いきなり視界が変化した事に意識が追いつかなくて






分かるのは






ただ、背中に硬いテーブルの感触と、煌々と照らす蛍光灯の眩しさだけ。













「琉、さっきから…何、怒ってるの?」



さっきからの違和感。

そう、琉は何かに怒っている。





「さーね、そう見える?」

「見えるから聞いてるの。」




いくらニッコリと微笑んだって目の奥は真剣そのもの。
いつもと違う、余裕のない怒りを含んだ行動。
何が琉をそうさせているのか、はっきり言って身に覚えがない。





「ここじゃないと意味がないんだよね。」





少しの沈黙の後、琉はそう呟いて赤いネクタイを緩め静かにシャツのボタンを2つほど外した。





その言葉の真意を聞こうと口を開くと、それを拒むように唇を塞がれる。



私を押さえていた琉の手が胸へと移動して、強い刺激を与えられる。
堪えきれず出てしまう嬌声に、離された琉の唇がつられるかのように胸へと移動してくる。


「…やっ…んっ…りゅ…う…。」


先端を口に含んで、吸い付かれたり舌で転がされたり、体中が熱くなる。

唇が胸を占拠し、それを期に琉の手は下へ下へと伸びて私の内腿をそっとなぞり
強引に、そのまま下着へと手を掛けストッキングごと剥ぎ取られた。








「ズルイと思わない?」







恥ずかしいくらいに潤った秘部に、琉の手が動き回りイヤラシイ音が室内に響き渡る。


快感のあまり体をよがらせて目を閉じれば、再び琉が耳元で囁いてきた。


拒めない私をいい事に、こんな場所で私を求めようなんて

『ズルイのは琉の方』こっちがそう言いたいくらいだ。






「俺はいつもの事考えてんのに、お前は俺の事なんてすっかり忘れてお仕事してるんだろ?」





そんな訳ないじゃない。

私だって、いつも想ってる。

苦しいくらいに…。



『そんな事…』と否定の態度を表そうにも

遠慮なんてなしに、琉の指が膣の奥深くまで入り込んで頭の中が真っ白になる。


次第に激しくなる琉の愛撫に嬌声を上げる事しか出来ない。



黙って感じてろ。

琉の指から伝わる感情がそう言っている。



こんな…まるで一方的な…、犯されるような、そんな琉、私は知らない。









、目、開けろよ。」










言う事を聞く必要なんてないはずなのに










「誰の指がお前のここ弄ってんのか、誰がお前の事犯してんのか…、ちゃんと見ろよ。」






ゆっくりと従うように瞼を開ければ、ジッと私を見つめる琉と目が合う。






興奮したような琉の息遣い、少し乱れた髪、真剣な瞳、口の端を少しだけ上げて笑う唇。



琉の全てに、敏感な体が余計に鋭くなって硬直していく。







見なきゃ良かった…、このままじゃ…

なんて後悔しても、もう遅い。

それに、本当の私は…琉が欲しくて欲しくてたまらない。






達してしまいそうな私を知ってか知らずか、琉は指を抜き取り私の足を広げその間に立って私を見下ろしている。

朦朧とする意識の中、ベルトを外すカチャリという音が聞こえて

私の心は、恥ずかしいくらいに期待をしている。





「これから会社に来るたびにさ、この会議室に来るたびには思い出すんだろうな。」





もはや抵抗する気なんかない、というより早くと望んでいる私の体を琉がそっと撫でて。


目的の場所を定めたように、両足が琉に持ち上げられて。




「こうやって、…俺に、貫かれんの。」






体の中心に衝撃が走り、熱く興奮した琉を一気に押し込まれた。







「ひゃぁっ……あぁっん…んんっ!」






高ぶった感情に熱くなる目頭から涙がこぼれた。





激しく動き回る琉に目の前が霞む。



激しくて



もう、本当に激しすぎて



限界の私の体は、それを貪欲に欲して意思とは別に必死に琉に絡みつく。








「……もしかして、…もうイキそう?」


「はぁんっ…あっ……りゅ…う…、…スゴ…イ…の…。」





「……もう少し、我慢して。」




我慢して…なんて、そんなの無理。
言葉とは裏腹に激しくなる琉の動きが全ての神経をソコへ集中させていく。


ギリギリまで引き抜かれたと思うと、最奥まで押し込まれ
私は無意識の中で腕を伸ばし琉にしがみついた。





「こんな所で足開いて腰振って、ヤラシイ声出して…っく…はぁ…。」



「琉…あぁんっ…りゅ…う…っ、わたし…も…う…。」





不安定なテーブルが2人の動きに合わせるようにガタガタと揺れて

何だかそれが不安で、私はもっと琉に近づきたくて琉の背中に強く手を回した。





は…っはぁ…全部、…俺のモノだからね。」










その言葉を最後に、私は琉の腕の中で果てた。





























次に目を開けた時、私は床に座り込む琉に抱きかかえられるように寄り添っていた。


最後のあの言葉が、甘い余韻と一緒に頭から離れない。

自分にはファンがいて、それで仕事が成り立っているから
それが気おくれになっているのか、私に対し独占めいた言葉なんてほとんど聞いた事がなかった。


そんな私に気がついた琉が、私の心の中を見透かしたように困ったように笑って話を始める。







「…カチョーとマイケル君がさ、話をしてたんだよ。」

「……え?」

「会社の前で待ってたら、わらわらと人が出て来てどこかに飲みに行くらしくて…接待って言うの?」

「あの…課長は分かるけど、マイケルって誰…」

「なんかカチョーカチョーうるさい奴でさ、名前分かんなかったからマイケルにしてやった。」

「………そうですか。…それで?」


本気で不満そうな琉には悪いけれど、例え方が琉らしいというか…ちょっと可笑しい。


「マイケルの奴、カチョーに会議室の片付けどうしましょうって言っててさ。」

「うん。」

「カチョーは君に頼んでおいたよって言うんだ。」

「…ああ、もしかしてそれで…。」

「そう。ん??と思ったらマイケルが、イイですよね。なんて鼻の下伸ばしてやがった。」






自分は悪くないのに叱られている子供のような、憮然とした表情をしたまま琉が立ち上がる。



「琉…、もしかして…」

「そろそろ帰ろう、立てる?」


私の言葉を遮るように琉は、手を差し伸べてそう言う。
それでも、私はどうしても真実を知りたくて琉の顔を見上げて言葉を続けた。



「……もしかして、怒ってたんじゃなくて…。」




一瞬ピタリと止まったかと思うと小さくため息をついた琉が私の手を握る。

この表情は、怒っているんじゃなくて恥ずかしさを隠している?



「…妬いてんだよ。こんなんじゃ足りないくらい…だから、もう帰ろう。」



「…え?」



「あー、明日マイケルの反応が楽しみ〜。」








勝ち誇ったように笑う琉につられて、私は苦笑する。

笑顔で怒ってみたり、恥ずかしいからぶすっとしてみたり

分かりにくい人。










その夜は、ほとんど寝かせてくれないし。




翌日の朝になって、仕事を押して私に会いに来てくれた事を教えられるし。




会社に行けば体中に残る琉の痕は、どうにもこうにも隠す事が出来なくて注目の的だし。





抗議の電話を入れれば、私が言葉を発するたびに琉は大笑いするし。








本当はマイケルの反応じゃなくて、私の反応が楽しみだったなんて…今頃気がつく。










ああもう




本当に分かりにくい人なんだから――。




















あとがき
大変お待たせいたしました!琉ちゃん不機嫌嫉妬モードです(笑)。
前半はオフィシャルにあるダーリン1実写版の琉で妄想を膨らませ
後半はバックラッシュの琉で激しい妄想を繰り広げてしまいました。
あー、何だかミステリオは今、達成感に包まれております(´▽`)ゝ

←BACK