お兄ちゃんのこといまはふたりで

「おはよ、お兄ちゃん」

 とてもよく寝た朝の目覚め、天使の声がそう囁くなら、これはあの世のものであってもおかしくないほど幸せな時間。そこそこ、あくまで「そこそこ」のレベルに片付いた部屋の畳の上を、弱々しく光が手のひらを広げていた。

 低い音を立ててエアコンが温風を吹き出さしているから、そう寒くはないが、思わずピリッと気の引き締まるような冬の朝である。が、布団の中は温かい。だってぼく一人じゃない。

 天使が一緒に潜り込んで、ぴったりぼくに身を寄せていてくれた。だから、ちっとも寒くないのだった。

「おはよう、流斗」

 波のある髪に、少しの寝癖もまた愛らしい。流斗はぼくの頬っぺたにキスをして、「お外、寒そうだねぇ」と身を起こして窓の外に目をやる。

「うーん……」

 流斗の、ぼくを挟んで反対側、昴星が唸って、眉間にしわを寄せて、そろそろと目を開ける。「……お、明るい……」

「おはよう、昴星、朝だよ」

 くああ、と飲み込まれそうなくらい大きなあくびをして、それからハッとした顔で昴星は股間を探る。そして、「おお……、今朝はしてねーや」とほっと溜め息を吐く。

「夕べ、寝る前にちゃんとトイレに行ったじゃない。……でも、しててくれてもよかったんだよ? 二人とも」

 オネショシートが在庫切れしてしまったので、夕べ、二人にはオムツを着けて寝てもらった。多少滲み出てしまうことまで想定していたけれど、寒い夜ながら二人の膀胱括約筋はきちんと年相応の仕事をしたようだ。

「夕べ、すぐ寝ちゃったね。ぼくも昴兄ちゃんも」

「んー……、せっかくおにーさんとこ泊まったのに、もったいねーことしちゃった」

 仕方がない。だって昨日は、この二人に加えて才斗、由利香、陽介、瑞樹。普段はいない子たちまで一緒になって昼間たっぷりと遊んでしまった。夜に、元々泊まる予定を立てていた流斗と、彼を羨んで「おれも泊まる」と言い出した昴星と三人で外に食事へ出て、帰ってきたのはまだ九時を回るぐらいだったのだけど、二人ともさすがに体力が続かなかった。それは、ぼくも。

「ね、お兄ちゃん、お風呂入りたいな」

 流斗が起き上がったぼくに甘える。「きのうみたいにみんないないけど、あったかいお風呂に三人で入ったら、きっと幸せだよ」

 それは、ぼくも思う。そもそも夕べ、帰ったらお風呂に入ろうと言っていたのに眠気に負けてそのまま布団に入ってしまったのだ。どっちにしろ、シャワーぐらいは浴びなければ。

 栓をして、湯を溜め始めたぼくが部屋に戻ると、二人ともオムツを外しているところだった。トイレに行こうとした昴星を、流斗が止めた。

「お風呂までガマンしよ。ぼくもオシッコしたいけど、お兄ちゃんにぼくたちの今日最初のオシッコあげたいな」

そう言われて、「んー……、わかった、ガマンする」と昴星は布団の上に戻る。

「つまり、……お風呂で遊ぶってこと?」

「うん! だって夕べしなかったもん。そのぶんぼくも昴兄ちゃんもお兄ちゃんが足りなくなってるし」

「そうそう。だからおにーさんもまだトイレ行っちゃダメだぞ。おれたちにくれなきゃダメ」

 そして、三人で同じことを考えるのだ。……早くお風呂、たまらないかな。

 

 

 

 

 結論から言えば、お風呂にお湯が満ちるまでぼくらは我慢出来なかった。ずっとおちんちんを握っていた昴星が「もうムリ!」って音を上げたとき、ぼくも流斗も正直にほっと溜め息を吐いてしまったほどで、もうお腹の底がパンパンになっていた。

 浴室は、昨日六人が、のべ何回に渡ってしたのかもう思い出せないほど排尿し、排便し、……しかしその余韻はもう残っていなかった。ぼくも含めて七人でかわるがわる身体を洗い浴槽に浸かったから、夕方のうちに綺麗に掃除したのだ。だからハイターに浸けた洗面器など、清潔すぎるほどだと言っていいぐらい。湯気がふわつく浴室の中は明るい印象だ。

「おれ、もう漏れそう! 先しちゃっていい?」

「うん。はいお兄ちゃん、座って」

「……はい」

 腰掛けに座る。昴星はもじもじぱたぱたしながらぼくの前に立つと、

「はー……、っぶなかったー……」

 手も添えないで勢いよくぼくの腹部目掛けて熱いほどに感じられる尿を迸らせ始めた。

「すごーい、金色だぁ……」

 流斗の言うとおり、まさしくそれは「黄金水」という表現がピッタリの濃いオシッコ。その分だけ、臭いも普段以上に強い。

「すっげー……、ガマンしてたから、超気持ちいい……」

 力の抜けた恍惚の表情を浮かべて昴星はぼくに向けてオシッコを続ける。しばらくそうしてから、思い出したようにおちんちんを摘まんで、ぼくのペニスに直接噴水を掛ける。くすぐったくて温かくて、危うくぼくもつられて放尿してしまいそうになるのをぐっと堪えているうちに、起床直後少しして落ち着いていたぼくのペニスがむくむくと力を蓄え始める。

 完全に立ち上がるのを待っていたように、昴星の放尿が終わった。振りもせず、最後の絞り出しもせず、「はい、おにーさん」と濡れた包茎を突き出して背伸びをする。

「うん、いただきます」

 ぼくが口に収めると、途端にびゅっと口の中へ最後のせせらぎが溢れた。とてもしょっぱく、強い臭いが鼻に抜ける。朝一番の昴星の、エッセンシャルなオシッコの味だ。

「ひひ、流もしろよ。おにーさんおれのオシッコで勃起してる」

「うん、ほくもする! オシッコでお兄ちゃんが気持ちよくなってくれたらうれしいな」

 昴星と同じく、流斗も前に立つなりすぐさま放尿し始めた。流斗の方が昴星よりぬるいか。そして臭いも控えめだけど、やっぱり色は濃い。

「流のもすげー金色じゃん、超いっぱい出てるし」

「だって、ぼくもガマンしてたもん。でもオムツしないでオモラシしちゃったらお兄ちゃんのお布団びちょびちょにしちゃうからがんばったんだよー」

 昴星のが「黄金水」なら、こちらは「聖水」ということになるだろうか。より柔らかい印象がある。流斗も昴星がしたように、「お兄ちゃん」とおちんちんを突き出して、最後の数滴を味わわせてくれる。やはり、優しくまろやかな味がした。

「二人のもらったってことは、……ぼくもしなきゃ、なんだよね?」

「うん!」

「もちろん。起きたばっかだからのど乾いてるし!」

 たぶん、しょっぱいもの飲んでも渇きは癒されないだろう。

が、そんなことを言っている余裕もない。ぼくが立ち上がると二人はすぐに目の前に膝をつき、ほっぺたをくっつけ合わせるほど近づいてぼくのペニスに顔を寄せる。

「そしたら……、出すよ」

 勃起してるから、ちょっと出しづらい。

 けれど二人の求めに応じて出てきた液体は、やっぱり色が濃い。……そして、シンプルに臭い。自分が天使ではない、ただの人間なのだと思い知らされるけれど、それは別にショックなことではなかった。

「わぁ……すっごい、あったかい……」

「ん、あったけーし、味も濃いし……、いいにおい」

 二人が口にする言葉を、お世辞だとは思わない。二人にはそう感じる液体なのだとして、ぼくにどんな不都合があるだろう?

「ぼく、お兄ちゃんのオシッコ大好き……、ふだんあんまりもらえないから、宝物みたい」

「そうだよなー、おにーさんももっとおれたちにオシッコくれたらいいのに……」

 二人はまだ放尿中のぼくのペニスに両側から挟み込むようにして舌を当てる。放水の先に指を当てて、飛沫を頬っぺたに浴びせながら。時折かわるがわる、直接口を当てて飲みもする。正直に言って恥ずかしいのだけど、二人が嬉しく思ってくれるなら、……こうすることで二人の幸せを生み出すことができるなら、ぼくはする。

 やっと、ぼくは全部出し切った。

「今度は、こっちのも出してよ」

 昴星がふにふにとぼくと陰嚢を指の腹で押した。まあ、出さないとお風呂に入れないような状況である。

「お兄ちゃんのおちんちん、すごくおいしいよ。ぼくと昴兄ちゃんのオシッコも、お兄ちゃんのオシッコも、全部まじった味がするの……」

「うん……、すげー、……おれのオシッコ臭いけど……、でもおにーさんにかけちゃったんだって思うと、すげーエロい気がしてくる……」

 二人も、このままではのんびりとお風呂で温まることは出来ないだろう。

「二人のオシッコも、すこく美味しいからね」

 もう、本格的な愛撫が始まっている。二人の天使がぼくのペニスを左右から舐め、ときに亀頭で舌を絡ませる様子は、このまま抜き取って辞書の「幸福」の項に書き加えていいぐらい。……いや、誰にも見せたくないなやっぱり。

「おにーひゃ」

 昴星がぼくの陰嚢をはむと口に含み、舌をねっとり這わせながら見上げる。「おにーふぁ、ろんあの、ふひ?」……おにーさん、どんなの好き? そう訊かれている。

「どんなの……、これだって、すごく幸せだよ。気持ちいい」

「れも」

 でも、と流斗は両手を添えて裏筋をれろれろ舐めてくれる。「ひおう、おにぃひゃんいっふぁい、ひへふれた、から、お兄ちゃんのしたいこと、今日はしていいんだよ?」途中からは口を外してぼくを握って扱きつつ、流斗も訊いた。

「お尻してもいいし、お兄ちゃんの撮りたい写真いっぱい撮っていいよ」

「うん。おにーさんが見たいなら、前みてーに女子のカッコすんのもありだし」

「ちょ、ちょっと待って……」

 どうしたんだ、急にそんなこと。

「ぼくは、……その、二人がそう言ってくれるのすごく嬉しいけどさ、いまこうして、二人と一緒に遊んでるだけでも」

 十分過ぎるぐらい、幸せなんだよ。……普通に考えてさ、ショタコンが、どんなに強く願ったところで決して叶えることのできない願いをぼくは現在進行形で二人の天使に叶えてもらっているわけだから。

 ……というようなぼくの言葉は途中で切れた。

「さっきさ、おにーさんがお風呂の支度してくれてるときに、流と話したんだ」

「うん。あのね、お兄ちゃんにきのうのお礼、しなきゃって」

「お礼……?」

 ぼくのに触れたまま、二人は少し、真面目な顔になる。

「だってさ、あいつらのこと、おれらだけじゃどうにもしてやれなかったと思うんだ……。あのまま解決出来ねーで、うちの両親帰って来ちゃったら、すぐあいつらの親に電話が行ってさ、あいつら引き離されちまうじゃん」

「だけじゃなくて、ゆりねえちゃんだって悲しい思いをすることになってたと思う」

「それを、おにーさんがさ、ちゃんと大人であいつらの話聴いてさ、あいつらの気持ち、わかってあげてくれたから、あいつら自分で帰る気になったんだ」

「やっぱりちょっとは怒られちゃったかもしれないけど、自分で帰った分だけ、少しは大丈夫だったと思うよ」

「由利香も、ちゃんと言っただろうしさ」

「ぼくたちだけじゃ出来なかったむずかしいこと、お兄ちゃんがいたからきれいにおさまったんだと思うんだ。だから、陽介兄ちゃんたちのぶんも、ぼくたちがお礼しなきゃって」

 ぼくのことはどうでもいいんだ、本当に。ただぼくは、二人の少年の心がとても綺麗であることに、感動を覚えていた。……恋に悩む陽介と瑞希、二人を思いやる由利香も含めて、……彼らと同じように悩み、彼らの幸せを心から願い、三人を祝福してあげたいと望む、昴星と流斗は、……本当にいい子だ。本当に……。

「わかった」

 二人の髪を撫ぜて、ぼくは頷く。

「ぼくの願いは、君たち二人を幸せにしてあげることだ。……二人は、ぼくと遊ぶの、好きって思ってくれる?」

 もちろん、と深く二人は頷いた。

「じゃあ、……今日も遊ぼう。いっぱい遊ぼう。そして三人で楽しい思いをたくさんしよう。……それでいい?」

 また、二人は頷いた。きらめくような微笑みが浮かんでいる。それはまばゆいほどに美しいものである。誰が何と言おうと、そうである。

「じゃあ、とりあえずおにーさんのこと二人で気持ちよくする! おにーさんが気持ちよくなって、せーし出してくれたらおれらも嬉しいしな」

「うん、ぼくお兄ちゃんのせーし大好きっ」

 二人は揃ってぼくの亀頭に舌を当てた。紅く濡れて柔らかな舌に挟まれて舐め回してくれる二人の前で、もう我慢は必要ない。サンドウィッチ・フェラを味わいながら、二人の頬目掛けて、ぼくは一気に引金を引いた。

「ふぁ……、すっごい、いっぱい……」

「ひひ、いっつものより、濃いや……。おにーさん、おれら二人で舐められんの好きなんだ……?」

 実際、その引金の手応え通り、濃いものがたっぷりと出た。昴星と流斗は二人してお互いの頬を舐め合いながら、おちんちんの先っぽを甘ったるく擦り合う。

「二人とも、すっごいえっちだ。すっごい、可愛いよ」

 はあ、はあ、甘い息を交換し合いながら、どちらからともなく相手のおちんちんに指を絡めて、愛し合う。うん、……少年同士の睦合いというのは、本当に魅力的なものだ。体型も顔も、タイプはまるで違うけど、どっちもぼくの心の琴線を強く弾いてくれる。よし、頑張ろう、そんな気持ちになる。頑張ってこの子たちを、今日もたくさん可愛がってあげよう! 天に拳を突き上げるような、そんな決意をぼくは固める。

「んっ、あ!」

「はぁあんっ……」

 口元では唾液とぼくの精液を、そして下半身では少年らしい精液を交換しあって、二人はひくんひくんと震えつつぼくを見上げる。二人の精液が交じったおちんちん、一口ずつ頂いてから、溢れそうになっている浴槽からお湯を汲んで身体を洗い流す。ついでに、顔もしっかり洗ってもらう。

「おにーさん、また勃ってんじゃん」

「ほんとだぁ、またお口がいい? それとも昴兄ちゃんと二人でぬるぬるしてあげよっか」

 乗り気の二人ではあるけれど、ぼくは髪を撫ぜて「とりあえず、お風呂であったまろうよ。朝ごはんも食べないと、出せるものも出せなくなっちゃうよ」と二人を諌めた。

「出せるもん……?」

 湯の中、ぼくの右足を跨いで昴星が首を傾げ、

「えへへ、お兄ちゃん、ぼくたちのうんち見たいんだ? えっち」

 左足には流斗。二人を一緒くたに抱きしめて、「たっぷり可愛がってあげるよ、二人とも」幸せな朝一番。

 ……でも、そうだなぁ。改めて「したいことしていいよ」って言われても、さて、と立ち止まってしまうぼくである。具体的に考えたことなんてほとんどない。昴星にしろ流斗にしろ、ぼくが願いを抱くより先に叶えてしまうような子たちだ。ぼくの唯一の望みはと言えば、「ああ、こんな子とえっちなことが出来たらいいなあ」という程度で、それはもう叶いすぎている。

 右手に昴星の、左手に流斗の。お湯の中で揺れるおちんちんを触らせてもらいながら、少し考え込んでから、

「……そうだ」

 と、ぼくは思い付く。

「したいこと、決まったの?」

「うん、……こんなこと、お願いしていいのかわからないけど……」

 ぼくは、少しぐらいは人間として躊躇いながら二人にアイディアを打ち明けた。

 けろりとした顔で、「そんなんでいいのか?」と昴星は訊く。

「正直、もっとすごいこと言うのかなって思ってた。……その、前みてーに女子の見てる前でオムツしてオモラシとか。それは一回だけならいいけどって」

「二回だと、オシッコお外に出て来てばれちゃうもんね? ……お兄ちゃんがしたいならいいよー。ね? 昴兄ちゃん」

「うん、全部そんなしんどくねーことだしな。でも、そんだけじゃおれらもちょっとさみしいからさ、ちゃんと最後には、お尻、してくれるよな?」

 ぼくのペニスは二人の容認に、早くも勃起し始めている。

 二人と、「今は」もう、出来ないこと。……二人が許してくれるなら、してみたい。そんな贅沢なことをぼくは考え付いてしまったのだ。

 

 

 

 

 雪の残る城址公園には、人気というものは皆無。実際、秘密の場所(草むらの奥だ)に着くまでぼくらは誰とも擦れ違わなかったし、途中で何度か振り返ったけれど新しく公園に入ってくる人もいないようだった。……無理もない。この寒さだし、わざわざ外を出歩こうなどと考える酔狂は、ぼくと二人の天使だけで十分だ。

 昴星にも流斗にも、しっかり厚着をさせている。ぼくはカメラを回し始めた。

「じゃあ、自己紹介してくれる?」

 カメラの前に立った二人はどちらが先に言うか突っつきあって、

「鮒原昴星、六年生」

「牧坂流斗、えっと、四年生です」

 とそれぞれ答えた。

「じゃあ、……二人のパンツ見せてもらえるかな」

 二人は密やかに、白い息を揺らして笑う。昴星がまず、ジャンパーの裾を持ち上げて自分のハーフパンツのウエストを下ろす。縫い目が青、生地は白のブリーフが表れた。さっき替えたばかりだから、汚れはまだ付いていない。

「流も、早くしろよ」

「ん、……パンツ」

 昴星に促されて、流斗も半ズボンのチャックを下げ、太ももまで下ろした。こちらはゴムが黒い以外は真っ白なものだ。

「二人とも、ブリーフなんだね? トランクス穿いたりすることはないの?」

 少年二人、揃って頷く。

「だって、こっちのほうがあったけーし」

「ぼくも。トランクスって、ちょっと苦手……、おちんちんがスースーして、ちょっときもちわるいんだ……」

「そうなんだ。学校だとみんなトランクス?」

 六年生の昴星が頷く。

「だいたいみんなそう」

 四年生の流斗も同意する。

「三分の二ぐらいは、そうだよ。トランクスの子と、あと、こういうパンツみたいなんだけど、しかくいの」

「ボクサーブリーフか」

「うん」

 流斗が首肯した。

「なー、おにーさん、トイレどこ?」

 きょろきょろと周囲を見回して昴星が問う。

「約束じゃん、パンツ見せたらトイレの場所教えてくれんだろ?」

 ……もう、ぼくが、いやぼくらが何をしているかはわかるだろう。

 ぼくは近所のお兄さん。

 そして、昴星と流斗はたまたまこの公園にやってきて、二人揃って尿意を催してしまった友達同士。

 トイレを探しているところに、悪いお兄さんは「二人のパンツを見せてくれたら場所を教えてあげる」と言葉巧みに(いや、ちっとも巧みじゃないな)草むらへ連れ込んで、……今まさにイタズラの真っ最中。

 ……という設定で、撮影を行っている。これこそ、度胸のないぼくには絶対出来ないし、二人とこれほど深く親しくなってしまった今では出来ないことだ。

「ここ、だよ」

 二人の演技に比べれば大根なのは承知している。でもこういうのは、気合と勢いが何より大切。恥じらいなんて捨ててしまうに限る。

「えー?」

「この公園、トイレないからさ。でもここだったら誰も来ないし、ちゃちゃっと済ませちゃえばいいよ」

 この場所で、昴星と流斗のおちんちんを何度となく見てきた。非合法なやり方での排尿……、つまり、オモラシはもちろん、排便姿も見せてもらったし。

それなのに、ぼくは大いに興奮しているのだった。

「ほんとに、ここでオシッコすんの……?」

「男の子だから恥ずかしくないでしょ?」

「うー……」

 流斗が落ち着きなく足をもぞもぞさせて、「ぼく、もう出ちゃうからする!」とブリーフのウエストゴムを下ろして細いおちんちんを取り出した。すぐに皮の隙間から、オシッコが噴き出す。朝食後家を出るときに紅茶を二杯飲んだから、尿意を催していたことは本当だ。けれど色はそれほど濃くはない。

「いっぱい出てるね」

 ぼくが向けるカメラを意識したように、流斗は僅かに身をよじる。しかし、ぼくは構わず撮影を続けていた。流斗のオシッコは固まりつつある下土の上の雪へと注がれ、其処ではっきりと黄色さを見せた。

「……おにーさん、オシッコなんて撮ってどうすんの……?」

 警戒の色を目に宿らせて昴星が訊く。

「どうもしないよ。撮ってるだけ」

 実際にこういうことをする悪者がどういうことを言うのかはわからないけど、きっとこんな適当なことを言うんだろう。

「ほら、君もしたかったんでしょ? 六年生にもなって漏らせないよね?」

 ぼくが促すと、恥ずかしそうに、そして猜疑心を隠さずおちんちんを窓から引っ張り出す。盛大に湯気を立てながら、昴星も放尿を始めた。ぼくはそれを肩越しに見下ろす形で撮影する。きっちりと、おちんちんにピントを合わせて。

 先に放尿を終えた流斗が逃げるようにおちんちんをブリーフの中に隠し、半ズボンを上げた。

 昴星も早いところそうしてしまいたいのだが、出始めたオシッコはそうすぐに止まるものではない。まだ十秒ほど放水を続けたところでやっと終わって、ろくに振りもしないでしまいこむ。

 ……といったところまでで、ぼくは一旦カメラを止めた。ぴろん、という音で、

「うぇ?」

 って、昴星がびっくりしたように顔を上げた。流斗もぽかんとしている。

「もう、おしまい?」

 ぼくとしては大満足なのだが。……というか、この「怪しいおじさんもといお兄さんごっこ」をしている限り、ぼくはぼくでは居られず、二人を愛することが出来ない。少なくとも普段のぼくはそこらの男の子が可愛いと思ったって声掛け事案を自ら作れるほど度胸のある男ではないのである。

「なんだー、もっとひどいこと色々させられんのかと思ってた」

「ぼくもー」

「……ひどいこと?」

「うん、いきなりお口におちんちん突っ込まれたりとかするのかなって」

「そうそう。すっぽんぽんにされて、そのままお尻ならさねーでちんこ入れられたりとかさ」

 そんな恐ろしいこと、ぼくが二人にできるわけがない。

「……ひょっとして、物足りなかった……?」

 ぼくとしては、これだけで本当に十分過ぎるぐらい興奮してしまったのだけど。

二人は顔を見合わせて、クスっと笑った。

「おにーさんらしくていいや。な?」

「うん、ぼくお兄ちゃんの優しいの、大好き」

 そう言って、まあ、いわゆるところの「ヘタレ」なのだろうぼくのことを認めてくれる。そんな嬉しいこともない。

「ね、二人とも、見て」

 流斗が二人分のオシッコで少しく溶けた雪を指差す。

「氷レモンみてーだな。オシッコだけど」

「ね? オシッコあったかいからちょびっと溶けちゃったね」

 白い雪を、しかし「汚した」ということにはなるまい。雪だってあったかくていい臭いによろこびながら溶けていくのだ。春を待つよりこっちの方がきっといい。

 そんなことを、ぼくは思いながら二人を後ろから抱きしめて、そのままそれぞれのズボンに手を回す。

「お兄ちゃん、おちんちんさわりたいの?」

「おちんちんって言うか……、パンツかな。二人とも振らないでしまっちゃったでしょう?」

 揃って、こくんと頷く。それに関しては、「演技」ではなく、普段の習慣が自然と出てしまったに違いない。流斗がボタンを外し、昴星はウエストゴムを開く。かじかみそうな指に優しく温かい少年の膨らみは、やっぱり、確かに湿っていた。

「どんなことする? これから」

「そうだね……、どんなことがいいかな」

 流斗は早くもブリーフの中からぼくの指を押し返すように勃起し始めている。これからへの期待感が、熱となり力となる。

「ね、ぼくいいこと思いついちゃった」

 流斗の「いいこと」に、ぼくと昴星は耳を澄ませる。

「今朝ね、お兄ちゃんのおちんちん、ぼくのと昴兄ちゃんの、両方のオシッコかかっておいしかったから、おんなじにおいしいの、お兄ちゃんにごちそうしてあげたいなって」

「おんなじに、おいしいの?」

 訊き返す昴星に、うんと流斗が頷いた。

「ぼくと昴兄ちゃんでね、オモラシしたパンツ取り替えっこして、それでもう一回オモラシしたら、一つのおちんちんに二人分のオシッコだよ」

 ……そりゃ、確かにいいことだ。いいことだけど、いつもながらすごいこと考える。

「おお……、面白そうだなそれ。でも……、両方ともおれのオシッコばっかになっちゃうんじゃねーのかな……」

 そんな気もする。実際ぼくも二人のパンツをしまうときには、きちんと分けておかないと昴星の強い臭いに流斗が侵食されてしまうのではないかという懸念を抱いてしまいがちだ。

「だいじょぶだよ、ぼくだってオシッコくさいもん、それにぼくと昴兄ちゃんのオシッコ、ぜんぜん味ちがうでしょ?」

 それも、一理ある。

「そっか……、じゃーそれやってみようぜ」

 こうなることまではさすがに想定はして居なかったけれど、二人がオモラシをしてくれるはずということはもちろん期待を込めて予定していたから、二人の身体を拭くためのタオルも何枚も用意しているし、替えのパンツもある。のみならず、

「じゃあ……、待って。これ着けよう」

 オムツも持って来ている。「これなら、足濡らさなくて済むからさ」

「お兄ちゃん、頭いい」

「ってゆーか、おれらのオムツしてんの見たかったんだろ」

 ああ、その通りだ。

 ズボンを脱ぎ、ブリーフの上からそれぞれ上手にオムツをつける。同じサイズのものだから、昴星の方がちょっと窮屈。だけどぼくがカメラを向けると二人ともセーターを捲りあげて見せてくれる。……六年生と四年生、オムツなんて着けたくない年頃の二人だけど、それがこんなに似合ってしまう。

「ひひ、なんか外でこんな風にオムツしてんの変な感じ!」

「ぼくもー。オムツするの、お兄ちゃんといっしょのときだけだから、なんだかうれしいな」

 二人の視線は自然と自分の腰回りに向いた。どちらからともなく、塞がれた空間でオシッコが溢れ出す音が始まり、それは間も無く二重奏となる。

「おー……、オムツの中、どんどんあったかくなってる……」

「ん……、オシッコ、すっごいきもちいい……」

 放尿し終えた二人はほうっと息を吐き、オムツを外した、薄黄色のシミが広がったブリーフを見比べながら、靴で下着を汚さないようにしながら脱いで、取り替えっこ。けれど二人とも穿く前に、

「はい、お兄ちゃん」

「おれと、流の、そのまんまのオシッコの味」

と腰を突き出す。ぼくはひざまずいて、ありがたく一口ずつ、その味を頂戴した。確かに、こうしてみるとどちらも薄いオシッコだけど味も違うわけだ。

「おー、もう冷たくなっちゃってる」

 流斗のオモラシブリーフを上げて、昴星がぶるっと震えた。「流、いっぱい出したなー。色薄いけど、しっかり臭いする」

「昴兄ちゃんの、まだちょびっとあったかいよ。お尻のほうまでびちょびちょ」

オモラシパンツのみならず、一度尿を吸い込んだ相手のオムツもきちんと着用する。

「二回目だと、溢れてきちゃうんじゃない?」

「きちゃうけど、……ふともものとこからオシッコ出て来ちゃうの、恥ずかしくってちょっと好き」

 流斗がその濡れた感触を楽しむように股間に手を当てて、はにかんで答える。

「……昴星も?」

 こっくり、ほのかに赤い頬で昴星も頷いた。二人とも、相手のオシッコにおちんちんを浸していることが新鮮で刺激的であるらしい。

「ちんこ、勃ってきちゃった……」

「ぼくも。でも次オシッコするまで、ちょっとだけガマンしなきゃ……。ね、お兄ちゃん、このまま三人でおトイレ行こ? ぼくも昴兄ちゃんもうんちするし、うんちはおトイレのほうがしやすいし」

 その気になればどこでも平気でそうして見せるのに、流斗はそう言った。要するに、オムツを着けたまま少しのお散歩をしてみたいのだろう。

「いいよ、じゃあ行こうか」

 カバンを担ぎ、二人と手を繋いでぼくは繁みを出た。ここからトイレまでは、だいたい十分ほど。

 やはりその道のりで人の気配を感じることはなかった。冬の城址公園は寒々しいけれど、ぼくの心は本当に温かいままだ。

 トイレに到着するなり、「やばいやばい、もう漏れそう!」と昴星はスボンを脱ぐ。個室に入るのも待たず、「ああ……」と盛大にオムツの中へ放出する。やはり二回目で、オムツの裾からは少なからずの量が溢れ出した。それを見て、半ズボンを脱いだ流斗も太腿を濡らす。

「ずっとおちんちんおっきいままだったよ。昴兄ちゃんは?」

「おれも。だってさ、オモラシしたらおにーさんにちんこしゃぶってもらえるし」

 実際、オムツの中から現れた二回分の失禁尿を吸い取ったブリーフは二人ともツンと尖っているのだ。

「じゃあ、……どんな味になったのか教えてくれる?」

「うん、二人ともおんなじ味だよ」

 おちんちんの先をくっ付け合うようにして見せてくれる。

「前にね、昴兄ちゃんちで、オシッコとりかえっこして飲んだことあるの。コップにとって……」

「うん。あんときは、もっと黄色かったよな。……でもって、おれのはすげー臭かった」

「やっぱり味ぜんぜんちがったんだけど、最後にね、ちょっとだけ混ぜてみたの。そしたらね、ぼくのとも昴兄ちゃんのとも違う味になっておいしかったんだよ」

「才斗のよりもうまいかもしんないな!」

 二人が二人だけのとき、なかなかに過激な遊び方をしているに違いないとは思っていた。とはいえ、なかなかやるものだ。

「じゃあ……、いただきます」

 二本の、オシッコのミックスされたおちんちん。

 一口にぱくんと収める。

 ……おお、と思う。確かに、さっき舐めたそれぞれのオシッコとは全く違う味がする。昴星と流斗、それぞれの味は混じり合って、全く別の誰かのもののように感じられて、……ここまで変わるものなのかと正直ぼくは驚いた。よく味わえば、……臭いは本人も言っていたとおり、昴星のほうが勝っている。昨日みんなに散々「臭い」と言われたオシッコの、でも、何とも懐かしいような臭いが鼻に抜ける。しかしそれを追いかけて、流斗の「さわやか」と言っていいほどの軽やかな香りが踊るのを感じる。

 そして、味。昴星の強い塩気と、流斗のまろやかさ。混じり合うとどこか甘ささえ感じられるのだ。

「んん……、おにーさんの舌、すっげ、いつもよりエロいや……」

「ね……、お兄ちゃん、ぼくたちのオシッコ、おいし?」

 んん、とぼくは夢中になって舐めながらそう答える。自分が口にしているものは、美少年二人のオシッコにまみれたおちんちん。そんな事実が、たまらなく甘美だ。昴星が言うとおりぼくの舌は普段以上に積極的なものになっている。

 そこへまた、新しい味が加わる。本人たちも意識していないうちに、蜜がとろりと漏れ出しているのだ。それもまた二人分、ぼくの舌の上で混じり合って、とろけ合う。

「はう……ん、……きもちぃ……、昴兄ちゃんとおちんちんちゅーしながらお兄ちゃんにぺろぺろしてもらうの、すっごいえっち……」

 そう言う流斗も、黙ったまま息を殺す昴星も、同じリズムで腰をもぞもぞ動かして、ぼくの舌からの快感をより強く感じようとしているみたいだった。激しい興奮に、いつも以上に早く快感のピークを迎えつつあるようだった。

 ぼくは自分の口が立てる品のない音を聴覚の外に追いやって、二人を射精へと追い込む。

「あ、……っあ、やば、っ、もぉ、出るっ……」

「ぼくもぉっ……!」

 みずみずしい鼓動、二人揃えば当然二倍。とぷん、と溢れた精液が頬張った口の中を満たしていた少年たちのオシッコの味に更にミックスされる。ここへ至って、……瞬間的にではあったけれど、二人の味が差別化される。昴星の精液は昴星の、流斗のは、やっぱり流斗の味がするんだ。

 でも、やっぱりすぐに混じり合ってとろけあって、……少し薄いから、優しく甘い。飲み込むときに、喉は幸せな音を鳴らした。

「あはぁ……、すっごいえっちなことした気がする……」

 流斗がうっとりと感想を述べる。昴星は自分の太腿に引っかかったもの、流斗の太腿に引っかかったもの、何度か視線を往復させて、「おれも、そんな気ぃする……。やっぱ流とオシッコ混ぜっこしたからかな……。流のオシッコの中にいるって思うと、なんか、おれも漏らしちゃうの悪いような気になっちゃった」

「ぼくも……、せっかく昴兄ちゃんのオシッコなのに、って、ちょっと思っちゃった」

 お互いのことが本当に好きで、オシッコに高い価値があることをわかりあっている二人である。そういう心の反射は、二人の思い合う気持ちの証明だと言える。

「二人のおかげで、本当に美味しいものが飲めたよ」

 ぼくは立ち上がって、二人をいっしょに抱き締める。オシッコの臭い、だけではもちろんない。ぼくの大切なこの子たちは、この子たちしか持ち得ない匂いを纏い、ただぼくのそばにいるだけでこれだけ幸せを作り出すのだ。

「お兄ちゃん?」

 流斗が背伸びして、キスをねだる。ぼくが味わったもののほんの僅かでも、少年の舌に届いたらいいなと思う。

 流斗は、少し控えめに言うのだ、「昴兄ちゃんのこと、『好き』って、言っていいよ?」

「……え?」

 流斗は、にっこりと微笑んだ。言葉の意味を、すぐには理解出来ないぼくに、ゆっくりと、

「あのね、ぼくはお兄ちゃんの『およめさん』でいたいけど、みんなに大好きって思われてるお兄ちゃんのこと、ぼくだけのものにしたいって、思わないんだ。……二人きりのときはぼくだけのお兄ちゃんで、ぼくのこと、『およめさん』って思ってくれたらいいなって。……でも、昴兄ちゃんと三人のときには、ぼくたち二人が二人とも、お兄ちゃんの『およめさん』で、お兄ちゃんに可愛がってもらえる方がいいなって」

「流……」

 ぽかん、と、昴星は年下の少年を見る。

「ぼくね、ほんとはちょっぴりだけ、お兄ちゃんにはぼくだけ見て欲しいって思っちゃったこと、あるんだ、……でもね、きのう、みんなに大好きって思われてるお兄ちゃん見てたら、……そっちのほうがいいなって。ぼくの好きな人がみんなお兄ちゃんのこと大好きだったら、って」

 小学四年生の流斗が、……つまり、まだ全くの子供としてわがまま言っちゃっていい歳の男の子がそんなことを言うのを、ぼくはぼうっと聴いていた。口を開けて。

 天使。

 ぼくはこれまで何度となくその単語を選んできた。……それは、流斗のふんわり癖のある髪や毒気の全くない相貌、すっぽんぽんでいがちなところ……、主として外見に依るところが大きかった。

 けど、違うんだ。

 流斗の心の清らかさ、……エッチなことが大好きで、特にその中でもスカトロと露出と言う一般的には眉をひそめられるようなジャンルに傾倒していて、同性愛者である、けれど、優しさや思いやりという点において、この子は本物を持っている。

 だからこそ、「天使」と呼んであげるべき存在なのだ。

「で、でも……、おれには才斗いるし……」

「うん、才兄ちゃんは、昴兄ちゃんの恋人だよね? 昴兄ちゃんはいつか、才兄ちゃんの『およめさん』になるの」

「ま、まあ、それまでに男同士で結婚とか出来るようになってたりしたら、そういうことになんのかもだけど」

「でも、昴兄ちゃんはいま、お兄ちゃんのこと大好きでしょ? お兄ちゃんといっぱいちゅーして、おちんちんしゃぶりっこして、お尻でつながって……、いっしょに幸せになるの、好きでしょ?」

 こく、と昴星は頷いた。

 二度。

「そりゃー……、だって、……おれだっておにーさんのこと好きだもん……。大好きだよ、……才斗いるけど、……おにーさんのことだって……」

 決まってんじゃん、最後は尖らせた唇の中で言葉が篭った。

「お兄ちゃん、よかったね」

 にっこり、流斗は笑う。

 ああ、なんて言えばいいのだろう。

「その……、流斗、昴星、ぼくは……」

 由利香には「お兄さま」って呼ばれてる。君たちのまだ知らない諭良……、いや、昴星は知っているか、あの子の兄でもあって。

 ぼくはこのままだと、自分の節操のなさをこの子たちに押し付けて、幸せだけを享受する卑怯者ではないか。

「もう、いいよ」

 昴星がむうと怒ったように言う。

「最初はおれだけだったじゃん。いま、何人いるんだ? それでもおれはおにーさんと遊ぶの好きだし、流がしてもらってるみてーに、その、……おれは別に可愛くなんかねーけど、でも、やっぱり可愛いっていわれんのも嬉しいし、だから、……これでいいのっ」

 複雑化させてしまったのは、他ならぬぼくの欲。でも願いは「この子たちを幸せにしたい」という、一つだけ。

 昴星が「これでいいの」と言ってくれるならば。

 昴星、流斗に、順番にキス。

「大好きだよ、二人とも。……本当に、ぼくなんかに、二人がいてくれること、幸せすぎて……」

「もっと、これからだよ」

 流斗はくすっと笑う。「ぼくも昴兄ちゃんも、お兄ちゃんに幸せにしてもらったのの半分もまだ返せてないもん。だから、もっとずっと、これから。お兄ちゃんのこと、いまはふたりで、……昨日みたいにゆりねえちゃんたちもいっしょに、だから、みんなで」

 ね、と同意を求められた昴星、同意する。

 流斗にも昴星にも、打算というものはほとんどない。二人は損とか得とかの計算より、互いがどこまで幸せになれるかということばかり考えているようである。

 ぼくがおちんちん見せてあげたら、お兄ちゃんはうれしい、お兄ちゃんがうれしかったらぼくもうれしい。……くるっと小さく回ってもとの位置に戻る循環を、流斗は無意識のうちに視野にいれているに違いない。……素晴らしいことだ、本当に。

「ね、お兄ちゃん、ここでうんちしていっていい? 本番するのはおうちでもいいけど、ここでうんちするとことってほしいな」

「本番?」

 昴星が首を傾げる。流斗はくすっと微笑んで「うんちするのは、予行演習。お尻にお兄ちゃんのおちんちんもらうの、ほんばんでしょ?」

 ……実際にそういう行為を「本番」と俗に言うことを、この子はまだ知らないはずだ。

「そういうことか。……じゃー、おれもここでしてこうかな。おにーさんとこでするとまた洗面器汚しちゃうし。どっちからする?」

「ぼく、していい? ほんとはちょっと前からガマンしてたの」

 この子は便意をガマンしながらあんな感動的なことを言ったのか。それはそれで、すごい。

 太腿に引っかかったオモラシパンツを膝までおろして、わざとお尻を高いところで突き出して構える。「なー、おれ撮っていーい?」と昴星が言うからカメラを渡す。

「ひひ、流、見えるか? 撮ってるぞー」

 ぼくには出来ない独創的な角度、……昴星は流斗の足の間から大胆にカメラを突っ込み、内側ディスプレイを流斗に向けた。

「わー……」

「どうだ、ちんこもお尻の穴も顔も全部写ってんだぞ」

「すごい……、すっごい恥ずかしいとことられちゃってる」

「嬉しいだろ?」

「ん……、でも、うんち、昴兄ちゃんの手に落ちちゃうよ……?」

「お、そっか。さすがにそれはな……」

 ひょいと足の間から腕を抜き、昴星はぐっと低くカメラを降ろした。位置的には、流斗のタマタマの真下、高さで言えばほぼ便器の中である。

「よーし、いいぞ、全部出しちゃえ!」

「うん……、んっ!」

 流斗がいきむ、まず、おちんちんの先からチョロチョロと細い雫が滴り始めた。

「ちんこ振っちゃダメだぞー? カメラに飛び散っちゃうからそのまんまな。お」

 可愛らしい放屁の音、……その音を立てたのが、とびきり可愛らしい「天使」の美少年であることも、昴星の撮る動画を見れば一発でわかるわけだ。

「んん……、うんち、でてくる……」

 昴星が、ほとんど接写と言っていいくらい近い距離から流斗の肛門を捉えた。短いシワが綺麗に整ったピンク色の肛門がむくりと膨れて、そのピンク色の加減をよりいやらしく引き立てたかと思うと、ゆっくり、茶色くいつもながら健康的な塊が顔を覗かせる。

「ひひ、すげー太いの出て来てる。おれのより太いんじゃね?」

 昴星は笑って左手にカメラを構えたまま、右手を伸ばしてロールペーパーを巻き取る。何をするのかと思っていたら、……それで顔を覗かせた流斗のうんちを、くいと摘んで引っ張った。

「ひゃあ!」

 さすがの流斗もそれには驚いたらしい。ビクンと背中を反らして、反射的に肛門を締め付けてしまった。

「あ、切れちゃった」

「な、なにするのぉ……?」

 流斗は目を潤ませて、珍しく非難めいた声で言う。

「やー、うんこさ、太くて立派だったから、一気に引っ張ったら気持ちいいかなーって」

「うんち……」

 流斗が、そろそろと立ち上がる。それから、両手でお尻を割り開いて見せる。

「まだ……、いっぱい出るよぉ……」

 力を緩める。先ほどちょん切れてしまったものの続きが、早くも顔を覗かせつつあった。再び手にペーパーを巻き取った昴星が、穴のすぐ下で其れを待ち構え、少し垂れてきたところでまた摘んだ。

「あ……はっ……」

 流斗の、自分のお尻を掴む指に力が入る。

「切っちゃダメだぞー、もうちょっとガマンな」

「んぅ……っ、お尻、ひらきっぱなしだよぉ……」

 流斗は少年自身のおちんちんより二回りほど太いうんちをお尻に挟んだまま、それを外に解放することもちょん切ることも許されないで震えながら、……ぼくが周り込んで見てみれば、当然のように勃起しているのだ。

「おにーさんのちんこよりは細いけど、これもきもちぃだろー……、じゃあ、行くぞ?」

 昴星が、摘んだ管状のそれを、一気に引っ張った。

「ひぁあああンっ」

 流斗の身体が浮き上がったかのように見えた。足元の便器のささやかな水が跳ねるほどの勢いでどさっと落ちたから、その分だけ体重が減って身が軽くなったわけでもないだろうけど。

「ふぁあ……、はあぁ……」

 セーターを捲ったまま、流斗は自分の足元を恐る恐る覗き込む。

「すっごい……、たくさん、こんなすごいいきおいでうんちしたの、はじめて……」

「ひひひ、すげーだろー。おれこないださ、学校でうんこ漏れそうになってさ。トイレ飛び込んでパンツ脱いだらすぐドバーって出てきてさ、そんとき、うんこがすっきりしたのだけじゃなくてすげー気持ちよくって、オシッコしながらちんこ勃起しそうになったんだー」

 自分の排便のピンチからも、そういうことを学んでしまう。昴星のそういうアグレッシブさは本当にたいしたものだ。見習えるものならば見習いたい、……排泄物以外の部分で。

「ぼくも、うんちしてるだけだったのに、おちんちんすごいかたくなっちゃった」

 こっちを向いて、改めて見せる。上はきちんと着込んでいるのに、下は裸、そしておちんちんを勃起させていて、足元にはこんもりと。上と下とのギャップが物凄いことになっている。

「ここで気持ちよくなっちゃいたいけど……、お兄ちゃんのおうちまでガマンするよ。……でも、お兄ちゃん、お尻拭いて?」

 はい、喜んで。ロールペーパーを巻いて、丁寧に拭かせていただく。もっとも、健康的なうんちであるからして、綺麗に拭くのは容易い。

 流斗はブリーフを穿いて、……二つ揃えてぼくが持つオムツの匂いを確かめて、「帰りは、こっち着て帰ろ」と、さっきまで昴星が填めていたほうを身に着ける。ええとつまり、もとは流斗が穿いてオモラシをしたほう、そしてさっき昴星が二回目のオモラシをしたほう。

「したら、今度おれのうんこする番! あのさ、おにーさんたちちょっと出ててよ」

「ん?」

「ひひ。あのな、おにーさんがあとで見てすげーエロいって思うようなの撮るからさ。トイレの外で待ってて」

 ぼくと流斗は顔を見合わせて、とにかく個室から出た。昴星は「声聴こえちゃうの恥ずかしいから、外で待っててよ!」と声を上げて、ぼくらを追い遣る。

「どんなの、とるのかなあ……」

「うーん」

 カメラを濡らすことはしない、だろう、とは思う。調子に乗って便器の中に落としちゃったりもしない、だろう……、と信じてる。

 この隙に、常日頃の素朴な疑問をぼくはぶつけてみた。

「流斗、……濡れたオムツして、おちんちん痒くなったりしないの?」

「ん? うん。ずーっとしてたらかゆくなっちゃうと思うけど、しばらくぐらいだったら平気なんだよー」

 流斗はえへへと笑って、半ズボンのボタンを外して、オムツの内側を披露して見せてくれた。二人分のオシッコに浸ったおちんちんから、黄色い臭いが漂ってくる。柔らかさを取り戻したおちんちんは本来の少年的であると同時に、オムツの中にあるというおかしさがまさしくエロスだと思う。

 見詰めていたら、期待に応えるように流斗がちょっと力を篭めて、ほんの少しオシッコをオムツとブリーフの中に零して見せた。ぼくの顔を見上げて、「えへへ」と、……多分、ぼくの目がその光景の猥褻さに染まったのを見抜いたのだろう。

「お兄ちゃんがせーし出したいのガマンしてるのに、ぼくオシッコしちゃった」

 じっとり湿ったおちんちんを隠して、悪戯っぽく笑う。それから背伸びをして、ぼくにキスを求めた。ぼくの「ガマン」をより苦しいものにするような、深くて甘いキスだった。

 五分ほど、ちゃんと服を着た流斗といちゃいちゃしていただろうか。トイレの方から、「おにーさーん、流ー、もういいよー」と声がした。トイレの外からも、扉が開いているのが見えた。

「わー……」

 流斗が呆れたような声を出す。さすがに昴星の排便後で、臭いがきつい。足元には流斗の其れを覆い隠すぐらいたっぷりと太いうんちが散乱していて、

「昴兄ちゃん、いけないんだよー、うんちはちゃんとおトイレの中に入れなきゃ」

 という流斗の指摘の通り、便器から少しはみ出している。

「ひひひ、ちょっと思い切った撮り方したらこぼれちゃった」

「っていうか……、うんちだけじゃなくて、オシッコも零れてるよね?」

 一体どれほどアクロバティックな撮影をしたのだろう……。昴星の手からカメラを受け取り、幸い濡れていないことを確かめる。

「一人ンときにさ、これ見てちんこいっぱい気持ちよくなってくれよな、おれすげー頑張ったし!」

 昴星の一回目、そして流斗の二回目を吸い込んだオムツをオモラシブリーフの上から装着して、昴星はひひひと笑う。実際、そういうものに仕上がっているに違いないことは間違いない。ぼくは感謝を篭めて昴星にキスをしてから、昴星がはしたなく零してしまったものをロールペーパーで便器の中に落とし、水栓レバーを押した。二人分、大量のもの、……紙も通常より多い。詰まってしまうんじゃないかと一瞬心配したけれど、幸い、綺麗に流れて行った。

「じゃー、帰ろうぜ!」

「うんっ、おうちでいっぱい遊ぼう」

 二人に手を引っ張られて、ぼくは再び家へと向かう。狭くてあまり片付けの行き届いていない男の一人暮らし、しかし、三人分の幸せが詰まった部屋へ。

 

 

 

 

 ぼくの部屋に着くなり、「ちょっと待ってて」と昴星が流斗の手を引き、ぼくが外へ持って行ったカバンを肩に掛けて洗面所に入って行った。

「なにするの?」

「いいこと。……お、やっぱ入ってた……」

 そんな声、そして、オムツを外しているらしい音や慌しい衣擦れの音が聴こえてくる。こういうこと、前にもあったな。確か、昴星と流斗が揃ってこの部屋に来た、最初のとき。

 あのときは、昴星の水着を流斗が着て、流斗の水着を昴星が着て。そういう愛らしい姿を見せてくれたのだった。

「じゃーん」

 ドアを開けて現れたのは、今日も変わらず愛らしい二人の「女装」姿だった。ただあのときと違うのは、昴星は紺色のスクール水着を纏い、流斗はブルマの体操着を着ているという点だ。

 どうして? とぼくが訊くより先に、

「昴兄ちゃんがね、二人でお兄ちゃんのおよめさんだから、女の子のカッコしようって」

「はあぁ……、なるほど」

「おにーさん、どーせさ、おとといの夜とかも由利香とエロいこといっぱいしたんだろ?」

 まあ、はい、その通りです。

「おれらはちんこ付いてるから男だけどさ、でも、男同士でしか出来ねー気持ちいいこともいっぱい知ってるし……」

「昴兄ちゃんはおちんちん付いてても女の子みたいだよ」

 流斗がそんな口を挟む。

「そうかぁ? おれは流の方がずっと可愛くて似合ってると思うけどなー」

「うん、……ね、お兄ちゃんもそう思うよね?」

 同意を求められて、……ぼくは流斗も昴星も「どちらが」ということは全くなく心底から愛らしいと思っているけれど、ひとまず頷いた。流斗が言うことの意味が、判ったから。

「昴星は、男の子なのにおっぱいがある。だから女の子みたいにも見える」

 む、と昴星は唇を尖らせた。

「前よりちょっとちっちゃくなっただろ」

「かもしれないね」

 事実、お腹周りは少し、すっきりしてきたか。温泉に行った頃が一番むちむちもちもちしていて、ちょっとこのままのペースで蓄えが増えていくのはいけないんじゃないのか、そんなことを思ったりもしたのだけど。

「結構頑張ったんだぞ、ちょっと飯食う量減らしたりとか、運動もさ、元々好きでやってたけど、もっとするようになったりとかな」

 とは言え、まだむにっとした感じは否めない。

「才斗は、何て言ってるの?」

「太るな、ってさ。……んでもさ、ごはんのお代わりガマンしてると、『もっとちゃんと食べろ』なんて言うんだぜ」

 聡明な少年が口にする矛盾、その根拠にあるものが透けて見えて、ぼくは微笑ましく思えた。きっと流斗も判っている。

「才兄ちゃんは昴兄ちゃんのこと大好きだねえ」

 と微笑んで言う。昴星一人、よく判っていないような顔でいるのもまた微笑ましいではないか。

「ん、したらさー、しようよ。おにーさんにこれ以上せーしガマンさせんのかわいそうだし」

「ね。お兄ちゃんもせーしのオモラシしちゃったりして」

 くすくす笑いながら、流斗はぼくの足の間に跪き、ぼくが手を貸すまでもなくベルトを外す、ジッパーを下ろす、トランクスの中から焦りを帯びるような熱に震えるぼくのペニスを、両手を添えて取り出す。

「すっごぉい……、お兄ちゃんのおちんちん、あったかぁい」

 流斗はひんやりした頬っぺたをぼくのペニスに押し当てる。……この世で一番当ててはいけないところに自分の亀頭を当てているような気になる。

「昴兄ちゃんは? お兄ちゃんのおちんちんしないの?」

「ひひ……、おれはすることあんの。おにーさん、そのまんまあおむけになって」

 昴星の請うとおりに横たわる。流斗はぼくの陰嚢に鼻を当てて、

「タマタマもあったかい……」

 と感想を漏らすのが足の間から聞こえて来るのはなかなか不思議な感覚だ。

 ぼくの視界いっぱいに、昴星の紺色のお腹がある。

「おにーさん、ぎゅってしてよ」

 請われるままに、というか、自分の欲求として、ぼくは昴星の腰を抱き締めた。ほんのりとした昴星の体温が、紺色の水着の、無愛想と言っても構わないであろうざらついた生地の向こうから伝わってくる。柔らかな感触があってこそ、昴星の水着はいとおしいものとなる。

 しかし同時にぼくは昴星のお腹から臭いを感じた。ちょっと驚いて、……まだ小さなおちんちんを収めた股間の膨らみに目をやると、

「ひひ」

 昴星が笑って、身体を少し、下へずらす。

「おにーさん、おれの胸もしていいよ」

 一時期と比べてやせたとは言え、まだ柔らかさを十分に残して、……実際、由利香と同じくらいのボリューム感はあるかもしれない昴星のおっぱいに鼻を当ててみる。

 そこも、やっぱり臭いがする。

「昴星、ひょっとして……」

 言うまでもなく、それはオシッコの臭いなのだ。オシッコをしない場所から漂うその臭いは、何ともいえず奇妙で、生々しい。

「あとでー、おれらが帰ってからさ、答え合わせするといいよ」

 しなくても、もう判っている。

 流斗が初めてぼくと一つになった夜に、「お兄ちゃんにいっぱい食べて欲しい」と言って、自分の身体をその臭いでいっぱいにしてくれたことを、きっと昴星も流斗から聴いたのだ。

 そして、ぼくのためにそうしようと思いついた。

 ……昴星の身体は、おちんちんの周囲のみならず、「昴星の」匂いがする。他の何処でも嗅いだことの無い、不思議な魅力的な体臭だ。才斗を激しく惑わせ、昨日の少年少女たちをも虜にしてしまうもの。

 其処に、おちんちんと同じくオシッコの臭いがプラスされれば、もう、頭がくらくらするぐらいのものになるに決まっている。

「お兄ちゃん、おちんちんすごいぴくぴくしてる……、おちんちんのミルク、ぼく、飲んでいい?」

 流斗の質問は、ぼくと昴星の両方に向けられたものだろう。代表して昴星が、「いいよー、おにーさんのちんこミルク、たっぷり出させてやれよな」と答えた。

 はぷ、と流斗の口の中に収められた。すぐさま器用に動き回る舌……、しかし昴星はぼくにおっぱいの柔らかさを伝えるだけ飽き足らず、再び、じりじりと身体の位置を上げていく。

「おれも、流斗とおんなじくらい、おにーさんのこと大好きだからさ」

 枕元に落ちたままの、今朝二人の髪を拭いたバスタオルを昴星は掴む。もう粗方乾いているそれを広げて、ぼくの胸元に被せた。「床屋さんみたいだ」と昴星が笑みを挟んだ。

「だからさ、……おにーさんの好きなもん、何でもあげたいし、おにーさんがどうしたらよろこんでくれんのかなってこと、いっつも考えてる……」

 服にタオルを被せられたということは、……判っている。昴星の下半身でいつからかくっきり上を向いていることが覗ける、水着越しのおちんちんの先端部分がじわじわと黒く濡れていく。布に比べてずっと吸収率が悪く、すぐさま一筋にぼくの口へと注がれていく。

「だからぁ……、おにーさん、してほしいこと、あったらさ、もっと、何でも……、言ってくれよな? おれと流とで、おにーさんのこと、いっぱい幸せにしたいから……」

 昴星はぼくの口に膨らみの先を当てて、擦り付けながら、甘く囁く。

 ぼくはこれほどのものをもらえるだけの幸せを二人に贈ることが出来ているだろうか……?

 しかし、欲望はいくらでも沸いて出てくる。

 濃い潮を愉しみながら、……次はどんなことをしようか。昴星のお尻にも入れたい、流斗のお尻にも。二人に一緒に舐めて貰えるのも嬉しいし、二人のおちんちんをたっぷり弄らせてもらえるのだって幸せだ。そもそもキスだって。

 そんなことを思うぼくの口元では、昴星が放尿を終え、ざらつく舌触りの水着越しの愛撫に、おちんちんを切なげにぴくぴくさせている。

 そんなことを思うぼくの下半身では、流斗が鼻に掛かった声を立てながら、激しく頭を上下させている。

 昴星のことを待つことさえ出来ないまま、ぼくは流斗の口の中へ精液を放っていた。

「んはぁ」

 流斗がちゅぷっと音を立ててぼくから口を抜く。

「おいしかったぁ……。お兄ちゃんも昴兄ちゃんのオシッコおいしかった?」

 ぼくの顔から、昴星が少し腰を浮かせる。オシッコの染みで黒ずませた紺色水着の中心、吸い付くように浮かび上がる短い陰茎の輪郭が、たまらなくエロティックだ。

「おれも、いっちゃいそうだった……」

 紅い顔で、そう呟く。

「ごめんね、ぼくだけ、ひとりだけいっちゃった」

「んん、いいよ。だって流、ちんこしゃぶんのすげー上手だし……。それにさ、おれ、いくのもうちょっと待ちたかった。いまはオシッコだけって思ってたから」

「昴兄ちゃん、お尻でいきたいんだ?」

 身を起こした流斗が、クスッと笑って言う。昴星は恥ずかしそうに頷いて、ぼくのセーターに手を掛ける。ぼくも身を起こして、裸になった。

「おにーさんのしてほしいこと、何でもするよ。うんこするとこまた見せるのもいいし、……どんな恥ずかしいのでも、おにーさんがしてほしいこと何でもするからさ、だから……、お尻におにーさんのちんこ、ほしい」

 六年生、「可愛い」という言葉がそろそろそぐわなくなってきてしかるべき年頃、しかしぼくの胸にはその言葉ばかりが湧き上がってくるし、下半身の湿っぽい昴星を膝の上に抱き締めることはほとんど衝動的に行われた。

「おにーさん」

 昴星は歳を忘れて甘える。ぎゅうっとぼくに抱き付いて、

「大好きだよ……、大好き。おにーさんと一緒にいるときは、おれもおにーさんの『恋人』がいい……」

 泣きそうな声でそう強請る。胸が、ぎゅうっと締め付けられるようだ。

 ぼくが視線を向けると、流斗が、こくんと頷いた。

「……うん。大丈夫だよ、昴星も、ちゃんとぼくの『恋人』だよ。大事な、大事な……、恋人だ。流斗と同じぐらい、……つまり、世界で一番に、ぼくが可愛いって思う恋人だよ」

 こく、と昴星が頷き、「……キス、したい」

 とぼくに強請る。「恋人」という言葉を確かめ合ってから、初めてのキスだ。……昴星のオシッコの味がする、臭いがする、

 甘いのだ、すごく、すごく……。

 昴星は唇を離しても、ぼくの頬に、耳に、首に、……甘ったるく唇を当て、舌を這わせていく。「横、なって」と言うからそれに従って、胸に、腹に、手を取り、指もちゅぷんと咥える。

「おにーさん……、おいしい。おれの大好きな味がする……」

 身体中を唾液塗れにされてるわけだけど、嫌な気持ちは全くない。とうとう昴星はぼくのペニスにまで至って――当然、また勃起している――顔を寄せて、目を閉じ、すうっと臭いを嗅ぐ。それから流斗を振り返って、

「流、あのさ……」

 何かを言い掛けたところで、流斗は察しよく「うん、してあげる」とうなずいた。何を、と見れば、手にはローションがある。

「昴兄ちゃんのお尻、太いうんちしたばっかりだからきっとすぐ入っちゃうよね」

「ん……」

 昴星は、もういきそうなのだ。頬はずっと紅いし、目は潤んでいる。だけど、ぼくを待たせてはいけないからと、

「んぅ……ッン、んふ……ぅんン……」

 フェラチオをすることでぼくを高めて行こうとする。流斗にお尻を弄らせながら。

 昴星と流斗、二人ともすごく上手なのだ。……敢えてこうして振り返らなくてもいいようなことを改めてこうして言っておこうと思うのは、誤解があってはいけないからだ。

「昴星、……上手だよ、すごい気持ちいい」

 流斗と昴星は、やり方の根本にある思想が違うように思う。

 流斗は、さっきみたいにペニスを咥えて扱くのが上手い。もちろん、舌も器用なのだけれど。

 昴星は、ペニスにある細かな凹凸の一つひとつを逃さぬように舌の先を巡らせてくる。それは元々この少年が「味」というものを強く求める舌の持ち主だということも関係しているかもしれない。

「……でも、あんまりされると、またぼくだけいっちゃうよ?」

 昴星はぷは、と口から外し、「ひひ……」と嬉しそうに笑って、ぼくのペニスを寝かせ、裏筋を丁寧に、何度も、舌で辿り始めた。尿道の膨らみを唇で吸い、根元まで至ってから、舌を出し、陰嚢を丹念に舐めて濡らす。

「……おにーさん、ひざ、曲げて」

「膝……?」

「ん……、でもって、ちょっと、お尻浮かして」

 えっ、と思わず半身を起こしかけた。

「前にな、……才斗に、したら、あいつ、すげー恥ずかしがってたけど、でも、そのまんまちんこしこしこしたらいっちゃったよ。だから、おにーさんもきっと気持ちいいかなって」

 い、いや、待って、その……。

 でも、ぼくは素直に昴星に従う。正直、ぼくの其処なんて見たって、とは思うのだけど、「見せて」って言えば見せてもらえる昴星たちのお尻を、何度だって舐めているのだから。

「おー……、こっちも毛ぇ生えてんだ、すげー大人っぽい……」

 昴星の呟きに、流斗も一緒になって覗き込む。

「ほんとだぁ……、昴兄ちゃんのとぜんぜんちがう」

「おまえのとも違うよ。……おれたちの、ちんこもだけどこっちもいつか毛ぇ生えてくんのかな。……おにーさん、お尻に毛ぇ生えたのっていつ?」

 前はぼんやり時期を特定できるけれど、後ろなんて知らない。前ほど観察だってしていないわけで。

「わからないよ、そんなの……」

 美少年二人に肛門を覗かれる恥ずかしさに、ぼくの声は情けなく震えていた。

「ふーん……、ちんこと同じぐらいに生えんのかなー……、んー」

「ひ」

 思わず声は溢れる。

「どう? お兄ちゃんきもちいい?」

 腰の辺りがぞくぞくしたのは本当だ。ただ、ただ、ただね、やっぱりこれ、すごい恥ずかしい、……君たちとぼくと、明らかに違う身体をしているんだ……。

「ひひひ……」

 昴星は顔を上げて笑う。

「おにーさんのお尻の穴、おれが舐めたらきゅってなった。恥ずかしがってるみてーに見えて、かわいいなー」

「そ、そんな毛の生えてるようなとこ、かわいくなんかないよっ……」

「んー? でも、おれおにーさんの全部、かわいいと思ってるもん。ちんこもおれの何倍もでけーけどかわいいし、おにーさんの顔だって、声だって、全部大好きだから、全部『かわいい』って思ってるよ」

「ぼくもー。お兄ちゃんのこと大好きなみんな、きっと同じに思ってると思うよ?」

 ……ありがたいこととして受け止めておかなければならないのだろう、とは思うけれど、この成人して久しい男にむけて発されることばとしては最もそぐわないものであるように感じられてならない。

「うーんと……」

 多分、「ぼくより昴星たちのほうが比べ物にならないほどかわいい、比べるのなんて馬鹿げてる」なんてことは言わなくてもいい。二人の目にはそう映る。ぼくらの鼻が昴星のオシッコの乾いたブリーフを「いい匂い」と感じるように、目もまた。

 ただ、

「えーと、……とりあえず、口を」

「ひひ、わかった。……流、抜いて」

「はーい」

 お尻に指を入れっぱなしにしてたのか。それにしてはまるで平気な顔でいた。さっきのトイレでしたうんち、たしかに大量だったし、……昴星自作の動画を見るのがより楽しみになったぼくである。

 しかし、いまはそれよりも、生身の昴星を抱ける。

「ゆすいできたよ」

 オモラシの証拠の浮かぶスクール水着の股間を尖らせた昴星は、反射的に其処に目をやってしまうぼくを見て「ひひ、ヘンタイ」と笑う。けれど、優しい微笑だ。

「だって、昴兄ちゃんすっごいえっちだよ? ぼくだってどきどきするもん」

 流斗が弁護してくれる。そう、昴星はえっちだ。

「そうなのかなー、自分じゃわかんねーけど、おにーさんたちがそう言ってくれんならいいやって思う」

 言いながら、横たわるぼくの太腿に跨った。

「おにーさんのちんこが硬くなって、せーしいっぱい出してくれんなら、おれ、才斗以外の他の誰からも『かわいい』なんて思われなくっていいんだ」

 まだ昴星自身の唾液が乾ききっていないぼくの男根を撫ぜて、昴星は言った。それから、水着の肩紐を抜く。

「ぬいじゃうの?」

 流斗の問いに、「途中までな」と答えたとおり、昴星はおへその下で水着を止めた。

 男子としては美しい色の乳首が、ぷっつりと尖っている。

「由利香のおっぱい、おにーさん好きみたいだったからさ。おれの、あいつみてーにやらかくないけど、でも、やっぱちょっとふくらんでるからさ。おれ男だけど、こうやってすると女子みたいに見えて、二倍エロいって思ってくれるかなーって」

 そもそも水着の段階で半分女子である。しかしぼくが確かに言えるのは、

「二倍どころじゃないよ……」

 ということで。

 オモラシの染み、おっぱい、……美少年。見惚れていたぼくの視界に、いきなり流斗の手が入った。

「にゃあ!」

 両脇から白い手が、ぎゅっと昴星の胸を掴んだのだ。

「昴兄ちゃんのおっぱいもやらかいよー、ゆりねえちゃんとおんなじくらい」

「そ、それうれしくねえっ」

「ぼくも昴兄ちゃんみたくごはんいっぱい食べたらおっぱいおっきくなるかなあ」

 流斗は才斗譲りのスマートでスレンダーな体型、このまま美しく愛らしく育つことにぼくは何の抵抗もない。ただ、……いまは何ていう指数で言うのかわからないけれど、痩せているのは確かなので、健康に育ってほしいものだと心から願っているぼくである。

 流斗の胸におっぱいをむにむにと揉まれて、乳首をきゅっと摘まれて、

「あう、ばかっ、もぉっ、んなことすんなよぉ」

 昴星は水着の中のおちんちんをひくひくさせる。そこもすっかり性感帯のようだ。才斗に開発されたに違いない。

「お兄ちゃん、昴兄ちゃんのおっぱいにちゅー」

 ぼくが身を起こすと、流斗に対しての抗いも止まる。唇を寄せて、オシッコの味のおっぱい、……ちゅ、と音を立てて片方ずつ、吸うたび昴星は「んぅ」「あぅ」と小さく声を漏らす。

「昴兄ちゃんは、お兄ちゃんの前で女の子にも男の子にもなるんだねえ」

 流斗はにこにこ微笑みながら言う。

「こないだは、四年生の男の子になってたし、……オムツつけたら赤ちゃんにもなっちゃうんだよね?」

「う、うるせえ、んなの……っ」

「全部、お兄ちゃんに好きになってもらえるんだよね?」

 うん、とぼくは頷く。

「男の子の昴星も、女の子の昴星も、赤ちゃんの昴星も、ぼくは全部大好きだよ」

「うー……」

 恥ずかしそうな昴星の耳元に、

「愛してるよ」

 素直な心の声を差し込んだ。昴星がぎゅっとぼくの肩を掴んで、

「……ちんこ、ほしい……」

 昴星も素直に求めた。

 昴星は水着を脱がなかった。男の子で女の子な昴星のままで、ぼくに抱かれたいと願ったのかもしれない。流斗がぼくにコンドームを被せ、またたっぷりとローションを纏わせる。膝で腰を浮かせた昴星の股布をずらして、ぼくのものに手を添えて、流斗が導く。

「あはぁあ……!」

 ぎゅう、とぼくに抱きつく昴星の唇から、六年生としても色っぽい息があふれ出した。ぼくのペニスには昴星の十分に解したはずの括約筋をそれでも押し広げる圧迫感と、胎内の凹凸がとてもリアルに感じられる。

 ……腰を沈めきった昴星は、しばらくの間、ぼくに強く抱き付いて、動かなかった。

「お兄ちゃん、昴兄ちゃん、きもちぃ?」

 ぼくは、頷く。昴星はぼくに縋りついたまま「ひ、もち、ぃ……」と女の子みたいにか細い声で、やっと答える。

「お、にぃさんのちんこ……っ、やっぱ、すっげ、……きもち、ぃい……!」

「昴兄ちゃん、いまお兄ちゃんのおちんちん入ってるとこ、何て呼ぶか知ってる?」

「え……?」

 昴星は、浅い呼吸を漏らしながら首を横に振る。

「お尻の穴……、肛門、じゃ、ねーの……?」

「女の子のね、男の人のおちんちんとつながるとこは、おまんこってゆうんだよ」

 昴星も、その単語を知っていたのか、かぁっと頬が益々紅くなる。

「ね、昴兄ちゃんはいま女の子になって、お兄ちゃんのおちんちん、おまんこに入れてもらってるの……」

 流斗の両手が、再び昴星のおっぱいに回された。手にたっぷりとローションを纏って、

「あ、はぁあ……!」

 昴星の「おまんこ」で、ぎゅうっとぼくのペニスを抱き締めさせるためにか。

「こんなにやらかいおっぱい、むにゅむにゅされて気持ちよくなっちゃうんだもん、昴兄ちゃんはいま、すごい女の子だと思うよ」

 流斗が揉みしだくおっぱいを見ていたら、ぼくにもまた其処が魅力的に思えてくる。流斗がきゅっと掴んだおっぱいの先、男の子なのにピンク色でぷっくりとして、たまらなく愛らしい乳首を片方ずつ指で摘む。

「んやぁっ、おにぃさっ、なにっ……」

 途端、ぎゅって、またぼくのペニスは絞られる。

「本当に……、おっぱい気持ちいいんだね、昴星」

「昴兄ちゃん、もうおちんちんいっちゃいそう。……ううん、ここはおちんちんじゃないんだよね、お兄ちゃん?」

「ああ、そうだね。……クリトリス」

「くり、と……?」

「女の子の一番感じるところだよ。……水着の中から判るぐらい、びんびんになってる」

「女の子は、気持ちよくなるとここからお潮ふいちゃうんだよ。透明なのと、白くてとろとろしてるのと。いちばん気持ちよくなっちゃうと白いのが出てくるんだよね?」

 流斗はくすくす笑いながら、左手をおっぱいに残したまま、右手で昴星の「クリトリス」に添える。

「あ、あっ、流っ、ダメっ、まだおにーさん出してないのにっ……!」

「いいよ。……どっちにしろ、もうガマンできないでしょう? それに……」

 女の子としての昴星が乱れる様はぼくだって見たい。

「心配しなくても、ちゃんと昴星のおまんこの中に、たっぷり出してあげるから、さ」

 長くサラサラの髪を撫ぜて、唇を重ねる。流斗が昴星のおっぱいと「クリトリス」を弄る手を、再び動かし始めた。

「んぅっ、んくッンっんくぅンっ」

 ぼくと深く唇を重ねたまま、昴星は「おまんこ」でぼくに到達を教えた。遅れて力が緩み、唇も離れた。昴星が紺色の生地に纏ったローションの向こう側から、白い「潮」を滲ませているのが見下ろせたとき、ぼくは不随意の脈動を禁じえない。

「はぁっ、あっ……あ、……あ……!」

 昴星がぶるるっと震えて、その白い蜜を押し流すように、少量の失禁をする。

「あはは、昴兄ちゃん、一番気持ちいいお潮だしたばっかりなのに、またお潮噴いてる、すっごいえっち……」

 流斗は立ち上がって、

「ね、お兄ちゃん、ぼくも気持ちよくなってきちゃった……、クリトリス、こんなにおっきくなっちゃったよ」

 紺のブルマの中で勢いを増している「男の子のクリトリス」を見せる。どうするのかと思っていたら、ぼくと昴星の間に挟まるように立ち、ぼくにはお尻を、昴星には前の膨らみを、押し付ける。

 そしてぼくと昴星が同時に知るのは、その紺色の生地がいつの頃からかじっとりと濡れているのだということ。……水着以上に色合いが黒に近いものだから、見ただけでは判らなかった。けれど流斗の細い内腿からは、乾き始めた微香が漂う。

「ね、脱がせて、お兄ちゃん」

 求められるまま、ぼくは流斗のブルマに指を入れて、引き摺り下ろす。薄黄色の女の子下着が、お尻に食い込んで、もちろん濡れている。昴星の「おまんこ」に包まれながら、……うっかりすればその様子だけでぼくは射精まで至ってしまいそうになる。

「ね、見て、昴兄ちゃん。ぼくの『クリトリス』こんなにびんびんになっちゃった。昴兄ちゃんのお口で、濃くて白いお潮出させてくれたらうれしいなって思うんだ」

 優しく甘く高く透き通った声、ずいぶんなわがままを言っているのだけれど、それを感じさせないような。

「流……、の……、くり、と……り、す」

「うん、昴兄ちゃんと同じぐらい、女の子なのにこんななっちゃうとこだよ。……お兄ちゃんにね、この後、おまんこかわいがってもらえるって思うだけでもうむずむずしちゃうんだぁ……」

 昴星が、ぼくの目の前にあるパンツのウエストに指を入れて、太腿まで下ろした。……流斗の、オシッコまみれで勃起して「びんびん」の「クリトリス」を咥える昴星の顔も、気になる、……本当に女の子みたいになって、そりゃもう、愛らしいだろうから。でも、今はガマンしよう、見なくたって昴星が興奮していることは、繋がっているところではっきりと判るんだから。

「ん……、んへへ、昴兄ちゃんの、お口、すっごいきもちい。ぼくのクリトリス、おいし?」

「……ん」

「えへへ、うれしいな……、ぼくもう、すぐお潮でちゃうかも……」

 昴星を可愛がりながら、流斗をどう可愛がってあげるべきか。……ぼくはおあずけを食らわせてしまったもう一人の恋人のために、小さな桃のお尻を左右に割り開く。

 桃という呼び名に相応しい、昴星同様ほとんど色素沈着のない、小さな小さな愛孔に、躊躇いなく舌を這わせた。

「あん……っ、おにいちゃっ……、おまんこ、ひたいれてる……」

 少年の男らしく太い便によって開かれた女の子の穴に、実際ぼくの舌の先はすんなりと入り込んでしまった。流斗は「おまんこ」をヒクヒクさせながらも、すごく嬉しそうにお尻をぼくの顔に押し付けてくる。

「んぅ、おにいひゃっ、こぉにいっ……、ぼく、いっちゃう……、いっぱい出ちゃう、お潮、でちゃう、でちゃうっ……ぅンっん……!」

 男の子でいい、男の子が好き、と言いながら、女の子になることは二人にとってずいぶん楽しいらしい。いや寧ろ、「男の子」だからか。そう在ることがベースとしてあるから、女の子になって普段と違うえっちなことが出来るのが楽しいのだろう。

「流斗のおまんこ、もうすっかり開いてるね。……柔らかくてぬるぬるして、すごくえっちだよ」

「んんぅ……、だって……」

 ぼくらの間から降りて、ぺたんとお尻を落とす。

「お兄ちゃんのおちんちん、ほしいもん……。ううん、昴兄ちゃんのおちんちんも、……大好きな二人のおちんちん、欲しいよ」

 可憐なことを言う。

「でも、……お兄ちゃんと昴兄ちゃんが、いっしょに幸せになるの、待ってる」

 流斗はにっこりと笑って、……射精したばかりのおちんちんに相変わらず上を向かせて、自分の足の間に指を入れる。昨日、由利香が何度もしていたオナニーを、きっとこの子も見ていたのだろう。

 昴星が口を開けて、流斗の「クリトリス」から出た「お潮」をぼくに見せる。判ってる、優しい子。美味しいミルクを独り占めすることなく、一緒に味わおうと言ってくれている。唇を重ねて、ぼくのもらったものの半分を返して、……その度に量は減っていくのだけど、幸せはどんどん増えていくようだ。

「おにーさん……、おれ……」

 這入りっ放しだ、しかも、流斗の美味しい精液を舐めた。昴星はスクール水着の中のおちんちんをまたきゅんと硬くしていて、ぼくと繋がる場所でもその欲を訴えている。

 紅い頬に潤んだ目、ほんのり膨らんだおっぱいとスクール水着という組み合わせで、昴星は一層女の子に見える。

「……おにーさんの、ちんこ……、おれの、……おれの……おまんこで、射精、して、ほしい……」

 重ねたばかりの唇なのに、ぼくはもうたまらなくなって、またキスをした。

「ぅ、ンっ……んぅ、んん、おにぃふぁ……っ、おに、さっ」

「可愛いよ……、昴星。本当に可愛い。女の子よりも……!」

 ぼくにとって世界一可愛いのは、昴星と流斗、……二人の恋人だ。

 むっちりとしたお尻を抱えるぼくの首に、昴星はしっかりと掴まる。肉全体で絡み付いてくるような……、もちろん本人はぼくに揺すられるだけで無我夢中に掴まっているばかりなのだろうけれど、それでも肉付きのいいお尻は内側にもぷにぷにとした脂質が味わえるものなのだろうか、昴星のお尻は、当たり前のようだけど本当に、昴星を抱いている感触をぼくに教える。

「お、にぃさっ、すご、っ、おぉっ、まんこっ、おまんこっ、しゅごいっ、しゅごいよぉっ」

 繋がった所ではローションと、あとは多少なりとも混じっているであろう昴星の腸からの分泌液で、揺らすたびにぐっちゅぐっちゅと音が立つ。昴星の肛門はすっかりぼくのペニスのサイズに慣れたらしい、その上、それだけでは足りないというように何度も何度も締め付けてくる。すべりのいい場所は、一昨日に昨日とぼくに初めての「女の子」を味わわせてくれた由利香の其処と比べても遜色のない、安定感のある心地良さとなっていた。

「昴兄ちゃん、昴兄ちゃんおまんこきもちぃ?」

 流斗が自分のその場所に指を出し入れする、ちゅぽちゅぽという音を立てながら訊く。

 昴星にはもう何も残らない。

「んぃっンっ、ひ、ぉひぃっ……おまんこっ、おまんっ、こ、もぉっもぉらめっ、いくっ、いくぅうっ」

 羞恥心なんてものは最初から必要なかったのかも知れないと、昴星を流斗を見ていて思った瞬間があって、すぐにそんな考えも吹き飛ばされた。ぎゅううっと全身を使ってぼくに「抱きついた」昴星が、一瞬、……ほんとに一瞬だけ、石のように硬く身を強張らせて、それからぶるぶると震えて「あぁう……うぁ……」と言葉にならない声を漏らした。

 ぼくは昴星のお尻を揺すっていただけなので、触っていない。けれどフレッシュな「お潮」がまた其処に浮かんでいるのは見るまでもなく明らかである。

 ゆっくりと持ち上げて、抜く時にぷちゅんと音が立った。女の子の姿で、しかし股間に男の子のミルクを滲ませて、昴星は「お、にぃさ……っン……」自分が触られないまま、お尻だけで到達してしまったことを恥じるように股間を隠す。

「ね、昴兄ちゃん、おまんこだけでいっちゃった。ほんとに女の子になっちゃったんだねえ」

 くすくすと笑って流斗は昴星のおっぱいに吸い付く。

「んやっ、あっ……」

「いまに、おっぱいだけでいけるようになっちゃうんじゃない? でも、そうなったら大変だねえ、体育のときにシャツこすれるだけでクリトリスおっきくなっちゃうもんねえ」

 まあ、さすがに万に一つもそういうことはない……、とは思うけれど、実際このところの昴星にとっておっぱいもまた立派に性感帯のひとつとして機能するようになってしまっているようだし、一寸先がどれほど眩しい光に包まれているかなんて、誰にもわからない。

「おにーさん……、ちゃんと、きもちよく、なれた……?」

 ぼくが到達したことを、昴星は意識していなかったらしい。仰向けになったままの昴星に、膝で立って、

「ほら」

 と見せてあげた。ピンク色のゴム――うらぶれた印象しかないぼくのペニスには極端なぐらいに不似合いな色だと思う――の膜の中で、白い液体が泳いでいる。

「おかげさまで。……すごい気持ちよかったよ、昴星、すっごい可愛かった……」

 昴星は一瞬ぼうっとして、それからにっこりと微笑む。可憐と言っていいぐらい、純真で、嬉しそうな、……どんな少女よりも少年よりも美しいと言っても過言ではないだろう、「よかった……」と彼は言う。そしてゆっくりと身を起こし、ぼくの砲身からそろそろとゴムを取り外す。才斗相手にそういうことをするんだろう。

「すげー……、おにーさんの、まだいっぱいせーし出んだね……」

 ゴムの付け根を吊るして、先っぽに溜まった精液をほれぼれとした目で昴星は見詰めている。

「それは、まあ……」

「ちょっと、安心した。……おれだけで終わらせちゃったら、流に悪いし……」

 優しい言葉の後、昴星は先端を摘んで引っ繰り返す。とろとろ、粘性を徐々に失いながら垂れてくるぼくの精液を、自分の口へと注ぎ込み、「んん……、んひひ」しばらく舌の上に遊ばせてから、飲み込んだ。

「おにーさんが、おれのまんこにナカダシしたの、飲んじった」

 純であり、無垢であり、それでいてオシッコと精液の匂いがする淫らな少年であり、且つ、少女である。

 定義がなかなかに難しいが、そもそもぼくなんかが定義できるような存在ではないだろう、昴星は。

 流斗も。

「お兄ちゃん」

 ぼくのペニスの前に跪いて、

「ん……、せーしのにおい……」

 まだぼくの亀頭をはじめ細かな所に纏った精液に鼻を寄せ、すんすんと嗅いでいる。昴星はよっこらせっと座って、

「おれ、見たいなー、おにーさんと流が二人っきりでいちゃいちゃしてんの」

 なんて言う。自分が見せてしまった後だから気楽なものだろう。

「えへへ……、ちょっと、はずかしいね?」

 ぼくを見上げて、体操服の上だけ着た天使系美少女ははにかんだように笑う。それから、流斗は大事そうにぼくのペニスを両手で包むと、精液が乾くまえに片っ端から舐めていくと決めたようだ。紅い舌先をちろちろ器用に動かしながら、ときおりこくんと喉を鳴らす。

「お兄ちゃんのせーし、おちんちん……、やっぱりすごくおいしい……。ずっと、ずーっと舐めてたいけど、いっつもぼくガマンできなくなっちゃうんだ……」

 天使の髪を撫ぜて、ぼくは微笑む。

「それでいいんだと思うよ。ぼくだってさ、こうやって舐めてもらってるとすぐガマン出来なくなって、流斗のおまんこに、昴星にしたみたいに中出ししてあげたくなっちゃうし」

 流斗は嬉しそうに顔を離し、それから思い直したようにもう一度ぼくの亀頭にキスをくれてから、上手にコンドームを被せてくれた。

「お兄ちゃん、横になって。ぼく、お兄ちゃんの上で、自分で動いてみたい……」

 ぼくは素直に横にはなったけど、……大丈夫かな、と一抹の不安が過ぎったのも事実だ。だってあれ、結構身体に負担が大きいんじゃないのか。

「だいじょぶだよ」

 昴星が言う。

「流がさ、……おれが前に、おにーさんとしたときそういうことやったんだよって教えてやったら、やってみたいって言ってさ。でも、流ちっちゃいから出来るかなって思って、だから、才斗で試した。ちゃんと上手に出来てたよ」

「お兄ちゃんのおちんちんは、才兄ちゃんよりずっとおっきいけど、……ぼく、がんばりたい」

 小さな手のひらに取ったローションをゴムをはめたぼくのものに纏わせてから、お尻に四本、指を入れる。それが案外にすんなりと収まってしまったように見えて、……この子がぼくを愛するために払った努力を思って、胸がじいんと熱くなった。

「お兄ちゃんは、じっとしててね? ぼくがおまんこで、いっぱい、気持ちよくしてあげるんだから……」

 手を添えてぼくのペニスを支えながら、流斗は膝で身体を支えつつ、そろそろとぼくのものを入口に押し当てる。

「うれしいな、お兄ちゃんのおちんちん……、ぼくとひとつになるの、すごくうれしい……」

 そのまま、ゆっくり、ゆっくり、腰を沈めていく……。流斗自身の頑張りによって十分解された其処は、昴星以上にスムーズにぼくを受け入れながら、……それでも時に、実際の広さをぼくに報せるようにぎゅっと狭くなる。けれど、……抵抗感があったのは最初だけ。ほとんど楽に、流斗はぼくのペニスを身体の中に収めて、三十キロもない体重を、全てぼくに委ねた。

「すっごい……、おまんこ、……だけじゃなくって、おなかのほうまで、お兄ちゃんでいっぱいになったみたい……」

 ピクン、ピクン、ピンク色の細いおちんちんを震わせて、流斗はうっとりと呟く。それから少しだけ茶目っ気のある微笑みとともに自分のおへその上辺りを指差して、

「このへんまで、お兄ちゃんのおちんちんが来てる……」

 と言う。

「お兄ちゃん、……ぼくのおまんこ、きもちいい?」

 ああ、と答えかけて、声が掠れた。改めて、

「うん、……すごい、気持ちいい」

 と答える。

 やっぱり、昴星とはちょっと中の感触が違う。十分すぎるくらいに広げられていても、身体の大きさがそもそも昴星より一回り以上小さいぶん、其処はほんのりとしたぎこちなさを感じさせる。

 けれど、その分ぎゅっとぼくを噛んでくるときの圧力は、息が詰まりそうなほどのものだ。

「えへへ……、もっともっと、気持ちよくしてあげる……、ぼくのおまんこの中で、いっぱい、いっぱいせーし出してね?」

 両手を伸ばして、ぼくの手を求める。ぼくは答えるだけ、小さな手をぎゅっと握ると、流斗は膝を使って腰を上下に降り始めた。

「あん……、んぅ、んっ、あんっ、あっ、あっ……」

 思いのほか、その腰の往復動はスピーディーなものだ。自分の右手で扱くとき……、に比べればずっとゆっくりには違いないけれど、流斗が一番一生懸命フェラチオをしてくれるときと同じほどの速さは感じる。

「すっげー……、おれよりうまいじゃん……」

 昴星が水着の上からおちんちんを揉みながら、憧れるように呟く。

「んっ、らって、っ、だって、おにいちゃっ、おちんちん好きっ、お兄ちゃんのっ、おちんちんっ、らいしゅきっ、だからっ」

 ぷるんぷるん、流斗のおちんちんが腺液に糸を引かせて揺れる。むにゅっとしたフォルムのタマタマがぼくの下腹部で弾む。不意にピタンと音を立てて流斗のお腹とぼくの其処に当たる。そんなこともまた流斗の快感に繋がっていく。

 もちろん、ぼくを悦ばせる景色であることは言うまでもない。

「あ、ぁンっ、んっ、つな、がっひゃうっ、おひんひんっ、お兄ちゃんのっ……、ぼくのとぉっ……」

 繋がる?

 もうとうに繋がっているじゃないか。

「んんっ、おまんこ、そのまんま、ぼくのっ……、お兄ちゃんのっ、おちんっ、ちんと、ぼくのっクリトリスっ、いっしょになっちゃうっ……!」

 流斗の言葉の意味をぼくがやっと理解したときには、ぼく自身、もう間近に自分の到達点を意識していた。

 愛してるよ、という代わりに、……動いちゃダメって言われていたけれど、最後にちょっとだけ、腰を突き上げた。

「あはぁあんっ」

 流斗の肛道の中へぼくが最大限膨張させたペニスの先から熱いものが噴き出す。流斗は直接其れを感じたはずもないのだけど、腰の動きが止まり、身体に稲妻が走ったように震え、……包皮の隙間から、おちんちんの強張るたびに、……とくん、とぷん、……とろとろ、とろとろ。普段の射精よりずっと勢いのないミルクの零し方を、流斗はぼくにして見せた。

 流斗は、呆然と自分のおちんちんを見下ろしていたが、呼吸を整えながら、

「えへ、へへ……」

 ぎゅっとぼくの手を握ったまま、言う。

「お兄ちゃんのおちんちん、と、つながっちゃった……」

 幸せそうに、目尻に涙を潰して微笑む。そう、少年と一緒に射精するとき、少年は自分とぼくのペニスが一つになったように思うのだろう。

「んんっ……」

 いつの間にやら、水着の上から触るだけではガマン出来なくなっていたらしい昴星が裾からおちんちんを取り出し、ぎゅうぎゅうと扱いていた手を止める。……射精している、しかし、ぎゅっと握った皮の中に。どうしてそういうことをしたのかということは、判っている。

 ぼくは一度身を起こして、流斗としっかりとしたキスをしてから、

「昴星、おいで。……美味しいミルク、欲しいな」

 と再び横たわった。昴星は紅い顔でこっくり頷くと、ぼくの顔を跨いでおちんちんを握る手を解いた。……中から、とろとろとあふれ出す精液をぼくに吸わせて、

「だって……、すっげーエロかったんだもん、流……、超どきどきしたし」

 ぼくから降りて、言い訳するように言う。でもまあ、流斗が可愛くってえっちなのは言い訳するまでもないことだろう。

「流斗のミルクも飲みたいな」

 ぼくは言った。

「え……?」

「ぼく、身体硬いからさ。……まあ、多少柔らかかったとしても、お腹に口は届かないから」

 流斗はぼくの顔と、下腹部に散らばせた自分の精液とを見比べて、

「ん、……わかった」

 ゆっくりと、接続を解く。それから自分の出したミルクを丁寧に全て舐め取り、口に含むと、ぼくにぴったり身を重ねて、ぼくへそれを捧げてくれる。

「……おいし?」

「うん、すごく美味しい。流斗のミルクは、何だか甘いね」

「そう……、なのかな? お兄ちゃんにおいしかったら、うれしいよ」

 二度目のキスは、口の中に残った精液の味を全てぼくに移し変えるための。

 そして三度目は、この子がくれた愛情に、ぼくがありったけ返すための、……いずれにせよ、深い、深いキス。

 ひとまず、ぼくは二人の天使をちゃんと幸せにしてあげることができたらしい。

「……ぼくには、世界一可愛い弟と妹が二人ずついるんだなあ」

 二人を膝に乗せて抱き締めて、ぼくは幸せを言葉に出すことで噛み締める。二人の身体はぽかぽかとあったかくて、でも二人もぼくの身体を温かいと思ってくれているみたいに頬を摺り寄せ、キスをしてくれる。もちろん、……二人に風邪をひかせてはいけない。暖房で、ちょっともったいないぐらいに部屋を温めているのだ。

「ぼくたちには、やさしいお兄ちゃんがいるんだ」

「うん、おにーさんっていうか、……一緒んときは、お婿さんっていうか……。まあ、才斗もそうなんだけどさ」

「才兄ちゃんといっしょにいるときは、ちゃんと才兄ちゃんの『およめさん』なんでしょ?」

「まー……、『ちゃんと』かどうかはわかんねーけど、そういうことはしてるよ。でもいまはおにーさんのお嫁さんでいいや」

 ありがたくももったいないお言葉を頂戴して、ぼくは二人をぎゅっと抱き締める。二人の笑い声が、ぼくの胸に少し潰れて響いた。

「ぼくは多分、世界で一番幸せな男だろうね。可愛い二人をこうやっていっしょに抱き締められる。二人があったかいのを、こんなにしっかり感じられる……」

「しかも、ちんこ見放題だもんな」

 ひひ、と意地悪く昴星は笑って、ぼくの太腿の上にあるおちんちんをぷるんと指で弾いて見せた。

「ぼく、お兄ちゃんが見てうれしいならいくらだって見せてあげるよ。これからも、ずっとずうっと」

 流斗もそれを真似した。二人のおちんちん、サイズも形の特徴も違うから、ただ指で揺らすだけでも全く揺れ方が違うのだ。

「そんかわりさ、おにーさんのちんこも、おれらが見たいときはちゃんと見せてくれよな。多分だけど、おにーさんがおれらのちんこ見たいって思うのと同じに、おれらもおにーさんのちんこ見んの好きだ」

「うん、お兄ちゃんのおちんちん大好き。ずーっと見てたいし、ずーっと触ってたいし、ずーっとお尻の中に入ったままだったらいいなって思っちゃうぐらい」

 何よりも素敵だと思うのは、ぼくの幸せだと思うことを、二人が同じかそれ以上に幸せだって、いっしょに思ってくれることだ。

「いつでもどこでもって訳には行かないけど、……うん、二人が見たいときには、いつでも。ぼくのこんなのでよかったら」

「ぼくは、いつでもどこでもおちんちん見せてもへいきだよ?」

 いや、まあ、流斗はそうだろうけども。

「なー、また三人でいっしょにお風呂入ろうぜ。水着も体操服も洗わなきゃだしさ」

 昴星の提案は、多分そのときのぼくらにはベストだっただろう。二人の身体に染み付いた臭いを洗い流してしまうのはちょっと惜しい気がしたけれど、どのみちその臭いを纏わせたまま帰らせるわけにも行かないのだし。

 この部屋の何処も彼処も幸せが詰まっている。……いや、あの城址公園の秘密のくさむらや、トイレの中にまで、洗い流したところで意味もないくらい、濃厚なぼくらの幸せが詰まっている。

 三人でいる場所は、何処でも同じくらいに素敵な場所だとぼくは思うのだ。間違いなく変態なぼくだけれど、そういう考えだけは人並み以上に上手に出来るような気がした。


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