞いた。
「あの、なんか風呂入って部屋に帰りました。具合悪いから寝るって言ってましたよ」
「具合悪いくせに風呂に入ったのか?あの馬鹿」
ダンダンと足音をさせて、剣八が一護の部屋に近付いた。一護は蒲団を頭から被って悟られない様にした。
「おい一護、具合悪いらしいな」
「あ、ああ、ちょっとな。だから寝かしてくれよ」
「ふーん、ちょっと顔見せろ、何で蒲団に潜ったままなんだよ」
無理矢理蒲団を剥ごうとする剣八に一護は、
「止めろ!本当に頼むから・・・!」
くぐもった声で返した。いつもと違う様子に蒲団から手を離し、裾から手をしのばせ、一護の身体に触れる。
「あっ!」
声を上げ、身体がビクリと跳ねた。
これには剣八も流石に驚いた。
「なんだぁ、お前」
くっくっと低く笑う声が聞こえた。
「うるせぇ、早く一人にしてくれよ」
「嫌だね。こんな状況もう二度と来ねぇだろうからな」
顔を近付けて、そう言うと剣八は、掛け蒲団をはぎ取った。
そこには呼吸を乱し目に涙を溜め、身体を小刻みに震わせている一護の姿があった。
「あっ、や、見んなっ、蒲団返せ!」
取り返そうとした腕を掴まれ、
「嫌だね、何だお前、熱あんじゃねえのか?」
「そ、そうだよ!だから蒲団返せって」
「その割にゃ、えらく元気だな?ん?」
意地悪く言うと、一護の中心に手を伸ばした。
「あっ!やめっ!」
その刺激だけでイッてしまい、一護は顔を真っ赤にした。
「あっ、はぁ、はぁ、離せ・・・っ、帰れよ・・・」
腕を掴まれ、膝立ちの状態の一護は、震える手で剣八を突っ撥ねた。そんな一護の様子を見て剣八の中で嗜虐的な感情がもたげてきた。
肉食動物が獲物を前にしたような光を目に宿し、舌舐めずりをして一護を組み敷いた。
「うあ、やめっ、頼むから・・・!」
一護の口から甘い匂いがして、余計に剣八を昂らせた。
「止めろってお前もうこんなじゃねぇか」
剣八は一護自身を、下着の上から揉みしだいた。
「あ、んう、やぁあっ!」
「またイッたのか、今日はえらく感じ易いな、褌グチャグチャじゃねぇか」
浴衣の帯を解き、前を開き下着の上から弄った。
「んや、こわい・・・やだっ」
乱れた息で言う一護。
「怖いだぁ、何言ってやがる。いつもやってるだろうが」
「違っ、身体、おかしいっ」
汗をかいて、しっとりしている一護の胸に手を這わせ小さな突起に刺激を与える。それだけで、一護自身は固さを取り戻した。
「あぁっ、は、んや」
「確かにいつもと違うみてぇだな」
笑いながら、一護に口付けた。必死になって保とうとしていた一護の理性が剥がれ落ちた。
「ん、んふ、んぁっ」
自分から、舌を絡ませ貪った。
「ん、剣八、剣八、欲しい、来て・・・」
自分から、口付けを繰り返し、初めて一護から剣八を誘った。剣八の死覇装の袷をはだけ、鎖骨を甘噛みし吸い付いた。
こんなに乱れて自分を誘う一護を見た事が無い剣八は、素直に誘いに乗った。
「いいじゃねぇか、いつもこの位素直ならいいんだがよ?」
熱い息と共に耳に流し込んだ。それだけで一護の口から甘い声が漏れる。
「あぁ・・・、剣八、早く・・・」
もどかしげに、剣八の袴の腰紐を解き脱がせていく、その間も口付けは続けていた。自分も身に着けていたモノを脱いでいった。
「触って、お願い・・・変になる・・・」
「触るだけでいいのかよ?」
わざと意地悪く聞いた。
「触るだけじゃやだ・・・。いつもみたいに、俺の中に入って・・・、俺を満たして・・・」
そう言うと剣八自身に唇を落とし舌を這わせた。湿った音が淫らに響いて、一護はもっと興奮して来た。
剣八が一護の髪をくしゃりと撫でた。
「んっ、ふぅ、はっ」
飲み込みきれない唾液が溢れてきて一護の口の中で剣八が吐精した。
「んっ!んくん!」
いつもは、受け止めるだけなのに、初めて飲み下した一護を剣八は抱き寄せて口付けし、己の残滓を舐め取った。
「一護・・・、お前今日すげぇやらしいな、堪らねぇ」
「ん、今日は身体がいう事きかない・・・から、なんか怖くて・・・剣八以外の誰かに触られるの嫌だし、だから部屋に籠ってた」
「嬉しい事言うじゃねぇか、お返しだ・・・」
剣八は一護の唾液を指に絡ませ、後庭に埋めていった。いつもよりも軟らかいソコは、すぐ根元まで飲み込んだ。
「はっ、ああぁ、ん」
「これなら入れても大丈夫か、おら一護すぐに満たしてやるよ」
指を抜き、自身をあてがうと一護の中に埋めていった。
「ああぁん、剣八、イイ!気持ち良い、もっと来て!」
ガクガク震えながら快感に身を任せる一護。
「そんなに気持ち良いか?一護」
「うん!うん、気持ち、良い、剣八、あぁ!」
「なんだよ、まだ動いてねぇのに、もうイッたのかよ」
くっくっと低く喉の奥で笑う。
「あぁっ、だって、止まんない!んあっ」
剣八が腰を動かし始める。いつもと同じに激しく出し入れし、自分の快感に没頭し、一護の体内に放出した。
「ああっ!剣八の、熱い・・・」
一護の中でまだ固さを維持している剣八は今度は余裕を持って一護の様子を見ながら、一護を抱いた。
「あ、はぁ、剣八ぃ、もっと・・・、きてぇ・・・」
頬は上気し目元は朱を差したように赤くなっている。白い身体が蛇のように揺れながら、自分を誘う。
その胸の突起に吸い付き舌で転がすと締め付けが強くなった。
「あぁん、もう、らめぇイッちゃう!」
「こら、自分ばっか気持ち良くなってんじゃねぇぞ、こっちも満足させろよ」
「だ、だってぇ、んくっ」
一護の中に入ったまま体位を変える。剣八が仰向けに寝て、
「おら手前ぇで動け。自分のイイ所、自分が判ってんだろ?一護」
「やっ!奥までくる!」
腰を落として、一番奥まで沈めると自分で動いて感じる所を探した。
「ん、あぁ、は、ひっ!あっ!あぁ!ひゃうっ、くぁっ!」
喘ぎ声が大きくなった、
「なんだソコが良いのか?」
「うっん!気持ち良い!」
自分の上で乱れる一護に剣八が腰を突き上げると、一際甲高い声を上げた。
「ひぃっん!あっ、はん。剣八ぃ、やぁっ、も、ダメッ!」
四肢を震わせて一護がイクのを見て剣八が、
「すげぇやらしい顔してんぞ・・・、一護」
と言いながら一護の顔に手を伸ばした。その指を舐め、
「はぁ、はぁ、剣八、も、だめぇ動けない・・・」
剣八の胸に倒れ込み呟いた。剣八が起き上がって、一護を抱きかかえると、
「しょうがねぇな、ちゃんと満足させろよな」
言いながら、ヒクつく一護の中で限界が近いのが自分で分かる。
剣八が一護の腰を持ち上げ、ギリギリまで抜くと手を離した。一護の体重で奥まで貫く。
「はっ、あぁんっ!剣八!嫌!ぁっ、あぁん、くぅ!」
「ハ!嫌じゃねぇだろ?此処グシュグシュにして、良い鳴き声あげてよ、ん?」
繋がっている所を指でなぞって、一護の耳元で囁いた。
「んあぁ!剣八ぃ」
剣八の首に腕を絡ませ腰を振って誘う。
「ほら見ろイイんじゃねぇか、もう待ったは聞かねえぞ」
一護を押し倒して、腰を抱えて打ち込んだ。
「んっ!あっ!あぁ!はっ!んくっ!あぁっ、剣八、ぃあっ、もっと来てぇ・・・」
「は!今日は本当に素直だな」
深い口付けを一護に与える。
「ん、んふっ!あぁ、剣八、剣八!も、イ、クッ」
「あぁ、好きなだけイケよ、一護!」
抽挿を強める剣八、
「ん!あぁ、あっ、剣八、好きっ、剣八ぃ!あっあぁああぁん!」
「あぁ?今なんつった一護!くっう!」
一護が達した後の痙攣につられて、剣八が熱い精を最奥に注ぎ込んだ。
「んぁあ、熱い、剣八のが・・・お腹に・・・」
剣八の耳元で一護が、達した余韻に浸って囁いた。剣八の背中にぞくりとした感覚が走った。
一護を見ると剣八の首に腕を絡ませたまま、失神していた。口許に微かな笑みを浮かべて・・・。

一護が目を覚ますと剣八が隣りで顔を覗き込んで居た。一護は微笑んで、剣八の顔に手を伸ばした。
その手を取って口付けした剣八が、
「おい一護、今日はえらく可愛かったなぁ?一体どうした?え?」
言われてみるみる顔を真っ赤にした一護が可愛くて剣八は、
「しかも俺が好きだってなぁ?初耳だぜ」
意地悪く言った。
「なっなな何言って!」
「ちゃんとこの口が言うの聞いたぜ」
「〜〜!」
「で、何であんなになった一護」
声を低くして訊いて来た。
「し、知らねぇ、あっ、今日、ネムさんにお茶貰って飲んだ」
「それだな、お前実験台にされたな」
「えっ!何の!」
「あの様子じゃ媚薬だろうな」
ニヤニヤ笑いながら言った。
「何、ニヤけてんだよ」
「別に?いつもあんな風に誘ってくれりゃあ良いんだけどなぁ?」
今日の自分を思い出して
「こ、この馬鹿!もう知らんっ!」
顔を真っ赤にして剣八に枕をぶつけて、蒲団に潜り込んだ。くっくっと低く笑って、
「おい、後で風呂入るぞ、一護」
「ふん」
まぁあんな一護を見れたし、斬り込みに行くのは勘弁してやるか。剣八は一護を引き寄せて、腕の中に抱いて眠った。




08/04/28作 第8作目です。08/05/31に剣一同盟にてup していただきました。涼市さん代理投稿ありがとうございます。

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