立ち上る湯気の中、は濡れた浴室の床に手をついて声を上げる。 その声は恥ずかしいくらいに浴室内に響き渡って、けれどそれから逃げる事など出来なくて。 一人では四つん這いでいる事さえままならないの腰を、後方から押さえ込むように支え 和浩は高ぶる自身でを貫く事に、無我夢中だった。 シークレットタイム 「か……カズ…さ…、…もう…ダ…メ。」 深夜の、誰もが寝静まったペンションの浴室で、は今までにないくらいの辱めを和浩から受けていた。 和浩の合宿に合わせて、がこのペンションに一泊する事になって もちろん部屋は別々だったものの、いつもと違う夜に 和浩がを浴室へと呼び出したのがきっかけだった。 「……可愛いね、もう、…イきそう?」 の背後から艶っぽい和浩の声がふってきた。 少しからかって笑うような口調で、後ろから自分の事を貫きながら見下ろしている そんな和浩の表情を想像するだけで気が狂いそうになる。 和浩の動きに深さが増して、の口からはもう言葉にならない声しか出てこない。 また質量が増したんじゃないかと思えるくらいのソレに、最奥を突き上げられ理性の欠片は崩れ去っていく。 引き抜かれては挿し込まれ、それを何度も繰り返されるうちにまるで本当にひとつになってしまったような錯覚に陥って 二人はその行為に夢中になった。 「…ひゃぁんっ…カズ…さ…スゴイの…っあぁ…。」 「…っく…さんのここ…締まりすぎ……。」 和浩はの腰を押さえていた手を片方、胸に移動させその手で感触を楽しむように揉みしだく。 「やぁっ…も…う…イッ……ああっ…!」 「…っく…僕も、……出すよ。」 その刺激に堪えられずは体を硬直させ、快感から逃れられずに体をくねらせながら達した。 和浩はその声を聞きながら切なげに唸ると、自らもの中に射精した。 力尽きて倒れ込もうとするの体を自分の方へ向け、和浩は愛しそうに抱きしめて口付けをする。 けれど、その優しい眼差しは、何故か鋭いものに変わって、 「……隠れてないで、出ておいでよ。」 和浩が、そう低く呟いた。 余韻に浸るには一体何を言いたいのか理解できず、離れていった唇が寂しくて逞しい腕に巻きついた。 その瞬間、開くはずのない扉がガラッと、浴室にその音を響かせる。 脱衣所に誰かがいた、今頃理解したは絡めた腕から瞬時に離れて身を固めた。 もしかして、それを知っていながらもあの行為を続けていたのかと思うと は頭の中が真っ白になり不安げな表情で和浩の様子をうかがう。 「……おいでよ。」 気付いたところで止められる訳ないじゃない、そう言いたげに。 困ったように笑いながらの髪を撫でる和浩は、それでも容赦のない言葉を吐いた。 はっきり言ってその柔らかな表情の中にある感情が読めない。 「……いや、…あの。」 「いいから、…疾斗。」 「たか…し…ま…さん…。」 立ち込める湯気の中から戸惑う疾斗の声。 それを急かすように和浩はやや強い口調で疾斗をこちらへ呼び寄せる。 再びガラッという音をさせ、扉は閉められた。 から視線を逸らして、腰にタオルを巻いただけの疾斗が申し訳なさそうに二人の側まで歩み寄る。 「あの…、すいません…。まさか…その…。」 恥ずかしさのあまり口ごもる疾斗に、和浩は優しい笑顔を返す。 そんな余裕を見せる和浩とは正反対には、震える体を両腕で覆い隠してただ時が過ぎるのを耐えていた。 「疾斗は悪くないでしょ?だから、謝る必要…ないよ。」 今の現状には似つかわしくない、今見ているのは幻かと疑問に思ってしまうほど 和浩はいつもと変わらなくて、まるで弟を諭すようなその言葉に疾斗は俯いてしまう。 「…けっこう、前からいたの?」 疾斗が俯いた先には白いタオルに隠された自分の意思など関係なく興奮したソレ。 マズイと体裁を気にして声を詰まらせると、和浩は可笑しそうに言葉を続ける。 「…随分、元気になっちゃってるみたいだけど。」 「い、いや!五分くらい前からですよ…それにだって…。」 何だか眠れなくて風呂に入ろうとここに来て、服を脱いでたら声が聞こえてきて…。 まさかと自分の耳を疑って見たけれど、やっぱり聞こえてくるのは女の喘ぎ声。 『カズさん…あぁん…スゴイ』なんて聞こうとしなくてもどんどんと耳に入ってきて 扉の向こうで何をしているのか思わず想像してしまったら、自分自身がどんどんと反応してしまう始末。 やべぇ早く着替えて戻ろう、そう思って着替えようとしたら、和浩に声をかけられて逃げそこなってしまうし。 「だって、あんな声が聞こえてきたら…誰だって…。」 横目でチラリとを盗み見ると、視線を感じたはより身を固めて俯いた。 一糸もまとわぬの滑らかな白い肌に、和浩に悪いと思っても疾斗は目が離せなくなる。 「眠れなかったの?…ここなら大丈夫かなと思ったんだけどね。」 「…………。」 「驚かせて悪かったよ、つい…ね。」 「…つい、じゃ…ないっすよ。」 さっきの余韻が体を占めている所為か、修復しきれていない理性の所為か はこちらに伸びてくる和浩の腕に捕らわれると、止まりそうな心臓が再びドクドクと脈打っていくのを感じた。 和浩はそんなを愛しそうに見つめると、そのまま顔を近づけていく。 「カッ…カズさん…やぁ…なにす…。」 震える声で抵抗するの唇を塞ぎ、口内を舌でかき回すと独特の水音が浴室に響いた。 押し返そうとするの腕を、和浩はいとも簡単に掴み、今度は露になった胸へと唇を寄せる。 先端を舌で愛撫されると同時に、その行為を側で見つめている疾斗と目が合い はこぼれそうな熱い息を飲み込んで、唇を噛んだ。 けれど、和浩の唇が舌が、吸いついては舐めるという行為を強めてきて 堪えきれず甘い息を吐いてしまう。 「見られて…感じてるの?」 「やッ…カズさん…ダメ…んんっ。」 艶っぽく、楽しげに笑う和浩は座り込んだの背後へと回り、見せつけるかのように首筋に舌を這わせた。 先ほど頭で想像させていた行為が、目の前で繰り広げられている事に、疾斗はゴクリと喉を鳴らしながら見惚れるしかない。 「ほら、さん…足、開いて。」 優しい声、でも有無を言わさぬ強い声が、の耳元で低くそう囁く。 すぐ目の前で自分の事を凝視している疾斗がいるというのに、出来るわけない。 そう思ってはいても、は和浩の言葉に体が熱く疼いて、どうしようもなく泣きたくなった。 高ぶる感情が涙に変わり、それを浮かべ和浩に向かってイヤイヤと必死に首を振る。 けれど『力…抜いてごらん』そう耳に口付けする和浩は、優しく諭すようにの太腿を撫で上げた。 抵抗しようとどんなに力を込めようとも、震える足はまるでいう事をきかず 和浩の手が太腿の間に割って入り、そのまま疾斗の目の前で足を広げられてしまう。 先ほど吐き出したばかりの和浩の白濁とした痕跡と、新たな快感の証が の秘部から溢れ出ていて、疾斗はその光景に思わず体を震わせ荒く息を吐いた。 その上、明らかに自分を意識したの扇情的な表情が、疾斗の理性を容赦なく刺激している。 「疾斗、ほらおいでよ。」 「……え!?」 「…したいんだろ?」 「いっ、いや…そういう訳には…。だって…ほら…。」 「…部屋に戻ったら、独りでスルつもりのくせに。」 「なっ!な…に言って…んすか。」 「…でも、…スルんでしょ?」 「…………っ。」 意地悪く笑って呟く和浩の言葉に、疾斗はこんな時まで正直で『しない』とは断言できず黙り込んだ。 不安そうに瞳を揺らすの体に和浩は視線を移すと、に囁き始める。 「疾斗はね、さんの声で…興奮しちゃったんだって。」 「でっ…でも…、…カズさん…。」 「ちゃんと謝らなきゃね。…驚かせてごめんなさいって。」 静かに太ももを撫でる和浩の手が、ゆっくりとの足のつけ根へと移動し 熱くなったの中心をわざと外すように、指で弄ぶ。 「…はぁ…ん……やぁ……あぁ…っ。」 「…すごい、濡れてるよ。……さんがどうなっちゃうのか、僕に…見せて?」 にはいつもと同じ求めてくる時の甘い和浩の声がして 疾斗にはいつもと違う狡賢そうな和浩の声が聞こえてくる。 和浩がそう望んで指示するのであれば、そうすべきなんじゃないかと 背徳的な思考が、二人の頭の中にどんどんと押し寄せて。 「…疾斗、大丈夫。今夜だけ、…三人の秘密だよ。」 そう言うと和浩は両手をの胸へと移し、疾斗にニッコリと微笑んだ 和浩の手の動きに合わせて形を変えるの胸と、その動きで快感に歪む表情に 疾斗は堪えきれず頭を振りながらの前にひざをついて、開き直るように口を開いた。 「あー!もう!俺、悪くないっすよ!?つーか、もうカズさんのせいで限界!」 和浩の胸に背中を支えられて、は少し仰け反る形で鋭い疾斗の視線とぶつかる。 疾斗は腰に巻いたタオルを剥ぎ捨てて、反射的に閉じようとするのひざを掴み これでもかというほど広げ露にし、反り立つ自身の先端を秘部へと擦りつけた。 すでに濡れそぼったソコは擦りつける度に滑りを良くして、蕾と入り口を数回往復した後 導かれるようにの中へと、躊躇いなく挿し込まれていった。 「…っうーわ、すげっ…。…、…お前、濡れまくってんのに…キツイ…っ…。」 「…ふっ…んんっ…はぁ…んっ。」 和浩とは違うソレは、一瞬にしての最奥まで到達した。 と思ったら、すぐに激しく内壁を刺激する動きに変化して、その強引な出し入れ行為に は体を震わせて堪らず、甘い声を漏らした。 「さん…、疾斗のが…気持ちいいの?」 「やぁっ…ちがっ…そんな…ん…じゃ…ああっん…。」 「……そう?でも、…すごく、ヤラシイ音が聞こえる。」 「やぁ…カズ…さぁ…ん…ああっ…。」 まるで和浩との二人だけの内緒話のように、和浩はの耳元でそうそっと囁く。 罪悪感と快感の狭間で苦悶の表情を浮かべるの目から、とうとう涙が零れ落ちた。 いつになく攻め立てる和浩の声と、あってはならない疾斗の力強い刺激が 恐怖の中の歪んだ歓喜を呼び起こして、震える心の底はもっと欲しいと切望し始めていた。 零れた涙の後を唇で辿りながら、和浩はの中心へと手を伸ばしていく。 疾斗との繋がったすぐ側の、の敏感な蕾を二人の邪魔にならないように刺激する。 和浩の男らしい指が器用に愛撫を始めると、は今まで以上の甘い声で休むことなく啼いた。 「…っく…か、カズさん…それ、マジでヤバイ。」 「……どうしたの?」 「…すげぇ…っ…締まってきて…はぁ…っ。」 「ふふっ、気持ちいいんだろ?」 「…ヤバ過ぎなくらい……あーっ、…つーかもう、…止められねぇ。」 疾斗はイヤらしく絡みつくの体と和浩の言葉に、 表情を歪ませて、より強く腰を打ちつけようとの足を抱え込んだ。 荒い疾斗の動きがの体を揺らしているのを眺めながら 「…ああ、でもやっぱり…少し、妬けるね。」 和浩が、そう小さく呟く。 その声に反応して、は溺れる体に絶えながら切なげに和浩を見つめた。 『私が好きなのはあなた』 そんな目をしていて、和浩はクスリと笑って 「……可愛いよ、さん。」 の唇を塞いだ。 息をする事も許されぬくらい、深く挿し込まれた舌がのそれに絡み付いて犯し出す。 同時に塞がれた二つの場所と、自分の体に当てられる複数の手の熱がいつもよりも情欲を煽り 逃げ場のない快感がどんどんと上り詰め、の意識を霞ませていった。 「…んんぅっ…も…おかしく…なっちゃ…う…。」 口付けの角度を変えた時、その刹那には涙目で二人に訴える。 その声が表情が、攻撃的になった和浩と疾斗のサディスティックな感情に火をつける。 「……はぁ…お前、ほんとは…こんなに…っく…ヤラシイ奴…なんだな。」 「本当に…、こんなによがって…欲しがって、…可愛いね。」 耳から入ってくる二人の言葉に、恥ずかしくて体中が熱くなる。 けれどそれ以上にの体は甘く痺れ、どんどんと体を硬直させていく。 「…っくぅ…、カズさん…もう、俺ヤバイ…出していい?」 「うん、…いいよ。さんも、…もう我慢できないみたいだし…ね?」 蕾を優しく愛撫する和浩の指の動きが、そう囁くと同時に激しさを増して は和浩の腕にギュッと巻きついて体を仰け反らせた。 そして奥深くを激しく突きながら中を刺激する疾斗を締め上げて、は一段と高い声で啼き果て意識を失った。 そんなを慈しむように支える和浩はの頬に口付けを落とし 疾斗は夢見心地のまま寸前での中から抜き取って、力の抜けたの肌に白濁を吐き捨てた。 真っ暗な世界に眩しさを感じ、ハッとしたはペンションの自室のベッドの上で目を覚ます。 穏やかな朝日が窓から差し込んできて、混乱した頭で必死に先ほどの事を思い出そうとする。 窓の外から小鳥のさえずりが聞こえてきて、ますます自分はどうなってしまったのか分からなくなった。 あれは幻だったのか。 そう思った時、部屋の扉がノックされ数秒後にゆっくりと扉が開いた。 「おはよう。」 キラキラと輝くくらいの和浩の笑顔がそこにはあって、は慌ててベッドから体を起こす。 自分の体はきっちりと持ってきたパジャマで身を包まれている事に気がついた。 でも、昨夜の乱れた情景が頭から離れなくて、こちらに和浩が近づいてくる度に心臓の音が速くなる。 「昨日はよく眠れた?」 「…えっと…あの…私…、……。」 「…ん?そうだ、お昼になったら湖の方に言ってみようか?すごく景色が綺麗だよ。」 もしかしてあれは夢? そのくらい和浩は穏やかで優しくて、いつものように気を遣ってくれている。 けれどあの時の感覚は体に刻み込まれていて、条件反射のように体の芯が甘く揺れた。 「あと、朝食はどうしようか?」 「……えっ?」 言葉の意味を理解しかねるが、不思議そうに和浩の顔を見つめると すっと近づいてベッドへ方ひざをついた和浩が微笑みながらの耳元へ唇を寄せる。 「部屋の方に持ってきてもらう?…まだ、起き上がれないでしょう?無理しなくて…いいんだよ。」 囁かれる言葉にはあの夜が現実のものだと思い知って、息を止め体を固めた。 「……ほら、そうやって…また…そんな顔して…、……まだ、足りないの?」 「……っ!?」 和浩が意地悪そうに笑って、の唇を指でなぞる。 開け放たれたままの扉の縁に寄りかかりながら、いつの間にか現れた疾斗はその情景を眺めてワザとらしく咳をしてみせた。 「あれ、疾斗、早いね。おはよう。」 「おはよーございまーす。…ねぇ、カズさん、それ、本当?」 「ん?それって?」 「が、まだまだ足りてないって話。」 「ちっ…違います!そんな事……っ。」 「カズさんカズさんっ、いつでも俺、手伝いしますからね。」 疾斗は自分の胸を誇らしげにポンポンと叩いて、ニッコリと笑った。 和浩はそんな無邪気な姿が可笑しくて 小さく笑うと『…だってさ。さんどうしようか?』そう問いかけてまた笑う。 二人の視線に顔を真っ赤にさせながら、は涙を溜めながら必死に抵抗する。 「ダメです。そんなの…、……あんな…こ…と…、ダメです。」 二人を視界に入れないように俯くが可愛くて、和浩と疾斗は、可笑しそうに再びからかい始めた。 「、…あんな事ってどんな事?教えて?」 「こら疾斗、あんまり彼女を困らせるなよ。」 「…ちぇ〜っ、はーい。」 「でも、…また疾斗に手伝ってもらうのも悪くないかな…ね?」 そんな会話を弾ませながら、和浩と疾斗は目を交わらせて親友と友情を誓い合うように笑い合う。 背徳の扉が開いて、何もかもを呑み込んでいく。 これが、その始まりだった――。 あとがき 背徳シリーズ第一弾、いかがでしたでしょうか。 …………ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、本当にごめんなさい。 カズさんにこんな性的嗜好があったらいいなと思って書いてみました。 微妙に黒いですよね…歪んでますよね…、笑って許してくださると第二弾も懲りずに書くかもしれません。 ←BACK |