題「怪しげな魔女との取引」
 藍染に追われる一護。
(いやだ!いやだいやだ!追い付かれる!誰か助けて!)
全速力で泳ぐが後ろから聞こえる声。
「追いかけっこは好きじゃないんだよ」
建物の隙間に隠れ震える一護。すぐそこを通る藍染。ひどく愉快そうな声で呟いた。
「捕まえたらお仕置きしないとね・・・」
(怖い!怖い!怖いよ!剣八!)
藍染が過ぎ去った後、剣八の元へ急ぐ一護。
藍染は一護と同様海に棲む海の住人で、藍染は北の海の支配者なのだ。そして一護に求婚している男でもある。


海の上に建てられた庵には剣八が居る。
眠っているといきなり戸をドンドン叩く者が居た。剣八が億劫そうに戸を開けると息を切らした一護が海から顔を出していた。
「あ?なんだ、お前か・・・」
「剣八・・・」
痩せ細った灰色の着流しを着た剣八が一護を迎え入れた。蒲団に胡坐を掻き座ると話を聞いた。
「何かあったのか・・・?」
「うん、嫌な奴に追われてるんだ。怖くて、ここに来た」
「そうか、こっち来い」
「うん」
とその胸に飛び込む一護。
「・・・ごめんな、俺のせいで・・・」
と剣八の痩せてこけた頬を冷たい手で撫でた。その手に剣八が手を重ねる。
「お前だけのせいじゃねえだろ。俺も決めたことだ、気にすんじゃねえよ」
「ん・・・」
ピッタリ寄り添う二人。

そんな二人の後ろから、
「ここに居たね、一護」
と声を掛けられた。
「あ、藍染・・・!」
その姿を見て剣八にしがみ付く一護。それを見咎めるように、
「こちらにおいで。そんな人間の所になんか居ちゃいけないよ」
と低い声で言うと手を差し出す藍染。
「俺の勝手だろう!俺はこいつが好きなんだ!」
「それはそれは・・・妬けてしまうね。そんな病人が良いのかな?」
「剣八がこうなったのは俺のせいだ!お前に関係ない!」
「君の?どういう事かな」
互いに睨み合いが続く中、沈黙を守っていた剣八が口を開く。
「こいつの体は毒なんだよ・・・。一護を抱けば毒が俺の体に回る。それだけだ・・・」
「毒・・・?」
訝しげに呟き、一護を見る。
「知らなかったのか、お前」
「そうだよ、俺の身体は血も精も、体液全てが毒なんだ。最後まですれば余計に毒が回るのに・・・」
苦しそうに顔を歪める一護。
「気にしてねぇよ。惚れたヤツを抱いて何が悪い」
一護の頬に手を添える剣八。その手を取り、剣八の唇を舐め、唇の傷跡が一護の舌に引っ掛かる感触に堪らず口付ける一護。
「ん、ん、ふぅ、ん、あ・・・」
「でもそれは陸の住人である人間の君だからだろう?私達海の住人に関係は・・」
「あるよ。お前にも毒だもん。知らないからお前は俺に求婚なんかしたんだよ。俺の一族は俺で終わり・・・」
剣八の胸に身を預け告げる一護。
「俺はずっと剣八の傍に居る。剣八以外は愛さない。ずっと、ずっと・・・」
くしゃりと一護の髪を撫でる剣八。
「嘘だと思うなら俺の血を飲んでみればいい」
と一護は腕を引っ掻き、傷を作る。赤い血が珠の様に滲み、流れるそれを藍染の前に突きだす。
「ふ、一護君の血か・・・」
ニヤニヤ笑うとべろりとその傷を舐めた。
「〜〜!!」
その感触に全身に怖気が走る。まるで鱗を逆撫でされたみたいに気持ち悪いが、コイツに抱かれるよりマシだとじっと我慢する一護。
「一週間経って何ともなかったら嘘だと思えば良い」
舐められた腕をごしごし擦る一護。
「そうかい、では今日は一旦帰るとしよう。一週間後が楽しみだね・・・」
そう言って薄く笑いながら海に帰っていく藍染。
「・・・っはあ〜・・・。やっと帰った」
と安心していると後ろから抱きつかれた。
「ひゃあ!け、剣八?」
「用は済んだんだろ・・・?寝るぞ」
とさっ!と蒲団に押し倒される一護。
「寝るぞって・・・あん!駄目だよ・・・、また毒が・・・」
「構うかよ、こんなに近くに居るのにおあずけとか勘弁しろよな」
剣八の熱い舌が一護の首筋を舐めていく。
「あ、ああ・・・」
その熱さに蕩けそうになる一護。
(藍染だとあんなに気持ち悪いのに・・・)
「剣八・・・」
と名前を呟くときゅっとその頭を抱きしめた。そんな一護の腕の傷に舌を這わせる剣八。
「ん!あ、だめ、血が・・・!」
「知るかよ・・・」


10日後。
ウルキオラが一護の住む海域を訪れた。
「今日は何の用だよ?」
と不機嫌も露わに一護が問うと、
「藍染様からの書状だが、婚約を破棄してくれとの仰せだ」
「・・・藍染はどうした?」
「・・・藍染様は病に伏せっておられる・・・」
と言いにくそうに告げるウル。
「ああ・・・やっぱり・・・」
と一護は絶望した。

やはり、自分の毒は消えないのだ。
この毒は愛しい者を死に追いやってしまう。
愛し合えば、合うほどに・・・。

ウルキオラが帰っても一護は暗い思考の闇から浮上することが出来なかった。


人魚である一護が死神の剣八と関係を持ってしばらくが経った。毒である一護を抱く剣八は、その毒に当てられてすっかり痩せ細っていた。それでも剣八は一護と離れることは無く、一護もまた剣八から離れようとはしなかった。
毒で弱った体を癒す為と言ってこの海の近くの宿で療養する剣八だが、一護を抱くので余り意味を成さなかった。
そんな2人をハリベルは憂いていた。
人間と、ましてや男と関係を持つなど・・・許せるはずが無かった。しかし一護の一途な想いを思えば無碍にも出来ない。
ハリベルにとって一護は可愛くもあり大切なのだ。

「・・・・一護」
ハリベルは思い悩んだ末に一護にある話を持ちかけた。
「何?ハリベル」
「一護。お前はあの人間と添い遂げるつもりか?」
「うん。俺は剣八を愛してる。剣八以外はいらない」
「・・・そうか。ならば話そう」
出来れば話したくはなかった。これは一か八かの賭けでもあるから。いろんな意味で。
「東の海の深海に魔女が居ると言う。その魔女ならば、一護。お前の毒を消す方法を知っているやも知れぬ」
「ホント!?」
「確証は無い。その魔女も実際に居るのかどうかも判らぬのだからな。どうだ?賭けてみるか?その魔女に」
「行くよ!俺の毒が消えるなら!剣八と一緒に居られるなら何処へだって行くよ!」
キラキラと目を輝かせる一護。
「分かった。凡その場所は分かっている。ただその魔女がどんなヤツかは誰も知らん。どんな目に遭うか分からんぞ?気をつけて行くがいい」
「ありがとう!ハリベル」
人魚すら行くことの無い危険な深海に棲む魔女のことだ。何を請求されるか分かったもんじゃない。ハリベルは一護に真珠や珊瑚といった宝飾品を持たせてやった。
どうか無事で。ハリベルは祈るような気持ちで一護を見送った。

 一護は剣八に事の事情を話し東の海へと向かった。剣八も一緒に行くと言ったが、体が衰弱してそれは叶わなかった。
東の海の深海。巨大なサメが泳ぎ回るさらにその先。海底の沈没船のすぐ傍の洞窟にその魔女は居ると言う。
一護はサメを何とかやり過ごし、目的の洞窟にたどり着いた。

「スミマセン。ここに魔女が居ると聞いたんですが・・・」
中に入り恐る恐る声をかける。だが、何の返事も無い。
「すみまs・・・」
「だれだぁ?お前は・・・」
いきなり真後ろから返事がした。びっくりして振り向くと顔が触れるくらいに顔があった。
「うわぁああああぁっ!?」
「うおぅ!?失礼なヤツだな!・・・いきなり人の顔見て叫ぶか?ふつー・・」
「あ・・・すみません;」
振り向いたら目の前に顔があったら驚くよ、と心の中で突っ込む一護。
「ま、いいけどな;」
顔の主は小豆色の大きなウナギのようなものを数匹担いで中へと進んでいった。
「あんた、用事があんだろ?突っ立ってないで中に入れや」
「あ、はい」
立て付けの悪そうなドアを開け、中に入ると壁際に良く分からないものが雑然と積まれている。ぱっと見、生活用品が極端に少ないと思うのは気のせいだろうか?
「そこらへんに座れ?」
何の毛皮か大きな毛皮の上に座布団を出される。勧められるままに座ると茶を出された。
「私に用事か?それとも迷ったか?ま、どっちでも良いけど」
「貴女が東の海の魔女ですか?」
「んぁ?まぁ、確かに魔女、だわな。正確には聖魔。最高位の4次聖魔」
「せいま?」
「癒しを特技とする聖属性の魔術師だ。・・・死者だって復活できるぞ?(一応な)」
「凄いですね・・・」
死者すら復活できるのならば相当な魔女なのだろう。しかし・・・その風体が変っている。
白い肌に青い長髪のクセ毛に血のような赤い眼。やや幼児体型の小柄な体にはバスタオルが巻かれるだけで、手には黄色い軍手に靴は紫色のアイゼン(登山靴)だ。手にしているのは黒とオレンジの大きな杖。
「・・・信じてないだろ?あんた」

「で?その聖魔に人魚が何の用だ?言っとくが私はアホ魔だからな。狩りなら手伝わんぞ?」
「アホ魔って・・:」
「狩りが苦手で、Lvが上がらんのよ。グループ狩りすれば良いんだけど下手すぎて足手まといになってな。今じゃ誰も誘ってくれん;」
「妖さん達」が居る世界とは断界と呼ばれる時空間に隔てられた、(虚圏に相当する)本来なら行き来することなど出来ない異世界なのだと説明された。
そこは街が幾つもあるが、街の外には怪物(モンスター)が蔓延っていて一般の人は街から出る事はほとんど無い。外に出られるのは怪物と戦う能力のある「冒険者」と言われる人達だけ。妖さんはその異世界から「落ちて」きた「冒険者」の一人だと言う。
「冒険者」にはそれぞれ戦士や魔術師などがいて、使う武器や能力によって細かく「職」に分類されている。戦闘や依頼報酬で経験値を稼ぎ、Lvを上げて職位を上げていくのだ。
魔術師も狩りによって経験値を積んでLvを上げるのだが、如何せん狩りが下手でその経験値が溜まらないのだと言う。グループ狩りで仲間を回復・援護でも多少経験値は入るのだが、「敵を見たら特攻!」という性格が災いして今では誰も声をかけてくれないのだと言う。聖魔の特攻ははっきり言って自殺行為だ。

・・・・・・大丈夫なのだろうか?
不安が一護の胸を過る。

「めっちゃ不安そーなんだが、話だけなら聞くぞ?」
「はぁ・・・」
不安なのはバレバレらしい。仕方なく此処へきた理由を話す一護。
「ふぅん、身体が毒ねぇ。難儀な身体してんのな、あんた」
どーでもよさそうに茶を啜る魔女。
「何とかなりませんか?えっと・・・怪しい魔女さん?」
「似てるけど違うから。妖(あやし)の姫巫女な、私の名前。妖(よう)さんでいいから」
「じゃぁ、妖さん。何とかなりませんか?」
「ん〜〜・・・状態回復の魔法かけ続けてれば毒は掛からないだろうケド、なんぼ私でもさすがに他人様の濡れ場に付き合う気はねぇな・・・;」
「俺だって嫌です!」
「どうしたもんかねぇ・・・・・」
う〜〜んと悩む魔女。ふと何かを思い出したように顔を上げた。
「めっちゃリスクが高いけど、薬があるんだが使ってみるか?」
「薬、ですか?」
「おう!名づけて『妖さん特製・怪しげな薬』だ!!」
「自信満々で、何なんですか!?怪しげな薬って!めちゃくちゃ怪しいですよ!?」
「大丈夫!死にはしないからw」
めちゃくちゃ嬉しそうに笑顔満面で答える魔女。どこかの下駄帽子にも勝るとも劣らない。
「死に掛けてても回復だけはするからwただ効果がランダムなだけでwww」
「それって意味無いんじゃ・・・?」
「死ぬような選択肢は無いから安心しろ。成功確立は%だからな。運が良ければ毒に対する耐性が出来る」
「成功確立って;って、耐性・・・?」
「そ。飲むのは相手さんだw」
「そんな!そんな危ないもの剣八に飲ませられない・・・!」
「死にはしないって。つか、自分が飲む気だったのか・・?」
「俺の毒を消して欲しいんです」
「そらぁ、無理だわ。幾らなんでも持って生まれた属性まで変えることは出来んって。せいぜい解毒か耐性付けるくらいだぞ。人魚が人になるのだって、尾びれを足に変化させるだけで人間になれるわけじゃないのと同じだ」
「そんな・・・・」
「・・・そんなに落ち込むな。薬だって失敗しても死ぬわけじゃないんだし・・;」
「失敗したらどうなるんです?」
「最悪、効果なし?」
「・・・・他には?」
「ん〜?女体化・幼児化・獣化位かな?まぁ見た目だけだけど」
それはそれでなんか嫌だな・・・・つか効果無しのほうが良いんじゃないか?
「ちなみに成功確立は・・・?」
「ちょっと待ってな」
そう言うと壁際の積まれた壷の中からなにやら探す魔女。ごそごそとすること10数分。なにやら如何にも怪しげな壷を持ってきた。壷の真ん中には赤で丸で囲った『妖』の文字。めちゃくちゃ胡散臭い。その壷の後ろに張られたラベルを見ると・・・・。
「成功確立60%、10%の確立でアイテム撃破。・・・・残りはランダム変化だな」
「ちょっと待て。アイテム撃破って何なんですか!?」
「文字通りの意味だが?」
「それって死ぬって事じゃ・・・!?」
「アイテムに使えばな。人に使った場合『戦闘不能』になるだけだ。分かり易く言えば体力と魔力・・・こっちで言う霊圧?が無くなる」
「それって死んじゃうんじゃないんですか?」
「死にかけるけどな。ちゃんと回復していくから死なないって♪なんなら回復薬もつけるぞ?」
気前良く体力回復薬を出してくる魔女。
「・・・ありがとうございます」
「聖魔は体力回復薬はあまり使わないからな。あっても邪魔だし」
「それで・・・・お礼なんですけど・・・」
ハリベルから渡された宝飾品を差し出す一護。もしこれでダメだと言われたらどうしよう。じっと魔女の様子を見る。一方魔女は差し出された宝飾品をまじまじと見ていた。
「・・・これ、貰って良いのか?」
「はい」
「・・・・全部?」
「はい」
とたんに、にぱぁっと笑う魔女。ちょっと不気味だ。
「おっしゃぁっ!!これで薬が買える!狩りが出来る!」
待ってろよぉ〜!骨魚ぁ〜〜!!とガッツポーズをとっている。
「あの・・・・薬って?」
「ああ、魔術師でも聖魔は回復魔法で体力は自分で回復できるんだけどな。魔力回復は薬が要るんだよ。魔力回復の薬はめっちゃ高いんだ。自然回復待ってたら狩りなんて出来やしねぇ」
おかげで助かったと礼を言う魔女。恐ろしく嬉しそうだ。
「礼といっては何だが、1番近い安全地帯まで送ってやるよ」
そう言うと魔女はドン!とドアを出した。
「これを通れば此処から1番近い安全地帯に出られる。そっからは自力で帰ってくれ」
「分かりました」
「んじゃ、世話になったな。そだ、名前聞いてなかったな」
「一護です」
「そうか。んじゃ一護、気をつけてな。成功を祈る♪」
「はい。ありがとうございました。妖さん」
怪しげな壷と大量の回復薬を持って一護はドアをくぐった。出た先は自分達の住処の外れだった。

「一護!無事だったか!」
「ただいま。ハリベル」
「魔女はどうだった?無理を言われなかったか?」
「うん、大丈夫だったよ。ちょっと変ってたけど悪い魔女じゃないよ」
かなり胡散臭かったけど、とは言わないでおくことにした。
そうして一護は魔女から貰った壷と薬を持って剣八のところへと急いだ。

薬の効果はどうだったか、それは・・・・・


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アトガキ

めっちゃやってみたかった金魚様のお話への乱入w
結果は金魚様次第と言うことでwwww
剣八が「怪しげな薬」を素直に飲んだかは不明ですがw

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お・ま・け☆

一護が薬を手に入れた翌日、剣八の元へ急ぐ一護。
「剣八!薬!貰えたよ!これ!」
パシャパシャと尾ひれで水面を叩きながらはしゃいでいる。普段は白い顔色が興奮して薄く色付いている。剣八は庵の中へ一護を迎え入れた。

「これがその薬か?」
「うん。でもちゃんと効くかどうか分かんないんだ・・・」
「どういうこった?」
壷の後ろのラベルを見せる。
「成功確立60%、10%の確立でアイテム撃破。・・・・残りはランダム変化?アイテムってのは何だ?ランダム?」
「それは人間に使うと『戦闘不能』になるとかって言ってた。体力と霊圧が無くなるんだって。あ、ちゃんと回復のお薬も貰ったよ!」
どさっ!と大量に貰った薬を見せる。
「ふうん、ランダムってのは?」
「えっと、女体化したり幼児化したり獣化したりするんだって・・・。どうする?これを飲むのは剣八なんだけど」
「俺が飲むのか」
「うん、やっぱり俺の毒は消せないんだって・・・。生まれ持った属性は変えられないって言ってた」
「そうか・・・」
壷の中の薬を覗きこむ剣八。
「すげぇ色だな、コレ・・・」
茶色と紫と緑色に鈍く反射する液体。どんな味なのだろう・・・?
「やっぱ嫌・・だよね?無理しなくて・・あっ!」
言い終わらないうちに薬を飲み干す剣八。
「うえ・・、不味いな、これ」
「ちょっ!怖くないのかよ!何が出るか分かんないのに!」
「あ?60%つーことは半分以上は大丈夫ってこったろーがよ」
「そうだけど、女の人になったり獣になったり、子供なったりしたらどうするつもりだったんだよ!」
「関係あるか。お前の傍に居れるんだろう?毒に耐性が付くんならなんだって良いんだよ、俺は」
「ばかぁ・・・!」
顔をくしゃくしゃにして泣く一護を抱き寄せようとした剣八に異変が起こった。
突然、ボムッ!と言う音が鳴り、煙の様な物が部屋の充満した。
「ゲホッ!ゲホ!剣八?大丈夫か?!」
剣八も蒲団の上で咳き込んでいたが、その顔色は以前と同じように血色良い物に変わっていた。
「なんだ・・?身体が軽いぞ?」
「剣八、顔色が戻ってる・・・!」
「て、ことは、成功したって事か・・・?」
「〜〜!剣八ぃ!」
嬉しさの余り飛びつく一護。
「おっと・・・!」
まだふらつく身体で受け止める剣八。
「良かった!良かったよぉ!これで、これでずっと一緒に居られるんだね!」
「ああ・・・、ずっとだ」
とお互いを抱きしめ合う。
「あ、そうだ。この回復薬も飲んでみる?体力とか戻るかも」
と出された薬を飲むと健康な頃と同じ身体に戻った。

「一護、ありがとよ」
「そんな、俺こそ!俺はこんな身体なのに、剣八は俺を愛してくれた。俺の方こそ!」
「一護・・・」
「剣八・・・」
見つめ合うと深い口付けを交わす二人。
「ん、んふぅ、あ、んん」
何度も角度を変え口付けを深めていく。その口付けは一護の口の端から二人の混じり合った唾液が幾筋も伝い落ちるまで続いた。
「あ・・!はぁ、けん、ぱち、あっ!」
その後を追うかのように舌を這わせる剣八。
剣八の熱い舌に身を捩る一護。
「こら、逃げるな・・・」
「だって・・・あう!」
首筋に吸い付いていたが逃げた事を咎めるように鎖骨に歯を立てる剣八。
「や、痛い・・・」
「逃げるからだ・・・」
ちゅ、ちゅ、と跡を付けながら胸の小粒に辿りつくと舌で転がし、口に含んだ。
「ああ!熱い、んあ!」
もう片方はくりくりと指で摘まんでは押し潰していく。
「ん、んん、も、あぁ」
ゆらゆらと揺れる一護の腰に手を這わせると徐に中心を握り込む。
「ひゃ!ああん!」
「もうこんなになってんのかよ」
ぺろりと先端を舐めると、ビクン!と身体と尾鰭を跳ねさせる一護。
「あ、ああ、熱い、剣八のおクチ、熱いよぉ・・・!」
フルフル震える手で剣八の頭を押さえるが力の入らない手では意味をなさなかった。

くちゅくちゅ、じゅっ、じゅるる!と音を響かせ口淫を続ける剣八。
「ふ!ふあ!やぁ!イクゥ!」
トクン!と剣八の口内に吐精した一護。それを零さず飲み下す剣八。
「ん、ふあ・・・」
「は、いつも通りの味だな」
「ばかぁ」
達したばかりで力の入らない一護の身体を反転させると、その腰を持ち上げる剣八。
「あ!やっ!」
嫌がる一護を窘めるように丸い尻を撫でる。
「あ!あ・・・」
「やだって言っても此処解さなきゃお前の中に入れねえだろ?」
ヒクつく蕾を指で撫でる。
「ひあ!」
くく、と喉の奥で笑うと、
「可愛いな、お前はよ・・・」
熱い吐息が掛かったと思った次の瞬間、熱く柔らかい舌が触れた。
「あ!ああ!やぁあ・・・!」
丹念に皺の数を数えるかの様に舐めては解れて来たそこへ舌を捻じ込む。
「うあ・・!あ、あ・・」
ぬぷぬぷと抜き差しされる舌が離れたと思ったら指がつぷん、と入ってきた。
「あ!ああ、ん!」

指が3本入り、ぐちゅぐちゅと音を響かせるそこから、ごっそり指を抜き取ると既に滾っている己の中心を押し当てる。
「あ・・・」
「入れるぞ、一護」
「ん・・・、き、て・・・」
ぐ、ぐぷ、ぐぷん!と一番太い部分が入ると奥まで一気に納める剣八。
「あ、ああ、んああ!あ、あ・・・」
びく!びく!と震える一護の腰を掴み、注挿を始める剣八。
「あ!あ!あ!ああ!けん!ぱち!ぃ!あん!ああ!」
「く!一護!一護!」
互いに名を呼び合い深く繋がる。
「ん!ん!あ!ああ!も!もう!イク!や!ああ!あーー!」
「く!」
達した一護の締め付けにより剣八も一護の中に注ぎ込んだ。
「ん、はあ!はあ!あ、ああ・・・」
「一護、まだいけるか?」
「ん、もっときて・・・」
「お前、膝つか、ここ痛くねえか?」
と床に着いている一護の膝の部分を擦る。
「ん!ちょっと・・」
「早く言え」
と言うと一護の身体を横に寝かせた。
「え?ひあ!な、何?この格好・・・?」
初めての体位に困惑する一護。横に寝転んだ一護の人間で言う所の足の部分を抱えた。
「『浮き橋』っつー体位だ、これだとお前の顔も見れるからな・・・」
「あ、剣八の顔も見える・・・」
と嬉しそうに笑う一護に口付ける剣八。動く度に一護の身体がゆらゆらと揺れる。その姿はまさに浮き橋の様だった。

この後、一護がもう無理だと言うまで続けられたが、幸か不幸か、回復薬の存在があり剣八が満足するまで続けられた。
「もう!剣八のバカ!腰が痛くて帰れないじゃないか!」
庵に作られた風呂でぷんすか怒る一護を窘める剣八だったが、弛む頬は隠しようがなかった。






11/04/06作 日記に上げた夢で見た「人魚のお話」(人魚の嫁入りとは別物)に妖さんがお話を考えてくれました!
それにお互いに色々修正を重ね、金魚がエロを付け足して出来あがったのがこちら!
妖さん、楽しいお話ありがとうございますぅ〜〜!

04/09修正しました。


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