題「白猫といっしょ!」3 | |
白が家に来て初めての満月の夜。 眠っている一護は何か顔に柔らかい物が触れる感触で目が覚めた。 (やわらか・・・?あつい、なんだ、これ・・・) ゆっくり目を開くとそこには・・・。 「・・・誰だ?」 「よう、起きたか」 そこには一護の胸の上に乗り上げ頬を舐めてくる子供が居た。 「ん、やめろ、ていうか誰だよ?」 「あん?まだ分かんねえのか?」 ジャッ!とカーテンを開き月の光を部屋に入れる。 「ッ!眩し・・・、白い髪・・・猫耳に尻尾・・・まさか白・・・?」 「鈍い!」 ビシッと尻尾でビンタされた。 「おふぅ!だって、お前大人猫じゃ・・・?」 「うるせえな、人型になるとこうなんだよ」 フン!と横を向く白は裸だ。 「寒くねえの?入れよ」 蒲団を持ち上げ中に誘う。素直に蒲団に入ると一護の腕を枕にして、また顔を舐め始めた。今度は顎だ。 ぴちゃぴちゃと柔らかい舌がくすぐったい。 「やめろって、メッ!」 白の頭を抱きかかえて止める。 (メッ!てお前・・・。俺が幾つだと・・・) 数百年生きて来てこんな扱いをされるのはいつ以来だろう。無かったかも知れない・・・。 抱きしめられると睡魔が訪れた。くあぁ、とあくびを一つして大人しく寝た白。 翌朝、一護は白に自分のTシャツを着せた。 「ん!袖が長すぎるけどまあ裸よりはマシだろ。そのうちどうにかしてやるよ」 ガシガシと頭を撫でてやっていると机の引き出しで寝ていたコンが起きて来た。 「うっせえなぁ、朝っぱらからよぉ」 ふわぁ、とあくびをして一護の傍に居る白を見るなり、ピョン!と飛び出し目の前まで行くと、 「なんだぁ?このチビ」 とじろじろ見て口走った。次の瞬間にはコンの頭に白のかかとがめり込んでいた。 「誰がチビだ?この布切れが・・・!」 長い袖をそのままに腕組みをしてコンを踏みにじる白。 「一護・・!助け・・・!」 グリグリと回転を加える白。ベッドの端にあるぼろぼろになったネズミのヌイグルミを見ながら、 「お前が悪い・・・」 とどこか遠い目で呟いた一護。 一頻り甚振って気が済んだ白に一護が訊ねた。 「猫の姿に戻れねーの?」 「・・・戻れるけどよ」 「遊子達にバレるのアレだろ。戻っとけよ」 「ん・・・」 猫の姿に戻ると扉をノックされた。 「お兄ちゃん、朝ごはんだよ」 「今行くよ」 白が一護の肩に乗って部屋を出ると、 「あ〜、いいなぁお兄ちゃん」 「結構重いんだぞ?」 と言えば尻尾で顔を撫でられた。 「ぷ!危ないからやめろ」 トントンと階段を下りて行く音と声を聞きながら、 「ちぇ!一護の言う事は聞くんだな・・・」 踏まれて若干平たくなった顔を自分で叩いて戻したコン。 朝食の席で妹達から2〜3日家を開けると聞かされた。 「なんで?」 「学校行事だよ。あたしも行くけどね」 「いつだ?」 「明後日だよ」 「あれ?親父もどっか行くって言ってなかったか?」 「ああ、医者同士の集まりとか、発表会とか言ってたね」 「俺一人か〜」 「ちゃんとご飯食べてね。あと白ちゃんの分も」 「分かってるよ」 そんな一護をジッと見つめる白。 学校に行く時間になり玄関で靴を履いていると、ぴったり寄り添う白。 「白ちゃん、お兄ちゃんが居なくて寂しいのは分かるけど学校だからね?」 と白を抱きあげる遊子。 「ワリィな、行ってくる」 「行ってらっしゃーい」 抱えた白の前脚を振る遊子。 微笑ましくて思わず笑ってしまった。 学校が終わって友人たちと歩いていると校門の辺りに人だかりが出来ていた。しかも女ばかりで「可愛いー!」だの黄色い声が聞こえた。 「なんだろね、あれ」 「む・・・」 「さあな」 「俺見てくるー!」 と啓吾が走っていった。 「元気だな、あいつ」 「そうだね」 すぐに戻って来た。 「なんだった?」 「猫だった。真っ白い猫でさ。こっちの事見向きもしねえの。あとなんかボロボロのぬいぐるみか?持ってた」 「ふーん・・・?」 門を過ぎようとした時、 「にゃあ!」 と大きな声で猫が鳴いた。門柱の上には白が居た。 「ん・・・あ!白じゃねえか!なんでここに!」 一護が叫んだと同時に飛びついて来た。 「お前どうやってここに・・・ん?」 コンが必死に白の背中に貼り付いていた。息もも絶え絶えな様子だな。 「一護、その子ってもしかして・・・?」 「あー、最近飼い始めたんだ。白っつーんだ」 コンを懐に直して紹介する。白は一護の頭にしがみ付いて尻尾を振るだけだ。 「それより早く行こうぜ。教員にとやかく言われる嫌だぜ」 とその場を離れた。 水色が白見ながら言った。 「でも可愛いね〜。バリニーズの血が入ってるのかな」 「夏梨も言ってたけどなんだソレ?」 「猫の種類だよ。こんな中毛種でシャムに似てるんだ。青目じゃないと認められないんだって」 「ふう〜ん」 ふと頭の上でぐるるる・・・。と唸り声が聞こえた。見てみるとチャドが白をガン見していた。 「白・・・?」 「一護、触ってもいいか・・・?」 「俺は別に・・・可愛いモン好きは相変わらずだな」 手が伸ばされた瞬間、白が一護の肩から近くの塀に飛び移った。 「ヴゥ〜〜・・・」 さらに伸ばすと走って逃げた。 「おい、白・・・」 曲がり角の所で止まって振り返り一護を見る。 「しゃあねえな・・・」 懐からコンを取り出すと、 「許せコン、白とチャドの為だ・・・!」 チャドにコンを渡す。 (ノオォオオ〜!) 「俺先に帰るわ。じゃな」 「ああうん、またね」 と角まで行くとゆっくりと肩に乗る白。 「一護にだけ慣れてるんだね」 「みたいだな」 「む・・・」 その手にコンを持ったチャド。 後で帰るだろうが一応一護の家の近くに寄ろうと決めたチャドだった。 「良かったのかな・・・」 「良いんじゃねえの〜?一護おやつ買え」 「小遣い残り少ねえんだけど?」 「俺が知るか。ささみ買え!」 「しょうがねえなぁ」 とペットショップの猫用おやつを買ってやった。 他の家族が居ない間の食事はどうしようかな。と考えていた一護だった。 第4話へ続く 10/07/23作 ま〜だまだほのぼのですね。次は二人っきりの様子です。 |
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