おかえりなさいませ、お兄さま

 オシッコが好きなので、ある。

 ……冒頭から自分の変態嗜好を正直に言うのも嫌なものだ、そんなこと告白される方だってたまったもんじゃないだろう。「あっ……、はい」ぐらいの希薄なリアクションでいいし、距離を置いてもらって構わない。

 ぼくは、十歳の少年一人、十二歳の少年二人と、「恋人」の関係にあるちょっと待って通報しないで。

 ……ただ、事実としてそうであるのだから仕方がない。

 ぼく自身、自分がショタコンであるということは認めているし、同時に「少年にとって出来る限り無害なショタコンでいよう」という信念を持って二十数年生きてきた。しかしながら、「YESショタコン、NOタッチ」の原則はもう破ってしまって久しい。昴星に流斗に諭良、三人の少年たちと、何とも恋人らしい関わり合い方をして久しい。

 そしてぼくは、彼らのオシッコが好きなのだ。

 ああもう汚らわしいものを見るような目はやめてくれないかやめてくださいお願いします。でも人間として最も俗悪な部類に入る自分だということはもう認めている。……だからせめて、ぼくはぼくに出来ることをしたい。それはすなわち、「愛しい少年たちにとって『ぼく』という存在が幸せを運ぶものでありますように」という、願い、祈り、……片時もそのことを忘れないようにしながら生きている。

 結果として少年たちに求められるぼくで居られるならば、まだ多少なりとも価値があるとは思うのだ。

 で。

 ぼくが好きなのは男の子だ。女の子は、ちょっと違う。……ぼくはショタコンであって、ロリコンではない、そういう自意識で生きている。女の子のオシッコを見ても、特に何とも思わないぞ、と。

 ……そう思っていたのだけど、ぼくにはもう一人、「恋人」がいる。四人目だ。

 そしてその「四人目」は、ぼくが恋する人間として、ただ一人、……女の子なのだ。

 

 

 

 

 ぼくはオシッコが好きだ。「オシッコが好き」というのは、一言で表しすぎている。具体的には「オシッコの臭いも味も、しているという行為そのものも好き」ということを意味する。

 では、それらの要素が全部揃わなくちゃいけないのか、……というと、そうでもない。例えば流斗がトイレの便器の前に立って、オシッコをしている様子(を、時々見せてもらうわけだ)だけでも興奮出来るし、昴星が「はい、これ今朝の」と渡してくれたオネショの証拠たる黄色いブリーフの臭いを嗅ぐだけでも勃起する。そしてだらしない包茎おちんちんの諭良が皮の中に残った雫を啜らせてくれるそれだけでも、もう辛抱たまらなくなってしまう。つまり「オシッコが好き」というのはその要素の一つひとつが大好きということであって、逆に言えばどれかが欠けていたとしてもさほど問題にはならないということなのだ。

 おわかりいただけないだろうね。

 ……もちろん、全部が揃っていることが幸せであることは否定しない。例えばね、昴星が目の前でオモラシをしてくれる。当然漂う強烈な尿臭、顔を寄せて味わえば鋭いしょっぱさ、……そのままおちんちんを気持ち良くしてあげずにはいられないような気持ちにさせられるし、そうしてあげれば昴星だって幸せになってくれる、……という全てが揃ったのがいい、というのはある。けど、それが揃わなければいけないということでは、決してないのだ。

 というわけで、

「お待たせ、……遅くなってごめんね」

 PCの前に座って大急ぎで回線を繋いで、……互いに触れ合うことは出来ない距離を隔てても、ぼくは由利香と会う。特急で二時間掛かる、遠い温泉街の元湯女、しかし現役の女子小学生との時間は、ショタコンであり、おちんちん、ちんこ、おちんぽ、何れにせよ男の子の股間にぶら下がったものにばかり欲情するようなぼくとしては例外中の例外、「女の子」相手の恋人として過ごす貴重なもの。

 画面の向こう、由利香はもう外だ。ぼくと過ごすこういう時間、いつも彼女は家ではないところからぼくと連絡を取る。自分の娘にあんな呪わしい仕事をさせていた両親であっても、自分が離れた街に暮らす男とこういう関係になっていることは容易に認められはしないだろうから、由利香はいつも外に出て、あの「山ゆりの湯」の女湯でぼくと愛し合う。……でも毎度のことではあるが、寒いだろうな……、と心配にはなる。だってこっちとは違う、雪深い温泉地。

「おかえりなさい、お兄さま」

 ぼくの「恋人」であり「妹」でもある由利香はカメラに顔を見せて言う。白い息が画面越しにもはっきりわかる。厚着をしてはいるが、やっぱり寒いに違いない。

「うん、ただいま、由利香」

 たとえ遠く離れていても、その言葉がしっくり来る時間。由利香は白い顔の頬を薄く染めて、いつも清純な笑顔を見せてくれる。……細い黒髪が長く、それをポニーテールに括っている彼女は、いかに昴星が女の子に見えるくらい愛らしい顔をしているとは言えこうして見るとはっきり「女の子」だ。活発に見えなくもないが、とても大人しくて、本当は甘えんぼのぼくの妹。

「あの……、オシッコ、して、いいですか……?」

 恥ずかしそうに言って、彼女はカメラを少し、顔から離した。あれ、と思う。いつもの、「山ゆりの湯」じゃない。何処かのトイレだ。

「いま……、どこ?」

 由利香は小さく笑って応えない。その代わり、濃紅色のスカートをめくり、黒いスパッツを片手で引っ張り下ろす。薄水色の下着が露わになる。……はて由利香の家のトイレは今時珍しい和式なのだろうか? いやそれにしては由利香が厚着をしてるのは妙だぞと思う。

「ごめんなさい、もう……、ガマンできません」

 ぼくの帰りがちょっと遅くなってしまったからだろう、由利香は本当に切羽詰まっているみたいだ。ぼくにオシッコするところを見せてくれるためにずっと堪えてくれていたのだろう。いとおしさに、ぼくの疑問は押し流された。慌ただしく由利香が和式にしゃがみ、光を自分の足の間に当てる。まっすぐなスリットに人差し指と中指を当て、左右にそっと開くなり、そこから男の子のような勢いでオシッコが噴き出した。

 男の子とは違う、しゅーっという音が愛らしく届いてくる。同時に、安堵したような溜め息が震えるのも。

 ぼくはじっと黙って、「妹」の放尿を眺める。

 ……男の子ではない。けれど、可愛い、いとおしい……。

 こういうシーンを見せてもらうことに慣れるということは全くない。今もなお、ぼくにとっては由利香が唯一の「女の子」なのだ。他の女の子を見たってこうはならないのに、……ぼくの身体は激しく反応する。

「はぁ……」

 ふるる、と由利香の身体に震えが走る。カラカラ、ロールペーパーを引っ張り出す音に遅れて、丁寧にそこを拭く由利香の細い指が覗く。まるで少女の放尿を金隠しに設置したカメラで盗撮しているような光景である。

「すっきりした?」

 由利香が再びカメラを顔に向ける。頬を染めて、「はい……」と頷いて、

「失敗しちゃうかと、思いました……」

 と僅かに唇を尖らせる。

「ごめんね」

「でも……、ちゃんとお兄さまにお見せ出来たので、いいです」

 ぼくらは、会えない。なかなか会えない。

 だからこそこの時間はとても貴重な、かけがえのないもの。

 かつては湯女として、多くの「お客」に晒されてきた由利香のその場所を見ることが出来る大人の男は、今となってはぼくだけ(大人の、という断りが必要になるのは、彼女の幼馴染の少年二人、ぼくよりよっぽど「兄」にふさわしい陽介と瑞季が見ているに違いないから)だ。

 だから、会えなくってもぼくらは幸せ。

 そう言い聞かせているぼくらだ。

「由利香、ワガママ言ってもいいですか?」

「ん? 応えられるものなら……」

 何だって叶えてあげるのが、ぼくの使命。……三人の、「男の子」の「恋人」たちと少しも変わることはない。

 けれど、

「……お兄さまの、オシッコするところを、見てみたいです」

「え」

 思わず、そんな声を上げてしまった。

「えー……と、そんなの見て、どうするの?」

 昴星たちもそうだ。大人の男の放尿なんて、見て楽しいもんじゃないだろうと思うんだ。なのに、彼らは「見たい」と言う、「かけて」「飲ませて」とまで言う。

 もちろん、そんなところまで求められているという事実は喜びそのものだと認めるべきなんだけど。

「……理由は二つあります。一つは、お兄さまのおちんちんを見たいから」

 ……こんなのを、ねぇ。

「もう一つは、……昴星くんが言っていたんです。お兄さまのオシッコするの、昴星くんたちと違って、大人のおちんちんだから、きれいだって。……由利香は陽介や瑞季みたいな男子のオシッコはいっぱい見たことありますけど、大人の人の、きれいなオシッコ、見たことないです」

「ぼくのオシッコって時点でちっともきれいじゃないと思うけど……」

 でもまぁ、しょうがない。これに限ったことじゃないけど、ぼくだけ絶景を堪能しておきながら、由利香にお返しをしないというのはアンフェアな話。

 しかしながら、

「でも……、あの、実はね、さっき行ったばっかりなんだ、トイレ……」

「え……」

 ガマンして待っていてくれた由利香には本当に申し訳ない話。しかし、駅で催した尿意を家まで持って帰るということを、ぼくはしなかった。あの城址公園の男子トイレで片付けて来てしまったのだ。

「……もう」

「ごめんね。でも、今日してる間にしたくなったら、必ず見せるから……」

 じとー、と由利香がぼくを見て、唇を尖らせる。

「由利香はずっとここにいなければいけないんですか? お兄さまのオシッコを待って……」

「う……、その、……ごめんなさい」

 情けない「お兄さま」もあったものだ。

「じゃあ、お兄さま。由利香と約束してください。お兄さまに次会ったとき、昴星くんたちがしてもらったみたいに、由利香にもオシッコください。由利香だけ、まだお兄さまのオシッコの味知らないの、さみしいです」

「はい、それはもう必ず……」

「約束、ですよ?」

「うん、約束する。次会ったときにはちゃんとそうするよ」

 とはいえ、次会えるとしたら、……最短でも二週間後ということになる。

 昴星たちにはあえて報告することではないと思うから黙っているけれど、ぼくが由利香と会ったのは、初めてとなった去年の秋、不意の再会となった年末、……の二回だけではない。今年に入ってから既に二度、ぼくはあの温泉に行っている。ともに日帰りで、たいそう忙しない旅路ではあったけれど、でも、ぼくなりに一生懸命、由利香を愉しませてあげることが出来たはずだ。

「じゃあ、もっとワガママ聴いて下さい」

 ともに居られる時間が短いことを、彼女に嘆かせてはいけない。時間の短さが愛情の差ではないのだということを、彼女はわかってくれている。

「お兄さまと今度会ったら、……お兄さまのおちんちん、いっぱい由利香にください。でもって、……由利香のこと、たくさんたくさん可愛がってください。由利香はお兄さまのこと大好きです。お兄さまが由利香のこと好きでいてくださる限り、ずっとずっと大好きです。だから、いっぱい……」

「うん。……ぼくも大好きだよ」

「由利香のこと、愛してますか?」

「うん。愛してるよ、……心の底から愛してる」

 由利香がやっと、笑顔になってくれた。

 同時に、カメラが外側に向けられる。トイレの壁を伝って、扉へと。

「約束ですよ?」

 由利香が、オシッコを流し、扉を開く。

 そこに現れた光景に、「あっ……」と、思わずぼくの口から声が漏れていた。

 二つ並んだ小便器、……男子トイレだ。いやそれはそんな大きな問題じゃない。

 その朝顔のフォルムに、ぼくははっきり見覚えがあったのだ。

「ゆ、由利香……っ、まさか……」

 カメラが再び由利香の顔を収める。戸を閉めて、自分のスカートの中へ視線を移して、

「……早く、来てくださいね?」

 由利香は色っぽささえ感じさせる声で言う。

 ぼくはさっき脱いだばかりのコートを引っ掛けて、大慌てで家を飛び出した。背中をノートパソコンから由利香の笑みがくすぐるように撫ぜる……。

 

 

 

 

 城址公園の、トイレ。約十五分ぶりの。

 息を切らせて辿り着いたトイレの景色は、十五分前と同じ。……そう、個室の扉が閉まっているなって、さっきも思ったんだ。珍しいなこんな時間にって。同時に諭良がかつてその場所でオナニーしてたことを思い出して、いやいや違う早く帰って由利香と会わなくちゃって首を振って、さっさと排尿を済ませた。

 個室に向けて、

「……由利香?」

 呼びかける。

 鍵が、開いた。扉が内側へと開かれる。と同時に、

「お兄さまっ」

 飛び込んできた少女の身体を、ぼくは慌てて抱きとめる。さっき、ノートパソコンのディスプレイで見たのと同じ姿の、ぼくの「妹」だ。

 戸惑いを超えて、嬉しさが炸裂する。

「由利香……、本当に由利香だ……」

「お兄さま……、会いたかった……」

 しっかりと抱き締めて、少女の細い骨格を支えるにはぼくの力は強過ぎるといつも思う。だけど、だからこそ、由利香にも相応しい力の使い方をきちんと覚えなきゃと思う。

 とにかく、二週間ぶりの由利香だ。

「どうしたの……? どうして……」

「昨日の夜、昴星くんと才斗くんとおしゃべりをしました」

 抱擁ひと段落。由利香を下ろした。

「昴星くんが、お兄さまとたくさん遊んだってお話を聴いて、……ガマン出来なくなっちゃったんです。お兄さまに次会うまで、どうやったらガマン出来るか考えて、でも、答えが出せなくって……、だから」

 来ちゃいました、とぼくのセーターに顔を突っ込んで言う。

「そう……。ご両親には?」

「『お仕事』は、もうしていないので、昴星くんのおうちにお泊まりに行くって行って出てきました」

 ぼくのことを、……こんな、ぼくなんかのことを、待っていてくれた少女の細い髪を撫ぜて、一度の抱擁ではとても満たしきれなかった嬉しさを表現するためにもう一度抱き締めて、背中を丸めキスをする。

「お兄さま、……さっき、由利香のオシッコ見て、……興奮してくださいましたか?」

「うん……、すっごい、した。何度見ても、毎回すっごく興奮する……」

「由利香、お兄さまがここへ来るまでに、お茶飲みました」

 由利香は微笑む。「お兄さまに、いっぱい、何度も、見せてさしあげます」

 職業経験が人生には大きな影響を与えるのだ。由利香の場合、……もうその仕事からは足を洗ったとは言え、やっぱりその、清純な素顔の影に湯女としての経験が覗く。

 いや、いいんだ。今はぼくだけの「妹」なのだ。「兄」として「恋人」として、そんな仕事、誰とももう、させたりはしない。

「……お兄さま?」

「ん……?」

「お兄さまは、……おトイレ、まだ、出ませんか?」

 由利香はじっとぼくを見つめる。ぼくの背後には、朝顔が二つ。

「う……、んと……、今?」

「……でなくても。お兄さまが今夜したくなったときでも」

 うーん……。

「……わかったよ。する。その、ちょっとだけなら出るかもしれないし……」

 ぼくは朝顔の前、由利香に見やすいように少し身体をズラしてスラックスのジッパーを下ろしたが、由利香は後ろに回って覗き込もうとする。「男の人は、いっつもこんな風にご自分のおちんちん見てるんですね……」

「まあ……、うん、……うお」

 取り出したものに、冷たい指が優しく触れた。

「……あの、……由利香さん?」

 由利香はクスッと笑って、「お兄さまのお手伝いです」と答える。

 少女の指が添えられて、……危うく反応しそうになる。こんなとこ誰かに見られたらどうするんだとは思うけども、この時間、まず人は来ないし、そういう場所で昴星や諭良をすっぽんぽんにしちゃってるぼくだ。

 覚悟を決めて、

「わかった……、出すよ?」

 下半身から力を抜いた。両手は手持ち無沙汰もいいところ。

「ああ……、お兄さまのオシッコ……」

 さほど溜まってなかったから、勢いはそう強くはない。それでも由利香は嬉しそうに呟き、ぼくの亀頭先端の亀裂からほとばしる液体を見つめている。角度を変えて今度は横から、しゃがんで覗き込む。間も無く、ぼくのずいぶん居心地の悪い放尿は終わった。

「おしまい、ですか?」

「うん……」

「スッキリしましたか?」

「うん……、って」

 身を乗り出して、先端、ぺろりと舐める。

「ん……、ふふ、しょっぱいですね。陽介たちとおんなじ、男の子の味がします」

「だ、だってそりゃ、ぼくは男だからね……」

 反応、……するなと言う方が無理な相談。だって女の子だよ? 女の子にそんなことされたら……。

 由利香は全てわかったように、手のひらの中でどんどん肥大化するぼくのペニスを甘ったるく撫ぜながら背後に回る。

「あ、あの、由利香……!」

「オシッコだけじゃなくて、こっちも出したらもっとスッキリすると思いますよ……?」

 上手なのだ。その、リズミカルな手の動き。

「お兄さまのおちんちん、由利香の手ですごく熱くなってますね……? オシッコも、精液も全部、由利香にお世話させてください……」

 ちょっと、ちょっと待ってここは屋外! いや屋根はあるけど公衆トイレ!

 これまでそういう場所で昴星におちんちん振らせたり流斗のうんち撮ったり……、してきた自分の罪を、我が身に振りかかったこの期に及んでやっとぼくは知る。いけないこと、すごくいけないことを、していた! しかし反省してももう遅い。由利香はぼくを的確に射精へと追い詰めてしまうだろう……。

 諦めて、由利香に身を委ねかけたところで、由利香は手を止めた。

「お兄さま」

 由利香は立ち上がり、スカートを捲り上げる。そういえば、スパッツはもう脱いでしまったのか穿いていない。

 ただ、その下にも何も穿いていないとは思っていなかった。白い肌、細い足の間に、縦のスリット。少女の無毛の股間。

「お兄さまのおちんちん、これまで、いつもすごく……、元気でした。陽介たちと何度もして、でもお兄さまが一番元気なおちんちんだと思います」

 由利香のワレメを見て反応の脈動を催すぼくのペニスを、うっとりと見つめて由利香は言う。

「精液も、お兄さまのが一番濃くって、……おいしいです。だから、最初の精液は、由利香のお口に欲しい……」

 由利香はスカートをめくったまましゃがみ、ぺろり、ぼくの先端に浮かんだ露を舌で拭う。ぼくを見上げて、にこり、美しい微笑みを浮かべたところでまた立ち上がった。

「……昴星くんが、お兄さまとパンツ穿かないままお散歩したって言ってました。きっと流斗くんや諭良くんともそういう『お散歩』をしたんですよね? そして……、それで、すごく興奮なさってた……」

 それは、五年生の少女に指摘されるのは大いに心苦しいのだけど、事実だ。露出に興奮する昴星も諭良も可愛い。そして明るい森の中で晒される流斗の全裸には、神々しいような美しさがある。

「……由利香も、お兄さまがガマン出来なくなっちゃうぐらいに興奮してくれたら嬉しいなって思います」

「え……?」

 それって。

 僕の腕につかまってバランスを取りながら、由利香は下着から片足ずつ抜く。

「行きましょう、お兄さま」

 まだぬくもりの残るパンツをぼくに握らせて、個室のドアにかかっていた旅行カバンを肩にかける。……下にスパッツを穿いてちょうどいいほどの、短めスカートだ。

 ほんのちょっと彼女が身体を揺するたびに、白いお尻が見えそうになる。

「カメラは、いまは持ってないんですよね?」

 由利香は少し残念そうに訊く。ぼくは呆然と、ポケットに彼女の下着をしまい、代わりに携帯電話を取り出した。由利香はクスっと笑ってぼくを見上げて、……スカートをめくって見せた。

 日頃浸かる温泉の効果か、すべすべの白い肌に、短くまっすぐなスリット。

 夢中になったシャッターを切ったぼくに、今度は後ろを向いてお尻を覗かせる。

 ……いますぐ其処へ入れてしまいたい! そんな衝動を抑えながらも自分のペニスをズボンの中にしまうのって、苦しいし、切ない。でも由利香は「おうちまで、ガマンですよ?」ぼくの前をいたずらっぽく撫ぜてから、手を引いて家への道を辿り始める。

 

 

 

 

 城址公園から家までは、そんなに遠くはない。公園を出たところが駅からのショートカットコースのおよそ2/3地点と言ったあたりで、なだらかな下り坂の向こうにはもう「うんこ橋」も見えている。……のだけど、この時ばかりはずいぶん長く感じられた。時折ノーパンのお尻を挑発するように覗かせる由利香に、もうじれったくて仕方のない気持ちにさせられたぼくの状況もわかってもらえるはずだ。やっと辿り着いたアパートの階段ではもう、丸見えになっているお尻に顔を突っ込みたくなってしまうほどに辛かった。

「よく頑張りましたね」

 家に上がり靴を脱いだところで、由利香は振り返って微笑む。「おちんちん、がちがちですか?」

「ああ……、もう……、そりゃもう……」

「お兄さまが求めてくださってるっていうことだけで、由利香はすごく嬉しいです。でもお兄さまは由利香のこと、もっともっと幸せにしてくださる、素敵な方です」

 今朝から敷きっぱなしの布団の上に、由利香は「裸で寝てください」と強請る。ぼくはスーツの上下もトランクスもあっという間に脱ぎ捨てて、みっともない勃起を晒して横たわった。由利香は「……お仕事帰りのお兄さまの、スーツ姿、素敵でした。でもお兄さまは裸の方がもっと素敵です」と微笑んで、自身はまだノーパンのままでぼくの腿を挟んでしゃがむ。自分のペニスの向こう、清純にしか見えない少女のワレメが見事に覗ける様子に頭がクラクラした。

「……お兄さま?」

 どうやら口が空いていた。すごくバカな顔になっていた。……昴星たちをそういう顔で見るときも度々あるだろう。しかしそういうときは、昴星だったら昴星で「ちんぽっちんぽっいっちゃうよぉお!」ってはしゃいでいるときだから、指摘されることはまずない。

 余裕のある由利香には、ぼくの隠しておきたい部分、全て、覗かれ切っている。

 それでも、……恐らくは誰よりもそういう男の「顔」を見てきた由利香はからかったりはしないでいてくれる。その一方で、これまで他の男の、つまり「客」たちには見せずにきたであろう微笑みを、ぼくにだけ見せてくれる。

「……お兄さまの、おちんちん……」

 由利香はいとおしげな指先で反り返ったぼくのペニスをするりとひと撫でする。それからしゃがんだ足の間に当てがう。

「ゆ、由利香……!」

 生は、さすがに!

「くっつけるだけです……、お兄さま、昴星くんたちとおちんちんのキスするんでしょう? 由利香もお兄さまとしてみたかった……」

 ぴと、と当たる、途端、ぬるり、滑る。由利香のそこからはじわじわと、彼女の興奮の証が漏れ溢れて来ているらしかった。

「由利香も……、ドキドキ、したの?」

 頬を赤らめて、しかし彼女は素直に認めた。

「お外でするの、昴星くんたちより慣れてると思ってました」

「え?」

「陽介たちと、学校でするときがあります。校舎裏とか……、あと、お風呂も壁が空いてますから、お外みたいなものだと思います」

「ああ……」

「でも、……由利香、お兄さまと一緒にパンツ穿かないでお散歩したとき、すごくドキドキしました。お兄さまの『恋人』で『妹』で、だから、あんな風におとなりを、恥ずかしいカッコで歩いてるんだって思って……」

 由利香はその液体を塗り付けるように腰を動かし、ぼくを何度も震わせた。自分のペニスの汚しさが強調されるような視界である。その分、真っ白な由利香のワレメが余計に美しく映る。

 濡れたぼくのペニスから、由利香がアソコを外した。ぼくの足の間に収まると、顔を寄せて舌先でどうしようもなく滲むガマン汁を拭い取り、そのまま舌に唾液を伝わせて、濡らす。両手でそれをぼくのペニス全体へと塗り広げ、纏わせる。

「今夜は……、お兄さまに、たくさん、たくさん良くなっていただきますからね?」

 少しぺとぺとする。由利香は左手でカバンを引っ張り寄せ、中からローションのボトルを取り出し、ぱきりと封を開けてひっくり返す。適量零されて、ぼくのペニスに塗り付けた。

「お兄さまはいつも優しいから、由利香のことたくさん幸せにしてくださいます。でも今夜はお返しに、由利香でいっぱい気持ち良くなってくださいね、……由利香の、お兄さまのこと『好き』って気持ち、たくさん感じていただきたいです」

 好きだよ、そんな、してくれなくっても……。

 ぼくが言葉に出来ないうちに、由利香の右手がリズミカルにぼくのペニスを扱き始めた。

「由利香……!」

 同じ男の身体を持つ三人よりもずっと、巧みな動きだ。……それはつまり、彼女にこれまで無数のこういう形をしたペニスを愛撫してきた経験があるから。

 ぼくの腹筋にキスをし、乳首を啄ばむように舐めて吸い、右手の指は時折いじめるように亀頭をこする。清らかな少女でいながら極端なほど淫らな動きを、由利香はぼくに見せ付ける。

「お兄さま、……由利香の手でいきそうですか……?」

 左手を自分の股間に伸ばす。甘酸っぱい香りの愛液で濡れた指をぼくの唇に塗り付けて舐めさせた。そのまま唇を重ねてきて、……濃厚で濃密な思いの篭ったキスをしながら、右手の愛撫はまだ停めない。

「由利香……、由利香っ……!」

 くす、と笑って顔を離し、由利香の手はぼくを射精へ追い込むというはっきりとした意志を帯びた。ぼくの顔を跨ぎ、スカートの中身を全部見せびらかして来る。陰嚢を左手に包み込みながら、右手を激しく動かして、

「お兄さま、お兄さま、由利香にいっぱい出してくださいね……」

 ぼくのペニスに向けて言う。

 その求めに応じる気持ちよりも先に、ぼくは由利香の手で達した。柔らかなその手のひらの中で激しく自分を痙攣させて、引いた引き金、放った先に何があるのかもわからないままに。

「ふふ……、すごい、お兄さまの……、たくさん……」

 由利香はしばらく優しい力で絞り出すように扱いてから、ぼくの身体から降りて振り返る。その顔にはおびただしい量の精液が飛び散っている。呆然とするぼくの視線の先、スカートの裾にワレメを隠した由利香は指先で丁寧に拭い、大量の雄汁を舐め取っていった。

「ごちそうさまでした。……お兄さまが気持ち良くなってくださって、よかった」

 にっこり、スマイル、それは年相応の少女のもの。人の鼻先に股間を晒し、そこが愛欲に濡れていることをも隠さなかった子だとは思えないほど無垢である。

「……すごかった……」

 やっと起き上がり、ぼくは頭を下げた。「おそれいりました……。すごいね……」

 手だけとは思えなかった。もっと、何かこう、舌を使ったりとか、繋がったりとか、……そういうレベルの気持ち良さにぼくは襲われていた。

「由利香、得意なんです」

 少し恥ずかしそうに由利香は言う。

「その……、前の『お仕事』をしているときには、あまりしたくない気持ちのときもありました。そういうときは、お客様のおちんちんを洗うついでに一回だけでも手で出していただければ、そのあとが少し楽になりますから」

 ちょっと、胸が痛んだ。ぼくのそういう気持ちを敏感に感じ取ったらしい由利香は慌てて、「でも、お兄さまは特別です。由利香はお兄さまのおちんちんを気持ち良くしてさしあげるの大好きですから、これからもっともっとさせてくださいね?」と言い添える。

「ええと……、はい……」

「お兄さまのおちんちんも、おちんちんから出るものも、由利香にとっては幸せなんです。……お兄さまのこと、大好きですから」

 先を濡らしてくたりと寝たぼくのペニスに顔を寄せ、先端にキスをする。

「今度は……、お口の中で」

「あ、……あの、由利香?」

「はい?」

 咥えられる前に、止めた。ぼくの視線がテーブルの上に向いたことに、由利香はすぐ気付いた。

「……撮ってくださいますか?」

「ええと……、はい。もしよければ……」

 ほぼ同時に、ぼくの視線がまだ紺色のセーターの中にある彼女の胸部に向いたことにも気づかれただろう。由利香はカメラを持って来てぼくに手渡すと、ぼくが撮影を開始するまで待ってから、

「えっちなお兄さま」

 微笑んで、セーターをめくりあげる。

 タートル気味のセーターの内側には、黒いTシャツ。それをさらに捲ると、ぺたんとしたお腹が現れる。

 その上には、ハーフトップと言うんだっけ、ギンガムチェックのブラがあった。由利香はシャツを顎のしたまでめくって、ふっくらとしたブラをゆっくりとぼくに観察させる。

 日々に、ちょっとずつ大きくなって行く少女の胸部。その魅力は、他のものとは比べられない。もちろん、昴星たちのおちんちんにもそれぞれそこにしかないいとおしさを覚えるのだけれど。

 まだ、「谷間」ってはっきり言えるほどのものではない。それでも去年の秋より年末、そして二週間前と、段階を踏んで少しずつでも成長している。彼女の一瞬一瞬を切り取ってこんな風に知っているのは、この世でもう、ぼくだけしかいないのだ。

「由利香のおっぱい……、見てくださいますか?」

「はい、あの……、うん」

 そっと、ハーフトップに指を入れて持ち上げる。

 真っ白な肌にほんのり紅い乳首が覗く瞬間に、はっきり自覚できるほど心臓が高鳴った。乳房はふんわりとしていながら、いまだ硬さを帯びていて、手にした時の感触の甘さで言えば昴星とさほど変わりないはず。しかし乳輪はそれそのものがぷっくりと膨らみを帯びているようにも見え、乳首のサイズも昴星たちより一回りくらい大きいだろうか。

「……綺麗だね」

 何時もの通り、ぼくはため息とともに感想を漏らした。すっかり勃起しながら撮影しているぼくをからかうことなく、由利香はセーターとシャツを脱ぎ、スカートも脱いだ。裸に、あと隠していないブラ、……と、靴下。これは多分、昴星の入れ知恵だろう。

 そんな姿をじっくり撮らせてから、

「お兄さま、お兄さまのおちんちん、由利香のお口にください」

 由利香がブラも外し、両手を伸ばして求めた。

 色付きのリップクリームなんて使っていないだろうに、それでも濡れたピンク色の唇にぼくがペニスを近付けると、恭しく両手を添えて、……キス。

「ねえ、……お兄さま?」

 カメラと眼球、交互に見て、カメラに対して由利香は訊いた。

「由利香は、えっちでしょうか……?」

「え……? それは……」

 上手く言えない。

 彼女が去年までしていた仕事のこと、いまぼくとしていること、そして地元で幼なじみ二人としていること、……どう言うにしても「えっちじゃない」とは。

 しかし、由利香と同じくぼくの「恋人」三人にしたって「えっち」であると言うほかない。そしてその三人と比べてどうかとなると、また微妙なところ。

「……誰かにそう言われた?」

 こくんと頷いて、「瑞季に……」と答える。

「瑞季だって陽介だって……、えっちな男の子だと思うけど?」

「でも、二人よりわたしの……」と一瞬、二人の幼馴染である由利香が覗く。「由利香の方がえっちだって……」慌てて言い直す。

「どうして?」

「……二人のおちんちんがいっぱい気持ち良くなっても、由利香が、……もっと、欲しいって言うからって」

 男の子、六年生の陽介と瑞季だ。

 同じく六年生の昴星と諭良、そして二歳下の流斗がその年齢を考えて見るに、かなり「えっち」であることは確かだ。そして彼らと比べて由利香の性欲が極端に強いとも言えないように思う。

 つまり、

「陽介と瑞季の方が、まだそんなにえっちじゃないって言うべきじゃないかな……」

 という結論が、自然と導き出される。

「思うに……、年齢よりも経験の方が大きいよ。ある程度大人になってくれば、……ぼくみたいにね、大人の欲と体力が備わってきて、たくさん出来るようになるんだろうと思うけど、ほら流斗はまだ小さいけど、いっぱい射精できるし、えっちするの大好きだしね。だから由利香は確かにその歳にしてはえっちなのかも知れないけど、そんなに気にしなくてもいいんじゃないのかなって」

 由利香はしばらく考えてから、微笑んで頷いた。

「お兄さまの『恋人』は、みんなえっちですね」

「まあ……、ぼくもそうだしね……」

「陽介と瑞季も、きっともっとえっちになりますよね?」

「男の子だからね。……それに、ぼくはえっちな子、好きだよ」

 由利香は嬉しそうにまた頷いて、「由利香は、お兄さまのためにもっともっとえっちになります」と愛らしく宣言する。そして紅く濡れた舌でれーっとぼくの茎を下から上へ舐め上げる。

「ぼくは……、由利香がどんなにえっちな女の子でも、……君のことを満足させられると思う。まだ当分は……、由利香が、大人になっても、しばらくは」

「……はい、ずーっとえっちなお兄さまでいてください」

 唇を裏筋に当てて、その内側で舌を小刻みに動かす。その間左手は繊細な動きで袋を揉みしだき、右手は腰から臀部へとまわされ、撫ぜている。多分、ここまでの愛情表現の伴うフェラチオは、「お仕事」のときにはしなかったはずだ。そう思うと、ますますこの「妹」へのいとおしさが満ちてくる。反応し汁を滲ませるぼくの先端へ舌先を当て、尿道に突っ込むようにくすぐる様を、カメラ目線で見せながら、時折由利香は腰をくねらせた。オシッコをガマンしているに違いない。けれど自分の排尿欲求よりもぼくを優先させようとしているのだ。だからぼくも何も言わず、自分の快楽だけを追いかけることにした。

 由利香が口の中に男根を収める。

 そのまま目を細め、舌も動かさずにじっとする。……ぼくの催す脈動を、熱を、大切なものとして余さず受け止めようとしている。彼女にとって、……昴星たちとは違って、望んだときに頬張ることができるわけではないそれは、きっと全て貴重なものなのだろう。

 十秒ほど、由利香はそうしていただろうか。

「大好きだよ、由利香……」

 ぼくの言葉と、髪を撫ぜた手のひらがスイッチになったように、由利香は頭と舌を動かし始めた。

「ん……、ん、ん、っん、んっ……ん」

 その動きは、やはり狂おしさを感じるほどに巧みだ。……ぼくだけにこうしてきたわけではないんだという事実が、嫉妬になるより先に「ぼくだけの由利香だ」という真実によって塗りつぶされる。幼馴染の男子二人のまだ愛らしさを残すおちんちんは数えないとして、この子がこんな風にするのは、この世でぼく一人……。

 激しく往復する頭、口の中ではそれでも驚くほど器用に舌を動かしてくれる。やはり、本当に上手、……フェラチオでありながらこれはもう本物のセックスだ。小さな少女の口の中へ叩きつけるとき、思わず奥に押し込んでしまっても由利香は少しも怯まなかった。その口中でのたうつぼくの熱に吸い付き、そのまま目を閉じ、……思いをまるごと吸い上げてくれる。

「……お兄さま、由利香、ちゃんと飲みました」

「ありがとう……」

「ごちそうさまでした」

「ええと、……お粗末さまでした」

 ふふ、と笑って、由利香はまだ収まらないぼくの矛先に労うようなキス。「お兄さまはぜんぜんお粗末なんかじゃありませんよ? 由利香の知ってる中で一番かっこいいおちんちんです。……そう言われることってありませんか?」

「うーん……、こういう状態になってるのを誰かと比べたことはないからね……。その、確かにぼくは昴星たちとこういうことしてるわけだけど、決して男が好きな男ってわけじゃないから……」

 大人の男を愛する日がもし来るとすれば、それは昴星たち三人が大人になったときのこと。

 同じように大人の女性を愛するのだとすれば、目の前の少女が成長するまで待たなければならないだろう。

「……ところで由利香、オシッコしたい?」

 由利香はびっくりしたように目を丸くして、「……どうしてわかったんですか?」と少し恥ずかしがる。

「昴星がオシッコガマンしてるときみたいだったから」

 押し入れから三脚を引っ張り出して、「お風呂場に行こうか」と言えば、由利香はもちろん頷く。

「ぼくを待ってる間にたくさんお茶飲んだんだよね?」

「はい……、お兄さま、見たいかなって……」

 カフェインには利尿作用とともに興奮覚醒作用もある。……というか、まぁ普通はそっちがメインとして用いられるものだろう。由利香が夜の十時を回ろうというのに元気いっぱいな理由はカフェインも関係しているかもしれない。

 大急ぎで三脚を設えて、「抱っこしてもいい?」と訊く。

「カメラに向かってさ、して見て欲しいな」

「お兄さまが、見たいなら……」

 後ろから太ももを抱え上げて、大開脚。いわゆる「赤ちゃんのポーズ」である。……女の子用のオムツも買っておくべきだったか、そんなことが頭を過ぎるが、なんにせよ見事なまでに開けっぴろげな体勢で、さすがに由利香も恥ずかしそうな表情を浮かべるのが、カメラの向こうの鏡に映っている。

「すごいね。由利香の女の子のところ、丸見えだよ」

 ここまで派手に広げてしまえば、そのスリットもただの筋のままではいられない。じっとりと愛に濡れて、恐らく艶めいていることだろう。お尻の穴まできっと丸見えだ。

「お兄さま……、由利香、重たくないですか……?」

「平気だよ。……っていうか、由利香は痩せてると思う」

 ずっしりとまでは言わないが、昴星と諭良はさすがに六年生。昴星なんてまだ四年生ぐらいにも見えるほど幼い身体つきだけど、脂質感のある身体を抱き上げると確かな重量感があるし、背の高い諭良は抱き上げるという行為に少し工夫が必要になる。けれど由利香は細いし軽い。流斗を抱っこするのと同じほど、容易だった。

「お兄さま……、オシッコが、出ます……」

「うん。して見せて」

 由利香の両手はぼくの腰にある。羞恥心を超え、ただ排尿欲求を満たすばかりではなくぼくへ「見せたい」と思う気持ちによって張り詰めた膀胱から熱を帯びて解放される……。

「あ……あ!」

 ためらうように、一度、二度、……お尻の方へと伝わせてから、「っン!」由利香はぼくに抱えられたまま、一気にオシッコを撒き散らし始めた。

 男の子とは軌道が違う、音も、噴き出し方も。しかし臭いや色は同じ、……厳密に言えばそれもそれぞれに違って、それぞれにいとおしい。

「すごいね、いっぱい出てる。薄い金色の由利香のオシッコ……」

「お、にいさまっ………!」

 ほとばしる尿の勢い、三脚の手前側の「脚」をも濡らしている。ぼくは抱える角度を変えて、本来真っ直ぐ斜め下に注がれる少女のオシッコに放物線を描かせた。しどけなく広げられた細い足の下に飛び散る温水の音が、ひときわ品なく響く。これを腕の中の美しい少女が立てる音だ、由利香はこんなにえっちな子なんだ……。

「はぁ……あ……、あ……っん……」

 オシッコの勢いが収まった。ぶるっと震えて、最後まで吐き出し切った由利香は安堵のような甘ったるい吐息を漏らし、ぼくが腰掛けに下ろしてもまだぼうっとしている。

「いっぱい出たね。気持ちよかった?」

 ぼくが問うと、ぼんやり見上げてこくんと頷く。ぼくが勃起しているのを見るなりすぐにそこへ手を伸ばそうとするが、ぼくはその手を止めてカメラの角度を変える。由利香の可愛い裸をしっかり捉えられるように。

「お兄さま……? 由利香もう、オシッコ出ないですよ……?」

「うん。でも由利香の可愛いのはオシッコだけじゃないからさ」

 膝をつき、後ろから両手をその乳房へ回した。

 柔らかい、とはまた違う。張り詰めている感じがある。しかしぼくの指先に対しては従順さを感じさせるように凹む。

「お……っぱい……、したい、んですか……?」

「うん、……礼儀かなって思う」

「れい、ぎ……?」

「可愛い『妹』のさ、……『恋人』の、綺麗なおっぱい、あるのに触らないのはマナーに反するように思うんだ」

 いや、単にぼくが触りたいだけなんだけど。

 もっと柔らかければ、この感触は「甘い」という言葉で表すべきだろう。でも未熟なそこの感触は甘いばかりでは決してない。……だから、そう、甘酸っぱいと言うべきだ。由利香の足の間もそういう味や臭いがする。青いリンゴみたいだなと思う。考えてみれば由利香の暮らす地方はそういうくだものの産地だ。

「お兄さま……は、由利香の……、おっぱいが、……好きですか……?」

「好きだよ」

 綺麗である。それに、すごくえっちである。

「こんなに……、小さいのに……?」

「小さいかな? 五年生ってこれぐらいじゃないのかな。ちゃんと柔らかいし、……それにさ、由利香のおっぱいだもの。ぼくは大好きだよ?」

 指先に、やっぱり昴星たち男の子よりひとまわりほど大きな乳首を当てる。こね回すようにしてあげれば、敏感に身を震わせて、……すぐにぷっくり大きくなった。

「由利香はぼくにおっぱい触られるの嫌?」

 ふるふる、首を振る。ずっと広げていた足を、恥じたように閉じる。「うれしい……です、でも……」

「でも?」

「……早く、もっと大きくなりたい……、大人になったら、おっぱいで、由利香、お兄さまのこと、もっと幸せにしてさしあげられるって……思います」

 この硬い、膨らみかけのおっぱいは期間限定のものだ。いまの時間が遠くに感じられるようになった時には、確かに由利香のここはまた別の幸せをぼくにもたらしてくれるはずと確信している。だけど、いまのこの感じを取り戻すことは決して出来ない。

「ぼくは、いまの由利香のおっぱいをさ、こうやって触らせてもらえるの、すごく幸せなことだと思うよ?」

 乳首いじりは左手に任せて、右手は由利香の細い太ももに這わせる。

「こっちも、そろそろして欲しいんじゃない?」

 確信を持って訊いたが、「でも」と由利香はためらう。

「ん?」

「お兄さまの……、こと、して、さしあげたい……」

 ぼくはそこも触りたいんだけどな……。と思った。しかし、ふと思い浮かんで、

「じゃあさ、由利香のオナニーでぼくをいかせて見せてよ」

 アイディアをそのまま口に乗せた。「由利香はいつも、見せてくれるじゃない? 自分で気持ち良くなってる由利香見て、ぼくもすごく興奮してる。……でも今夜はさ、画面の向こうじゃなくていまは目の前にいてくれるんだし、由利香でもっと気持ち良くなる方法があるんじゃないのかなって」

「え……?」

「例えば、……ここ」

 左手で、おっぱいの尖った先っぽをそっと摘まむ。

「んっ……!」

「一人でするとき、いじって見せてくれるよね? ……今夜は指じゃなくてさ、ぼくのコレでしたら、由利香はもっと興奮するんじゃない? アソコも、さっきみたいに擦り付けたら由利香のオナニーで気持ち良くなれるよね?」

 ぼくのリクエストを、ゆっくりと飲み込む。由利香は振り返り、

「お兄さま……、仰向けに、なってください……」

 言う。

 横たわったぼくの身体に、さかさまに身を重ねる。オシッコと愛液の混じったえもいわれぬ臭いをしっとり漂わせる足の間をそっとぼくの顔の前まで寄せて、その場所の味をぼくに教えてから、彼女の指が伸びてきた。

 本当はまだ何物も受け容れてはいけないような場所に、彼女の指先が当てがわれる。

「……ん……っ……」

 そっと差し入れられただけ。しかし案外に大きな水音が立つ。

 その場所が少し遠ざかった。彼女は改めてぼくと向かい合う形で足に身を重ねると、ぼくのペニスを優しく掴み、亀頭を自分の小さな乳房の先端に当てて、擦り付けるように身体を動かす。

「ん、んっ……、お兄さま……っ」

 もちろん、その間も足の間からはクチュクチュと卑猥な音を立てながら。

「うん……、由利香のおっぱい、やっぱりすごく可愛いし、柔らかいね」

 隆起した乳首がいいアクセントとなっている。由利香はぼくのペニスに舌を近づけ、丹念に唾液を移して纏わせて、また乳首での愛撫を施す。挟み込むことはまだ出来なくとも、こういう幼いやり方の愛情表現にぼくの快感は募る。

「お兄さま、お兄さま、由利香は、お兄さまがっ……、好きですっ……」

「ぼくも好きだよ。大好き」

「こんな……、由利香を……」

 もう、胸だけでは足りなくなったのだろうか。身を起こし、言うなれば蹲踞のポーズ、思いっきり広げた足の間に左手の中指と薬指の二本を入れて動かしながら、右手は唾液に濡れた右の乳首を摘まんでいじって止まらない。

「こんな、由利香のこと、好きですか……? こんな、はしたないのに……、お兄さまの『恋人』で、いられ、ますか……?」

「はしたなければはしたないほど、由利香はぼくの『恋人』だよ。……君は君のままで、ぼくの『恋人』でいていいんだ……」

 由利香はアソコから指を抜いた。開きっぱなしのスリットは綻んで、濡れてつやつや光っている。

「いつも……、会えないとき、お顔を見ることもできないとき、……お兄さまのことを、思って、ここを……」

 由利香は白い唇に囲われた花の内側をぼくに晒す。「一人で、しています」

「ぼくも由利香に会いたいときには、由利香のこと思ってしてるよ」

 由利香は少し、微笑む。その目尻から涙が零れた。

「お兄さまのことが、好き過ぎて、……どうしたらお兄さまに喜んでいただけるか、……恥ずかしいこといっぱい、考えて……、います……。由利香、本当はね、由利香の、……ここ、で、お兄さまのおちんちん、こすりっこして……、したら、気持ち良く、なっちゃうかもって、……お兄さまも、嬉しいかもしれないって、思って……」

「試してみたかった?」

 こくん、裸の少女が頷く。正確には裸に靴下だけの由利香が。

「じゃあ、してごらんよ。由利香の思うままにさ……」

 もう一度頷いて膝をつく。ぱくりと空いた自らワレメでぼくを挟み込むように、……手を添えて、重ねる。

「あ……は……、お兄さま……っ、おちんちん、由利香のおまんことキスしてます……っ」

 恥ずかしい単語を用いることにも、もう抵抗がないようだ。

 由利香のおまんこ、ヌルヌルしている。それでいて奥からの温かさが伝わって来る。でも同時に由利香にも、ぼくがもう持て余している熱はちゃんと伝わっているはずだ。

「あのね……、お兄さま?」

「ん……?」

「……女の子の、ナイショのこと、お兄さまに教えてさしあげます」

 由利香は微かに腰を震わせて言う。

「ナイショのこと?」

「……由利香も、由利香より小さい、ほかの女の子も、……おまんこが気持ちいい場所だって、みんな知ってるんですよ……? 由利香も、『お仕事』をする少し前から、知ってました」

「……そうなの?」

 ぼくは自分のあそこが気持ちいいって知ったの、六年生ぐらいになってからだ。「何で硬くなるんだろう?」とは思っていたけど。

「鉄棒とか、あと、ブランコの柵とか……、机の、角っこのところとか、……こすれて、気持ちいいの、由利香、一年生のときから知ってました……。みんなにはナイショで、こんなこと知ってるの、由利香だけって思ってたけど、……見てるとみんな、してるんです。いまの由利香よりもちっちゃい子も……」

「へえ……」

「もっと早く、お兄さまと知り合っていればよかった……。そうしたら……」

「一年生のちっちゃな由利香ともこういうことが出来てたかもしれない?」

 由利香ははにかんだように頷く。

「きっと、ちっちゃい頃から由利香はお兄さまのことが好きでした。お兄さまと会ったときから……、ううん、会う前から、ずっと……、お兄さまみたいに素敵な方と、こういうこと、したかった……」

 一年生の頃の由利香ってどんなだったんだろう? いま、これだけ可愛いのだ。幼くっても変わらず、ぼくは愛することにためらいはないだろう。

「じゃあ、その分いまからもっともっと可愛がってあげなきゃね?」

 こくん、こくん、由利香は嬉しそうに頷く。

「いっぱい可愛がってあげるよ。……実際、そうしてあげないと失礼なぐらい、由利香は可愛いからさ……。もっと見せて、男に恥ずかしいところ擦り付けて気持ちよくなるところ……」

 由利香も、もうそうせずにはいられないのだろう。右手におっぱいの先っぽをつまみ、煽るように首を反らしつつ、髪を揺らして腰を振る、擦り付ける。そこから溢れた液体と体温がにるにるとぼくのペニスの上で滑り、甘ったるさ全開の快感をもたらしてくる。

「あ……! おにっ、さまぁ……っ!」

 ペニスの背面で由利香が脈動するのをぼくは感じる、と同時に、「あぁあああっ」と悲鳴のような声を上げて、由利香の身体が激しく痙攣した。男の子なら「射精」という、とてもわかりやすい方法で表現してくれるけれど、……いや、由利香だってわかりやすい。

「よいしょ、っと……」

 身を起こし、抱き留めて、「……いっちゃった?」確かめると、甘酸っぱい果実のような匂いを身にまとって、由利香はこくんと頷く。

「可愛い。本当に由利香はえっちで可愛いね。……ご褒美あげなきゃね?」

 由利香を膝から降ろして座らせ、ぼくは由利香にぬるぬるにしてもらった自分のペニスを扱く。腰を屈める、その魅力的な弾力のある幼い乳房に刀身を突き付けながら、激しく。

「いくよ……っ、由利香、いくよ……!」

 勢い良く飛び出したぼくの熱の液体は高い粘性を伴って由利香の顔を、おっぱいを汚す。由利香は恍惚の表情でぼくの表現した欲を受け止め、「お兄さま……、お兄さま……」うわごとのようにつぶやき、それでも両手で射精直後の男のペニスに口づけをした。

 

 

 

 

 由利香に、水着を着てもらった。彼女が「昴星くんが、お兄さまこういうの好きって言ってました」ということで持って来たものである。

「お兄さまは、……由利香以外の女の子とはしないのですか?」

 由利香は不思議そうに問う。

「……っていうか、昴星とするまでこんなことしたことなかったよ?」

 ぼくの答えは、彼女には納得しがたいものであるらしく、首を傾げて、「どうしてでしょう……?」

「どうして、と言われても……」

 まあ、……自己分析をするならば、

「誰かがぼくのことを好きだってことを、これまであまり想像しないで生きてきたよ。もちろん、誰かに好かれたいとは思っていたけど、それが叶うことはそうそうないんだろうなって……」

 ということになる。

 由利香だけじゃない、昴星たちも、ぼくのことを「優しくてかっこいい」的な、これまでぼくが一度たりとも聴いたことのないような評価をしてくれる。けれどぼく自身の中でぼくという男は、およそ人間としては価値の低い、……それこそ、ショタコンで今は更にロリコンの、どうしようもないやつだ、ということは揺らがない。

 だからこれまで、同性はもちろん異性ともこういう関わり合い方をしては来なかった。多分、一生童貞なんだろうな……、と多少のさみしさとともに諦め切っていたふしがある。

 なぜこんなことをいきなり話しているのかと言えば……、とりあえずちょっと休憩をしようかと、お風呂でお互いの身体を綺麗に洗いっこするという甘い時間を過ごした後、由利香が「お兄さまが好きだと思って」持ってきたスクール水着を着てくれるということになって、その水着の着方をぼくが興味深く眺めているのが、彼女の気に留まったから。「そんなに珍しいですか?」という質問に、「だって、女の子がそうやって水着を着るところなんて見たことないもの。ぼくはこれまで女の子と一度も付き合ったことがないんだよ?」と答えて……。

「お兄さまは、きっと女の子にもっと好きになってもらえる人だと思います。だって、男の子とだって、……昴星くんと流斗くん、諭良くん、……陽介も瑞希も、お兄さまのこと好きですよ?」

 だと、いいのだけどなぁ。こればっかりは自信がない。

 だから、

「こういうこともさ、……昴星たちに教わって、あの子たちの気持ちいいようにって努めてやってきてる部分が多いし、女の子相手だったらもう、由利香が教えてくれることばっかりだよ。でも、ぼくはそれでもいいんだ。こんな風にね、可愛い女の子がそばにいて、教えてくれるんだからそれだけで」

 由利香は微笑んで裸のぼくの膝に乗り、「じゃあ、由利香がたくさん教えて差し上げます。お兄さま、由利香にもっともっと詳しくなってくださいね」

 とキスをくれる。

「由利香が知ってる女の子のことで、お兄さまが知りたいことってどんなことがありますか?」

「うーんと……」

 女の子のことで、……ぼくの知ってることなどごくわずか。逆に言えば本当に由利香に教わらなくては判らないことばっかりだ。日常の細かなことからしてもうわからないし、……そう、職場の女性社員のことだってわからないことだらけ。

 でも、彼女たちを深く知りたいとはあまり思わない。それよりは目の前の少女のことをもっと知りたく思う。

「……あのさ、由利香。女の子がそういう水着を着てるときって、えーと、……トイレ、どうしてるの?」

「は?」

 あ、素のリアクションだ……。

「だ、だってさ、その……、ぼくだって想像はするよ? 一応それぐらいは出来るさ。でもその、……女の子のトイレってほら、個室でしょ? だから、人それぞれ違うのかも知れないし……」

 ぼくの想像というのは、要するに「全部脱ぐのは大変だろうな……」というものだ。

 いま由利香が身に纏っているような、ワンピースタイプの水着の場合、脱ごうと思ったら上の方まで……、ってことになってしまって、それはおおごとだろう。間に合わなくなっちゃうかもしれないし。だからこう、たまに男の子が半ズボンのサイドからおちんちんを引っ張り出してするのに近いけど、股下をくいってして、こう……、ね。

 でも、みんながみんなそうかどうかはわからないわけだ。案外、由利香は違うのかもしれないし……。そう思って、ぼくにとって現状唯一の「女の子」である由利香にぼくは訊いてみたくなったのである。

「……由利香は、お兄さまがいまおっしゃったみたいに、ここを、くいって引っ張って、しますよ。……たぶんみんなそうじゃないかと思います。だってそうしないと……、おトイレですっぽんぽんになっちゃいます」

 なるほど、やっぱりぼくの想像はそう的はずれなものではなかったわけだ。

「でも、……中にはお兄さまが『大変』っておっしゃったような、全部脱いでしまってからする子もいるかもしれません。……というか、他の子に訊いたことがないので……」

 まあ、そりゃそうか。

 女子トイレって、男子トイレに比べたら閉鎖的な空間であるように思う、……入ったことなくっても知ってるよそれぐらいは。つまり男の子のいわゆる「連れション」がそうであるのとは反対に、隣で友だちがどんなふうにオシッコしてるかなんてわからない。

「ひょっとしたら、……ですけど」

「ん?」

「……夏休みに、少し遠いんですけど、プールに連れて行ってもらったんです、両親に」

 由利香にもそういう少女らしい思い出があったという事実に、ぼくは何だか温かい気持ちになる。

「泳いで、しばらくして、ちょっと、その……、オシッコがしたくなったので、おトイレに行きました」

 女子更衣室(ぼくにとっては全くもって未知の場所だ)のそばにあるトイレの個室は二つだったそうだ。そのうち一つが塞がっていたが、由利香がトイレに入るなりすぐ空いて、出てきたのは由利香と同じか一つ年下か、とにかくワンピースの水着を着た女の子だったという。

「その子が出てきた後、すごく、その、オシッコの臭いがしたんです。その子、知らん顔して行っちゃったからわからないですけど、……ひょっとしたら……」

 脱ぐの、面倒臭くってそのまんましちゃった……、ということだ。

「たぶん、ですけど……、ね」

 プールにはシャワーもあるし、塩素消毒の腰洗い場もある。だからちょっとくらい汚しても……、その女の子の中ではそういう思いが働いたのかもしれない。

「でもそれって……、オモラシですよね」

 由利香はもじもじと言う。

「まあ、そうだね……」

「水着が濡れてたら、目立ちませんし……。その子もパンツだったら絶対しないと思いました」

それも、確かにそうだ。

「由利香はそんなことしたことない?」

 由利香はすぐには答えなかった。ぼくに対して正直でいようとする姿勢が好ましい。ぼくだって由利香には正直でいたいと思っている。

「……その……」

「ん……?」

「……プールじゃなくて、川で、遊んだときに……、その……、二年生のときです、陽介と瑞希がいっしょに遊んでくれたとき、……まだ、由利香はそういうお仕事をしていなくて」

 もじもじ、している。恥ずかしがり方も愛らしい。

「うん、それで?」

「その……、陽介たちは、男の子だから、オシッコ、その辺で出来ます。でも、由利香は女だから、……二人の近くでオシッコするの、恥ずかしいし、でも、一人で遠く行くのは心細いし……、だから……、あの、川の中で……」

「そのままオシッコしちゃった?」

 こくん、由利香は頷いて、頬を染める。

「……まあ、それぐらいならみんなやってるんじゃ、ないかな?」

 失礼な偏見かも知れないけど、まず間違いなく昴星はしたことがあるはず。流斗もたぶん。何と無くのイメージだけど諭良と才斗はそういう経験はなさそうだ。

 かく言うぼくもあるわけだし、立ちションと一緒で男の特権というか、「まあいいや」で済ませてしまえる辺りの部分だろう。

 けど、女の子もそういうことをしているというのは新鮮な知識である。

「女の子のオシッコは大変だね。立ったままだと上手く出来ないし、……その、男の子のうんちもそうだけどさ、しゃがんでしなきゃいけないの、無防備な気がするよ」

「由利香も、……その、お外でオシッコしたくなっちゃったときとか、男の子だったらその辺でさっと出来ちゃうのにって思うとき、あります……」

 女の子の人生というのがある。それに男の人生は自分を重ねられない。だから、「そうなりたい」と思うことはないにせよ、お互いちょっと羨ましかったり「男で/女で」よかったなぁ、と思うこともあったりするわけである。

「由利香も、……質問してもいいですか? その……、男子の、ことで」

 由利香は下手したら男であるぼくよりももっと男に詳しいんじゃないか……、とも思う。それに、彼女のそばには彼女を愛する少年が二人もいるわけだし……、と。でも「どうぞ」と促すと、由利香はまたちょっと恥ずかしそうに、

「……男の子って、普段、その……、一人のときに、するときって……、いつ、どんなふうにするんですか……?」

 と。

 なるほど、それは陽介たちには訊きづらいことではあろうなぁ。

「うーん……、人それぞれじゃないかなぁ……? その、ほら、これもさ、女の子のオシッコと同じで、やっぱり何だろう、プライベートなものだと思う」

 それこそ昴星のように「オネショしてたからそのまんま」って子もいるし、諭良や流斗みたいに「お外ですっぽんぽんになって」って子もいるわけだし。……もちろんそういうの、かなりのレアケースではあろうけれども。

「だからあくまで『ぼくの場合』の答えになるけどいい?」

 由利香は「はい」と頷く。

「最近は、……今夜するつもりだったみたいに、由利香と、まぁ、擬似的にセックスすることも多い。昴星たちと出会ってから、ぼくの『やり方』もずいぶん変わったから、あくまでそれ以前の、一人でいたときの話をするね」

 ぼくは昴星たちと出会う前からショタコンだった。つまりぼくのセックスシンボルというのは、ずっと男の子であった。

 しかしショタコンにとって(そしてまず間違いなく、ロリコンにとっても)自分にとって魅力的な「オカズ」を手に入れられるチャンスってすごく稀だ。というかそういうオカズを持ってることだって許されない。ぼくは小心者で、そういうものは一切持っていなくて、……だからそう、まだ昴星たちのことを知るより前に、部屋の窓から見えた「すっぽんぽんで川遊びに興じる可愛い男の子(流斗のことだ)」の姿を目に焼き付けてオナニーの材料にしていた。

 それでもやっぱり足りない、というときにはどうしていたか。ぼくは由利香を膝から下ろし、押入れの中からDVDや書籍を取り出して見せる。

「本屋とかで買うのは気恥ずかしくって出来なくて、……だからネットの通販で買ったんだ。こういうものを使って、一人でしてた」

 十代の男の子、のモデルと言っていいのかわからない、子役、ではないだろう。とにかく男の子の水着姿を映したDVDとショタコン向けのえっちな漫画。

 これらがぼくにとっては貴重な「オカズ」であった。

「だいたい夜かな。そういう……、いわゆる『溜まってる』ときに、これを見ながら、ね」

 昴星がぼくの前に現れてからは一切見なくなった。だって当然、どんなモデルの男の子であっても、昴星という生身の少年に勝る魅力を持っているはずがないんだから。

 由利香はDVDを手に取りパッケージを興味深そうに見渡してから、

「こういうの、女の子のしかないんだと思ってました。……でも、そうですよね、お兄さまのように、男の子が好きな人もいるし……」

 そう、需要と供給のバランス。ただ「需要」に対して十分な「供給」が行われるどころか、どんどんその供給の蛇口が心細くなってきている感があるのは、ショタコン(そしてロリコン)にとってはとても嘆かわしいことである。

「……こういうのが、あるからでしょうか?」

「ん?」

 じっと由利香はぼくを見て問う。

「その……、お兄さまが、『撮影』をするのがお好きなのは……」

 言われてみると、……いや、どうだろう。多少なりともそういう側面があることは否めないかもしれないけれど。

「モデルの子より、昴星たちの方が可愛いよ。女の子のを持っていたとしても、由利香より魅力的な子はいないだろうしね。……それに、こういうの撮る人たちはプロだしカメラもきっとすごいやつだよ。だいたいはスタジオで撮ってるんだと思うしね」

 実際、画面は本当に綺麗だし、背景もこんな六畳間ってことはない。水着のままのシャワーシーンなんていうのも出てくるけれど、そのシャワールームなんてまるで高級ホテルのような造作である。なんというか、お金の力が働いているのがよくわかる。

「……由利香はお兄さまに撮っていただけるの、すごく嬉しいんです。お兄さまのそばで、由利香がしてさしあげられないときにも、お兄さまが由利香を見て……、気持ち良くなってくださってるってわかるの、嬉しいですし」

「ありがたいことに、昴星たちもそう言ってくれるし、たくさん撮らせてくれる。……のと同時に、あの子たちも撮られることじたいが嬉しいって言ってくれるよ」

 小学生でも高学年ぐらいになると、写真にしてもビデオにしても、だいたい撮られることに気恥ずかしさが芽生えて、何だか斜に構えてしまうようになる頃だろう。それでいながらあの子たちが何のためらいもなく、鮮やかな笑顔をたくさん撮らせてくれるというのは(それがああいった内容のものでなくても)かけがえのない事実だと言えるだろう。

「お兄さま、由利香、ひとつ考えたことがあります」

 由利香はDVDを置いてまたぼくの膝に乗る。

「考えたこと?」

「はい。……ひょっとしたら昴星くんたちもみんな、思いついているかもしれませんし、もうした後かもしれません。でも、……明日、由利香を昴星くんたちに会わせていただけますか? 昴星くんと流斗くん、才斗くん……、あと、諭良くんにも」

「ああ……、まあ、それは構わないよ。みんなも由利香に会いたいだろうしね」

 由利香はにっこり微笑んで頷く。そして立ち上がると「由利香のこと、今夜、撮ってくださいますか?」と訊く。

「撮って欲しい?」

「はい。……そのDVDの男の子も綺麗な顔をしていると思います。でも、由利香はお兄さまの見たいものを全部見せてさしあげることのできる、世界で一人だけの『妹』です」

 こんな子が他にいてたまるものか、……いたら困る。

 ぼくがカメラをスタンバイする間、由利香はお風呂場に入って、バスタオルと洗面器を持ってくる。カバンの中からはローションも。それから着替えを一揃い。なんというか、フルコース。

「……長いのを、撮るつもりでいればいいのかな」

「はい。……途中までは、由利香一人で。途中からはお兄さまも一緒に撮りましょう?」

 もちろん、撮影中にぼくも由利香も堪えきれなくなるに決まっているから、それには何の問題もありはしない、かえってありがたいくらいだ。

「ぼくは黙ってたほうがいい?」

「そう……、ですね。途中までは、由利香がいろいろするの、撮っていてください。由利香、頑張ります」

 洗面器が意味するところはわかっている。由利香はいつも頑張ってくれているよ、と、カメラを回す前にキスを一度してから、ぼくは身を引いて、……それから背景がどうしても雑然とした「スタジオ」で、大して高くもないカメラを三脚にセットして録画を始めた。

 

 

 

 

 スクール水着姿、黒髪を二つに結わえた少女が一人、妙に生活感のある六畳間に立っている。手を後ろに組んで、にっこり、清純でかつ愛らしい微笑みを惜しげも無く浮かべて。

 由利香はぼくがカメラの視線をその顔から細い首に華奢な肩、ほんのりと膨らんだ胸から腰、お腹、そして足のつま先へと伝わせる間、じっとしていた。言葉はなくても、彼女の意図は伝わるし、彼女もぼくの思うところを理解してくれているようだった。

「お兄さま」

 と、……由利香はカメラに向かって呼びかけたのだ、けど、思わず「はい」って返事をしそうになってしまった。……特に流斗がそうだけど、少年たちを撮影していて「演技」っていうべきか言わないべきか、台本もないのにいつもよくすらすらと言葉が出てくるものだと感心してしまうのだが、由利香もそうであるようだ。……考えてみると彼女が一番、その点において秀でていたとしても不思議はない。好きでもない男たちの前で裸身を晒すとき、決して「本気」などではいられないだろうから。

「由利香はお兄さまが大好きです。……今夜は由利香のこと、いっぱい見てくださいね?」

 それから彼女はくるりと背中を向けて、お尻を見せる。視線がおっぱいに招かれない分、彼女の紺色水着の腰の細いこと、そしてお尻が女の子らしく丸いことに目を惹かれる。無意識に、ではないだろう、指を生地の中に入れて裾を直す。それから振り返り、ぼくの「視線」がちゃんとついて来ていることを確かめつつ、畳の上に座り、寝そべる。三脚からカメラを外し、見下ろす角度。柔らかく滑らかな女の子の身体の輪郭を、文字通り舐めるように撮影して行く。……裸でなければ退屈? とんでもない。

 由利香がここにいる、それだけで幸せの花が咲く。

 身体を愛でて、再び可愛い顔に登り至る。由利香はじっとカメラ目線でぼくを見つめ、目を閉じて、ちゅ、と音を立てて唇を尖らせて見せた。……思わず「おっ……」なんて声が出そうになった、と告白しておこう。

「お兄さま、由利香のおっぱい、見えますか?」

 由利香は自分の乳房に指を当てる。濃紺の生地の張り詰めた場所は、つるりとしていてどこに乳首があるのかわからない。

 それは理由を考えて探るまでもないことだ。事実として、由利香のような女子がそこにぽつりと粒を見せていては、たとえ学校の中であれ、どんな間違いが起こるかわかったものではない。男子のパンツ型水着の内側に一枚当て布があるように、そこがあまり如実に輪郭を明らかにすることがないように工夫されているのだろう。

「お兄さまは、女子の水着のこと、たぶんあまり知らないでしょう?」

 いたずらっぽく微笑んで身を起こし、背中を丸めて顔を上げる。その指は、自分の大切な胸元、水着の襟首のところをひっぱって、……まだ「谷間」と呼ぶには相応しくないなりに、標高のごく低いコニーデ二つの間の平坦な部分、幼い心臓が脈拍を刻んでいる。

 乳首は、見えない。水着の裏地にはメッシュのような布地が見える。いわゆる「サポーター」であろう。女子もそう言うのかは不明だけど、役割は同じはずだ。

「おっぱいが、あんまり見えないように、こうしてあるんです。……クラスの男子に見られたら、恥ずかしいですし……。でも、由利香は小さいし、男子もあんまり興味ないかもしれません。同級生の、もっと大きな子のは見たいかもしれないですけど」

 そんなことはないよ、由利香のだって。口をついて出そうになった言葉を、由利香は優しく受け止める。

「……由利香の、見たいって思ってくださるお兄さまにだけ、見せてさしあげます。お兄さまが見て嬉しくなってくださったら、由利香も嬉しいですから」

 そう言って微笑む由利香は右から肩紐を外して行く。「女の子は、こうやって脱ぐんです。……いまは乾いてるからいいですけど、プールの後はちょっときゅうくつになります。男子の、パンツの水着だったら簡単だろうなって、ときどき思います」言うなれば、少女のリアルな本音である。ぼくはどきどきしつつも、「なるほどな……」なんてことを、同時に考えている。

 左右両方の肩紐が外れた。由利香は胸元を抑えてじっとカメラを見つめ、それから焦らすように時間をかけて、水着を下ろして行く。……双子の膨らみの麓が明らかになる、何度も見てきた由利香のおっぱいなのに、ぼくは息を飲むような緊張を覚えずにはいられない。

 乳房の全てが明らかになっても、その痩せた部分は晒さない。左右それぞれ、先端を手で隠して。素晴らしい趣向であると感心すると同時に、どこでそんなこと思い付いたのかなとも思う。水着の食い込んだ跡が白い肌に刻まれているのが、前の夏から今日までの間に彼女が大人への道を歩んでいることの証明だ。

 神々しいような気持ちにぼくをいざなってから、

「……由利香の、おっぱいです」

 由利香がそっと、手を外した。ピンク色のぷっくりした乳輪、ツンとして、それでもまだ勃ち上がってはいない乳首、いずれにしても愛らしさがすごい、……すごい、としか言えない。

「もっと大きくなったら、またこうやって見てくださいね……?」

 ぼくは頷く、深く、何度も頷く。由利香はクスッと笑って立ち上がり、

「男子には見せないところ、もうひとつ、お兄さまだけに」

 と水着の裾に指を入れる。

「……由利香は、普通の、こういう水着しか持っていません。でも、もうちょっと大人っぽい、生地の少ない水着があるの、知っています」

 さっきのDVDになるような女の子たちは、きっとそういう、歳不相応にセクシーな水着を着ているのではなかろうか。もちろん見たことないので推測に過ぎないけど、当たらずとも遠からずじゃないかな、とは思う。

「でも、そういう……、あんまりきゅうくつなのだと、……ちょっとくいこみます」

 由利香は右足の付け根で水着の中に潜らせた指をV字の中央へとずらして行く。その「食い込み」を生じさせる亀裂の辺りまで至ったところで、二秒、三秒とぼくの視線を吸い寄せてから、……くい、と引っ張って、覗かせて見せた。

 ワレメの左右でぷっくりした白肉の、ぼくから見て左側があらわになる。指はまだ水着を引っ張ったままだ。しかし、……なんという卑猥さだろう。左側の水着はほぼ垂直に切れ上がり、由利香の秘処をちょうど半分、覗かせている。

 由利香は更に左側へと右手の指を伸ばし、同じようにする。ちょびっと痛そうにも見えるけれど平気な顔で食い込みをぼくに見せ付ける。

「ふふ……、学校の水着なのに、こんなえっちなの、ダメですよね」

 何がダメなものか! こんな絶景、素晴らしいの一言です。だって、だってだよ? 由利香みたいな子が、おっぱいを全部アンド股間の縦筋ほぼ全て……、って、何だか昴星みたいな言葉の選びになってしまった。

 しかし声を出せないぼくの思いを理解しながら、由利香は指を離し、水着を元に戻してしまう。おっぱいも、同じように。

 元の通り清純なばかりの水着姿の女子である。とはいえこれもこれで。

 由利香は洗面器を持ち上げ、カメラに向けて両手で掲げる。

「……お兄さまに、水着を着てるときの女の子のオシッコ、見せて差し上げます」

 もはや「洗面器」としての用を成していないそれである。洗面器というか便器、というか既に「おまる」である。由利香は畳の上に置いたそのパステルグリーンの洗面器の上に跨り、お尻との位置関係を調整した上で、三脚の高さを調整し顔の高さとなったカメラの「目」に視線を送りながら、股下の布をずらす。

 白い、かつ中央はほんのりピンク色に綻んだ由利香の秘密の場所がはっきりと露わになる。

「こうやって……、ね? 水着をズラして、いつもしてるんです。男の子がおちんちんをパンツの窓から出すみたいに出来たら、もっと楽なんですけど……」

 男子にはナイショの、女子の秘密。ぼくにそうやって晒して見せるものは、魅力的過ぎて鼓動をどう仕舞ったらいいのか……。

「……ん……」

 スリットから左右に伸びるその太ももに、微かな震えとも強張りともつかぬものが走った。僅かにそれから遅れること一秒未満か、乾いた洗面器の中へぱたっぱたっと少女の細い尿道から押し出されるようにほんの少しの量が零れて散る。遅れて、完全な一筋の飛沫となって飛び出してきた。

 男の子のオシッコとは、角度も幅も、音も違う。由利香は微笑むのを忘れたように、ぼんやりとした目でカメラを眺めながら洗面器に向けて放尿する自分の姿を見せていた。……考えてみればお風呂でもしていないし、水はたっぷり飲んでいるし、膀胱には相当量が溜まっていたのかもしれない。色の薄い、だから臭いもさほど強くない飛沫が、洗面器の中へと溜まって行く。

 最後、勢いのなくなったオシッコが、びゅっ、ぴゅっ、と二回弾む。女の子もそうやって絞るのだ。

「……おしまいです」

 由利香は笑みを取り戻して、手を伸ばしロールペーパーを引き寄せる。それを片手で巻き取って、

「女子はオシッコのあとは、こうやって……」自分のスリット、お尻の方まで丁寧に拭う。「拭くんです。男子はこういうことしないですよね?」

 そう、だから昴星なんでいつも、ブリーフの前は黄色い。

 由利香は股下の生地を戻して、立ち上がる。

「女子の、オシッコするところ、お兄さまの参考になれば嬉しいです。……水着、着替えます。お兄さまに見ていただきたい服があるんです」

 服? 由利香がさっきカバンから出してちゃんと畳まれた服の一揃いは、普段とさほど変わらないもののようにも見えたけど……?

 由利香はカメラの前で水着の肩紐を外してから、バスタオルを巻いた。バストもスリットも見えなくなる。そんな中でごそごそしているのは、何と無く焦らされているようにドキドキする。背中を向けて、畳まれた下着に足を通していく。それからぴったりとした紺色のスパッツ、そこまで穿いたところでタオルを取り、ブラジャーをつけないまま、黒いキャミソールをかぶる。ああ我ながら間が抜けていた、由利香が用意していたのは季節外れの夏物だったのだ。

 それにしても、薄着である。寒そうだ、という以前の問題として、……仮にブラジャーをしていたとしても、こんな格好で歩くの、ちょっと危なっかしいように思う。

 ぼくがそういうことを考えたという事実は、……他の、もっと「真性」なロリコンにとってはより重要ではないだろうか。無防備な少女を付け狙う不埒な輩をいたずらに刺激するのはあまりに危険だ。

「……これ、去年の夏にこっちに来たとき、おこづかいで買ったんです。由利香の住んでいる街にはこういうおしゃれな服が売っていないので……。いつかお兄さまと一緒にお洋服買いに行ってみたいです。安いものでも、お兄さまが選んでくださった服なら由利香、嬉しいですよ?」

 真っ白の、もちろん無毛な脇の下も丸見えだ。ちょっと屈むとそれだけでささやかな膨らみの先端が覗けてしまいそうになる、その格好自体が誘惑的とすら言えるかも知れない……。

 ともあれ、可愛い格好であるのは間違いない。由利香はどちらかといえばおとなしい子だけど、この服装はどことなく活発で、元気、ちょっと気の強い子にも見える。

「由利香は、こういう、スパッツが好きです」

 由利香は後ろを向いて見せる。お尻のラインがくっきり浮かび上がっている。そう言えば、今日もスカートの内側に履いていた。帰りはあの通り、脱いでいたけれど。

 と、考えて、そうかと思う。スパッツ穿いていれば仮にスカートが捲れ上がるようなことになっても、その内側のパンツまでは覗かれずに済む。由利香自身としても安心なのだろう。

「本当は、この上にスカートも穿きます。でも今夜はお出かけするわけではないので、このままです」

 うん、スパッツの上からでも由利香の女の子のお尻は可愛さ満点と言っていい。桃のような丸み、水着も可愛かったけど、これも顔を埋めたくなるくらい可愛い。

 ……と。

「……お兄さま、何か気付きませんか?」

 膝に手を置いてお尻を突き出す格好になって、由利香は訊く。……はて、なんだろう……? 黒のスパッツは、お尻のとても滑らかな曲線に吸い付くようである。

「触ったら、わかるかもしれませんよ?」

 由利香がそう誘う。見ても考えても答えの出せないぼくは屈して、仕方なく手を伸ばした。ややケミカルな手触りの向こうから、みずみずしい少女の臀部の弾力性が伝わって来て、……なんというか、これまで痴漢なんて、「お尻触るだけじゃないか」なんて思っていたけど、考えが改まるのを覚える。これはこれで、十分過ぎるほどに魅力的な感触だ。

 手触りを愉しむことに集中しすぎて、

「まだ、わかりませんか?」

 由利香に訊かれるまで、答えを考えることを忘れていた。

「もう、お兄さま……、意外と由利香のこと見てないんですね?」

 機嫌を損ねたようにお尻を引いて、でも口元には笑み。改めてこちらを振り返って、おへそを見せるようにキャミソールの裾を捲りあげて、

「あ」

 と思わずぼくの声は口をついてこぼれてしまった。

 そうか、そういうことか……。スパッツのお尻が全く滑らかなはずがないのだ。だって本来は、内側にパンツを穿いている。裾なりウエストなりのゴムラインが浮かび上がっていてしかるべきなのだ。けどぼくの掌に残る感触はさにあらず。あくまで薄布一枚ごしの、由利香のお尻の弾力感が残っている、ということは。

 由利香はノーパンなのだ。

 ぼくの考えたことを見抜いたように、「違います」由利香は首を横に振る。

 ……言われてみれば、確かに……、前から見ると下着のものとおぼしきシルエットが、うっすらと浮かび上がっている……。

「さっき、……食い込むの……、結構へいきです」

「え……」

 由利香は妖艶と評したっていいくらいの笑みをカメラの「目」に向けると、また後ろを向いてスパッツのウエストに指を入れる。

 突き出したお尻に、白いリードが食い込んでいた。丸いけど、女の子としては小振り(これは同じく丸いお尻をした昴星が男の子としてはむっちりしたお尻であるのとは好対照だ)でありながらも、立体的な隆起として捉えるに不足のない双子の丘のまさしく「谷間」の中央奥深く、飲み込まれるように……。

「お兄さまが、喜んでくださったらいいなって……。由利香は、えっちな子かもしれないですけど、でも、お兄さまの前でだけです。こんなの穿いたの、初めてなんですからね……?」

 いつも見慣れた、そして見飽きない少年たちの下着、ブリーフ。あれは、記事の面積並びに肌の露出という点では男児の下着としてはふんどしについでえっちなものだ。しかし一方で、おちんちんもお尻も安定感のある記事に覆われることでしっかりと護られ、下着越しにぼくが見ることができるのは、せいぜいお尻への食い込みと、前部の膨らみだけ。

 しかしいまの由利香の穿いている、Tバック、ってことでいいんだろうか、きわどい下着は、そもそも最初から隠そうという気がないようなシロモノである。

「すごい……」

 また、思わず声を漏らしてしまった。慌てて口に手を当ててしまったけれど、「もう少しだけ待ってくださったら、お兄さまのこと……、ね?」

 由利香はスパッツを完全に脱ぎ捨てて、くるりと前を向く。全面もやはり、布面積はかなり少ない。白い、ハイレグ(やや古いか)水着のような輪郭はスリットを物理的に隠すことには成功しているものの、生地自体がずいぶん薄いようで、目を凝らせばうっすらと走る縦の筋が見えている。

「よーく見てくださいね?」

 由利香は畳の上にお尻を下ろす。両足をしどけなく広げ、足の間でその布がどうなっているかをぼくのカメラに観察させた。

 やはり、縦のスリットは透けている。

 じっくりとぼくが観察するのを眺めつつ、由利香はキャミソールを捲って尖った乳房を見せる。それから四つん這いになりお尻をこちらに向けて、改めて突き出して晒す。

 どんどん細くなっていく布地は由利香の肛門に至るより先にすっかりただのゴム紐と化している。

 つまり、由利香のお尻の穴で隠れているのはその中央部だけで、周囲の短いシワまで丸見えになってしまっているのだ。

 ぼくがその部分に目を奪われているのを意識してか、足の間から伸びた由利香の指先が「ここ」とその辺りのゴム紐をついと撫ぜた。

「お兄さまに入れていただくの、すごく楽しみです……」

 指は少し下がり、白い布地の上から筋をするりと撫ぜる。きゅっと肛門のシワが窄まり、「ん……」由利香は微かに声を漏らす。

 ぼくはもう、相当に極まっている。入れて欲しいなら今すぐにでも入れてあげるよという言葉をどうにかこうにか堪えて唾を飲み込むぼくを尻目に、水着の白い生地に、小さく濡れたスポットを浮かび上がらせて見せる。オシッコではない。そうではなくて、由利香の欲の証だ。

「お兄さま、一回カメラを止めてください」

 不意に、由利香は言った。ぼくは言われたとおり、カメラを止める。そして言いたくって言いたくって仕方のなかったことを、

「すごい! 本当にすごい……! そんなの、一体どこで買ったの……?」

 やっと、ぼくは口にした。由利香はクスッと笑って、「最近は由利香ぐらいの歳の子のパンツでも、こういうの売ってるんですよ?」と身を起こし、キャミソールを脱ぎ捨てて髪をほどいた。美しくたっぷりとした黒髪が背中に広がる。由利香は完全に勃起して欲を持て余すぼくを祝福するように微笑み、頬を両手で包んで優しいキスをくれた。

「ここからは、お兄さまは見ちゃダメです」

 カバンの中から、タオルを取り出す。細長い、ごく普通の浴用タオルだ。由利香はそれを縦に二つ折りにして、ぼくの目にあてがう。

「え、あの……?」

「由利香がいっしょうけんめいサービスするところを、撮ります。お兄さまが後で見たとき、すごく嬉しいものを。……でもちょっぴり恥ずかしいので、お兄さまは今は見ちゃダメです。……ちゃんと気持ち良くしてさしあげますから、ガマンしてくださらなきゃダメですよ?」

「気持ち良く」してくれるという由利香の言葉には、一片の疑いさえ差し挟む余地はないだろう。しかし目隠しというのはあまり慣れない。ぼくはただ呆然と布団の脇に裸で座り、由利香が何やらゴソゴソ動いているのを気配で感じるだけだ。

 そうしているうちに、「お兄さま、左手のお布団に横になってください」と由利香が言った。

 指示の通り、敷かれた布団の上に手をおいて「お……」と声が出る。シーツではない、オネショシートのもさっとした手触りが伝わって来たのだ。それでもとにかく、ぼくは横になる。

「それでは、撮ります」

 由利香の声が少し高いところからして、撮影が開始された。

「お兄さま、見えますか? ……って」

 自分の言葉のおかしさに、由利香はハタと立ち止まる。見えなくしてるのは君でしょう由利香お嬢さま。でもカメラの「こっち」で見ているぼくには見えているだろう。

「え、ええと……」

 こほん、と咳払いをして気を取り直した由利香は、

「これから、由利香のえっちなところ……、恥ずかしいところ、他の人にはナイショのところ、お兄さまにだけお見せします……。由利香のこと見て、いっぱい……、いっぱい、気持ちよくなって下さいね?」

「ぼく」にではなくカメラの「目」に向かって言っているのだと思う。そういう角度の声だ。

 由利香の身体の存在感が一瞬消えた、と思ったらすぐ戻ってきた、……何かをしている(当たり前だ)気配に遅れて、三脚の脚が広げられる音がした。そして、思わず「ひゃっ」とぼくの唇から声が出た。ローションだろう、ぬるりと冷たいものが、胸の上に零された。カメラは三脚に低い角度で固定されたまま、

「お兄さま、……失礼しますね?」

 ぼくの上に乗る、際どい下着一枚だけ身に付けた少女の姿をきちんと捉えているはずだ。

 軽い体重を心地よく受け止めながら、……由利香のキスを唇に受ける。啄ばむように、やがて、唇を舐め、ぼくの口中へ情熱的な舌が這入ってくる。頬にも、顎にも唇と舌は当てられた。同時にぼくが感じるのは、由利香の甘酸っぱいような硬さ柔らかさのおっぱいが、ぼくの肌の上に滑り、僅かにたわむこと。

 再びぼくの唇と唇を重ねて、

「お兄さまと、キスしてます。……由利香はお兄さまが、大好きです……」

 由利香は言う。

 それから彼女が三脚を外す気配がある。手持ちの撮影に変えて、手のひらをぼくの身体に這わせ始めた。乳首にキスをされる。舌先は、何というかとんでもなくエロティックに動き、ぼくの、ぼくなんかの乳首を転がす。……そういうことをされて、ぼくの身体はまるで昴星たちみたいに性欲を募らせる。視界を塞がれている分、身体の感覚が鋭敏になっているみたいだ。

「あ……!」

 重なった身体の低いところ、ぼくの先端が由利香の股間に当たった。由利香は意地悪をするように薄い水着のしっとり湿っぽいような感触をぼくの亀頭に教えて、

「お兄さま………、由利香が触る前から、もう……」

 嬉しそうに囁く。

 由利香は身を起こした。

「お兄さまのおちんちん、して差し上げます。……後で見て、……お兄さまに喜んでいただけるように、……失礼します」

 由利香が起き上がり、タオル、だろうか、胸にかけられた。その上に、彼女の手にあったカメラが置かれる。由利香のローションをまとった右手がぼくの怒張に添えられる。

 リズミカルに、扱かれはじめる。

「お兄さま、一回だけじゃいやですよ? たくさん、たくさん出して、気持ちよくなってくださいね……?」

 由利香は、……キスもフェラもすごく上手、いや「上手」という言葉の範疇を凌駕している。この歳の少女としてはあるまじき量の経験が、男の身体に強い快感を与えるのだろう。ローションが加わればなおのこと。

「ん……、お兄さま……」

 由利香の声が、微かに震えた。と、同時にぼくの亀頭にローションよりもずっと熱い温度の液体が迸った。

 細い液体の音色。

「お兄さま、お兄さま、由利香のオシッコで、気持ちよくなってください、お兄さま……!」

 ぼくの裏筋に直接当たり、優しい尿臭を漂わせるオシッコ。同時に右手を扱き、ぼくを追い立てる。

 少女の放尿そのもので、ぼくは射精する。塞がれた視界、……どこに飛び散ろうが知ったことか。実際、カメラを汚したかもしれない……。由利香はのたうち、震えるぼくのペニスにオシッコを最後まで出し切って、カメラとタオルを退かした。

「ふふ……、お兄さま、由利香のオシッコ、気持ちよかったですか……?」

 息を抑えるのにも苦労するぼくにそう微笑んだ声をかけて、由利香はぼくの身体に散った欲の証をティッシュで拭う。それから改めてぼくに一度キスをして、タオルとカメラを退かした。

「……お兄さま、由利香ももう、ガマン出来なくなりそうです」

 ぴちゃ、と水の跳ねる音がした。なんだろう、と考えかけて、……考えるまでもないことだと思い至る。先ほどの洗面器だ。

「由利香の、……汚くて恥ずかしいの、出るところ……、お兄さま、見てくださいね……?」

 由利香は横たわるぼくのすぐそばに立っている。カメラはもう、再び三脚に据えられているようだ。ただ、声は高いところからする。昴星たちがときどき見せてくれるみたいに、立ったままの排便姿を披露しようというのだろう……。

 見たい! 見せて! という声を飲み込むことが出来たのは、せっかく由利香の痴態の一部始終を収めることが出来るというのに、自分の無様な声なんて加えたくないという思いからだった。

「は……んぅ……」

 由利香が、いきむ声が聴こえてくる。女の子もうんちのときにはそうやっていきむんだ……、という当たり前の事実が、その声だけ聴かされるぼくの立場としては狂おしくさえ感じられる。

 と、同時にぼくの顔に、斜め後ろの方からオシッコが飛び散った。由利香はぼくの頭の近くで排便しようとしているらしい。

 しおらしく、

「ごめんなさい……、お兄さまに、オシッコしちゃいまし……、あっ」

 謝ることばの終わらぬうちに、ガスの放出される音が響く。由利香が黙りこくり、どうにかそれを止めようとした気配がある、……しかし音は却って断続的に、細く長く続いた。

「あぁ……んっ……んっ、出ますっ……、由利香のぉ……」

 昴星たちに比べれば構造的に柔軟性のあるはずの肛門が、内側から押し広げられる音がする。

「やぁ……っ、すごい……っ、太いのっ……、太いの……っ出て……っ」

 由利香自身も予期していなかったのかもしれない。昴星がするみたいな音を立てて、……多分、後ろからのカメラではもう、由利香の割れ目は茶色い棒状便に隠されて見えなくなっているはずだ。またオシッコがぼくの顔に振りまかれる。さっぱりと薄く軽やかなしょっぱさを伴うオシッコの味に、少女が肛門からぶら下げる不似合いに太いうんちの臭いが漂って加わる。

「はぅん!」

 由利香が声を弾ませると同時に、ぴちゃん! と洗面器に便が落下した。洗面器から零れていないかどうかは、今のぼくにはどうでもいい。それよりも、「まだっ、また……また出ますっ……!」由利香が再びのいきみ声を漏らす、それに耳を澄ませていればいい。

 ぴたっ、……ぱたん、音を立てて折り重なる由利香の便が強い臭いを放つ。由利香の排便は終わったようだが、彼女は立ったまましばらくぼうっとしていた。

 だが、自分の仕事を思い出したようにカメラの向きを治すと、ペーパーでお尻を拭く音を立てて、

「……お待たせしました」

 ぼくの下半身に周り、詫びるように、ペニスに口付ける。

「お兄さま、おちんちんが、由利香のオシッコの味ですね……、でも、すごく硬くて、嬉しそう……。由利香も嬉しいです……」

 ゴムが被せられる、ローションもたっぷりと。律儀に「失礼します」とまた言ってぼくに跨ると、まだ臭いを漂わせる太いものをたっぷり産み出した穴を、ぼくの先端に押し当てる。

「……由利香は、お兄さまの……、おちんちんで、お尻を……、していただくの、会えないとき、ずっと思って……、いました。いま……、こうやって、由利香のうんちで興奮してるお兄さまと、ひとつになれるの……、すごく、……すごく、幸せです……!」

 飲み込まれて行く。

 やはり、昴星たちよりは柔らかい。

 しかしそれは、快感の量とは関係ないことだ。優しく包み込むように、ぼくのペニスを身体に埋めた由利香は、幸せそうな溜め息を吐き、きゅっきゅっとぼくを締め上げる。

「……ぜんぶ……、入っちゃいました……、からっぽの、由利香のお尻に……、お兄さまのおちんちん……!」

 声は出せない。しかし叫びをあげたいほどの幸福が、ぼくの中にも確かに満ちる。

 由利香のすること、ぜんぶぼくのためだ。本当は、年相応に清純な女の子、でもぼくを喜ばせたいと願うから、排便という考えうる限り一番恥ずかしい姿さえも晒してくれる……。

「お兄さま……、由利香、動きます。……いっしょに、気持ち良く、なってくださいね……?」

 頷いた。由利香が気持ち良くなることで、ぼくがなれないことなんてあるはずがなかった。

 掴んで扱きあげるように、由利香が腰を降り始めた。

「んっ……んっんっ、んぉ、っしりっ、お兄さまのぉ! お兄さまのっおちんちんっ、由利香の……由利香のっうんちの穴っ、す、っごぉいっ、お兄さまっ、お兄さまぁっ」

 これが終わったなら、抱きしめよう。そして、……もうカメラなんていらない、だってこれほどのものを見せてもらったんだもの。

「お兄さまっお兄さまっ好きっ……あはぁあっ」

 勢い良く、ぼくと繋がる場所のすぐ近くから温水が吹き上がった。それは低い放物線を描いてぼくの口に届く。潮かと思ったが、オシッコだ。

 それさえも、ぼくを悦ばせるために、由利香がもたらしてくれているもの。

「あっ、あ、やぁっ、オシッコ……っ、オシッコとまらなっ……あぁあっ」

 飛沫が止まると同時に強く強く締め上げられた。ぼくは愛しい由利香のオシッコを味わいながら、思い切り少女の肛門へと射精する。由利香が同時に到達してくれたことは、繋がったところから伝わってくる脈動からも明らかだった。

 

 

 

 

 どうせまた汚れるのだから、お風呂は後回し。「でも、お兄さま……、ちょっと……」臭いのだろうか。でもこれがぼくの好きな由利香のにおいだ。

「すごい、たくさん出したね」

 洗面器を見下ろして、圧倒される。「これ、ガマンしてたの?」

 由利香は恥ずかしそうに頷く。由利香って、わりとスレンダーな体型だ。これだけの量をお腹に隠し持っていたというのは、正直、驚きである。太く長いの二本、そして長さ的には半分ほどのも二つ。先に由利香がそこに注いだ薄い黄色のオシッコの存在感が希薄になるくらい堂々として、迫力のある……。

「あ、あんまりそんな見たら恥ずかしいですよぉ……」

 泣きそうな声で言われれば、ぼくとしてもそれ以上観察し続けるわけにはいかない。ぼく自身はいい匂いだと思うこの身体から漂う由利香の尿臭も、由利香としてはあまり嗅ぎたくはないかもしれないから、「じゃあ……、トイレで流そう。でもって、続きはお風呂でしようか」ぼくの申し出に、由利香は安堵したように頷く。

「パンツも、黄色くなっちゃったね」

「……あれは、最初からそうするつもりでした。由利香はお兄さまにあまりたくさんのパンツは差し上げられないので、そのぶん特別なものをって……」

「そうだったの?」

 それはわざわざ気を使わせてしまった。

「だって……、あんな、……形の、普段穿くの、無理です」

 まあ、それはそうか。ぼくだってあんなパンツ穿いて由利香が表歩いてるって思うだけで、ちょっと辛いものがある。

 布団の脇に落ちた、ほぼ紐、プラスアルファ程度の布、という下着を摘み上げて、

「大人っぽいパンツなのに、オシッコ付いてて黄色いね」

 と指摘する。生地が薄く少ないから、もうほとんど乾いてしまっている。

 洗面器を持った由利香と一緒にトイレで大盛りの便を押し流し、浴室に入ったところで、「あの」と、ちょっと言いづらそうに由利香は顔を上げる。

「……さっき、由利香がお兄さまに、女子の秘密、教えました。由利香もお兄さまから、男の子の秘密を教えていただきたいです」

 ……男の子の秘密?

「って言うと?」

「お兄さまは、昴星くんたちのパンツ、たくさん持ってますよね?」

「ああ……、まあ、ね」

 くれるし、欲しいし。

「陽介と瑞希も最近、パンツの取り替えっこをしてるみたいなんです。……でも、由利香にはくれません。『どうせ使わないだろう』って……。その、確かに由利香はおちんちんが付いていません、それに、お兄さまや陽介たちが、好きな子のパンツをどういうふうに『使って』いるのか、知らないです……」

「つまり、……こういうことか。使い方がわかれば、陽介たちも由利香にパンツをプレゼントしてくれる……」

 こっくり、由利香は頷いた。

「うーん……、そうだなぁ……」

 確かにぼくは、昴星たちのブリーフ、そして由利香がくれるパンツを「使って」いる。何に使ってるのかと問われれば当然、オナニーするのに使っているのである。

「……由利香は、例えば陽介たちはどんな風に使ってるんだと思う?」

 由利香は少し恥ずかしいことを口にするように、

「……取り替えっこした、パンツを、……穿いて、どきどきするのかなって……、思います。でも、考えてみるとお兄さまは由利香のも、昴星くんたちのも穿けないですよね……」

「そうだね、サイズが違いすぎる。……それに、せっかく可愛い子の可愛い臭いが染み付いてるのに、自分の臭いなんて付けたいとは思わないなぁ」

 まあ、包んで擦って、みたいなこともたまにするけど、基本的にはレアケースだ。

「何なら……、そうだね、由利香は今日すごくサービスしてくれたから、お礼にぼくがどんな風にしてるかを教えてあげても構わないけど、……知りたい?」

 由利香は頬を染めて、それでも決然と頷く。子供は興味があっていい、どんなものであれ、知りたいと思っていい。

「由利香の穿いて来たパンツ、借りるよ?」

 洗面所のカゴに、ちゃんと畳まれて置かれたピンク色を携えて、二人で浴室に入る。お湯はもう溜まっているから、とりあえず由利香の体が冷えてはいけないので浸からせて、ぼくは腰掛けに尻を乗せてそのピンク色の、年相応におとなしいフォルムの下着を広げる。

 視線を感じながらこんなことを説明するのは、何と無く馬鹿らしいが、

「まず、こうやって観察する」

 ぼくは言う。ぼくがどんな変態であったとしても、この子がぼくのことを好きでいてくれるということには自信があった。

「可愛いパンツだなぁ、女の子なんだなぁって思う。……これが男の子たちのだったら、昴星のなんて特に、前が黄色くなってることが多い。だから、『いつもだらしなくて可愛いなぁ』って思う。由利香のはいつも清潔に見えるね?」

「だって、……ちゃんと拭いてます」

「うん。だからこうやってパンツを見ながら、由利香が穿いてるところを想像する。由利香はオシッコのたびにちゃんと綺麗にしてて、だからパンツも綺麗なんだなぁって。……でも、こっちはどうだろう?」

 あっ、と由利香が声を上げる。ぼくはピンクの下着を裏返した。……ブリーフの前の部分が二枚重ねになっているように、女の子の下着も裏地が重ね布で補強されている。

 男の子がそうであるように、女の子だって、……どんなに清潔感ある子のここだって、やっぱりこうなっているのだ。

「こういうの見てさ、……ああ、すっごい可愛いなぁって思って」

 自分のしていることのヘンタイさ加減については自覚しているし、由利香に応える形で見せている。ぼくはティッシュでハナをかむときみたいに、「こうやって……」由利香の尿滴が付着したパンツに鼻を当て、集中力とともに嗅ぐ。

 ……オシッコの臭い、だ。可愛い由利香が和式で屈んでオシッコをする姿が容易にイメージ出来る。愛らしいワレメからしゅーっとせせらぐオシッコが便器に注がれて行く、由利香のちょっと安堵したような溜め息さえ聴こえてくるような気がする。

「……ほら」

 足の間を、由利香に見せる。「ね、……こうなる」

 ぼくはもう勃起していた。由利香は紅い頬でそれを驚いたように見ている。

「……あとは、わかるよね。嗅ぎながら、由利香のこと想像してオナニーをする。今夜は想像しなくても、目の前に由利香がいるからね」

「お兄さま……」

 呆れられちゃうかな、と思ったけど、由利香は浴槽から出て、ぼくの前に座る。それからぼくにキスをくれる。

「……嬉しいです、お兄さま……、お兄さまが由利香と会えないときでも、由利香でそんな風に、おちんちん硬くしてるの……」

「ぼくにはこのパンツ一枚でも幸せ過ぎると思うよ。普通の男がどんなに望んだとしても手に入れることの出来ないものを、ぼくは持ってるんだからね?」

 下着を元の通り畳んで、洗面所に置く。戻ったとき、由利香は浴槽の縁にちょっと危なっかしく、しゃがんでいた。

「お兄さま、由利香は、……またオシッコがしたいです……」

 恥ずかしさを堪えつつ股間を大きく開き、健気なアピールをする。

「うん。ぼくも由利香にオシッコして欲しいな」

 由利香は足の間に座ったぼくを見つめながら、下肢から力を抜いた。スムーズな勢いで、温まった由利香の身体よりももっと温かなオシッコが噴き出し、ぼくの身体を濡らして行く。ワレメを広げて、奥まで覗かせて、……女の子のオシッコがどんな風に出るものなのかということを、ぼくに教えてくれる。最上級の臭いと、味とともに。

「本当に……、由利香のオシッコは可愛い、おまんこも、本当につるつるで可愛いね」

 放尿の終わらないうちに、

「おにぃ、さま……」

 そこへ顔を近づけて舐める。オシッコと、もう一種類の味がする。

「由利香のおまんこ、大好きだよ……。ずっとさ、……自分はショタコンで、女の子に興味持つことなんでないって思ってたけど、……由利香に教えてもらったんだ、でもって、……他の女の子に教わるんじゃなくてよかった。他の女の子だったら、ぼくはきっと今でも男の子にしか興味を持っていなかったよ……」

 和式でのスタイルのままでは危なっかしいし、由利香も疲れてしまうだろう。

「もっと温まらなくて平気なの?」

 ぼくの問いに、こくんと頷いて、由利香は縁に座り直す。閉じた両足の付け根、短いスリットだけ見えるのもまた愛らしい。

「……由利香も、お兄さまに教えて差し上げることが出来て、よかったと思います……」

 その足を、由利香がじわじわとまた、開く。

「由利香、ずっと自分のここ、あんまり、好きじゃありませんでした……」

「ん……? そうなの?」

 男の子のおちんちんに負けないぐらい、可愛いのに。

「だって、……ここは、普通の女の子の場所じゃありません……。恥ずかしい『お仕事』をして、たくさんの……、男の人にいじられて……、きました。だから……」

 ああ……、そういうことか……。ぼくが忘れてはいけないのは、由利香が自分のしてきた「仕事」を、たとえ家のためであるとしたって快く思っていたわけではないということ。

 でも、と由利香は笑顔を見せてくれる。

「お兄さまが、好きになって下さったから、……由利香も、自分のここ、……好きになれる気がします。お兄さまが見て、可愛いって言ってくださるから……」

「うん」

 ぼくは顔を突っ込んで、しっとりと蜜を滲ませるそこを舐めた。

「あ……っ」

「由利香のおまんこは可愛いよ。由利香のオシッコも含めて、大好きだよ。……ぼくは由利香のしか見たことないけど、きっと誰よりも可愛い。だってぼくのたった一人の、女の子の『恋人』の大事な場所なんだからね」

 可憐な少女はぼくの舌を受けて声を溢れさせる。その声は男の子のそれよりもうワントーン高くて、透明で、とびきり可愛いものだ。

「お兄さま……っ、由利香、……おまんこに、お兄さまの、おちんちん……欲しいです……っ」

「ぼくも由利香に入れたい。……でも、どうする? 身体を洗うの先にしたほうがいい?」由利香は首を横に振って、

「もう、いますぐがいいです。……終わったら、由利香が洗ってさしあげます……!」

 オシッコをガマンするみたいに切羽詰まった声で言う。はい、その方が、ぼくもいいです。身体を洗ってもらってるうちに、ぼくだってガマンできなくなるのは明白だから。

 座ったぼくに、由利香が丁寧な手つきでまたゴムを付けてくれる。それから、

「あの……、お兄さま……?」

 見上げる。頬は紅い。

「ん?」

「由利香、さっきお尻にしていただいてるとき……、その……、オシッコ漏らして……」

「ああ、うん。あったかくてよかったよ。たくさん水飲んだからまだお腹の中チャプチャプしてるんでしょ」

「……お兄さまに、……おまんこ、していただいてるとき、また……、オモラシしちゃうかもしれません……」

 気にしてるんだ、そんなこと。ぼくはまだ乾いた髪を撫ぜて、

「いっぱいしちゃえばいいよ。昴星たちだってこうやって遊ぶときには何回オモラシするかわからないくらいだ。それにぼくは由利香のオシッコだって好きだって言ったでしょ?」

 由利香は恥ずかしそうに頷いて、ぼくの腿をまたぐ。ぼくを待ち侘びて濡れた場所はあぐらをかいたぼくの目の前にあり、花のように薫る。顔を寄せて一度、スリット沿いに舌を這わせたら、

「あっ……」

 ちょろっ、とぼくの胸に温水が滴る。相当頻尿になってしまっているようだ。

「ごめんなさい……」

「もう漏れそうなの? さっきしてくれたばっかりなのに」

 でも、可愛いからいい。むしろ、もっと、いくらだってしてもらいたいとさえ思う。

 お尻に手を当てて、導く。しどけなく足を広げ、開かれた穴に、……ゆっくり、ゆっくり、入っていく。

「んんン……、お兄さまぁ……!」

 角度が男の子とは違う。どっちがいい、ということではなくて、どっちもいい。確かなのは、ぼくがこの角度で抱きしめるのはこの世に、そして後にも先にも、由利香ただ一人だけっていうこと。

 しっかり抱き締めて、時間をかけてキスをする。

「……つながっちゃい、ましたね……。由利香のおまんこと、……お兄さまの、……おちんぽ」

「お」

 その単語に思わず由利香の顔をまじまじ見つめてしまう。由利香は小さく笑って、

「昴星くんが言ってました……、お兄さま、おちんちんのこと、『おちんぽ』……って、言うの、好きって。でも昴星くんは『お』を付けるのが恥ずかしいから、その……『ちんぽ』……って、言うって……」

「好きっていうか、……まあ、普段とちょっと違う言い方するのも興奮するし、あと、その言い方がえっちな気がするから……」

 何だか言い訳がましい。

「諭良くん、は、最近、『ちんちん』って言うんでしょう?」

「うん……、あの子は本来は『お』を付けないものだと思ってたらしいね。だから『オシッコ』は『しっこ』だし……」

 由利香はぼくの唇にまた唇を当てて、

「由利香も、……ときどき、言います。……お兄さまの、……おちん、ぽ……」

 反応してしまった……。

「でも、由利香は……、お兄さまの、……なら、全部、全部大好きですよ? 『おちんちん』も、……『ちんこ』も、……『おち……、んぽ』も、ぜんぶ……、お兄さまのだから、大好きです」

 どうも、やっぱり「おちんぽ」って言うのは恥ずかしいみたいだ。それが可愛いから、

「聴かせて、もう一回……」

 つい、下品なリクエストをしてしまう。由利香はぼくの肩に手を当て、耳に、

「お兄さま……、の、お、……おちんぽ……」

 小さく、囁いてくれる。うん、可愛い、ほんと可愛い。

「由利香のおまんこはぼくのそれが欲しいんだ? ……ひくひくしてるの伝わってくるよ?」

 きゅう、と抱きついて、「いじわるです……」と絞り出す。

「ぼくは可愛い子にしか意地悪したことないけどね」

 これは本当のこと、昴星、流斗、諭良、みんな可愛いところを見せてくれると知ってるから、意地悪をしてあげたくなってしまうのだ。

「だって、だって由利香は……、大好きですっ、お兄さまの、……お兄さまのおちんぽっ、大好きですっ」

「おまんこに『おちんぽ』入ってるの、幸せ?」

「幸せっ、ですっ……、おまんこにっ、おちんぽ入ってるの、幸せぇ……っ」

 太ももを支える。軽い身体はぬるつく愛の液体を纏った接合部を視点に、揺さぶるのは容易だ。

 お尻の穴に比べればずっと柔軟性があるとはいえ、その身体に比した以上の大きさなんて望むべくもない。それでも由利香は本当に健気にぼくを受け入れ、……どうやっているのか、意識的にか無意識的になのかまでは計り知れないが、不規則なリズムでぼくを締め付けてくる。狭い胎内、お腹の中まで自分が収まってるような気持ちにさせられる。

 由利香はぼくの首に掴まり、

「お、おっ、おにぃさまっ、オシッコっ、オシッコぉ!」

 ぼくは両の太ももをそれぞれの手で内側から抱える格好だ。思いっきり広げられたおまんこの上の方から、由利香はぼくの下腹部に思いっきり放尿しながら、……どうやら達してしまったようだ。ぼくのをぎゅううっと引き搾って、力を失う。危うく後ろにひっくり返ってしまいそうになった身体を慌てて抱き締めたところで、

「ごめんなさい……、お兄さま、ごめんなさい……!」

 由利香が啜り泣いていることに気付く。

「ん……?」

 オモラシなら気にしないと言ったのに。

「……由利香、ガマンできませんでした……、お兄さまの、おちんぽ、ちゃんと、……気持ち良く、して差し上げる前に……」

「ああ……、そういうことか……」

 確かにぼくはまだいっていない。だけど、

「由利香は、……もう満足しちゃった?」

「え……?」

「口と、お尻と、……あとここ。おまんこ三つもらって、もう満足?」

 由利香は濡れた顔でぽかんとぼくを見て、やがて理解したように、首を振る。

「なら、それでいいよ。……もっと出来る。……さしあたり、そうだな、由利香のおまんこの中で今度はちゃんと気持ち良くしてもらって、そのあとはまたお尻の穴可愛がってあげなきゃね。由利香は『おまんこ』が三つもあるんだから」

 少女の腕が、きゅっとぼくに抱き着く。

「はい、由利香は……、お兄さまのおちんぽが入るところ、三つ……、あります」

「ここばっかりしてたら、お尻もお口もヤキモチ妬いちゃうよね」

 愛のおつゆが伝った肛門に、

「やん!」

 するりと指は入った。途端、由利香の胎道がまたぼくを締め付ける。

「お、お兄さまの、いじわる……!」

「意地悪だよ。由利香の『恋人』は、こんなに意地悪……」

 意地悪だからこそ、それ以上に愛するのだ、愛さなければいけないのだ。

 お尻から指を抜き、唇を重ね、ぼくはまた由利香を揺すり始めた。ぼくの到達も由利香の次のオモラシも、きっともうすぐそこだ……。


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