お兄ちゃん、超かっこいい!

 ぼくは愛しい少年たちに少女たちに、いつも素敵なプレゼントをもらって生きている。ぼくがぼくで居るだけでいいなんてことまで言ってくれる天使たちに、じゃあぼくはどれだけのものを返すことが出来ているかと考えると、……正直覚束ないのが現実である。

 今日、木曜の昼、仕事で時刻表を調べる用事があったのだ。急な出張が入って、スマートフォンのアプリですいすいと、……なるほど、明日の朝の新幹線で出て、到着は十一時前。スムーズに行けば用件は夕方までには終わるかもしれない。翌日の午前のもう一件を済ませて、……その後は直帰していいって言われてるから、ええと。

 そんなことを考えているうちに、ぼくの行こうとしている方角に、由利香の住む街があることに気づいた。でもあくまで「方角」であって、その出張先と由利香の街の両方を同時に行くなんて無理に決まっている……。そうは思っても、一応調べてしまうのが人情というもので。

 なんと。

 出張一日目の要件が夕方に終わったとして、由利香の街まで特急を使えば一時間ほど。

 それはつまり、朝に由利香の街を発てば翌日のもう一件の仕事をこなすのも問題ないということを意味していた。

 

 

 

 ぼくの住む街も山が近くて朝晩はまだ氷点下に割り込むことが珍しくないけれど、さすがに「県境」どころか古い言い方に倣えば「国境」まで複数超えて辿り着いた街には、雪が分厚く逞しく降り積もっていた。

 何でも、数年ぶりの大雪が降ったのだという。

 新幹線も、目的地が近付くに連れて徐行運転になっていた。現地在来線のダイヤも乱れまくってているらしく、コンコースは憂鬱そうな人の顔がずらり並んでいる。

「あの、……信甲線の電車って……」

 駅員さんをつかまえて訊いてはみたけれど、言葉もなく首を振られるばかり。由利香の街に行くためにはどうしても乗らなければならない路線は特急を全て間引いて、鈍行のノロノロ運転なのだそうだ。……これでは明日朝どんなに頑張って早起きをしても、仕事に間に合わなくなってしまうことだろう。

 残念だが、……心の底より残念なことではあるが、この出張中に由利香と会うのは諦めなければならないようだった。

 出張先での用事を予定通りに済ませて、ホテルにチェックインして荷物を置いたところで、「はあ……」と深い溜め息をぼくは吐いた。大人なんだから、思い通りに行かなかったことに対していちいちきつく凹んだりなんてするものか、……と上辺では思うのだけど、彼女の小さな身体を抱きしめるつもりでいたぼくの両腕は多いに手持ち無沙汰だ。窓の外の雪は少しばかり小降りになったようだが、相変わらずしんしんと降り続いている。

 ……せめて、声だけでも聴きたい。もう学校から帰ってるよな……、そんな思いに負けて、スマートフォンを取り出した。

 と。

 由利香の番号を押そうとした指先で、スマートフォンが震え出した。

 ぼくの電話を震わせているのは、……由利香である。

「もしもし?」

 着信から一秒で出たからだろう、由利香はちょっとびっくりしたのか、言葉を失っていた。

「あ……、お兄さま……、えっと、お仕事中にごめんなさい。着信履歴だけ残しておこうと思って……、お邪魔になっていませんか……?」

 彼女はときどきそうする。メールの返事はメールで済んでしまうが、着信履歴があればこちらから電話を掛け返してあげたくなるのが人情というものだ。

「うん、今はもう仕事が終わった後だから大丈夫だよ。……どうしたの?」

 ぼくは、自分がいま何処にいるのかを言わないでおくことにした。こんなに近くにいるのに会えないなんて、ぼくだって辛いのに、由利香はもっと寂しい思いをするはずだから。

「あの……、お兄さまは明日って、お仕事のあと空いていますか? ……その、昴星くんたちと、いっしょ、ですか?」

「ん?」

 由利香の問いに、とっさにどう答えるべきかぼくは迷った。自分の居場所は言わないと決めたばかりだ。

 しかし、

「……えーと、……ひょっとして、ぼくのところへ来るつもりだったり、するのかな」

 もしそうだったとしたら? 「でもあの、明日金曜日だよね? 学校あるんじゃ……」

「明日は、県民の日でお休みなんです。それで、もしお兄さまが良かったら、……ちょっとだけでもいいので、由利香、側にいたいなって……」

 他県の事情についてはおよそどこの住民だって疎い。なるほどぼくらにとってのそういう日は十月だけれど、この県は明日がそれにあたるのだ。金曜日から土曜日曜と、由利香は三連休だったのだ。

 それならば、……嬉しいことにぼくの元へ来たいと思ってくれることがあったとしても自然である。

 いや、それ以上に。

「……ぼくも、由利香に会いたいな」

 気づいた時にはもう、言葉が溢れていた。

「今すぐにだって会いたいよ」

「えっ……」

 由利香には、ぼくの言葉の意味がわからないようだった。「今から行っても、いいんですか……? でも、お兄さま、お仕事のお邪魔になっちゃったら……」

「由利香と会えたら、仕事も頑張れるような気がする。……今から会おうよ」

 由利香が、数秒黙る。その沈黙の時間は、ぼくはつい逸ってしまった自分を恥じるには十分すぎるぐらいに長かった。

「……由利香、いま、駅にいます。学校が終わって、家に帰って、……お父さんとお母さんに、前の『お客さま』のところに行くって言って……」

「え」

 じゃあ、……じゃあつまり、こういうことか。

「ぼくを、……びっくりさせようとしてくれてた……?」

 声はないが、恥ずかしそうに頷く気配が伝わってきた。またもぼくは天使のプレゼントを受け取ってしまうことになっていたのだ……。

「ぼくは今、……長野にいる」

 今度は由利香が「えっ」と声を漏らし、言葉を失う番だった。

「出張で来てるんだ。……由利香に会えたらって思ってた。でも、電車のダイヤが乱れてて……、明日の午前中に外せない用事があるから、諦めてたところだったんだ」

 しばらく黙っていた由利香が、駆け出す。

「お兄さま」

 焦ったような声を、由利香が上げる。「会いたいです。お兄さまに会いたいです!」受話器への言葉は一旦そこで途絶えたが、慌ただしく由利香が「あのっ、長野までの切符をください!」と駅員さんに言うのが聴こえる。ばたばたごそごそ、きっと財布からお金を出して、由利香はぼくへ繋がる列車の切符を買っている。

「電車、ゆっくりですけど、走ってるみたいです! 快速電車が、もうすぐ出ちゃうって……、今から長野に行きます!」

「由利香……」

 ホームに積もった雪を、少女の靴が踏む。その音が、ことのほかいとおしく、ぼくの耳に届いた。

「好きだよ」

 ぼくの声も、彼女の小さい耳に届く。

「……はい。由利香も、お兄さまが大好きです!」

 嬉しさに弾んだ声が、ぼくの心も弾ませる。

 

 

 

 

 小さな少女を乗せた信甲線の快速電車は、定刻から三十分遅れて無事に長野駅の在来線ホームに到着した。待ち切れずに入場券を買ってホームで待っていたぼくは、雪まみれになりながらも三十分程度の延着でまとめたその快速に心からの拍手を送りたいような気持ちでいた。

 三両という短い編成の中から降り立つ乗客たちは列車の遅延に、みな一様に疲れたような顔をしていたから、その中でひときわ眩い少女の顔をぼくが見付けるためにはほとんど時間は要らなかった。

 衆目のある場所であるから、ぼくを見付けて駆け寄る由利香は抱きついたりはしない。しかし、ぼくの差し出した手を両手でぎゅっと握って、

「……お兄さまは、ずるいです」

 ちょっと、目を潤ませて言う。

「ずるい……?」

「だって、……由利香のこと、こんなにどきどきさせるんです。由利香がびっくりさせようと思ってたのに、由利香のほうがびっくりしました……」

 柔らかな髪をなぜてから一緒に歩くぼくらが、間違っても「恋人」には見えないように作った半歩の距離がもどかしい。ホテルには「同じ部屋でいいので、一人追加」と頼んである。いわゆる、……ええと、デリバリーな方をお願いしていると思われるのも困るので、「こっちに住んでる姪が泊まりに来る」と説明した。父と娘と呼ぶにはぼくは若すぎるはずだし、兄と妹と言うには歳の離れたぼくらだから。

 そう言ったら、由利香は目を丸くしていたが、

「じゃあ、ホテルの人の前では『おじさん』って呼ばなきゃいけないですね」

 とすぐ納得した。

「こんな可愛い姪っ子がいたら大変だなあ。……こんな可愛い恋人がいるわけだけど」

 くすぐったいような気持ちが自然と笑顔を呼ぶ。雪が止んだ街で晩御飯を食べて、ホテルのフロントで鍵を受け取るときにも不審がられることはなかったけれど、

「今日は早く寝るんだよ? ぼくは明日も仕事なんだから」

 とぼくは言い、

「うん。……おじさんが一人のときエッチなテレビ見たりしたら叱ってってお母さんに言われてるもん」

 由利香はちょっと生意気な姪っ子を上手に演じて見せた。

「何だか、どきどきします」

 エレベーターでやっと二人きりになったところで、由利香はぼくの手を握って言った。「お兄さまと、こんな風に、……由利香の街でもお兄さまの街でもないところでお泊まりするなんて」

 会いたい気持ちがピークにまで募っていたところだから、由利香の浮き立つような気持ちがぼくにはよく判る。部屋の鍵を開けて二人で入り、後ろ手に鍵を閉めてすぐ、彼女はぼくにぴったりと抱きついた。「うがいしなきゃね?」と、保護者らしいことを言い、それでも一度抱き締めることを堪えられなかった。

「お兄さま、今日すごく格好いいです。ホームでお兄さまを見つけたときに、すごくそう思いました」

 靴を脱いでベッドの上で待つ由利香は、スーツの上を脱ぐぼくを見上げて言う。いつものように長い髪を二つに結んでいる。深い青のセーターに、デニムのショートパンツ、黒のタイツという取り合わせで、健康的な少女の愛らしさがその身に収まり切らない。

「そうかな……、いつもと同じじゃない?」

「いいえ。……お兄さまがスーツを着ているところを見るのは初めてです。昴星くんたちは見慣れてるのかもしれないですけど、由利香は初めてだからすごく格好いいと思いました」

 自分としてはまあ、……普段着とは異なるにせよ、ちっとも特別な格好じゃない。スーツだって二着で幾らというお買い得品なのだけど。

 でも、可愛い女の子にそんな風に「格好いい」なんて言ってもらえるのなら。

「由利香は、いつも可愛い服だと思うよ。いつもって言うか、いつ見ても、かな」

 とはいえ、この子だって初めて出会ったときからもう半年近くが経つわけで、少しずつ変わっていく。変わらないのは「可愛い」というこの少女の核とも言える点であり、例えば髪型にしたって、初めの頃は下ろしていたりポニーテールだったり。

「普段は、もっと地味です」

 由利香ははにかんだように微笑む。「でも今日は、お兄さまと会いたかったから、新しい服で来ました」

「嬉しいよ。……すごく似合ってると思う」

 ベッドにぼくも乗り、由利香を横たえる。そのまま、二分近くキスをした。唇を啄ばみ合うようなものから、互いの舌を貪欲に求めあうようになるまでは二十秒もかからなかったけれど。

「……お風呂、どうしようか? 狭いユニットバスしかないけど、ぼく一日この格好でいたから臭くない?」

「由利香は平気です。……お兄さまのにおい、好きですよ」

 じゃあ、このままでいようか。ぼくが由利香の匂いが好きであることなんて言わなくたって伝わっているだろう。

 可愛い服、そして新しい服だ。あまりシワにしたり、ましてや汚したりしては絶対にいけない。

 とはいえそれは、この子を裸にする口実に過ぎないかも知れないけれど。

 指先を、いまだ控えめな膨らみに過ぎない乳房に当てた。薄手のセーターの下にどうやら一枚シャツを着ている、それは当然だろう。それ以上にぼくの指先が感じるのは、ほのかな凹凸の存在だ。

 乳首、ではない。その位置ではない。

「……あ、ブラジャー……、してる……」

 頬を染めて、由利香が頷く。これまではえーと、ハーフトップっていうんだっけ、男の子のランニングシャツの丈を削って、もっとぴったりさせたようなものをシャツの下に着ていた。

 とはいえバストが短期間に急成長したという訳でもないようだ。

「……ぼくに見せてくれようとしたのかな」

 そっと訊くと、頷くことでそれを認めた。

「そう……、見てもいい?」

 そっと背中に手を入れ、セーターをめくり上げる。ほっそりとした腹部に可愛らしいおへそのくぼみがあって、その上に至ろうとするときには、まるで初めてのときのように緊張する自分がいることに気付かされる。

「……どう、です、か……?」

 ぼくに見せるためのものを、ぼくに見せているのに、心から恥ずかしそうに由利香は訊く。口元に手を当てて、目を潤ませて。

 薄ピンク色に紅いさくらんぼの柄が散ったブラジャーだった。控え目にフリルで装飾されていて、……恐らく一番小さいサイズなのだろうとは思う。それが、禁忌を犯していることを一層意識させる。

「可愛いよ。……可愛い。ブラジャーじたいも可愛いんだろうね、でも、着てる由利香がすごく可愛いと思う」

 恥ずかしさに紅くなった頬が熱いことを唇で感じる。由利香が敏感に小さく震えた。可憐さを強くぼくに感じさせる少女のブラジャーの上から、まだ蕾のように硬い乳房をそっと撫ぜてから、

「見てもいい?」

 と一言断りを入れて、ブラジャーをずらした。

 由利香の乳首は、まだほんの小さな突起である。長い間「湯女」として多くの男の相手をするとき、……初めのうちはスクール水着を身に纏っていたにせよ、ほぼ確実に晒されていた場所である。それでもなお、ぼくの目の前にあるときにはこんな風に初々しく、白い肌にあって乳輪も乳首も淡いピンク色をしている。

「やう……、お兄さま……」

 指先でちょっと触れただけなのに、由利香はピクピクと反応した。いつもよりも敏感になっているようにも思える。その愛らしさに胸を打たれて、ぼくもいつも以上に性急になっていることが否めない。デニムのボタンに指をかけ、下を脱がせにかかる。

 この子にしても、昴星たちにしても、いつもぼくの快楽を優先しようとしてくれる。……恥ずかしい話だけど、こんなに歳下の子を相手にしながら、ぼくが先に気持ち良くしてもらってしまうことだって多いほどだ。でも今夜は、

「お兄さま、の……、由利香、します……」

 と身を起こしかけた恋人を押し留める。

「ぼくにさせて。……ぼくは男の身体のことしか判らないけど、女の子もきっとさ、溜まっちゃうことあると思うから……」

 由利香の黒いタイツの上からその股間にそっと右手の指を当てる。左手で彼女を抱き起こし、キスをしながら指を動かす。由利香のそこが湿っぽいことは、タイツと下着の二枚越しでも判った。

「……お、ん、っいぃ、さまぁ……」

 ぼくはショタコンであるけれど、それもかなり極まったショタコンではあるけれど、ちゃんとこういう風に女の子を可愛いと思う気持ちはある。とりわけ由利香のことを可愛いと、心の底から思うのだ。

 ぼくに身を委ねて、由利香が息を詰まらせて震える。小さく甲高い悲鳴がぼくの口の中で、甘く弾けた。

 残るのは、互いの舌の絡まり合う音。

「……いっちゃった……?」

 糸が伸びて、彼女の唇を濡らす。由利香はとろりと潤った目を逸らし、こく、と頷く。

「……オシッコ、もらしちゃいそうになりました……」

「よかったのに、漏らしても」

「だ、ダメですっ、お布団びちょびちょにしちゃったら、後でお掃除するの大変ですし、それにお兄さまのズボンも濡れちゃいますっ」

 あ、そうか。というか、……宿屋の娘なんだなぁ、なんて思わされる。

「……お兄さま、どんどん女子に上手になっていきますね」

 ちょっと恨めしげに由利香は唇を尖らせる。

「……そうかな。由利香以外の女の子に好かれるとも思えないけどなぁ」

 由利香は首を振って、

「お兄さまは優しくて格好いいので、危なっかしいです」

 そう言い、ぼくにまたキスをした。

「うーん……、あんまり『格好いい』自覚を持ったことはないんだけどな……」

 っていうか、持てるはずがないでしょう。だってこんなね、ショタコンで、由利香といるときはロリコンだし。

「世の中に、あまりお兄さまの魅力に気付く人が多くない方が由利香は安心です」

 由利香はそう言って、ぼくに甘えた。

「……パンツ、脱ぎたいです。すっぽんぽんになりたいです」

 下着越しに少し撫ぜたぐらいで幸せに出来たとも思っていない、……一回いってくれた訳だけど、でも実際ぼくだってもう由利香を裸にしたくて仕方がない。

 でもぼくは、妹のように可愛い恋人をベッドに横たえて、ゆっくりと服を脱がせる時間を楽しんだ。セーターを、シャツを、タイツを、脱がせるたびにより広く露わになる由利香の肌のきめ細やかさにまずこの目が悦んでいることを自覚し、あちこちにキスをした。ほっそりとしたお腹に、細い腕に太ももに。

「……オモラシはしなかったけど、湿っぽいね」

 言って、恥ずかしがらせて、……五年生の女の子の穿くものとしてはちょっと幼げな、センターにリボンのついた薄い黄色のショーツ、その上から、ワレメの場所を探って、その付け根のあたりにも。

リブ編みっていうんだと思う。縦にごく細かな縞筋が刻まれた下着の、女の子が直接接する部分は内側にもう一枚縫い付けられていて、ちょうど男の子のブリーフの前合わせのようになっている。それでも由利香の足の間がしっとりとしていることは隠しようがなかったし、顔を近づけるとほんのり甘酸っぱいような少女の匂いと、微かながらオシッコの乾いた臭いが優しく漂った。

「お兄さまは、……由利香のパンツ、も、好きですか……?」

「うん、好きだよ。こんなに近くで見ていいのかなって思って緊張するし、興奮するし」

「……男の子のことが好きなのに? 由利香はおちんちん付いてないですよ……?」

 ああ、まあ、由利香は女の子だから付いていなくて当然だ。

「ぼくは、確かにおちんちん好きだよ。昴星の流斗の諭良のおちんちん見てるだけで居ても立ってもいられなくなる。彼らが求めてくれる限り、彼らのおちんちんを幸せにしてあげなきゃって思って生きてるからね。でも」

 鼻を、「そこ」に当てる。少年たちとの行為で慣れ親しんだ、あの温かく柔らかでクッション性豊かなものはない。

 それでも、

「でも、由利香にはおちんちんが付いてなくっていい。……それか、由利香にはおちんちんが付いてない方がいいかな。だって由利香は女の子だからさ、ぼくとこういう時間を過ごしてくれる、たった一人の女の子だから。……男の子と女の子とどっちが上ってことじゃなくってね」

 由利香はじいっとぼくを見つめていた。五秒、十秒、……あれぼく変なこと言ったかなって不安になるぐらいに。

 沈黙を、由利香がゴムとともに解き放った。

「由利香の、……女の子の、ところ……」

 ウエストゴムを自分でずらし、お尻の側から手を入れて、太ももを抱え込むようにして由利香はその場所をぼくに晒して見せた。

 白い肌に在るスリットの深さをぼくは知っている。まだ発毛のない其処を指でほころばせて、そこから更に下へと行けば辿り着く小さな蕾とともに、ぼくの心臓を直撃するような「女の子」が存在する。

「お兄さまが、由利香のここを見て、……おちんちん、硬くしてくれてるってこと、を、……まだ会ったばかりのころは、ちょっと、信じられない気持ちでいました……」

「ん、そうなの?」

 初めてのときからガチガチだったんだけど。

「だって、……昴星くんと流斗くん、すごく可愛いですし、諭良くんはとてもきれいです。みんなおちんちんが付いてて、由利香には付いてなくって、だから、……由利香が好きって言って甘えたから、お兄さまに無理をさせてるんじゃないかって……」

 そんな心配をしていたのか。……考え方としては未熟で幼いと言ってしまってもいいのかもしれない。だけど、ぼくには由利香のそんな物思いがことのほかいとおしく思えた。

 離れた街に住んでいることも手伝ってこの子が不安を抱いたって仕方がないじゃないか。

 ぼくは愛情をこめて由利香の指が開いたワレメに舌を差し入れた。

「あ……!」

 美味しい、と思う。由利香の肌が、由利香の液が、美味しい、そしてかぐわしい。

「ぼくは由利香見て勃起するよ。自分でも困るくらいに興奮する。だから由利香に会いたいって思うし、こうして会えたなら、時間の許す限りいろんなことをして由利香のこと気持ちよくしてあげたいって思うし、自分も気持ちよくなりたいって思う」

 言葉を這わせて、また舐める。由利香の太ももがヒクヒクっと動いて、

「お、にぃさまっ、ダメですっ……」

 切羽詰まった声を、上げた。

「ん……?」

「です、からっ……、オシッコ出ちゃうから、ここでは……、ダメです……っ」

「あ、ああ、そうだっけ……」

 視線は自然とバスルームに向いた。「お風呂行こうか?」

 はぁ、と由利香は息を震わせて、首を振る。

「いいの?」

「……もうちょっとだけ、我慢します、だから……」

 身を起こして、「お……」ぼくのズボンに手を当てた。

「……お兄さま、ベッドでこんな風にしてたら、ズボン、しわになっちゃいますよ?」

 それはある程度承知の上だ。こういうホテルにはどこでもプレッサーがある。後でそれを借りて綺麗にシワを伸ばすつもりでいた。

「それに、……お兄さまのパンツもぬるぬるになっちゃいますよ……?」

「あー、ああ……、まあ……、そうだね」

 由利香の手がベルトを外し、ボタンを外し、……ぼくの一日穿いてよれよれのトランクスの上から勃起に触れた。

「あのさ、でも、……ぼくの洗ってないから……」

「由利香だって、お風呂まだです。……電車の中は暑かったので、ちょっと汗をかいたかもしれません」

 確かに多少、そういう匂いもした。もちろんぼくにとっては好ましく感じられるものに決まっているけれど。

「ぼくの汗とかと、由利香のそういうものは違う気がするけどなあ……」

 由利香は耳を貸さず、

「お……っ」

 トランクスの上から、ぼくのペニスに口を当てた。布越しに、由利香の口の中の温もりが伝わってくる。布のざらつきに口中水分を奪われて苦しいだろうに、由利香はぱっくりとぼくに吸い付いて、甲斐甲斐しく舌を動かすのみならず、裾から指を入れて陰嚢を撫ぜてくる。

「……お兄さま、おちんちん、もっとして欲しいですか……?」

「え……、えーと……」

「お兄さまが言ってくださったら、これだけじゃなくって……、もっと、します。でも由利香は、これでも嬉しいです。お兄さまが由利香でおちんちんすごく硬くしてくれてるって、伝わってきます」

 それは珍しい由利香からのアプローチだ。いたずらっぽい光をその瞳に宿して、ぼくを攻める。

「ああ……、えーと」

 太ももまで下げられた下着ゆえに丸出しになっているお尻に目が行って、自然、ぼくのペニスは由利香の指に脈動を伝えることとなる。

 「由利香の、……口に、直接してもらいたい、です」

「それは、……パンツが汚れちゃうからですか?」

 舌先を先端に当てて、唾液を伝わせる。じっとりと濡れて行くのが、狂おしく伝わってくる。

 由利香のテクニックをもってすれば、このままぼくをいかせることなんて容易いに決まっている……。

「違う、そうじゃなくて、……由利香の口の、気持ちいいから、由利香に、……しゃぶって欲しいんだ、由利香の口の中に射精したい……」

 追い詰められた気持ちになって、慌ててぼくは言った。由利香はにっこりと微笑んで、

「ありがとうございます。由利香もお兄さまのおちんちん、お口に欲しいです」

 やっと、ぼくのものを下着から取り出し、音を立ててキスをする。呆れるぐらいに滾ったそれの先端は内から外からの液体で濡れていた。

「由利香でこんなになってくださるお兄さまのおちんちんが由利香は大好き。だから、由利香はお兄さまのおちんちんを気持ちよくします。お兄さまのおちんちんが何度も何度も硬くなって、由利香でたくさん射精してくださるように、いろんなことがしたいです」

 愛しい少女はそう言って、ぼくのペニスを頬張った。

「うわ……」

 思わず、そんな声が出た。

 男の子たちのそれが、自分と同化することで発達する技術ならば、由利香のそれは同化が不可能な分、研究を重ねて完成したもの。

 心地よく吸い上げる圧と、奔放に動く舌と、頭を動かすことで生じる全体への刺激。甘く、かつ強い波でぼくを翻弄する。

「由利香……、由利香ごめん、もう出るよ……!」

 自分でも驚くほどのスピードで、ぼくは追い詰められた。

 激しくバウンドさせるとき、由利香が口全体でぼくを包み、受け止めていてくれることがよく判る、……そんな幸福なインパクトのある射精だった。

「ああ……、すっごいね……、由利香は……」

 多幸感に包まれたまま、ぼくはバカみたいな素直さで感想を述べた。「すごい……、気持ちよかったよ……」

 由利香は嬉しそうに笑って、ぼくに抱き着く。

「由利香、いつも、お兄さまに会ったときは、一番最初はお口に出して欲しいって思ってるんです、お兄さまのおちんちんの一番濃いのが欲しいって。だから、すごく嬉しいです」

 唇を避けて、頬にキスをくれる。

「こんなもんでいいなら、いくらでも……」

「もちろん、少し薄くなっててもお兄さまのおちんちんは大好きですよ?」

 いつもより、由利香はえっちなように思えた。いや元々かなりそういう子だけど。それも、ぼくと偶然にせよこの場所で会えたことが、それだけこの子にとって喜びとなっているということだろう。

「……幸せにしてもらったんだから、ぼくもまた幸せにしてあげなきゃね?」

 由利香のほっぺたにキスを返してぼくが言えば、

「由利香が幸せにしてもらったら、今度はまたお兄さまの番ですよ?」

 由利香はぼくに頬ずりをして、「そのあとは、……二人でいっしょに、なんども、なんども」囁く。

「うん、約束だよ。時間が許す限りしよう。明日の仕事が終わったら、その後もね」

 こく、と頷いた由利香の身体が、ふるふるっと震えた。

「あ、……もうトイレ限界? お風呂行こうか」

 由利香は恥ずかしそうに、でも素直に「はい」と頷く。ぼくは慌てて服を脱ぎ、由利香を抱き上げてバスルームに連れて行った。

 

 

 

 

 温泉旅館の娘であり、家は(上がったことはないけど)ちゃんと一軒家である。にも関わらずバストイレ一緒くたのユニットバスに興奮するというのは、何だか間違ってるような気がする……。

ぼくは大学時代の下宿先がまさしくいわゆる「ユニットバス」で、当時はお湯を溜めてくつろぐのもしんどい日々に、多少ホームシックに陥ったこともあるのだけれど。

「でも、由利香はこういうの憧れていました。……外国のおうちみたいで」

 由利香が嬉しいと思うなら、まあ、これでいいのかなぁという気もする。その由利香はパンツも脱いですっぽんぽん、ぼくも頼まれるままに全裸となって、……由利香に言われたとおり、まだ空っぽのバスタブの中に座っているのである。

 ぼくにそんなことを頼んだ由利香は、バスタブのふちに乗ってしゃがんでいる。つまり、足の間をぼくの顔の前、全開にして。

 「すごい景色だね……」

 圧倒的でさえある。少女が和式便器でオシッコをする、まさにその体勢を、いわゆるところの「金隠し」にぼくの顔がある訳だ。

「もう……、出そうです。お話しながら、してもいいですか?」

「ああ……、うん」

 言うが早いか、ぴゅるっと由利香の秘裂から濃い金色の飛沫が恥ずかしそうに迸った。

「はぁ……、由利香、オシッコするとき、前に、お兄さまの、お顔の上でしたの、覚えてますか……?」

 覚えている。あれもまたすごく刺激的な体験だった。けれどぼくは、……そうするのが自然だろうと思うから由利香のオシッコを顔に浴びて、飲んでいるから言葉で答えることは出来ない。

「あのときから……、オシッコするときいつも、お兄さまに、もっと、見て欲しいって……」

 もちろん全部飲みきることは難しい。きつく我慢していた由利香のオシッコは強い勢いと高い音を立てて迸り、ぼくの身体を温かく濡らす。みずみずしいしょっぱさと、間違いなくオシッコであるから(昴星ほど強くはないにせよ)ちゃんとそういう臭いがするのもいい。

 女の子のオシッコ姿は新鮮だ。由利香のワレメから溢れるそれはお尻の方へとしたたって、浴槽のふちにポタリポタリとトパーズのような雫を零していた。

「だから……、お兄さまのお顔の前でこんな風にオシッコできて、……うれしいです」

「ぼくも、……由利香のオシッコをこんな近くで見れて嬉しいな」

 由利香のオシッコが止まった。全部出切ったのかと思ったが、彼女は「はう……」とワレメを指で押さえ、身体をくねらせながらあぐらをかくぼくの足の前まで腰を落とす。その間も、ぴしゅっ、ぷしゅっ、とオシッコが噴き出す。

「お兄さま……」

 由利香がぼくにしっかり抱き付いて、力を抜いた。再び強い勢いで放たれる体温水は、ぼくのペニスをくすぐる。

「由利香の、オシッコです……、オシッコ、由利香の、……恥ずかしいの、いっぱい、……お兄さまのおちんちんに、オシッコしてますっ……」

 少女が積極的に披露する痴態に、……もちろん目の前でしゃがみこまれた段階からしてもう硬くなっていたぼくのペニスはもちろん悦んでいる。

「は、ぁあ……」

 きゅっと抱き付いて、その身の震えを由利香は伝えてきた。いいにおいだね、美味しかったよと、伝える代わりに由利香にキスをした。由利香の熱い舌が、彼女の興奮の強さをぼくに教える。

「じゃあ……、由利香はいつもオシッコするたびにぼくのこと考えててくれたんだ……?」

 指を這わせたお尻の穴まで濡れている。

「ふあ……っ」

 由利香の性感帯、でもまだ挿れないで、快感に歪む顔のあちこちにキスをする。狭い浴槽の中は便器のように由利香のオシッコでいっぱいで、ぼくに身を重ねる由利香はますます美味しそうになる。

「オシッコの、ときだけじゃなくってぇ……っ」

「うんちのときも?」

「ち、ちがいますっ……、いつも、いつもっ……」

 由利香は再びオシッコを我慢するようにスリットへ指を差し入れていた。

「えっちだね。オシッコのとき、そんな風にオナニーしてたんじゃないの?」

 喜ばしいことだ。ぼくは由利香のおっぱいを吸いながら訊く。由利香は声を溢れさせながら、こくこくと頷いて悦ぶ。ぼくのことが好きであるがゆえに、清純な身体がここまで淫らに濡れることが、悦びでなかったら何であろうか。

「由利香は可愛い。えっちで、恥ずかしくって、でも、だから可愛い」

 ぼくの目の前で、排尿後のオナニーをする由利香がもっと幸せになればいいと思いながら、後ろから抱きかかえ膝に乗せて、おっぱいを両手で包み込む。まだあんまり「揉む」のに耐えられるほどボリュームはないけれど、その代わりに小さな乳首を両の指で摘まんで。

「は! あっ……! んっ」

 小さくとも、そこもまた立派に由利香の性感帯だ。内なる熱がそこをツンと尖らせて、ぼくがいじるたびに身体に震えを走らせる。股間からはクチュクチュと、いやらしい音を立てながら。

「お、お、おにぃ、さまっ、おにいさまっ」

「おまんこ気持ちいい?」

 問えば、恥ずかしい言葉だって、

「おまんこっ、おまんこきもちぃですっ、ぅうっ、んっおまんこっぉっおっ」

 いくらだって、溢れ出してくる。我慢し続けていたオシッコのように、漏れて止まらなくなる。

「大好きだよ、由利香」

 彼女が弄る場所のすぐそばにあるぼくのペニスに、

「ひ、ぃいんっ、んっ、んぅっ」

 再び由利香のシャワーが浴びせられた。それは、厳密に言えばまだ尿路に残っていたオシッコだろうとは思う。けれど、……パンツに可愛いシミを付けることはなくても確かな由利香の証とでも呼ぶべきもの。

「オナニーでいっちゃった?」

 意地悪を言ってみると、由利香は意外なことに、小さく笑ってぼくの膝の上、座り直す。

「オナニー、じゃ、ないです……。お兄さまと、キスして、いっちゃいました……」

 その言葉に、ぼくは脈打つ。由利香のオシッコを浴びせられた場所を慰めるように、由利香がひとなでする。そのままぼくを煽るように唇を重ねてくる。

 ぼくの竿に、ぬるぬるのおまんこを当てる。

「お兄さま……、由利香のオシッコ浴びて、こんなにかたくなってる……」

 と、えっちな声で囁きながら。

「お兄さまが、由利香で、……スカイプで、いつも、射精してくれるの、嬉しいです。お兄さまが、気持ちよくなってると、由利香で……、由利香はいつも、お兄さまと、セックスしてるみたいな気持ちになります」

 離れていても声と目で、繋がっているんだ。

 でもやっぱり会えるのがいい。会ってこうして、由利香の吸い付くような肌の温度と質感と体液の匂い全部を知らせてくれたほうが、やっぱり嬉しい。……人情だろう。

「お兄さま、こんどはお兄さまがそこに座ってください」

 由利香にそうねだられた。由利香の雫の零れた跡があるところに座るのは、どきどきする。

 足の間にちょこんと座るなり、

「由利香は、おっぱい大きくなりたいです」

「お」

 ぼくのペニスをひと舐め。「ふふ、お兄さまの、……えっと、……おちんぽ」恥ずかしい言い方を由利香は選んでした。

「元気いっぱいですね……」

「由利香のオシッコ掛かってるからそりゃ元気にもなるよ」

「……そうでした」

 思い出したように紅くなる。けれど照れ隠しのように笑って、……ぼくから見て右のおっぱい、そのツンと尖ってほんのり赤らんだ乳首に、手で支えたペニスを擦り付ける。

「……おっぱい大きくなって、もっといろんなことをしたいです。お兄さまのこと、……その……、由利香のおっぱいではさんだりとか……、男の人、そういうの好きって聴いたことがあります」

「ああ、うん。男はたいがいあれが好きだろうね……。でも、これもすごく興奮する。由利香のおっぱいはまだ小さいけど、きれいだし」

「ほんとう、ですか……?」

「うん。乳首が硬くなってるの、わかるよ。……それに由利香のおっぱい、初めて会ったときより大きくなってるし」

「そうでしょうか……」

 初めてのときは、スクール水着越しにもあまり乳首の突起は目立たなかったと記憶している。それが今は……。次の水着シーズンにはもう、目立って大変だろう。

「たぶん……、瑞季たちが、おっぱいたくさん、するからです」

「あの二人も由利香のおっぱい好きなんだ?」

「……由利香も、おっぱいされるのはうれしいです。二人とも、……おちんぽ、おっぱいにこすりつけて、いっしょに、……するの、好きだって言ってました」

 あの二人も、なかなか男としての性欲が旺盛であるらしい。陽介と瑞季、二人の関係としても好ましいし、そこに由利香が加わることによってワンセット、よりよい形の幸福がそこにあるということに、疑いを差し挟む余地はない。

「だから、……早く大きくなりたいです。少なくとも昴星くんよりは、一日でも早く」

「昴星はまあ……、男の子だからねぇ」

 痩せれば本人も気にする「おっぱい」はなくなるだろう。本人も痩せる気がある。一方で問題は、痩せたくってもなかなか痩せないらしいということだけど。

「大丈夫だよ、焦らなくても。由利香のおっぱい、ぼくは大好きだから」

 髪をなぜて言えば、にこっと嬉しそうに笑ってまたぼくのペニスにキスをする。ああ、なんだか、……こういうのっていいなって思ってしまう。こんな年下の女の子と、恋人同士として幸せでまったりとしてかつえっちな話が出来る幸せよ。

「お兄さま、由利香、お兄さまのおちんぽでおっぱいして欲しいです」由利香は膝で立ち、両手を後ろに回してねだった。

「おっぱい?」

「はい。由利香、お兄さまが由利香のおっぱいで射精するところ、見たいです。……ダメですか?」

 ダメなはずがないわけで。

「いいよ。……じゃあ、由利香、ぼくの、よく濡らして。……大丈夫だよ、まだすぐには出さないからさ、由利香のよだれでぼくの先っぽぬるぬるにしてよ」

「ぬるぬる……、わかりました」

 由利香は素直に、ぼくの亀頭をぱくんと口に含む。そのまま目を閉じて、しばらくじっとしながら、少し舌を動かす。

「……んぱ」

 口を開ける、解き放たれたぼくの亀頭は、由利香の唾液でぬらぬらと光っている。

「うん、そうしたらさ、由利香のおっぱいもぬるぬるにしてごらん。できる?」

「できる……、と思います、けど、……なんだなお行儀悪いみたい……」

 そんなことを言いながらも、由利香は従順だ。ぼくの目がその口元に向いているのを意識しながら、口を開けて舌を出し、潤ったそこから手のひらに唾液を伝わせる。それから濡れた手のひらで、両のおっぱいを包み込む。

「ん……、っ……、できました……、これで、いいですか?」

 ローションがあれば楽なんだろうけど、あいにく出張にそういうものは持って来ていない。「ありがとうね」と髪を撫ぜたら、

「あの、……ぬるぬるにするの、持ってきてますよ……?」

 おっぱいをてらてら光らせた後に、由利香は言った。

「あ、そうだったの?」

「……お兄さまが、こういうのがいいなら、これでもいいですけど……」

 ああ、それはそうだ、やっぱりローションよりこっちのほうがいい!

 そんな勝手なことを考えるぼくに、また両手を後ろに回して、由利香が胸を張る。

「可愛いよ、由利香のおっぱい。……ぼくので可愛がってあげようね」

 実際、可愛がらなくてはどうしようもない。未発達でありながら「女の子」として確かな美を纏い、その乳房をぼくに委ねてくれると言うのだから。

 ペニスを扱きながら、由利香の、向かって左の乳首に亀頭を押し当てる。

「ふ……う……」

「……普段、どんな気持ちなのかな。陽介たちのおちんちん、こうやってされてさ」

 由利香はとろんとした目で、「うれしいです」と答える。彼女がぼくのペニスによって受ける快感って、まあそんな強いものでもないのだろうけど。

「……お兄さまの……、おちんぽ、陽介たちのより、ずっと熱くて、……由利香は、やっぱりお兄さまのおちんぽ好き……、陽介たちにされるより、もっとうれしいです……!」

「そう? 嬉しいよ。ぼくも由利香のおっぱい大好きだから」

 由利香は、少し笑って、ぼくを見上げる。

「心臓に、……近いところだから、お兄さまの、コリコリして硬い、おちんぽ、熱いの、……由利香のナカに、入ってるときみたいに感じます……」

 ぼくのペニスの先からはもう、腺液が滲み出ている。「こっちも、可愛がってあげようね」左から右へと移すとき、糸を引いた。由利香のまだ小さな乳首、塊というよりは粒と言った方がやっぱり据わりがいいようなそれで、自分の尿道口を塞ぐように押し付けて、甘酸っぱい柔らかさと硬さの両方を帯びた感触を楽しみながら、空いた方は左手で揉む。由利香は左右異なる刺激に、「心臓」にお届くような感覚に陥り、

「はぁあ……っ」

 髪先を震わせて吐息を漏らす。十一歳の女の子の唇から漏れるものとしてはとびきりセクシーであると、ぼくは思う。

「……いくよ、おっぱいに出していい?」

 こくこくっと頷く、「いっぱいっ、出してください……、由利香お兄さまの精液欲しいですっ」

 ぼくの極まりに呼応するように、由利香がか細く小刻みな声を漏らす。それに招かれるように、ぼくは射精した。肌の透き通った乳房に、色づき始めたばかりのような薄い色の乳首に、……だけだったらよかったんだけど、

「きゃ」

「あ、あ、ごめんっ……」

 その顔にまで飛び散らせてしまった……。

「ごめんね……、大丈夫……?」

 慌てて、シャワーを用意しようとするぼくを止めて、由利香は首を振る。目とか鼻とかには入っていないようだけど……。

「ん」

 由利香は、顔に散ったものを指で拭う。その指は、そのまま彼女の口に差し入れられた。

 由利香は、微笑む。

「うれしい……」

 ……ぼくのことを「好き」って思ってくれる少年の、少女の、微笑みはやっぱり、天使のようだなぁ、……そんなことをバカみたいにぼくは思った。

「昴星くんたちもきっと、こうされたらすごくうれしいと思います。お兄さま、もっと昴星くんたちのお顔にいっぱいかけてあげるといいです」

 そんな顔で、そんなことを言うんだ。

 なんだかたまらない気持ちになって、狭い浴槽の中でぼくは改めて、由利香の身体を抱き締めた。

 

 

 

 

 お互いの身体を石鹸と手のひらとキスで洗いっこして、ひとまずバスルームを出た。由利香はパジャマを着ずに、「これ、新しく買ったんです。まだ陽介たちには見せてません。お兄さまに一番に見てもらいたかったから」と、ちょっと大人びた、……いや、子供用のものであるには違いないんだけど、以前見せてくれた紐状のものとはまた違うセクシーなランジェリーを身に着けて見せてくれた。赤い、ごく薄い生地で大事なところを一応隠してはいるけれど、よーく目を凝らして見れば乳首の描くラインが浮かび上がるし、スリットも透けているように思う。由利香はぼくの視線の位置に気付いたように、指をそこに当てて食い込ませて見せた。

 いっぽうでぼくは当然、着替えてもトランクスだから、何だか申し訳ない気持ちにさせられる。

 由利香は湯上がり三杯目の水を飲みながら、問わず語りに話し始めた。

「前に、昴星くんに、お兄さまとどうやって恋人になったのかを教えてもらいました」

 由利香と昴星たちがぼくの知らないところで交流していることは把握しているし、それは彼らと彼女にとってもいいことだろう。

「そうなの? ……引かなかった?」

「それくらいで引いてたら、由利香だってお兄さまの恋人になれてません」

 まあ、それはそうだ。天使たちのもたらす幸運な偶然の上に、ぼくの甘い日々は存在する。

「……由利香はね、お兄さまたちと会うより前から、こういうことをしていて……、ずっと、つまらないお仕事だなぁって思っていました」

 つまらない、なんて言葉で片付けていいはずのない「仕事」だ。

「……やっぱり、辛いことも多かった?」

「多くは……、なかったです。ほんとうは、男の人のおちんちん見るのは、いやじゃなかったから……。それに、……お兄さまたちと会うより前に一度だけ、このお仕事しててよかったって思ったこと、あります」

「へえ……」

 辛いことばかりだったわけじゃないなら、それはぼくにとっても救いとなる。こんな子が、こんないい子が、あんな仕事をすることじたい許されざることではあるのだけど、それでも、と。

「……由利香は、お兄さまたちとするのが……、その、一つになるの、初めてじゃありませんでした」

 それは、そうだ。彼女は当時から、「女の子」というか、もう「女」の身体をしていた。

「……去年、お兄さまたちが由利香のところに来るより少し前の、夏休みに、……お兄さまと同じくらいの歳の、男の人と、由利香ははじめて、したんです」

 由利香は少し恥ずかしそうに膝を抱えた。

「その人は、お風呂に一人で入ってて、……由利香が入って行ったら、すごくびっくりしました。由利香がお仕事で身体を洗うって言っても、すごく困って、恥ずかしそうにしてて、……身長は、お兄さまの方が高かったです。バイクであちこち回るのが趣味で、よさそうなお風呂があったから寄ったんだって言ってました」

 ぼくは、黙って聴いている。その男というのは、きっとぼくより優れた人間である。少なからずロリコンとかショタコンとかじゃないっていうことも判る。

「……由利香は、いつも水着です。だいたい、お客さまを洗ってるうちに脱がされちゃいますけど、でも、そのときは……、その人、由利香にこう言ったんです。『お仕事とかはいいから、いっしょに入ろうか』って」

 やっぱりぼくよりずっとまともだな……。

 彼に言われて、由利香は少しためらってから、

「初めて自分から水着を脱いで、……すっぽんぽんになって、その人といっしょにお風呂に入りました」

 その男は真っ赤になって、「そういう意味で言ったんじゃなかったんだけど」と慌てたが、由利香が隣に収まると困惑し切って、「いつもこういうことしてるの?」って訊いたんだそうだ。

 もちろん、由利香の答えは一つだ。

「由利香がすっぽんぽんになっても、その人はずっと緊張したみたいに、じーっとしてました。だから由利香はお願いしたんです。……お兄さんの身体を洗ったらダメですかって。由利香は、その人が悪い人じゃないってわかりました。お兄さまがそうであるように。……いろんな人を見てきたので、いい人と悪い人、すぐわかるんです」

 それは、彼女が幼いながらにたくさんの「悪い人」を見てきたことを意味している。ぼくは胸を痛めながら彼女の隣に腰を下ろし、髪を撫ぜた。

 由利香はぼくに甘えるように寄りかかる。

「たくさん、お願いをして、由利香はその人の背中だけ洗わせてもらいました。その人は恥ずかしそうに、『女の子に身体を洗ってもらうのなんて初めてだ』って言ってました。女の子といっしょにお風呂に入るのも初めてで、……そのとき、本当はそのお兄さんは、バイクでいっしょに来るはずの人がいたんだって教えてくれました」

「いっしょに、来るはずの人?」

 こく、と由利香は頷く。

「でも、その人と別れなきゃいけなくって、……だから、一人で来たんだって。好きな人……」

 ああ、そういうことか。

 傷心旅行というやつだ。でもそんな旅路で由利香のような子に出会えたのだから、それは彼にとっても救いと言えるのではないか。

「それを聴いて、……由利香はお兄さんにお願いをしたんです。背中を流して、……こっち向いてくださいって」

 彼は、しばらく動かなかった。しかし、弱り切った様子で振り向いたのだと言う。

 由利香は、彼にキスをした。

 それが少女にとって、初めてする自発的な口付けだったそうだ。

「ちょっと、叱られました。でも、由利香がぎゅーって抱き付いたら、ちゃんとぎゅってしてくれました。由利香が、ここには由利香とお兄さんの二人しかいないことと、由利香はお兄さんのためにもっと身体を洗ってあげたいって言ったら、許してくれました」

 由利香は、溜息を吐く。

「いっしょうけんめいに、洗いました。由利香の知ってること、ぜんぶしました。お兄さんのおちんちんがだんだん硬くなっていくのが、由利香はすごくうれしくて、……由利香がそうやってがんばれば、このお兄さんは悲しいことなんで忘れちゃうって、思って」

 由利香は、そのまま彼のことを受け入れたと言う。男は由利香を抱き締めてくれたと言う。優しく、優しく、優しく……。由利香がそういう仕事をしていながら、そういう行為自体初めてであることを知ったときには、

「ごめん、じゃなくて、ありがとうって」

 言ってくれた。

 それを聴いて、ぼくは嫉妬、……するわけないじゃないか。むしろ、心の底から安堵し、喜ぶ。だって由利香の大切な大切な初体験が、痛ましく辛い記憶でなかったと知って、まるで自分のことのようにぼくは嬉しく思える。

「夏の間にまた来てくださいねって、言ったんですけど、……それっきりでした。でも、二学期に入ったばっかりの頃、お手紙が届きました」

 君のおかげで、また頑張ろうって思えた。本当に感謝している。君に、心から大切な人が訪れますように。

 手紙には、そう書かれていたのだそうだ。

「……それは……」

 言いかけて、口を噤む。由利香は膝を抱えたままにっこりと微笑んで、

「よかったって、思いました。だって由利香、そのあと少ししてお兄さまたちに会いました。でもって、素敵な思いをたくさん、いまも、しています。……そのお兄さんは、お兄さまに似て格好よくて、しゃべり方はちょっと昴星くんに似てます」

 そうだ、由利香は昴星のことも好きなんだった。昴星は今のところ、それには気付いてないみたいだけど。

 二週間ほど前、由利香がぼくらの暮らす街に来たときのこと。ぼくは残業があって、泊まらせてあげられなかった。でもその代わりに彼女と一夜を共にしたのは昴星で、……昴星は言葉を濁していたけど、

「この間、楽しかった?」

「はい、とても。……昴星くんにいじわるいっぱいしちゃいました」

「じゃあ、きっと昴星も喜んでただろうね?」

「はい。だって昴星くん、……これ、お兄さまにはまだ言ってないのかな、由利香が言ったの、ナイショですよ? 昴星くんは浮気をしました」

「そう、浮気を……」

 浮気。

「……浮気?」

 二度聴きしてしまった。

 いや、浮気も何も、元々は才斗の恋人であった訳で、ぼくだけの昴星じゃない。それにぼくにだって、由利香に流斗に諭良に、更にこのところはルカとソラまでいるわけで。

「諭良くんの知り合いの、外国人のお姉さんとえっちなことしたって、諭良くんに教えてもらったんです」

「が、外国人の……、お姉さん……」

「えっと、十六歳って言ってました。諭良くんのマンションに住んでる人で、諭良くんとは元々仲良しだった人。その人のおっぱいでいっぱい気持ちよくなったって言うから、なんだか悔しくって、たくさん、たーくさんいじわるしました」

 言うなれば、お仕置きだ。……なるほどぼくは現在のところそういう対象となる女性はいないけれど、由利香がいる以上そういう女性を作ってはいけないと肝に命じる。いや、由利香にいじわるされるのも悪くないとは思うけど、昴星へのいじわると同じやり方は、ぼくが望むところとはちょっと違うだろうし。

「そうなの……、昴星もすごいね……、いや、すごいのは諭良と流斗もか」

「でもって、お兄さまもすごいです」

 ずっと膝を抱えていた腕をほどいて、そのセクシーな下着姿を改めてぼくに見せる。「由利香たちにこんなに好かれるお兄さまは、本当にすごいんですから」

 ちゅ、と音を立ててほっぺたにキスをもらった。それを合図と解釈して構わないだろう。今度は唇を重ねてキス。由利香は耳元へ、「お兄さま」囁く。

「由利香、オシッコがしたいです」

「お水いっぱい飲んでたもんね。……じゃあ、トイレ行こうか」

 さっきは「お風呂」で今度は「トイレ」だ。同じ部屋だけど言い方が違うだけ。でも抱っこして運んで行くのは同じだ。由利香は便座の上に、堂々と立ち上がった。そうすればもちろんぼくより背が高くなる。足が細いなこの子は。

「じゃあ、由利香、オシッコします」

 ぼくを見下ろして由利香はそう宣言する。わかってたことではあるけど、この水着もきわどい二等辺三角形の前布、股間部分は一本の紐となり、そのままお尻に食い込んで抜けている。

「立って、そのまま?」

「はい、立って、このままします。……座ったほうがいいですか?」

 いや、女の子の立ちション、っていうか立位オモラシもきっといいものだ。こんな角度で見られることもないはずで、ぼくはしゃがみこんで見上げる。

「そこだと、かかっちゃうかもしれませんよ……?」

「いいよ。そしたらもう一回由利香に髪洗ってもらう」

 勝手なことを言うぼくにも、由利香は嬉しそうに微笑んだ。

「普通の人だったら、いやがると思います」

「まあ……、普通の人じゃないからね。オシッコ大好きだよ。最初は男の子のだけだったけど、いまは由利香の女の子のオシッコも好きだし」

 そして、普通の女の子だったらぼくみたいな男に近付こうなどとは思わないだろう。けれど、……ごく勝手にぼくは、由利香は「普通の女の子」だと定義する。ぼくにとってだけ特別な、普通の女の子の由利香だ。

「じゃあ……、します」

「うん」

 由利香の身体の奥底で力が抜けるのを見ることが出来るような気がした。わずかにためらいながら、しかしはっきりと意志を籠めて、由利香がぼくのために失禁しようとしてくれている……、と。

 ぼくがしみじみとそんなことを考える時間は、

「あっ」

 思ったよりも短かった。由利香が声を上げる。「おっ……」とぼくも同じく。

「あ、あっ、ど、どうしよ、お兄さまっ……」

 ちょうど紐(由利香のセクシーな下着の股間を通過するそれを「紐」と形容することは間違っていないはずだ)に当たる部分に、由利香のオシッコの出口はある。

 水道の蛇口に指を当てて、びしゃーっと、水遊びしたことが小さい頃ぼくにもある。まっすぐ飛び出すべき噴水を塞げばどうなるかということぐらい、大人としてぼくが無意識でいてはいけなかったということだ。

 要するに、

 「ま、まあ……、洗えばいいし……」

 股間を指で押さえ、ひくっひくっと震えて必死に出掛かったオシッコを止めている由利香にぼくは苦笑した。由利香の細い足の内側のみならず、便座の内外、そしてぼくの顔に身体にいたるまで、無差別にオシッコは飛び散りまくっている。たぶんオシッコの仕方として、これほどまでに「お行儀の悪い」やり方もないだろう。けれど、

「お行儀の悪い子、大好きだよ」

「お、おにぃさま……っああ!」

 堪えきれなくなったらしい。ぷしゃあっとスプリンクラーみたいに放射される飛沫を浴びて、ぼくは大いに気分がいい。下半身その他をオシッコまみれにしてしまった由利香を、立ち上がって抱き締め、そのままバスタブの中に仲良く収まる。由利香は恥ずかしさで真っ赤だ。

「おいしいオシッコたくさん、どうもありがとう」

「ど、……どう、いたし、まして……」

「食い込んでるところでオシッコするとこうなるんだなあ……。由利香も知らなかった?」

 まあ、そうだろう、由利香はこくっと頷いた。

「でも、可愛かった。……この通り」

 由利香の手を下半身に導く。もちろんそこは由利香のはしたないシャワーを目の当たりにしてがちがちに強張っているのだ。

「お兄さま……」

 由利香が感動したように呟き、唇を重ねてきた。情熱の存在をはっきりとぼくに伝えるように舌を絡めて、息継ぎさえ忘れてしまいそうな深い深いキス、しながら由利香はぼくのペニスを、とても上手に扱く。……自分についていないものなのに、本当に上手に。

「お兄さまのこと、由利香はいっぱい、いっぱい、……お兄さまが何にも出せなくなっちゃうぐらい、気持ちよくします。そうしなきゃいけないって、思います……」

 ぼくの頬に、耳に、首に、唇を当てて舌を這わせて由利香は言う。

「何にも出なくなっちゃうのはちょっと困るな……」

「ふふ、……本当は、昴星くんたちの分、ちゃんと残しておきます。でも今夜は、それぐらいお兄さまのおちんぽ、いっぱいします……」

 由利香の舌はぼくの乳首をくるりと舐めた。ぼくが思わず息を飲むと、また小さく笑った。昴星たちを見るまでもなく、そこだって気持ちいい場所だ。

「お兄さま、ちょっと狭いですけど、横になれますか?」

「横に、えーと……」

 由利香の憧れのユニットバス、であるけれど実際二人で入るにはちょっと狭い。長い方に身体を向けて、「こういう感じでいいのかな」と見上げた。由利香は頷き、オシッコの染み込んで濡れた赤いビキニを下ろす。ワレメからはまだポタリと滴が垂れた。

「由利香、いっぱいお水飲んだから、オシッコ途中で漏れちゃうかもしれないです。本当はすぐお兄さまのおちんぽ欲しいです、でも、……いましか出来ないこと、してみたいです」

 今しか出来ないこと?

 ぼくが訝ったところで、由利香が下半身を顔に寄せる。「お兄さま」とねだられるまでもなく、ぼくは両手で由利香のお尻に手を回し、抱き寄せた。つるりぷっくりとしたワレメに舌を這わせる。女の子らしい(というか、女の子のは由利香のしか知らないのだけど)さっぱりとした味のオシッコと濃厚な臭いが弾けるが、すぐにそこに情の含まれた味が混じる。由利香は両足を広げた身を壁とバスタブの縁に置いた手で支え、息を震わせて耐えていた。

「……うん、オモラシの味、最高だね」

「……ちょっと、恥ずかしいです。でも、嬉しい……」

 由利香は身体を離し、またぼくにキスをする。キスをしながらぼくのペニスに再び指を当ててリズミカルに扱き、ぼくの反応を見ながら強弱を付ける。フェラチオにしても、手技にしても、やっぱりこの子は抜群に上手い……。

「お兄さま、おちんぽ触ったらダメですよ? じっとしててください、……じっとしてるの、難しいかもしれないですけど……」

 「ん……、ん?」

 由利香がバスタブの底に膝をつく。足を広げると女の子のワレメってそんな風になるんだ……、と吸いせられたぼくの視線の先、反射的に「え」と声をあげてしまったのは、由利香がぼくのを挿入しようとしているように見えたから。

「ふふ」

 びっくりしたぼくをからかうように笑って、由利香は自分の性器とぼくの性器とを重ねた。……ぬるり、と滑る。そして温かい。

  陽介と瑞季が、ときどき、おちんぽのくっつけっこしてるの見て、……由利香もしてみたくなりました。由利香にもおちんぽあったら同じことしたいなって。でも……、由利香にも『おちんぽ』があるって、お兄さまに教えてもらったので、この形だって嬉しいです」

 厳密に言えばそれは「おちんぽ」ではないけど、生物学的にそう言うことも可能だろう。

 いわゆる「素股」だ。ゴムを被せないでぼくと由利香が一番近づく方法を考えればこれになる。

 刺激の大きさとは無関係に、由利香のおまんこと重なっているという事実が激しい興奮を催させる……。

「ん、ふぅ、っん、っン……」

 由利香が、彼女自身から滲み出る粘液のぬめりを最大限に活用して腰を振る。彼女にとってもぼくと「裸」で擦り合う快感は相当強いらしい。由利香が見せる淫らな姿、……ぼくのペニスを扱くワレメのみならずだ、その蕩けた相貌も、うっすら透けて見える乳首も含めた彼女の全身に、ぼくは次第に苦しくなってくる。

「由利香……っ」

 そのタイミングを、待っていたように、由利香が腰を浮かせた。どうするのかと思う瞬間はなかった。

「んはぁっ……」

 ぷしゃっ、というか、じょばっ、というか、いまのいままでぼくと重なっていた場所から薄黄色の飛沫が上がった。その温かい、というか熱くさえ感じられるシャワーはぼくのペニスに直に振りかかり、舌よりも繊細な刺激を伝えてくる。のみならず、

「んふっ、お兄さまっ、由利香のオシッコ、由利香のオシッコでっ、気持ちよくなってぇ……っ」

 右手でペニスを扱く。裏筋の、一番いいところに強い勢いのオシッコをぶちまけながら。

「っ、く……!」

 その指先に、ぼくの鼓動。

 高く打ち上がってぼくの腹部に散る。由利香はまだしばらく、慰めるように扱いてから、ぼくの腹を濯ぐようにオシッコを降らせた。

「はあ……っ、……うぅん……」

 徐々に勢いを緩めて、それでもまだ続く体温の雨はぼくのペニスに降り注いでいた。由利香は恥ずかしさを堪えて、

「……お兄さまが、もうちょっとガマンしてたら、由利香のほうがオシッコ漏らしてました……、……はう」

 最後、ぷるぷるっと震えを身体に走らせた。

「……はあ……、これがしたかったのか……」

 ぼくの腿に座った由利香はこくんと頷く。

「お兄さま、オシッコ大好きだから、由利香のオシッコで気持ちよくしてあげられたらいいなって思って……」

 ものすごいアイディアだ。でも、最高のアイディアだ。

「実際……、由利香のオシッコで気持ちよくなっちゃったなあ。……これそのうち昴星にしてあげたら喜ぶんじゃない?」

 ぼくが言ったら、少しためらって、「このあいだ……」と告白する。ああ、そりゃ昴星大喜びだっただろうなぁ……。

 由利香のオシッコはいいとして、自分の精液を洗い流すためにシャワーを浴びて、由利香もすっぽんぽんになる。髪も洗って、これで二回目のお風呂だ。でもこの後のことを考えると、まだもう一回浴びることになりそうだ。

 だって、

「ねえ、由利香?」

 裸の少女を後ろから抱き締めて、その肢体の華奢さを改めて感じ取り、胸をつかれる。「そろそろ入れてもいい?」

 由利香は頷き、ぼくの手の甲に手のひらを重ねる。

「それとさ、……ひとつ、提案っていうか、……まあ」

「……はい?」

 ぼくは少しためらった。由利香は今のまま、……つまり、ぼくのことを「お兄さま」と呼ぶ可愛いお姫さまでいていい、と思うから。

 でもほら、それってやっぱり、由利香にちょっと無理をさせてることにならないかなぁと、ぼくは多少なりとも考えてしまうところがあるのだ。昴星たちにしてもそうだけど、ぼくは(これもまたワガママであるかも知れないけど)一緒にいてくれる可愛い子たちにはくつろいで過ごしてもらいたく思うので。

「……もう、敬語じゃなくていいよ?」

「は?」

 トイレの便座に、お行儀良く座って由利香は目を丸くする。ぼくは何だか照れ臭いような気がして、バスタブのふちに座って目をそらした。

「その、……ほら、ぼくは確かに由利香よりずっと年上だけどさ。でも、ぼくも年とは関係なく由利香のこと尊敬してる、いや『尊敬』とは違うかもしれないけど、なんていうかな……」

 由利香の視線がじいっとぼくの頬に当てられているのを感じる。

「えーと、……この間、由利香が来たときにさ、諭良がぼくに敬語を使わなくなってたの、気付いたでしょ?」

「ああ……、はい。あと、おちんちんのこと『ちんちん』って言ってました」

「でもって、由利香も諭良に『敬語じゃなくていい』って言ったよね?」

 由利香が諭良にそういった理由は聴かずとも判る。彼女はもう、諭良の「ご主人さま」という立場ではなくて、ぼくや昴星や流斗と同じ、「大切な人」という立場に変わりたいと思ったに違いなかった。

「……えっと、じゃあ……、由利香も、『お兄さま』って呼ばない方がいい、ですか?」

「いやまあ、由利香の呼びたいように読んでくれて構わないんだけど」

 実際、呼びたいように呼ばれている。昴星は「おにーさん」だし流斗は「お兄ちゃん」で諭良は「お兄さん」って。……なんとなくだけど、昴星と諭良の呼び方は同じなようで響きが違う気がする。

 そしてルカとソラはぼくを「先生」って呼ぶ。それぞれに理由は違うけど、そう呼びたいならそれでいいし、せめて「先生」らしくしなきゃいけないと思っている。

「でも由利香は、お兄さまのこと『お兄さま』って呼ぶの、なんだか好きです。最初は諭良くんの『ご主人さま』になるための喋り方でしたけど、いまは、お姫さまになったみたいで……」

「ああ、まあ、いいよ、うん。深く考えないでも……」

 変なこと言うもんじゃないなと、ちょっと反省しかけたぼくに由利香が微笑んだ。

「お兄さまの言いたいことの意味、わか、……る」

「おっ……」

 思わず顔を見てしまった。由利香は照れたように顔を背け、それから、……さっきランジェリーを身に着けて失禁して見せてくれたときみたいに、便座の上に立ち上がった。

「でも……、由利香はお兄さまたちといっしょの自分のこと由利香って言うの好きだし、……あと、お兄さまのこと、『お兄さま』って呼びたいから、……呼んでも、いい? 変じゃない……?」

 変なものか。

 むしろ、それはとても可愛い喋り方じゃないか。

「いいよ、……由利香は本当に可愛い。ぼくの可愛いお姫さまだよ」

「こんな、……はしたないお姫さまのこと、お兄さま、好き……?」

「はしたなければはしたないほど好きだよ」

 バスタブのふちから降りて、由利香の細いお腹にキスをする。

「お兄さま、……由利香もお兄さまが大好き。……ねえ、お兄さま、由利香のオシッコ、……飲んで……?」

 敬語じゃなくなった分、言うことのラディカルさがこれまで以上に熱くなったように思う。それを由利香自身も意識するからか、頬はこれまでよりももっと熱くなっているように見えた。

 由利香はしかし、両の指先をワレメに当てて、左右にくいと引っ張って見せる。前にぼくの家に遊びに来たとき、初めて「立ちション」にチャレンジした彼女はそうすることを覚えたのだ。

「うん、飲ませてもらおうかな。もう出そうなの?」

「……だって、……うんちしたら、出ちゃう……」

「じゃあ、そっちに挿れて欲しいんだ?」

 こっくり、頷く。ぼくに恥部を開いて見せる指に口づけをして、ぼくは口を開けた。

「っ……ふぅ……!」

 ぼくの「お姫さま」はこうしてぼくの口へとオシッコをする。

 昴星がこの間、「おまえのしょっぱい」と言っていた。確かに由利香のオシッコは男の子たちのものより、少し塩味が強いかもしれない。けれどこの味は一層の渇きを催させる、却っていいぐらいだ。もちろんどんなのだってぼくは好きなのだろう、この子たちのものであるならば。

「ふ……ぅんんっ」

 せせらぎの音に混じって、隠しきれないのは肛門を押し広げるものの音。オシッコの勢いが収まればそれは一層主張の強い音となる。

 と。

「あ……、やっ……!」

 そのか細い声だけでは隠しきれない、ガス放出の恥ずかしい音が其処から生じた。オシッコを大いに味わったあとで聴くその音は、何というか、趣深い。

 ぼくが小さく笑って、筋をぺろりと舐めるのを咎めるように、両手をぼくの髪に当てるけれど、

 肛門の隙間から溢れる音が止まらない。と、遅れて、

「やぁ……っ!」

 ずいぶん勢い良く、足元に落下して行く塊。

「おお……、今日はすごいね」

「もお……っ、お兄さまの、いじわる……!」

 いつもは比較的細めのものを遠慮がちに出す由利香の肛門であることを知っている。だけど今日に関してはそれこそ、……まあ、昴星のと比べては形無しにせよ、十分太い、そしてやや緩い気もする。そのせいか、臭いも普段よりずいぶん強い。

「うう……んぅ……」

 お腹痛かったのかな、だとしたらかわいそうなことである。その細いお腹が温まればいいと、当てたぼくの手のひらをとって、

「お、にいさま……、由利香の、おっぱいっ……」

 乳房へと導く。

「おっぱいのぉ……、先っぽっ、してぇ……!」

 どうやらこういう形の(あるいは、「質」の)排便も由利香には快楽になっているらしい。まだ、音を立てて霰が便器に垂れ落ちているさなかに、ぼくが両の乳首を摘まんだら、その身体は明らかな快楽を訴えて見せた。乳首もコリコリと勃起している。

 オシッコが、また少し零れた。ちょっと覗き込むと、茶色く濡れた肛門がヒクヒクとわなないているのが見えた。

「……全部出た?」

「ん……、……わかんない……」

「お腹痛いときは無理しないで、自分のこと優先でいいんだよ?」

 そうしなければいけない、と言ったぼくに、由利香は首を振って、眉間にしわを寄せて微笑む。

「お兄さまの、おちんぽ、硬くなってるの見えたから……、由利香の、……臭くてきたないうんち、……臭い、かいで、お兄さまが、おちんぽ、硬くしてくれてるの、見えたから……、だから……」

 しょうがない子だなあ、ぼくをどこまでもどうしようもない男にしてしまえるんだ、こんなに簡単に。

 由利香はぼくの手を頼りに腰を下ろし、便座の上で方向転換。足をしどけなく広げて、トイレットペーパーで肛門を拭き清めるところまでぼくに見せてから、

「まだ、ちょっと、残ってるかもしれないです」

 あ、敬語。ぼくが気付くと同時に由利香も気付いて紅くなる。けれど由利香はめげない。

「だから、……お兄さま、由利香の臭いうんちいっぱいしちゃった穴、おちんぽで、ほじくって、ぜんぶ、……出させて? 由利香のうんち穴におしおき……」

 ピンク色の蕾と、白い肌色の濡れたスリット、誘うように上下に揺らして由利香は求める。

「はい、かしこまりましたお姫さま」

 ぼくは優しくそのお尻を叩いて、「たっぷりおしおきしてあげるよ」自分にゴムを装着し、たっぷりのローションを纏わせた。

 あまり太くなかったからどうかな……、と思いつつも、自分の欲に負けて押し当てた由利香の肛門は、人間の肌としての弾力と温度を併せ持って、それがゴムの向こうからでもきちんと伝わってくる。

「あ……! はっ……あ……!」

 慎重に押し進んだつもり、だったけど、……あっという間にぼくのペニスは由利香の肛門の中に飲み込まれていた。由利香自身が腰を後ろに突き出した影響もあったかもしれない。しかしそれが彼女の幼い身体に少しの負担もなく出来たとも思わない。

「……平気……?」

 と訊いたぼくに、少しの間応えない。けれど急に抜くのも良くないか、どうしよう……、ぼくに考える暇もあらばこそ。

「お、兄さまのっ、お、ちんぽっ……、動かしてっ、いっぱい、いっぱい由利香のお尻……、おしおきっ……」

 声には涙が混じっている。しかしそれ以上の快感がまぶされている。何より「はしたないお姫さま」がきゅうっと引き絞る力には抗えない。ぼくの腰が動き始めるのは、ほとんど自動的なことである。

 そして由利香が望む以上は、

「そう、だね……、由利香の、臭いうんちいっぱいして、気持ちよくなっちゃうような、……はしたないうんち穴、いっぱいおしおき、しなきゃね……」

 腰でその臀部を叩くように深く穿つことこそぼくがするべきことなのだろう。女の子のお尻の穴の中は男の子たちのそれよりも柔らかく、包み込むようなあたたかさと優しさがあった。両手を由利香の胸に回し、乳首を優しくつねっていじめながらその上体を起こさせる。「ほら由利香、見て。昴星のみたいに臭い、うんち、こんなにしちゃったんだよ?」

「ゆ、由利香のっ、由利香のくさい、くさいうんちぃ……っいっ、ひっ、ひぃ、んっ」

 下からの突き上げにも由利香は細い身体でついて来る。ぎゅ、ぎゅっと引き締める力は男の子たちのそれより少し優しく甘く、しかしぼくに与える心地よさでは少しも変わりはない。

「まだ出るんだよね? ぼくがこうやって浣腸してあげるから、お腹の中すっきりするといいよ……!」

「は、ひっ、お兄さまっ、おっ……おっんんっ、んっ、んぃいっ」

 両手でぎゅっとおっぱいを掴んで、由利香のお尻の、一番深いところを自分のペニスの先端で突き上げて、……根元への心地よい圧力としなやかな摩擦を存分に感じながら、引き金を引く。

 由利香の身体の奥底へ、ぼくが轟かせた雄の欲が響いて、全身に行き渡る。

「ひ、ぃ、い、いっ……」

 小刻みな悲鳴と同時に、便器の中に便座に、オシッコが散らばる。由利香も達したらしかった。息を整えるよりも先に、腰を落として少女の肛門から自分自身を引き抜くと、先端で少し感じることができていた個体が、するすると尻尾のように伸びて、便器の中へちゃぽんと落ちた。これだけのものが溜まっていたのなら、そしてこうして出すことが出来たのなら、相当スッキリしたことだろう。

「ぼくは男だから、わかんないけど……、女の子はお腹の力が男より弱いから、便秘しやすいんだって。……由利香のお腹にうんちが溜まっちゃったときは……、いや、由利香のお腹にあんまり溜まらないように、こまめにこうやって浣腸してあげなきゃね?」

「……ん、んっ、由利香の、……由利香のお尻の、なかぁ……、お兄さまの、おちんぽで、浣腸、いっぱい……して……っ、でもって、由利香が、くさい……、くさい、うんち、したら、また、こうやって、……おしおきして……」

 恐らく、最後の一群を落とし切った由利香は恥ずかしそうに汚れたお尻を向ける。

「お兄さま、由利香の……、うんち穴、拭いて……?」

「甘えん坊。でもいいよ、綺麗にしてあげようね」

 緩み切ったあとだから、ちょっとぐらい強く拭いても平気だろうし、むしろそれが由利香には気持ちいいだろう。女の子のお尻の穴をこんな風にグイグイ拭いちゃっていいのかなとも思うけど、そもそも女の子の肛門にペニスで入った後である。

「じゃあ、由利香、流して」

「はぁい……」

たっぷりとうんちの溜まった便器を洗浄して、由利香を抱き上げる。由利香は嬉しそうにキスをして、

「お兄さま、大好き。由利香にオシッコさせながら、すっごく気持ちよくなってた」

 頬を摺り寄せる。

「そりゃあね。由利香のオシッコも大好きだ。オシッコ漏らしちゃう由利香見てると、気持ちよくなってるんだなぁって判るからさ」

「うん、由利香、お兄さまでいっぱい気持ちよくなったよ……、お兄さまは由利香のお尻どれぐらい気持ちよくなったの?」

 浴槽の縁にそっと下ろして、ゴムを見せる。先端が茶色いものでちょっと汚れているけれど、十分すぎる量が出たことは一目瞭然だ。

「すごぉい……。お兄さまのタマタマ、まだこんなに出せるんだ……」

「お……」

 人差し指で、くいと持ち上げる。それからゴムの臭いのするはずのそれを両手で包んでキスをくれた。

「由利香はね、お兄さまのおちんぽが気持ちよくなって、射精するときの、ビクビクする感じ、……お口やお尻で感じるたびに幸せになります、……あ、なるの」

「……うん、まだ慣れないね?」

「えへへ……」

 よくよく考えてみると、「……敬語も、可愛いよね」と、さっき自分で求めたくせに、いい加減な言葉が口をついて出る。由利香はきょとんとしてぼくを見上げつつ、

「由利香は、……お兄さまの好きなほうでいいですよ?」

 しこしこ、萎える暇を与えない。

「うーん……、まあ、由利香に任せるよ。ごめんね勝手なこと言っちゃって。でも由利香がしたいようにすればいいと思う」

 じーっと、由利香はぼくを見上げながら扱き続けていたが、やがてくすっと笑った。

「じゃあ、今夜は、由利香の住んでるとこに近いから、いつもの由利香でいる。お兄さまはどっちの由利香でも好きでいてくれるなら、安心してそう出来るから」

 ちゅ、と、飛び切り可愛いキスをして、ぼくがそこをピクリと動かしたなら「ふふっ」と強気な笑みを浮かべる。

「まだぼくの知らない由利香にも、ぼくのこと好きでいてもらえるなら、ぼくだってどっちでもいいよ。お仕事してた由利香に、『お姫さま』の由利香に、学校通ってる由利香に、家でお姉ちゃんしてる由利香もね」

「お姉ちゃんのときには、もっとちゃんとしてるよ? オモラシなんてしないもん」

「そうだよね、しちゃったら由有理ちゃんに笑われちゃうものね」

 由利香には、二つ年下の妹がいるのだ。ぼくは由利香の旅館に泊まったことはあるけれど、まだ顔を見たことがない。由利香があのまま「湯女」の仕事を続けていたなら、早晩妹までその仕事をすることになっていたかも知れない。そういう意味でも、彼女があの仕事を終えることが出来て(そして、ぼくがそのための役に立てて)よかったと心から思う。

「……そういえば、由有理ちゃんは由利香が、その……、こういうことしてるって知ってるの?」

 由利香は首を振る。

「たぶん、知らないと思う。けどね、陽介と瑞季のおちんちんは、結梨も見たことある」

「そうなの?」

「一回だけね。三人で『やまゆりの湯』で遊んで、終わったあといっしょにお風呂に入ってたら、あの子入って来て……。由有理もエッチなんだよ? あの二人に『おちんちん見せて』ってずーっと言ってて、二人ともしょうがないから見せてあげたの、そしたら今度は『さわりたい』って。それはさせなかったけど」

「そっか。……お姉ちゃんにえっちなとこ似ちゃったのかな」

「由利香は由有理よりもずっとえっちだもん」

 どうやら、「お姉ちゃん」になると由利香はちょっとおてんばだ。姉として、妹を守りたい気持ちがそうやって態度に現れるのかもしれない。だとしたらそれはなかなかに微笑ましい話だ。

「ねえ、お兄さまは由有理とこういうことしてみたいって思う?」

 いいや、とぼくは首を振った。

「だって、由利香の大事な妹だよ? でもって、ぼくには由利香がいる。きっとぼくよりもっと相応しい相手と出会えるよ」

 「そう……、そっか、そうだよね」

 由利香は何か気を取り直したように笑った。

「お兄さまの大きなおちんちん見せたらあの子びっくりするかなあって思っちゃったんだ。でも、由有理はまだ子供だし、たまーに陽介たちのおちんちん見るくらいがきっとちょうどいいよね」

 ぼくのお腹に、乳首に、キスをしてから、背伸びをする。

「由利香の身体はもう大人だよ……?」

 口付けの寸前にそう言う。

「そうだね。ぼくが大人にしてあげたって考えていいのかな」

「ん……、アソコの最初は、お兄さまじゃなかったけど、由利香のお尻はお兄さまが最初だから、……ねえ、お兄さま?」

「ん?」

「今だけ、……『お兄ちゃん』って、呼んでもいい……?」

 おや、と思う。

 けれど、それもまた嬉しい求めである。

「……いいよ、じゃあ、今夜は由利香の『お兄ちゃん』だね」

 陽介と瑞季も、由利香の「お兄ちゃん」のようなものだったろう。そして昴星や諭良もそう呼んだっていい存在だ。

 けれどその中でぼくをそう呼びたいと思う気持ちを、判ってあげられる気が少しした。

「……由利香は『お兄ちゃん』が欲しかった?」

 抱き上げて、訊いてみる。少し恥ずかしそうにこくりと頷いた。

「妹いて、よかったなって思うことたくさんあるけど……、でも、お兄ちゃんがいたらもっと楽しいのかなって……。……お兄ちゃん」

 ぎゅ、と抱き着く。

「お兄ちゃん、好き。……もっともっとお兄ちゃんと、えっちなこと、したい……。由利香がどんなでも『好き』って言ってくれたの、すごく、嬉しかったから……、由利香、お兄ちゃんと、セックスしたい……」

 あ、何だか……。

「普通の女の子みたい……」

「はい?」

 思わず、妙なことを言ってしまった……。

「いや、……つまりさ、敬語じゃなくて、『お兄ちゃん』って呼んでもらって、……本当に普通の五年生の、女の子と抱き合ってるみたいな気になった」

「……もう……、由利香はちゃんと普通の五年生の女の子ですー」

 唇を尖らせて、鼻の頭にキス、ついでにかぷりと歯を立てられた。

「本番は、お布団でしようか?」

「うん。お兄ちゃんにぎゅーってしてもらいながらが嬉しい」

 よろこんで。だってぎゅーってしてあげたい。

 ベッドまで運んで、全裸の少女を横たえて、彼女がそうしたがるままに抱きしめられる。

「嬉しいな……、『お兄ちゃん』で、『恋人』で……」

 由利香の言葉がぼくの髪にこもる。

「お兄ちゃん、まだ、……勃起してる?」

「そりゃあ、もちろん。ずーっと」

「由利香もね、……濡れてると思う。きっとお兄ちゃんのおちんちん、するって入っちゃうよ……」

 言葉がぼくの手を導く。ぼくの『妹』で『恋人』の少女の秘裂は指先にあたたかなぬめりを伝えてきた。いきなりは、やっぱり難しいに決まっているから、指をそっと挿し入れて拡げる。それだけで由利香はヒクヒクと太腿を痙攣させた。

「舐めていい……?」

「……もう、濡れてる、のに……?」

「うん。さっきオシッコしたでしょ? 由利香のオシッコまた舐めたい」

「もー……」

 由利香が身を起こし、膝を曲げて足を広げたまま、両手でそのスリットを割り開いて見せる。ピンク色の内側を覗かせて、

「オシッコ、もうちょっとだけ出るかも……。お兄ちゃんが飲みたいなら、……その、こぼさないようにしてくれるなら、飲んでも、いいよ……?」

 ぼくが顔を寄せると、濡れて光る由利香のその場所、やや上部にある穴がきらりと光を集めて、……ほとんど透明の薄いオシッコが細く迸った。……こぼしてはいけない、こんな大切な貴重な液体、一口残らず飲まなくちゃ。

「うぅン……」

 爽やかで、濃い塩味。それは確かに由利香が言ったとおり、あまり多くはなかったけれど、ぼくの心を満たすには十分。最後、唇を当てて吸い上げた。

「きゃ」

「……ごちそうさま」

 口元を拭ったぼくの顔と、自分の足の間のシーツを見て、

「すごい、お兄ちゃんほんとに全部飲んじゃった……」

 嬉しそうに、微笑む。その微笑みを何度も見たいから、ぼくは何だってするんだろう、これからも、ずっと……。

「……ときどき思うんだけど、お兄ちゃんってそんなにオシッコたくさん飲んでお腹おかしくなったりしないの……?」

「ああ……、幸いいままでそういうことはないなあ。オシッコそのものはそんなに汚いもんじゃないと思ってるしね」

 しかしそう言われてみるとお尻の穴とか洗ってないおちんちんとか舐めてもお腹が変調を来すという事態もない。天使たちの身体に対応していると解釈することにして。

 ゴムを着ける。

 ぼくのペニスを見て、「やっぱり、すごくおっきくって、カッコいいね、お兄ちゃんの、……おちんぽ」由利香が言う。

「由利香の、……おまんこで、いっぱいぎゅーってしてあげる。お兄ちゃんのおちんぽ、いっぱい気持ちよくなって欲しい。だから、たくさん、たくさん由利香の中で……、奥まで……、ね?」

 どうせ小さい身体だし、その奥行きだって、まあ(言葉は悪いけど)たかがしれている。概ね平均的なサイズのペニスをぶら下げている男であれば、由利香のことを満足させてあげることって、そんなに難しくはないと言えるかもしれない。

 ……いいや。

 そんなことはないのだ。ぼく以外に由利香を心から満たしてあげられる男なんていない。それは、このぼくのサイズとは関係なく。

「あ……あは……っ」

 しどけなく広げた由利香の細い足の間、腰を進めて、……辿り着いた底を、もうひとつ押し上げる。由利香はシーツをぎゅうと握って、

「すごい……っ、お兄さま、すごいっ……」

「妹」だったことを一瞬忘れて、感極まった声を上げる。

「由利香の、中もね……。……おまんこの中ぜんぶ使って、絞ってくるみたいだよ……」

 ぬめりを帯びているがゆえに、そうされることで蠢きぼくとこすれ合う内壁のヒダは全体への刺激となる。締め付けも、もちろん強くて、……ぴったりと腰を押し付けて動きを止めても、それだけでえもいわれぬ快感が襲ってくる。

「お兄さま……、あ……、お兄ちゃん……」

「ん……」

「由利香の、……おまん、こ、……きもち、い……?」

 投げなくてもいい質問、答えて欲しいからだ。

「うん……、すっ……ごい、気持ちいいよ……」

「ふふ……、うれしい……、由利香で、お兄ちゃんが、おちんぽ、きもちよく、なるの……、すごい、うれしいよ……!」

 両手でまた、首に掴まる。由利香の腰を抱えて持ち上げる。彼女自身の体重も加わって穿つぼくのペニスが、その身を心を満たすならば、……もちろんぼくだって、心底嬉しいよ。

「あ……! はっ……、お兄ちゃん……!」

 由利香は腕と足を、そして繋がっているところまで総動員してぼくにしがみついた。そうされることでぼくの心も満ちて、もう、溢れそうになる。

「動かすよ」

 と短く告げて、ぼくは由利香を揺すり始めた。

「あ……あっあ、あっ、ん、んっぅんっ、ん、んぁっ、お、おっ、お兄ちゃ、おにいちゃんのっ、おっ、ちんぽ! おちんぽぉっ、すご、いっ、いっ、ひっ、ひゃん、あっ!」

 ぼくの動きのたび、由利香は濡れて透き通った声を上げる。由利香の膣内はときおり鋭くぼくを絞った。その動きが徐々にエスカレートして行く。ぼくの精液を、本能のままに求めて、……彼女の溢れかける欲と追いかけっこをして。

「っあ! あ! お兄ちゃんっ、いっちゃう……いっちゃうっ、っんっ、いっちゃ、あっ、ああ! あっ……あ……っ」

 それまでで一番強い収縮があった。幼い身体はぼくを導き、先んじて達した。僅かに残る理性の加減で力を込めた腕でしっかり抱きしめて、ぼくも由利香の胎内で欲を弾けさせる。何度も、何度も、脈打ち弾んだぼくの喜びを、彼女の身体に刻み付けるように。

「あっ……」

 短い声を由利香が上げたのは、ゆっくりと横たえたぼくが繋がったままキスをしようとした時だ。下腹部が温かく濡れた。ほんのりと笑顔がまた浮かぶ。

「大好きだよ。由利香」

 深い深いキスをして、由利香の赤い耳を指でくすぐる。その先のことはいまは置いといて、可愛い少女とのキスに、ぼくは心ごと没入するのだ……。

 

 

 

 

「はあ、……オネショ、ですか……」

「すみません。私が夕べ、止めなかったもので……。全く五年生にもなって、怖い映画見てオネショするなんて」

「う、えーと、その、だから……、あの、……ご、ごめんなさい……」

 フロントで赤面して謝る由利香の隣で、呆れながらも「本当に、申し訳ありません」とぼくも頭も下げる。夕べと同じフロント係の中年男性は由利香とぼくを見比べて、何とも言えないような顔で、

「まあ……、クリーニング代は頂きましたし、その、……姪御さんもお客さんも、あまりお気になさらず……」

 由利香がシーツに作ったオシッコの大きなシミは、結局由利香のオネショということで片を付けることとなった。……まあ、仕方ないだろう。ぼくにも責任の一端はあるけれど、由利香が「由利香がしちゃったから、由利香が謝ります」って言ったのだ。

 まさかセックスで極まりすぎて失禁しちゃった、とも言えないし。

「……死ぬほど恥ずかしかったです……!」

 ホテルを出たところで、はぁあと大きく溜め息を吐いた。もう「お嬢さま」の喋り方に戻ったけれど、「死ぬほど」なんてずいぶん生々しい言葉を使う。由利香の言葉遣いがこれからどう変わって行くのかは興味深いが、何にせよ、どんなのでも可愛い。

 ぼくはきっちりスーツを着ている。一仕事終えたらこの後は、由利香の旅館で一泊ということになった。東京でもいいけれど、少し疲れてもいるし、由利香にあまり交通費をかけさせるのもよくないし。

 仕事の後の待ち合わせは、駅の改札と決めた。

「じゃあ、行ってくるよ。十二時少し回るくらいには戻ってこられると思う」

「はい、由利香はお買い物したりして時間を潰します」

 今朝、部屋でしてからまだキスをしていない。ここに来るまでの道でも、手だって繋いでいない。電車の中でもそれは難しいだろう。しかし、いいのだ。ぼくにとっても由利香にとっても。……つながりっぱなしじゃさすがに身体がもたないし、その分今夜が楽しくなるなら。

 また後でね、と言って歩き出したぼくの足は、

「お兄ちゃん」

 二歩で止まった。振り返ると、由利香が目をキラキラさせて、

「スーツ姿のお兄ちゃん、超かっこいい!」

 愛らしい妹として、言った。ぼくは背筋を伸ばして、……この可愛い子のためにさっさと仕事を片付けるぞと、一つ気合を入れた。


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