おれ、がんばる

 土日だからと言ってそう寝坊することはなくて、だいたいいつもより三十分から一時間ぐらい長く眠るぐらい。そうしないと夜に寝つきが悪くなってしまうし、せっかくの休日が短くなってしまうからだ。それに一人暮らしの身には休日にもやることは結構あって、……掃除洗濯買い物。例えば午後から昴星が遊びに来るって判っている日なら、それらは絶対的に午前のうちに片付けておかなければならないことであって。

「……ん……」

 目覚ましが鳴った気配はないのに、目が覚めて、少し嫌な気持ちがした。うっかり携帯のアラームをかけ忘れてしまっただろうか。だとしたら今は何時だろう……、長時間眠ったにしては、まだ頭の後ろの方が重たいし、瞼もスムーズに開かない……。

 が、ぼくは目を覚ました。刺激的な臭いが頭の内側に手を突っ込んで、ぎゅっと握られたような、そんな心持になったのだ。

「おっ……」

 目を開けたところに、また一つ薄暗がりがある。

「お、起きた。おはよ、おにーさん」

 朝の声は、高く澄んでいる。それはぼくの頭の上から降って来たのだった。

「……こ、こうせい……?」

 ぼくはその声を耳にするよりも少しだけ早く、ぼくを起こした人物の正体を察知していた。それはもう本能みたいなもので、……要するに、包茎おちんちんの強いアンモニア臭、その気付け作用がぼくを覚醒させたのだ。

 昴星は膝立ちをして、ぼくのまさしく「目と鼻の先」でおちんちんを揺らしている。そりゃあ臭いわけだ。

「鍵開けて勝手に入っちゃった」

 昴星はすっぽんぽんだった。外からの光はまだ弱い、七時か、ひょっとしたらまだ六時台かもしれない。それでも白んだ部屋の中で、ぽっちゃりとした身体の陰影に光が当たって妙に艶めかしい。

「よいしょっと。おにーさんおれのちんこのにおいで起きるかなーって思ったら起きたねー。おれの夢とか見た?」

 とんでもない起こし方もあったものだが、昴星らしいと言えばらしい。目覚めの質としては、実はこれ、結構いい方なんじゃないだろうか。身体にいいかどうかは別として……。

「はあ……、おはよう」

 大きくあくびをして起き上がり、

「……そんなカッコで寒くない? ずいぶん早く起きたんだね?」

 と髪を撫ぜる。昴星は「ひひ」と笑う。

「昨日の夕方、昼寝しちゃってさ。夜もふつーに寝たんだけど、なんか超早く目ぇ覚めちゃったんだ。才斗も起きねーし、つまんねーなーって思って」

 何にせよ、すんなりとこの部屋に来ることを選んでもらえるのは光栄だ。とりあえず歯を磨いたぼくの腰に、ひょいとくっついて、「ひひっ、やっぱおにーさんとこ来てよかったなー」って、昴星は嬉しそうに笑う。そんな風に言ってくれる子がいるという現実、この朝、まだ夢の延長線上のような、甘美な時間。

「えーと……、どうしようか、お腹は空いてる?」

「んーん、ここ来る途中コンビニ寄ってパン食べた」

 よく見ると、下唇の右端にパンくずが付いている。

「そう……、じゃあ……」

 ぼくの背中にぴったりくっついたまま、昴星は手をぼくのトランクスに回す。朝であり、起き抜けであり、まだ若い身体であるから当然の反応を示しているのだ。

「セックスしよ。おれおにーさん起きんのずっと待ってたんだ、ほんとはちんこしゃぶって起こしちゃおうかなって思ったけど、おにーさん疲れてたらかわいそうだしガマンしてたんだぞ」

 その結果として顔面に跨っておちんちんの臭いを嗅がせる、というのもあんまりと言えばあんまりだけれど。

「ひひ、ちんこかてー……。おにーさんオシッコしたい?」

「えー……、まあ、はい」

「じゃーオシッコしよ。おにーさんのオシッコおれ飲みたい!」

 ぼくが昴星のオシッコを飲むことを「普通」と言う気はない。けれど、昴星がぼくの尿を飲むとなると完全なる「異常」になってしまう気がする。勃起状態での放尿の難しさは言うに及ばず、昴星がすっぽんぽんで寒いのも気になるし、ぼくも昴星を愛するためにはもうちょっとしゃっきり目を開けたい。そういう次第で、

「はい、おにーさんのトイレ」

 もともとすっぽんぽんの昴星と、シャツを脱ぎトランクスを下ろしてぼくも裸になって、浴室で向かい合う。昴星は腰掛に座って足を大きく広げて、

「こんな可愛いトイレがあったら困るなあ……、出るものも出なくなりそうだ」

 ぼくの体液を待っている。

「まえにさー、流といっしょに泊まったとき、流とはんぶんこだったじゃん? 今日はおれおにーさんのオシッコひとりじめできんの、ちょっとうれしい」

「まあ……、うん、そう……」

 昴星や流斗のオシッコほど価値のあるものでもないから、そんなに喜ばれるとそれはそれで複雑極まりないのだけれど。

「あー……、昴星、出すよ……?」

「うんっ、いっぱい出してすっきりしろよー」

 そうされると一層出にくくなるのだけど、そしてそういう想像は昴星も付くのだろうけれど、ぼくのペニスに手を掛ける。明け方の尿意が朝勃ちに繋がるらしいけれど、それに加えて可愛い昴星のすっぽんぽんが前にあると余計滾る。細まった尿道に、強いて排尿しようとするのはなかなかに難儀なものではあるけれど、

「お、出た……」

「そんな近くだと目に入っちゃうよ……?」

 昴星は亀頭に鼻を寄せている。にゅ、と鼻の頭を亀頭に当ててから、勢いの弱い尿を垂らすぼくのペニスの前で目をつぶって口を開けた。

「もう……」

 強まった尿意に屈する形で、一気の放出。昴星も「美少年」と評して差し支えのない顔をしている訳で、そんな顔に向けて自分の汚水を撒き散らすという行為に、ぼくはそれほど興奮を催したりはしない。寧ろさっき、起こしてもらったときの体勢であのまま自分の顔や口に昴星のオシッコを撒き散らされた方がずっと幸せだと思う。

「あは……、しょっぱい、おにーさんのオシッコ、超濃いね……、ひひ」

 昴星の口の中に自分の尿がどんどん溜まっていく。泡立つ液体は暗がりでも色が濃いことが判って恥ずかしく気まずい。昴星はごきゅっと音を立てて飲み込むと、

「んひひ、おにーさんのちんこだーい好きだぞ」

 手を添えてぼくのペニスを横ぐわえにし、頬を濡らさせながら幾度もキスをする。手で支えて、自分の胸に、身体に、「あったけー……」おちんちんに、ぼくの尿を当てるとき、もう昴星は勃起しきっているのだ。

「まあ……、こんなものでも喜んでもらえるってことを、ぼくももっと喜ばなきゃいけないんだろうね……」

 とはいえ、やっぱり恥ずかしい。昴星だけじゃない、流斗にしろ諭良にしろ、ぼくなんかのオシッコなんて何の価値があるものかと思ってしまう。けれどぼくが彼らが求めるままに在ることは真理とも呼ぶべきことであって、「して」って言われればやっぱりしてしまわないわけには行かない。

「……ひひ、全部出た? すっきりした?」

「うん……、自分のながら臭いね。いや、自分のだから余計に臭いっていうか……」

「そうかなー。おれおにーさんのオシッコ臭いって思わないよ。おれのほうがずっとくせーじゃん」

 まあ、そうかもしれないけど……。臭いの強弱というより、それが自分のものだと思うから嫌なのだ。うんちの臭いだって、そりゃ昴星は驚嘆に値するほど臭いけれど、それでも自分のものに比べたらいっそ「芳香」とでも呼ぶべきものである。

「……昴星の身体、洗ってもいい? その……、せっかくシャワー浴びるのに、昴星に触れないのはちょっと、辛い」

 何せ、抱き心地がすごくいいのだ、昴星の身体は。

「んー……、わかった」

 悪臭を纏った自分の身体、手のひらでついーと拭って、その指をぺろぺろ舐めてから、「ん、いいよ。でもまたさ、今日じゃなくてもいいからさ、おにーさんのオシッコちょうだい」って甘える。

「……うーん、まあ、……はい」

「ひひ、サンキュ」

 まあ、求められるうちが華とも言えるだろう。シャワーで口を濯がせ、を昴星の身体に降らせながら、普段よりもちょっと丁寧に身体を洗い、……ついでに自分も洗う。昴星の勃起は少し落ち着いたようだったけど、腰掛を使わずに自分の胡坐の中に、ぷにぷにと愛らしい触感の身体を収めて洗っているうちに、すぐまた硬くなってきた。

 朝の光がようやく少し強まった、清らかな時間を、恋人とこんな甘ったるい過ごし方をしている。なかなかに素敵な休日のスタートと言えるだろう。

「なー、おにーさんって臭いの好きなのに自分の臭いはきらいなの?」

「……ぼく、臭い?」

「やー、そういう意味じゃなくってさ、おれあっちこっち臭いの、どうしてそんなにいいのかなーって。おにーさんだけじゃなくて才斗とか諭良とかもさ」

 おちんちんをぼくに触らせながら昴星は言う。

「うーんと……、才斗と同じ考え方をしてるかどうかは判らないけど」

 ぼくのペニスにも昴星の手が伸びた。昴星の身体が冷えないように、ぼくは昴星に間断なく昴星の身体にシャワーを掛けていた。これなら最初からお風呂にお湯溜めればよかったかな、という気もする。

「ぼくは、やっぱり何て言ってもさ、昴星のことが好きで可愛いから。……その、可愛い子のおちんちんがまず可愛い。でもって、こんなに可愛い子の可愛いおちんちんから、臭いっていうか、強い匂いのオシッコが出てくる、皮の中はもっと強い匂いがするっていうことが、すごく興奮するんだよね」

「かわいい、かなー……?」

 ころころと勃起して上を向いた自分のおちんちんを見下ろして首を傾げる。うん、可愛いんだ。勃起してもサイズが変わらない、でもちゃんと男の子として欲を持ってるって主張するように震えて硬い、昴星のミニチュアおちんちんは、本当に可愛いんだ。

「だから何て言うか、『臭いから』っていうのとはちょっと違う。臭いにおいが好きなんじゃなくて……、そう、うん、昴星のにおいが好きなんだ。これは流斗や諭良にしても同じことが言えると思う。……例えばさ、昴星も、流斗があんな可愛いのに、太くて臭いうんちするところ見たら興奮するでしょ?」

「あー……、それは、うん」

「諭良のおちんちんの皮剥いてさ、すっごい臭かったとしても」

「ん、……あいつのチンカス付いてるときあって、でも、そういうときのちんこのにおい嗅ぐと、すっげードキドキして……、ずーっと嗅いでたくなる」

「それと、同じ気持ちだよ。ぼくは昴星たちが好きだから、昴星たちからする臭いが好き。同じ臭いが他の誰かからしたとしても、……まあ、ショタコンだから男の子の臭いっていうことで多少は興奮するとは思うけど、でも、それ以上のことはないと思う」

「ふーん……」

 納得してもらえたかどうかは判らないけれど、昴星はふにふにとぼくのペニスを撫ぜつつ、

「ん」

 ぼくに、キスを求めた。

 昴星の唇は、ほんのりと温かく、不思議と甘い。ぼくを誘うように舌を出して、……すぐに絡み合って、「ひひ……」昴星が笑い声を漏らす。

「おにーさん、おれのちんこ好きなんだ。おれのオシッコの臭い好きなんだ」

 ぎゅ、と抱き着いて。

「好きだよ。……さっきおちんちんで起こしてもらえたの嬉しかったしね」

「……おれのちんこ、まだ飽きない?」

「たぶんこの先飽きることなんてないんじゃないかな。もうちょっと大きくなって、毛が生えたとしても昴星のことは好きだろうし、昴星のおちんちんだから、可愛いって思うよ」

 実際、中学校に上がったら昴星はどんな子になるだろう? 高校生になったら。そういうことを時々考えて、……わがことながら「ショタコンのくせに」と無責任に思えるけれど、ちょっとずつ大人になっていく昴星を見ていられるのはとても幸せなことなんじゃないかって考えるようになった。もちろん、オネショは早いところ治さないといけないけれど。

「ん、ひひ……、うれしいや。おにーさんにそんな風にさ、言ってもらえんのうれしい」

 ぎゅっと抱き着く、応じて抱きしめ返す。やっぱりこの子の身体特有の、むっちりとした感触、たまらないなと思う。まあ、同じようなことを誰を抱いたときにも思うのだけど。

「おにーさんはさ、誰より知ってるじゃん、おれらのこと」

「ん? っていうと?」

「だからー、こんな風にさ、ふつーさ、男子と裸でくっついたり、オシッコの臭い嗅いだりとかさ、しねーじゃん? ちんこ見てる本数もいちばん多いと思うしさ。だから、そういうおにーさんに『好き』とか『可愛い』って言ってもらえんのって、他のだれかが言うよりもずっと本当って気がする」

「本数……」

 おちんちんを「一本二本」って数えていいかどうかの是非は置くとして、でもまあ、この子に始まり気付けばたくさんの男の子のおちんちんに触れられる立場になってしまったぼくである。それでいて、全員が変わらず可愛い、しかし全員が「同じ」可愛さを持っているのではなくて、それぞれ特色とでも呼ぶべきものがあるのだということは、自信を持って言える。

「ねー、……おにーさん、ちんこして欲しくなっちゃった。もっとシコシコしてほしい」

 ぼくの指はシャワーのお湯で濡れている。ただ、昴星のおちんちんの皮が少し前からにゅるにゅると生々しく滑るようになってきたことも感じられる。

「いいよ。……でも、今日はどうしようか?」

「きょう?」

「……せっかく昴星が遊びに来てくれてさ、こんな早い時間に。ぼくも早起きできたわけだし、ずっと家にいるのもあれかなって」

 その気になればぼくはずーっとセックスしていたっていいとさえ思うのだ。

 だけど、少年に、少年らしい時間を過ごさせるというのも絶対的に大事だ。ことによっては、セックスよりも価値がある。

「ん……、じゃーさ、……おにーさんとキスして、ちんこシコシコしてもらって、気持ちよくなって、……射精するまでにかんがえとく」

 それって、結構短い時間なんじゃないのかな……。

「あ、いまちょっと悪いこと考えただろ」

 そんなことないよって笑って、唇を重ねる。昴星に責められる前に、ぼくが昴星を責めてしまう。

「シコシコするだけでいい?」

「え……?」

「指だけでも、昴星のこと気持ちよくしてあげられると思うけど、昴星はそれだけでいい?」

 指先で皮の先っぽを摘まむ。硬い芯から余って、にゅる、にゅる、マシュマロみたいな手触りの皮はとてもえっちな音を立てている。昴星はひくひく震えながら、

「……フェラ……、ちんこ……、しゃぶってほし……っ、でも、おにーさんに、しゃぶられたらすぐ、おれいっちゃうし……」

「今日の予定を立てるための時間が足りない?」

 ぼくはもう、洗濯なんて明日でいいやって気持ちになっている。掃除にしても買い物にしても、……休みは二日ある訳だし、明日は今のところ予定はない。

「ん……、でも……、ちんこ、しゃぶって……」

 昴星はぼくの肩に掴まって立ち上がる。ぴんと斜め上を向いて、おちんちんに対して大ぶりなタマタマが少し硬く、シワシワの刻みが目立っているのをぼくに見せてくれる。その場所の舌触りは知っているけれど、でも、やっぱり舐めたい。

「ふあ……、キンタマぁ……」

 ここだって、昴星の性感帯である訳で。

 口に含むとぞくぞくっとした震えが昴星に走る。もちろん、ここを弄ってるだけじゃいけない、満足しきれるわけでもない。それでも昴星はうっとりと「あう、……っん、んぅ……、キンタマ、はぁ……っ、キンタマっ……、おにーさん、キンタマいっぱい、なめてるぅ……」ぼくの舌にタマタマを擦り付けるように腰を揺らめかせる。

「昴星の気持ちいいところ、どんどん増えて行くね。最初はおちんちんだけだったはずなのに、おっぱいもタマタマもお尻も全部気持ちよくなる場所になっちゃったんだ」

 もう、昴星のガマン汁は隙間から溢れてしまいそうだ。くしゅくしゅになった皮は透明な蜜をところどころ泡立てて濡れ、皮を剥き下ろしてみると尿道口にぷくりと滴が浮かび上がる。それも、亀頭を潤ませる先陣と混じりあって蕩ける。皮の中までちゃんと洗ったはずなのに、そしてまだオシッコもしていないはずなのに、ほんのりと臭うのがいとおしい。

「……だって、おにーさんすんだもん、いろんなとこ……、おれと才斗だけだったら、こんな、あっちこっちエロくなってねーもん……っ」

 それはきっと、才斗にとってもより魅力的な恋人になってきているということを意味しているだろう。オモラシに興奮し、オシッコの臭いには病み付き、可愛い可愛いおちんちんと大きめのタマタマに、お尻やおっぱいやほっぺたはぷにぷにしているし、顔は女の子みたいに可愛い。えっちなところに磨きがかかればもう、最上の存在であると言っていいだろう。

 タマタマを掬い上げるように舌の面で舐め、右足の付け根、それからおちんちんの根っこ、……と言っても、ほとんど先端と距離はない、でも敢えて先っぽは避けて、左足の付け根、またタマタマへと戻る。ぼくの舌に、律儀すぎるかに思えるほど震えて、

「も、もぉっ、おにーさんっ、ちんぽ吸ってっ、ちんぽおもっきし吸ってっ、せーし出したいっ」

 昴星はオシッコが漏れそうなときみたいに腰をびくびく震わせる。

「はい、わかりました」

 一口に含んで、舌を絡めてじゅっと吸う。澄んだしょっぱさのガマン汁が一気に口中に広がると同時に、

「んひっ、ひいッンっんっんぅ!」

 昴星のおちんちん、びくびくびくっと細かな震えをたくさん刻んで、ぼくの舌へと射精した。普段よりも少しだけ薄い気がする。でも、ちょっと焦らした分だけ量が多い。精液のゼリー感はしっかりと感じられるし、甘いような青いような、しょっぱくて白い味と臭いが鼻に抜ける。

「んぅう……っ……、もぉ……、ちんぽぉ、バカになっちゃうかと思ったぁ……」

 昴星は膝を震わせながらぼくの膝の中に納まり直す。

「ごめんごめん、……オシッコがまん出来なくなっちゃったら困るもんね?」

「そうだよ……、もともとあんまガマンできねーのに……」

 そこもまた可愛いけれど、この子自身が将来を考えたときにはあまり楽観視してはいけない問題だ。とはいえ、……オシッコのトレーニング。いったいどんなやり方があるだろう? 膀胱のサイズなんて、どうしたら大きくなるのか。

「……おにーさん、したいこと、何か思いついた?」

「ん? ……昴星はやっぱり思いつかなかった?」

「……っつーか、ちんこ気持ちよくなっちゃったら、気持ちいいってのばっかりになっちゃってそんな考えらんねーよ、……おにーさんフェラすんのすげー上手いし、アンド、キンタマいっぱいするし……」

 尖らせる唇が可愛くてキスをする。ぼくもぼくで、昴星を気持ちよくしている間は昴星をより気持ちよくしてあげたいということで頭がいっぱいになって、何も考えられなくなってしまっていた。

「……ぼくは、昴星がしたいことでいいよ? 昴星が楽しいならそれでいい」

「もー……、おにーさんすぐそういうこと言うんだ。たまにはおにーさんのやりたいことすればいいのに」

 やりたいことなら、今だってさせてもらってると思ってるんだけどね。キスだって、こうして君を独り占めすることだって。

 どうしようもないくらい、昴星の楽しいことがぼくにだって楽しいことなのだ。

 そういう思いが伝わったのか、昴星はまたぼくにキスをする。

「……おにーさんといっしょだと、さ、おれ、一人じゃあんまできねーことも、出来るから、楽しいんだ。ちょっと怖いようなことでも、おにーさんいっしょだったら出来る……。何か、おにーさんいっしょだと勇気出る……」

 そもそもぼくだってそう度胸のある方じゃない。ただ、昴星と初めて出会った城址公園の夜を思い返せば、……あのとき勇気を振り絞って(あるいは誘惑に負けて)翌朝もう一度あの場所を訪れたからこそ、いまのぼくらがあるわけだ。

 そういう意味では「勇気」って大切なものだ、やっぱり。

「あのさ……、おれ、オシッコのがまん、もうちょっとちゃんと出来るようになりたいなって最近思うんだ」

「へえ」

 それは、ついさっきぼくが考えていたのと同じこと。昴星自身もやっぱり危機感というものはあるんだろう。

「……今さ、学校で、授業って一時間が四十五分で、そのあと一時間目と三時間目と五時間目のあとは五分だけ休み時間ある」

 ぼくの頃もそうだったように記憶している。

「おれ、普段は、……えっと、オムツしてわざと汚したりするとき以外は、休み時間のたびにオシッコ行くんだ。その……、そうしないと、ガマンできなくなっちゃいそうで、不安だから」

 ぼくの頃はどうだったかなあ……、毎度毎度は行っていなかったような気がする。だいたい二時間ごとに行っていたはずだ。

「でも、……才斗がこないだ教えてくれたんだけど、中学上がると一時間が五十分になるんだろ? でもって高校もおんなじで、もし大学になったら、こんどは一時間が一時間半になるって」

「ああ、そうだね……、大学は確かに一時間半だった」

 とはいえ、だいたい先生が来るのは五分から十分遅れるし、時間いっぱいに講義をやらないこともしばしばあった。とはいえやっぱり、一時間以上は拘束される。

「その……、だからさ、中学上がって、授業中オシッコガマン出来なくなったらやばいなって……。それにあの、……おれね、おにーさんとまだ会ったばっかりの頃の、去年の移動教室でさ、夜才斗に起こしてもらってオネショしないようにってオシッコ行って、……でも、一回やっちゃって、バレなかったけど、困ったから……」

 昴星は二年生の頃に一度、授業中に大失敗をしている。その話は聴かせてもらった。とはいえ二年生ぐらい、あるいは三年生ぐらいまでなら、一つの小学校あたり一年に一人二人失敗しちゃう子がいたって無理はない、……そういうシーンを想定して、保健室には高学年の子の分まで替えの下着が用意してあったって聴く。

 でも、中学生でオモラシをするとなったら……?

「あの、もしね、……その、おれがもし、オシッコちゃんとガマンできるようになっても、おにーさんが見たいってときにはオモラシ見せるし、オシッコもたくさん出来るように、水いっぱい飲んだりする。けど、……その、普段のときはちゃんと出来るように、したいなって……」

 昴星の言いたいことは、わかった。

「じゃあ……、これからは昴星のここが」

 ふっくらした下腹部に手を当てる。「ちゃんとオシッコをガマン出来るようにどうすればいいか、考えて行こうか?」

 昴星は、恥ずかしそうにこくんと頷いて、でもすぐ不安そうに顔を上げた。

「できる、かな……、そんなの……」

 ぼくも、残念ながらお医者さんではない。けれど、

「やってみるだけやってみる価値はあるんじゃないかな。何より昴星が困っちゃうのはぼくも困るし、……昴星のために出来ることは何でもやってあげるつもりでいるけど、昴星の代わりにオシッコ行くことは出来ないからね」

 昴星のおちんちんは小さくなっていた。そう言えばこの子、まだここへ来てからオシッコしてないな。時間にしてまだ三十分ほどではあるけれど。

「いま、昴星オシッコしたい?」

「え? ……んーと、少し」

 なるほど。ぼくは昴星の髪をぽんと撫ぜて、

「じゃあ、もうちょっとガマンしてみようか。最初は五十分、次は一時間。普段通りにしながら、少しずつガマンする時間を伸ばして行ったら、それで昴星のオシッコ溜めるところが強くなっていくかもしれない」

 昴星は自分の下腹部に目をやる。その場所の機能を、年相応に「恥ずかしい」と思う気持ちは昴星にだってやっぱり当然ある。自分の性欲なんて後回しだ。

「大丈夫だよ。ちょっと調べてみよう」

 ぼくは昴星のおでこにキスをして、少し冷え始めた身体をしっかり抱きしめた。

 

 

 

 

 病気のことをインターネットで調べるのは良くないって聴く。例えば「肩こり」とか「眼精疲労」とかを調べようとして、すぐに「がんの疑い」なんて出て来て蒼褪める……、多くの人が経験しているはずだ。軽度の体調不良は自分自身で管理し回復へ導く、というのが「セルフメディケーション」であるけれど、情報のインフラが発展し過ぎた感もある時代にあってはちょっとした弊害もあるように思う。

 膀胱についてちょっと調べただけでも「前立腺がん」とか「膀胱がん」とか出て来て、……うん、昴星がこれ自分で調べるんじゃなくてよかったなと思う。

 十分ほどのネット回遊の結果、

「ぼーこーくんれん?」

 昴星がおうむ返しにした言葉をぼくは初めて知った。自分自身がそういう不安を感じたことがないものだから、

「膀胱訓練」

 ぼくとしても初めて舌に乗せる言葉だった。

「オシッコをしっかり我慢して、必要な時に出せるようにする……、そのためにオシッコを溜める膀胱を鍛えることを、『膀胱訓練』って呼ぶみたいだ」

「オシッコ溜めるとこ、鍛える……?」

 昴星はさっきからオシッコを我慢している。ブリーフを穿いてハーフパンツを穿いて、きっちり服を着たことで急に尿意が強まったらしい。トイレに行きたくても行けないというシチュエーションで尿意が俄かに鋭くなるのは、これは膀胱にとりたてて問題を抱えていなくとも心理的な反射でままあることで、……昴星の場合、このまま中学に上がったら常にトイレのことを気にしていなきゃいけなくなるわけで、今以上にオシッコが近くなってしまう懸念がある。

「まずね、……お尻の穴をきゅってして、ちょっとそのまま、力を入れたままにする。お尻の穴を動かす筋肉は『括約筋』って言って、オシッコのガマンと繋がってるんだ」

「ん……、わかった」

 見ることは出来ないけれど、昴星がその場所に力を入れたことは判る。

「でもって、……オシッコ行きたいとき、昴星はどうする?」

「どうする……、って、そりゃ、オシッコしに行く」

「普段から、おうちにいるときでも?」

「ん……、だってガマンしながらだと、何か落ち着かねーし」

 昴星は、言ってみれば普段から「オシッコを我慢する」という行為自体に努力が足りないのかもしれない。それはまあ……、オネショをして喜んだり、オモラシを見せてもらって喜んだり、むしろオモラシをリクエストしたりするぼくや才斗にも問題があるのかもしれないけれど。

「オシッコを行きたいって感覚には、波があるらしい。強まったり弱まったりする。強まったらすぐオシッコしちゃうと、本当はもうちょっと溜められるのに我慢しないで出しちゃうことになっちゃって、膀胱が鍛えられないみたいだよ。だからこれからは、『オシッコしたいな』って思ってからさ、トイレ行ってパンツ下ろしてもいいけど、そこからもう少し我慢してみる練習をしてもいいんじゃないかな。携帯いじったり、漫画読んだりしてさ。別のことを考えたりしてると、オシッコ行きたい気持ちが少し和らぐらしいんだ」

 全部、医療機関のホームページからの受け売りだ。ぼくだって「へえそうなの……」って思うようなことをえらそうに伝えているに過ぎない。けれど昴星は、

「へー……、そうなの……」

 って素直に感心していた。

「じゃ、じゃあ……、いまも、もうちょっとだけガマンする……。別なこと考えればいいんだよな?」

「こういうのはどうかな。今日、膀胱訓練するだけじゃつまらないでしょ? だから昴星が楽しめる膀胱訓練の方法を、昴星なりに考えてみるっていうのは? 何か、昴星が楽しいって思えることをしながらだったら、楽しくガマン出来るんじゃない? ぼくも、そうだな、あと十分昴星がオシッコガマンできたら、何かご褒美をあげるよ」

 訓練、っていうと辛そうだけど、そうやって楽しい思いをさせながらならば長続きするだろう。

「えー、じゃーおれ普段家いるときさ、オシッコしたくなったときもう五分ガマン出来たら何かいいことある?」

 うーん、さすがに仕事中に昴星の家まで行ってご褒美あげるのは無理だなあ……。でも、

「何か、……好きな食べ物、ガマンしててあんま食べられないけど、本当は食べたいものをちょびっとだけ食べるとか」

「じゃあ、チョコレート。才斗がさ、太るからあんま食うなって言う。だけど一回オシッコたくさんガマン出来たら一個だけ食べていいと思う?」

「んー……、まあ、それは才斗と相談かなあ」

 ちょっとぐらい太る分には何ら問題はないのだけど、甘いもの取り過ぎて健康を損ねるのは避けてもらいたいというのが才斗の真意だろう。ぼくもまったく同感である。

「昴星、あのさ、移動教室や社会科見学のときってバスで行ったんだよね? 結構長く……、二時間ぐらい乗り続けたんじゃないかって思うんだけど、そのときは大丈夫だったの?」

「いちおう、平気だった。……一回だけ、やべってときあったけど、そんときは才斗が持ってたペットボトルにオシッコしたよ。周りみんな寝てたから気付かれなかった」

「どうして移動教室のときは大丈夫だったのか、考えたことある?」

 長時間トイレに行けない、場合によっては渋滞に巻き込まれてしまうことだってある。ふつうに考えたら昴星のような男の子の膀胱には厳しい状況であるけれど。昴星は「んー……?」首を傾げて答えに辿り着けない。

「多分だけど……、昴星は移動教室楽しみだったわけだよね? きっと社会科見学も、教室で授業受けるより楽しいはずだ。移動中、才斗や仲良しのともだちとおしゃべりして過ごして……。そういう楽しい気持ちがあったから、オシッコの心配とか頭の中からなくなって、膀胱も安心していられたってことなんじゃないかな」

「そう……、なのかなー?」

 昴星は首を傾げる。さっきまでずっとそわそわしていたのに、お喋りを始めてからはその動きは収まっている。

「だから授業中もさ、昴星、オシッコのことばっかり考えてると不安でもっとオシッコ行きたくなっちゃう、……オモラシしたらどうしよう、とかね。でもオシッコ行きたいって感覚は強まったり弱まったりするものだから、最初にきゅって行きたい気持ちが出て来ても『どうせもうちょっとガマン出来る』ぐらいに思っておくことも大事なんじゃないかな。もちろん、行けるときに行っておくことはすごく大事だと思うけどね」

 うん、と昴星は素直にうなずいた。ぼくはちらりとPCの右下を見る。昴星に「あと五分」と言ってから、

「五分経ったよ」

「えっ……、もう?」

「うん、もう。お喋りしてたらあっという間だったね」

 昴星はちょっと物足りないような顔をして、「じゃー、オシッコしようかな……」のんびりと立ち上がる。せっかくなので、一緒にトイレについて行く。小さいままの、綺麗なままのおちんちんから、昴星がこんな風にオシッコをするところを見せてもらうことはあまりない。

「はー……、すげー、いっぱい出てる……」

 じょぼぼぼぼぼ、と太く勢いよくオシッコは水溜りに注がれていく。色もしっかり付いた、濃いオシッコだ。それだけに臭いもふんわり伝わってくるし、湯気も立つ。

 さあ、ご褒美は何にしよう。

「何か、欲しいものは?」

 ブリーフの中に、ろくに振らないでおちんちんをしまった昴星はぼくを見上げて、

「んーと……、それは、どんなんでもいいの?」

 遠慮がちに訊く。

「まあ、あんまり高いものでなければ」

「そっか……、んー、でもどうしよ……」

 何か欲しいものがあるようだ。

 昴星は基本的に質素な少年である。物欲というものもあまりないように見える(その分、性欲は非常に旺盛だ)し、ぼくが何か、ご飯をごちそうしたりお菓子を買ってあげたりすると、「いいの? でも、おれもお金あるよ? ……ありがと」ちょっと申し訳なさそうにしちゃうぐらい。

 何をねだられるのかな、と思っていたら、

「今日のおにーさん、昼までのおにーさんが欲しい」

 と昴星は言った。

「……昼までのぼく?」

「うん。おれ、才斗と諭良と、午後約束してるからずっとはいらんないけど、でもその分、昼までずっとおにーさんといっしょにいて、おにーさんとセックスしたい。だから……、ダメ?」

 それが、昴星の欲しい、「ごほうび」?

「だってさ、その……、おにーさん独り占めできる時間ってあんま、ないじゃん? おにーさんには流もいるし、いまはほら、諭良、転校しちゃうからあいつのこといっぱい可愛がって欲しいし、あと、空太と遥もそうだし、由利香も。だけどさ、最初におにーさんに声かけたのおれだし、おにーさん、おれのことも『恋人』って言ってくれたしさ、だから、そういうの……」

 ああ……、そうか。

 そういうことか、と納得する。人数が増えれば増えるほど、誰か一人と二人きりという時間は減って行ってしまう。もちろんそれは、相手の都合も手伝ってのことではある、……昴星には才斗というれっきとした本命の恋人がいる訳だし。

 でも、それでも、ぼくら二人きりの時間を取ることは大切だ。その時間を求めて朝も早くからぼくのところへ来てくれた昴星なのだ。

「おれの、オシッコのこととかもさ、おにーさん、すっげー真剣に考えてくれたし……、お」

 サラサラの髪に触れる。そういうことを言うのが、ちょっと恥ずかしかったのだろう。昴星の頬は愛らしい色に染まっていた。

「いいよ。じゃあ、お昼までたくさんしようか」

「……いいの? おにーさん、疲れてない? おれ、寝てるとこ起こしちゃったし……」

「昴星が起こしてくれたからさっぱり目が覚めた」

 これは本当のことだ。昴星のおでこにキスをして、抱き締めて。

「おにーさん、おれ、おにーさんにあげたいのある」

 しっかりとぼくに抱き着き返して、昴星は言った。

「くれるの?」

「うん、……パンツ。これまでおにーさんにたくさんパンツあげて来たけど、一番すごいやつ、おにーさんにあげたい」

 一番すごいやつ、とは?

 昴星はぼくの腕から抜け出すと、勝手知ったるぼくの家、引き出しを開けて、自分の汚したブリーフの袋をあれでもないこれでもないと探して、「あ、これかな」と一枚、ぼくに掲げる。

「たぶん、これまでで一番汚れてんのこれだと思うんだ。旅行のとき、オムツの中で二回オモラシしたやつ。あんときすげーガマンしててもらしちゃったから、色もすごいし量も、あとたぶん、臭いも」

 油断しきって袋の口を開けて、「おう!」と昴星は弾き飛ばされた。

「……それ、特に臭いやつだからね……」

 ぼくも、滅多なことでは開けない。開けるときはそれ相応の覚悟が必要な一枚なのだ。

「うおお……、すっげ……」

 自分の臭いでありながらショックを受けた様子の昴星は、しかしめげない。

「これ……、これより、もっとすげーの、おにーさんにあげたい!」

 言って、昴星はぐいっとブリーフを脱いだ。今の臭いで縮こまってしまった小さなおちんちんをぷるぷるさせながら鞄の中から引っ張り出すのは、ぼくが保管に用いているものと同じ、チャック付き袋。その中に入れるものと言えば一つしかなく、

「それは……」

「オネショパンツ、今朝の」

 袋から取り出されただけで、その生乾きの尿特有の臭いがぼくの鼻にまで届いた。

「ほら、オネショのときってさ、オシッコの濃いのが超いっぱい出るから、ふつーにオモラシすんのより臭いだろ。だからこれに、あと二回くらい、オシッコガマンしてからもらしたらきっといままでで一番やばいの出来る。そういうの、おにーさんにあげたい!」

 どうしてそういう発想に向かうのか、とたしなめるのが常識だろう。でもぼくと昴星が二人きりのこの部屋にあっては、昴星のオシッコをたっぷり吸い込んで臭くなったブリーフというのは宝物に等しい。

 それを、努力してまでぼくにくれようとする昴星の存在そのものがまず宝だ。

「おー……、つめて」

 昴星はそのオネショブリーフに足を通す。自分の失禁の証が派手に刻まれたブリーフを穿いた昴星の姿が、愛らしく見える。でも冷たいのを穿いて風邪ひいちゃったら可哀想だ。

「昴星、こっちおいで」

 ぼくは洗面所に昴星を招き入れて、換気扇を回しつつ、ドライヤーを入れた。温風を昴星の股間に吹きかける。

「おー、あったけ……、ん、でも」

 ひくひく、鼻を動かす。「すっげーくせー……」

「オシッコが乾いてく途中だからね」

「あ、そっか……。ほんとだ、乾いたオモラシパンツとおんなじ臭いだ」

 乾かすことで黄ばみがよりくっきりはっきりしてきたように見える。お尻のほうもしっかり乾かしてあげたところで、昴星は自分の股間を見下ろして、

「ひひ、真っ黄色」

 笑う。

「こういう言い方していいのか判んないけど、……よく似合ってるし、可愛いよ」

「ほんと? おにーさんがそう思うならそれでいいよ」

 オモラシパンツを穿いているときの昴星は、だいたいいつも勃起しているし、そもそもここまで黄色く汚れたブリーフを乾いた状態で穿くということもないはずだ。そう思うと貴重だし、そのことに気付いたときにはもう、「……撮ってもいい?」とぼくは訊いていた。

 昴星は「いいよー」とまるで平気な顔で、

「オシッコしたくなるまで、まだいっぱい時間あるしな。おにーさんが撮りたいだけ撮っていいよ」

 ぼくがカメラを構えると、微笑んでピースサインを送る。

 昴星を撮るのが、ぼくは好きだ。いや、流斗も諭良も由利香もみんな撮りたいんだ、それぞれみんな違う価値があるんだということは確かなのだけど。

 昴星の、ぼくと二人きりでいる限りは物おじせずにぼくにいろんなものを見せようとしてくれる、悦ばせようとしてくれることが、昴星を撮るときには強く感じられる。昴星の、……諭良のような、いわゆる「スマート」とはかけ離れた体型も、昴星という少年のいいところであるし、六年生の少年でありながら少女めいた顔立ちに、やっぱり男の子でしかありえない表情を浮かべてカメラを見据えるのは、それだけでなんだかどきどきさせられる。

 ブリーフの少年が、ぼくの恋人なのだ。ブリーフを穿いてぼくの部屋にいるのだ……。そういう幸せを噛み締める時間で、夢中になってぼくはシャッターを切る。パンツ一丁になった昴星は洗面所から部屋に戻って、尿意を高めるためにお茶を淹れる姿もいい。ふうふう吹きながらお茶を啜る横顔もいい。

「ねえ、昴星、横になって」

 さっきまで寝ていたぼくの布団のシーツを外して、ぼくはリクエストした。敷布団には昴星の作った染みが、うっすら残っている。昴星は「こう?」って、ぼくの意図を理解したかその場所を足の間に挟むようにして横たわり、ぼくを見上げる。散らばった髪が妙にセクシーだけど、オネショをしちゃう男の子だ。おちんちんがもっこりするほどボリュームがないことと、ほんのりふくらみを帯びたおっぱいのせいで、中性的にも見える。

「うつぶせもいい?」

「うん」

 ころんとお尻をぼくに向ける。くびれという言葉は昴星の身体とは無縁だ。むっちりしている。ブリーフも、お尻の方がよりぱっつんと張りつめてる感じがある。……昴星のお尻って触り心地が最高なんだ。ブリーフもこっくりとした肌触りだし、その上オネショの染みが大きく大きく広がっているんだ。

「なーおにーさん、こうゆうのどう?」

 うつぶせのまま昴星は訊き、「んしょ」と、上半身はそのまま下半身は膝立ち、黄色い股下を大きく広げて突き出すような格好だ。

「おお……、いいね、すごくえっちだよ」

「んひひ、ほんと? じゃーこんなのは?」

 昴星は自分でブリーフのお尻に手をやり、両方の裾に指を引っ掛けてくいっと引っ張る。肉付きのいいお尻が露わになってTバックの様相を呈する。

「それもいい、それも、すっごいえっち」

「ひひ。おれさ、太ってるじゃん? でもさ、たぶんお尻がこんなぷにぷにしてんの、おにーさんとセックスするやつの中でもおれだけだよ。だからおれもさ、おにーさんとお尻でつながんのすげー好き」

 昴星のオシッコやオシッコを染み込ませたブリーフは確かに強い臭いを発する。それを「悪臭」と捉えるほうが一般的な感覚なのだとも思う。だけどこうして見せてもらっていると、昴星そのものの持つ愛らしさゆえに、その身体が香っているようにぼくには思える。そう、香る身体、香る裸。その身体をぼくのためにもっと強く臭わせたいと思っているのが昴星という少年であり、そういう昴星のことを心から愛しているのがぼくだ。

「よいしょ。……他にどんなポーズとろっか?」

 ちら、と昴星は壁の時計に目をやった。撮影を開始してから一時間が経過している。撮影に夢中になっているからか、これだけの時間を水分を摂取しつつ経過していても昴星が尿意を訴えることはこれまでのところなかったが、そろそろ催し始めたのかもしれない。

 でも、昴星の膀胱を鍛えるための時間でもある。早くオモラシを見せてほしいなという気持ちもあるけれど、

「じゃあ……、うんちの格好して見せてほしいな、パンツ一丁で」

 違ったリクエストを、ぼくはした。昴星は「ひひ、いーよ」と、トイレのドアを開けて便座を下ろし、その上にどんとしゃがみ込んだ。

「昴星はおちんちんまだ勃起してないんだね」

「んー。おにーさんはしてんの?」

「してるよ。だって昴星がパンツ一丁で目の前にいるんだよ? しかもオシッコの臭いぷんぷんさせていてくれるんだよ?」

 興奮するな落ち着け勃起するな、と言うほうが無理。

「それに、昴星さっきからすごい可愛いポーズいっぱいしてくれるし」

「んー、そうなのかな、おにーさんがエロいって思ってくれてんならおれもうれしいけど」

 便座の上で向きを変えて、今度は再びお尻を突き出す。黄色く汚れたお尻の染みを、まるで誇示するように。

「でもさ、オシッコのあと付いてんのと付いてないのと、写真見たときそんな違う?」

 昴星は便座に、こんどはきちんと座り直してぼくに訊く。「おんなじパンツじゃん?」

「昴星は、白いパンツとオモラシのついたパンツと、両方とも女の子に見られて平気?」

「うー……、そりゃ、オモラシパンツはやだけどー……」

「そういう風にさ、昴星が他の人には見せたくないって思ってるところをぼくに見せてくれてるっていうのが嬉しいから興奮するんだよ」

「そう、なのかー……」

 おちんちんだってそうだ、お尻の穴だって。流斗や諭良よりも、自分のその場所を大事に隠している昴星が、ぼくには見せてくれる。そのことが嬉しい。

「ん、おにーさんちんこ見たそうな顔してる」

 昴星がにやりと笑ってぼくの視線の先を辿った。昴星はぼくに言い訳を用意させない。「ずーっとパンツはいたまんまでまだちんこ撮ってねーもんな。いーよ、ちんこ」

 窓を開けて、昴星はあっさりと見せてくれた。昴星自身の指ほどのサイズの、小さくて丸っこくて、とにかく可愛いおちんちん。愛らしい白ブリーフにたくさんの幸せを染み付けてくれるのみならず、こうしてぼくの目に晒してくれる、いとおしい、おちんちん。

 ぼくに言えるのは、

「男の子のブリーフって、そうやっておちんちん出せるの、本当に便利だと思うし、それにすごく可愛いよねえ……」

 っていう、何を今さらというようなこと。

「んひひ。キンタマも出していい?」

「もちろん。昴星、おちんちんよりタマタマのほうが大きいの可愛いね」

「そうかなー? やっぱおれキンタマでかい?」

 その分、他の子よりも性欲も強いように思う。放ち出す精液の量も多い。オシッコのガマンが上手かどうかは置いといて、その点の機能はとても優れている昴星の陰部である。

「なんかさー、こんなオシッコまみれのパンツ穿いてんのに、ちんこもキンタマもちゃんと出してんのヘンな感じ」

 笑顔の昴星を夢中になって撮りつつも、「そうかな、えっちでいいと思うけど」昴星との会話もきちんと出来る。

「だってさ、漏れそうだったらこうやってちんこ出せばいいんじゃん? なのにそうしないで、こんな黄色いパンツ穿いてさ、でもちゃんとちんこ出してんだよ?」

 言われてみれば、確かにそうかもしれない。オモラシを自主的に、意図的にする昴星だからこそ、そんなパンツを穿いた状態でおちんちんを出すというシチュエーションが成立する訳だ。

「おにーさん、嗅がないの? オモラシすると臭い変わっちゃうよ?」

 ああそうか。いまの昴星の臭いは、いまの昴星しか持ち得ないものだ。ぼくは跪いて顔を寄せる。もちろん、「あ、しゃぶんのは後でだよ?」ってことは、言われなくても判ってる。せっかくの宝物にぼくの唾液の成分なんて加えたくない。

「ああ……」

 ブリーフそのものとも違う、昴星のおちんちんの臭いが、ぼくを支配するのを感じる。

「ひひ、臭い?」

「うん……、オシッコ、さっきのかな……、あんまり振らないでしまってたでしょ」

「うん。おにーさんそういうの好きかなって」

 大好きだよ、うん、湿っぽいオシッコの臭いが、乾いたオシッコの臭いでは隠しきれない。ツンと尖った尿臭が、昴星のドリルおちんちんの皮の、ほんの少しだけ開いた隙間から抜群の存在感を伴って届く。

「本当に……、本当に、臭くっていい匂いだ。食べちゃいたいぐらい。だけど今は我慢するよ」

「ん、おれがさ、二回オモラシするまでガマン。おれもおにーさんにちんこしゃぶられんの大好きだぞ」

 まだぷにぷにのおちんちんを、昴星が指でつまんでそっと剥く。たちまち湿潤系の尿臭が一気に優勢になった。脆弱な色の亀頭と小さな尿道口が濡れている。それが臭いの原因であるわけだけど、それがどれほど美味なるものか、ぼくはよく知っている。

 あまり顔を寄せていると、もう我慢出来なくなりそうだ。鉄の意志で顔を離して、自分で皮を捲った昴星の姿をきちんと捉える、心からの敬意とともに。

 昴星は便座から降りて、「動画、まだ撮ってないよな?」とぼくに求める。ぼくの求めるものを先回りして。

「はい、どうぞ」

「ひひー、じゃーいくよ! ちんこぷるぷるっ、あ、今はキンタマも出てるから、キンタマもいっしょにぷるぷるーっ」

 見飽きない小刻みな振動を、ぼくのカメラに存分に撮らせてくれる昴星は本当に天使だ。そしてこの腰振り、おちんちんのぷるぷるを、見飽きる者がいるとも思えない。

「昴星さ、年上のお姉さんたちにもそのぷるぷる見せてあげた?」

 昴星は腰の動きを左右から上下に替えて、「うん、見した」とちょっと照れくさそうに言う。

「喜んでたでしょ」

「うーん、わかんね、どうかな……。でも、笑ってたよ」

 ダンス終了。便座に再び腰を下ろす。

「女の子には付いてないからね。……昴星も嬉しかったんじゃない? お姉さんたちにいっぱい可愛がってもらったんでしょ?」

「んー、……ひひ、うん」

 どんなことしたの? と訊いたら、またちょっと恥ずかしそうになる。

「えっとー……、おれ、最初ね、そんなつもりなかったんだけど、オシッコガマン出来なくなっちゃって、オモラシ、しちゃって……」

 そういう「意図せざる」オモラシには、ちゃんと羞恥心が機能する昴星なのだ。

 でも、それこそ昴星の望みだったはずだ。そして昴星は望み通り、その先にあるより強い快感を得ることが出来たはずだ。

「そんで……、おねーさんに、ちんこ、洗ってもらって、……んっと、おねーさんちんこ見たことないって言ってたから、ちんこぷるぷる、見せてあげて、そのあと……、えっとね、オムツ、して、赤ちゃんごっこした」

 まだ新鮮なその記憶を辿ると同時に、そのときの興奮が蘇って来たのかも知れない。ぼくが寄せたカメラのレンズのすぐ目の前で、赤ちゃんみたいにオモラシをしてしまうSサイズのおちんちんが少しずつ、角度を変え始めた。

「赤ちゃんごっこ?」

「ん、だから……、オムツして、オモラシして、赤ちゃんみたいにオムツ外してもらって……」

「それでおちんちん気持ちよくしてもらったんだ?」

 こく、と昴星は恥ずかしそうに頷いて、

「そう、そんでね」

 思い出したように、顔を上げた。

「あの……、おねーさんたちにさ、相談、したんだ。おれ、ほら、……その、ちんこ見られんの、好きで、でも、恥ずかしいの、どうしたらいいかって」

 顔も知らぬ少女たちも、戸惑っただろう。こんな可愛い男の子の変態性欲の行く末を相談されたんだから。

「そしたら、……きっと大丈夫、って言ってた。その……、女子は、ちんこ見んの好きだし、だから、その、……見せても、平気って」

 それについては、正直なところぼくも同感なのだ。

 昴星の同級生の女の子たちが、昴星のおちんちんを、というか、裸を見たとして、マイナスな感情を抱くだろうか? そしてまた、昴星に害意を向けるようなことがあるだろうか?

 ある程度確信を持ってぼくは、「ない」と言う。

 むしろ喜ぶばかりではないだろうか。加えて言えば、女の子たちが喜ぶということは、昴星が嫌な思いをすることも考えにくいということだ。それでいじめられるぐらいだったら、そもそも昴星は女の子と仲良くすることだって難しいはずだ……。ただこれが、ショタコンでそもそも「嬉しい」と感じてしまうぼくの考えることであるということは考慮に入れなくてはいけないけれど。

「昴星、勃起してるよ」

「え? ……あ……」

「おちんちん、女の子たちに見られるの想像して興奮しちゃった?」

 むう、と昴星は唇を尖らせて「そんなんじゃねーけど……」と言ってブリーフの中におちんちんをしまうけれど、そうなのだということは昴星自身がいちばんよく判っているだろう。

「もうたっぷり一時間は我慢したよ。オシッコ、そろそろしたいんじゃない?」

 昴星はじーっと自分の黄ばんで尖ったブリーフを見下ろして、ぼくを見上げる。

「オモラシ、していいの?」

「もちろん。でも、もっと我慢しててもいいよ? 我慢するのに慣れるのも大事だろうからね」

 昴星は、少し考える。けれど、ふるっと震えて、

「オシッコ、したい」

 と少し恥ずかしそうに白状した。

「あのさ、おれ、オシッコ長いことガマンしたから、おにーさん、ごほうびまたくれる?」

「もちろん。何が欲しいの?」

「んっと……、おにーさんのちんこ。またしゃぶりたくなっちゃったから。おにーさん勃起してんだろ?」

 ひょいと手を伸ばして、ぼくのズボンの前に触れて、「ひひ」と笑う。

「ありがとう、は変かな?」

「んーん、おれも嬉しいし、おにーさんも嬉しいし、だからおれもありがとうだから」

 昴星は便座の上に立ち上がってからしゃがむ。もう失禁体勢だ。でも、「もうちょっとだけ待てる?」ぼくは、止めた。

「ふえ?」

 もうオシッコを出すつもりでいたのだろう。ぶるっと震えて昴星は顔を上げた。

「オシッコ、もう出ちゃいそうなんでしょ? でも出ちゃいそうなところでぐっとこらえられたら、昴星、もっと我慢が上手になるかもしれないよ?」

 昴星の手を引いて、便器から下ろした。

「え、えっ、でも、もう……」

 慌てて昴星はぎゅっと前を掴む。それが本当に判りやすくオシッコを我慢しているポーズなもので、何とも愛らしく思えてしまう。

「あと五十数えて、それからしてごらん。オシッコ我慢してトイレ飛び込んでも、全部埋まってたらどうする? たくさんの人にオモラシするところ見られちゃうんだよ? 年下の子もいたら、笑われちゃうよね?」

 昴星は真っ赤になる。

「か、かぞえんの……?」

「うん、ちゃんと自分でね」

 オモラシへのカウントダウン。昴星は内またになって、ぎゅうっと両手でおちんちんを掴んで、

「ご、五十、四十九、四十八、四十七……」

 落ち着きなく腰をくねつかせながら時を刻み始めた。

 考えてみれば昴星は、しょっちゅうオモラシ姿を披露してくれるけれど、それらは積極的な姿勢によって導かれるオシッコであって、我慢しきれなくて漏らしちゃうというシーンはあまり見せてもらったことがない。昴星がいちばん恐れるのはそんな事態であるはずだ。その一方で、「間に合わなくって」漏らしちゃう昴星っていうのはそれはそれは可愛いものであるに決まっている。

「にじゅきゅっ、にじゅはち、にじゅななっ、にじゅろくっえっえ、どこっ、どこ行くのっ」

「いいから、数えてて。二十六?」

「に、に、にじゅごっ、にじゅよんっ」

 昴星を抱っこして、……今にもパンクしそうなのだ、どこで漏らされてもいいように、浴室へ移動する。

 浴室に下ろしてあげるなり、

「じゅうななっ、じゅうろくっ、もっ、もぉ出るぅっ」

 泣き声でぼくに強請るけれど、

「あと少し。頑張って」

 ぼくは自分に冷徹を強いた。

「じゅ、じゅ、じゅうごっ、じゅうよっ、じゅうさっ、じゅうにじゅういちじゅうっきゅうっはちっぃっ、ぁいああ……!」

 ぎゅうと握った指の隙間から、ポタポタと足元に黄色い滴が垂れた。それは「チビる」と言うには派手な量ではあったけれど、

「ななろくっごっよんっさんっにぃいちっ」

「ゼロ」

 本番とは比べ物にならない。

「うああぁ、あっ、お、ひっこっ、おひっこあはぁあ……」

 昴星が両手を離した途端、……迸る、という言葉がしっくりくる。布で封じられた空間にであることを忘れさせるような勢いで、ブリーフが溺れる。前から股下から裾から、たぶんお尻の方へも、……何というか、スプラッシュ感がある。黄色い飛沫を散らして、昴星はオシッコと同じぐらいの量の声と吐息を溢れさせている、まるで、

「ひ、ぃっん、んっ、お、オシッコ出てるっ、オシッコ、オシッコオシッコ出てるっ、オシッコっ、オシッコいっぱいっ、もらしてるっ……!」

 セックスのときみたいな、「オシッコ」の嵐だ。

 お腹の中に入っていた水分が、浴室の中を一気に尿臭で満たした。ああ、やっぱり昴星のオシッコは臭い。すごく臭い。ブリーフという、身体の中心にあるものから臭いものが迸るのだから、昴星の身体全身が昴星のオシッコの臭いに濃く塗りつぶされていくようだった。

「お、しっこ……っ、しっこ、おしっこぉ……、ぜ、ぜんぶ、漏らしちゃったぁ……」

 膝が震え、そのまま昴星は腰を抜かしたように自分の作った水たまりにお尻を落とす。ブリーフに、ますます臭いが染み付いて行く。ぼくは構わずひざまずき、まだ震えている昴星の髪を撫ぜ、頬を撫ぜ、キスをした。

「いっぱい出たね。……間に合わなかったね?」

「そ、そんな、あ、はぁう……」

「白いパンツ穿いててさっきぐらいチビっちゃったら、脱いだらみんなにわかっちゃうよ。昴星はオシッコガマンできなかったんだって……。クラスの女の子に見られたら恥ずかしいね」

 キスをしながら、少しいじめる。ブリーフの中で、昴星のおちんちんは縮み上がっているようだった。ぐっしょり水を含んだブリーフの窓を掻き分けて、中を探る。ブリーフが溺れているのだから、おちんちんだって当然溺れている。昴星自身の、極めて強い臭いを誇る尿に漬けこまれている。

「おれ、……おれ、ごほうび、もらえない……?」

 昴星が不安そうに訊く。オシッコを漏らした、……いつものように故意にではなく、本当に限界に至って漏らしたのだから、昴星の感じる恥ずかしさは普段よりもずっと強いのだろう。

「……どうしようかな。半分だけあげてもいいかなって思う」

 もう一度キスをして、立ち上がって、自分のペニスを昴星に突き付けた。昴星の身体から漂う臭いを嗅ぐだけで、反応するようになっているぼくの身体だ。

「ち、んこ……」

「しゃぶって。ぼくの精液はあげよう。でも昴星の射精はお預け。次にちゃんとオシッコ我慢できたらそのとき嫌ってぐらいごほうびあげる」

「い、いやってぐらいって……」

「タマタマの中が空っぽになるぐらい。ぼくの手で、口で……、お尻も使って、たくさん」

 昴星の身体がぶるりと震えた。それが恐怖によるものではないことは、すぐに両手をぼくに当てたことから明らかだ。

「ちんこ、おにーさんのちんこ……、ちんこっ……」

 大きく口を開けていきなりしゃぶりつく。劣情にせかされていても歯は立てられないし、柔らかく滑らかな口の中いっぱいに頬張られればそれだけで大いに気持ちいい昴星のフェラだ。オシッコを漏らしたことの恥ずかしさもその瞬間から正負の記号を逆転させる。

「美味しい?」

「んひ、おいひ……っ、ちんこ大好き……」

「そう……、可愛いよ、昴星。すっごく気持ちいい。昴星は本当にフェラが上手」

 褒められて伸びるタイプなんだろうな、と思う。才斗にしてもそうだろうけど、昴星の口で咥えられて射精する。それは言葉よりも雄弁な昴星への称賛である。だから昴星は舌に精液の味を感じるたびに、もっと、もっと、上手くなりたいと望んで、その技術をますます伸ばしていくのだ。

「んふー……、ふぃんほ、おいひ、……ひひっ、ひんぽらいひゅひ、ひんほ、ひゅほいあひゅいのぉ……」

 咥えて舌を動かすだけでは、まず昴星が満足出来なくなる。頭をぐいぐいと動かして、喉の奥を突いてしまうのではないかと、ぼくの方が不安に思うほど深く咥えて、昴星という美少年のその相貌全体を使ってぼくを扱く。……そう早いつもりもないけれど、そんな激しいフェラの中でもよく動く舌と昴星の淫らな表情に屈することは、何の恥でもないだろう。

 いい子、本当に可愛い子、とサラサラの髪を撫ぜて、

「んぶっ、んっ、ん……、んっ、んっ……」

 叩き付けた物を、昴星はもちろん一滴残らず吸い上げる。

「ぷはー」

 昴星が顔を上げて、無邪気に笑う。水たまりの上でのフェラ、掛け値なしに愛らしいことは間違いないけど、うっかり寒い思いをさせちゃったんじゃないか、と正直ちょっと不安になる。

「あのさ、おにーさん、さっきのほんと?」

 しかしほぼ裸、いや裸よりも寒いような格好でいながら昴星は少しもそんなそぶりは見せず、元気である。

「さっきの?」

「ちんこ、いっぱい射精さしてくれるって……」

「あ、ああ……」

 いっぱい、と言ったって、昴星はこんな可愛い顔でありつつとんでもないスタミナを持っている。おちんちんのサイズに比して、ブリーフの上からでもはっきり判るほどタマタマが大きい。幼いし女の子みたいな顔をしているのに、この子のその場所を空っぽにしちゃおうと思ったら、中々にシビアな体力を要求されることになるだろうし、時間もかかる。

 しかし、昴星はすっかりその気でいるらしい。怖がるどころか、期待に満ち溢れた目をしている。もちろんぼくのをフェラチオしている最中から、黄色いブリーフはすっかり膨らんでいるのだ。

「おれだけでいいの? おにーさんはちんこもっとたくさんいかない?」

 いま射精したばっかりだからね……。この子たちといると「賢者タイム」になる暇もないのだけど。

「まあ、ぼくも……、多少はね。昴星いかせようと思ったら興奮するし」

 それに、昴星はいまこんなに臭いオモラシパンツを穿いている。ここにもう一回分追加されて、そのおちんちんをこの世に存在する少年のものとしては最上級のものにしてくれようとしているんだ。

 そんなの口に入れたら……、いや、間近で嗅ぐだけで、そりゃあもう……。

「ひひ、おにーさん大好き」

 昴星は立ち上がって、改めて自分のオモラシブリーフを見下ろして、「おー……、やっぱ二回目になるとすげーな……、超くせーし、色もすっげー」感心したように言った。それからブリーフを下ろしかけて、

「ん、やめた。穿いてる」

 とまた持ち上げる。

「穿いてるの?」

「うん、漏らしちゃったの穿いてるの好きだし、それにさ、ちんこ臭くなるでしょ? おれのちんこくせーとおにーさん嬉しいし、おにーさんにしゃぶってもらえたらおれも嬉しいし」

「まあ……、うん」

 びちょびちょパンツのままで畳とか布団に座られるのは後片付けの手間がかさんでしまう。とはいえ穿いていたいと言うのならば仕方がない。昴星の旺盛な性欲にとってはそうすることもまた楽しみになるのだろうし、この子の喜ぶようにするのばぼくの定めであるから。

「じゃあ、いいよ」

「ん、このまんまでいていいの? オムツとかしたほうがおにーさん後で困んないんじゃない?」

「いいよ。昴星の恥ずかしい格好見てたいし、……その代わり、布団の上にいるんだよ? 布団だったら多少は汚れたってかまわないからさ」

 昴星たちはセックスの最中にもしばしば、非常にしばしば、オシッコを撒き散らしてくれるもので。シーツは洗えばそれで済むけど、ぼくの布団は成人男性のそれとしては異常なほど汚れている。でも、それらはぼくらの愛し合いの記憶だから疎む必要もない。ただ、隠しておけばそれでいい。

「ひひ、……なんか、オネショしたときみてー」

 ついいましがた濡らしたばかりのオシッコパンツだ。就寝時と同じぐらい溜めて溜めて、一気に放出したものだ。昴星のオネショの瞬間というものも見せてもらったことがあるけど、小さいとはいえ六年生の男の子が無意識のうちに放尿してしまう姿は不思議なものである。可愛いものである。

「こんなこと言っていいのかわからないけど、昴星はオネショが似合うからね」

「えー……、そう?」

「うん。ビショビショのパンツ穿いてさ、お布団の上にいるの、すごく可愛いよ」

 ちょっと腰を浮かせて座ったところを見直す。既にそこには黄色い小さな染みが付いている。

「うー、んー……、似合うってゆーの、わかんねーけど……、そりゃ、だって、オネショだもん、恥ずかしいに決まってんじゃん」

 おちんちんの勃起は収まった。そのぶん、オモラシブリーフのみっともなさが余計に目立つようになる。純粋なる少年の、まがうことなき失敗の刻印。そういうものを身に着けて、ぼくの前だからこそ一応は平気だろうけれど、ぜったいに表には出せないということは昴星だって自覚の上だろう。

「昴星のことを、恥ずかしがらせるの嬉しいって言ったら怒られちゃう?」

 昴星はむーと唇を尖らせて、「怒りゃしねーけどー……」ちょっと複雑な表情を浮かべてから、はあ、と溜め息を吐いた。

「でも、おにーさんそうだよなー。外でフルチンにしたりすんの好きだし……」

「昴星は好きじゃない?」

「……うー、まあ……、ちょっとくらいなら、いいけど」

 本当はすごく好きなくせに、昴星は唇を尖らせてそう答えた。

「あのね、昴星はさ、ぼくの中ではすごく度胸のある子だってイメージがずっとあるんだと思う」

 ぼくも布団に腰を下ろして、昴星の髪を撫ぜて、視線の高さも合わせる。自然と唇は重なった。

「……度胸とかそういうのは、諭良とか流斗のほうがめちゃめちゃあるじゃん……。おれなんか、由利香よりもねーし」

 そう、実際のところはそうなのだ。昴星はオモラシはもちろん、おちんちんを誰かに見られることに対して怯えに近い感情を持っている。その分だけ、そういう事態を潜在的に望むし、それが叶ったときには――ぼくは実際には見たことがないけれど、リリィという女子高生のところへ行ったときなど――筆舌に尽くしがたいほどの快感を得ることにもなるのだろう。

 でも、

「最初のときが、男らしかったからだろうね」

 おにーさん、おれのオシッコもらすとこ見たい?

 そんな風に言う子がこの世にいるとは思わなかった。あのときのニヤニヤ笑って悪戯をするみたいに言った昴星の姿は、

「……あんときだって、すっげーどうしようって思ったんだぞ」

 という内心の戸惑いを隠しきって、見事に男らしく度胸のある少年としての振る舞いに全く不足のないものだった。

「バレたら、やだし……、でもおにーさん、ショタコンだって思った。おにーさんショタコンで、でもさ、そういうやつの、おれが想像してたのより全然ふつーの人っぽいし、優しい感じだったから」

 そういう勇気を振り絞ってぼくとこういう関係になった。いっぱいセックスをしてキスだってこんな風に日常的にして、「恋人」だ。少しずつお互いに詳しくなっていって、今ではもう、本当は恥ずかしがり屋だけどぼくのために頑張ってくれる愛らしさについてもとくと学んだ後だから、

「昴星、オシッコまたしたくなった?」

 ちょっと足を閉じて、もそり、落ち着きのないしぐさを見ればそれだけでわかる。

「……うん」

 ついさっき大量に漏らしたばっかりだ。それなのにどうしてこんなにすぐしたくなってしまったのか、昴星自身戸惑いの表情を浮かべる。

「お茶飲んだからだろうね。……お茶の中にはオシッコしたくなる成分が入ってるんだ。あとは、さっきまで二回もしっかり我慢したから、膀胱が疲れて来てるのかも知れない」

 膀胱、そんな具合に披露するものなのかは判らないけど、昴星がオネショをするのが深い眠りのときが多いということを考えると想像しやすい。

「……でも、あんますぐ漏らしちゃったら、訓練になんないし……」

「無理させてもしょうがないでしょ。少しずつ少しずつ、慣らしていけばいいんだ」

「……でも……」

 ごほうびが貰えないんじゃないか、ということを不安視しているのだろう。

「いいよ。どうせいまもうちょっとガマンしたってすぐ漏らしちゃうだろうし、そのあとは、これまでのパターンから考えるとしばらくオシッコすごく近くなるはずだよ」

 頻尿状態の昴星のおちんちんはすごい。無尽蔵な噴水かと思うぐらい、オシッコがどんどん溢れて止まらなくなってしまうのだ。そういうときの尿は味も臭いも普段に比べればずいぶん薄めだけど、とにかく量がすごい。阿呆っぽい言い方だけど、「昴星のおちんちんがバカになっちゃった」感じがして、いい。

「じゃ、じゃあ……」

 昴星の視線は浴室に向いた。けれど構わない。ぼくは昴星を横たえて、「どうぞ」と言った。

「でも……」

「起きたままオネショするところ見てみたいなって思った」

 昴星は、まだ少し戸惑う。オネショシートを敷いていないことは判っているだろう。このまましてしまって、ぼくの布団をびしょ濡れにしてしまうことに抵抗があるのかも知れない。けれどぼくがカメラを構えると、「わかった……、する」と目を閉じる。

 これ以上濡らすところなんてないだろうと思うようなブリーフの中で、オシッコが、十分前にしたばかりであることを忘れさせるような勢いでせせだいだ。

「この分だと、バケツ一杯ぐらい出るんじゃない?」

 ぼくが笑うと目を開けて「そんな出ねーよ……、たぶん……」と言うけれど、実際それぐらい出してしまっても驚かない。シーツがどんどん濡れて行く。大きな島が、出来上がる。昴星は足を少しだらしなく開き、半身を起こしてまだ放尿の続く下半身を見詰めて、「出るかも……」と言った。バケツ一杯、今度試してみたっていい。

 今度。昴星とぼくのこれからの時間の過ごし方、だいたいやることはいつも同じだろうけど、常に昴星がいちばん楽しい形にしたいと願う。

「ふー……、出た」

 身を震わせた昴星はぼくを見上げる。撮りながら、

「昴星は、今どんなことしたい? 今って言うか、これから。昴星がしたいこと、一つずつ出来るところから叶えて行ってあげたいなって思うんだ」

 と訊いてみた。

「えー……、どんなことって、こういう……、オシッコとかセックスとかそういうこと?」

「そう。……ほら、昴星は、昴星だけじゃないけどみんな優しいからさ。あんまり無茶なこと言わないじゃない? だから普段みんながどういうことしてみたいって思ってるか、ぼくはよく知らないかもしれない。例えば昴星は女の子にオシッコ漏らすところ見せたいんでしょ?」

 恥ずかしそうに、こくん、と頷いた。

「他にもそういうの、ない?」

「他にー……、えー……」

 水溜りの上に座り直して、

「これ、……まだ誰にも言ってないけど」

 足の指をいじりながら、ゆっくりと告白を始めた。

「……あのさ、流が前に、夏にさ、フルチンで海で遊んだことあるんだ。おにーさんにも言ったよね?」

 うん、聴かせてもらった。そのとき流斗がすっぽんぽんでいる傍ら、昴星は女の子のスクール水着を着用していたと言う。しかしおちんちん丸出しの流斗の横では、もともと女の子っぽい昴星が実は男の子であるということはまるで見咎められなかったということだ。

「あんな風に、こう……、その、ちんこ、出したまんまでああいう……、みんないるとこで。……したら、どんななるんだろうって……」

「なるほど。いつもお姉さんたちに見てもらってるけど、もっともっとたくさんってこと?」

 こくん、と昴星は頷いた。周りはみんな水着を着用している中で一人だけすっぽんぽんというのは、異常な体験には違いない。それを平気で乗りこなせる流斗ほど「度胸」は備えていない昴星だから、想像するだけで「無理!」って思うに決まっている。

「その、ほら、おにーさんと、前に公園、フルチンで散歩したり、あとその次の日に外でフルチンなって……。ああいうの、おれ、好き……、だから」

「そうだよね、昴星はお外ですっぽんぽんになるとすごく興奮しちゃうもんね」

 露出狂のマゾヒスト。流斗が「マゾヒスト」かどうかは判らないけれど、諭良にしても、昴星にしても根本は一緒なんだ。

 だって、自分の欲を言葉にするだけで、昴星のびしょ濡れパンツの中央が尖りを帯び始めている。

「女の子に見られたいって、すごく思う?」

「……うん、ちんことか……、いろんなの全部見られたら、どうなっちゃうんだろって……、ぜってー無理なの判ってるけど、でも、思って……」

 さすがにぼくが昴星を海に連れて行って、すっぽんぽんにして歩かせるという訳には行かない。

 でも、代わりに何らかの形でその欲を叶えてあげる方法はあるはずだ。よく考えておこう。

「そう言えば、学校の仲良し女の子たちとの件はどうなったの?」

「葵たちのこと? んーと……、こんど、流といっしょに諭良んち行くことになった。諭良がそんとき、自分の、全部見せたいって」

「流斗も当然見せる訳だよね? ……そのとき、一緒に昴星も見せちゃうのがいちばん簡単だと思うけど」

 でも、昴星の表情を見れば内心は判る。「勇気が出ないんだ?」

 こく、と自信なさげに昴星は頷いた。まあ、無理もないよね。同級生に裸を見せるって、難しい。というか、ふつうは絶対にしない。

 しかるに流斗は平気で出来てしまうし、諭良もそれを「したい」と願っている。流斗が平然とそれをし、諭良がその欲を叶えている最中、同じ欲を抱える昴星はじっとおりこうさんでいて、……それが楽しいはずがない。

 この件については今度、諭良と流斗と三人で会って話してみよう。昴星を愉しませてあげるために。

「他には、何かしたいことない?」

「えー……、他にー……? そんな、あんま考えたりしねーよ。それにいまおにーさんといっしょにいるから、おにーさんとしたいって思うし」

 ああ、それは可愛い。

「でも、おにーさんいないときは、こういうのときどき考えて……、ちんこ、する。だからさ、その……、才斗と夜別々なときとか、おれだってちゃんとオナニーするしさ」

 そりゃあそうだろう、昴星だって男の子なのだから。

「夕べもオナニーした?」

 昴星はこくんと頷く。そのふっくらしたタマタマが高い精液生産性を備え、昴星自身の旺盛な性欲に付き合うことが出来るという事実は、昴星にとっても快感の回数が増えるという意味でハッピーなことであると言えるだろう。

「どんなことで?」

「……由利香、の、あいつのくれたパンツでオナニーした」

 なるほど、それは由利香に聴かせてあげたらとても喜びそうだ。由利香のオシッコの臭いの染み付いたパンツで、まるでぼくみたいに興奮しておちんちんを扱いていたんだ。男の子であるから男である、ということは判っているのだけど、いつもぼくの前で(本人は無自覚だろうけど)天使みたいに可愛くいるものだから、そういうの聴かされるとちょっとドキドキするものだ。

「昴星、由利香の裸見るの好きだよね? もちろんぼくも好きだけど」

「……だってさー、女子じゃん。女子の身体って、その、おれとかとは違うし、その……、リリィとかも女子だけど、でも大人じゃん。大人じゃなくって、もっとこう、おれとかと近くて、その……、ちんこなくて、あそこんとこ、ワレメ、なってんの、すげーなって思うし……」

「それに、由利香はいまのところ昴星のおちんちん見てくれる一番年の近い女の子だもんね?」

 唇をむうと突き出して頷いた。

「じゃあ、今度みんなで一緒にまた由利香のところへ行こうか。諭良も流斗もどこかに連れて行ってあげたいって思ってたところなんだ。日帰りでも、時間たっぷり遊んでさ、昴星と由利香と二人きりの時間も作ろう」

 子供たちは幸いにしてまだ子供料金で電車に乗れる。三人抱え込んで引率しても、まあ日帰りならばなんとかなるだろう。昴星は一瞬ぼくの財布を気にしたような表情を浮かべたけれど、ぼくが動じないから「ん」と頷いて、

「っていうか、おにーさんいいの?」

 ぼくの下半身に目を向けた。

「おれ、またオシッコしたくなっちゃうよ。それに、おにーさんさっきおれのことたくさん射精さしてくれるって言ったじゃん」

 うん、言いました。少し先のことに関するおしゃべりはそろそろこれぐらいにして、現在進行形、じっとりした昴星のブリーフをまず、ぼくは最上のプレゼントとして受け取らなければいけない。

 昴星は黄ばませた布団の上で立ち上がり、びちょびちょで重たささえ伴う黄色いブリーフを脱ぐ。おちんちんは平常サイズに戻って、愛らしく揺れる。それを見て、反射的に慌ててカメラを構えた。

「また撮んの? よく飽きねーなー、いっつもおんなじちんこなのに」

「毎日少しずつ成長してるはずだよ、パッと見じゃ判らないかも知れないけど……」

「ふーん……、早くもうちょっとでかくなんねーかな」

 昴星は白いところの比率がほとんどなくなったブリーフをぼくに向けて広げて持ったまま、自分のつるり無毛のミニおちんちんを見下ろして、腰を左右に揺らして見せた。

「たとえばさー、もっとちんこでかくなったらさ、ちんこもこんなぷるぷるじゃなくってぶらんぶらんして、おにーさん見たときおもしろいと思うんだけど」

「大きくなるのは簡単だけど、小さくなることは出来ないからねえ……」

「んー……、まーそうなんだろうけどさ、でも女子に……、いつかさ、もし見せるときになって、こんなちっこいの、笑われたりすんじゃねーかなって思って、それはちょっとやだなって。だっておれの、流のとおんなじくらいしかねーし」

 しかも流斗は昴星より二つも年下な訳だ。

「大きさや形で決まるものじゃないと思うし、……ぼくが昴星のおちんちんを『小さくて可愛い』って言うのは、誰かと比べて小さいって言ってるわけじゃないんだよ? 昴星のクラスの男の子全員のパンツ下ろしたら、昴星より背ぇ高いのに昴星よりおちんちんちっちゃい子だっているかもしれない。それこそ、才斗より大きい子もいるかもしれないし、諭良より皮が余ってる子がいたって驚かないよ」

 昴星はぷるぷる、ぷるぷる、昴星だからこそのリズムでそこを震わせる。湿っぽいところに風が通るのが、本人も気持ちいいのかも知れない。長く、長く、可愛らしさを思い切り披露してくれるのはシンプルに嬉しい。

「パンツの中って、個人的な場所だからね。ぼくにとっては大きかろうが小さかろうが、昴星が見せてくれるパンツの中のおちんちんってそれだけで嬉しいし大事なものなんだ。それは流斗以外のおちんちんを初めて見る昴星のクラスの女の子たちにとっても同じだと思うよ」

 昴星のおちんちんはちっちゃくて臭い、それがたまらなく可愛い。でも、仮に小さくなくって臭くなくっても昴星のおちんちんである時点でぼくは惚れこんでいただろう。おちんちんは昴星の、ごくパーソナルな部分ではあるけれど、同時に昴星そのものの付帯物でもあるのだ。……このあたりのこと深く考えて行くと頭が疲れてしまいそうだ。愛しいものであるということだけ判っていればいい気もする。

「じゃあ、昴星おいで。いっぱい射精させてあげるって約束したよ」

「うん、いままだちんこそんなでもねーけど、おにーさんがしてくれたらすぐめっちゃボッキするよ。……んで、はい、おにーさんあげる」

 ああ、もう、距離を詰めただけで一層強く香る。差し出されたそれはそのまま、昴星からの愛情。保存可能な感情なんてあるのか判らない、感情はただ重ねて強めて行けばいいものなのだと思っている。けれどこのブリーフの臭いはひょっとしたら、未来永劫消えないんじゃないか……。

「ありがとう……、本当に」

「ん。……おにーさんがおれのちんこのこと真剣に考えてくれてんの嬉しいからあげるんだぞ。ほかのやつにはこんなのあげねーし。……っつーか欲しがんねーか」

 いや、出すところに出せば物凄い価値のあるものだよこれは……。とりあえず湿った強い臭いを愉しませてもらう。これに関しては、量が多いだけで普段とさほど変わらない。ただ、乾いた後果たしてどうなるか。今は全体的に淡いレモンイエローに染まっているけれど、乾くことで恐らく一段色は濃くなる。そして深く深く染み込んだオシッコによって、えもいわれぬ臭いを放つようになる……。

「じゃあ……、昴星、今朝とおんなじ格好になってくれるかな」

「今朝とおんなじかっこ?」

 ぼくは昴星が水たまりを作った布団の上、下着だけになってごろんと横になる。昴星は「あー、そういうのか……」と合点が行ったように頷くと、

「ひひ、すっげーくせーしきたねーのに、おにーさんこういうの好きなんだなー」

 ぼくの頭を跨ぐと、顔の上に、その臭いの焦点をぐいと迫らせた。

 和式便器になった気分である。

 ……まだ昴星と出会う前、「いっそそれもありなんじゃないか」と思ったことがある。「それ」が「何」かと言えば、いやまあ、くだらない話だけれど、一人晩酌で酔っぱらっているときのこと、「生まれ変わったら少年のおちんちんがもっと気安く自由に見られるところに行きたい、いやもういっそ人間でなくていい、無機物でもいい……!」と、まあ我ながら馬鹿以外の何物でもない考えを転がしていた結果として、「そうだ、小学校の男子トイレの和式便器になれば……!」という結論に、ぼくは至ったのだ。ああもう、馬鹿だということは判っている、気持ち悪いということも百も承知だ。でもそのときは本当にそれぐらいのことを考えていたんだ。

 無論、今はそういうことを考えなくてもよくなった。その夜にしたって、「でも、いくら可愛い男の子っていっても排泄物を身体に浴びる訳だし、……それこそ好みじゃない男の子のをぼとぼと落とされるのはちっとも嬉しくないぞ」と冷静に考えて(冷静になったところでその程度だ)妄想を終わらせたぼくである。当時の自分が殺しに来ないとも限らないような、そんな景色を昴星が見せてくれている。

「ひひ。おにーさんうれしい? ちんこ、くせーの」

 ふっくらタマタマをぼくの口に、ということで自然に短いおちんちんの先っぽでぼくの鼻をくすぐることになる。嬉しい、すごく嬉しい。くらくらするほど臭いのに、その臭いをさせているのがこんなに可愛い少年だっていうだけで、ぼくはこんなに嬉しい。

「ほら、おにーさんキンタマしてよ」

 望むところだ、お望みの通りに。

 ふっくら、しっかりとしたボリューム感が昴星のタマタマにはある。流斗や諭良のタマタマはひょいぱくと口に入れられてしまう、年相応の小ささであるけれど、昴星のはもう一回り二回り大きい。状況に応じて形が変わるその場所は、今は二つの珠を内に秘めて、ぷっくりと丸い。でもさっきまでは左右に一つずつ、ちゃんと入っていることを告げるように甘いくびれを帯びていた。

「ひ、ひひ……、キンタマ、……超にゅるにゅるしてる……」

 オモラシ直後のタマタマは美味しい。いやどこだって美味しいに決まってるだけど、その皺が特有の舌触りとなって、他の場所とは味も変わって感じられる。その上昴星のタマタマは何度も言う通りふっくらしているから、何というか、「食べ応え」があるのだ。もちろん歯なんて立てたりしない。こんな美少年がぼくの口に舐めることだけ許してくれた大切な場所である。信頼の上に成り立っているのだ。

「ひひっ……、キンタマも、やっぱきもちぃや……、おにーさんの舌、エロすぎっ……」

 昴星の短いおちんちんが、短いまま少しずつ硬くなり、角度を上げ始める。寄り目気味に観察していたところから見上げてみれば、昴星はうんちスタイルに屈んだまま自分のおっぱいの先っぽもくりくりと弄っているのだった。乳首もすっかり性感帯になりつつあるのか、あるいは、もっと感じられるようにしようと思っているのか。

「あー、そうだ、おにーさんに、あとですっげーの見せる……」

 口に陰嚢を含んでいるから、すっげーの? って訊き返すことも出来ない。呼吸は自然、鼻でだけすることになるから、オシッコの臭いがどんどんどんどんと脳を侵食していく。

「ん、今日それ、撮って来たやつ見せようと思ってたんだけど、でも、どーせだから……、おにーさんに生で見せてあげる……、うんこ」

 うんちなら見せてもらったこと何度もある。というか、この後も当然するだろう、セックスをしようとするのであれば。

「ん、普段のとね、ちょっと違う……、こないだ諭良といっしょにやって、面白かったし、たぶんおにーさん好きだと思うから……」

 オシッコとは臭さのベクトルが違う。尿臭のそれに比べて便臭は何というか圧倒的だ。そして大差をつけて汚い。でも昴星がとびきり臭いそれを、見せびらかすようにひりだすときの顔が、体勢が、好きだと言ったら? 今更何を言ったところでヘンタイがヘンタイじゃなくなるわけでもないだろうから別に何も言いやしませんけどね。

「そんでさ、そんで、おにーさんがおれのそれ見て、エロいって思ったら、おにーさんそれで、オナニーして。おにーさんがおれでちんこシコシコしてるとこ見たい……」

 昴星が少し腰を引いた。「でも、……いまは、先におれ、ちんこ……」

 ぴく、ぴく、震えるペニスをぼくに晒して、ちょびっとだけ恥ずかしそうに昴星は強請る。皮を、自分でちょっとだけ剥いて、

「おにーさんの、好きな味になってる、すっげー臭い……、アンドしょっぱい、おれのちんこ、だよ……」

 羞恥心を演技っぽさでごまかしたつもりになっている。

「そうだね……、タマタマも美味しかったけど、昴星の皮の中はもっと美味しそうだ」

「ん。お風呂入っちゃったからチンカスついてないけど、でもすっげーくさいし……、それに……」

「ガマン汁が出て来てるね。昴星は感じるとすぐおちんちん濡らしちゃうの、可愛くっていいよね」

 だらしないちんこ、と自嘲気味に自称する。だらしなくなくなるように努力する過程にある中で、「あのさ、ガマン汁ってあんま出なくなんないようにならねーのかな」と昴星は訊いた。

「どうだろうね……。昴星、今毎日オナニーしてるんだよね?」

「んー……、うん。だいたい毎日」

 抜いてなくて溜まってて出てくるなら判るけど、……そうなるとやっぱり体質なんだろうなあ。

「ぼくとしては、昴星のガマン汁の味も好きだからいっぱい漏らしてくれるの嬉しいけどね」

「んー……、まー、おれも……、おにーさんにおいしいちんこなら、嬉しくないことは、ないけど……」

 膝をついて、ぼくの口におちんちんの先っぽを近づける。指を外すと、すぐまた恥ずかしがるように亀頭は隠れてしまう。そんな様子も愛らしい。

 昴星の臭いの焦点を口に含む。

「ふ、はぁあ……」

 しょっぱい。すごくしょっぱい。昴星自身が由利香のオシッコを「おまえのはしょっぱい」って断じたことがある。由利香のも、昴星自身のも知ってるぼくが判断するならば、……昴星だって負けていない。いや、臭いの強さが伴う分、昴星の方がよりしょっぱく感じられる部分さえあるかもしれない。

 そう、何より臭い。

 そこに、ガマン汁のしょっぱさも澄んで粘り気を帯びた加わる。

「お、にーさ……、オシッコ、していい……?」

 昴星が腰を早くも少し動かしながらぼくに求める。頻尿の少年が身体の水分を絞りつくすということはないだろう。ぼくがお尻を撫ぜると、それに応じるように勃起おちんちんの先っぽからじわじわとオシッコが溢れ出した。さっき出したばかりなのに、やはり勢いがある。ガマン汁が混ざって、微かに、……ほんの微かにではあるけれど、オシッコそのものにまろやかさが加えられたような舌触りだ。

 それが、とてもおいしい。

「はぁあ……、あひ……っ、おにーさんの口に、オシッコ漏らしてる……、っひゃっ、おにーさっ、まだ出てるまだっ、なめひゃらめっ……!」

 舌を絡めるだけで敏感な昴星のおちんちんはオシッコの勢いを乱す。ちょっと意地悪をしてあげたくなるぐらい可愛いのだからしょうがない。それは昴星が悪いわけでもないのだけど、ガマンしてもらおう。

「ん、ひ、ひっ、ひっ、おひっこぉ!」

 舌を止めると、蛇口が開いたように口の中へ一気にせせらぎが流れ込む。それがようやく収まったのを見計らって、また舌を絡める。

「ひゃんっ」

 あっけないほど、昴星は射精した。昴星の射精はいつも勢いが強い。たぶん精液の飛ばしっこでもしたら、諭良や流斗は勝負にならないぐらい遠くまで飛ぶんだろう。

 味も濃い。いやはや、

「ごちそうさま」

 伸び応えがあるというか。そういう言い方がいちばんしっくり来てしまう、そんな昴星のミルクだ。

昴星はひくひく震えながら、ぺたんと手を畳に付く。それから、

「うんこぉ……、出そう……」

 おちんちんをぎゅうっと硬くして、そう告白した。このままだとぼくの身体に落とされるな……、和式便器になりたがっていた男は、さすがにそれはちょっとまずいと思って足の間から抜け出す。なるほど確かに、昴星のお尻の穴からほんの少し、硬そうなうんちが頭を出しているところだった。洗面器を持ってこようと思ったぼくの足首を掴んで、

「待って、待って、おにーさん、見せたい……」

「見せるって……」

「さっき、言ってたやつ、おにーさんに見せる……、ティッシュ……!」

 昴星は必死に便意を堪え、震えながらぼくに求める。まあ、ティッシュは必要になるだろう。箱ごと昴星に渡すと、昴星は顔を真っ赤にしながら、再び畳の上でうんち座りをし、ティッシュを二枚重ねて掌に載せる。

「ん、んっ、見てて……、おにーさん、撮って……!」

 言われるがままに、慌ててカメラを三脚から解放した。勢い余って三脚が倒れたけどまあそれはしょうがない。昴星は自分の肛門にティッシュを宛がって、……何をしようというのか判らないけれど、まだ、便意を堪えているようだ。おちんちんの勃起は全く収まる気配がない。

「ん……、したら……、あ、そうだ……」

 大きく足を開いたままで、昴星は何か思い直したようにそのまま後ろの布団に倒れ込んだ。背中を丸めて、お尻を浮かせて、「おにーさんっ、まくら、おれの、腰んとこ……っ」求める。もう、何が何だかわからないけれどとにかく言う通りにした。昴星が掌で押さえるお尻は、ぼくの構えるカメラに向かってまっすぐ晒されている。両膝を曲げて、うん、和式便器のアングルだな、これは。

「ひ、ひひ、見ててね……?」

 昴星は、震えながらティッシュでカバーした肛門から、……少しずつ、排便をしはじめたようだ。

 あっけにとられるぼくの視線の先、昴星は昴星自身のおちんちんより二回り以上も太いうんちを、慎重な手つきでティッシュで包んでいく。硬いと言っても、握れば壊れてしまうに決まっている。それを、絶妙な力加減で指で支えながら、お尻からどんどん伸ばしていく。ティッシュでくるまれた「持ち手」の部分から、もう五センチほどは伸びたところで、するんとそれがお尻から抜けた。

「まだ……、まだだよ、これから……」

 言いながら、昴星のおちんちんから再びオシッコが噴き出した。それは昴星のおっぱいや顔に振りかかることになる。当然、シーツも濡れる。もっとも、それはもはやどうでもいいことで、ぼくの意識は棒状の自分の便を持つ昴星の動きにだけ集中していた。

「おは……ぁあ……!」

 昴星は、その黒茶色の棒を、元あった場所に収納するように挿入していく。

 ぱっくり開いていた肛門にそれはわずかながらの抵抗を与えつつも、ゆるゆると収まって行く。

 ピンク色の肛門に再び挟まり切ったところで、昴星のオシッコは止まった。

「ひ、ひひ……、うんこ、また入っちゃった……」

 ぼくがきちんと撮影していることを確認するように視線を送って、昴星は嬉しそうに笑う。

「これが……、見せたかったの?」

「んっ……、こないだ、ね、諭良と、いっしょに……、ガッコで、遊んだとき、……諭良、あいつ、うんこすごい、硬いの、おれが撮ってて、……触ってみたら、すっげー、硬かったから、あいつのうんこ、出したり入れたり、した……。あいつ、それで、すっげー、気持ちよくなっていっちゃって、……だからおれも、諭良のうんこ、いれた……。あいつのうんこ、おれのなか入ってるって思って、すっげー……、すっげぇ、ちんこ、気持ちよくなっちゃった……」

 昴星は括約筋の力の入れ方を心得きっているように、そっと手を離す。ティッシュで一部分包まれた昴星のうんちは、昴星の肛門からそそり立っている。

「でも、いつもそんな硬いの出せる訳じゃないよね? その、昴星だって柔らかいの出ちゃうときは……」

「ん、でも、今日は……、硬いの、出そうだったし、……おにーさんに、生で見せたかったんだ。……ひひ、おれ、うんこで気持ちよくなってんの……」

 本当に、このまま射精まで至ってしまえるだろう、昴星や諭良ならばそれが可能だと信じられる。悪臭を放つ自分自身のうんちを、そんな風に巧みに使いこなすことが、この少年たちには出来るのだ。

 そもそもそんなこと、「しよう」と思いつくのがすごいし、さらに進んで「見せよう」と思うのもすごい。昴星の特別さが、その行為にそのまんま現れていると言っていいだろう。

 でも、……いくら硬いと言っても、やっぱり物が物だ。徐々に崩れ始めそうな気配がある。昴星もそれに気づいたのだろう。

「んっ……んふぅ……ん、んぉお……」

 手品みたいに、お腹の中にあったうんちを、そのまま元あった場所へと戻していく。ティッシュはまるで栓のように、昴星の肛門にぎゅっと挟み込まれた。

「んっ、ふ……ぅひひ……、うんこ、うんこ漏れそう……っ」

 さすがに苦しそうだ。ぼくは少し考えて、「あと十秒我慢して」短く頼んでから、引き出しの中からコンドームを取り出す。ティッシュをどけた途端、昴星の、ぼくのペニスに匹敵するぐらい太いうんちは一気にあふれ出してしまうだろう。オシッコは洗えば落ちる、けど……。シーツが多少気になったのも事実である。

「え、え、おにーさんなにすんのっ……」

 茶色く汚れたティッシュをどける昴星の、ぱっくり開いた肛門から、今にも飛び出してきそうな棒状の便に、中指と人差し指で挟んだコンドームを宛がう。

「いいよ」

 と言うよりも早く、昴星のお腹に力が入った。

「んほぉ……!」

 緩く抑えたコンドームが、まっすぐに太く硬く膨らんでいく。それは水風船のようでもある。根元まで足りるかと一瞬不安がよぎったけれど、昴星のうんちはどうにかこうにか、ゴムの中に納まった。……なんて重さだ。洗面器越しに持ったことはあるけれど、ほとんどそのものリアルな重量感は、驚嘆に値する。

「はあぁ……」

 昴星はお腹に詰まっていた物体を吐き出した開放感に、ころんと布団にお尻を落とした。ぼくがすぐに結んで縛ったコンドームを見て「うおー……、すげー……」目を輝かせる。ピンク色のゴム膜の中、ぱんぱんに詰まっているのが昴星のうんちである。

「持ってみる? すごく重たいよ」

「う、うん……、うお、ほんとだ……、重たい、アンド、熱い……」

 こうして見ると、間違いなく排泄物なのだけど。

 昴星は興味津々の目で、自分の便を手の上に乗せて、その硬さを確かめるように握ったり、顔を寄せて観察したりする。異常な光景の中に在りながらもおちんちんはびんびんに勃起しているし、昴星のそういう顔は可愛らしいのだ。

「んひひ……、おれのうんこ」

 カメラを構えているぼくに気付いたのか、昴星は笑って自分の便を両の手のひらに乗せてかかげる。

「そっか、こうやってさ、ゴムの中入れちゃえば触れるし、またお尻の中入れたりも出来るなー。こんどさ、諭良と流もいっしょのとき、誰のうんこがいちばん太いか競争しようぜ」

「うん、……まあ、昴星のが一番太い気がするけど」

「んーなことねーよ、流だってめっちゃ太いのするときあるし、諭良だってすごいぞ。諭良のうんこ気持ちよかったし」

「それもそうか。みんな立派なうんちするよね。バナナみたいなさ」

「バナナかー」

 昴星はゴムの尻尾をもって、ずっしりとしたそれをぶら提げてまたしみじみ観察する。それからニヤリと笑って、

「あのさ、おにーさんっておれがアイスキャンディとかバナナとか食べてるとこ見たら興奮すんの?」

 なんてことを訊いてきた。

「ん? えーと、それはつまり……」

 そのポーズに、自分のペニスを咥えている姿を想像するから?

「うん、だからさ、……こうゆうの、ドキドキすんの?」

 昴星は右手に掴んだ(事実、「掴む」という行為にも耐え得る硬さと太さを備えたものだ)それを、何の躊躇いもなくぱくんと口に咥えて見せた。正直、びっくりしたという方が先に来る。だってそれ、昴星の、昴星のさっきお腹の中にあった、うんちだ。

 でも昴星は「んひひ」ゴムに包まれた茶色い塊を口の中へスライドさせたかと思うと、先端にちろちろと紅い舌を這わせる。昴星自身が自分の排泄物を、ゴム膜ごしとはいえ口に入れるという初体験に興奮しているらしいことは、そのおちんちんの震えで如実に判る。

「ん、ひひ、ほんふぉにひんほひへるみふぁい……、あ、そうだ」

 舌を外して、とろとろの溢れ出す自分のおちんちんの先っぽに、ゴムコーティングされた自分の便をぺとりと付ける。糸を引く粘液を絡めて、

「こうするとさ、ガマン汁の味して、もっとおにーさんのちんこっぽくなるよ」

 ……まあ、ゴム越しだから色々な問題は回避できるはずだ。昴星が楽しいならそれでいい。

「昴星は、うんち好きだねえ……」

「んん? ふひひ……」

 まだ、疑似フェラを続けている。その淫らな表情は一見の価値があるけれど、普段排泄物より「やっぱりおにーさんのちんこが好きっ」って言ってもらってる立場からすると、ちょっと寂しくもある訳で。

「昴星、もうお尻の中は空っぽ?」

「ん? んーん、まだ……、もうちょっと出る……」

「そう。じゃあ、すっきりしたほうがいいよね。……四つん這いになって」

 ローションのボトルの蓋を開ける。昴星は自分のうんちを咥えたまま、何の疑問もなくぼくにお尻を向けた。肛門は、排便直後でありながらあまり汚れていない。それだけ健康的で硬いものがすぽんと出たということだ。

「んひゃ!」

 ボトルの先ぐらい、昴星の肛門は平気で飲み込んでしまった。そのまま傾けて握れば、じわじわと昴星のお尻の中へ、透明なローションの粘液は入って行く。

「お、おにーさっ……、カンチョー、してっ、んの……?」

「そうだよ。お尻の中すっきりしなきゃ、繋がってる最中にまた出てきちゃうでしょ?」

 いつも、セックスの前にはきちんとお尻の中を綺麗にしてくれる昴星だ。それはつまり、排便する姿をじっくり楽しませてくれるという意味でもある。昴星自身、そういう姿をぼくに見せるのを好きでいてくれるということもあって、ぼくは何度も昴星の排便姿を目で見て楽しませてもらって来た。

 浣腸をするのもこれが初めてじゃない。だから昴星にとっては、浣腸はもう喜悦を呼ぶ行為以外の何物でもない。

「はい、お尻きゅってして」

「ん、ううぅん……」

 ローションのボトルを抜く。本当に、結構入るものなのだなあと感心してしまう。昴星はこてんと横たわって、「ひ、ひひ、うんこ、漏れそう……」ひくひく震えてぼくを見上げる。すぐに洗面器を持って来て、ゆっくりと抱き上げて、その上に跨らせた。昴星の手にはまだ、ペニス型のうんちがあった。

「いいよ、出して」

「ん、……んぉっ」

 括約筋をちょっと緩めただけだろう。それなのにお尻の中から、水鉄砲みたいな勢いで濁ったローションが噴き出してくる。相当ひどい下痢のときに匹敵する。けれど昴星は全く怯んだ気配もない。

「ひひっ、すげ、うんこぉ、噴水みたくなってるっ……」

 自分の肛門が見せるイリュージョンに、無邪気な声で笑う。その噴射の勢いのまま、まだ直腸の奥のほうに残っていたらしい塊も一緒になって洗面器の中に落ちた。

 とても、これだけの行為を披露した後とは思えない顔で、

「はーあ……、すっきりしたー」

 昴星は笑った。

 その笑顔の、何て可愛らしいことか……。

 昴星は自分に自信がない。比較対象たる他の二人が可愛いことは確かに事実である。しかし一方で、「昴星が可愛くない」「他の二人に比べて劣る」ということは全くない。昴星は、昴星にしか持ち得ない可愛らしさがあって、それは誰かと比べる必要もなく、とっても、とっても可愛くって価値があるものなんだ……。

 そういうことを、深いところから、感動と共に思わせるような笑顔だ。

「昴星は、……うんちの我慢は上手だよね、いつも」

「んー、そうかなー……? 前に一回漏らしちゃったことあるじゃん、そこで」

 トイレの前を指差す。ぼくが意地悪したときのことだから、それはノーカウントでも構わない。

「それにさ、こんなべちょべちょのうんこ漏らしちゃったら後片付け大変じゃん。だからがんばってガマンした」

 サラサラの髪を撫ぜる。これほど汚れた姿を晒してもなお、こんなに清潔感のある髪だ。

 全裸になったぼくが「おいで」と誘うと、昴星はオシッコまみれでうんちに汚れたお尻であることを少し気にした。構わずぼくが膝に乗せると、昴星の身体からは昴星の匂いが漂う。

「……ひひ、なんか、うれしい」

 昴星ははにかんだように笑った。

「嬉しい?」

「ん。おれさ、超くせーのに、おにーさんぜんぜん嫌がんねーし、こうやって膝乗してくれて、流たちみてーにさ、おれのこと可愛がってくれんの、うれしい」

 実際、可愛いもんだからね。

 とはいえ、昴星が何より可愛いのは、「謙虚」であるという点が大きいだろう。いや、人の家着くなりパンツを脱いで、寝てるぼくの顔面を跨いじゃうような子だけども。

「キスしようか?」

 こんな風に昴星に訊くことってあんまりないかもしれない。でも、

「んー、うん……」

 この子だってぼくの大事な大事な「恋人」だから。

 唇を、一回、二回、重ねてから、口を開けて、

「ん……っ、ん……、んぅ……、うは……、はっ、おに、さっ……、あは……っ」

 舌を深く深く重ね合って。昴星の唾液が美味しい。舌が、頬肉が、柔らかくて、甘い。昴星は純情に、敏感に、キスで感じながらぼくのペニスに両手を当てた。

「ぷぁ……、おにーさん……」

 蕩けるように微笑む。その顔は本当に女の子みたいに可愛い、綺麗。オシッコはしょっぱいものなのに、それに塗れた昴星はこんなに甘い……、っていうと昴星がいろいろ体調に問題を抱えてしまってるみたいだけれどそんなことはなくて、ええと要するに、ぼくの舌は昴星の持つ「甘み」に感応する器官であるという意味だ。

「ひひ、おにーさん好き……」

 昴星は、ぼくのペニスを両手で触れてじっと見下ろす。「すげー……、やっぱおにーさんさ、これ言うの何度目かわかんないけど、でも、やっぱおにーさんのちんこでけー……。熱くってさ、ガチガチで、すっごいビクビクしてんの、超エロいと思う……」

「そう……? 昴星のおちんちんもすっごくエロいよ。小さいのに、こんなビンビンにしちゃってるんだもの……」

 ぼくが人生で初めて触れた、「少年のおちんちん」だ。今だってこうして見ているだけで、こんなにドキドキする、興奮する、……例えばこの視界を一枚の写真に切り取るだけで、ぼくは何度だって射精できるはずだ。

「……ん、そだ。おにーさん、……えっと、もっかいキス」

 キスが気に入ったのかも知れない。ぼくだって可愛い子とキスをするのは大好きだ。再び唇を重ねると同時に、昴星が控えめで湿っぽい放屁の音を立てて、……ぼくとくっつけたおちんちんからオシッコを迸らせた。ぼくのペニスに直接せせらぎを当てながら、両手でじっくりと擦り込むように揉みしだく。昴星が喉の奥でくつっと笑った。ぼくは髪を撫ぜ、背中を撫ぜ、そのままお尻に指を当てた。昴星のぬるぬるの肛門は、まるで最初から「入り口」であったかのようにぼくの左右の中指をあっけなく飲み込んだ。途端、「っんんぅ」きゅっと締まってオシッコが止まる。けれど、

「おにふぁ、寝て……」

 舌を出したまま昴星はぼくに求め、仰向けになったぼくの腰を跨ぐと腹へ胸へ、上を向いたおちんちんから体温の飛沫を振り撒いてくれる。

「すごいね、……昴星のオシッコまみれになっちゃった。昴星のオモラシパンツになった気分だ」

「ん、ひひ。おにーさんおれのオシッコ好きだから、……飲んだり舐めたりするだけじゃなくってさ、おにーさんにいっぱいおれのオシッコ感じてほしい……」

 雨が降り止むなり、昴星は再びぼくに身を重ねて深い口づけをする。そのまま昴星はぼくの頬へ、額へ、首へ、肩へ、細かくキスを落としていく。こんな風に施されるのは滅多にない、……臨んだこともない、ぼくが幸せになるよりももっと幸せにしなくちゃいけないって思ってるから。でも昴星は「おにーさん、きもちぃ……? おにーさんもおっぱい、気持ちいといいな……」

 ぼくのペニスを指先で愛撫しながら、乳首を舐める。昴星自身のオシッコが撒かれた場所だから、昴星にとってもおいしいに違いない。しょっぱい味に変わった舌をぼくに教えるためにもう一度キスをしてから、昴星はぴったりとぼくの頬に頬を当てて、「やべー……、もう、おにーさんにこんなんしてんの、すげー……、ガマン出来なくなっちゃうよ……」溜め息を漏らす。

「どれ?」

「どれ、……って?」

「オシッコ? それともうんちかな」

「ち、ちげーよ、その……、せーしっ、おにーさんしてたら射精したくなったの!」

 もちろん、判ってるし、ありがたいし、うれしいし。

「そう。……射精するところ見せてくれるの?」

「んー……、うん。でもー」

 笑顔自身はこんなに可愛いことを知らないから、こんなにも可愛くなる……、そんなことをぼくは思った。

「おにーさんにちんこしてほしい。くっつきながら。おにーさんのさ、口も好きだけど、手でしてもらうのもいいなって……」

 昴星がよくなれる方法だったらぼくとしてもなんでもいい。ぼく自身、これほど勃起して欲が募っていてもそういう選択はあやまたず出来る、……出来て当然。

 あぐらの中に昴星を閉じ込めて、「おにーさんのも触ってていい?」向かい合わせの体勢がいいという理由の一つが、ぼくとキスをしたいからだということは想像出来る。だから右手で可愛いおちんちんを摘まんでぼくがキスをすると、自然と昴星も舌を出した。

「……初めて、昴星とこういうことした朝は、まだ昴星とこんな風に恋人同士になれるなんて思ってなかったなあ……」

 指先に、こりこりとしたおちんちん。皮を引っ張ると、にゅるりと透明な蜜が溢れてくる。昴星はぼくのペニスの熱さを両手で確かめながら、口を開けて、うっとりとした顔でいる。

「ん、でも……、おにーさん、……なりたかった?」

「……正直、そういう風には思わないようにしてたと思う。いけないことだって判ってたし、それに昴星には才斗もいるってすぐに知ったしね」

 ぴくん、ぴくんと震えるリズムが指に届く。ぼくがあれほど触れてみたいと望みながら諦めていたものが、指の中にはあった。

「ん、でもー……、おれ、おにーさんのこと好きだし……、あのな、おれな、おにーさんとすんの、すごく楽しいし、……ん……、しあわせなんだ。流や諭良や由利香とみんなですんの楽しいし、あと、……恥ずかしいの、すんのもドキドキするし、気持ちよくなるけど、こうやって、二人っきりでさ、おにーさんと、『恋人』でいるの、おれ、すげー、大事にしたいって思う……」

 また、しばしキス。舌が絡まるたび昴星が括約筋をきゅっと締めるのがよく伝わって来る。

「ぼくも、大事だよ。昴星と二人きりの、こういう時間……。昴星のこと、いっぱい可愛がってあげなきゃね? ぼくの『恋人』なんだから」

「んひひ……、おにーさんはかわいがんなきゃいけない相手いっぱいで大変だなー……、あっ……」

 ふかふかのタマタマを下から掬い上げて、揉んでみる。昴星はそれが案外に好きだ。背中を反らして、「ふあぁ……」と甘ったるい声を漏らした。

「おちんぽ、すっごいビクビクしてるね。でもよくガマンしてる」

「ら……、だって……」

「ガマンするのはオシッコだけでいいんだよ? 射精もうんちもぼくの前では……、今はオシッコだってガマンできなくていい。今日は昴星いっぱい頑張ったんだから」

「んん……」

 昴星はキスを我慢しない。「おにぃふぁ、が、そぉやって、甘やかすからおれ、ちんぽ、バカになるんだ……」咎めるように言いながら、ぼくのまだ控えめな愛撫では徐々に物足りなくなってきたか、舌は非常に積極的な動きを見せる。

「いきたい?」

「ん、ちんぽいきたい……、ちんぽ、いったらね、つぎ、こんど、おにーさんにしたい……」

 ぼくから溢れた蜜を亀頭に塗り付けて昴星は悩ましげに言った。

「そう? それは楽しみだね……。じゃあいっぱい気持ちよくしてあげる」

「おっ……!」

 きゅっと摘まんで、膨らんだカリ首をくりゅくりゅ弄る。昴星を手扱きするとなれば、……小さなおちんちんだから自然、そうなる。

「おっ、ちんぽ……っ、おにさっ、ちんぽきもちぃっ……ちんぽちんぽっちんぽっきもちよくなりゅっ……」

 よだれが唇の端から垂れた。左手でタマタマを支えて、右手ではおちんぽをくりゅくりゅ。お尻から伝ったローションのせいでタマタマもぬるぬるだ。

「あ、ひっ、ひっ、ひんぽいくっ、おにーさんのっ、おにーさんのちんぽっ、おにーさんのちんぽだしてい? おにーさんにっ、せーしかけたひっ……」

「いいよ」

 ぼくの裏筋に昴星の蜜がたっぷりと塗り付けられる。

「お、ほぉっ……ちんぽいくっ……もぉっ、ちんぽいくっいくっいくっ、いくっいくぅうっ」

 ぼくのをぎゅっと強く握って、昴星はぼくのペニスにびしゃっと勢いよく射精した。バウンドの回数が、とても多い。それはそのまま、昴星の覚えた快楽の強さを物語っている。

「んほぉお……、あ、ひ、ひひ……っ、ちんぽ、ちんぽいっひゃった……、おれ、ちんぽ、ちんぽしゅごい、きぉちいぃ……」

 ぼくが指を離しても、貪欲に腰を前後に動かし、ぼくのペニスに精液を塗り付けて来る。健気なしぐさの愛おしさに、止まらない愛撫に、溢れそうな気持ちを押し留めて口づけをする。

「可愛かったよ、昴星」

「ん……、んひひ……」

 昴星が手を離してぼくに抱き着く。ボリューミーで在りながらコンパクトな身体、抱き心地は最高だ。

「おにーさんさ、おれのちんぽ気持ちよくすんの、すっげーうまいよな」

 くすくす笑って昴星は言った。

「そうしてあげたいって思うからね。昴星だってぼくのすごく上手にしてくれてるよ?」

「そりゃー、だってさ、おれおにーさんのちんぽ大好きだもん。おにーさんもおれのちんぽ好き?」

「うん、好きだよ。昴星のおちんぽ大好きだよ」

「ひひ……、おにーさんが好きって言ってくれんなら、おれのちんぽずっとこんなんでいいや……。オシッコガマン出来なくっても、せーしすぐ出しちゃっても、おにーさん喜んでくれるちんぽがいいなー」

 旺盛な性欲にひと段落ついて、「ちんぽちんぽっ」て欲望のまま迸る言葉も落ち着いた。代わりにその唇からは愛情に満ち溢れた言葉が溢れて来る。昴星がそんな風に喜んでくれるのなら、ぼくはもっと、それこそ、指先だけで昴星を気持ちよくしてあげられたらいいなとさえ思う。

「したらさ……、おにーさん、おれのしたいの、させてくれる? おにーさんの気持ちよくしたい。でもここだと……」

「ああ……、またオシッコしてくれるの?」

「うん。あんまびちょびちょにしちゃうとおにーさん今夜寝るとこなくなっちゃうし」

 そんなにたくさん出るのか……。

「それにさ、おにーさんももうちんぽいきたいでしょ?」

 そりゃあもう。……そんな風に君の精液にまみれたところ、両の手のひらでぎゅっぎゅとされたなら。

 そんな次第で、またぼくらは浴室に。昴星はまずシャワーのお湯で浴槽の中を温める。手のひらを当てて「こんぐらいでいいかなー……? あんま冷たいとおにーさんたいへんだからな」浴槽そのものの温度を確かめて、ぼくにその中へ入らせたところで栓をした。この時点でまあ、だいたい何をしてくれるかは判る。

「なんかさ、おれな、おにーさんとか諭良とかにオシッコいっぱいひっかけられんの好きなんだけど、逆におれのオシッコひっかけんのちょっと悪い気してたんだ。おれのオシッコ、一番くせーし」

 浴槽の縁を跨いで、ぼくが座る足の間に膝で立って、言う。

「そう? 昴星のオシッコの匂いはみんな好きだし、ぼくは昴星にひっかけてもらえるの嬉しいけど」

「んー、何か諭良もそんなこと言ってた。だけどさ、あんま自信なくってさ、……でもやっぱ自信持っていいのかなって思うようになった。おにーさん、おれのオシッコまみれになってちんぽすげー勃起してるし。だからさ、これからおにーさんにもっとおれのオシッコかけて、でさ、おにーさんがうれしくって射精したら、そのあとセックスしようぜ」

 昴星は腰をふるふる振るって見せた。ぼくのペニスが震えたのを見て、「ひひ」と笑う。ぼくのうれしいことが昴星にも同じように感じられるからセックスだ。この瞬間だって。

「でも……、そんなにオシッコたくさん出せるの?」

「うん、何かさ、いっつもおにーさんとセックスするときになると、オシッコいくらでも出てくる。たぶん流たちもそうだろ? おにーさんといっしょにいるとちんぽゆるくなっちゃうんだ」

 それがいいことであるはずもないのだけど、……でも、さっきのトレーニングの時には案外長い時間しっかりとガマンすることが出来ていた訳だし、膀胱のスイッチのオンとオフが器用に出来るのなら、それはそれでいいかという気もする。

「じゃーいくよ、おにーさんちんぽシコシコしてて。でもってさ、おれのオシッコでいっぱい気持ちよくなってさ、出そうになったら飲まして」

 最初に皮を剥く、……そうでないと、昴星みたいに包茎のおちんちんはオシッコがどこに飛んじゃうか判らない。諭良なんて特にそうだ。お行儀のいい流斗だって、「ときどきおトイレびちょびちょにしちゃう」って恥ずかしそうに言っていた。

 でも、

「んふっ……」

 皮に隙間を作っただけで、昴星はもう手を後ろに回して触りもしない。遮ることのないおちんちんから、斜め下に位置するぼくのペニスに向かって放尿を始めた。

 熱くて愛しくて臭い液体を浴びて、ぼくは夢中になってペニスを扱く。……男の子のオシッコだ、昴星のオシッコだ。それの出るところを全部見せてもらいながら、のみならずオシッコという少年の欠片を浴びさせてもらいながらするオナニー、……悪かろうはずがない。

「んひひっ、おにーさんちんぽきもちい? おれのオシッコ、もっと、いっぱいあげるっ」

 腰を勢いよく前後に振る。ペニスに降っていた温水の雨はぼくの胸へ顔へと飛び散る。ぼくも昴星と同じ臭いになって行く。幸せを覚える。昴星はそのままぼくの身体へと身を寄せて、一度勢いよくぼくの口目がけてオシッコを噴き上げて、そのまま唇を重ねて来た。

「ん、おにぃふぁ、ひゅきっ、……ひひ、おにーさんとこうやって、エロいこといっぱいすんのおれ、大好きだよー」

 身体を、そのままずらして昴星のオシッコで温まったぼくの身体中にキスを落としていく。さすがに昴星の噴水はもう終わった。ぼくの右手を停めて、唇をへその下まで至ったところで見上げて、

「ちんぽ気持ちよくなりたい? おれのオシッコですっげー興奮した?」

 はい、もう、なりたいです。昴星のオシッコ、大好きです!

「ん、じゃー、ひひ、ちんぽいただきまーす、ひひっ」

 はぷ、と口に収めた。「んぉ、ふっげ、おひっこでひょっぱい……」

 えっちだなあ……、昴星のえっちさは、本当にすごい。この子自身、自分がそういう風に見られていることをどの程度意識しているか判らないけれど、淫らさという点で言えば無意識であるがゆえに誰よりも強いものがある。顔も、本人は無自覚だけどとても可愛いし。

「んふ……、そうだ、おにーさん、もうちょっと背中下げて」

 ぼくがオシッコの水溜りの中に背中を下ろすと、昴星のスペースなんてほとんどなくなってしまう。「いいから、はやくはやく」言われるままにそうすると、昴星は濡れた身体でぼくの上にあべこべに乗った。「オシッコ、ちょっと補充」とぼくの下腹部に少量の尿を振り撒いてから、「ほら、おにーさんおれの肛門丸見えのほうがもっと興奮するだろ」……実際、すごい眺めを披露される。太くて硬い便をひりだして、さらにその胎内に戻してということを繰り返した場所は十分に緩んでいて、

「……いれたい?」

 再びぼくのペニスにキスをする昴星には、ぼくの欲なんてもうすぐに判ってしまっているらしい。

「……入れたい……」

「んひひ……」

 でも昴星はフェラチオがしたいのではないのか。今のぼくが昴星に出来ることなんて、「味」をその口に贈ることぐらいだし……。

「いいよー」

 ちゅ、と音を立ててもう一度キス、して足の間からぼくを覗いた。

「おれもね、ほんとはもう、おにーさんのちんぽ欲しい。でも、もうちょっとだけ待ってて。おにーさんのちんぽ、もうちょっとだけしゃぶってたい」

 あむ、と口に咥えるなり、「んんー……」と声を漏らす。口の中で器用に動く舌のリアルさと、……目の前の昴星のアヌス、後ろから見るまんまるなタマタマ。昴星は頭を動かさず、ひとしきりぼくのペニスを味わってから、「ん!」と顔を上げた。

「おにーさんのちんぽさ、しゃぶれんの、おにーさんといっしょのときだけじゃん? ……一人のときとかさ、おにーさんのちんぽ欲しいなーって思って、味とか臭いとか思い出そうって頑張るんだけど、やっぱ本物のがいちばんだし、……それとね、あと、ちんぽ入れてくれる前に、今日もういっこだけして欲しいことある……」

 ぼくの上から起き上がり、浴槽の縁に腰掛けて昴星は言う。おちんちんはずっとぴんと上向きだ。でも、ほんのりはにかんだ笑顔が少年らしく眩い。

「何でも、ぼくに出来ることなら」

「ほんと? ……でも、汚いことだよ?」

 オシッコまみれにしてもらった上で、何を恐れることがあろうか。構わないよとぼくが言うと、「じゃー、ちょっと待ってて」とフルチンのまま浴室を出て、すぐ戻って来た。

「これ、して欲しい……」

 手には、浣腸。自分で買ったのかどうなのかは判らないけど、

「その、さっきうんこいっぱいしてさ、もうすっきりしたかなって思ったけどまだちょっと残ってる気ぃするし、あと、……その、おにーさんにカンチョーしてもらいたい……」

「好きなんだ? 浣腸」

「ひひ、……だってさ、おれ、うんこちゃんとガマンできんのに、できなくなっちゃう感じがさ、すげー恥ずかしくって、……好き」

 未だ花が開ききっているとは言えないけれど、しっかりとマゾヒズムを理解して求める。「サディストのSはサービスのS」という言い回しを初めて知ったのはいつのことだろう? そんな言葉を知るより前から、ぼくは天使にサービスするのが仕事だ。

 相手が天使であるから、それはとても神々しい仕事だ。

「いいよ。じゃあ、ぼくも支度するよ」

「したく?」

「昴星がみっともなくうんち漏らしちゃうところ撮りたい。ダメかな」

 にぃ、と微笑んで、「撮ってほしい!」と昴星はすぐに頷いた。

 洗面所に、背を高くした三脚とカメラを設置する。ぼくが録画を始めると、昴星は嬉しそうにお尻を突き出して、「おにーさん、早く早く」そのお尻をふりふりと揺らして見せた。

 浣腸の蓋を開けて、ちょっとだけ中の液を押し出す。そうすると内容されたグリセリンが注入口を濡らし、挿入しやすくなるのだ。……そんな知識を、いつの間にか当たり前のこととして身に付けているぼくだった。もっとも、昴星のお尻の現状を考えればそれほど気を遣わなくてもいいだろうけど。

 ピンク色のアヌスにぷすりと差し込む。

「んぉ……、ぴゅって入って来た……」

 お尻の中は開いている、そもそもいまは便秘でもない。だから20ccの浣腸液はごくすんなり昴星のお尻の中に飲み込まれた。あまりにも、あっさり。

「これだけじゃ足りないんじゃない?」

「ん……、もっと欲しいかも……、でもカンチョーもう持って来てない……」

 あんまり妙なもの入れるのも後でお腹に来そうだな、と思う。考えを巡らせるぼくの視線が導かれたのは、昴星がさっきコンドームの中に封じた、バナナ型のうんちだ。

 元々昴星の中にあったものだ。さっき同様、すんなり飲み込むことが出来るだろう。表面を一度洗って、ローションを纏わせて「容れて見せて」と昴星に手渡す。昴星は「うん」と頷いて受け取ると、カメラを肩越しに見やりながら、

「うんこ、入れるとこ撮ってて」

 と強請ってから、自分の手でぬるぬる滑るバナナを肛門にあてがう。

「あ……、さっきより硬くなってる、アンド、……あったかくなくなっちゃった」

「それは、まあ……、乾いたら硬くなっちゃうもんなんだろうね」

「ん、でもぉ……、ひひ、硬くなってんの、ちんぽみたいで、エロいかも……、おれの、うんこなのに……」

 綺麗な皺の肛門に、ごく薄い膜に包まれた昴星自身の便が再び埋め込まれていく。二度目だけど、……いやはや、人間の身体の奇跡と昴星という少年の発想力の秀逸さというものを思い知らされる。

「んほぉ……、お……、全部、入っちゃった……」

 昴星のお尻の穴からは、ゴムの結び目から先がはみ出ている。きゅうっと締まった肛門に、ピンク色のゴムは可愛らしいアクセントだ。昴星はお尻を突き出した格好でひとしきりそれをぼくに観察させてから、そろそろと振り向いて、足を大きく開いて浴槽の縁にお尻を下ろした。

「んぁん!」

 ぼくには想像しか出来ないけれど、それだけで肛門の内側でぐっとゴム入りうんちがお腹を突き上げるような感覚を昴星に与えるのだろう。一瞬びくんと震えて、でも、

「……ひひ、お腹、ぐるぐる言ってんの……、聴こえる?」

 ぼくに訊く。

「そうだね、ほんの少しだけど聴こえる。……苦しかったら出しちゃていいんだよ?」

 昴星はふるふると首を横に振って、「もうちょっと、このまんまがいい……、なんか、ね、ちんぽね、ずーっとしびれてるみたいで、すっげーきもちぃ……」と恍惚の笑みを浮かべた。

「お尻の穴、ずっとぎゅーってしてるからかな?」

「ん、たぶん……、すっげー、オシッコもしたいし、……せーしも出したいけど、でも、まだガマンしてんの、……ね、おにーさん、いっぱい、いっぱいちんぽちょうだいね? おれのお尻にさ、おにーさんのちんぽ、すっげー欲しいから、いっぱいして……」

 昴星は、淫らな子だ。

 でもこうして見ると、女の子っぽい顔立ちも透き通った声も、やっぱりとても可愛らしい男の子なのだ。

「もちろん。たくさん愛さなきゃね」

「んひひ……」

 おちんちんをヒクヒクさせながら、昴星は自分の両の人差し指をぱくりと咥えて濡らす。どうするのかなと思っていたら、その指をツンと尖ったおっぱいの先に当てて、くりくりと弄り始めた。

「あひ……、ひひ、ちんぽ、したら、すぐ出ちゃうからぁ……、おっぱい……」

 触ってみると、見た目以上に柔らかいおっぱいなのだ、……男の子としては驚くべきレベルで柔らかいおっぱいなのだ。

 その先端に実る乳首は、白い肌にあって甘ったるい桃色。由利香にも負けない少女っぽさだ。

「普段、オナニーのときにおっぱいいじるの?」

「んっと……、いじる、ときもある……、でも、ボッキしたらすぐちんぽシコシコしちゃうかな……。でもおっぱい、最近きもちぃ……。おにーさんが吸ったり揉んだり、するから……」

「自然なことだよ。男の子だっておっぱい気持ちよくって当然だと思う」

「ん、そう……、っお!」

 ぎゅる、という音がぼくの耳にも届いてきた。昴星が思わず両手をお腹に当てる。お腹も、おっぱいと同じぐらいに柔らかい昴星である。

「出そう?」

「んふ、……出る……、出してい……?」

「もちろん。昴星の好きにしていいよ」

 洗面器も持って来てある。お風呂場の床ぐらい、いくらでも汚してくれて構わないのだ。

「おにーさん、に、……うんこ、……出さしてほしい……」

 放って置いたってガマン出来なくて出しちゃうに決まってるのに、昴星はお尻を突き出して甘える。昴星に(限ったことではないけれど)甘えられるのは言うまでもなく大きなハピネス。ましてもう六年生にもなって、そんな風に甘える機会だってもうあまりない時分の少年がぼくにそういう姿を見せてくれるのだから、いくらだって甘やかしたくなってしまうのは当然のこと。

「いいよ、じゃあ、いっぱい出させてあげる」

「ん……、ひひ、おにーさん大好き……」

 腰掛を置いて、昴星に抱き着かせる。もちもちとしたお尻の肌触りを手のひらで楽しんでから、指を肛門に当てた。ゴムの結び口が指に当たる。その周辺も、既に昴星の胎内から溢れ出た浣腸液でぬるぬるしている。

「んっ、おにーさん、キス、キスしながらうんこ」

 頬をぺろぺろ舐めながら昴星が強請る。

「いいよ。キスしながらオモラシして見せてね」

 ぐい、と指を押し込む。

「おはぁ……! あは、あ、っ、うんこっ、うんこっ、おなかぁあっ」

 確かに昴星のうんちは難くなっている。指先で押したぐらいではビクともしない。それが、まだお腹の中に少し残っているうんちと合わせて押し上がるのだから、昴星が感じるのはどういったものか、……想像さえ出来ないけれど、たぶん、ぼくとセックスをするとき昴星が感じているものに近い。

 ぼくの指を押し返す力がぎゅんっと働く。

「お、にふあっ、うんこっ、もぉうんこっ、うんこぉっ」

 おちんちんから弱々しい勢いでオシッコが滴り落ちる。

「うん、ごめんね。……昴星、力入れて、一気に出して……」

「んっ、ん……んぃいいいいいっ」

 昴星がぼくにぎゅうと抱き着きながら、力を籠める。ぼくの腹部に胸に激しい飛沫がほとばしると同時に、指を抜いた。にゅるん、と吐き出されたバナナ型のうんち包みが「ごとん」っていう硬い音と共に洗面器で弾んだのに遅れて、泡混じりの浣腸液がぶじゅっと飛び散る。……それからやっと、お腹の奥のほう、……まあ、まだ無理に出さなくってもよかったんだろうなと思われる、少量のうんちがぽとぽとと零れ落ちた。

「はぁあ……、あぁ……うんこ……、うんこ、でた……」

 昴星は思い出したようにぼくの唇を舐める。

「すっきりした?」

「……あふ……、うん……」

 昴星は射精していた。激しい脱糞がそのまま昴星のお尻の穴にとっては快楽だ。肛門に触ってみると、余韻の震えでひくついていて、柔らかい。

「はう……、うー……、おにーさんの、ちんぽもらう前に、出ちゃった……せーし……」

「しょうがないよ。うんちも精液もずっと我慢してたんだもの。ぼくの前では何の我慢もしなくていい……、オシッコ我慢の練習のとき以外はね」

 ぼくが抱きしめると、こくんと頷いて、またほっぺたにキスをくれる。

「ごめんな、おにーさん……、いっつもおれ、なー……、もっとさ、ちゃんとガマンできるちんぽだったら、おにーさんのこともっともっと気持ちよくしてあげられんのにって思う……」

 別に気にしたこともない。恋人たちがぼくを置いて気持ちよくなることを、ぼくが恨めしく思う理由がない。いまの昴星だって、見るだけで幸せな姿なのだ。

「……おにーさん、お風呂入るの、だいじょぶ?」

「お風呂?」

 白い浴槽の底には昴星のオシッコが溜まっている。もちろん、500ミリのペットボトル一本か二本程度の量ではあるけれど。

「お礼の、フェラ。でもって……、そしたら、こんどこそちんぽ入れてほしい……」

 そんな、無理しなくてもいいのになあ。でもしてくれると言うのなら断る理由もない。冷たくなってしまったオシッコ風呂の中に尻を浸すと、昴星がカメラを三脚から外してぼくに渡す。

「おれがね、うんこで気持ちよくなんの、ガマン出来なかったから、おにーさん、こんど、気持ちよくする番」

 冷たい尿の池、ぼくの足の間にはまって、昴星はぼくのペニスではなく浴槽の底に溜まったオシッコに唇を当てて、……じゅる、と啜った。

「しょっぱい?」

 昴星は口の中にオシッコを溜めたまま、ほんのり微笑んでこくんと微笑む。その口を、ぼくのペニスに当てる前に頬に指を当て、キスを誘った。うん、しょっぱいね。でも美味しいね。昴星がぼくのためにたくさんしてくれたオシッコだから、美味しいに決まっている。

「もー……、おにーさんに飲ますのは、もっとあったかいののほうがいいだろ……」

「冷えてても美味しいよ」

「んひひ……、おにーさんだけだよ、おれのオシッコおいしいとか言うの……」

 それだけ昴星にとってぼくが特別だと言ってくれるなら、ぼくとしても得な舌を持ったものだと思う。昴星は手のひらでオシッコを掬い取ると、「ちょっと、つめたいかもしんねーけど……」その手で昴星の精液を纏ったぼくのペニスに触れる。

「あんまり昴星のオシッコいっぱい付けられたら、ぼくと昴星、同じ臭いになっちゃうかもね」

「んー……、おにーさんのちんぽがあんま臭くなっちゃうのはやだなー……。あ、でも、こないだね、諭良が、おれのちんぽの臭いになりたいって言ってた。なってどうすんだろ」

 諭良だって昴星が大好きだから、……何であれ、昴星の要素に対しての憧れはあるのだろう。

「それで、どうしたの?」

「んーと、……最初はね、おれのオモラシパンツ穿いてさ、でもそれだけじゃ足りないってあいつ言うから、コンドームでおれがオシッコしてさ、おれのちんぽ外して、あいつのちんぽ入れて」

 もちろん、オシッコはすぐ零れてしまったという。だけど諭良のおちんちんは昴星のオシッコが詰まっていたコンドームの中でみるみるうちに勃起してしまったのだそうだ。

「ちんぽにオシッコ付けるだけであんなボッキしなくたっていいのになーって……、うれひぃへど」

 はむ、とぼくを咥えて昴星は笑う。考えてみるとぼくのペニスも昴星のオシッコを浴び精液を浴び、……それがぼく自身、勃起をより強固なものにしていることについては認めざるを得ない。

「昴星の、……可愛いおちんちんのジュースだから、どこでだって味わえるし、どこだって美味しいって思うの、自然なことだと思うよ」

「おひっほ、……ひんぽの、ジュース?」

「そう。昴星のおちんちんから出た、しぼりたて百パーセントのジュース」

「……ちんぽのジュースかー……」

 昴星は自分のお腹の下の、一瞬ぐらいは勃起の収まった瞬間もあったはず、でも相変わらずぴんと上を向いたおちんちんを見た。

「昴星も、諭良や流斗や才斗のオシッコ飲むの好きでしょ? そもそも由利香も含めてさ、みんなのことが大好きでしょう?」

「んー……、そっか。好きなやつのオシッコだからおいしいし、……別にオシッコって思わなくたっていいんだよな、ちんぽから……、由利香はまんこだけど、なんか『しぼる』っていうのも合ってる気がするし、……ひひひ、ちんぽジュースか、せーしはちんぽミルクだもんな」

 昴星の身体はずっと変わらない、ぼくにとって可愛く愛しいばかりの存在のままこれからも推移して行くだろう。ただ、こうして会うたびに、時間を重ねるごとに、ぼくは昴星に新しい価値を見出していく。可愛い可愛い昴星は、美味しいジュースをいつでもぼくに呑ませてくれる子なのだ。

 お礼にぼくが出来ることなんてそう多くもない。

「んひ、……ひぉひ?」

 深く咥え込んだ、昴星味のぼくのペニス、口を外しては、丹念に浴槽に溜まったオシッコを擦り込んで、……ああ、実際ぼくも昴星みたいな臭いになったら。諭良の気持ちがちょっと判る。どんなところであれ、好きな子とお揃いって嬉しいに決まってる。

「うん……、もういきそうだよ」

「んぅ、おにーふぁのひんぽみぅく」

 昴星がぼくとカメラを見て、激しく頭を動かす。もう、その味をぼくが放つまで絶対に離さないという強固な意志を感じさせる。舌の動きはある種の執念を感じさせるとともに、何処までも甘ったるく優しいし、仮令男性器を深々咥えた顔だったとしても、昴星は美少年なのだ。

 ぼくの可愛い恋人の一人なのだ。

「んっ、みぅく、みぅくっ、ひんぽみぅくっ、んうっ、んぅ……んんー……、ん、……んぱっ」

 顔を上げたときにはもう口を開けている、そしてそこに紅い舌を覗かせて笑う。ぎゅっと目を閉じて、少し震えて、

「っんーッ、やっぱおにーさんのちんぽミルク最高……!」

 溜め息交じりに、吐き出した。

「そう……、そうなのかな」

「うん! あのな、おにーさん前に才斗の飲んですげー美味しいって言ってただろ? でもな、おれ、おれだけじゃなくって流とか諭良もそうだと思うけど、おにーさんのせーしも超美味しいんだ、才斗とは味違うけど、どっちがおいしいとかそういうんじゃなくて、どっちも最高!」

 嬉しいような、そうでもないような。

「昴星のおちんちんミルクだって美味しいんだよ?」

「そうかなー……、おれの、ほら、ちんぽくせーし、何か……、せーしもくさくない?」

「臭いは人それぞれだし、それがいいからぼくも流斗たちも飲みたがるんだと思うよ」

「だといいけどなー……」

 昴星はぴったりぼくに身を重ねて、「ひひ、結局おにーさんのちんぽミルク飲ませてもらっちゃった。なんか遠回りしたみてー」笑う。

「遠回り?」

「ん、だってさ、さっきちんぽ入れてくれたってよかったのに、おれがワガママゆってカンチョーとかしてもらったから時間倍かかっちゃったじゃん?」

 それの何処が問題だと思うのか判らないが、抱き締めて、キスをして、……すっごいオシッコの匂い、端的に言えば「オシッコ臭い」のに、のに、のに、……可愛いなあって心が綻ぶ。

 オシッコ臭さが染み付いてしまいそうな髪に口づけをして、「……挿れてもいい?」訊く。

「んぉ、もう? いったばっかなのにいいの?」

「うん……、もう。何か、可愛くってもうダメだ……」

 昴星はさっきまで自分の口に入っていたぼくのペニスを見やる。一回や二回では到底収まらない量の熱が、ぼくのその場所でのたうっているのを見て、「……ひひ、おにーさんのこうゆうとこ、好きだよ」と笑う。

「こういうとこ?」

「うん、優しくってさ、でも、すっげーエロくてヘンタイなとこ」

 昴星が立ち上がり、身軽に浴槽を跨いで洗面所の戸棚を開ける。どこに何が入っているかなんて全部知られているし、それで不自由も感じない。ゴムを持って戻って来る前に、一度口をぐしゅぐしゅ濯いでいた。キスがしたいんだろう。

「お尻さ、ぶっというんこ何度も出したのに、まだむずむずすんの……、おにーさんのちんぽじゃなきゃやだってお尻もわかってんだよな」

 ゴムを付けるのが、昴星はすごく上手だ。くるりんぱと付けて、大きく足を開いてぼくを跨ぐ。

「昴星に欲しがってもらえるのはすごく幸せだし、この景色もすっごく幸せだし……、うん、昴星とこうしてる時間がすごく幸せなんだなあ……」

 馬鹿みたいに言ったぼくに「ひひひ」と笑って、ペニスを指で支えながら、ゆっくり肛門に押し付ける。

「んほぉ……、おにーさんの、ちんぽ……、んひひっ、おにーさんのちんぽだぁ……!」

 太いうんちで十分慣れている、はずなのに、やっぱり閉じているのが自然な場所。ぼくのペニスはすんなりと、でも、確かな圧力に迎え入れられる。自ら肉を拓く感触、昴星が、歓迎するように吸い付いてくる感触、……ぎゅうっと抱擁するような括約筋の圧迫。ぼくがぼくでいてよかったと思う瞬間だ、

「ひひ……、しあわせ……」

 昴星が抱き着いて、言葉を漏らす。

「おれね……、セックスすんの大好き、ちんぽ、お尻に入れてもらえんのすっげー好き……、でもそんだけじゃなくってね、ちんぽしゃぶんの好きだし、ちんぽしゃぶってもらうのも好きだし、あと……、はずかしいこといっぱいすんの、大好き、おにーさんにさ、ちんぽ見てもらうの、もう、当たり前になってるかもしんないけど、でも、いまでもドキドキするし……」

「ぼくも、昴星のおちんちん見せてもらえるとすごくドキドキするよ。当たり前になることなんてないと思う」

 二人の間で震える昴星のおちんちんは、もうオシッコなのか精液の残りなのかそれともガマン汁なのか判らないものでとろとろに濡れている。ぼくがじっと見ると、嬉しそうにはにかみながら、ぎゅっとぼくのペニスを掴んで、その短くって丸っこい茎をひくひくさせて見せる。

「ひひ、おにーさんのちんぽビクッてなった……。んじゃーさ、おにーさん……、これからもおれのちんぽ、いっぱい見てね? いっぱい触って、しゃぶったりしてくれよな? おれ、がんばる。おにーさんにずーっと『可愛い』って言ってもらえるように、がんばるからさ」

 二十何年生きて来て、まだまだこれから学ぶことがある。愛情に関してはまだ判り切れてないことばかりだ。

 例えば人間は、背景がどんな場所であれ、恋人を抱きしめるとき、いつでも例外なく愛を感じるということ。……逆に言えば、この瞬間の幸せだけを切り取るとさっき昴星がこのバスタブで大量にオシッコしてくれたこととか自分のうんちでオナニーしてくれたこととかどうでもよくなってしまう……、のだけど、そういう訳でもないのが人間の面白いところだろう。そういった段取りを踏んでいるから、愛情が底上げされて、ぼくの、もうたまらない欲を生み出すのに繋がっているのは間違いない。

「大好きだよ、昴星。……動ける?」

「うんっ……、もぉ、おにーさんのちんぽミルク早く欲しい……っ」

 昴星が、膝で支えた腰をバウンドさせ始める。年齢と身長を考えればお世辞にも「軽い」とは言いがたい身体ではあるけれど、その分全身でぼくを気持ちよくしてくれようとする、熱量を感じる。ぼくのペニスは昴星の肛門の押圧とそのあどけない肉体の上下動によって自分の右手なんか比べ物にならないほどの快楽に包まれている。無論、それはぼくの恋人だから。恋人のしてくれていることだから。

「お、にぃさっ、あはっ、あ、すっげ、んっ、すげっ、ひもちぃっ、ちんぽっちんぽっ、おにーひゃっ、ちんぽぉっ、ちんぽだいひゅきっ」

 上下動の度、短いおちんちんが弾む。それはもちろん腰のバウンドに比べればずっと小さな振幅で、ぷるぷる、ぷるぷる、小刻みに震えながら粘液を飛び散らせている。その場所の愛らしい動きはもとより、ぽっちゃりもっちりとした昴星の体型、……膨らんでいると言っても構わないレベルのおっぱい、そして、……髪が長いことが手伝っているのも事実だろうけどまずその形からして少女めいた顔立ち、快楽に表情を笑い蕩かせてうわごとのように「ちんぽ」を繰り返す艶めいた唇……。

 諭良や流斗や、ソラやルカとは違う、誰が何番目って順番を付けるつもりもないし必要もない。ただ昴星の今の姿は、少年としての美しさの、一つの上限ではないだろうかという気持ちになる。そういう存在がぼくと繋がっている。

 そんなことを考えているうちに、ぼくの思考は意味を持たなくなる、……いや、そもそも最初から、意味なんてなかった。昴星とぎゅっと手を繋いで、

「いくよ」

 弾む身体に言う。

「んっ、ちんぽミルクっ、ちんぽっ、ちんぽっちんぽちんぽぉっ、おっ、おほっ、でてりゅっ、ちんぽでてっ、ぅん! んっ! んぅううっ」

 考えてはいなかったけれど、でもちゃんと目に焼き付けていた。

 昴星の可愛さが、やっぱり、本当に。

 すごい。

 

 

 

 

 寝てていいよと言ったのに昴星は後片付けを手伝ってくれた。おうちではあまり片付けもせずに、才斗を困らせてばかりいるらしい。「こないだ机の下掃除したらこんぐらいのゴキブリのミイラがひっくりかえってた」……、のに、

「だって、ほら……、トイレじゃないとこでうんこしたの、おれだし……」

 妙なところで気を遣う。お礼にぼくが出来るのは、綺麗になったお風呂にたっぷりお湯を溜めて、昴星の身体の隅から隅まで綺麗にしてあげることぐらいだけど、

「おにーさんとこの風呂、おれんちのより広くていいなーって思う」

 くつろぎの時間を提供できたのならば十分だ。

「あのさー、おにーさん?」

 ぼくにもたれながら、昴星が問う。少し眠そうな声だ。早起きした上に午前中から激しい運動をしたから、睡魔がにじり寄って来たのかも知れない。出たら、少しお昼寝をしたっていい。

「ん?」

「セックスってさ、……飽きるときなんて来んのかなー?」

 昴星と出遭って、まだ半年も経っていない。この半年間、信じられないことがたくさん起こって、……流斗に諭良に由利香に、ソラにルカ、ぼくはたくさんの「セックス」をしてきた。

 はたして、飽きていない。全く飽きるどころか、ますます「したい」と思うようになっている。

「ないだろうし、なくたっていいんじゃないかな……」

 足の間にいる昴星を後ろから抱き締めて、そのやわらかなお腹を撫ぜつつぼくは答えた。

「もちろん、全くガマン出来ない状況はよくないよね。でも昴星やぼくの場合、『したいな』って思ったとき、応えてくれる人が側にいるんだ。だったら、素直に『したい』って言っていいと思うし、その人のことを好きでいる限り飽きることなんてないと思うよ」

 少なくとも今、この幸せが生きることの意味と直結しているぼくに言えるのはそれぐらいだ。昴星の抱いた疑問に対して、どの程度有効な回答になったかどうかは判らないけど、

「ふーん、そっか」

 一応、昴星は納得したようだ。

「ガマンするとこだけはちゃんとして、それ以外はガマンしなくってもいい? その、要するにさ、学校ではオシッコちゃんとガマンするし、オネショもしねーようにちゃんと出来るようなちんこにするけど、おにーさんといるときはオシッコもセックスもガマン出来なくなっちゃうばかちんこでもいい?」

 ばかちんこ……。

「まあ……、それが理想だね。ぼくとしても、自分のが昴星にとっていつでもいつまでも価値のあるものであったらいいなって思うから」

「おにーさんはもっと自分のちんこに自信持っていいと思うけどなー。少なくともさ、おれのちんちくりんのちんこよりずっとカッコいいし、くさくねーし」

 ぼくの手を解いて、ざばふと波を立たせて立ち上がる。振り向いて、全く何の力も籠っていない、だから小さいだけ、……でもお湯で温まった分か、袋はタマタマの愛らしい丸みを帯びて垂れ下がったおちんちんを指で弾いて揺らして見せる。

「おにーさん、お風呂出たらちょびっとだけ昼寝しようぜ」

「うん、そうしようね」

「でさ、またオシッコガマンの練習おれしたい。オネショもちゃんとさ、しないようにする。だからさ、……寝る前にオシッコしといたら、オネショしなくてすむだろ? だからー」

 全く、……何でこんなに何度も見ているのに、改めて見るたびに心が躍るのだろう。魔性の器官とでも呼べばいいのか……。

「ちんぽジュース、おにーさん飲みたくない?」

 さあ、果たしてぼくらに昼寝をする暇はあるのだろうか。

 そんなことを薄く考えた瞬間もあった、気がする。でも、一口でも物足りないサイズの、ペコロス型包茎おちんちんを口に含むと、そんなことも忘れる。ふにゅっとした舌触り、吸い心地。

「んふぁ……」

 しょっぱい液体が、口の中いっぱいに広がる。昴星がぼくのために搾りだしてくれるジュース。四十度のお湯に浸って乾いた喉に甘く感じるのだから、昴星がくれる塩化ナトリウムが、それだけぼくの求めるものであるということだ。

「あ、はっ……、おにーさん、もぉ……」

 飲み切っても、もっと。

 ジュースのあとには、ミルクが欲しい。

 口の中で、どんどん熱を帯びて行くおちんちんが、たまらなく美味しい。


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