お兄さまは由利香のお兄さま

 諭良=ファン=デル=エルレンバルトという少年について、大急ぎでぼくが説明し終えると、

「マゾヒスト?」

 由利香は目を丸くした。ぼくなんかよりずっとずっと経験豊富な彼女のことだ、その単語の意味は知っているはずだ。

「……昴星くんも、マゾヒスト、でしたよね?」

 やはり見抜いていたかと舌を巻く。彼女の前ではそこまでそういう部分を見せてはいなかったけど。

「昴星よりも、もっと、ずっとだね。見られるのが好きという点では、流斗に近い部分はあるけど」

「でも流斗くんは、マゾヒストではないですよね……?」

 そうなのだ。これは最近になってぼくも気付いたことなのだけど、あの子は恥ずかしいシチュエーションに自分を置くのは確かに好きだけど、どちらかと言えばそれは、積極的な露出嗜好とでも言うべきもので。

「説明するより、実際に見てもらった方が早いかな」

 ぼくは先日諭良が遊びに来た日に撮った映像をパソコンから流し始めた。

 女の子の下着でオモラシをする諭良。

 射精するところを「見てぇ」っておねだりする諭良。

 更には、包皮の余りをアピールするようにみっともない腰振りダンスを披露する諭良。

 美しい顔をした少年であることも、由利香の表情に驚きの色を浮かべる理由にはなったものと思う。けれど、それ以上に自分の痴態をこれほどまでに見せ付ける姿に、少々気圧されている様子だ。

「この動画は全部、あの子が『女の子に見られること』を想定されている。……まあ実際に君に見せちゃってるわけだけどね。この通り、諭良はすごく綺麗な子で、多分学校でも女の子に人気があるんだと思う。でもね、そんな自分がこんな恥ずかしい姿を見せちゃってるってことが、この子には興奮の材料になるらしいんだ」

 ぼくの説明を最後まで聴いて、

「……マゾヒスト、ですね。それも、かなり重度な」

 由利香はそう総括した。賢い少女は重ねて、「わたしは、この子を気持ちよくしてあげればいいんですか?」とぼくを見て訊く。

「出来るかい?」

 にっこり微笑んで、由利香は頷く。

「楽しみです。……わたし、お兄さんや昴星くんたちと仲良しになって、幸せだから、お兄さんの仲良しの男の子のことも幸せにしてあげたいって思います」

 ……可憐な微笑みを浮かべてそう言った彼女が押し入れの隙間から覗く部屋に、諭良はやって来た訳だ。

「ごめんね、急に場所変えたりして」

「いえ……、ぼく、お兄さんのお部屋に来るの、好きです」

 先程電話で急な予定変更を報せたが、諭良は文句一つ付けず、こうしてやって来た。先日と同じコートを着て。

「あの、お兄さん、……お言い付けの通りにしました」

 諭良はコートの前を開く。

 ジーンズの社会の窓から、緊張と寒さに縮こまった細い皮余りおちんちんが覗いている。

「そう、いい子だったね」

 ぼくが髪を撫ぜてあげると、嬉しそうに頬を綻ばせて、早速のキスを強請る。それには素直に応えてあげたけれど、

「今日は……、ぼくのお尻に、おちんちん、入れてくれますよね……?」

 欲深い視線には、おあずけを食らわせる。

「そうだなあ……、それはこれから考えるよ」

 あからさまに淋しそうな顔に、諭良はなった。本当は君が来る前に、可愛い女の子のお尻に入っていたんだよ、と、意地悪を紡ぎたくなった舌を止めて、

「それで? 今日はどんなパンツで来たの? 撮っててあげるから、見せてご覧」

 三脚に立てたカメラを指差してぼくは命じる。

 諭良はこくんと頷いて、一旦おちんちんを仕舞う。ぼくが撮影を開始すると、

「六年一組の、諭良=ファン=デル=エルレンバルトです……」

 いつものように、自己紹介から始めた。

「今日、ぼくが穿いてきたパンツ、見てください……」

 諭良はジーンズのボタンを外し、太腿まで下ろしたところで、意を決したようにそれを脱ぎ捨てた。

 現れたのは、スマートな諭良が穿くものとしては不似合いな印象の強い、白地に車や電車の模様が青を基調とした輪郭で描かれたプリントブリーフだ。

「これ、……この間、服屋さんで見つけて、ぼくにはちょっと小さいんですけど、でも、可愛いなって思って、買いました」

 さほど大きくもない諭良のおちんちんの膨らみが、それでもはっきり目立つ。「ちょっと」ではなく、かなり小さい。流斗にちょうどいいぐらいじゃないかなと思う。

「あの、ぼくは、いつもオネショをして、自分でも、自分のおちんちんが、六年生よりももっと小さい子と同じみたいに思えるときがあります。……形も小さい子と同じです、だから、こういうパンツを穿いた方がいいかなって……」

 諭良は、カメラに二歩近付いて背伸びをした。レンズに自分の穿いた子供っぽいブリーフを誇示しようとしているらしい。ぼくは敢えてカメラの隣に座って、諭良のしたいようにさせている。

「見えますか……?」

 諭良との距離が近くなったくらいでは(この子の匂いは昴星ほど強くはないので)諭良の存在そのもののごときパンツの匂いが漂ってくるということはない。ただ、白いプリントブリーフに、至近距離だからこそ判る薄い色のシミがだらしなく広がっているところを見せられて、ぼくは自分の鼻の奥に諭良の匂いじわっと広がったように思われた。

「今日は、学校で……、体育の授業がありました」

 諭良は頬を赤らめつつ、自分の秘密を告白して行く。

「着替えのとき、……こんな子供っぽいパンツを穿いてること、みんなにバレちゃったらどうしようって、どきどきしました。でも……」

 諭良は溜め息を吐く、心底から、残念そうに。

「今日の体育は、自習になってしまいました。学校で風邪が流行ってて、外の授業をするのはよくないって、先生がおっしゃっていました。だから、結局着替えなくて、パンツも、誰にも見せられなかったんです。……こんな黄色い、臭いパンツ穿いてたのに」

 ぼくの視座からも、諭良が窮屈なパンツの前を膨らませつつあることには気付ける。

「……だから……」

 諭良は汚れと誤った自己陶酔に浸り、両手で膨らみの輪郭を示す。

「ぼくのパンツ、いっぱい見てくださいね……? ぼくの、恥ずかしいパンツも、そのパンツの中で、こんなに硬くなっちゃうおちんちんも、……ぼくの恥ずかしいところ、全部、全部見てください」

 言いながら、諭良の興奮は募って行く。

「ぼく、これからオシッコします、パンツ穿いたままで、このパンツが似合う子……、ちっちゃい子みたいに、パンツの中でオシッコしますっ」

 家を出るときに「たくさんお水飲んで、お腹の中パンパンにしておいでね」とぼくは言った。素直でいい子のマゾヒストは、きちんとその言葉に応じたようだ。

 足元には一応オネショシートを敷いている。けれど、年末、大掃除のシーズンが近付いているわけで、今年は畳をそう入れ替えしようと思っている。ので、多少はそこからはみ出しても仕方がない。

「あっ、オシッコ、オシッコ、ぼく、パンツの中でオシッコしてますっ」

 諭良ははしゃいだ声で失禁をアピールする。窮屈なプリントブリーフの中に恥の刻印をより濃く染みこませながら、いよいよ露出大好きマゾヒスト美少年にスイッチが入った。みるみるうちに広がって行く黒い濡れ染みの中心に細身のおちんちんの輪郭はどんどん浮かび上がり、ウエストゴムまで尿を染み渡らせながら、勃起した姿を見せびらかすことに恍惚となる。

「あは……、ぼく、オモラシ、しちゃいました……」

 ぞっとするほど美しく整った顔が、早くも快楽に溺れ始めている。諭良は前開きから自分のおちんちんを引っ張り出して、

「オモラシすると、すぐおちんちんこんなになっちゃって、射精したくて仕方なくなっちゃって、だから、これから射精するところも見てください、先っぽの皮いっぱい余ったぼくの、恥ずかしいおちんちん、から、せぇえき、いっぱい、びゅびゅーって、出すとこっ、見てくださいっ……」

 言葉の途中からもう、諭良はぐちゅぐちゅと音を立てながらおちんちんを扱き始めている。

「んっ、ぼくのっ、皮余りのっ、恥ずかしいおちんちんっ、パンツの中でオシッコしちゃうおちんちんのっ、しゃせいっ、するとこっ、み……っ、あっ、あ、でるっ、でるでるっ、んはぁあああ!」

 包茎の先から、「びゅびゅーっ」というほどの勢いもなく、しかし畳の上に精液が飛び出した。手を離した諭良はおちんちんの震えをうっとりと見下ろしながら、

「ぼくの、……恥ずかしいとこ……、また見せちゃった……」

 呟く。

 ぼくの指のサインに気付いて、諭良は後ろを向く。

「さっきのオモラシで……、お尻もこんなに濡れちゃいました……」

 その辺りに指先を這わせて申告してから、諭良はぼくが何も言わなくてもパンツを脱ぎ、「あの、おちんちん一回気持ちよくなったけど、まだ、もっと気持ちよくなりたいので、……ぼくのオナニーするところもう一度見てください」

 すべてを脱ぎ捨て、カメラの角度を少し下げ、自分で作った水たまりの上にぺたんとお尻を落とす。そのまま太腿を抱えるように仰向けになって、顔をレンズに向けながらストローのように伸びた包皮を自らの口でちゅっと吸い、皮の中に残っていた尿と精液を啜る。

 もちろん、お尻の穴までカメラに晒している。

「あの、うんちを、したいので、これから、するので、……汚いの、出しながらおちんちん気持ちよくなります。いっつもこうやって、一人のとき、気持ちよくなってます……」

 ふすぅ、と肛門からガスを吐き出し、諭良は震えながら力をこめる。健康的で逞しい便を入り口に覗かせながら、諭良は自分の美しい顔に二度目のオシッコを浴びせ始めた。

「んはっ、オシッコ、あったかぁい……」

 口の中へ自分の尿を注がせながら、更に勢い込んで力み、あの「塔」のようなうんちをお尻の穴に盛り立てて見せる。自分の晒す姿にまた激しく興奮したらしく、諭良はもうガマン出来ない様子でおちんちんをしゃぶり、鼻から息を漏らしながらセルフフェラに興じる。

「んぶ、ふぇ、ぼくの、恥ずかしいとこっ、全部、ぜんぶみてくらさいっ、うんちしながらっ、んむっ、自分のおちんちんしゃぶっちゃう、ヘンタイな、ぼくのこと、いっぱいっ、いっぱい見てぇっ」

 そろそろいいだろう。ぼくは後ろ手に、押し入れに向けてサインをおくった。「おいで」って。

 由利香が、きちんとそれを受け取る。

 諭良にはまだ見えていない。静かに押し入れを開けて、ぼくの隣までやって来たところで、

「諭良くん」

 由利香が、声を出す。

 ビクン、と少女の声を耳にした諭良が、おちんちんを深く咥え込んだまま、硬直する。

「……変態なんですね。……こんな汚いうんちを、お尻から出したまま、自分の口でオシッコ出すところをしゃぶるなんて……」

 諭良は目を見開いて、凍りついたままで居る。由利香の言葉の通り、おちんちんはまだ口の中にある。

 由利香の表情は伺えない。けど、少年に向ける声は蔑みというか「ドン引き」の感情がこもったものだ。

 ぽろん、と諭良の肛門の塔が倒れて、オネショシートの上に転がる。

「こんなこと、いつもしているんですか? ……最低ですね。わたし、クラスのみんなに教えてあげます。諭良くんって、学校では真面目なふりしてるけど、本当はすごいヘンタイなんだって……」

「ぼくの、……妹の由利香だよ」

 ぼくは立ち上がってきちんと服を着た由利香の髪を撫ぜる。

「今度、君の学校に転校してくるなことになったんで、ひとまず今日はここに泊まってもらったんだ。……いい機会だからね、諭良、新しいクラスメイトを紹介してあげようと思ってさ」

「あ……あ……」

 諭良の身体はガクガクと震え始めた。それはさっきまでの、羞恥心を自分のエネルギーに変えてノリノリで変態行為を晒していたときの表情ではない。

 自分のしていたことが人に知れて、……クラスの女子たち全員に知れ渡ってしまうことを理解した、圧倒的な恐怖心だ。

「由利香、ダメだよ? 仲良くしなきゃ。……友達になってあげてね、諭良」

「こんなヘンタイと仲良くしなきゃいけないんですか?」

 由利香は冷め切った表情でいる。

 ぼくはにっこり微笑んで、諭良を抱き上げる。わななく唇から、声はほとんど出てこない。怯えている。

「ほら、……諭良、ちゃんと自己紹介しなきゃ。……君はどんな子だっけ? 願いが叶うんじゃないの?」

 後ろから抱き締めて耳元で囁く。諭良の身体はまだ震えているが、「もう遅いんだよ、バレちゃった。由利香は君がヘンタイだってこと、みんなに言いふらしちゃうだろうね。……でも、それは諭良が望んだことだろ?」ぼくの声が、その心を震わせるのを、ぼくは感じた。

「ゆ……、諭良……ファン、デル、……エルレンバルト、です……」

 諭良は全くぼくと由利香の嘘に騙されきっているようだった。

「羽村由利香です」

「あ、……あの、……ぼくは、……ぼくは……」

「見せたがりの変態、なんだよね? いっつも女の子に恥ずかしいところ見られること想像してオナニーしてるような……」

 ぶるぶるっと震えて、諭良の縮こまった包茎の先からチョロチョロと透明なオシッコがこぼれ出した。それは畳を濡らして行く。じわじわと水たまりを広げ、由利香の靴下の先までも。

「ぼ、ぼくは、……そう、自分の、恥ずかしいところ、女の子に見て欲しい、ヘンタイです……」

 放尿に伴って下半身から力が抜ける。諭良のお尻からはまだ詰まっていたうんちがぽとっぽとっと落下した。

「あのっ、ぼくの、ぼくの恥ずかしいところ、見てくださいっ、いっぱい、いっぱい見てくださいっ」

「汚い……」

 由利香は自分の靴下に目を落として、冷たい声で呟く。……恐らく彼女の「客」の中にも、由利香にそう扱われる「マゾヒスト」は居たのかもしれない。

彼女は濡れた靴下の先で、放尿を終えた諭良の包茎をぐいと押した。

「きれいにしてください。こんなに汚して……、酷いと思わないんですか」

「は……、はい……っ」

 諭良は作りたての水たまりの上に膝をつき、這いつくばるようにして由利香の靴下を口に入れる。そこに染み込んだ自分の尿を、「ごめんなさい……、ごめんなさい……」と呟きながら、吸って行く。

「由利香、女王様みたいだね?」

 クスクス笑って言う。由利香は一瞬照れ臭そうな表情をぼくにだけ見せたが、

「こんなはしたない子が『友達』なんて、わたしいやです。……でも奴隷だったら、考えてあげてもいいですけど」

「ああ、それなら諭良、由利香のことはちゃんと『由利香さま』って呼ばなきゃね?」

 ぞくぞくと震えが諭良の身体に走った。美しい顔で少女の靴下を舐めていた諭良は「ゆりか、さま……」とうっとりと呟いて、自分の身体に奴隷の自意識を染み込ませて行くようだ。

「諭良、『由利香さま』に自分がどんなおちんちんしてるか見せてあげなよ」

 由利香は靴下を脱ぎ捨てて、「別にわたし、そんなの興味ないですけど」と突き放したように言い放つ。這いつくばっていた諭良はとろけた笑顔を浮かべながら、

「ぼくの……、ぼくのおちんちんです……」

 既に上を向かせた包茎を、由利香に突き出して見せる。

「……お兄さま、この子、本当に同い年ですか?」

 ぼくの呼び方を、より女王様っぽいものに変え、蔑んだように由利香は言う。

「こんなに細くて白くて、しかも、みっともなく皮が余ってます。わたし、同い年の男子のおちんちんってもっとちゃんとしてるんだと思っていました」

「ちゃんと?」

「はい。……少なくとも射精するぐらいの子は、もっと自己管理がしっかり出来て、大人で……、パンツ穿いたままオシッコするようなバカな真似したりするなんて」

 諭良は由利香の細かな攻撃にびくんびくんとおちんちんを震わせている。それは言葉に嬲られているかのよう。

「お兄さまのおちんちんはあんなに立派なのに、どうして諭良の」由利香は呼び捨てでそう呼んだ。「おちんちんは、こんなにだらしなく先に皮が余っているんですか? みっともない」

「どうしてだろうね……、諭良、由利香に教えてあげて」

「は……、はい、……それはっ……、おちんちん、いっぱい、いじって、きもちよくなって……、それでっ……」

「赤ん坊みたいな形のくせに、そういうことだけは一人前の大人みたいにしているなんて……」

 お兄さま、と由利香はぼくに抱き着く。普段の由利香より、幾分テンションが高いように思える。すごいことを色々出来る子ではあるけれどまだ昴星たちより年下の少女は、「女王様」なんて立場が楽しくなって来たのか知れない。由利香までついでに楽しいならば、それに越したことはないわけである。

「わたし、この子にはお仕置きが必要だと思います。男子として、あまりにみっともないです。きちんとしつけておかないと、……さっきみたいにまたいつオシッコを漏らして、わたしの服まで汚されるようなことになるかも知れません」

「そうだね、……諭良は、締まりが悪くてだらしないおちんちんをしてるからねぇ」

 言うまでもないことだが、ぼくも大いに楽しんでしまっている。一対一よりも二対一の方が、諭良も嬉しいだろう。

「諭良。君の恥ずかしいおちんちんを由利香に矯正してもらおう。……その、皮の伸び切ったみっともないおちんちんをね」

 ぼくは普段考えつきもしないようなことを平気で口に出来た。「ほら、見せてごらん。そんなに勃起しても皮がたくさん余ってるんだよね」

 諭良は真っ赤になりながら、……ふるん、ふるん……、腰を振り始めた。

「ぼくの……、ぼくのっ、いっぱい皮の余った、だらしないおちんちん……っ」

 芯の通った茎の部分は、まあいい。先端にたっぷり余った皮は、ぷるんぷるんと情けなく揺れる。

「由利香さまっ、……由利香さまっ、はしたないおちんちんに、おしおきしてくださいっ、ぼくのっみっともないおちんっ……ふぁあっ」

「由利香さま」は無慈悲な表情で諭良の股間で揺れる細茎を靴下を脱いだ右足の親指と人差し指に捉えた。先端の皮を二本の足指で器用に摘まんで、そのまま引っ張る。そして気持ち悪そうに「お兄さま……、ぬるぬるしてます。この子、こんな恥ずかしいことして、感じてるんですか?」言う。

 少女に足で恥部を摘ままれるという恥辱は諭良には耐え難いほどの興奮を催させるらしい。

「あはぁ……っ、ぼくのおちんちんっ、足でっ……」

 今にも射精しそうな恍惚の表情を浮かべて喘いでいる。

「わたしの足、これ以上汚したら承知しませんよ」

 由利香はそう言い放ち、諭良に座るよう命じた。諭良は湯気を立てる自分の便を足で囲うように、尻を落とした。餌を前にした犬のように浅ましい表情で由利香を見上げている。

「由利香、この間の諭良、すごかったんだよ。自分で出したうんちに精液かけるとこ撮ってって駄々こねて大変だったんだ」

「……ヘンタイ」

 由利香は言葉で諭良を震わせる術をもう完全に我が物としているようだった。由利香の声だけではない、表情の一つ一つからして、諭良にはこれまで感じたことのない刺激を味わわせるものだ。

 昴星もマゾヒスト、この間のスカイプのときなど、それがよくわかったけれど、やはりこの子はその遥か上、……斜め上を征く。

「……わたしに蔑まれて、そんなはしたないことになってるんですか? 射精ぐらいはガマン出来るのでしょう?」

 由利香はそう言い放ち、背中を向けて押し入れから女王さまご自身さっき隠れているときに見つけたのだろうオムツを引っ張り出して諭良に放る。

「それ以上、臭いものを撒き散らされるのは迷惑です。そのみっともないおちんちんに蓋をなさい」

 諭良は「はい、由利香さま……」渡されたものを装着し、美少年のオムツ姿をうっとりと晒して立つ。

「お兄さま。この汚らしい奴隷にはどんなおしおきが効果的なのでしょう」

「そうだなあ。……この子にはどんな辱めだって逆効果だろうね。寧ろ悦んでしまうだろうから」

「それは、お兄さまが甘いからですわ」

 ツンと澄まして「由利香さま」は言う。はっきり言ってこの子の演技は流斗よりはうまくない。それでも彼女なりに、自分に出来ることをしようという気持ちは伝わってきて、どこか微笑ましい。

 由利香は清楚な足取りで畳の上を考えながら歩く。

「そう……、例えばこの子の欲しがるものをあげないというのはどうでしょう」

 立ち止まって、思いついたように言う。諭良は突っ立って、期待にオムツの中をパンパンに膨らませている。

「……と言うと?」

「この子は、お兄さまのご褒美が欲しいんでしょう? それなら、そのご褒美をわたしが代わりにいただきますわ。こんなはしたない子にお兄さまのご褒美をあげるなんて、もったいないことです」

 そう言って、由利香はぼくに抱き着く。ぼくの腕はすんなりと由利香を抱き締め返した。

「なるほどね」

 可愛い女王さまに背伸びをさせることはなく、ぼくは背中を丸めて由利香にキスをした。

「あっ……」

 小さく、諭良が声を上げる。

 由利香は得意そうな微笑みを奴隷に向けた。

「わたしの、お兄さまですもの」

 敢えてそんな風に、所有権を強調したような言い方をする。

「あなたのような汚らしい奴隷がお兄さまに触っていいなどと思っているのですか?」

 これ見よがしに、今度は由利香が背伸びしてぼくにキス。

 今度は、舌が絡む。なるほど、……ありがたいことに、ぼくに対してそんな振る舞いを見せる諭良にとっては、それは非常に効果的な責め苦となるようで、ぼくが由利香と音を立てて幸せなキスをしながらちらりと伺えば、諭良は抗いようのない嫉妬に駆られたような表情を浮かべて、しかし「由利香さま」に対して反抗することも出来ず、無力感に打ちひしがれている。

「お兄さま」

 由利香は愛らしく微笑みながら、ぼくのジーンズの前に指を這わせる。

「由利香が気持ちよくしてさしあげますわ」

 お嬢さまっぽくそう囁いて、ぼくの前にひざまずく。ぼくとしてもそれが大いに嬉しいのは当然、だからまるで本当の妹みたいに振る舞う由利香の髪を撫ぜて、由利香のするに任せた。

「もう、……お兄さま、由利香とちょっとキスしただけなのに、こんなに硬くして……」

「由利香女王さま」の喋り方がすっかり板に着いていらっしゃる。とはいえぼくには、どんなにエスっぽい振る舞いをして見せても、本当の彼女の、清楚でいやらしい一面がすっかり覗けてしまっているのだけど。

 いや、とぼくは考え直す。これもまた、由利香の「レパートリー」の一つである可能性は否定出来ない。こんな風に、お嬢さまとして振る舞うことを望む客もいるかも知れないわけで。

「そりゃあ……、ね。由利香、可愛いからさ」

 ふふ、とぼくの演技ではない賞賛に、彼女も素直な笑顔を向けた。

「由利香のお口でして欲しそうに、お兄さまのここからえっちなお汁、出てきてます。……お兄さまもはしたないこと、おしおきが必要かしら?」

 由利香の細い指が尿道口を撫ぜて、糸を引く。その糸を見て、諭良がごくりとツバを飲む。

「ぼくにまで意地悪をするの?」

「いいえ、……お兄さまは由利香のお兄さまですもの、いつもみたいにたくさんたっくさん、由利香が気持ちよくしてさしあげなくっちゃ……」

 由利香はぼくの怒張に両手を添えて、心持ち普段より上品に唇を当て、音を立てて腺液を吸い上げた。

「ん……、おいしい、お兄さまの、おつゆ……」

「由利香、えっちな顔になってるよ?」

「お兄さまにだけ見せる、お兄さまの妹の顔です……」

「奴隷」は頭数に入っていないらしい。

「お兄さま? 由利香のお顔ご覧になりながら、お口に、おいしくってえっちな味の精液、いっぱい出してくださいね?」

 とびきり上品で、たまらなく下品な「由利香お嬢さま」がぱくんとぼくのペニスに吸い付いた。

「うん……、やっぱり由利香は上手だね……、舌がすごく器用だ。君ぐらい美味しそうに舐めてくれる子はいないよ」

 ぼくの、半分は嘘の言葉に、

「……んふふ」

 見上げる目は、素直な嬉しさを表現する。

 諭良は、ただただ羨ましさを隠さず突っ立っているばかりだ。それは、由利香の舌に乗るぼくの味に対してのみの欲求ではなさそうだ。ポニーテールを揺らしながら、「んっ、ふ、ほに、ふぁまっ……」

声をだらしなく漏らしての、由利香のフェラチオを受けるぼくへの嫉妬もしっかり混じっているものと思われる。

 諭良だって、男の子だ。女の子がそんな風にするシーンを目の当たりにしたなら反応する心の部分があって当然、健全。

 けれど、いまは少年を視界の外に追いやる。

「由利香、もうそろそろ出るよ」

「ん、んふっ、……いっぱい、由利香のお口に……っ」

「うん、それもいいかなって思うんだけどね……」

 額に指を当てて、由利香を止める。危うくその顔にぶちまけてしまいそうになった。だって口から抜いて油断したところにくるんと舌を這わせたりするのだ。

「……由利香の可愛いおっぱいにかけてもいい?」

 由利香はくすっと笑って、「はい」と従順な妹として頷く。

「由利香のおっぱい、お兄さまは好きでいてくださいますか?」

「うん、すっごい可愛いと思う」

 由利香は諭良が見ている前でも平気でセーターを脱ぎ、下に着たシャツも脱ぎ、上半身を露わにする。まだ小さな膨らみを、それでも両腕で寄せるさまは健気なものだ。

 諭良が「同い年」の半裸を見て「あう……」と呻いて膝を付く。ピンク色した乳頭も、その目に飛び込んできたに違いない。

「お兄さま、由利香のおっぱいに、たくさんかけてください……」

「うん、そうさせてもらうよ」

 由利香の右の乳首に、亀頭を押し当てる。「あん……」と由利香は反応よく声を漏らし、まだほんの小さな粒の乳首を、胸を手のひらで支えてぼくの亀頭へと擦り付ける。

「由利香のおっぱい、大きくなってきたんじゃないか? 前よりずっと柔らかくなってる」

 由利香ははにかんだように微笑んで、「きっと、お兄さまがいっぱい可愛がってくださるからです」と、ぼくがペニスでその特有の感触を愉しむに任せる。

「お兄さま、由利香にお手伝いさせてください」

 再び両手でぼくのものを包むと、上からよだれを垂らして、にちゃにちゃと音を立て捏ねるような愛撫を施しながら、未熟な胸の感触を伝えるように自分の胸に擦り付ける。

「お兄さま、お兄さまのおちんちん、ピクピクしてるの、由利香のおっぱいにすごく感じます……、もう、出そうなのでしょう……?」

 目を潤ませて言う、その心には演技ではなく本当にぼくを心地よくしたいと思いが詰まっているに違いない。

「……由利香、出すよ」

 ぼくはその快感に抗うことなく、少女の胸に射精した。

「あっ……、すごいっ……お兄さまの……」

 胸ばかりか、顔にまでぼくの放ったものを浴びながら、由利香は嬉しそうにはしゃいだ声を上げた。由利香は顔や胸を拭うよりも何よりも、震えるぼくのペニスに口を付け、舌で拭うように精液を吸い取り、聴こえよがしに言った。「お兄さまの精液……、濃くって、すごい美味しいです……」

 諭良は身体の中に生じた幾つものベクトルに翻弄されていたような顔で、ぺたんとお尻をついていた。泣きそうな顔の頬は真っ赤で、ぼくらの気付かないうちに二度目のオモラシをオムツの中でしていたのだろう、裾からはジワジワと汚水溜まりが広がっていた。そして、まず間違いなく射精もしてしまっているに違いない。

 ティッシュで丁寧に由利香のバストを拭き清めてから、「諭良、由利香の裸に興味があるの?」と意地悪に訊いた。

「う、あ……」

「お願いしてみたら? 君の女王さまにさ、もっと裸を見せてくださいって」

 諭良が声も出せないでいるうちに、由利香は自分のバストを腕で隠し、

「由利香のおっぱいは、あなたなどに見せられるほど安いものではないです」

 氷のように冷たく言い放つ。ただ、その口元には言葉以上に冷たい微笑みが浮かんでいる。

「でも……、ひとまずおしおきはこれでおしまい。その汚いオムツの中を見せてごらんなさい」

 冷酷無比な命令だ。

「は、はい……、由利香さま……」

 諭良はしかし、嬉しそうに従う。諭良は仰向けになっていそいそとオムツのサイドテープを剥がし、洪水のようなありさまの中身を晒す。二度の失禁尿で黄色く染まった内側に、精液も混じっているはずだ。

「臭い。……そんなに臭いものをオムツの中でいっぱいにして、情けないおちんちんを硬くしているなんて、本当にヘンタイ……」

「由利香さま」は不快そうに言い放ち、ぼくの耳元で、少女自身の声で躊躇いがちに訊いた。

 ぼくは「いいよ」と答える。

 由利香は冷たい表情のまま、スパッツとパンツを脱ぎ捨てる。目の前でするすると全裸になった少女を、諭良は口を開けて眺めていた。

「浅ましい顔……。お兄さま、由利香、見られるだけで不愉快な気持ちになります」

「でも、諭良もちゃんとガマンしたんだから、ご褒美をあげてもいいんじゃない?」

「由利香は、こんな汚らしい奴隷にそんな情けなんてかけたくありません。……でも、お兄さまがそうおっしゃるなら……」

ついと歩みを進めて、諭良の太ももを跨ぐ。

「んぐっ、んっんむぅっ」

 彼女は諭良の空いたままの口の中に、脱いだばかりの下着を無理やりに詰め込んだ。さっきちらりと見えたけれど、ぼくとしている間に湧き出た蜜がほんのりシミを作っていた。

「いいザマ」

 諭良にとっては、それもご褒美だろう。……「由利香さま」みたいに可愛い女の子のパンツを口いっぱいに頬張っているのだから。

「お兄さま、由利香はこの奴隷をもっともっと汚してやることに決めました」

「うん、いいと思うよ。きっと諭良も喜ぶだろうね」

改めて立ち上がった由利香は、自分の無毛の割れ目に指を当てて、広げる。諭良は目を見開いて少女の性器と対面していた。

その場所から、細い道を潜る音を立てて、薄い黄色のせせらぎが溢れ出す。

「ん! んっ! ンんんっ」

諭良はそんな呻きを上げながら、少女の放った尿が自分のおちんちんに浴びせられて、ビクビクと痙攣する。

「こんなのが嬉しいなんて、本当に、本当にヘンタイ……、由利香の汚いのが嬉しいなんて」

 由利香のオシッコを浴びる包茎を、もっともっと汚してと強請るように上下に振り、ぴちゃんぴちゃんとお腹に弾ませる。尋常ならざるその動きが一番極まったとき、諭良の余り皮の先からとろとろと白く濁った液が溢れ始めた。由利香のオシッコで射精したのだ。

 由利香が放尿の余韻を身体に走らせてから、今度は諭良の肩を跨ぐように大きく足を広げて屈む。陶然とした諭良の目の前には、濡れた少女の性器が広がって晒されることになる。

 由利香が自分の下着を諭良の口から抜いて、

「きれいにしなさい」と命じる。

 諭良は浅い呼吸を繰り返しながら、「はひ……」と情けない応答をし、舌を伸ばして尿に濡れた少女の足の間を拭い始めた。

 これで終わりではないことを、由利香はぼくに既に告げている。ぼくの見える由利香のお尻の穴は、密やかに蠢いている。

「おいしい? 諭良」

「おい、ひいれす……、由利香さまの、おひっこ……、おいひいです……」

「そう。お利口さんね……。せっかくだから、もっとご褒美をあげる」

 顔を覗かせた、と思ったら、たちまち由利香の綺麗なお尻の穴は大きく広がって、焦茶色のうんちを勢いよく諭良の胸元に寝そべらせる。

「うふあっ、う、うんちっ……」

「嬉しいでしょう……? ご褒美、たくさん出してあげる……、あなたのことは、由利香がおトイレみたいに使ってあげる」

 諭良にとって、という以前に、一人の人間にとってこれ以上屈辱的なことってないはずだ。「肉便器」なんていう言葉はあるけど、いまの諭良は本当に由利香の排泄物を身体に委ねられて「便器」そのものとしか言いようのない存在にまで自分を貶めている。

 けれど、懸命に由利香のオシッコを舐めとる諭良にはもう、人としてのプライドなんてほとんど何の重みも持たないようだ。

「嬉しい? 諭良、由利香の汚いうんち身体に出されて、幸せ?」

「はいっ、うれしいれすっ、ぼく、由利香さまの、便器っ……、ぼくに、オシッコもうんちもいっぱい出してくださいっ……」

 寧ろありがたがって、胸の上に少女の便が横たわることで一層感じて、収まるところを知らない性欲に任せて右手を動かす。自らの舌で由利香を悦ばせ切る前に、さっさと自分だけ倒錯の渦に溺れてしまうのだ。

 さすがに由利香は冷静さを失ってはいない。すっきりとお腹の中のものを出し切って立ち上がり、ぼくにお尻を向ける。

「お兄さま、由利香のお尻、汚れてしまいました……」

 そこを諭良に舐めさせるのは、さすがによくない。

 だけど、簡単に拭いて済ませるには、其処は物欲しそうに見える。由利香だって「ヘンタイ」の「奴隷」を便器として使うという体験の直後、同い年の異性の裸を散々見た後だから、欲求が募るのは当然だ。もちろん、ぼくのペニスでおっぱいを刺激もしたし。

「拭いてあげてもいいけど、……由利香のお尻もはしたなかったよね? ほら、諭良がさっき出したのと比べてごらん。由利香の方が女の子なのに太いのたくさんしちゃったんだよ?」

 それは事実である。しかし当然のことでもある。だって彼女は少し前に、その場所がはしたなく広がるようなことをしたのだから。

「それは、由利香じゃなくて、諭良が悪いのです。……由利香のうんちを、嬉しそうに欲しがるから……」

「言い訳はいいよ。……せっかく諭良にきれいにしてもらったのに、おまんこそんなに濡らして。由利香もおしおきされるのが好きなのかい?」

 由利香は諭良の身体から降りて、ぼくの腰に縋り付く。上を向いたままのぼくのペニスに頬をすり寄せながら口にするのは、態度とは裏腹に謝罪の言葉だ。

「ごめんなさい、お兄さま。……でも、お兄さまはきっと、はしたない由利香のこと、可愛がってくださるって……」

「そうだねえ……、確かにね」

 お利口さんで欲しがりの由利香は、洗面所からコンドームを持ってきて、改めて四つん這いになって、お尻を振って見せる。

「お兄さまぁ……、由利香の、汚いうんちたくさん出したお尻に、おしおき、たくさんしてください……」

「お尻がいいの?」

「はい、お尻に……」

 さっきもぼくがいったのはお尻だった。今度は前の方でもいいかなという気がしないでもない、でも、……別にこれでおしまいってわけでもないし、いいか。

「あ、あぁ……!」

 前に比べてねっとりとした質感で、男の子に比べると柔らかな少女の肛門だって、ぼくに心地よさを味わわせてくれることは事実なのだ。

過去二回、ぼくがお尻に入れてあげなかった諭良が、またむらむらと嫉妬の鎌首を擡げて、起き上がった。拍子に由利香の便が転がり落ちる。ただ無力な奴隷少年はお尻を穿たれて嬌声を上げる由利香の姿を見て、条件反射のように勃起したおちんちんを扱き出すばかりだ。

「あんっ、お、にぃさまっ、お兄さまっ、大好きですっ、由利香はお兄さまが大好きっ……」

「うん、ぼくも由利香のこと、大好きだよ……、お尻の中、すっごく気持ちいい……」

 由利香は自分で腰を前後に振ってなお快感に対して貪欲な姿勢を見せる。

「あ、あっあっ、もぉ、っにっさまっ」

「いっちゃうの? 由利香は奴隷の見てる前でお尻でいっちゃうの?」

 ふるふると首を振る女王さまに、もっと意地悪をしてあげたくなる。ぼくは由利香の身体を後ろから抱えて、さっき浴室でしたみたいに、下から突き上げる。

正面の、健気な奴隷少年のために、由利香のピンク色したおっぱいもおまんこも全部、見せてあげるのだ。

「ら、めっ、もぉだめぇっ……おにぃさまぁあっ!」

 激しい括約筋の収縮に任せる形でぼくも由利香の欲しがる脈動を其処へ送り込む。由利香のお尻からふっと力が抜けると、しゃあああと高い水音と共に、放物線が噴き上がった。……ぼくがオシッコ見るの好きと知ってから、由利香はずいぶんお茶を飲んでいた。膀胱が過敏になっているのだろう。

 諭良は自分のすることをわかっていた。

「由利香さまの……、由利香さまのオシッコ……、オシッコ……!」

 由利香の足の間に這いつくばるようにして、顔面に少女の黄金水を浴び、それを飲み下して行く。どこまでも落ちぶれた自分の身分で口に出来る、最も甘美なるものと信じるように。

 本当に便器になったようだ。それを、諭良は幸せと定義する。

「あ……はぁ……ン」

 由利香の放尿が終わるまで待ってから、ぼくは由利香を身体から降ろし、優しさを籠めてキスをした。「可愛かったよ」と囁くと、本当に嬉しそうに微笑んでぼくに抱きつく。そのままキスを繰り返して終わりにしたっていい気になりかけたけど、まだダメだ。

「ん、っンんっ」

 諭良が、もう何度目になるかわからない、少女の排泄物による快感のピークを迎えて包茎から畳に精液を垂らす。量はだいぶ少なくなった。でも、まだ出せるだろう。

 由利香は「奴隷」に見せてしまったあられもない放尿に頬を赤らめながらも、ぼくが小さな耳にキスをしながら囁いた言葉をきちんと聴き分けて、小さく「はい」と応じる。両の肩を畳に付けて、ひう、ひう、弱々しい呼吸を重ねる便器を抱え上げる。

「諭良、すっごい臭いね。君自身のと、由利香のオシッコとうんちで。顔も身体もすごく汚くなってる」

「そんなことが、この便器には幸せなのですわ。由利香には理解できませんけど」

 無慈悲なる言葉で言い放ち、排泄物塗れの美少年を浴室まで運ぶぼくの後についてくる。……さっき由利香と入ったときのお湯は、まだ十分に温かいし、浴室の中もそうきつく冷え込んではいない。

「さて……、由利香。自分の身体を洗うより先に、諭良のことをきれいにしてあげるんだ」

「えっ……、なぜ……」

「由利香が汚したんだからね。自分のものは自分で管理する……、当然のことだろ? それとも由利香はおトイレでうんちしたあと水を流さなくていいと思ってるの?」

 由利香は言葉に詰まったが、すぐに「……わかりました、お兄さま」と頷く。諭良はタイルの上、ぺたんと座り、ぼくらのやり取りが届いているのかいないのかも判然としない、ぼんやりとした顔でいる。

「ありがたく思いなさい、由利香が洗ってあげるんだから」

 湯温を確かめてから、由利香はシャワーのお湯を、まだ自分の出したものをこびりつかせたままの諭良の身体に振りかけ始めた。新しいボディタオルに石鹸を泡立てて渡すと、さすがに湯女、自分のもので汚した「便器」を丁寧に洗って行く。実際、あの共同浴場の清掃を一人で請け負う少女だから、家でもトイレ掃除の手伝いをしているに違いない。

 顔と上半身を洗い清めてやったところで、

「立ちなさい」

 と由利香は命じた。よろよろと立ち上がった諭良は自分の主たる少女が自分の身体を洗っているという事実に不慣れな様子で、戸惑いの表情を浮かべている。

 もっとも、由利香は裸である。腰掛けにお尻を載せた彼女が諭良の股間に手を当てるに至っては、懲りずにまたそこを強張らせ始めるのだが。

「ゆ、由利香さま……」

 弱々しい声で諭良が何かを訴えた。由利香は無視して諭良のペニスを洗い、足の間にも手を入れる。

 射精へ追い込むような指の動きは、由利香はしなかった。手が離れてなお、まだ諭良の腰が落ち着きを失ったままなのは、尿意を催しているからに違いなかった。

「なぁに? ……そんな恥ずかしいダンスを踊って。自分のだらしないおちんちんを由利香に見て欲しいの?」

 由利香は手桶に汲んだお湯を諭良の下半身に浴びせて泡を流す。上を向いたおちんちんは由利香の前で皮を揺らしている。

「ゆ、由利香さまっ、……ぼく、オシッコ……オシッコしたいですっ」

「せっかくきれいに洗ってあげたのに、また汚すの?」

 ……とは言うものの、諭良に膀胱をパンパンにしてくるよう言ったのは「お兄さま」であるところのぼくだから、諭良は全然悪くはないのだけど。

「ひゃう!」

 由利香が指で諭良の余り皮を摘まんだ。ちょうど、おちんちんに蓋をするように。

 辱めに応じるように、諭良の身体が震えてその中で少量のオシッコを漏らしたらしい。皮の中がぷくっと膨らむ。ほんの少しでも出てしまったなら、

「由利香さまっ、おちんちん壊れちゃいますっオシッコっ、オシッコパンクしちゃうっ」

 涙声で諭良が必死の懇願をするのも当然のこと。

「しょうがない便器ね。……便器のくせにオシッコをするなんて、生意気」

 しかし由利香は諭良を許した。指を離した途端、勢いよく飛び出したのはほとんどもう色のついていないオシッコで、それはよりにもよって「女王さま」の顔や身体を目掛けてじょぼじょぼと音を立てて注がれる。由利香は奴隷少年の尿を黙って浴び続けてから、「汚い」と吐き捨てた。が、続けて出てきたのは優しくさえ響く言葉だ。

「後ろを向きなさい」

 余韻の震えを身体に走らせた諭良は、何をされるかわからぬまま後ろを向いた。お尻を叩かれるという予想はしていたかもしれない。が、それは諭良にとってはまたご褒美と同義の「おしおき」だ。

 由利香は、諭良のお尻の穴に指を突き立てた。

「うあっ!」

「これ以上お兄さまのお風呂を汚すことは許しません。……中に入っているものは全部出してしまいなさい」

 ちょっと無理があるようにも思える動きで、由利香はぐいぐいと諭良の肛門を穿り、ずぼっと音がしそうなほどの勢いで指を抜いた。細い悲鳴を漏らした諭良は、由利香が足元に置いた洗面器に脱糞する。まだ身体の中にそれだけの量が入っていたのかと驚くほど、ボリューム感のあるうんちが衝撃で洗面器を震わせ、再びきつい臭いを漂わせ始めた。

「お兄さま」

 由利香が諭良の肛門から次々に吐き出されるものを見ながら、勝ち誇ったような声で言う。

「この子のほうがずっとはしたないお尻をしていますわ。由利香よりもずっと大きな臭いうんちを、こんなにたくさん」

 ぼくも、それには同意せざるを得ない。

「そうだね。由利香のはこんなに臭くなかったし、もうちょっと可愛らしさがあったと思うよ」

 全部出し切った諭良はよろよろと鏡の前に膝をつき、開放感にひくひくと震えていた。

「こんなはしたないお尻には、お兄さまがちゃんと栓をしてください。由利香のおもちゃがあっちこっちで臭いものを撒き散らすような出来損ないでは困ります」

 なかなか上手いな、なんて思う。ぼくは由利香が諭良に首輪を付けてヒモに繋いで散歩する映像が頭に浮かんで、思わず小さく笑った。諭良は諭良で、自分が何をされるかを悟り、

「お、お尻っ、ぼくのっ、はしたないお尻にっ、栓っ、栓してくださいっ、お兄さまっ」

 発情した犬のように浅ましくお尻を振る。

「本当に諭良はヘンタイね。男の子なのにお尻の中かき回されるのが嬉しいなんて」

「自分のご主人さまとお揃いがいいんだよ、きっと」

 ゴムを装着して、由利香の指と少年自身のうんちによって広がり切って口を開ける肛門にローションを垂らし、其処へと押し付ける。

「あっ、あっ、おちんちんっ!」

「本当ならお兄さまのおちんちんはあなたなんかにはもったいないものよ。光栄に思いなさい」

 由利香は言いながら、諭良が身を支えるために手をつく鏡前の台に乗ったボディソープやらシャンプーやらのボトルを退かす。そこに、大きく足を広げて座った。もう条件反射のように諭良は其処へ顔を寄せるし、由利香は指で広げながら遠慮なくその顔面に放尿する。「さっきの、お返し」

 せっかくきれいにしてあげた顔であり身体なのに。……いや、由利香のオシッコを諭良が汚く思うわけがない。悦んで飲み下し、身体に同化させ、やがてそのストロー状の包茎から迸らせ、その時と場合によってはまた少年自身の幸福を生み出すことになる。

「諭良、由利香に聴かせて。お兄さまのおちんちんを入れてもらうの、初めてなんでしょう? 粗末でもおちんちんの生えた男なのに、女の子みたいに扱われるの、嬉しくって仕方がないんでしょう?」

 諭良が由利香の言葉に責められてどれほど幸せになっているかということが、その肛門の動きからはっきり伝わってくる。射精してるみたいに何度となく狭くなって、ぼくを掴んで離さない。

「うれしい、ですっ……、ぼく、お兄さまの、おちんちん、すごくうれしいですっ……」

「ですって、お兄さま」

 由利香はぼくに微笑んで見せる。

「じゃあ、……諭良、せっかくだからさ、女の子だけじゃなくって男の子にもなろうか」

 ぼくは諭良の上半身を起こさせた。包茎の先に触れてみると、ぬるつく。また新しい蜜が其処から漏れ出しているのだ。

「あなたは幸せ者ね、諭良。お兄さまと由利香の両方に、こんなに大切に扱われるの、ありがたく思いなさい」

 由利香がコンドームの個包を千切り開け、細身の男性器の根元までそれを被せる。再び足を開いて座り、指で割れ目をぱっくりと開けて、ピンクに色付いた自分の性器を見せびらかす。そんなポーズに諭良はまたきつくぼくを締め上げたし、ぼくもそれに抗うように諭良の中で強張る。

「ゆ、りか、さまっ……」

「いらっしゃい、諭良。由利香のおまんこに入れさせてあげる」

 そのペニスに指を添えて、諭良の腰をぼくは進める。少女の其処には恐らくぼくのものよりずっと似合いのサイズのそれは、すんなりと由利香の中に滑り込んだ。

「あ……っ、あ……!」

「諭良、判る? ……由利香のおまんこの中に入っちゃったんだよ? これで諭良はもうちゃんとした男の子だ」

 由利香はくすっと笑う。

「ちゃんとした男の子だなんて思いません。諭良はずっと、ずうっと、由利香のおもちゃなんですもの……」

 しかしおもちゃの髪を由利香は優しく撫ぜた。

「んぁあンっ、あ、っはぁあ!」

 諭良が射精する。激しくぼくを締め付けて。胎内で弾んだ性器に、由利香も少しばかり身体を反応させた。しかしもちろん、ぼくと由利香を至らせるにはまだ足りない。

「だらしのない子。射精もきちんとガマンできないなんて、本当に諭良のおちんちんははしたないのね」

 ぼくが腰を引く。精液溜まりをほんの少しだけ膨らませた薄い精液が、諭良の快楽の証拠だった。ぼくが抱いたまま腰を引き、諭良から抜いて座らせると、諭良はほとんど意識をなくした状態でコンドームを急激に大きく膨らませて、失禁していた。まるで水風船だ。

 ぼくがゴムを外すと、すぐに代わりのものをあてがって由利香が甘える。

「お兄さま」

 もう、諭良の耳にはほとんど届いていないのは、諭良の虚ろな目を見れば明白だ。だから由利香は由利香本来の声を取り戻して、ぼくに抱きつく。

「……これからも、『お兄さま』って呼んでも、いいですか? ……わたしのこと、妹って言ってくださったの、すごく嬉しかったです」

 ぼくは由利香の髪を撫ぜ、諭良のオシッコの味がする唇を舐めて、「もちろん」と頷く。

「すごく、頑張ってくれたね。可愛かったよ。本当にお嬢様みたいだった」

 由利香ははにかんだように笑って、「頑張りました」と頷く。

「自分のことを、『由利香』って、名前で呼ぶと、何だかそういう感じになるんだね?」

「前に、テレビで見たドラマのお嬢様がそうしていたのを見たんです」

 実際、そういう効果があるようだ。「これからも、こういうときにはそうしてくれる? 由利香のそういうとこ、本当にすごい可愛く思えてさ」

 由利香は「はい」と嬉しそうにぼくにキスをして、ぼくの乳首を舐める。ゴムの上から亀頭に指を這わせて、

「お兄さまの、おちんちん……、また由利香のおまんこに入れてくださいますか?」

 と訊く。

「可愛い妹が『入れて』って言ってくれるならよろこんで」

 ぼくがタイルの上に座ると、由利香は嬉しそうに向き合って、大きく跨ぎ、ぼくの手に支えられながらその場所へぼくを導いて行く。

「あ……っ、お兄さまの……」

 身体を広げるぼくの熱に、由利香の身体は悦びが走る。

「お兄さまのおちんちん、おっきい……っ、諭良くんのより、ずっとずっとおっきくって、太いです……!」

 完全に繋がり切ったところで、由利香はもう一度微笑んで見せてくれた。

「由利香は、幸せですね。お兄さまにこんなに可愛がられて……、由利香は本当は、諭良くんよりずっとはしたないのに……」

 それは、確かにそうなのかもしれない。けれどぼくみたいな男に初めて触れさせてくれた少女は、どこまで行ってもぼくにとっては愛らしく純真な存在である。

「由利香、ここへ来てよかった。お兄さまに会えてよかった……!」

 諭良の身体で半ばまで満ちていたぼくらが一番の高みまで上り詰めるためには、ほとんど時間は要らなかった。夢中になってお互いの唇を貪りあっているだけで、由利香は激しく身体を痙攣させたし、ぼくも由利香の中へ自分の熱を叩きつけた。

「……オシッコ、漏らしちゃいそうになりました……」

 ぼくにぎゅっと抱きついて、恥ずかしそうに由利香は告白する。

「お茶、いっぱいいただいてしまったから……。こんな短い時間にあんなたくさんオシッコしたのに……」

「漏らしてもよかったんだよ? ガマンは身体によくない」

ふるふる、由利香は首を振って、

「お兄さま、由利香のオシッコするところ見るの好きって言ってくださいましたよね……?」

 そろりそろりと腰を上げる。ぼくがゴムの中に出した大量の精液が見えた。

「うん。見せてくれるの?」

「……はい。……もう、出ちゃいそうです……」

「そっか。……じゃあおいで。由利香のトイレになってあげるよ」

 ぼくは由利香の前に仰向けになった。由利香はこくんと頷くと、諭良にしたときよりもずっと恥ずかしそうにぼくの顔を跨ぐ。内腿まで伝った愛液がいやらしい。

「いい、ですか?」

「どうぞ」

 由利香の其処から力が抜ける。和式のトイレと化したぼくの顔へ口へ、少女の薄いせせらぎが流れてくる。由利香は恥ずかしそうに、でも由利香のオシッコを飲むぼくを見下ろしたままでいた。

「あっ……、お兄さま……!」

 したんだから、綺麗にしなきゃ。

 当然のこととして、ぼくは由利香の割れ目に舌を這わせる。そんなことをすれば、またぼくらの身体に火は回る。こんどはまた、由利香のお尻を可愛がってあげるのもいい……。

でも、諭良に風邪をひかせるわけにも行かないので、そのあとすぐ、諭良を起こして三人でしっかり温まることもぼくは忘れなかった。別にこれは、褒められるようなことではない。

 

 

 

 

「諭良、ファン=デル=エルレンバルトです……」

 真っ黄色に染まった白いブリーフを手に、諭良は恥ずかしそうに自己紹介をする。

「臭いわね。どうしてあなたはそんなに臭いの?」

 携帯のカメラで撮影する由利香が、冷たい声で言い放つ。

「オネショ、を、してしまいました……。ぼくは、オネショが治らない、恥ずかしいおちんちん、なので……」

「その恥ずかしいおちんちん、どうしてそんな風に上を向いているのかしら」

「そ、それは……、あの、……ぼくは、由利香さまみたいな、女の子に、おちんちんを見られて嬉しい、ヘンタイだからです……」

諭良は小刻みにおちんちんを震わせ、皮の先を踊らせ始めた。

「由利香さま、お願いですっ、ぼくの恥ずかしいおちんちん、もっと見てくださいっ、お願いですっ、ぼくのだらしないおちんちんっ」

 ……朝である。諭良の言葉の通り、彼はオネショをした。だから、由利香さまのお仕置きの真っ最中なのだ。

 諭良はまだ、由利香が本当に同い年の転校生だと信じて疑わない。だからこそこれほど深く興奮を催し、痴態を晒すのだ。

 本当のことは、このまま伏せておこうと思う。遅かれ早かれバレてしまうことではあるけれど、でもそれが今である必要もないわけだ。諭良にはその方が、多分幸せなのだから。

「クラス中におちんちん見られるのがそんなに嬉しいの?」

「はいっ、ぼく、もっと恥ずかしいところみて欲しいですっ」

「そう。じゃあ好きになさい。撮るだけは撮ってあげる」

 諭良はぱぁっと嬉しそうに微笑み、「ぼくの、ぼくのうんち撮ってくださいっ、うんちしながらこの皮の伸びたおちんちん気持ちよくなるとこ見てくださいっ」とおちんちんを上下に跳ねさせながら喜びを表現する。

 ……現在時刻は午前十時。起きたのはついさっきで、諭良のオネショが判明してから早速という格好でこういうことをしているぼくらだ。諭良は昼から用事があるとのことで、十一時にここを出ればいいらしい。だからそれまで可愛がってあげることにはためらいもない。由利香も楽しそうであることだし。

「由利香さま、ぼくのお尻、臭いうんち出てきましたっ、臭いうんち……、たくさんっ……」

 ところで、というか、そもそもの話なのだけど。

 由利香は「用事があって」東京にやって来たわけだが、その「用事」について、ぼくはまだ聞いていない。緊急を要する用ではないのだということは、こんな風に遊ぶための時間を使うことでも明白だけど、でもその用って何だろう?

「最低ね、諭良。そんな汚らしい姿を見せながら気持ちよくなるなんて、ヘンタイ以下よ、もしくはそれ以外の何か。欲張りな声もひどく耳障りだわ」

 ぼくに会いに来てくれたのは、あくまで余録。……やはり他の「お客」に呼ばれているのか。それは、さみしいことだけど、彼女の仕事でもあるわけで……。

「ん」

 ぼくが考え事をしているうちに、排便する姿を晒したまま諭良は果てていた。いつのまにか、口に自分のオネショブリーフを突っ込まれ、ひくひくと震えながらカメラにピースサインを送っている。

「お兄さま、由利香もオシッコしたいです」

 撮影はもう終えたらしい。ぼくはうっとりと横たわっていとおしき絶望を愉しんでいる諭良の口からヨダレとオシッコにまみれたブリーフを抜き、お尻を拭いて、ひとまず毛布をかけてあげる。一応エアコンも強めにかけてあるし、風邪はひかないだろう。

「いいよ。……どうせ諭良のうんち片付けなきゃいけないし、一緒にトイレ行こうか?」

「はい」

 由利香の手には、ゴムが握られている。

「お昼には、由利香も出ないと……、だから、時間までお兄さまといっしょに、……楽しいこと、したいです」

 パジャマ姿の少女には年相応の愛らしさがある。由利香は諭良のうんちを便器に落とそうとするぼくを止めて、自らその仕事を買って出た。

「諭良くんの粗相は、由利香が片付けなきゃいけません」

 責任感のある「女王様」だ。これは聴いた話でしかないけど、一般的にマゾヒストよりサディストの方が気配りを求められるものであるらしい。というのも、マゾヒストからの無限とも言える被虐欲求に応じるためには対応力が必要になるからだ。

 由利香は、オシッコをガマンしているのに諭良の便を払い落とした洗面器をわざわざ浴室まで持って行き、戻ってきて「漂白剤をいれておきました」と言った。

「ありがとう、お利口さんだね」

 ぼくが、まだ結んでいない髪を撫ぜてあげると本当に嬉しそうに微笑む。普段この子をちゃんと褒めてあげる大人っているのだろうか……、そんな気持ちになった。

 便座を下ろし、ぼくと正対してパジャマの下を降ろす。ピンク色の無地、少女らしい下着に手をかけたところで、「……お兄さまは、どっちが見たいですか?」と上目遣いに訊く。

「ん?」

「由利香の……、オシッコと、……オモラシと……。お兄さまの見たい方でします」

「ああ……、どうしよう」

 由利香はもうそう長くはガマン出来ないだろう。

「どっちも」

 ぽろりと、ぼくの口からはもう少しなんとかならないのかって思うくらい素直に欲が零れた。由利香はクスッと笑って、

「わかりました。頑張って、どっちも、してみますね」

 と応じて、パンツを穿いたまま、便座に座る。

「あっ、あのさ、……撮っても、構わない?」

「はい……、あのでもお兄さま、出来るだけ早く……」

 大急ぎで、ぼくはカメラを持って来た。由利香はパジャマの裾を捲り上げてぼくの構える「目」を見上げて、はにかんだように微笑む。

「お兄さま、ちゃんと撮れてますか?」

「うん、バッテリーもメモリーも余裕たっぷりだ。待たせちゃってごめんね……」

 小さく首を振る気遣いを見せてくれてから、「オシッコ、出そう……」と余裕のなさを目に表した。直角ほどに広げていた足を更に広げ、ピンク色で清純な印象の下着の股布を見せる。

「あ……」

 やはり、まだオモラシには慣れないのだろう。オシッコは、由利香の膀胱に一晩分溜まっていたはずなのに、控え目な出方をする。

 でも、ピンク色の下着に広がり、其処から雨垂れのように滴る液体は、とても濃い。

「お兄さま、由利香、オシッコ出てきました……」

 息を震わせながら、由利香は言う。はずかしそうに自分の失禁を告白する少女の姿に、ぼくの呼吸も震えそうになる。

 100ccほどか、それよりちょっと少ない量が出たところで、由利香はオシッコを止める。既にシミは少女のお尻の方まで至っていた。辛そうにガマンしながら、由利香が便座から腰を浮かせて下着を脱ぐ。座り直すか直さないかというところ、限界を迎えたように、白くて濡れた割れ目から一気にオシッコが噴き出す。

「すごい……、ガマンしてたから、いっぱい……」

 由利香は安堵したように微笑みながら、大量の尿を放出する。それから思いついたようにパジャマを捲り上げて、自分の未発達な乳房を晒す。

 ぼくの見たいと思うもの、全て用意されてしまった。

 ぼくはショタコンである。昴星と流斗と諭良という、時限的な「恋人」が三人もいる。そして街を歩いていて、少女に目が行くということは、滅多にない。

 ただ、由利香に限って言えば、……この子ほんとに可愛いって、心の底から思ってしまう。惜しむらくは、そして幸いなことは、全ての少女がこの子ほど可愛いわけではないってこと。

 無節操かもしれない、けれどぼくは単純に、この子を大事に思う。

「お兄さま、……由利香は、とても恥ずかしいお仕事を、しています」

ちょろ、ちょろ、オシッコを切って、由利香はぼくを見上げる。

「学校の、誰にも言えないような、恥ずかしいお仕事です。……でも、そのお仕事をしてたから、お兄さまと知り合えて、……お兄さまのこと、気持ちよくするお手伝いも出来るから……、やっぱり、わたし」

 完全に言葉が「由利香」に戻ってしまった瞬間に、照れ臭そうに「由利香は、とても幸せです」

 ぼくが撫ぜる手のひらを、少年たちと同じほどに嬉しいものとして受け止めてくれる少女と出会えるためには、……由利香があの「仕事」をしていてくれなければならなかった。それでも疑問を感じたこともあったろう、逃げ出したいと思ったことだって。由利香がそう思う瞬間があったという時点で、あれは忌むべき仕事である。ぼくにしたって、結局のところは由利香に自分の欲の矛先を向けてしまう。

 しかし、その場、この場の限りのものであってはいけない。

 そんな考えに沈んでしまいかけたぼくに、

「お兄さまは、オシッコ、しないですか?」

 由利香が訊いた。

「ん……? ぼくの?」

 こくん、由利香は頷いて、「だって、お兄さまはまだ起きてから一度もなさってないです」とぼくの膀胱の状況を正しく指摘する。

「まあ……、うん、したい、ね」

「由利香、お兄さまのオシッコをするとこ、見たいです……。諭良くんの、たくさん見せてもらいました。でも、大人の男の人のも見てみたくなって……」

 言葉を自ら否定するように、由利香は首を振った。

「お兄さまが由利香のしてくださったみたいに、……由利香もお兄さまのオシッコで、……由利香を、おトイレみたいにして欲しいです」

 こんな美しく清らかな身体を。……ぼくに生まれた抵抗感は、昴星たちに請われて飲ませるとき以上のものだった。

 しかし、頷かざるを得ない。由利香と過ごせるあと少しだけの時間、可能な限りこの子を愉しませてあげることこそ、すべきなのだ。

それにしても、ここでそれをするわけには行かないのはわかっている。「お風呂、行こうか」だって、由利香の身体を洗ってあげなきゃいけないわけで。

「あの、お兄さま」

 浴室に着くなり、由利香は自分の下着を差し出す。デジャヴ、っていうか、昨日もあった。

「うん、ありがとう。これも大事にするよ」

 ぼくも裸である。濡れた下着に自分の魂が素直な反応を示していることは隠せない。

「お兄さまは、男の子だけが好きなのだと思っていました」

 飲む、だけじゃなく浴びることまで想定しているのだろう。全裸になった由利香は膝立ちでぼくを見上げる。少女の裸の前で勃起しているのだから言い訳はきかない、もとより、するつもりもない。

「確かにぼくは男の子が好きだよ。でも好みというものがあるし、それにね……、昴星たちは、ぼくのことを好きって言ってくれた、……ありがたいことにね。だからぼくはこのところ、ただの男の子が好きな男ではなくなってきているかもしれない」

 きょとん、と由利香はぼくを見上げている。

「……由利香がそうであってくれるように、自分に向かう気持ちを知ったときに、同じだけ、ぼくも相手のことが好きになるんだと思う。自分で言ってて思うけど、これ結構傲慢で勝手なことだ。でも、いまのぼくにはそれしか出来ない」

 そんな器用じゃないし、こうして、裸を見せられれば勃起してしまうわけだし。

 でも、由利香は微笑んだ。

「嬉しいです。お兄さまに、昴星くんたちと同じように思っていただけるの、由利香はすごく嬉しいし、幸せです」

 両手を添えて、亀頭に口付ける。「そんなことしたら出なくなっちゃうよ」と言ったから、由利香は慌てて離したけれど。

 ぼくの右手にはまだカメラがある。自分の放尿には興味なんてないけれど、由利香の淫らな姿はどうしても撮りたい。

 ぼくは見下ろす角度で映しながら、由利香の顔目掛けて下半身の力を加減した。

「あっ……、お兄さま……」

 由利香の口に、上手に注ぐことが出来た。由利香はうっとりとした顔になってぼくを見上げながら、ぼくの汚水を飲み込んで行く。唇の端っこから溢れたものは彼女の白い裸を伝う……、すごく色が濃くって、汚してしまっている罪悪感が余計に煽られた。

「お兄さまのオシッコ、あったかいです……」

 顔に身体にぼくの尿を浴びながら、由利香は微笑んで自分の乳房を揉む。まださほど柔らかくはない場所でも、少女の指が当たるたびにほんのりと形を変える様を見せるのはたまらなく魅力的だ。

ぼくの最後の一滴を、拭い取るように舐めて、

「お兄さまの言っていたこと、わかりました。昴星くんたちの気持ちも」

 ほの温かく、すべすべの頬をぼくの煮えるようなペニスに当てて彼女は言う。

「オシッコって、おいしい……」

 いやいや、ぼくのは。言い掛けたけど、まあいい。由利香がそう思ってくれる事実が、少しだって不都合であるものか。

「起き抜け一番のだから、由利香のも濃かったよ」

 実際、宝石が噴き出しているみたいに見えたことを正直に言い添えておこう。

「お兄さま、由利香オシッコだけじゃなくて……、お兄さまの……」

「もちろん。……どこに出したらいい? お口? それともお尻がいい?」

 由利香はちろちろとぼくの裏筋に舌先を当ててから、

「両方……、ううん、全部」

 イタズラっぽい笑みを浮かべて、言う。

 朝っぱらから三発か……、まあいいだろう、どうにか出来るはずだ。

「由利香のお口とお尻と、……おまんこに、たくさんお兄さまの、くださいね?」

 可愛らしくそう言って、ぱくん、ぼくのを咥え込んだ。さっきまで、由利香の「用事」について訊かなくちゃと思ってたくせに、この後でいいかなんて思っている。ついでに言えば、あそこに入れるときは部屋に戻って、「由利香さま」の声を諭良の目覚まし代わりにしよう、なんて思っている。

 ダメな大人がここにもいる。


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