題「雨の日の薬」

 今は、現世。部屋で一護は、明日からの土、日曜を利用して、瀞霊廷に定期報告を兼ねた訓練に行く為の用意をしていた。
用意といっても、簡単な着替え等だけだから少ない。
(明日は朝早くから行くからな。もう寝よ)
そう思いながら、ベッドに横になり眠った。

  朝、起きると雨が降っていた。しばらく雨を見ていたが、遊子が朝ご飯だと皆を起こす声が聞こえたので、下に行き少し手伝い、メシを食って顔を洗って、部屋に戻る。少し心が沈んでいる気がしたが、気のせいだろう。
早く向こうに行こう。何故か剣八の顔がちらついて、急いで頭から消した。
(なんだ・・・急に・・・)

「おいコン、後の事頼んだぞ明日にゃ帰るから」
言いながら、コンと入れ替わる。
「ヘイヘイ、いってらっしゃい。ったく、浮かれた顔しやがって」
コンの独り言は聞こえなかった。

 瀞霊廷にやって来た一護は、最初に一番隊に報告に行った。すぐに十一番隊の道場に行った。
一角が居れば稽古が出来る、もっと強くならなければ・・・。もっと強く、もっと・・・。
道場には誰も居なかった。隊舎の方に行くと何人かの隊士がいた。その中に知った顔がいた。
(確か・・・荒巻とか)
記憶の底から思い出し声を掛けた。
「あの〜荒巻さん?」
「え!あっ!一護、さん」
「イヤ、別に呼び捨てで良いっすよ。そっちのが年上なんだし・・・」
苦笑しながら言った。
「所であの、一角とか剣八の姿が見当たらないんすけど、なんかあったんすか?」
と訊いた。
「あぁ、今、隊長から五席まで虚の討伐に行ってるんだ、隊長ヒマ持て余してたから、喜び勇んで向かったぜ」
「へー、なんかあいつらしいな」
「何か用でもあったのか?」
「イヤ、一角が居たら稽古でもって思ってさ、居ないんなら他当たるわ」

そう言って隊舎を後にして、隊首室に斬月を置くと、
(一角が居ねぇなら、後は恋次に頼むか・・・)
 六番隊に顔を出し、恋次がいるか尋ねてみた。隊首室に居ると答えが返って来た。

 隊首室の扉をノックして、遠慮がちに開けるとそこには、白哉と恋次、それにルキアが居た。
「あれ一護、珍しいなお前がこっちに来るなんてよ。何か用か?」
恋次が尋ねる。
「あぁ、もし暇だったら訓練に付き合って貰おうかなって思ってよ。でも忙しそうだな」
「まぁな」
「良いではないか、久し振りだ。茶でも飲んでゆけ一護」
とルキアが誘ってくれた。
「でも仕事が・・・」
「構わぬ、丁度休憩しようと思っていた処だ」
白哉が言ったので、お茶となった。外をぼんやりと見ながら一護が、
「此処って雨降らねぇの?」
不意に訊いて来た。
「いや?降る事は降るが。それがどうしたのだ?」
「俺が居る時は降ってねぇなって思って・・・」
いつもの様子と違う何かを感じてルキアが、
「一護、何かあったのか・いつもと様子が変だぞ?」
ルキアの方に視線を移すと、
「ん?別に何も・・・?あぁそうだ雨が降ってたな」
「・・・現世でか?」
「あぁ」
雨は嫌いだ・・・呟くように言うと、ゆっくりと視線を外に戻した。その様子で何か察して深くは訊かず、ルキアは、
「恋次、早く終わらせて、一護と稽古でもしてこい」
と言った。
「あ、あぁ・・・」
返事を返し、手元の書類を片付けて、一護の稽古に付き合った。

3時間以上は打ち合っただろうか、手に力が入らず、木刀が握れなくなって漸く、
「おい、もう良いだろ?お前木刀握れなくなってんじゃねぇか・・・」
恋次に言われて、渋々といった感じで、一護は稽古を切り上げた。
「お前やっぱおかしいぞ?いつもはそんなにムキにならねぇじゃねぇか」
「・・うるせぇ、なんか気持ちワリーんだよ・・・、でも少しマシになった。あんがとよ、恋次」
そう言うと一護は木刀を返し、六番隊隊舎から十一番隊隊舎に帰る言って隊舎を後にした。
「一護はどうした?」
ルキアに訊かれた、
「十一番隊に帰った、何か変だったぞあいつ、大丈夫か?」
「どうも雨が降ると、ああなるみたいでな・・・、そっとしとくしかあるまい」
「そうか」
恋次もそう返した。一護自身にも、どうしようも無い事なんだろと判ったから、触れないでおこうと。

一方、一護は十一番隊の道場に居た。
誰も居ない、静かな道場で素振りでもしようと思って木刀を取ったが、まだ握力が戻らないらしく手から零れ落ちた。
なんだかすごく情け無くなってソコに座り込んで、膝を抱えて顔を埋めた。


何時間経ったのか、隊舎に剣八から弓親までがやっと帰って来た。
「お帰りなさい!隊長!」×隊士達。
「おう」
隊首室の扉を開けると斬月が目に入り、
「おい、一護が来てたのか?」
と大声で訊くと荒巻が、
「えぇ、今日来ましたよ。斑目三席と稽古したいって、でも討伐で居ないっていったら、他当たるって出て行きましたよ」
弓親が道場の方から一護の霊圧を感知して、
「隊長一護なら道場に居るみたいですよ」
と言い指差した。
「ああ?灯も点いてねぇじゃねぇか」
「取り敢えず行ってみたら?剣ちゃん」
背中から降りたやちるに言われて、仕方なく道場に行って扉を開けるとそこには、うずくまったままの一護の姿があった。
その異様な雰囲気に剣八が、一護の肩を揺すって声を掛けた。
「おい一護、寝てんのか、起きてんのか」
一護がゆっくり顔を上げて剣八を見た。その目にいつもの生気は無く、体も冷えきっていた。

一護が緩慢な動きで、剣八に手を伸ばし、顔に触れた。
「お前こんな所で何やって・・・」
剣八の口に手を当て言葉を遮ると一護は、剣八の胸に耳を押し付けた。
「・・・心臓の・・・音が聞こえる・・・」
一護が呟いた。
「当たり前だろ・・・お前また変になってんな?」
「別に、いつもと一緒だ・・・皆同じ事言いやがって」
若干苛つきが混じった声で言い返す。
「兎に角、お前、体冷え切ってんぞ、風呂入れ。丁度俺らも入るとこだ」
「俺らって?」
「一角と弓親だろうが」
「ふぅん・・・」
連れ立って歩いて風呂場に行くと一角が、
「あっ隊長、お先に風呂使いました〜」
弓親と一緒にすれ違った。
「ごゆっくりどうぞ」
頭を下げて言った。
「おう、おら一護さっさと脱げ」
「あぁ、着替え持って来る」
「要らねぇよ、いいから脱げ!」
剣八は乱暴に一護の衣服をはぎ取ると脇に抱えて、湯船に放り込んだ。
「ぶわ!ゲホッ何っ、しやがる!」
「うるせ、暴れてねぇで、ちゃんとあったまれ」
自身も着ている物を脱いで、湯船に入る。
「今度は何だ?一護」
「?・・・何が?」
はぁ、と小さい溜め息をついて剣八が、
「手前ぇがこんな顔する時はつまんねぇ事考えてる時だろうがよ」
と言って一護の頭からお湯を浴びせた。
「ぷぁっ、はっ」
「いい加減、気付くぞ。で?何があった」
何が、と言われても、一護自身分からない。困った顔をすると、手が伸びてきて顔で引き寄せ、口付けを交わした。
「難儀なガキだなぁ、お前ぇは・・・」
言い返す事もせず、剣八の胸にすっぽり収まって一護は動こうとしない。
そんな一護を不思議そうに見て、剣八は肩に湯をかけたり背中をさする様に、撫でていた。
「もうそろそろ洗うぞ」
そう言って湯船から出る。
「うん」
一護も湯船から出て、髪と体を洗う。ふと、剣八に、
「背中、流そうか?」
と聞いた。石鹸で髪を洗い終えた剣八は、
「・・・珍しいな。誘ってんのか?お前ぇ」
「んなわけあるか!さっき、湯船でさすってくれたからな、お返しだ」
「ふーん、まぁ頼むか・・・」
髪の滴を絞って、後ろに撫でつける。一護は手ぬぐいに石鹸を付け泡立てる。
「ほら、後ろ向けよ」
一護は剣八の広い背中を洗う。首から腰まで。
(結構しんどいな・・・)
思っていた所へ、
「おい一護もっと力込めろよ」
「はぁ?込めてるつうの!」
「効かねぇな」
と鼻で笑われた。」
「くっそー!」
ムキになって力を込める一護の腕を取って、腰に手を回して唇を合わせてきた。
「なっ何すんだ!」
「もう良い、そろそろお前が欲しいな」
「何言ってんだよ!お前背中しか洗ってねぇじゃねぇか!」
「へぇ?前も洗ってくれんのか?」
「馬鹿!自分で洗え!」
「良いじゃねぇか、どうせ手前ぇも泡だらけじゃねぇか」
くく、と低く笑って、手ぬぐいの泡を一護の身体に塗りたくった。
「あっ、やっ!」
ぬるぬると手を動かして一護の胸を撫で回した。
「あ、や、ひぁ、あっ」
いつもと違う感覚に戸惑っていると、胸の突起を両方いじられ、勝手に動く腰を止められない。
そのうち一方の手が下へと伸びてきて一護自身をまさぐってきた。
「ひっ?ああっ、ひゃう」
思わず腰を引くと強く握られた。
「ひゃあっ!」
「ほれ、一護手前ぇの身体で洗え」
「な!なに言って!」
「いいから、来いよ」
正面から抱かれて、背中にも手で泡を塗られた。そのうち剣八が、
「同じように手で泡立てて、俺に塗れ。自分にやられたこった、出来るだろ?」
「うぅ・・・馬鹿っ八」
覚悟を決めてゆるゆると剣八の胸や身体に、手で泡を塗った。背中に手を回して近付いた一護に口付けた。
さっきよりも深い口付けに鼻に掛かった吐息を漏らした。
「ん、ふぅん、んぁ」
長い舌がヌルリと入って来て、背筋にぞくりと快感が走った。一護は夢中で、剣八の舌を貪った。いつの間にか一護の手が剣八自身に導かれていた。
「んん!んっ!」
剣八が口を離すと、笑いながら、
「もう良いか?一護?」
泡を落とすのに、二人でお湯を被りあった。

剣八は一護自身を口に含み、丹念に愛撫した。
「あっやっ、んん!ひぁっん、剣八!いっちゃうよぅ・・・!」
啼きながら告げると一護は吐精した。一護の精を手の平に吐き出すと彼の後孔に塗り込め指を入れていった。
吐精したばかりで、敏感になっている一護は声を上げた。前立腺を押し上げ、そのまま指を出し入れすると一護自身は、すぐに回復し、透明な粘り気のある液体を零していた。
「あっ!ああっ!剣っ八ぃ、も、苦し、早くきて」
剣八が自身をあてがうと、ゆっくりと時間をかけて入れていった。
「やぁ・・・っ?なんで?早くぅ・・・奥まで、っ、きて・・・」
一護が腰を揺らしてねだっても、剣八は舌舐めずりをして、ゆっくりと時間をかけた。そんな様子に焦れた一護が自らを慰めようと手を伸ばすと、
剣八が先に根元を握り込みイケないようにした。漸く全部を収めても、剣八は動かず、絡めた指も離さなかった。
「やぁ、もう、いじわる、すんなよぉ・・・」
涙で濡れた目で見ながら、ガクガク震えながら言うと、剣八は漸く腰を動かし始めた。
ギリギリまで抜いて奥まで貫く行為を数回繰り返されたり、ゆっくり円を描く様に腰を動かし始めた。それでもイク事も出来ない一護は、涙を零して剣八に縋って淫らに腰を振っていた。剣八も限界が近いのか肩のあたりを噛んできた。今の一護にはそれすら快感で、息は浅く、もう言葉も紡げない。胸の突起に吸い付き、腰を突き動かし最後を迎える頃に漸く一護自身から指を離した。
最後は一番奥まで貫いて二人一緒に頂点に達した。
「くうっ!」
「んあっ!ああぁぁあー!」
そのあまりの快感に、一護は気絶した。

一護が目覚めると、湯船の中で剣八にすっぽりと、胸に顔を預ける形に抱かれて心臓の音を聞いていた。

とくん、とくん、心地良い音・・・。
「何で、あそこまでやるんだよ・・・」
掠れ気味の声で一護が聞いた。
「んん?良い薬だと思ってよ、あんだけへこんでるお前見てっとな。ぶっ飛んじまうくらいヤりゃスッキリするだろ?」
一護の髪に唇を落して囁いた。人の悪い笑みを浮かべて、
「風呂から上がったら、まだまだヤルからな覚悟しろよ一護」
と剣八は一護に言った。
その言葉に一護は口付けで答えて、今はもう少し、このまま甘えていたかった。





08/04/23に書き上がった第6作目です。08/05/31に剣一同盟にup していただきました。涼市さん、代理投稿ありがとうございます。
文章倉庫へ戻る