おにーさんは意地悪だなあ

 流斗の住む街に、流斗と会う用事なしで来るというのは何となく後ろめたい気持ちがこみ上げて来るものだ。けれど夕べ寝る前に昴星が言ったことを叶えてあげるためには地元の街では危なっかしいし、流斗のことは帰りに誘えばいいのだ。まあ、ベストではないにしろ、ベターと言うことは出来るのではないかな、と思っている。

「……流と、おにーさんが、してるみたいなさ」

 昨夜昴星は裸でぼくの身体に寄り添って、たっぷりの射精の後の気だるさと眠気の中、告白したのだ。

「外で……、っていうの、今日やったの」

「……露出?」

「ん……」

 流斗ほど度胸があるわけではない昴星としては、夜とは言え「全裸でお散歩」は相当なチャレンジだったとは思うのだけど。

「……おにーさんがもし、明日もヒマなら……、もっと、やってみたい……」

 それは性欲の余韻が身体に残るがゆえの無茶な発言だろうと思った。だけど今朝になって、昴星はやっぱりそれをしたがったし、昴星がしたいのならぼくが拒む理由もない。

 そんな次第で、昴星を連れたぼくは流斗の住む街までやって来て、あのトンネル近くの山へ行くバスに乗っているのだ。

 ぼくのカバンにはタオルや昴星の着替えのパンツが入っている。もちろん、充電をきっちりしたカメラも。……昴星のおちんちんやオモラシを撮りためたものはもうかなりの量をもっているのになぜこの上撮影する必要があるのかと言われれば、まあ何だって新鮮なものがいいという発想がまずある。しかしそれ以上に、「撮られる」という行為にたいしての執着心が昴星の中に生まれていることもまた無視出来ないだろう。実際、着替えなどを支度したのは昴星で、ぼくがカバンを持ち上げたときにはもう、中にカメラは入っていたのだ。

 バスはまだ住宅街を走っている。

「おれ、……おにーさんと会えてよかったなって思う」

 最後列から一つ前の二人がけに昴星は座り、斜め後ろの親子連れに聴こえないように声を潜めて言う。

「それは、ぼくだって同じだよ。昴星と会えなかったらこんな幸せな毎日送れてないもの」

 ぼくの言葉に、昴星が腿においたぼくの手に手を乗せる。

「おれだってさ、……きのうみたいなさみしいとき、おにーさんいてくれたから平気だし、……おにーさんに遊んでもらえて、嬉しいし……、それに」

 停車ブザーが鳴った。バスがスピードを緩め、ぼくらの後ろの親子連れが席を立つ。昴星は反射的に手を離し、……二人が前を通過してから、また重ねる。駅を出た直後にはすべての席に一組以上がいた車内だったが、気付けばもうガラガラだ。

「おにーさんがいてくれたから、おれ、それまでよりももっとエロいことできるようになった。おれでさ、おにーさんがエロい気持ちになってくれるって思うと、すげー嬉しいし、……どきどきする。おれのさ、ちっちゃいちんことかで、おにーさん、興奮してくれんの、嬉しい」

 昴星はぼくにもたれ掛かって、……ハーフパンツのウエストゴムを引っ張る。ブリーフのゴムも一緒に。そのままそれをずり下げて、緊張で縮こまったおちんちんをぼくに見せて、恥ずかしさを堪えて笑って見せた。

「昴星……」

「……流だったら、もうおっきくしてんのかな……」

 多分、そうだろう。

「おれには……、おれのできることしかできねーけど、でも、おにーさんがそれでもドキドキしてくれんの、嬉しい……」

 昴星は少しお尻を上げて、太腿まで完全に露出してしまった。

「……ちんこ立った?」

 ……正直、流斗だって走行中のバスの車内でおちんちん出したりはしない。昴星の今していることは、流斗よりも度胸のいることだ。

 しかし、ぼく好みの顔をして、ぼくを喜ばせることを喜びと思ってくれる美少年がこんな風に勇気を振り絞って露出してくれている……、というシチュエーション。興奮するなと言う方が無理な話で、

「……うん」

 ぼくは、素直に小さく頷いた。昴星はぼくのジーンズの前に手を乗せて、「ひひ……、ほんとだ」と微笑み、そのままぼくの太腿へと頭を乗せる。

「昴星、……あの」

 昴星の手は不器用にジーンズのボタンを外しにかかる。……本当にここでするの? 問う代わりに顔を見たぼくにこくと小さく頷いて、ジッパーを下ろす。

 ……確かに昴星一人、バスの車内でおちんちん出しっ放しというのは不公平ではあるけれど。

 ぼくが止められないでいるうちに、昴星はすっかりぼくのペニスをトランクスから取り出してしまった。指がぼくの熱を確かめるように這い回る。正直、それだけでずいぶん気持ちいいし、興奮もする。両の手のひらの中に包まれたとき、ぼくのペニスは何度も脈打ち、より強い快感の希求を訴えて腺液を浮かべていた。

「……ちんこ、していい……? おにーさんのガマン汁、おいしいの、欲しい……」

 もう、頷かない訳には行かないだろう。

 昴星は躊躇いなくぼくの亀頭に吸い付いた。バスが赤信号で止まり、アイドリング音も収まる。ちゅる、という昴星の口の音が車内に響いてしまうことをぼくは恐れたし、多分昴星も察したのだろう。昴星はぼくの亀頭を口の中に収めたまま、舌だけ動かして音を塞いだ。

 ただ、それだってこのシチュエーションにおいては十分過ぎるぐらいに気持ちいい。味に対して貪欲な昴星の舌は、恐るべき器用さでぼくの亀頭を這い回る。

 バスが再び走り出した。昴星は安心したように、安定感のある動きで頭を上下に動かし始めた。目的の停留所まで、あと二つ。それまでにぼくにピリオドを打たせるつもりだ。

 ……この分なら、もう「二つ」もいらない。

「おいし……、おにーさんのちんこ、すっげーおいしぃ……」

 徐々に昴星はいつも浴室や布団の上で見せる淫らで積極的な本来の姿を覗かせ始めていた。音を盛大に立てて、ぼくを追い立てていく。停留所案内のアナウンス、走行音、重なっている中でもぼくに緊張を催させるが、それ以上にしていることへの興奮が上回る。

 それを全て覗くように、昴星は頭の動き舌の動き、一気にヒートアップさせる。口全体を自分の肛門のように扱い、一杯に頬張っている中で更に頬を窄ませて吸い上げ、且つ舌を小刻みに動かして。

「……っく……」

 ぼくを射精させた。

「ん……ふ……」

 昴星はしばらくそのままぼくを口に含んだままでいた。精液を零さないように、一度こくんと喉を鳴らしてから改めて吸い上げて、顔を上げたときぼくの性器を濡らすのはほとんど昴星の唾液だけだった。

 ぼくは急速に戻る理性と知性で脳を回転させて、「そのまま、ズボン上げて、膝枕」と囁く。

「え……?」

「バスに酔っちゃった振りして。降りるときはぼくが抱っこしていくから」

 昴星は「ん」と頷きぼくに頭を委ねながらハーフパンツを上げる。そのときチラリと見えたおちんちんは、……夕べの「お散歩」のときにはずっと小さいままだったのに、キュッと硬くなって上を向いていた。

 

 

 

 

 バスを降りるときには特に怪しがられることもなかった。抱っこしながら財布を出そうとするのは至難の技で、親切な若い運転手さんは「ゆっくりでいいですよ」なんて優しい言葉さえかけてくれたほどだった。

 バスが見えなくなるなり、

「ひひ」

 と昴星は笑った。「おにーさんに抱っこされちった。……でもおれ、重くない? 大丈夫?」

 まあ、そりゃ流斗に比べれば二周りほどずっしり感はあるけれど。

「大丈夫だよ。……このまま茂みの中まで運んで行こうか?」

 ぎゅっと昴星は腕に力をこめてぼくに抱き着く。これはそのまま、幸せの重さなのだと思う。

「おにーさんのせーし、すっげー濃かった」

 ぼくの耳元に昴星は囁く。

「昨日の夜は二回しか出してないからね……。でもやっぱり……、状況で結構興奮してたと思う」

「ひひ。あんなさ、バスの中でしちゃいけないんだぞ」

 してくれたのは昴星じゃないか。

「でも、おいしかったし、勇気出た」

 上り坂を苦労して登り切り、林の中に昴星を下ろした。

「勇気?」

「うん。おれさっき、おにーさんに勇気もらったんだと思ってる。……これまでだったらあんな風に外でちんこ出すとか思いつかなかったし、それに……」

「出したとしても、おちんちんは小さいままだったよね? 夕べみたいに」

 昴星は照れ臭そうにこくんと頷き、いつか流斗が脱いで見せてくれた木の前で、ハーフパンツを下ろした。昨日から穿いたままの白ブリーフの前部には薄い黄ばみがだらしなく広がり、その中央の尖りの先には真新しいシミがぽつりと付いている。

 カバンの中、一番上に乗せられたカメラを構えると嬉しそうに笑ってピースサインを送り、一枚撮らせる。すぐにブリーフの窓からおちんちんを取り出して見せるが、相変わらずそこは元気いっぱいに快感を欲しがっている。

「どうだ、すげーだろ。もう外でもこんなびんびんだよ」

 昴星は得意げである。少年が「超えたい」と願った壁を自分の力で乗り越えたのだ。……確かにまあ、ぼくもお尻を支えるぐらいのことはしたけれど、やっぱり一番必要だったのは少年自身の度胸であると言えそうだ。

「本当だね。おちんちん濡らすほど興奮してるんだ?」

 ひひ、と笑って昴星は頷く。

「……あのさ、昴星? 夕べ、『女の子に見せる』って言ったとき、すごく興奮してたよね?」

「んー……、そうだっけ?」

 昴星はそんな風にとぼけて見せる。けれどじっと見つめると、やがて小さく頷いた。

「……ほんとは……、ほんとはさ、こんなふうにちんこ見せんの、おにーさんとか才斗とかじゃなきゃやだけど、……でも、おにーさんにああ言われたとき、……ドキドキした」

「温泉でも由利香に見られたの、本当は嬉しかった?」

「んっと……、嬉しいのかどうかは、わかんねーけどー……、……でも……」

 昴星の言葉はいつもの歯切れのよさを失っている。ぼくはゆったりと続きを待った。

「……あんときの、こととかさ、あと、……こないだのスカイプのときのこととか、思い出して、……あと、おれのちんこ、流みてーにさ、女子に見られるのとか、考えて、ちんこ、硬くなるし、……それでいじって射精すること、あるよ……」

 ……ということは、やはり本質的に露出嗜好があるということだ。

 この子の中にあるのは、単に流斗への嫉妬心ばかりではないのかもしれない。むしろそれは「憧れ」とでも言うべきもの。

 流みてーに度胸があったら、おれ、もっと気持ちよくなれるかも……。

 そういう考えは、才斗が以前くれた「取扱説明書」の中身とも合致する。さすがに「恋人」と言うわけだ。

「でも、……昴星はクラスの女の子に自分のおちんちん見せられる? 見せて、そのときは気持ちよくなれるかもしれないけど、それからずっと学校で顔合わせられる?」

 昴星は力なく首を振った。今でも学校でのオモラシを愉しむ流斗とは、本質が違う。

「だって、オモラシすんの好きとか、お尻、おにーさんや才斗のちんこでされんの好きとか知られたら、やっぱやだよ……」

 まあ、そりゃそうだよね。

 でも……、とぼくは考えるのだ。

「例えば何かのきっかけで……、そうだな、プールの授業で水着が脱げておちんちん見られちゃった……、っていうのなら?」

「え……?」

「何もオモラシまでばらしちゃう必要はないよね。何かのアクシデントでさ、昴星は見せたくないのに、おちんちんを見せることになっちゃうような状況なら、あくまでそれは事故だ。昴星は被害者で、でもおちんちんを女の子に見てもらうことは出来るよね?」

「あ……」

 昴星が以前、才斗が通う水泳教室でのエピソードを聴かせてくれたことがある。それをぼくは思い出したのだ。

 容姿端麗で水泳も上手い才斗は他の少年の嫉妬を受け、水着のゴムを切られるという悪戯の被害にあった。昴星はその逆襲のためだけに才斗の水泳教室に入り、加害少年たちの水着のゴムを切って回り、彼らを同じ目に遭わせた、という二人の絆を端的に示すエピソードだ。

「で、でも……、もうプールの授業なんて終わっちゃったし」

「そうだね。……市営の温水プールなら?」

 可能性の話だ。しかしこれは、実現可能な近い将来の話だ。

 ただ昴星はその「将来」を思って、上を向かせたおちんちんをピクピクさせている。

「……いざ女の子たちに見てもらえる状況になっても昴星が怖気付いちゃったら仕方ないよね。今日はそのときのための訓練ってことにしよう。……ここですっぽんぽんになれる?」

 昴星は、ためらいがちに頷いた。きょろきょろと辺りを見回す。

 昼間だ。林の中とはいえ、普段の「秘密基地」の茂みよりもずっと樹々は疎らで、斜面の下を走る車の音も聴こえてくる。

 しかし昴星は頬を赤らめたまま、ブリーフを足から抜き、それから一気にセーターをシャツごと脱ぎ捨てた。

「また、……フルチン、なっちゃった……、外で……」

「こんなに明るいのにね。でもおちんちんは勃起したままだ」

 むしろ勢い付いた印象さえある。

 ぼくは昴星に歩み寄り、背中を丸めてキスをした。甘い口の中は、いつもよりも熱くなっている。

「……昴星の裸って、すごい魅力的だよ。昴星自身が思ってるよりも何倍もね。だからぼくは昴星の裸見るの、すごく好き」

 昼の屋外という状況が昴星の心に火を付け、一つのキスが理性をとろかせる。昴星は唾液に濡れた目でぼくを見上げていたが、ぼくがカメラを向けると、

「すげー……、超ドキドキしてきた……」

 正負の記号の反転して、いっそ挑発的でさえある笑みを浮かべて右手でピースサインを作る。

「おにーさん、おれのちんこ見んの好き?」

「大好き。昴星のおちんちん、本当に可愛いよ」

 微笑みは嬉しさと幸福感に満ちていて、見ているこちらまで笑顔になってしまうようなものだ。ぼくが撮影をビデオに切り替えるなり、

「ねー、おにーさん、おれオシッコしたい」

 待ち構えていたように昴星は求めた。

「ガマンしてた?」

「うん。だってさ、おにーさんおれのオシッコすんの好きじゃん。ぜってーここですんだろうなって思ってたから、もう漏れそう」

 昨日の夜も、城址公園の展望台で高らかに放尿を披露して見せてくれた。露出という行為にどれほど興奮しようとも、緊張感だって催して当然で、昴星の場合それが直接尿意に繋がったっておかしくはない。

「いいよ。じゃあいっぱい出すところ見せて」

「うん、……ひひひ」

 腰を、おちんちんを突き出すように反らして、斜め上を向いたそれの先っぽからポタポタと垂れ始めたと思った次の瞬間には、じとじとと足元の枯葉を濡らしながら高い放物線が冬の林の中に掛かる。

「ひひっ、外で……、フルチンでオシッコしてんのっ……」

 ぼくはオシッコが引っかからないように斜めから昴星の放尿を撮影していた。鮮やかな金色の尿を迸らせつつ、昴星はぼくに向けて笑って見せる。いっそ可憐と言っていいぐらい愛らしい顔立ちでいながら、屋外での全裸放尿を見せびらかしてくれる昴星を見ていれば、バスの中での射精などもう過去のこと。ぼくのペニスは下着の中で再び苦しく熱を帯び始める。

「すごいね、本当にいっぱい出てる」

「んひひ、だっておれのちんこ、オシッコいっぱい出せるもん」

「そうだね。オシッコの量なら昴星は流斗以上だ」

 オネショのときもオモラシのときも、作るシミの大きさは比べ物にならない。

「すげー、湯気フワフワしてる、おれのオシッコの湯気……」

 長く続いた放尿がようやく勢いを失い始めた。昴星はそこで不意に、ピタリとオシッコを止めた。

「おにーさんタオル持ってる?」

 それは、「水遊び」をするのだから、もちろん。

何をするのかと思っていたら、昴星はオシッコを止めたまま……、といってもちょろ、ちょろろと少しずつ漏らしながらしゃがみ込み、自分のお腹に添わせるようにおちんちんに指を当てて支えると、

「ん……、ひひ……」

自分の身体に向けて放尿を再開した。

「オシッコ……、やっぱすげーあったけー……」

 自分の身体を濡らす体液の温度に昴星は心地よさげに表情を綻ばせる。昴星特有の強い匂いの黄金水によって、その身体をますます甘美で芳醇なものへと仕立てていく……。

「お口の中もオシッコの味に出来る?」

「ん……」

 昴星は枯葉の上にお尻を落とし、開いた口に向けて放水を続ける。この季節でも艶やかな唇で自分のオシッコを吸い飲むこと三口、ようやく全て出し切って、柔らかな自分の身体にオシッコを塗りつけるように手のひらを這わせた。

「美味しそうな身体になったね」

 昴星はお尻をはたいて立ち上がり、

「美味しいそうなんじゃなくて、美味しいよ、おにーさんにはすっげー美味しいよ」

 と「次」をねだる。

 再び歩み寄りキスをする。

 強烈な臭いのオシッコによって、昴星の口中は強い塩辛さとほんの微かなほろ苦さ、そしてそれでもどこか甘さを保ってぼくの舌を喜ばせる。

「おにーさん、身体も……」

 求められるままにおっぱいを吸い、舐め、膝をつき、お腹も丹念に舐める。そして聖水を噴き出させた愛おしい性器に顔を近付け……、る前に、カメラで執拗と思えるほどに撮影する。近距離から。

「本当に……、本当に可愛いよね、昴星のおちんちん」

 こんなこと、しみじみ言うなよとは自分でも思っている。だけど、でも、どうしようもない。本当に可愛くって可愛くって仕方がないんだから。

「皮剥いて見せて」

「ん……、あんまいかないけど」

 摘まんで、手前にそっと引く。……諭良ほどではないにせよ余った皮から、濡れたピンク色という可愛らしさとは裏腹にきつい臭いを放つ亀頭がやっと顔を覗かせる。尿道口はもちろん潤んでいた。

「……これでいい?」

「うん……、すごい匂い……、美味しそうだ」

 ぼくはカメラを昴星の顔に向けて(だって自分が欲望のままに少年のおちんちんにしゃぶりついてるとこなんて見たら死にたくなるに決まってる!)一思いに口に含んだ。

「ふあ……っ、おにーさん……っ」

 ジュワッと、口の中に甘い潮の味が広がる。それは亀頭をはじめとする昴星の皮の中に逆流したオシッコの味、……いつからぼくの舌はこの味を「美味しい」と思うようになったんだろう……。

「んぅン……っ、ちんこ……、ちんこにゅるにゅるすんのっ……、きもちぃ……っ」

 にゅるにゅる。過敏な亀頭を舐めまわしたら昴星はすぐにでもいってしまいそうだから、皮を被せてその上から外側を存分に愛撫しているのだが、昴星に穏やかな心地よさを味わわせることに成功しているようだ。陰茎から一旦口を外し、ふっくらとしたタマタマを頬張るぼくを、昴星はぼんやり潤んだ目で見下ろしている。こちらは味はほとんどしないが、おちんちんとは異なる舌触りが可愛らしいし、間近に昴星のそれが上を向いている様子を目に焼き付けることが出来る。

「ほんとに……、ほんとに可愛いよ、昴星は……」

「ほんと、に……?」

 うん、心からぼくは頷く。

 昴星は嬉しそうに微笑み、同時に眉間にシワを寄せた。

「ちんこ、もう限界……、射精したいよ」

 求めに応じて、再び茎を咥える。舌先を皮の隙間にねじ込んだら、明らかにオシッコとは異なるしょっぱい粘液が滲み出ていた。

「んぅっ、ちんこっ、ちんこきもちぃっ、いっ、……っ、いくっ、おにーさんっいっちゃうよっ」

 口の中で昴星のおちんちんが、小さいなりにもう一回り大きくなったように感じる。射精するのだ。

「んぁっいくっいくっ、ちんこいくっちんこっ、ちんこっ、ちんこいくぅっ、ちんこぉっ……」

 びゅるっ、という音を舌への振動でぼくは感じる。恥ずかしい言葉を連呼しながら青い味の精液でぼくの口を満たし、昴星はぼくで幸せになったことを教えた。

 美味しい、本当に……、こんなに美味しくってどうするのだと思うぐらいに。

「んはぁあ……」

 しかしもったりと重たい精液を十分に味わうことを、喉が許さなかった。欲しがるままに飲み込んで口を外すと、昴星はずるずるぺたんと足を広げて枯葉の上に座ってしまう。

「はぁ……、ちんこ……、すっげぇ、きもちよかった……」

 涙目でぼくを見上げて、「おにーさん、おれのちんこすんの上手すぎだよぉ……」ちょっと恨めしいように言う。ぼくも膝をついて、

「可愛かった。本当に美味しかった。ありがとう」

 キスをする。昴星は自分自身のオシッコと精液を飲んだぼくの口でも嫌がらず舌を絡め、ゆっくりと呼吸を落ち着かせていく。

「おれ、おにーさんにちんこしゃぶってもらうの好き……」

「ぼくも昴星のおちんちんしゃぶるの好きだよ」

「うん……、おれもね、おにーさんのちんこしゃぶんの好き」

 徐々に萎み、大きさはほとんど変えないまま下を向いたおちんちんもまた愛らしい。ティッシュを取り出して拭き、

「立てる?」

 と訊けば、ひょいと立ち上がる。一緒におちんちんもプルンと揺れるのが愛らしい。ぼくは男の子のそこが揺れるところを見るのがとても好きだ。

「……昴星、おちんちん揺らして見せてくれる?」

「ん? ちんこ?」

 昴星は首を傾げて訝るが、ぼくのカメラに向けて腰を左右に動かして見せる。

「おにーさん、これ好きなの?」

 短いおちんちんをプルプルとさせながら、昴星は不思議そうに訊く。ぼくは恥ずかしながら素直に認める。

「男の子のその場所の可愛らしさが詰まってるように思うんだ」

「ふーん……。変なの。……でもおもしれーな、ちんこプルプルしてんの。……ふりちん」

 いひひ、と笑って、力感のないおちんちんの揺らめきを、左右から上下へと変えるために今度はその場でジャンプして見せる。ごくわずかだが、ぴとっ、ぴとっ、とおちんちんが肌に当たる湿っぽい音が立った。

「ありがとう。いまのも可愛かったよ」

「どーいたしまして。おにーさん嬉しいならよかった」

 にひひ、笑って、

「なー、見せたからごほうび」

 膝を落ち葉の上につく。そのポーズだけで求められていることはわかるけど、

「何が欲しいの?」

 わざわざぼくは問う。昴星はぼくのベルトを外しつつ、

「ちんこ。さっきはさー、バスん中で遠慮しながらだったけどさ、今度は思いっきりできるじゃん?」

 言う。……バスの中とオープンエアと、はたしてどちらが安心出来るシチュエーションかどうかは定かじゃない。だけどぼくとしても、昴星がしてくれるフェラチオを受けるなら、やっぱりレギュラーな形がいいなとも思うので。

 跪いた昴星の身体が冷たい風にさらされるたび、ほんのりと乾いたオシッコの臭いがぼくの鼻にまで届く。

「ひひー、おにーさん二回目なのに超勃起してんの、すげーいいにおい」

 ぼくの腰の高さに少年の頭がある、このアングル。すっかりおなじみとなっているが、少年たちの相貌の愛らしさが一番よくわかるの、これだよねってぼくは思っている。決して綺麗な印象ではない自分のペニスが伴ってそこにあるがゆえに、少年の顔の魅力を引き立てているのだ。

 ぼくがそんなことを考えている一方で、

「やっぱ大人のちんこってすっげーよなー……」

 昴星はしみじみと、全く別のあるいは逆のことを考えているらしい。

「皮こんなふうに剥けててさ、ほら、こんなとこ」

 とぼくの亀頭の裏側、括れに指を当てて、

「ほんとにおれのちんこも同んなじにさ、ここんとこ出せるようになんのかなって思うんだよな……、裏の筋んとこもさ、こう、勃起してピンとしてんのかっけーし」

 指先が興味に基づいてぼくのペニスを這い回る。尿道の膨らみをつうと下がって、

「金玉もさー、……金玉はおれも大きい方だと思うけど、やっぱおにーさんのほうが全然でけーし。……こっちはあんま毛ぇ生えてない」

「……袋に生えてる人もいるよ。それは個人差だと思う」

 昴星は一度自分の足の間に視線を落とす。タマタマを引っ張って「そっか。じゃーおれは生えんのかなー……」としばし観察する。

 ショタコンとしては、「つるつるのおちんちんが可愛い」という気持ちがもちろんある。それこそ、昴星や流斗の年齢特有の、形は子供のそれでありながら大人びた機能を持っているという状態が、はっきり言って一番好ましい。

 けれどぼくは最近、そのままで居て欲しいとはあまり思わなくなっている。あと一年か二年もすれば、昴星だって変声期を迎え、より男らしい身体つきになるだろう。

 だけどぼくはもう、昴星が「子供だから」いとおしいのではない。昴星が昴星で居てくれる限り、きっと永遠にぼくのセックスシンボルのままだろう。そう信じられるようになっている。

「昴星、……あの、そろそろいい?」

 根元の毛に指を潜らせて弄んでいた昴星は「おお」と思い出したように笑った。

「そうだよなーちんこめっちゃピクピクしてるし。……おれでいきたい?」

 意地悪を言う、けれど心根の優しさがその微笑みから滲み出ている。だからそれは、ぼくから素直な言葉をスムーズに導き出すためのもの。

「はい、いきたいです」

「ひひ……、いいよ。さっきとおんなじくらい濃いのいっぱい出してくれよなー」

 昴星たちが相手なら、尽きることもない。……あの温泉から帰ってきた夜はさすがにすぐ寝て、翌朝は腰のあたりが疼くように痛んだけど。

「いただきまーす」

 はむ、と、ホットドッグにかぶりつくように大きく口を開けて咥えこむ。ソーセージよろしく歯を立てられてはたまらないけど、その辺はもちろん心得ていて、

「んふー……」

 深々と咥えたまま見上げて、笑って見せる。

「美味しそうにしてくれるよね、いつも……」

「んふ……、おいひぃお」

 そして昴星にとっては自分の口の中で相手のペニスが強張るのが嬉しいのだろう。昴星にとって嬉しくてぼくにとって気持ちいいなら、ぼくらがこの行為に傾倒しない理由なんてどこを探したって一つもないはずだ。

 昴星は一旦口から抜いて、

「おにーさんさ、ちんこの筋んとこされんの好きだろ」

 その場所にキスをしてくれて、言った。

「そうだね。……わかる?」

「うん。ここするとピクッてなるからさ。……おれがさ、剥けるようになったらおれのここもいっぱいして欲しいな」

 もちろん、そうする。昴星の成長しても多分あまり大きくならないであろうおちんちんが、今と同じようにぼくの口の中で幸せになる……、その未来は変わらず満ち足りているはずだ。

「金玉もー……、んひひ、ふにふにしてる。でもやっぱこっちはあんま味しねーや。おれの、美味しい?」

「うん。オモラシの後とか特にね」

「そういや昨日からまだオモラシしてないね。今朝はオネショもしてねーし。あとでしていい? するとこ見たい?」

 もちろん、と頷くと、また嬉しそうに「ひひ」と微笑んだ。

「おにーさん、おれがオモラシするって言ったらまたちんこピクってなったね……。んっとにヘンタイだなー……」

 その「ヘンタイ」の権化たる男根の先にいとおしげなキスをくれて、反応を愉しむ。そういう子とこういう時間を過ごさせてもらえる時間が続く……。幸福という神経は不思議と麻痺しないのだ。

「ん……、おにーさんのちんこ好き」

 そう甘く囁いて、再び口の中にぼくを収める。ゆっくりと頭を動かしながら、口の中では舌を裏筋に巡らせ、指先で陰嚢を甘く弄ぶ。うっとりと目を細めてまたぼくを見上げて、喜びを幸せを二人分以上のものへと変えていく……。

「ん……、んっ、んっ」

 徐々に頭のスピードが上がって行く。舌はやや器用さを失うが、それでも往復のたびに面でぼくの茎を刺激するのだからたまらない快楽をぼくへ与える。そしてぼくの性器はただ施されるばかりではなく、昴星の大好きな潮の味を少しずつもたらすし、間も無く彼の一番好きな粘液を零す。

「いくよ」

 ぼくが告げると、「んん」と鼻を鳴らし、頭の速度はそのままに少し吸い上げる。何とも柔らかく甘ったるい感触の頬肉でぼくを絞るように圧迫して、

「んん……ン、ん……、ん……、ぷぁ」

 口を外し、顔を上げる。開けられた口の中にはまだぼくの出したものがたっぷりあって、口を閉じたあとは飴玉を転がすように舌を動かし、本当に幸せそうな顔でいる。……こく、と飲み込んで、

「んはぁあ……、やっぱすっげー美味しい! 超味わって飲んだよ」

 きらめくような笑顔をぼくに見せる。

「なんでかなー、せーしほんとに美味しいし、おにーさんのちんこおれほんと好き。おれに美味しいもんいっぱいくれるしさ、あとにおいも好きだしさ、……お尻に入んのも、超好き」

 ぼくの腰に腕を回して、まだ余韻の震えを催すぼくにちゅっちゅと音を立てて愛しさを込めたようなキスをくれる。ぼくと昴星の幸福を重ねて、この先一体どこまで行けるだろう?

 どこまでだって行けてしまう気がする。

「ひひ、また勃起しちゃった。おにーさんまたしゃぶってくれる?」

 自分のものをとりあえず拭いて、

「それでもいいけど、……昴星はオモラシしたいんじゃなかったっけ?」

 と訊く。

「あ、そうか……」

 思い出したように立ち上がり、さっき脱いだブリーフを引っ張り出す。

「どうしよ。ちんこおっきいままだとオシッコしづらいかな、ちょっとうんこもしたいし、一緒に出てきちゃったらパンツあげらんなくなっちゃうし……。小さくするのちょっと時間かかるけどいい?」

「もちろん。……少し休憩しようか? オシッコもさっきしたばっかりだからすぐには出ないでしょ」

 乾いた枯葉の上に座ったぼくのあぐらに招くと、嬉しそうに収まる。「寒くない?」と訊くと、

「全然。でもおにーさんがぎゅーってしてくれたらあったかいかもなー」

 なんて言う。オシッコの臭いをまとった柔らかくいとおしい身体を、リクエストのままにぼくは抱きすくめた。

 昴星は口を手の甲で拭いて、

「キス、していい……?」

 遠慮がちに訊く。ぼくは答えるより先に昴星の唇に唇を重ねる。躊躇いは不要だ。

「ひひ……、恋人みてーだな」

「そうだね、えっちなことして、こんなふうにキスして」

「おにーさんがさ、こういうことの相手してくれるから、おれ、さみしいときなくなったよ」

 ぴったりとぼくの頬に頬を当てて昴星は言う。

「昔はさ、才斗がいまみたいに元気ないと、おれもつまんなくて、さみしかったけどさ。でも、おれが元気じゃなくなっちゃうとあいつのこと元気にしてやれなくなっちゃうからさ。だから、……才斗いんのにこんなことの相手さすのおにーさんには悪いなって思うけど、でもありがとうって思うし、おれおにーさんのことも大好きだから、お礼に出来ること何でもしたいって思うんだ。おにーさんの嬉しいこと、いっぱいさ」

 ぼくたちはもう一度キスをした。マゾヒズムが目覚めていないときにはいつも強気でいる昴星でも、キスのときには純情そうに目を閉じる。こういうところはエロス抜きに可愛すぎる。それでいて、

「オシッコ、そろそろ出るかも」

 瞼を開けるなり挑発的な表情でそう言う。

 愛してあげたい、幸せにしてあげたい、……いじめてあげたい。いろんな欲を、ぼくは昴星に向けて持っていた。

「じゃあさ、……昴星。もちろん撮らせてくれるよね?」

「ん? うん。だって半分はおにーさんに見せるためにすんだし」

 残り半分はもちろん昴星自身の快楽のため。

 でも、

「撮ったの、ハルカちゃんだっけ、あの子たちに見せてあげるの、どう?」

 ぴく、と昴星が顔を上げる。

「見せ……、見せるって……?」

「この間、スカイプで彼女たちに見せてあげたみたいに。……でもあのときは顔は映さなかったし、声も入らないようにしてた。才斗にも協力してもらって、昴星じゃないって信じさせたよね。だから今日のオモラシは、本当に昴星自身がするオモラシってことにするんだ。……見てもらいたいんじゃなかったっけ……?」

「そ、そう、だけどっ……、もしおれたちの学校にバレちゃったら……」

 学校に行けなくなる、それはそうだ。

「でも、本当のところそれが昴星の一番求めてるとこじゃないのかな」

 昴星は口ごもる。

 ぼくが本当に彼女たちにこれから撮る動画を見せてしまうと思っているのかもしれない。ぼくにとってもリスクが大きいしそもそも先日トイレで失禁排便射精を披露した少年とスカイプに出演した少年がいずれも「鮒原昴星」であることもバレてしまう。

 ……いや、もし昴星が本当にそれを望むのなら、ぼくだって危険を侵してでも協力することはやぶさかではない。

「こういうの、どうかな。……あの子たちに同い年の男の子のおちんちんやオモラシ見せてあげたいって言われた流斗に頼まれて仕方なく……、って。自分で自分のを撮ってみるんだ。そうだな、まずはパンツ撮って、それから……、昴星が出来ると思うならオモラシやおちんちんも撮ったらいいよ。その辺りは昴星が自分で決めて」

 カバンを引っ張り寄せて、中から普段滅多に使うことのない三脚を取り出す。ぼくは膝から昴星を下ろして組み立てた。

「……あくまで、『流斗にお願いされたから仕方なく』ってことにすればいいよ。流斗にはぼくがちゃんと話しておくからさ」

 ああ、それとも、とぼくは思い出した振りで言葉を加える。

「ここからなら近いから、いまから流斗に頼んであの子たちに来てもらおうか? 直接見てもらった方がきっと昴星も興奮するよね?」

 慌てて、昴星は首をぶんぶんと振った。

「い、いいっ、ていうかやだ! そんならここでしちゃった方がまだいい!」

 ぼくはにっこり微笑んで、

「じゃあ、撮ろうか。ぼくは何も言わないから、そこに立って、ハルカちゃんたちに見せてあげるつもりでさ」

 昴星に促した。

 パンツを穿いた昴星はまだ戸惑うような目をぼくに向けていたが、腰を真っ直ぐに狙うカメラの録画ボタンをぼくが押すと一層緊張を漲らせた顔になって、一度、二度、ぱくぱくと唇を動かして、

「お、おれは……、おれはほんとはこんなの、恥ずかしくてやだけど……」

 モデルとしての撮影を始めた。

「でも、あの、……流が、しろっていうから、特別に、その、……こうやって、おれの……」

 どうやら昴星は本当にぼくの言ったとおり、この動画を彼女たちに見せていいというつもりで撮影に臨んでいるらしい。昴星の顔に浮かぶ恥じらいは明らかに本物だし、ほっぺたは真っ赤に染まっている、大きな目だってずっと落ち着きなく動き回っている。

 はたしてオモラシまで見せるだけの勇気があるかどうか。ぼくは昨日の夜から育った昴星の「勇気」の真価を問うつもりで昴星の姿を興味深く見ていた。

「パンツとか、あと、その、中とか……、おまえらが誰にも見せないって約束すんなら、見せてやる、から……っ、ぜったい、絶対誰にも見せんなよ、絶対だぞ!」

 黄ばみの広がった、白ブリーフ。この動画を視聴する少女たちにとっては「ださい」とされるものかもしれない。近頃の六年生男子は当然のようにボクサーパンツやトランクスを穿いているだろうから。

 それのウエストゴムに指を入れて、躊躇いをかなぐり捨てるための覚悟を溜める数秒を挟んで、……勢いをつけて昴星は膝まで引き摺り下ろした。

「……お、おれの、ちんこ……」

 真っ赤になって披露されたおちんちんは普段以上に縮み上がっている。

「おれのっ、小さいけどっ、……こんなの、一人一人ちげーし、おれのはその、もうちょっとしたらでかくなるんだ、だから……、そのっ……」

 昴星は手を後ろに回して不機嫌な声で言い募る。そうでもしていないと恥ずかしさに負けて前を隠してしまうのだろうという想像は容易だった。

「毛も、まだ、生えねーし、でもっ、こういうのは、中学ぐらいになったらちゃんとでかくなって、大人みてーになってっ、だからこれでおかしくないの!」

 ここまで言ったところで昴星の羞恥心は早くも限界に達したらしい。

「も、もうおしまい! パンツの中見たいなんておまえらヘンタイだ!」308

 ずっとムズムズしていたらしい左手がぎゅっとおちんちんを隠し、右手でブリーフを引き上げる。……オモラシやオシッコはしないのか、とぼくは少し物足りなさを覚える。

 というか、物足りないのはぼくだけじゃないだろう。昴星だって本当はこんなもんじゃ満足出来ない。

 もう一押しあれば、何もかも出来るはずだ。

 ぼくは昴星の手が録画停止ボタンを押すのを許さなかった。画面いっぱいに白ブリーフを大写しにした状態で、

「なっ、なんでっ、もう、もういいっ……もうおしまいっ」

 涙声で言う。ぼくは口を結んだまま、昴星の手からボタンを護る。

 したいんでしょ?

 口を動かしただけ、それでも昴星には伝わる。昴星は半ばパニックになってぶるぶると首を振るけれど、その脆弱な括約筋、そもそもオモラシをする準備は万端整っているという状況である。

「やだっ、オシッコ、もう出るっ、出るっ、漏れちゃうよっ、漏れるっ」

 泣き声をあげてぼくの手を剥がそうとするが、ブリーフの前にポツンと新しいシミが浮かんだのはぼくにも見えた。

「あ、あっ、やだぁ、やだっ、見るなっ、見るなよぉっ、やだぁ……!」

 一度出始めたオシッコは、本人の意志ではどう足掻いたところで止められない。昴星は同い年の少女たちの目にもはっきり判る形で自分のブリーフに濡れ染みを広げて行く。

 それこそ、昴星自身が潜在的に望んでいたとおりに。

「あ、ああ……あー……っ」

 もうブレーキを掛けることさえ忘れ、昴星はその場にへたり込んで枯葉の絨毯を自身のオシッコで濡らして行く。力が抜けてしまって、立ち上がることも出来ない。惚けたような顔で湯気を揺らすばかりだ。

 それでも彼が手を付いて、ガクガクと震えながらピチャピチャと雨を降らせるブリーフを脱ごうと努力する理由もぼくには判っていた。途中から勢いの強まった放尿によって、直腸に圧迫感を覚え始めたのだろう。……もともとここでぼくとセックスするつもりだったに違いないし。

「んっ、んく……っ」

 びしょ濡れのブリーフは脱ぎづらい。昴星は何とか苦労して太腿までブリーフを丸め下ろして、足を広げてしゃがみ込む。ギリギリ間に合ったかと思えたが、膝の上で広がったブリーフの内側、ウエストゴムには茶色い汚れがこびりついていた。

 そしておちんちんは、くっきりと上を向いている。

「やだ……っ、やだぁ、見るなよぉ……っ」

 両眼を濡らしながらも、上を向かせたおちんちんからは勢いこそ弱まったもののまだ放尿が続いている。そしてお尻の下からは非常に品のない音を立てて、自分の作った水たまりの上、焦げ茶色の便の塊を幾つも転がしていく。

 昴星の涙が、取り返しのつかないことをしているという絶望によるものだということは否定しない。

 けれど、……例えばデパートのさ、高級食器の売り場に行ったときのことを考えてみて欲しい。やらないよ、もちろん、絶対やらないんだけども、華奢なガラス細工を思いっきり床に叩きつけたら気持ちいいだろうな……、なんてことを考えたこと、誰しもあるんじゃないのかな。ぼくらは常に社会のしがらみの中で生きてるわけだから。

 昴星だって十二歳の「社会」の中で、色々を隠して生きている。それを解放するときには、他のどの瞬間でも味わうことの出来ない刹那的な快さがあるものなんじゃないか……。

「は……、んっ、う……、う、うっ……」

 学校ではオモラシなんてしないし、オネショが治らないことだって内緒だ。それは社会での死を意味することを、昴星が十全に理解しているから。だからこの子は流斗のように、その「死」さえ恐れずに我が道を征く力強さを持てないでいる。

 けれど、いまの昴星は流斗同様、もう捨てるものはない。

 昴星自身がそれを自覚するかどうかは判らない。けれど、

「あ……あ……っ」

 確かなのは、昴星が自分の上を向いたおちんちん、やっと放尿を終えたそれを指で摘まんで、くちゅくちゅと音を立てながら動かし始めたということ。

「んはぁっ、あんっ、ちんこぉっ、ちんこっ……おれのっおれのちんこ見られてっ、ちんこ……うんこもぉ!」

 自らお尻を後ろにずらして、宮田ハルカをはじめとする女子の視線に媚を含んだ目を向ける。ぞくぞくと震えながら、自分のお尻で産み出した悪臭を放つ物体の山に包茎の先端を差し出し、

「いくっ、いくっいくっせーしっ、せーし出るっでる! でる! いくうぅ!」

 飛沫を上げて、自分のうんちの山に精液をぶちまける。汚れた下着が絡んだ足、力の抜けた下半身はそのまま崩れ、昴星は尻餅を付き、上を向かせたおちんちんを濡らしたまま、

「ちんこ……、ちんこ、……ちんこ、おれのぉ……」

 強過ぎる余韻にひくひく震えながら、呆然とカメラを見上げている。

 濡れた頬には蕩けたような微笑みさえ浮かんでいた。

 一分以上、そうしていただろうか。昴星のまだ興奮の収まらないおちんちんの先から、綺麗に透き通ったせせらぎが噴き上がった。

「あはぁあ……、あ、はっ……、お、シッコ、も、うんこも……、せーしもっ……、おれのぜんぶ、みられひゃったぁ……」

 イノセント。どこまでも喜悦に浸って昴星は笑う。二回分のオシッコの染み込んだ身体は、それそのものがマゾヒストに相応しい。……昴星を可愛がっている最中にほかの子のことを考えてしまうのはいけない気がするけれど、「マゾヒスト」の度合いで言えば諭良よりも上かもしれない。流斗にしろ諭良にしろ積極的なマゾヒストであり、一方で昴星は消極的、露出するにしても見られることを恐れている。しかしそっちの方がよりはっきりとした羞恥心を持つ分、本物っぽい気がする。見られることでの羞恥心が強ければ強いほど、マゾヒズムへの刺激もより強いものとなる。

 ぼくはカメラを三脚から外し、オシッコとうんちに汚れた下着をまだ膝に引っ掛けたままの昴星の前に立って「ご褒美」をあげることにした。極端なくらいに淫らに狂い咲いて見せてくれた少年がぼくにどれほど美しく映ったか、教えてあげるためにはそうするのが一番いいと思って。

「あ……、あ……、おにーさん、ちんこ……、おれで、ちんこしてる……」

 とろんとした目で見上げる少年に、ぼくは告げる。

「見てもらおうね、いまの、全部」

「ぜんぶ……」

「うん。おちんちんもオモラシもうんちもオナニーも全部」

「おれの……、ぜんぶ……」

 昴星のおちんちんはピクピクしている。「嬉しいでしょ? ほら、もっと見せていいんだよ? まだ収まらないよね? 昴星のちっちゃいオモラシおちんちん」

「ん、おれぇ……っ」

 美しく汚れた身体を自らより貶めて行くことを選ぶ昴星を見ながら、画角の外にある自分のペニスを思い切り扱いて、昴星の顔に身体に、精液をぶちまける。

 君が可愛いからこうなる。

「みんな、昴星のみっともない姿見て、きっとすごく喜ぶと思うよ」

「んっ、んっ、おれのっ……おれのっ……!」

 顔に纏った精液を指で集めて舐る昴星の右手は止まらない。ぼくが息を整えながら回すカメラは一先ず昴星の痴態を全面的に収めるものにはなる。けれどその先どうするか。

 それは後で決めれば良いことである。というか、二人で決めればいいことだ。

「んくぅっ……!」

 昴星がこのターン――という言い方をしていいだろう――二回目の射精をした。

「あは……はふぁ……」

 眠気さえ催したような目でぼくを見上げて微笑んだ昴星をしっかりと撮ってから、一旦カメラを止める。清潔なタオルをカバンから取り出して、せっかくいい匂いのところ残念ではあるけれど、水筒のお湯を染み込ませて、顔を、身体を拭いて清める。おちんちんや内腿もこのタオルで十分、ただお尻はティッシュで拭かなくては。パンツも、うんち付けちゃってるから枝に引っ掛けて、少し乾くのを待ってからジッパー付き袋。新しい下着はちゃんと持ってきている。

 ぼくに身体を拭かれている間、昴星は寝ているのか起きているのか判らないようにぼうっとしていたけれど、

「おにーさん……」

 お尻の穴を拭く段になって、ようやく我に返ったようだ。心細そうな顔で、

「ほんとに……、あいつらに、見せちゃう、の?」

 今更のように、ぼくに訊いた。一旦火が消えた心と身体。風邪をひかせてはいけないという当然の義務感が湧き上がる。

「昴星は、見せて欲しい?」

 泣きそうに唇を尖らせて首を振った。

「……ぼくが昴星の嫌がることなんて出来ると思う?」

 オシッコの匂いの薄らいだ頬に、もう涙が伝わないようにとぼくは口付けた。……はたしてここで、昴星がなけなしの勇気を振り絞って「いいよ」と頷いていたとして、ぼくが先ほどの動画を流斗経由で彼女たちに見せることはないだろう。

 だって昴星以上に、ぼくにだって勇気がない。

「ちょっと物足りないかもしれないけど……、ぼくは昴星が幸せになるために出来ることは何でもする。例えば君が恋人と上手に過ごせない時間を埋めてあげたり、君のことを気持ちよくしてあげたりね。でも、それ以上はぼくには出来ない。ぼくもぼくの立場で昴星のこと、大好きだからね」

 赤鉄のようにどろどろに融けていた理性が冷えてぎこちなく固まる。適度な温度にまで温めて、もとの形に戻してあげるのもまたぼくのしなければならないこと。そこまでやって「責任」だ。

「ん……、おにーさん……」

 両手でぼくに抱きついて、昴星がキスを強請る。

「おにーさん、優しいな。……ほんとに、優しいな」

「そう? ……どうだろうね、ぼくは昴星が優しくすればした分だけもっと優しくしてくれるって知ってるからそうするのかもしれないよ」

 やっと、少し笑った。

「それでもいいよ。おれ、おにーさん優しいから好きだ。流もそうだと思うし……、ほら、温泉のときの由利香も、おにーさんがただヘンタイなだけじゃなくって優しいから、あんな風にさ、おにーさんとして嬉しそうだった」

 拭いたけど、それでもまだ、昴星の身体からはぼくの大好きな匂いがする。

「……ほんとはさ、ちょびっとだけ、もう、見られちゃってもいいかなって……、思ったけど、でも」

「そうしたら、学校行けなくなっちゃうよね?」

「うん……。だから、きっとこれでいいんだ。おれの恥ずかしいとこ見て、おにーさんが嬉しいって思ってくれるだけでさ」

 膝の上に乗せて、ぼくのコートを背中にかける。そしてまた、何度もキスをする。

「でも……、さっきの、作戦」

「作戦?」

「ほら、プールでって、言ってたやつ。……あれ、だったら、……わかんねーけど……」

 イメージするのだろう。どうなってしまうのか。少年なりの理性で、きっとぼくより広く働く想像力を動員して。

 結論は後回しでいい。

「しばらくは昴星、今日撮ったのや、その日のことを考えるだけでオナニー出来るんじゃない?」

 ぼくが言うと、むぅと唇を尖らせるが、

「おにーさんは意地悪だなあ」

 と言いながらも、ぎゅっと首に抱き着く。

「でも、意地悪でもいいよ。おにーさん楽しいならそれでいいよ」

 それから昴星は、ぼくが脱がせた下着の入った袋に目をやって、

「……ごめんな、うんこ、つけちゃった……」

 恥ずかしそうに、それ以上に申し訳なさそうに謝る。まあ、それはしょうがない。ぼくは流斗の、ほんの少しだけこびりつかせたものを一枚持ってはいるけれど、やっぱり衛生的にはオシッコだけが付いているものに比べては汚いと言わざるを得ないし、あれは処分することになるだろう。

「まあ、いいさ。……帰りは替えのパンツ穿いて帰ろうね」

「ん……」

 昴星はこくんと頷いて、「……でも、おれ、またオシッコしたくなってきた」とぼくの耳元で囁く。

 オシッコだったらその辺でしちゃえばいい。ぼくがそう答えかけても、昴星は「ひひ」と笑って、

「おれ、オシッコためるとこ、なんていうんだっけ」

「……膀胱?」

「うん、ボーコー、人よりちっちゃいのかな。ちょっとたくさん水飲んだあとって、ほんとにオシッコ止まんなくなっちゃうんだ。でもって、いまおにーさんと一緒でエロいことしたばっかだし、まだフルチンだから、またエロいことしたくなっちゃってる。いっぱいキスしてくれたし……」

 見下ろした足の間、まだおちんちんは大人しいままなのだが、性欲は尽きることなくその胸の中でぐらぐらと煮え立っているらしい。

「帰り……、ノーパンでいいから、もっかい、オモラシしていい……?」

 用意が悪いなあ、と自省する。オモラシするのが大好きな昴星なんだから、一緒に出掛けると決まった時点で替えをもっと持って来ればよかった。そうすれば昴星に、ハーフパンツの中でおちんちんの落ち着かない思いをさせなくても済んだわけで。

 でも、

「カバンの中に、オムツが入ってるよ」

 どうしてそんなもんが入ってるんだと言われても、……昴星が喜ぶかなって思ったんだ。

 実際、「ほんと?」って昴星は目を輝かせてぼくの膝から降りると、カバンの中からすぐにそれを探し当てた。

「ほんとだ、……じゃーさ、オムツしてもいい? でもってさ、……今度はおにーさんが見る専用なの撮ってよ」

 さっきのだって「ぼくが見る専用」なのだけれど。

 ともあれ、昴星は足の間にオムツを宛がってスタンバイ。ぼくがサイドのテープを止めてあげれば、小学六年生にしてオモラシが治らない恥ずかしい美少年の出来上がりだ。……実際、こういう格好がよく似合うし、それでいて「美少年」の性質を失わないのだから

本当に大したものだと思う。

「カメラいい?」

 そしてその姿を、ぼくのために見せてくれる。

「うん、大丈夫。撮るよ」

「ひひ。じゃー、オムツの中でしちゃうよー」

 甘ったるい丸みを帯びたお腹に左手を当ててそう宣言した昴星は、右手の人差し指を立てて唇に当てる。ぼくも黙る。

 静かなせせらぎの音が、林の中を抜ける僅かな風の音にも負けずに響き始めた。

「……んひひ……、オシッコ……、聴こえる?」

 昴星が上目遣いに訊く。ぼくは黙ったまま頷いた。

「いまね……、オムツの中、オシッコでいっぱいになってる……、お尻の方まで……」

 恍惚の中、そうぼくに教えながら失禁を続ける。……やはりオモラシが昴星にとっては一番気持ちいいんだろう。幸せそうな顔を見ることが出来てぼくももちろん幸せだ。

「……んっ……んん……」

 ぶるぶるっと震えて、「全部出た?」と訊けば、

「ん……、全部出た……、ひひ……、オモラシしちゃった」

 当人無意識の愛らしさの漂う微笑みを浮かべて頷く。

「ちんこ見たい?」

「……うん、見せて欲しい」

 サイドのテープを自分で破って、前から開いて見せる。黄色い尿を吸い込むオムツの内側と、濡れた陰茎と……。其処はまだ、大人しいままだ。

「おれのー、オシッコでびちょびちょのちんこ……」

 一度背伸びをして、踵を落とす。先に皮の余った陰茎がその震動でぷるんと弾む。ぼくの見たいと願った物を、ぼくが言葉にするより先に見せてくれる。それは昴星の優しさだ。オムツで塞がれていた一際強い臭いに呼応して昴星が欲しくなる。

「おにーさん、おれのちんこ好き?」

 何度も言った言葉だ、でも、何度でも言おう。

「好きだよ。すごく好き」

「ひひ……、おれもおにーさんのちんこ大好き! じゃーさ、おれのお尻は?」

「もちろん大好きだよ。今すぐぼくの挿れちゃいたいぐらい、大好き」

「ほんと? おれのお尻にちんこ入れたいの?」

 身体は小さいし童顔、のわりに、浮かべる表情は年相応であることの多い昴星が、不意に年より幼く見えるときがある、……それこそ、流斗と同じぐらいに見えてしまうときが。

 それは例えばこんなとき。

「足開いて。お尻広げようね」

「うん! でも後ろ向かないでいいの? おにーさんそっちの方がやりやすいんじゃない?」

 それは、確かにそうなのだけど、

「昴星のおちんちん見ながらしたい。昴星こそ、立ったままでしんどいかもしれないけど……」

 昴星はそれ以上ぼくに言わせることもなく自ら足を開いた。

「おれもおにーさんにだったらいっぱいちんこ見てもらいたいし」

 ならば、このポジションが正解だ。ぼくは膝を付き、カバンの中からミニボトルのローションを取り出し、右手だけで蓋を開けて、途中からは膝も使って指に粘液を纏わせる。この間、左手はずっと昴星のおちんちんを接写していて、昴星はそれを判って、

「ひひひ、ちんこめっちゃ撮られてる……」

 笑いながら、摘んで皮を伸ばして見せたり、逆に皮を剥いて見せたり。サービス精神を出し惜しむことをしない。少年の陰茎を弄る様子は後で家のパソコンでじっくり見ることにして、ローションを纏った指を、さっき特太級のうんちをひり出した肛門に押し当てる。「あふ……」

 才斗と、そしてぼくと、繰り返しその場所を使ってのセックスをしてきたからだろう。そして何より、先ほどあれだけのものを放出した後だから、昴星のお尻の穴はぼくの指先をすんなりと収めていく。噛み付いてくる力も甘ったるいもので、寧ろ「絡みつく」と言った方がいいかもしれない。……この中に入ったらさぞかし気持ちいいだろう、と、知っているくせにまたぼくは想像してたまらない気持ちになる。

「ひひ……、うんこ、したとこ、おにーさんの指入ってる……」

 昴星も痛みを覚えていない。ただ嬉しそうに、そして気持ちよさそうに、目を細めている。

「昴星の……、お尻の穴って、すごくいいね」

「ん……、そうなの?」

「うん。……温かくって、柔らかくってさ。……いまみたいに、ときどきキュウって狭くなるの、すごく可愛いよ」

「んひひ……、だって、おれお尻されんの好き、気持ちぃし……。ほら、ちんこまた立ってきた」

 言葉の通り、オシッコの臭いを放つおちんちんはお尻の脈動のたびに角度を上げていく。

「あのな、……ときどき、うんこしてるとき、才斗とおにーさんのちんこのこと考えて、勃起しちゃうこと、ある」

「……そうなの?」

「ん。……っていうか、うんこするとき……、ほら、おれのうんこ太いじゃん? ……だから、気持ちよくって……、それで、うんこのとき、ちんこ上向いちゃって、上手に出来なさそうなときとか……」

「ああ……、おちんちん収まらなくなっちゃうようなとき……、そういうとき、どうしてるの?」

「うん、そんときは……、上、オシッコそのまま出したらびしょ濡れになっちゃうから」

「そのまましちゃう?」

「んーん。そこまでしちゃったらさ、トイレか出るのすっごい時間かかっちゃうし。だから、頑張ってちんこ下向けて、うんこ出しながらさ、こぼさねーようにする。ほらおれのちんこ、勃起してもちっちゃいから大丈夫なんだ」

 小さい、丸っこくて、引き締まっている。ぼくがじいっと見ていると、昴星は指でそれを下に向けて見せた。

「こうやってさ、なんとか便器の中にオシッコする。家のトイレだと汚したら自分で掃除しなきゃいけないし、才斗んちのだとあいつに迷惑掛けちゃうし、学校だと恥ずかしいし」

 世の中には勃起したおちんちんが収まらないとき、そのまんまトイレの壁に噴水をぶちまけちゃうような男の子だっている、……君のすぐ側に。もちろんそういうことをぼくは言わない。

「そうか。昴星のおちんちんは礼儀正しいね」

「うひゃ」

 一口に収めて、強い塩辛さを纏った残尿と腺液を吸い飲む。ぎゅうっとぼくの指は強く引き締められた。

「んも、もぉっ、ちんこしたら出ちゃうからぁ……」

「ん? ……ぼくは何度出してくれたって構わないんだけどな。昴星の精液は美味しいからさ」

「んーでもっ、いまはダメ。次のはおにーさんのちんこお尻もらってるときに出したい。……せーし飲むのはあとでな」

「わかった。そうさせてもらうよ」

「そんかわり……、おにーさんのも飲むからな」

 もちろん、そうしてもらおう。

「もう……、いいかな? どう?」

 指を二本に増やして出し入れしている間は、ずっとうっとりとした顔でおちんちんを揉んでいた。射精はしないように、でも、より強い快感を貪欲に求め始めている。ぼくの問いに、昴星は「ん」と頷く。

「おつゆ、いっぱい出てるね?」

「んー……、おれ、やっぱちんこだらしないのかな……」

 皮の縁に指を当てて引くと、薄い糸が伸びた。

「学校でさ、……授業中とか、勃起したりしたことって、おにーさんもある?」

「男はみんなあるんじゃないかな」

「そういうのの後、パンツの内側、ちょっとこう、鼻水乾いたのみたいなのついてる。……才斗のそんなことないんだけどなー」

 腺液の分泌量は人それぞれだろう。ぼくはそんなに多くないほうだ。

「貰ったパンツに時々付いてるよね。……昴星がこのパンツ穿いてるときにえっちな気持ちになっちゃってたんだなあって思ってドキドキするよ?」

 ひひ、と少し照れたように笑って、「おにーさん嬉しいなら、いっか」と木の幹に掴まってお尻を向ける。バックから容れて欲しいらしい。

「ちょうだい、おにーさんのちんこ」

 肉付きのいいお尻がぼくを誘う。穴は皺の寄ったのが一つきり。そこから辿るとタマタマの膨らみ。少女めいた丸いお尻でいて、間違いなく男の子の身体、……昴星の身体。胸が一杯になって、溜め息となって溢れる。

「……可愛いよ、昴星」

「ほんとに?」

 嬉しそうに振り返った顔に、頷く。

「昴星は可愛い。本当に可愛い」

 もう居ても立っても居られない。カメラを置いてゴムを被せて、もう撮影はいいやという気になる。昴星を抱くいまこの瞬間に集中したい。

「んぅ……はあぁあ……!」

 まだややきつい。それでも甘ったるく粘っこい肛門の内側はぼくを拒むことはなく、快い反応と共にぼくを奥へと導いていく。膝を曲げ腰を屈め昴星のお腹の底に達したとき、ぼくの両腕は無意識のうちに昴星のことを抱き締めていた。

「はっ……ン……、やっぱ……、おにーさんの、ちんこ、最高……!」

 昴星の声は幸福に満ち足りているように聴こえる。木に付くのは左手だけにして、右手は胸に回ったぼくの腕に重ねる。

「昴星の中も……、すっごい、気持ちいいよ……」

 抱いているのはぼくなのに、抱き締められているような感覚があるのだ。昴星の中はあったかくて湿っぽくて気持ちよくて、……性的なもののみならず、考えうる限りの人間の悦びが詰まっているように思う。そんな風にぼくが感じることが昴星の喜びにも繋がっているのだとすれば、……これほど幸せなことがあるだろうか。

 だからこそぼくは昴星の幸せを願う。そのために出来ることは何だってしたい。才斗と上手く行くことを願うし、昴星の露出欲も彼の傷付かない形で実現することを祈っている。こういうのを例えば「愛情」と称されることに、ぼくは特に、ためらいはない。

「動いていい……?」

「ん、……あ、ちょっと、まって……」

 昴星はお腹に回ったぼくの右手を、自分の股間に導く。

「おにーさん、おれのオシッコ、……好き?」

「ん? ……うん、もちろん」

「ん……、じゃあ……」

 ぼくのペニスを包み込むお尻の穴の内壁が、きゅっと硬くなった。遅れてぼくは自分の手のひらに温かい水が降りかかるのを感じた。

「おれの、……オシッコだよ……?」

 気付かぬ間に少し冷えていた指先に、それはとても温かい。大きくなったままのおちんちんから緩やかに漏れ出す液体を手のひらで玩ぶのは不思議な心地良さがあった。

「……考えて見ると、オモラシするところ見せてもらったり、飲ませてもらったりはあるけど、こうやって触るの初めてかもしれないね」

「ん……。おれね、おにーさんの、オシッコ、身体、ひっかけてもらうの好きだから、……おにーさんも嬉しかったらいいなって……」

 嬉しいよ。

「普通に生きてたら、こんな風に、昴星みたいな可愛い子のオシッコに触ることなんて絶対ないね……」

「ふつーにしてたら、おにーさんの手にオシッコかけるなんてないよ……。あのな、おにーさんの、お尻、してもらってる間に、絶対漏れちゃうと思ったから……、だったら、って思った……」

 貴重な――一方では、無尽蔵な――液体の温度をぼくに教えてくれる昴星の優しさにどう応えるか。……昴星は優しすぎるから、ぼくの願いを何だって叶えてくれるから、ぼくのしなければいけないことはほとんど無限にあるはずだ。

「はい、……おしまい。動いて、いいよ。中で、ちんこビクビクするの、感じたい」

 ぼくは昴星の肩に口付ける。これだけでは全く足りない。

 だからぼくは腰を振る。斜め下から突き上げるように、腰でそのまま昴星を持ち上げてしまうぐらいの勢いで。

「あっ、あっ、……あんっ、すっ、げっ、おにっ、さっ、ちんこっ、ちんこちんこすげぇっお尻っ、おれのお尻っきもちぃっお尻っきもちいぃっいっいっ、いっちゃ、っお尻ッいっちゃうっいっちゃういっちゃうっ、せーし! せーし出るっ出るぅう!」

 おちんちんには触れていない。しかしぎゅうっと締め付けられると同時に、オシッコが冷え始めたぼくの掌に、とぷんと勢いよく精液が引っ掛かった。ぼくは昴星の身体に噛り付くように抱き締めたまま、自分の欲も昴星の底へと叩きつける……。

「あはぁあ……、出てる……せーし……、せーし、……せーし、おにーさんのせーし……」

 背中を反らしてビクビクと震えて、昴星は喜悦に溢れた声を漏らす。

「すっごい……、気持ちよかった……、昴星……」

 立っているのもしんどいぐらい、津波のような快感の余韻が押し寄せてくる。ぼくはゆっくりと昴星から腰を引き、膝を付いた。ぱっくりと開いたままのお尻がじわじわと閉じていく。それは素晴らしく淫らな光景だ。

「おれもぉ……、すっげぇきもちよかったぁ……」

 昴星もずるずると膝を付き、ぼくの目の前にお尻を出す。

「ひゃ」

 プニプニとしたお尻にキスをして驚かせて、ぼくの方を向いた昴星はぼくの手のひらの精液を見る。

「まだ、濃いね。プルプルしてる」

「そんだけまだ出せるってことだよ。……ほら、おれキンタマでかいから、こんなか、まだせーしいっぱい詰まってるんだ」

 ぼくの手を取り、ほんの僅かな躊躇もなく昴星は手のひらの粘液をべろりと舐める。それからぼくにキスをして、唾液と尿と精液、三つの味をミックスしてぼくに伝える。

 長いキスを終えて、

「おにーさんのこと、おれ、大好きだなあ……」

 ぼくの膝に乗り、抱きついて昴星は笑う。

「おにーさんがさ、ヘンタイで、おれみてーな男子好きな人でよかったなー……」

 ぼくはオシッコを引っ掛けられていないほうの手のひらで昴星の髪を撫ぜながら、「ぼくも、昴星みたいな子に会えて本当に心から幸せ」と応える。

「流と三人ですんのも、こないだの温泉行ったときみてーにもっとたくさんですんのも愉しいけど、おにーさんと二人っきりだとおにーさん独り占め出来て、おにーさんにいっぱい可愛がってもらえて、気持ちよくしてもらえて、……だから、こういうのもいいなー」

 それでもいまのところ、ぼくたちはどこまで行っても友達だ。この関係がとても好ましいのは、昴星に才斗がいることが明白であると同時に、ぼくに流斗がいることも影響している、……いや、流斗だけじゃない、諭良も。

 だけど――都合のいい言い方になるのは承知の上で――ぼくらはぼくら二人だけでいるときには、「二人きり」でいていい。それはぼくの幸せのためだけではなく、この少年の幸せのためにも。

 愛しい身体が冷えないように、抱き締めている。だけど昴星はまだ温かい。子供だから、……或いは、まだ身体の火が消えていないからか。

 どっちだろう、というぼくの問いへの答えは、

「おにーさん」

 またもらったキスで概ね明らかだ。

「ちんこ、しゃぶっていい?」

 昴星にとってぼくの身体が同じように温かく感じられるなら、それはぼくにもまだ欲が残っていることの証拠だろう。

「もちろん、……ぼくも昴星の、していい?」

「うん! しゃぶりっこしようぜ、んでもって、……おにーさんもしオシッコ出るなら、オシッコの交換こもしたいな」

 まだ出るんだ……。

 多分昴星の膀胱がすっきりするまで、この林中の時間を終えられない。帰りだってバスと電車乗り継いで帰るのだし、いま膀胱が過敏な状態になっている昴星を連れて帰るのだから……。

 ああ、でも、いっそオムツを着けさせて電車の中でオモラシさせてみるのも愉しいかも、とか。

 そうしたらまず間違いなく、ぼくの部屋でまた「続き」ということになってしまうな、とか。

 そんなことをぼくは考え始めている。

 このたおやかな少年に向かうぼくの欲もまた、昴星のオシッコと同じくらいに無尽蔵なものなのかもしれない。


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