おりこうさんの
夕べ仕事から帰って来て、タンスの整理をしていて気が付いた。ぼくの部屋にはブリーフが五十枚近くある。未開封のものは含めずに言っている、要するにこれらは全部、昴星と諭良と流斗、それからこのところはソラとルカがくれたものということだ。更に補足するならばこれは「ブリーフ」に限っての話だから、ここに由利香といつきのくれたもの、更に昴星たちが時々穿いて見せてくれる女の子のパンツを加えると……、もう十枚以上が上乗せされることになる。
いやはや。
大量のブリーフに囲まれて呆然としていたところ、昴星からメールが来て、「明日行っていい?」と。もちろん、それは構わない。明日は水曜日だが、このところ少年たちの学校並びにぼくの会社が控えているような平日であっても、平気で泊めるようになってしまった。仕事を早めに切り上げて、ファミリーレストランで一緒に食事を摂っても、まだ時刻は八時。
「これからちょっと、ホームセンターに行こうと思ってるんだけど、昴星は付き合える? もしあれなら、先に家行って待っててもいいんだよ」
「ホームセンター? って、猪ヶ谷にあるやつ?」
「そう。ここからだとあそこが一番近いかなって」
猪ヶ谷、というのはぼくらが住むこの街から、私鉄ではなくJRの電車に乗って二駅先。ぼくが子供の頃にはなかったところに新しく駅が出来て、その駅を中心として新興住宅地や大規模なショッピングセンターなどがあっという間に建ち並んだ。ぼくらの住む街にもスーパーや大きめの電気屋はあるけれど、品ぞろえは猪ヶ谷の方がいいもので、結構な数の人が電車や車でそちらへ押し寄せる。日曜など周辺の道路は慢性的に渋滞しているほどだ。
「いいよ、おれも行く」
「いいの? 退屈かも知れないよ?」
「いいよー、だっていっしょがいいじゃん、……おれら『恋人』だろ?」
後段はやや声を落として行った。目の前にあるのは、ちょっとぽっちゃりぷにぷにしているけれど、極端なくらいに愛らしい、中性的な相貌をした少年の悪戯っぽい微笑み。……ぶっちゃけもう、今日じゃなくってもいいし、このまま家に帰って遊んじゃいたい気もしたけれど、まあ、何と言うか自分の性格上、思い立ったときに買わないとずるずる先延ばしにしちゃうことは容易に想像が付く。そんな訳で食事を終えてすぐ、駅から電車に乗って猿ヶ野のホームセンターへ向かったのだった。
ところで「猪ヶ谷」というのは新興住宅地にしてはずいぶんとっぽい名前だと思われないだろうか。実際、地域の人たちも「ふじみシティ」とか「さくらニュータウン」とか洒落た名前を考えはしたのだという。ただ、富士山はこのエリアのどの街からでも高台に登れば大体見えるし、「さくら」は市内の別の場所に名所がある。それに「猪ヶ谷」という地名に愛着もあったみたいで、結局駅名も町名も昔ながらの「猪ヶ谷」が残されることとなったのだ。
地名にはその土地のイメージが色濃く残る。読んで字のごとく、猪ヶ谷は元々は谷の入り口に出来た街で、東京から電車で四十分というこのエリアは大体どこも山、斜面、そして川の流れる谷、の三つで出来ている。猪ヶ谷もぼくらの街から行こうとすれば一度坂を上って降りた先の傾斜地で、恐らくは古くから「イノシシの出るような」深く険しい谷だったのだろう。そういうところに駅を作って開発をして、なるほど確かに大分拓けはしたけれど、それでも駅を中心とした半径一キロ足らずのエリアという程度の話だ。
昴星たちのブリーフをしまうための、新しいタンスを買うのにはそれほど時間は掛からなかった。明日の夜には家に届けてもらえるそうだ。支払いと手続きを済ませて店を出たところで、
「そもそもさー」
昴星は首をひねる。「なんで新しいタンスなんて買おうと思ったの?」
この子はたぶん、ぼくにこれまで何枚のブリーフをくれたかなんて覚えていないんだろう。昨日数えてみたけれど、きっちり二十枚。これは他の子から受け取ったものを大きく上回る。
「このままだと、タンスから溢れちゃうかなって……」
ぼくはどちらかと言えば整理整頓が苦手な方ではない。これまでも少年少女から頂戴した下着はどれもきちんとジッパー付きの袋に入れて、くれた子ごとに分類して管理してきた。ただ、同じタンスに入っているのはぼくの下着だったり靴下だったりもする。
その上、今夜のように誰かが泊まりに来ることも増えた。そういうときには当然着替えだっているわけで、その準備というのも必要だ。
「あー……、そっか、そうだよなー。おれおにーさんにパンツたくさんあげてきたけど、それ全部しまってったらいっぱいになっちゃうか……」
「もちろん昴星からパンツもらえるのはすごく嬉しいことだしありがたく思ってるよ。だからこそね、ちゃんと管理しなきゃって思ったんだ」
昴星は「ひひ」と笑ってぼくの左手を右手でぎゅっと握った。外でこんな風に、昴星に手を握られるのは初めてのことだから、思わずどきりとする。それから慌てて周囲を見渡すが、幸いにして夜九時を回った猪ヶ谷の駅前はひと気もまばら、ぼくらが「親子」でも「兄弟」でもないことを見抜かれる懸念は軽微であるようだ。そこまできちんと観察した上で昴星はそうしたのだろうし、……ぼくと「手を繋ぎたい」と思ってくれたらしいことは、とても嬉しいことでもあった。
駅は明るい。あの灯の下まで至ったら、もうこの手は解かなければならない。でも、さっさと家に帰ればいいんだ。家に帰ったら温かい部屋で一緒に、……お風呂に入ったり、それ以上のことだって、して構わない。昴星だってそれは判っているだろう。
「……歩いて帰ろうか」
ぼくが、そう言う瞬間を、昴星がどの程度の確度で待っていたかは知らない。ただ、ぼくはそう言いたかった。昴星の手は温かく、指は柔らかく、どちらもぼくの胸に届く感覚だった。
「おれね、前に家からここまで歩いたことあるから道判るよ」
昴星はぼくの手を引いて、駅に背を向けてずんずんと歩き始める。ぼくにとっても地元の街はずれ。しばらくはまだ新しさの残るLEDの街路灯に照らされたレンガタイル敷きの歩道が続き、それが尽きると今度は車道と歩道の区切られていない住宅街に入る。一定の間隔で街路灯はあるが、前方には上り坂と暗闇が迫っていた。猪ヶ谷とぼくらの住む街とを隔てる山の端を超えるための坂道である。
ぼくと昴星はずっと手を握っていた。上り坂に差し掛かって、昴星の息は少しばかり弾み始めた。はっ、はっ、と白い息が呼吸の度に暗闇の中へ溶ける。ぼくらは黙って坂を上り続けて、……昴星が足を止めたのは、長く、曲がりくねった上り坂がようやく終わったところだった。
左手は崖、右手はガードレール。十分は上り続けた坂の下が覗ける。猪ヶ谷の駅が小さく見えた、駅の周りだけやたらと明るく、光の液体を零したようだ。そこにぼくらの街へ向かう電車が長い光の帯となってゆっくりと迫る。
頭の中にある地図の、何でもない一点であるはずなのに、それはとても綺麗な景色だった。ガードレールに手を付いた昴星も同じことを思っていたのだろうと思う。しばし言葉を喪って立ち尽くした時間はそれほど長くはなかったはずだけど、何とも心の満ちる時間だった。長い上り坂を歩いて来たかいがあったというものだ。
「な、おにーさん」
「ん?」
昴星の声に振り向けば、笑顔で両手を広げている。六年生の男子としては小さいほうで、顔立ちも幼くて、声もまだ透き通ってとても高い。そんな少年を抱き締める。ダッフルコートの厚みと少年自身の体温、同時に感じるのは昴星しか持ち得ないしっかりとした抱き応え。何というか、昴星のむっちりしている感じが、服を着ていても判る。昴星は力強くぼくに抱き着いてから腕を緩め、胸の中から顔を上げた。背伸びをする。
キスをした。
「……今日は何だか甘えん坊だね?」
ひひ、と笑う、嬉しそうに、可愛らしく。
「二人っきりだし、誰もいねーし……、それにさ、なんか、うれしい」
「嬉しい?」
「うん、……あのさ、おにーさんはおれがこれまでパンツ何枚あげたか数えたことある?」
二十枚。
「白とか青とか黒とか、……ほとんど白だけど、ブリーフが二十枚で、あと女子のパンツが二枚」
驚いた。それはぼくが昨日数えた数字と全く同じだ。
「ちゃんと全部覚えてるよ。ってーか俺だけじゃなくて、流も諭良も由利香もきっと覚えてると思う。だってさ、おにーさんといっしょにいてさ、オシッコついたパンツあげたくなるのって、おにーさんと楽しいことしたからだし、……もちろんパンツの枚数よりもいっぱい遊んでるけど、そういうのは全部覚えてるし」
昴星は、またキスを強請る。昴星とキスがしやすいように背中を丸めるのは、ぼくにとっていつしか身に馴染んだ姿勢だった。ファミレスのデザートで食べたパフェのソフトクリームのせいだろう、唇が甘い。
「おにーさんにはさ、おれだけじゃなくて流も諭良も由利香もいるけど、あと空太とかもそうか、でもおにーさんと二人っきりのときはおれおにーさんの『恋人』だし、だからおにーさんがさ、いっしょにいるときいっぱい楽しいといいなって思う。……たぶんだけど、流も諭良もおんなじこと言ってると思うけど」
昴星はちょびっとだけ、ほんのりと、意地悪な笑みを浮かべてぼくから腕を解く。一歩引いたと思ったら、ダッフルコートのボタンを下から三つ外して、中にはいたハーフパンツの前を下ろす。
暗くても、白いブリーフはそこにある。
「おにーさん、嗅いでみてよ」
許可が出たらすぐにでもそうするつもりでいた。アスファルトの上に膝を付いて、顔を寄せる。昴星はもう勃起しているようだった。キスでそうなったのか、屋外でブリーフを晒すことでこうなったのかは、判らない。
ころっとしたおちんちんの膨らみに鼻を当てて、嗅いでみる……。
「……ん?」
意外さに、思わず顔を上げたところ、昴星はにーと笑ってぼくの視線を待ち構えていた。
「どう?」
「……あれ? ……もう一回……」
昴星の匂い、は、する。ただそれは、普段から嗅ぎ慣れてその強烈さに免疫のあるぼくをして圧するようなものではなくて、……奥の方からほんのり、僅かに、微かに。ただこれはたぶん、おちんちんそのものから届く匂いではないだろうか。
「ひょっとして、……会う前にパンツ替えたの?」
「って思う? ひひ、おれ今日めっちゃ頑張ったんだぞ、オシッコもさ、トイレの、うんこする方でして、ちゃんと最後まで出し切って、トイレットペーパーで先っぽも拭いたし」
「へええ……」
いつも、言ってしまえばだらしなくて管理の甘いおちんちんであり、その性質を証明するかのようなブリーフである。恥ずかしい黄ばみを匂いとともにたっぷりと刻み付けてぼくの部屋へとやって来る。もちろん、そんな昴星のことを愛している。
一方で、昴星自身も自分のおちんちんがこのままではいけないことは判っているのだろうとは思う。それを寂しく思うようなことを、ぼくはしない。昴星はぼくの考えるところを覗いたように、
「おにーさんにあげる用のパンツだったらもっと汚くするけど、今日はきれいでいようって思ったんだ。……おにーさん、ひょっとしてガッカリした?」
そんなことないよ、と首を振って立ち上がり、「昴星のおちんちんがおりこうさんだったとしてもぼくは大好きだよ」と、背中を丸めてキスをした。
「んひひ……、でもさ、おにーさんといっしょのときはおれのちんこ、きっとこれからもずっと、めちゃめちゃバカになるから」
「悪い子のおちんちんだって、もちろん可愛いよ。昴星のおちんちんだもの……」
昴星の可愛さって、顔や身体の姿かたちじゃなくって――いやもちろん、その顔立ちも体型も本当に愛らしいのだけれど――それ以上に、きっとその心根だ。本人はほとんど意識なんてしていないはず、ただしたいようにしているはず、……それでいてこんな風に心をつかんで離さない。この子に「恋人」って定義されたとき、ぼくは幸せの中に溺れて苦しさを覚えるほどだ。
「おりこうさんのパンツの中で、おちんちんは悪い子になってるね」
もう一度キスをして、舌を絡める。右手でサラサラの髪を撫ぜ、左手をブリーフの前に当てると、昴星はひくんと震えた。
「……だってさ、おにーさんとキスしてるもん、キスすんの、気持ちぃし……、あのね、おれ、味、すっげー敏感なんだって」
「そうらしいね」
才斗が教えてくれた。昴星は味覚が鋭敏なのだと。だからと言って別に贅沢なものばかり食べたがるという訳ではなくて、それこそぼくが作ったようなご飯だって「おいしい!」と平らげてくれるのであるけれど、元々才斗と昴星を結びつけるきっかけとなったのは昴星の舌に才斗の「味」がドンピシャでハマったからであるらしい(余談ながら、才斗が昴星に惹かれるのは昴星の身体や体液の「匂い」が惹き付けるから。昴星がオシッコをパンツに染み込ませるようになったのは、元はと言えばその匂いで興奮する才斗のためであったのだ)
「おれさ、……これ、ナイショだけど、舌の味とか、ちんこの味……、オシッコとか、せーしとか。そういうの全部、誰が一番美味しいとか、順番付けてる」
「きっと才斗が一番美味しいんでしょう」
才斗のおちんちんは、……これはぼくも口にしたことがある。何というか、もう、その精液やオシッコも含めて、びっくりするような味だった。何で? って思うぐらい。どうなってるの? って。
昴星はぼくに、「才斗の、あいつの肌、頬っぺたとか、首とか耳とか、舐めんの好き、すげーおいしくって、一番だと思う、……ケツの穴、美味しいのは流。流のオシッコもすごい、おいしいと思う……、でもって、諭良は、皮の中、すっげー……、臭くって、チンカス付いてたりするけど、でも、あいつのちんこの皮剥いてね、先っぽ舐めると、そんだけですげー、……いきそうになるぐらいおいしい」とそのランキングをこっそりと教えてくれる。
「でもね、……その、口の中と、せーしの味、は……、おにーさんが一番おいしいと思う……」
「へえ……、そうなの……?」
「うん、それは、絶対そう思う。おれだけじゃなくって、流も諭良もおにーさんとキスすると、絶対勃起するもん……」
おりこうさんブリーフの中で先っぽまで皮に包まれた悪い子のおちんちんを弄りながら、もう一度キスをする。せっかく昴星が頑張って「おりこうさん」のままで保ったブリーフを、「悪い子」のおちんちんから零す液体で汚してしまってはいけないから、窓を指で分けて中から顔を出させた。
「そうなんだ……、嬉しいな。ぼくは順番付けた事はないけど、昴星のお口の中、柔らかくって美味しいと思ってるよ。もちろん、おちんちんも、お尻も……、ああ、一つ言えるのは……」
「悪い子」は冷たい外気に晒されたことで一層勢いづいているようだ。
「ん……?」
「おっぱいは、昴星が一番ぷにぷにしてて……、由利香よりもね。ぼくが吸って気持ちよくなってくれるのすごく可愛いから、一番可愛いと思う」
まん丸いおちんちんを指で挟んで、くりくりと弄る。昴星はひくひくと反応して、「んぅ……」とぼくに縋った。
「家……、おにーさんち、着いたら……、おっぱい、していいよ……」
「うん、させてもらう。でもおっぱいだけじゃなくて、他のところもね……」
昴星の皮の隙間から、ぬるぬるのガマン汁が漏れ出していた。昴星は他の子と比べても腺液の量が多い。まるで女の子みたいによく濡れる。ぼくはぼくと昴星の身体に挟まれて隠されていたおちんちんがもっと悪い子になるところを見たくて、一度深く昴星にキスをしてから、背中に回った。
「っひゃ……、お、おにーさんっ……」
昴星の肩を後ろから抱いて、光の滴が散らばったような猿ヶ谷の街を見下ろす。
「ち、ちんこ、誰かに……」
「見られたらどうしようね……? でも昴星の『悪い子』のおちんちんはそういうの好きじゃない?」
「悪い子」はそういうの、大好きだ。はっきりと興奮を訴えて、ぼくの指が離れてもピクピクと震えるのを止められない。
「それとも、部屋に着くまでガマンする? ……まだしばらくかかるけど」
髪の上から唇を当てた昴星の耳が熱くなっている。昴星が一度、二度と唇を動かして、何かを言おうとする。それでも、
「……ガマンするっ……」
意外にも強靭な意志を、昴星は発揮した。これは意外なことだった。今までの昴星だったら、ここですぐに「したいっ、ちんこしたいっ」とぼくに強請ることを止められなかったはずなのに。
「大丈夫なの……?」
こく、と昴星は頷く。おちんちんの勢いは一向に収まる気配を見せない。それでも昴星はぎゅうっとコートを握って、
「おれ……、きのうも、おとといも、オネショしなかった……」
と言う。このところ、少し頻度が落ちて来たことは聴いていた。
「でもって……、あのね、ちんこも、いじってない、おにーさんと、するから。おにーさんにしてもらいたくって、だから……、キンタマの中、せーし、いっぱい……、すげーの、濃いの、おにーさん、おいしいって思ってほしいから……、だから、いくの、ガマンする……」
「……ぼくのために?」
優しい子だということは知っている。でもそんなガマンなんてしなくてもいいのに。
昴星は、一度、大きく深呼吸をした。それから、んく、と唾を飲み込んで、
「……ガマン、したい……。おにーさんがおれのちんこおいしいって思ってくれたら、おにーさんいっぱいちんこしたいって思ってくれるでしょ? だから……」
ただでさえ美味しいと思ってるのに……。
「……判った」
昴星の髪にもう一度キスをして、ブリーフの中に、苦しそうなほど勃起したおちんちんをしまう。
「じゃあ、昴星がいっぱい溜めてくれた精液を楽しみにしよう。その代わりうちに着いたら、とびっきり美味しいおちんちんを味わわせてもらうよ」
もう一度深呼吸をして、昴星はハーフパンツを上げた。それから振り返って、ぼくにぎゅうっと抱き着いて、
「おれ、おにーさんのこと好きだから、おにーさんにいっぱい、したいし……、だから、頑張る……」
震えた声で言った。
昴星は元気で明るくて、眩しいぐらいに可愛い。でもそれでいて、こういうところが……、健気っていうか……、
「大好きだよ」
「んっ……!」
本当に、いとおしい。
「も、もうっ、ちんこ収まんなくなっちゃうだろっ、キスだめっ、手ぇ繋ぐのも、家までなしっ」
本当に本当に、可愛い。
そして本当に家に着くまで、昴星はきちんとガマンをした。ぼくもキスをしたり手を繋いだりしたくても、我慢した。ぼくはぼくのことを――ぼくなんかのことを――「好き」と思ってくれる天使が何かを求めるとき、それを叶えるために何でもしなきゃいけないと思っているから、まあ、……苦しくなかったと言えば嘘になるけれど、でもやっぱり、しなきゃいけないことを順にするばかり。
部屋に上がるなり、昴星はコートを脱いでハーフパンツを下ろして……、あっという間にパンツ一丁になった。まだ部屋は外とほとんど変わらないほど寒いのに、まるで平気な顔で、
「ほらっ、まだ白くてきれーだろ!」
誇らしげに自分のブリーフを誇示した。
「おお、本当だね。すごくおりこうさん」
いつもなら、この時間まで穿いていたブリーフは表面にも薄っすら黄色が覗けるほど汚してしまうのに、今夜は真っ白。とても健全な少年のパンツ一丁という印象で、これもまた可愛らしい。
「仮にだけど、昴星がもしね、いつもそんなパンツでいて、そういうパンツでぼくの前にあの日現れたとしても、ぼくは昴星のこと『可愛い』って思ってたと思うな」
「えー、そうなの?」
「うん。……っていうかぼくが男の子のオシッコいいなって思うようになったのは、……まあ、もともと男の子のおちんちんが好きだったことは認めるけど、でも今ほど好きになったのは昴星と会ってからだもの」
そもそも、初回の昴星のオモラシは女子水着を纏った姿でのものだったし、その次は女の子のパンツを穿いてのもの。いまでこそ、二十枚ものブリーフを受け取るに至ってはいるけれど、穿いているものが何であれ昴星が心身ともに愛らしさ抜群の男の子であったことが何より大きかったことは間違いない。
「おにーさん、いまのおれ撮ってよ。黄色くないからおにーさんはつまんないかもしんないけど」
つまらないはずがない。一日、パンツを綺麗に保ったおりこうさんの昴星の姿を、すぐに取り出したデジカメで記録する。昴星のおちんちんは勃起していない、だからこれは極めて清純で、健全な写真である。
「したらー、このパンツはおしまい」
昴星は言って、するんとブリーフを下ろした。まんまるのおちんちんがぷるんと揺れる。
「そうなの?」
「うん、……ほら見ておにーさん、裏側もぜんぜん汚れてない!」
引っ繰り返して、両手でぼくに掲げる。確かにそうだ、……厳密なレベルで見なければ、確かにほとんど汚れていない。
「あげる、二十一枚目!」
「……いいの? 逆にこれだけ綺麗に穿けたなら……」
「いいの、今日こんだけきれいに穿けたってことはさ、明日も頑張ればこれぐらい綺麗に出来るってことだもん」
大切な宝物がまた一枚増えた。ありがたく胸に押し抱いたぼくの前で昴星はお尻を向けて、鞄の中からひょいと、また違うブリーフを取り出す。この子が学校に提げて行く鞄にブリーフを忍ばせているのは、別段珍しいことではない。
そしてそれは、とても昴星らしいブリーフのようだった。
「きのう穿いてたやつ」
わざわざ広げて見せてくれるまでもなく、前はくっきりと黄色が覗ける。でも股下やお尻は汚れていないから、それを穿いてオネショやオモラシをしちゃったわけでもないようだ。ただその割にはちょっと汚れの面積が大きいようにも見える。昴星は顔を寄せてすんすん嗅いで「……おお……」と自分の匂いでありながら顔をしかめた。
「一日でそんなに汚しちゃったの?」
「うん、……えーと、朝、トイレ間に合わなくなりそうでちょっとチビッた。でも今日おにーさんに会うからこれでいいやって学校に穿いてって、学校でもオシッコのときちんこ振らないでしまった」
そういうサービス――と言ってしまっていいはずだ――をしてくれなくっても、昴星はいつもおちんちんの管理が甘いし、だからこういう具合にブリーフを黄ばませてしまう。そのブリーフに足を通して、
「おにーさん」
と両手を広げる。それ以上何も言葉を重ねられなくとも、ぼくはすぐに昴星を抱き締め、抱き上げ、キスをする。昴星は嬉しそうに両手でぼくに抱き着いて、
「もう、ガマンしなくてへーき?」
ぼくの頬に頬を当てて、訊く。
「もちろん。……っていうか、一緒にいるときはガマンなんて何にもしなくていいんだよ?」
昴星がしたいと思ったなら、あの道でどんなことだってしたってよかったぐらいだ。
「……今日はー、おにーさんにきれーなパンツあげたかったから、いいの」
もう一度キスをして、昴星はにーと微笑む。
この子は自分を「可愛くない」と言う。比較対象が流斗や諭良といったハイレベルな美少年であり、自分はそうではない……、と思っているらしい。けれどぼくに言わせれば、昴星だって二人に負けないぐらいの美少年である。確かにむちむちぷにぷにしているけれど、逆に言えばそれは、二人にはない魅力であるとも言える。
「ありがとうね。昴星はほんとうにいい子」
「ちんこはぜんぜんいい子じゃねーけどな」
「そう? でも今日はずいぶん長いことガマンしてるよね」
ぼく自身、あの夜道でオシッコぐらいはするかな、と思っていた。けれどあの場所からまた三十分近く歩いて、昴星は一度もオシッコをしたいとは言わなかった。
「だってさ、おれがそんなしょっちゅうオシッコガマンできなくなってたらおにーさん心配するだろ」
昴星は腰を下ろしたぼくの膝の上に座って誇らしげに言った。そう、昴星は少しずつではあるけれど、ガマンの出来るおちんちんの男の子になろうと努めているのだ。
「それに……、いっぱいガマンしたほうが、いっぱいオシッコ出るし……、そしたらこのパンツでさ、おにーさんまたいっぱいオナニーしてくれるでしょ?」
正直に言えば、今の黄ばみがほんのり浮かんでいるパンツの時点でぼくはオナニーが出来る。
けれどそういうことは言わない。だって、物凄く黄色いオシッコパンツにしてくれると言ってくれているのだから。
「じゃあ、昴星はお風呂に行きたい?」
「うん、おにーさんのして欲しいやり方でいいよ。もう、だいぶ限界」
「おりこうさん」を「悪い子」にしてあげたい。そうなりたがっているのだから、してあげるのがぼくの務めだ。浴室まで昴星を抱っこして運んで、一度昴星のブリーフをお腹いっぱいに嗅いでから、服を脱いで裸になった。
「ひひ、おにーさんのちんこも『悪い子』じゃん」
「昴星と一緒にいるとき、ぼくのが『おりこうさん』だったためしがあったかな」
「えー、ほんとはもっと『悪い子』でいいと思うけど」
浴室の床に立った昴星の前に跪く。黄ばんだブリーフ、とてもいい匂いだ。鼻を当ててゆっくりと嗅ぎながら「いいよ、出して」とぼくが言う……、言葉の終わりには、もうしみ出し始めていた。
「んひ……っ、オシッコ、すっげー……、いっぱい出る……」
あまり強くもない膀胱で長い時間我慢していたのだから当然だ。色も臭いもとても濃い。ブリーフ越しにしゃぶりつきたいのを堪えて、昴星のお腹にキスをして腰掛けに座り、まだ失禁途中の身体を抱き寄せた。
「ん……、おにーさん、だっこ……」
オシッコを垂れ流しながら、昴星は甘える。どんどん広がって行く染みを見せびらかすように大きく股を開き、ぼくの腿に跨った昴星は舌を出してぼくの舌を求める。
「我慢してた分だけ気持ちいいでしょう……?」
ぼくが問うと、とろんとした目で微笑み頷く。昴星の真っ黄色のブリーフの中で、そのおちんちんがどういう状態になっているかは見なくても判る。でも、見たい。
「あ、あっ、おにーさん、まだオシッコ……っ」
窓を開ける。丸っこく小さいまま硬さを帯びたおちんちんから、一瞬オシッコが止まった。けれどすぐにぶるぶるっと身を震わせた昴星は、そこから元気いっぱいの噴水を放った。金色のそれは温かくぼくと昴星の胸を濡らすのみならず、顔にまで射ち上がる。勢いも強い。本当に、よくこれだけ我慢したものだ。
「飲ませて」
ぼくが言うと、昴星は噴きあがる飛沫を直接口に含む。それからぼくに唇を重ねて来た。刺激的なしょっぱさだけど、それでもどこかにまろやかさがある。そしてなにより温かく、臭い。口の中に貰ったものの半分を昴星に返して、昴星がそれを飲みこむ音を聴いてから口を離した。ようやくオシッコの勢いが止み、ぼくらは同じ匂いを纏って、とても似合いの恋人同士になった気がする。
「おれ、オシッコ……、これからもっとたくさんガマン出来るようになりたいな……」
昴星はぼくに濡れた胸を重ねて呟いた。「いまの……、すげー気持ちよかった……、いっつもすぐ漏れちゃうし、ガマンすんの得意じゃないから、トイレ、気を付けて行くようにしてたけど……」
例えば、学校でも休み時間の度に行っている。二年生の時に教室でオモラシをしてしまった子であり、未だオネショが完治しないから、そういうところには神経質なのだろう。
「でも、他の人のいるところでオモラシしないようにね? あんまり無理なチャレンジはしちゃダメだよ?」
こく、と昴星は頷いて、「でもおにーさんとこ来るときは、もっといっぱいガマンできるようにする」と言った。
「ぼくとしては、おちんちんが悪い子でオシッコぜんぜん我慢できなくなっちゃう昴星も可愛いと思うけど」
こんなやりとりを、ぼくは昴星を抱っこしたままキスをいくつも間に挟んでしている。昴星の肉付きのいい身体はどこもかしこも美味しいに決まっているし、オモラシブリーフの中に浸ったおちんちんがどれだけ美味しいかを想像するだけで涎が垂れそうになるけれど、オシッコ味のだんだんと薄まる柔らかい舌、唇、それもまた、得も言われぬ味なのだ。
「おにーさん、おれとキスすんの好き……?」
ぼくの腿から降りて、床に膝で立ってキスをする昴星は、両手をぼくのペニスに当てた。昴星のオシッコが引っ掛かって濡れた場所を、優しい掌で擦りながら。本当はもうすぐにでも射精したいはずなのだ、……それだけ長い時間、我慢している、それでも、
「うん、好きだよ。……わかるでしょ? 昴星とキスするとこんなに硬くなる」
昴星は自分の下半身をもっともっと美味しく芳しくしようと思っているに違いない。
「ひひ……、おにーさんもちんこ、『悪い子』だなー」
サラサラの髪を撫ぜる。この髪の質のよさもまた、忘れてはいけないこの子のいいところの一つだ。抱き上げて、部屋に戻る。もう「おりこうさん」でいる必要もない。オモラシブリーフを穿いたままの昴星を布団の上に横たえて、顔に、耳に、頬っぺたに、……そして、「家に帰ったらしていいよ」って言われていたから、おっぱいも。
「んぅ……」
オシッコが掛かっているせいでしょっぱい。でも、柔らかい。乳首をちゅっと音を立てて吸い上げると、横たわったまま僅かに背中を反らせる。ブリーフの中でおちんちんがきゅっと硬くなるのが判る。同時にぼくは、昴星のお腹がきゅるっと鳴った音を聴いた。
もちろん、空腹感を訴えているのではない。
「うんちも出そう? トイレ行こうか」
ふるふると昴星は首を横に振る。お尻までずり下ろしたところで、ぼくにぎゅっと抱き着いて、
「いま、おれ、『悪い子』だから、……うんこもガマン出来なくなってるから……」
甘えん坊なことを言う。ぼくがまだ何の支度もしていないのに、抱き着いたままフルフルと身体を震わせ始める。身体の中にまだ残っていたらしいオシッコが、昴星のお腹に跳ねるのを感じる。
しょうがないな。でも、「おりこうさん」にはご褒美を。飛び切り甘やかしてあげるのも、ぼくの「恋人」としてのつとめだ。抱き着く身体を支えて起こし、「うんちするときのおちんちん見せて。うんちで気持ちよくなっちゃう『悪い子』のところ」囁く。腕を解いた昴星の足からブリーフを抜き取ると、昴星は布団の上で大きく足を広げ、もう何のためらいもなくいきみ始めたお尻の下にティッシュを敷く。オシッコならば洗えば何とでもなるけれど、うんちとなると。
「うぅうン……」
ファミレスで食べたものが、あるいは昼間の給食が、昴星の身体というフィルタが掛かって、茶色く色を変えて出て来る。そういう行為を見せてくれる昴星は、いつだってとても可愛い。
「昴星、こっち向いて」
「んぅ……、んひひ……っ」
ぼくのカメラに気付いて、昴星は微笑む。
「いつもだけど、やっぱり太いね。昴星、うんち気持ちいい?」
「んっ、うんこぉ……、うんこもね、ガマンしてたから、すっげー、きもちぃ……っ」
後ろに回って、思いっきり広がった肛門からゆっくりと排出されるものは、昴星の滑らかな肌の質感とは全く異なって、本当にこの可愛い子が出しているものなのかと思うぐらいだ。昴星は慎重に布団に手と膝を付くと、誇示するように「尻尾」を垂らしたお尻を突きだした。ティッシュを何枚か追加しなければ零れてしまいそうだ。
「おにーさん」
昴星が股間からぼくを振り返って言う。「おにーさん、おれ、これからもね、もっと、もっとオシッコガマンできるようになるから、おにーさんち来るとき、おれ、パンツがおりこうさんだったら、そのときはいっぱいおれ、悪い子になりたい。おにーさんのごほうび欲しい」
仮に、パンツがちょっとぐらい「悪い子」だったとしたら、そのときは「おしおき」をあげればいいだけのことだ。そのどっちも、ぼくにとっても昴星にとっても同じぐらい気持ちいいものに決まっている。
「そうだね。昴星が普段穿いてるパンツが綺麗になる分、ぼくが貰えるパンツは黄色くなるんだ」
「ひひ……っ」
長々とした一本糞が出切った。うんちに遮られていた昴星のタマタマと顔が見える。そしておちんちんの先っぽからガマン汁が糸を引いて垂れているのも見える。
「おにーさん、お尻拭いて」
ふりふりとお尻を揺すっておねだり。もう拭かなくってもいいんじゃないかと思うぐらいぼくは興奮していたけれど、そんなことはおくびにも出さずにティッシュで拭き取る。逞しく重たいうんちをトイレに流すとき、昴星はぼくの腰に纏わりついて一緒に来た。ぼくのペニスに触れるのは、自分の排泄物を処理するぼくへのお礼の気持ちなのかもしれない。
「なー、おにーさん、ちんぽ……」
「ん?」
「ちんぽ、おにーさんのちんぽ、したい」
冷静な振りをしていても、昴星に触れられて既にぼくのも濡れるぐらいに感じている。それが昴星の双眸に「美味しそう」と映ったのだとしたら、それを拒む理由なんてない。トイレの水を流し、紙を厳重に包装した上で捨て、「でも、昴星のはまだしなくていいの? もうオシッコとおつゆとでビチョビチョみたいだけど」そう確認する。昴星はきゅっとおちんちんを摘まんで、
「……ほんとは、してほしい……、けど、でも、もうちょびっとだけ、ガマンしたい。おにーさんが気持ちぃの、先にしたい、そのほうがおれ、もっと興奮するし、そしたらおれのちんぽ、おにーさんにもっとおいしいちんぽになるから……」
既に十分すぎる美味しいおちんちんではある。けれどそこから噴き出す精液に、魅力を感じるのも事実だ。
「……わかった。じゃあ、いいよ」
ぼくが横たわる。昴星はぼくが何も言わないうちに、勃起したまんまるおちんちんをぼくに見せ付けるように顔を跨いだ。もちろん、あのごついうんちをひり出したとは思えないほど可愛いアヌスもすぐそこだ。
「ひひ、おにーさんに見られんの、好き……、おにーさんがね、おれのちんぽ見て、ちんぽピクピクさせてんの、大好き……」
大胆にすべてを晒すポーズとは裏腹にアヌスはきゅっと窄まる。普段の元気いっぱいの昴星が可愛いのはもちろんだけど、えっちなスイッチが入り切った昴星もたまらない。そんな子が、
「あぷ……、んうー……」
ぼくのペニスを口にしてくれている。驚くべき器用さで、にゅるにゅると舌が這いまわる……。ぼくの腺液がぼくにとっては何の価値のないものであったとしても、昴星の舌を悦ばせるものであるならばそれは幸せだ。
「ひ、ひひっ、おにーさん、やっぱちんぽすっげーおいしっ……、おにーふぁひんぽ、らいしゅきっ」
右手で掴んで扱きつつ、舌は亀頭から決して離れない。貪欲さを感じさせるフェラチオだと思う。おちんちん周りから漂う臭いも、とてもいい。これ以上幸せなフェラはないかに思われた。が、
「……昴星、顔、見たい」
「……んっ?」
手を止めて、股間から振り返る。じいっとぼくの顔を見詰めてから、ころんと身体から降りて、立ち上がったぼくの前に跪く。
「こっちのほうがおにーさん、うれしいの?」
「嬉しい……、そうだね、そうなのかもしれない。昴星、すごく顔、可愛いと思うしさ」
ぽっちゃり、ではある。でも柔らかい頬っぺたはそうでなければ得られない。女の子のような顔、でも男の子らしい強い光を宿した目元。
「んー、おにーさんがそうしたいなら、おれはこっちでもいいけど」
そんな顔で、ぼくのペニスに鼻を寄せて嗅ぐ。「ちょっとまだ、おれのオシッコのにおいするね……」
「さっき、結構かかったからね……」
「おにーさん、おれのオシッコ好きだからうれしかった?」
それは、もう。
昴星はおちんちんを押さえる。射精が我慢できなくなったのかと思ったら、
「っと」
その手を上げたときには、濡れていた。再びぼくのペニスを両手で包んで、
「おれのー、オシッコだよー……」
揉み込むように、擦り付ける。「おれはさ、おにーさんのちんぽ、そのまんまですげーおいしいと思うし、においも好きだけど、でもおにーさんこっちのほうがコーフンすんなら……」
自分のオシッコを纏わせたぼくのペニスを、昴星が再び口に含む。
「ぼくの……、そのまんまより、絶対こっちの方が美味しいはずだよ……!」
昴星が実際どう思ったのかは判らない。けれど昴星は意志の籠った舌でぼくのペニスに、アグレッシブなフェラチオをする。添えた両手を適度な力とともに動かしながら、特に裏筋を重点的に責めてくる。
とても、幸せそうな微笑みに目元を浸しながら。
いくよ、と言うことも出来なかった。
「ん……っ、……ん……、ん……」
ねっとりとした舌使いをゆっくりと緩めながら、最後の一滴まで搾り取るように吸い上げる。
「んはぁあ……」
昴星の笑顔は、本当に甘ったるくて、……自分が精液を呑ませたことは罪深くさえ感じられる。しかし一拍遅れて、この子がぼくを「恋人」と言ってくれるという事実に、肺が熱くなるような錯覚に陥る。
「おにーさんの……、せーし、やっぱすっげーおいし……。濃かったねー、量もたくさん、ひひ……、おれのちんぽ嗅いでもらってよかった」
ああ、実際、すごく気持ちよかった。ぼくの感じる幸せは、昴星がそれだけぼくを気持ちよくしようとしてくれた証でもある、その量の多さや濃さは結果として昴星を悦ばせるものであったとしても、大前提としてぼくが心地よくなってしまった時点で、ぼくは昴星をもっともっともっと、幸せにしなきゃいけない。
「……昴星も、ずっと我慢してるから、気持ちよくなりたいよね?」
「ん……、ひひ、ちんぽ、めっちゃヌルヌルになっちゃった……」
皮を摘まむと、その縁に透明な露が湧きだして、まんまるのおちんちんに伝う。今すぐにしてあげなきゃ。昴星を気持ちよくしてあげなきゃ。
でも、昴星のサラサラの髪を撫ぜながら、ぼくは考える。
ぼくをこれだけ気持ちよくしてくれた昴星に、ぼくは考え得る最高のものをプレゼントしなきゃいけないんじゃないのか。
「……ねえ、昴星?」
立ち上がらせて、ぬるぬるのおちんちんに一度、キスをする。昴星のおちんちんからは昴星の匂いがする。言ってしまえば乾いたオシッコの匂いで、それはもう、とびきり臭いと指摘してもいい。でも、そのこともまた昴星を興奮させる材料だ。ぼくのために、昴星が興奮する材料なのだ。
「もっと気持ちいいこと、しようか」
「……ん?」
「昴星が、もっと興奮して、気持ちよくなれること。……もうちょびっとだけ射精我慢したら、きっと普段昴星にしてあげるよりももっと気持ちよくしてあげられると思うんだけど、……どうかな」
ぷっくり丸いタマタマを下から支えるように持ち上げて、ぼくは訊いてみた。
「もっと……?」
おちんちんをピクピクさせながら、昴星は訝しむ。「でも……、もっとって……?」
「昴星のおちんちんは今日、すごくおりこうさんだったから……、その分『悪い子』になりたいんじゃないのかなって」
昴星には、ぼくの言っている意味がまだ掴めないようだった。あるいは、頭の半分ぐらいが「ちんぽ」になりかかっていて、……普段ぼくらがどんなことをしているか、ちょっと考えれば想像も付きそうなものだけど、把握するに至らないのかも知れない。
オシッコ臭い男の子、と言ってしまえばそうなのだけど。
その子の匂いがぼくには極めて魅力的なのだ。端的に言ってしまえばフェロモンんのようなもの。ほんの数歩後ろを歩くだけで、昴星の身に着けたブリーフから漂う臭いは伝わって来たし、
「あ……うっ……ン……」
立ち止まった、と思ったとたん、静かな夜の道にくぐもったせせらぎの音、アスファルトへとポタポタ垂れる雨の音、そしてその股間からまだ春浅く冷え込んだ夜に白い湯気が漂い始める様子も、ぼくには見える。
「すごいね、昴星」
後ろから肩に手を置いて、未だ失禁中の昴星をぼくは賞賛した。「もう二回目だよ。このままだとあそこに着くまでにあと何回しちゃうのかな」
「だ……、だって……っ」
昴星は家を出る前に、人肌に温めた麦茶を二杯飲んだ。「外へ行こう。『悪い子』のおちんちんが一番嬉しいことをしよう」と言ったぼくに、昴星は従順だった。それはやっぱり、頭の大半が「気持ちよくなりたい」という欲求で占められていたからだろう。もちろん、躊躇いや戸惑いもあったはずではあるけれど、
「行かない? 昴星が嫌ならいいけど」
そう言って、おっぱいを吸ったら、「……い、く……」と小さな声で昴星は応じたのだ。
昴星って、元気で気は強いけど、根っこはマゾヒストだから。
昴星の喜ぶところを知っていればこそ、ぼくは自信を持ってそうしなければいけない。そんな次第で、麦茶で膀胱をパンパンにした昴星は家を出てから十五分、早くも二回目のオモラシをした。ズボンを濡らしちゃうと大変だから、昴星の下半身はさっきのオモラシブリーフだけ。上はジャンパーを着ているけれど、丈は太腿までギリギリ隠れるか隠れないか。もちろん、暗い道を選んで歩いているけれど、誰かに見られたら異変に気付かれる可能性もある……。ぼくにも慎重さが求められるけれど、幸いこの時間だ、人の歩く姿はない。
そんな道行の二か所に、昴星はこうして水たまりを作っている。
「さあ、もうすぐだよ。……おちんちん見せて?」
「う……、ん……」
泣きそうな目でぼくを見上げて、昴星はブリーフの窓からおちんちんを取り出した。縮こまっている。けれど触ってみると、熱くて、硬い。興奮と恐怖とが入り交じって、そんな表情を浮かべているようだった。
「あ……、はあ……っ」
ぼくがほんのちょっと触っただけなのに、昴星はぼくに縋りながらそんな声を漏らす。いきたくていきたくて仕方がないのだ。ひょっとしたら、膀胱から突き上げる尿意、それを漏らしてはいけない場所だという禁忌、そしてその禁忌をもう二回も犯しているという背徳感が、昴星をいっそう煽るのかも知れない。
「ダメだよ。お外でオモラシしちゃう悪い子おちんちんなんだから、もうちょっとおしおきしないとね?」
オモラシをしてもすぐ冷たくなってしまうブリーフの中におちんちんを元通りしまうと、昴星は悲しそうな声を上げた。でも一度、ぎゅっと抱きしめて「もうちょっと我慢出来たら、たくさんごほうびあげる」とキスをしたら、腕の中で昴星は小さく頷く。それからまた、足を叱咤するように歩みを進め始めた。
住宅が切れて、急な上り坂に差し掛かった。登り切ったところが、今から二時間ほど前にぼくらが猪ヶ谷のささやかな夜景を見下ろした辺りだ。そこまで至る必要はない。ぼくは途中で昴星の手を取り、右手の藪の中へと導いた。暗がりだけど、高いところにある月光は煌々と明るい。昴星のほっぺたが上気しているのも十分に判る。
「よく頑張ったね、昴星。……どうする? すっぽんぽんになっちゃおうか?」
昴星に判断を委ねたのに、昴星はこくこくと頷いて、ジャンパーを、セーターを、シャツを、どんどんと脱ぎ捨てて行く。その動きは慌ただしかった。
最後の一枚、ブリーフに至ったところで、
「ああっ……」
と昴星は声を上げてビクビク震え、……三回目のオモラシをし始めた。ウエストゴムを摘まんだままの状態で、もうほとんど水を吸えないほど濡れたブリーフから、大量のオシッコを垂れ流していく。肌に吸い付くようなオモラシブリーフの中央、滾々とオシッコを湧き出させる場所は、先程の縮こまりは収まって、上を向いている。
「いいよ、そのまま全部出しちゃおう。……本当にオシッコの我慢が出来ないおちんちんだね、昴星は……。赤ちゃんみたいだよ」
ごほうび、は「おりこうさん」にこそあげるべきもの。
でもぼくは結局のところ、「おりこうさん」であろうが「悪い子」であろうが、昴星のことが大好きで仕方がない。
昴星にあげられるものがぼくにあるなら、ひとつ残らずあげなきゃいけないと思っている。
びしょ濡れブリーフを太腿まで下ろして、おちんちんの先っぽに触れる。それからブリーフの裏側を確かめると。ヌルヌルのガマン汁がオシッコに濯がれてもそこに付着しているのが判った。でも、射精はしていない。さすがに他に刺激のない状態でそこまで至ることは、いかな昴星であってもないようだった。
「ひあぁう……」
まず、そのオシッコが一番溜まるであろうタマタマを舐める。強い臭いとしょっぱさ、……この奥にどれだけの精液が溜まっていることだろう? おちんちんのサイズに比して立派なタマタマは柔らかくて、中にある大事な珠のフォルムを丁寧に舐めると、昴星は早くも膝を震わせて、
「やぁあっ、おにぃひゃっ、ちんぽぉっ、ちんぽがいいっ、ちんぽっ」
泣き声を上げる。
「おちんぽもしてあげるよ。でも、ギリギリまで我慢して……。自分で触ったらダメだよ? 自分で触っちゃったら、おうちまですっぽんぽんだからね?」
その場所に伸び掛かっていた手を、ぎゅうっと止めた。それは「おりこうさん」だ。
「代わりに……、そうだな、おっぱい自分で弄っててよ。そうしたら昴星のおちんぽから出るミルク、もっと濃くて美味しくなるんだろうね……」
才斗は「臭い」が好きで、昴星は「味」が好きなのだと言っていた。ぼくはどっちだろう? 割と早い時期から好きな子の排泄する液を口にすることへの抵抗はなかった気がする(それは実際美味しいものだと思ったぐらいだ)し、匂いだって、当然興奮と直結していた。
何にせよ昴星はいま、、自分が「美味しく」なるためだったら何でもしてしまうだろう。
「……ん、くっ……、ふぅう……」
ぼくにタマタマを味わわせながら、昴星は自分の乳首を弄り始めた。もうその場所はすっかり昴星の性感帯で、ピンク色の乳頭に実る粒は普通の男の子のそれより、もう少しぷっくりと膨らんで、卑猥な印象を与える。指先で両の乳首をきゅっと摘まむと、連動するように腰がびりびり震えて、膝もがくがく、……そして、我慢の出来ないおちんぽが強張る。
「っは……、う……、ぅんン……」
「おっと……」
上を向いた包茎から、また飛沫が上がった。昴星は呆然とした顔で、おっぱいを弄る手を動かしながら自分の身体へと噴水を浴びせて行く。ぼくは頬を手の甲で拭って、昴星のおちんちんの向きをきちんと支える。
「そんなにビショビショにして……、風邪ひいちゃうよ?」
でもおうちに帰ったら、温かいお風呂に入ろう。この甘えん坊で赤ちゃんみたいな、それでいて、男に尽くすことを知り過ぎた妻のような、可愛い昴星をそこでも愛そう。
「らって、おれぇ……、おに、ぃさっ……、おいひいの、うれひい……」
オシッコを垂れ流しながら、蕩けそうな笑みを浮かべて昴星は言う。
「……そっか。ぼくも昴星がどんどん美味しくなっていくの、すっごい嬉しい。タマタマとおっぱいでオモラシしちゃう、恥ずかしい昴星が、本当に可愛い……」
「ん……、ひひ、おっぱいも、タマタマも、ひもちぃ……」
昴星はすっかり幼子のようだった。ぼくがあんまり「赤ちゃん」って言ったから、いつかのようにその気になってしまったのかも知れない。ぼくが昴星のオシッコを絡めた人差し指を差し出すと。舌を出して、すぐに吸い付いた。ぼくのペニスをしゃぶるときのように、音を立てて舌を絡めて、……こんなにえっちな「赤ちゃん」いたら実際……、どうするのかな、ぼくは。昴星や他の子にしたように、手を出しちゃってるんだろうか……?
「おっぱいもタマタマも気持ちいい、か。でももうおちんちんからミルク出したいんだよね?」
「んぅ……、おひんひんみぅきゅ……」
オシッコ、我慢汁、どっちも美味しい。でも溜まりに溜まった昴星の「おちんちんミルク」はきっと、もっと、おいしい。
「うやぁあ……!」
一口に、あっさりと収まるサイズ。舌の上で炸裂する尿臭、お風呂で洗っていないから、どれほど昼間「おりこうさん」の六年生らしくブリーフを白く保ったところで届く、昴星そのものの臭い。
最高だ、と思う。やっぱりこの子、本当に……、美味しい、と。
「お、にひゃっ、お、んぉっ、ひんひんっ、ひっ、ひっ、れっりゅっ、ひんひんのぉっ!」
呆気ないほどすぐに、昴星はぼくの口の中へと強い鼓動を届ける。早漏であるし、我慢強くもない、そんな子が溜め込んでいた精液を解き放つための脈動、の度にぼくの舌には濃く濁って重たい精液が、何度も何度も齎される。
「あ……、ひあぁ……」
昴星がしてくれたように、一滴も残さないように、慎重に口から抜き取る。全部呑み込んでしまいたい気持ちを堪えながら、半分を口の中に残して、そのまま昴星にキスをした。昴星は両腕でぼくに抱き着いて、そのまま両足まで使ってしがみ付いて来た。昴星を抱っこしたまま、一分以上、ぼくは昴星の口にこの上なく美味しい「ミルク」を与え、昴星がそれのまた半分をぼくに返すように舌を絡めて来る。
「本当に、美味しかったよ、昴星のおちんちんミルク。ぼくのためにこんなに濃いの出してくれて、ありがとうね……、大好きだよ」
昴星は「ん、ひひ……」と笑って、ぼくの頬に頬をすり寄せて、
「おれも、おにーさん大好きっ」
イノセントな声でそう言った。
昴星が今夜、ここまで頑張れたのはたぶん、それだけ欲が溜まっていたからだろう。ぼくだけ射精させてもらっちゃったことは申し訳ないけれど、こうして昴星の性欲をコントロールすることで、昴星のことをより高みに連れて行ってあげることが出来ることを学んだ。
「ん……、昴星、気持ちいいよ、おりこうさんだね……」
背伸びをした昴星からのキスを享けながら、ぼくは考えている。昴星は息に声を混ぜたキスをしながら、両手をぼくのペニスに添え、おちんちんを擦り付けている。一度の欲の放出で大人しくなるほど昴星は奥ゆかしい子ではない。明日の学校に響かないぐらいには、すっきりしないことには眠れもしないだろう。
「おにいひゃ……っ」
おちんちんを擦り付けるための腰の動きは、淫らとしか言いようがない。溢れ続ける腺液が、ぼくのペニスをぬるぬるにしている。
「おひっこぉ……」
「我慢できない?」
「んんっ……」
我慢しよう、という努力はしているに違いない。でも多量の水分摂取で膀胱は強張っているに違いない。きっと昴星はずうっとオシッコをしたくてたまらないような感覚に陥っているはずだ。昴星を後ろから抱え上げて、それは本当に赤ちゃんのポーズ。そのまま斜面を降りて、道まで至って、ガードレールの向こう側へ、
「あ、あっ、オシッコっ、オシッコぉっ……」
昴星は夜に虹を描く。いや、虹と言うよりは高らかな放物線、ほとんど垂直の……。当然昴星はまた自分自身の身体に熱い飛沫を浴びることになる。全部出し切りもしないうちにまた元の場所まで戻って下ろし、どんどん美味しくなる身体を、ぼくはまた一頻り、味わう。
「おにーさん、おれの、オシッコ、好き……?」
何度その問いを、昴星の口から訊いただろう。その声はいつだって、期待に満ちている。
「大好き。すっごく美味しい」
ぼくの答えも、いつだって同じだ。このやり取りはキスのように、ぼくらの間で繰り返される。
「ひひっ……、おれね、おれも、おれのオシッコ好き、おにーさんが好きって言ってくれるから」
「そっか。その理屈だと、ぼくもぼくのこれが好きになれそうだよ、昴星が好きって言ってくれるから」
「ん、おれおにーさんのちんちん大好きっ、おにーさんにとってもちんちん大事だけど、おれも、すげー大事……」
後ろからお尻に手を回して、「ぼくも昴星のおちんちん大事だよ。宝物だと思ってる。お尻も、おっぱいも、髪も唇も声も。昴星は全部可愛くって、ぼくの宝物」耳を啄んで、囁く愛の言葉が昴星に届くのを覚える。昴星はまた両手でしっかりとぼくに抱き着いて、「好き、おにーさん。大好き。おれ、おにーさんの『恋人』でよかった……」呼応する囁きを、ぼくへと届ける。痛みが走るほど、嬉しい言葉だった。
「昴星、お尻平気……?」
ん、と昴星が頷く。最後にうんちをしてから少し時間が経っているから、解し直さなければいけないかなという気もする。
昴星は不意に、
「んぅ……!」
ぼくのペニス目掛けてオシッコを噴き出させた。まだ出るのかとびっくりしたけれど、
「んぅうう……!」
そうではない、とすぐ判る。さっきので全部出し切った訳ではなかったのだろう。
「すごいね……、まだ出るんだ? 見せて」
「んんんっ」
昴星はお尻を向けて、顔を真っ赤にしながら力む。ぽろん、と球形のかたまりが、一つ、二つと足元へ転げ落ちた。そのボール状のものは言ってみれば「蓋」に過ぎなかったのかも知れない。
「ぅン……、んっ、うんこぉ……!」
部屋でしてくれたものよりは細く柔らかいが、予想よりも量が多い。湯気とともに強烈な臭いが漂い始める。ぼくはその臭いを受け止めながら、昴星のお尻を覗き込んでその身体の前部へと手を回す。左手でタマタマを揉みながら、右手でおちんちんを皮ごしにいじった途端に、うんちの落下がぴたりと止まる。
「やっ、おにぃさっ、まだうんこ出るっ」
「うん、好きなだけ出していいよ。お腹の中すっきりするの好きでしょう?」
「で、でもっ、でもっ……」
おちんちんを弄れば昴星の括約筋が本人の意志とは裏腹に引き絞られてしまうことは先刻承知だ。ぼくはぼくの手の動きに律儀なほど反応して、お尻から小刻みにうんちを落していく昴星はコミカルな愛らしさを纏った存在だと信じている。
「おっ、お……っン、んこっ、うんこ、っもれちゃ、もれひゃうっ、うんこひたいのぉっ」
昴星は内側からの排泄欲求を妨げる快感に混乱しているようだった。射精しながら排便することって、人間には出来ないだろう。一方でアナルセックスで昴星が感じているらしい快楽を精査すると、排便という行為そのものが性的快感に繋がることは改めて確認するまでもない。昴星は「うんちしたい」という欲求に支配されながら、同時に「射精したい」という欲にも追い立てられている。
どのタイミングで決着が付くかと言えば、それは括約筋から力が抜ける瞬間を待つほかない。
「ひ、ィっ、いっ、いやああっ、うんこっ、おにぃひゃっ、うんこっうんこひたいっンこっ、うんこうんこっひたいのっ、うんこひゅるっ……ぅんんんッ」
右手で皮の先を摘まんだまま左手でペコロスのおちんちんをくりくりと弄った。昴星の括約筋は短いうんちをちょん切るようにぎゅううっと硬く引き絞られ、ぼくが摘まんだ包皮を水風船のようにぷくっと膨らませる。むぐむぐとしばらく蠢いた肛門が、やがてリラックスのときを迎えて、封じ込められていた塊が次から次へと溢れて落ちて行く。
「あ、あはぁ……っ、うんこぉ……、うんこっ、いっぱいれてる……っ」
包皮を押さえていた指を離すと、二回目と考えればまだ相当に濃く多いミルクがぼくの手に零れる。それをそのまま昴星のおちんちんに塗り付けながら、「うんちと射精と、どっちが気持ちいい?」ようやく全てのものを出し終えた肛門に、訊いてみた。
「わ、かんな……っ、どっちも……」
「そうだよね。昴星はうんちで気持ちよくなっちゃう『悪い子』だもんね」
昴星の肛門をティッシュで拭いて、「見てごらん、こんなにいっぱいしたんだよ」昴星を自分のうんちの前に座らせる。
「ひひ……、いっぱい、出ちゃった……」
「はにかんだように笑って、ぼくを見上げる昴星のおちんちんからは、何度目だろう、
「昴星、またオモラシしてるの?」
うんちの上に零れていくそれに、昴星はどうやら意識が向いていなかったらしい。本当におちんちんが「悪い子」になっている。びっくりしたように見下ろす昴星に、「美味しいオシッコなのに、もったいないよね?」言うと、昴星はおちんちんに掌をかざして掬い、
「はい、おにーさん」
濡れた手をぼくに差し出す。さっき昴星がしてくれたのと逆、今度はぼくが昴星の指を味わう番だ。
「おにーさん」
昴星はくすぐったそうに肩を震わせながら言う。
「おれね……、おにーさんと、こういうことしてて、いっつもおれのちんちん、ちっこくて、バカみたいにオシッコとまんなくなっちゃうちんちん、おにーさんがうれしいちんちん、……で、よかった、って……。おれのちんちん、おれ、大事にする……。でも、あんましちんちんバカだと、おにーさん心配するから、だから、おにーさんといないときはもっと、ちゃんとしたちんちんでいる……」
両手を両手で包んで、「そうだね」とぼくは頷く。
「『おりこうさん』でも『悪い子』でも、ぼくは昴星が大好きだよ。でも昴星が嫌な思いをするのはぼくも嫌だし、したくないときにオモラシして恥ずかしい思いをするかもしれないって想像するだけで辛いよ。……今日、昴星のパンツはすごくおりこうさんだったから、正直安心したし、嬉しかった」
これは紛れもない、本当の気持ち。
そして、こうも言える。
「昴星の『おりこうさん』のパンツと、『悪い子』のパンツ、両方もらえるなんて、本当に幸せだと思う」
と。
昴星は立ち上がって、ぼくの目の前でおちんちんを振って見せた。精液でデコレートされ、且つオシッコも付着した、贅沢なおちんちんだ。滴を散らすそれを口で捕まえて思い切り吸い上げて、
「入れていい?」
ぼくは訊いた。
「うんっ」
本当に嬉しそうに、幸せそうに、昴星は答える。平気で裸の背中を土の上に横たえようとするから慌てて止めて、ぼくのコートを広げてその上に寝かせる。
「……いいの? おれ、たぶんオシッコ、まだ出ちゃうよ……?」
「構わないよ。明日はもう一着の方を着て行くから。帰りはオモラシしなくていいように、ここで全部出しちゃおう」
にっこり笑って、こくんと頷く。昴星の無邪気な笑顔は、事によっては二歳年下の流斗よりも更に幼い形をしているかも知れない。
「おにーさん」
自分の太腿を自分で抱えて、昴星がいざなう。大急ぎでゴムをはめて、ローションを垂らして。
「あは……、おにーさんのちんぽぉ……」
昴星は触れ合っただけでうっとりと声を漏らした。「入ってる……、ひひっちんぽ入ってるっ……」
緩んでいると言っても子供の身体で、すんなりと入るはずもない。それでも力が抜けているのか、一二度窮屈さを感じさせた以外は、昴星は確実にぼくを呑み込んでいく。入り口を超えればその先は比較的甘くて、でもしっかりとした力でぼくを締め付けて来る。
「ちんぽ……、だいすきっ、おにーさんのちんぽ、ひひっ、おにーさんのちんぽだーいすきっ」
昴星のお尻と自分の腰がぴったりと重なった。昴星は少しも苦しがらずに、太腿を支えていた手を解き、両足をぼくの腰に巻き付けた。少しも苦しさなどないと言うように、蕩けた笑い声を零しながら、昴星は予告通りまた包皮の先っぽからオシッコを漏らし始めた。悪戯心を刺激されて、ペニスを往復させると、
「ぃひっ、ひっ、おっ、おっひっ、っこぉっ」
括約筋のひくつきに合わせて短く声を上げ、オシッコはそのたびにビュッ、ビュッ、と精液のように鋭く噴いた。一番奥で動きを止めると、きつく括約筋を締めることで止まっていたオシッコが、
「お……、ほぁああ……あ……ぷあぁ……」
思い出したように、昴星の愛らしい顔目掛けて短く散った。
「美味しいでしょう……? 昴星のおちんちんから出るのは、全部美味しいよね」
「んぅ……」
実際、その唇がまた美味しくなった。
……この子は、ぼくの恋人である、ただそれ以前にどうも、最高のアトラクションかも知れない。少なくとも昴星の身体から漏れ出す色々なもののにおいを「臭い」とは思わない者にとっては。
いや、だから……、結局ぼくの「恋人」なんだ。やっぱり普通の人は、「臭い」って思っちゃうだろうから。
「おにーさんっ、ちんぽ、もっともっと、ちんぽでずんずんしてよっ」
オシッコとも涎とも付かないもので唇の端を濡らして昴星が求める。ああ、ぼくだってもう、挿れてるだけじゃ収まらない。
「お……ンっ!」
粘っこく絡みつくような腸道の動きに抗うように腰を引き、お望みのままにまた奥まで押し進む。ぼくが感じるのはまず窮屈さ、遅れて、それ以上の、昴星に「受け容れられている」という甘い満悦だ。そこに昴星のお尻の肉の、弾むような柔らかさがスパイスのように加わる、もちろん、オシッコの強いにおいも、目にする昴星という少年の性的な愛らしさも……。
「ひ、ィンっ、お、ちんぽっちんぽっ、ちんぽひゅごいっ、おにぃひゃっあっ……ひんぽぉっ」
ぼくがそれを見ると「嬉しい」と思うからか、それともただ気持ちよくなりたいだけか、昴星は両手で乳首を摘まみながらぼくに揺さぶられている。淫らさの塊と化した昴星は、ぼくに抱えられたまま背中を反らし、
「あ、ああーっ、いっン、いっ、いきゅっ、ひんひんのぉっひんひんのっ、ひんひんのみぅくれひゃぁあっ」
深いところまで感じ切りながら、痺れるような震えと共におちんちんを痙攣させて、その愛らしい顔までも、精液で彩った。その様子を目に焼き付けながら、ぼくも昴星の一番奥で弾む。……我慢していた分だけ、充足感も幸福感も桁違い、そんな射精だった。
「う……はぁあ……、お、かひくなる……、おかひくなっひゃうかと……」
ゆっくりと抜いて、抱き起して、その顔の精液をゆっくり味わわせてもらう間、昴星は陶然とそんなことを言った。これでもまだ「なってない」気でいたとしたら、……もっと進んだところには、いったいどんな昴星がいるんだろう?
そういう姿も、これから見るチャンスがあるかもしれない。昴星の身体を一頻り抱き締めて、時間をかけてゆっくりキスをする。ようやく昴星の「悪い子」おちんちんは本来の柔らかさを取り戻した。
「すっ、……ごく可愛かったよ、おちんちんが悪い子の『赤ちゃん』」
ぼくが言うと、昴星は恥ずかしそうに唇を尖らせる。
「おにーさんが、ヘンタイだからだ」
咎める言葉を口にはするけれど、ぼくに抱き着いた手を解こうとはしない。
「昴星、オシッコ止まったね? セックスの最中、コートびちょびちょにされちゃうかなって思ってたけど」
「んー……」
ぼくの膝から立ち上がった昴星は、自分の作ったうんちの山に向けておちんちんを突き出して、二三度いきんで見せた。もうオシッコは零れない。麦茶の分がからっぽになったということだろう。
「おれ、やせた?」
真顔でそんなことを訊く。
「オシッコとうんちの分は軽くなってると思うよ。あと、たっぷりの『おちんちんミルク』の分もね」
ちゃんとタオルを持って来ている。昴星の顔を拭って、「じゃあ帰ろうか」言ったぼくに、昴星は頷いた。今度はちゃんとお風呂に入る時間を作らなければいけないし、……もう一回ぐらいは、したい訳で。ズボンを上げてコートを羽織るぼくのことを、ちょっと落ち着かない顔で昴星は見ている。
「ねーおにーさん、おれ……、何着て帰ればいいの?」
昴星は四回はオシッコを吸い込ませたブリーフにジャンパーという組み合わせでここへやって来た。ハーフパンツは家で脱いできたのだ。
もちろん、替えのブリーフはぼくのコートのポケットにちゃんと入っている。
けれど、
「はい」
汚れないように――これ以上どこも汚れようなんてないと思うけど――木の枝にひっかけておいた冷たいブリーフを広げて、昴星を促す。
「うぇ……、そ、それ穿いて帰んの……?」
昴星が躊躇うのは当然だろう。しかし、
「おちんちん隠さなくても大丈夫?」
ぼくが問うと、もう一度短く逡巡してから、結局右足から通して行った。
「うひー……、くっせー……、アンド超つめてー……!」
「そう? ぼくはこの匂い、大好きだよ。ずーっと嗅いでたいって思うぐらい」
肩にジャンパーを掛けて前を閉じる。それからもう一度、しつこく抱きしめて、キスをして。昴星は「もー……、おにーさんマジでヘンタイなー……」と、恥ずかしそうに困りながら言った。何で困るって、きっとこんな「変態」と「恋人」であるという事実が昴星にとって悪いものじゃないから。
「昴星が『なりたい』って思ったときには、いつでも『悪い子』の『赤ちゃん』になっていいんだからね? 昴星は学校で普段きちんとオシッコ我慢して、パンツもちゃんと真っ白のままで過ごせる『おりこうさん』なんだから、それぐらいのごほうびはあげないと」
昴星は、むーと唇を尖らせて、やがてこくんと頷いた。それから思い出したように自分のうんちを周囲の枯れ葉で覆い隠して、「帰ろ」と言った。
「手、繋ぐ?」
「……ん。でも、もし誰か来たら、離すよ」
「判ってる。パンツ隠さなきゃいけないもんね?」
来るときにはずいぶん長く感じられたはずの道を、ぼくらはずんずん進んだ。同じ道を途中から一往復半、間抜けで、馬鹿げているとも思う。でもこれだけの時間を掛けなくちゃ手に入らない快感をきちんと手に入れることが出来たのだから、決して悪いものじゃないし、湿ったブリーフを穿いて歩くのは、昴星にとってもきっとドキドキするはずの、素敵な道筋。さっきの場所で野外プレイをするために来る間に何度もオモラシをしてしまったことは、インパクトの瞬間に向けて昴星の期待を煽るものであったに違いないけど、今はいまで、……その余韻の熱は容易に去るものじゃないだろう。
前方に、自動販売機の灯が見えて来た。
「たくさんオシッコしたからのど乾いたんじゃない?」
ぼくが問うと、昴星はこくんと頷く。頬が紅いし、唇からは白い息が漏れている。
「好きなの選んでいいよ。……二本でも三本でも、なりたい昴星になるといい」
どのボタンも、昴星には手が届く。千円札を差し入れたぼくはそれを判っていながら、
「ひゃ」
後ろから抱え上げて「選んで」と、小さな子供にするような甘やかしを、ぼくはした。
昴星は戸惑いながらも、……一本、甘いオレンジジュースのボタンを押す。がこんという音とともに缶が取り出し口に落ちた。
「一本だけ? それだけで足りる?」
「で、でも……、あんま飲んだら、オネショ……」
「いいんじゃない? オムツして寝るの、昴星好きでしょ」
ぼくは常々、自分は大した人間じゃないと思って生きている。せめて謙虚でいられなければ、誰からも愛されなくなってしまうぞ、という恐れに似た気持ちに基づいてそうしている。
でも、昴星の気持ちをコントロール……、とまでは言わない。ただ、昴星が潜在的に抱いている気持ちを昴星自身に気付かせてあげることぐらいは、ぼくにだって出来る。
がこん、……がこん、音がもう二つ重なった。抱っこから下ろして、缶の蓋を開けて昴星に渡すと、……あっという間に昴星は喉を鳴らしてそれを飲み干す。うん、水分摂取は本当に大事だ。たくさん排出した後だから余計に。ただ、少し糖分を控えた方がいいかな、とも思う。
「おうちに着くまでオシッコ我慢出来るかな」
空き缶を捨てて、二本目の蓋を開けて、ぼくは昴星の手を引いて歩き出す。
「……わかんない、こんな……、いっぱい、飲んじゃったら……」
言いながらも、缶に口を付ける。一本目ほどの勢いではないけれど、それでも着々と、身体の中を冷たい水分で満たしていく。寒い夜には触るのも辛いほど冷たい缶の中身が、昴星の身体から次に出て来るときにはもう温かくなっている仕組みは、ちょっと不思議だ。
「オモラシしちゃったら、もうパンツは脱ごうね」
「え……?」
「だって、赤ちゃんだもの。赤ちゃんはおちんちん丸出しでも恥ずかしくなんかないでしょ?」
ぼくの意地悪に、昴星は顔を真っ赤にする。後出しの条件は、自分でもずいぶんずるいとは思う。
けれど、立ち止まった昴星は思い切ったように二本目の中身を一気に飲み干す。それから、ジャンパーを捲り上げて、
「んんぅ……!」
それは恐らく、今飲んだものが出て来るわけではない。ただこの短い時間で身体の中にしみ出した液体を僅かに搾り出すだけのこと。それでも昴星の足元には、ぽたぽたと少量の雨が降った。
「……おにーさん、おれ……、オシッコ、出ちゃった」
出ちゃった、じゃなくて「出しちゃった」だね。いちいち突っ込んだりはしないけど。
「悪い子だなあ……、昴星は。本当に……、大好きだよ」
穿かせてまだ間もないブリーフを引き下ろすと、落ち着いていたはずのおちんちんがぴょこんと跳ねた。三本目の缶の蓋を開けて、
「おにーさん、おれ、悪い子だから、……おうち着いたら、いっぱい、おしおきされちゃうんだよね……?」
期待に目を輝かせて、そう訊く。もちろんそうだ。悪い子にはおしおきをしなければいけないし、恋人は愛さなければいけない。そして昴星はまた何度もオシッコをするだろう。寝るまでにはきっと、また膀胱はすっきり空っぽの状態になるかも知れない……。
明日の朝目覚めたとき、オネショしていなかったら「おりこうさん」だからご褒美をあげればいいんだし。
もし、またオネショをしちゃったら、そのときには「悪い子」だからおしおきをしてあげればいい。
「は……あぁう……」
家まであと少し、横断歩道の赤信号で止まったところで、昴星のジャンパーの裾に覗いたおちんちんから斜め上向きの放尿が始まった。昴星自身に僅かに残るはずの理性は一応我慢をしようと思っているに違いないのだけど、「悪い子」おちんちんが言うことを訊くはずはない。結局昴星はぼくの部屋に戻るまで、精液以外の排泄物をちっとも我慢できないまま、漏らした回数の分だけ幸せになれると信じて歩き続ける気でいるらしかった。