ヲトコノヤボウ 紺色夜叉
「ユフィにチクられても知らないからな」
「……しょうがないだろう、買って来てしまったものは」
「買って来ること自体間違ってる」
「私は返品が嫌いだ。店に返すならお前が行って来い」
学校休みの土曜日の昼下がり。すやすや午睡の真っ最中であるクラウドのいとおしい寝顔を覗き込んで、
俺たちは殺した声で下らない口論。
「……大体……どういう趣味してるんだよあんた。……ヘンタイ」
「黙れ。お前こそ十分変態だ。……いいか、想像して見ろ。この子がこれを着ている姿を」
「…………」
「……ほら見ろ、『来る』だろう」
「……うるさい」
ヴィンセントが抱えている、クラウドへのプレゼント。
……清楚な紺色に、白のフリル、そして……あろうことかスカート、豪商の家のメイドが着るような、……服。
「ん……」
クラウドが目を覚ました。薄目を開けたところに、俺たち二人の姿があったものだから、ビクンと、かなり驚いている。
「にゃ……っ」
「おはよう、クラウド」
ヴィンセントは微笑むと、その額にキス。
それは俺の役目だ。
クラウドは半身を起こして、目を擦る。ん〜、と欠伸をして、ぽやっとした顔で俺たちを見る。
「目が覚めたか?」
「ん」
ヴィンセントは耳を撫でて、クラウドの機嫌を良くしてゆく。機嫌の悪いときなど殆どないが、ヴィンセントは今後の策略のために、クラウドを上機嫌にしておく必要があった。
「……にゃ……」
気持ち良さそうに目を細め、ぐるぐると喉を鳴らしはじめる。それを見計らって、ヴィンセントは後ろ手に隠していたメイド服をクラウドの目の前へ。
そして、優しい、邪気などひとかけらも見取れない仮面のような笑顔で。
「クラウド、プレゼントだ」
クラウドの耳がぴっと立った。
「ほ、ほんとっ、なにっ、なにっ」
「洋服だ。きっとお前に似合うと思ってな」
……似合いそうでコワイ。
「ヴィンセントっ、ありがとうっ」
ヴィンセントはクラウドを抱き上げて、床に下ろした。ビニールの包み紙を剥がし取り、それを広げる。ただし現時点で見せるのは上だけ。
「早速着てみるか?」
「うんっ」
ヴィンセントはパジャマを脱がせ、上から着せて行く。下も、脱がせる。
「にゃ……トランクスも?」
「ああ。新しい下着を買って来てあるからな」
そう言ってポケットの中から取り出すのは。
「……あんたなぁ……」
「……? ……どうした?」
「……何考えてんだよ」
「スカートの中がトランクスだったらおかしいだろうが。……クラウド、穿かせてやるから、片足上げろ……そうそう、こっちの足も。……尻尾も」
そういう問題じゃない。しかし、そのピントのずれた発言を、意図的にか真面目にするものだから始末
が悪い。
女物の下着をつけて、さらにスカートを穿かされて、そこでようやくクラウドは自分の服が妙であることに気付いた。
「……これ……」
下半身がスースーする初めての感触に、情けなさそうな顔をする。……そう、スカートはスースーするんだよな……そう思う俺は経験者。
といってもあれはドレスだったから、裾も長かったし多少はよかったのかもしれない。
何がどうよかったのか、個人的に、あれはもっとうまい潜入方法があったような気がするのだが、あの時はエアリスにしてやられたような気がする。
「……女の子の?」
「よく似合っているぞ、クラウド」
ヴィンセントが一歩身を引いて、クラウドの全身を眺める。予想通り、本当に似合っている。今更確認の必要もないが、クラウドの顔はカワイイし、足も細い。メイド服がよく似合う十四歳但し小学校二年生、何か重大な間違いを犯しているような気がするが、似合っている。
しかも、猫耳猫手猫足猫尻尾。
「やだっ……こんなのやだよぅっ」
案の定クラウドは脱ごうとする。
……チッ。
……内心、舌打ちをしてしまった。
さっきまで反対していたくせに。けれど、クラウドのメイド服姿は、そんな俺の心くらい簡単に翻す魔力を持っていた。魔力も何もなく、俺の意志が弱いだけかもしれない。
「何故。……本当によく似合っているのに」
「だってっ、これ、女の子のだもんっ、俺男の子だもんっ」
でも仕方がないじゃないか、こんなに似合っているのだから、この際男も女もないだろう。満場一致で可愛いと認められるものを封じて置くというのは反則だ。
クラウドに女装させるのが反則かどうかは、置いといて。
「やだっ、脱ぐっ」
猫手だとボタンとか外せないのだ。
「……クラウド」
ヴィンセントはふっと寂しそうな笑みを浮かべた。
「……そうか、悪かった。……済まないな、変なことをさせて」
「え……ヴィン?」
こういう奴を、鬼畜と呼ぶんだろう。俺はその猿芝居――しかも本人はかなり「入って」いるから余計情けない――を疲れた思いで見つつも、でもこれでクラウドが脱がないことは決定したなと、握り拳を作っていた。
「いくらなんでも……そうだな。私が間違っていた。……これも……私の罪だ」
大いになるとも。
「…………」
クラウドは葛藤の最中。
けれど俺に似て意志が弱く、さらに俺よりも情に脆いクラウドは、すぐ、首を振って、俯いたヴィンセントに抱き付いた。
「……我慢する」
ヴィンセントの瞳がギラリと光った。これも愛のなせる技なんだろうだけど、誰を納得させることも出来まい。
俺とヴィンセントは食卓に腰掛けて、台所で四苦八苦しながら麦茶を注いでいるクラウドの後ろ姿を見ていた。猫手だからペットボトルを持つのは両手で挟むようにしなければイケナイのだが、それにかなり難儀している様子だ。何度か席を立って手伝ってやろうとするのだが、その度ヴィンセントが制止する。
「……彼はメイドだ」
熱のこもった演技指導だった。
俺たちはクラウドにとって「ご主人様」、「ご主人様」の言うことはすべて聞かなければいけない……阿呆らしい。
「いい後ろ姿だ」
短いスカート、それを捲り上げてパンツ丸見えにしてくれる尻尾、すっと伸びた細くてきれいな足。……頷きそうになった。
「持って……お持ち、しました」
「ご苦労」
麦茶を飲む富豪その一の役であるヴィンセントは一口飲む。俺もクラウド持ったトレーからグラスを受け取った。
「私からのプレゼントは、気に入ってくれたか?」
「……はい」
ただ、下半身が涼しいのがやはり落着かないらしく、スカートの裾を押さえている。
「そうか。喜んでくれて嬉しい」
そして、抱き寄せて口付ける。
――イキナリ、か。
俺は麦茶をもう一口飲んで、じぃっと二人の様子を見ることにした。あの鬼畜変態ご主人様がどういう風にするか見たいし、同時に大いなる目の保養になる。クラウドはキスに、少しずつ頬を赤らめてゆく。ヴィンセントはずっと唇だけへのキスで、いつものようにクラウドへ舌を差し入れる気配はない。
少しずつ焦れて、クラウドは自分から舌を求めるようにヴィンセントの唇をペロペロと舐めているが、
ヴィンセントはそれに応ずることなく、唇を離した。
「……淫乱なメイドだ」
「……ッ……も、うしわけありません、ご主人様」
顔をかぁっと赤らめて、頭を下げる。
「食べるものが欲しい。何か無いか」
クラウドに拘ることなく、ヴィンセントは次の命令を下す。クラウドは「かしこまりました」ともう一度頭を下げて、戸棚を探しにゆく。
「こういうのも偶にはいいだろう」
何だかヴィンセントは物凄く生き生きしている。目が性器もとい生気に満ち溢れて、棺の中で眠っていたのとは全くの別人だ。誰だよあんた。
クラウドが持ってきたのは、ポテトチップスだった。
これには、少し笑えた。戸棚の中にはヴィンセントが好きなチョコチップクッキーもあったが、それよりもクラウドはポテトチップスの方が好きなのだ。
「……クラウド」
ヴィンセントは少し機嫌を悪くしたように目を細めた。
「はい……」
「お前は私と一緒に過ごしてどれくらいになる」
……クラウドは少し考えた後、答えた。
「二ヵ月、です」
「そう、もうそんなになるか」
ヴィンセントはポテトチップスの袋を取り上げた。
「……ならば、私の好みも解かっているだろう」
「はい」
ヴィンセントは縮こまったクラウドに薄く笑みを浮かべると、下半身に手を伸ばした。
「ふぁ……」
「……さっきのキスでこんなにしているのか。……本当に、淫乱だな、お前は」
「……申し訳ありません……っ」
目に涙を浮かべて、クラウドが謝った。
……可哀相に、見ながら、けれど悪くないなと思う俺がここに。
「ふ……まあいいだろう。これは片付けて、別のものを持ってこい」
「解りました」
鬼畜なご主人様の命令に、メイドになりきって尽くすクラウド、本当に愛しく思える。ただ愛しく思えるならこんなことをさせるんじゃないと言われそうだが、でも……。
「……お持ちしました」
「ご苦労。……では、ご褒美をやろう。……おいで」
クラウドを抱き寄せて、今度ははじめから唇を開けてキス。
クラウドはぴくっと耳を震わせて、解放を悦ぶかのように舌をヴィンセントと絡ませる。ぴちゃぴちゃと濡れた音をさせて互いの舌を味わう隙間、クラウドの甘い吐息が漏れる。
「は……ん……ん……」
唇の端から零れた涎を、ヴィンセントが指で拭い、ようやく唇を離した。
「ヴィ……ご主人、さま……」
濡れた声で、それでも「ルール」を従順に守って切なげに名を呼ぶ。
「……クラウド、俺からもご褒美がある。……おいで」
こういうのは見てるだけではつまらない。……というか俺も我慢出来ない。変態だろうが何だろうが知らん。俺はクラウドを抱きしめて、首筋を吸い上げて、紅いしるしを。
「あぁ……」
ひとつ、そしてまたひとつと、メイドに所有のしるしを。
ヴィンセントに「そろそろOK?」と目で問う。けれど、ヴィンセントは首を振った。
「クラウド」
「……はい」
「今朝の朝刊を持ってきてくれ」
「……かしこまりました」
もう、かなり下半身キているのだろう。キツい女物の下着がクラウドの熱をムリヤリに封じ込めて、苦しめている。
朝刊を持ってきたクラウドの頬は染まり、はぁはぁと早まった呼吸、尻尾がぴくぴくしている。
「ありがとう。……ご苦労だった。もう下がっていいぞ」
「え……?」
ヴィンセントはしれっと言うと、眼鏡を取り出し新聞を。
クラウドは膨張した自分を持て余し、俺に救いを求めるが、俺は見て見ぬふりを。
「……あの……っ」
……かなり可哀相だが、ここですぐ、というのはルール違反、だ。ちらと見たクラウドは目に涙をいっぱい浮かべて、自分の前を押さえている。相当、キツいのだろう。
「……ご主人、さまっ……俺……に」
「……淫乱なメイドには、もうプレゼントなどないぞ」
ヴィンセントはようやくクラウドの方を向いた。
「っ……ごしゅじんさま……」
「聞こえなかったか? 下がっていい、と言ったんだ」
絶対、鬼畜だ。けれど、ヴィンセントの側でそういう様子を見て、しかもクラウドが困り果てている姿を見て、幸せを感じてしまう俺もほぼ確実に鬼畜だろう。
が、男の野望を全て叶えた上、こんなに可愛いクラウドを前にしたら、男は例外なくケダモノになる。
いや、ひょっとしたら女も。嗜虐性を擽ってくるのだ、俺たちの。
誰にも非はない。ヴィンセントや俺はクラウドの魅力に犯された哀れな獲物。と言っても無論クラウドが悪いわけではない。悪さで言えば、俺たちの方が悪いのだろうが。俺たちの下半身の疼きは、クラウドのせいだ。
「俺……っ」
ぽろぽろと涙が零れる。
俺も、胸が疼いて疼いて、泣きそうなくらいに。ただ、かなり血の涙だ、それは。
「……もぅ、だめっ、……して……くださ……」
舌が縺れそうな声で泣きながら。
「しょうのないメイドだな」
ヴィンセントは苦笑、そして大儀そうに椅子から立ち上がり、クラウドの下着を下ろす。
「染みになっているぞ……買ってきたばかりなのに」
ヴィンセントの言葉の通り、クラウドの下着の前は先走りの蜜で少し濡れていた。外気に晒されて震えるクラウドのそれは紅く色づいていて、とにかく早くいきたがっているのがありありと解かった。が、俺にはヴィンセントがすぐいかせるつもりはないであろうことは解かっていた。
どうせ、また意地の悪いことをするのだろう。
「可愛いぞ、クラウド」
スカートの裾をクラウド自身に捲らせて、恥ずかしく震える彼自身を視姦する。
無遠慮な俺たちの視線に犯されて、それでも感じてしまうクラウドは、真っ赤になって嫌がる。
けれど――「ご主人様」に逆らってはいけないことになっているのだ。
「……クラウド、後ろを向いて膝をつけ」
やっと入れてもらえる、とクラウドは少し安堵の表情で、命令通り、俺たちに尻を向けて四つん這いに。
「……あんたが入れるのか?」
「……我慢してくれ」
ぼそぼそと、何だか情けない会話を挿んで、ヴィンセントはベルトを外し、膨張した彼の性器をクラウドの後孔に押し当てる。
「はぅ……」
その熱さに、クラウドは堪らないといった溜め息をついて、ヴィンセントを受け容れてゆく。……俺より大きいから、さぞかしイイことだろう。というのはヒガミか。
「気持ちいいか?」
「……っ、あぁ……いい……です、ごしゅ、じん、さま……っ……」
まだ、彼はメイドなのだ。
「……?」
ヴィンセントが指で、俺に、クラウドに咥えさせるよう指示する。
……入れたまま、か。
「……クラウド」
俺はクラウドの前で自分を取り出し、見せる。
ヴィンセントのよりは小さいけど、クラウドのよりはもちろん大きいから、何となく、自慢げに。
「咥えて」
上の口では俺を、下の口ではヴィンセントを深々と咥え込んだ淫乱なメイドは何の抵抗もすることは出来ずに二つの性器に快感を与える。って、こんなメイドがいるか。
けれど、男の野望なんてこんな程度なんだろうな。
「ん……っ、ん、ぅんっ」
苦しげな喘ぎを漏らしながらも、柔らかい口腔と舌で俺のにしっかりと愛撫をしていく。
もし実際、こんなメイドがいたら……やっぱり、毎日抱くだろうか。……やってることは、ひょっとしたら普段クラウドにしていることとあんまりかわりないかもしれない。
「……っ……クラウド……、……もう、……出すから。残さず、っ、ちゃんと飲めよ」
「早いな」
ぼそっとヴィンセントが呟いた。
黙れ。こんな清純そうなメイドのカッコして、同性の股の間に顔埋めて、必死な思いでしてくれる。これ以上感じる事があるか。
しかも猫耳付いてるし。
「……ん……っ」
ヴィンセントはクラウドが俺の精液をこくんと嚥下したのを確認すると、クラウドの身体を抱き上げて、後ろから膝の上に抱くような体勢。
「にゃっ……あぁ……」
ちりちりと、震えに鈴が連動して鳴る。
この体位の方が奥まで突くことができる。クラウドは悦ぶような、痛みのような、いろいろ入り交じった声を上げ、少なくとも拒否はしていないようだ。
「ザックス、……ご褒美を」
後ろからクラウドのを握って、砲身の銃口を俺の方に向ける。
俺はいったばかりだけど、またそのみっともないクラウドの姿に少し感じて、クラウドの前に寝転んでそれで遊ぶ。
咥えたらすぐいってしまいそうだったから、焦らす。っていうか、もう十分すぎるほど焦らしているが。俺も遊びたい。
「あぁ……あっ、やぁ……」
まず、その袋の部分を舐めてやる。ここ舐めてるだけじゃいけないけど、だけどどこか気持ちいい部分。咥えて、中の珠も舌で弄ぶ。顔のすぐ側でヴィンセントのがクラウドの蕾に深々と刺さっているのが解るのだが、それもまた一興。
ヴィンセントがクラウドの身体を動かすと、くちゅっと濡れた音がする。
クラウドは、見上げると、もう壊れたような表情だ。それも頷ける。入れられて、前は弄られて。しかも、今さっきまでフェラしてたから精神的にもかなりキているだろうし。
「……あまり意地悪をするな」
どっちが意地悪か。
「いきそうなのか?」
「……ああ」
どうやらヴィンセントも俺と同じ気分らしい。……解るぜ、その気持ち。
俺はクラウドの根本から先端までゆっくりと舐め上げた。
「やあぁ……っ、ああぁ。あぁ、…………ご、……しゅじん、さまっ……あぁ」
脳味噌が耳からとろけ出てないか心配になってしまう。
……ああ。
「ふぁあ……で、……ちゃうっ、もう、だめっ……」
俺はついでにヴィンセントの袋なんかも揉んでみたりして、クラウドのを咥え込んだ。狙い通り、二人は同時に吐精した。
「……んぁ?」
精液のたくさんついた舌をぺろりとヴィンセントに見せる。
――あんたも飲む?
猫耳メイドクラウドの特製ミルクしかも絞りたて!
ヴィンセントは頷いて、俺とキスをした。二人分の涎とクラウドの精液が交じり合って、それはそれはクドイことこの上なく、けれど何だか変態通り越して幸せだ。
「……にゃぁ……っ」
クラウドの身体を俺が抱き支え、ヴィンセントがクラウドから抜く時に、クラウドはまた小さく鳴いた。
クラウドの秘穴から、今し方ヴィンセントが放った精液が溢れ出す。
「……シャワーを浴びて来る」
ヴィンセントはだるそうに立ち上がり、クラウドの頭を撫でた。
「非常に良かった。ご苦労」
本当に心からご苦労さま。
「……うにゃ……」
俺はクラウドの頭を撫でて、口付けをする。まだ少し精の味がするだろう。
「……ん、はぁ……ごしゅじ、んさま……」
「もういいよ、ありがとう」
何だか心の底から礼を言わないと申し訳ない。クラウドにもう一度キスをして、そっと耳を撫でてやる。
「……あのさ……クラウド」
「……なに?」
「……いったばかりで悪いんだけど」
「え?」
俺はクラウドの左手を取り、俺の下半身に触れさせた。そこは……熱くなっている。
「な……なんで?」
何でも、何も。
「クラウドの、してるうちにまた……したくなった。……もう一回、頼めるか?」
返事を待たず、俺はクラウドを横たえる。拒否反応が来る前に、乳首の先を舐めて誤魔化す。
今は何をされても感じる状態のクラウド、気持ちいいと認めることになってしまうのに、ひくりと震えてしまった。
これでもう俺の勝ちだ。
「やぁ……もう、やだよぉ……」
言いつつも、もうヴィンセントの太いやつで入りやすいそこに俺の熱さが入り込むと、すかさず反応してしまう。
「んぁっ……も……やめ……っ、はぁああ……」
「……すごい気持ちいい……ホント、ありがとう……クラウド」
クラウドの中はヴィンセントの放った液体でいつもよりずっとぬるぬるしていて。それに加えて、また中はさっきまで緩んでいたハズなのに生き返ったように俺を締め上げて来る。
危険すぎる快感。
「んぅっ、ああぁん……あぁっ、ざ、ック、す……っ」
声もまた、然り。
「やぁん……もう……壊れちゃ……」
いっそ、俺で壊してやろう……そんな馬鹿げたコトを考える。
この可愛らしい、メイド猫を。
感じるのが早かった分、到達も早い。俺は嫌がってたくせに完全に復活していたクラウドのを扱いて、追い詰め、同時に俺も上り詰める。
「あんっ……」
「ッ」
ヴィンセントにだけ、同時到達させる訳には行かない。
……ただ、せっかくのメイド服にクラウドの、薄めの精液がかかってしまった。
全裸のクラウドも、やはりいい。だが今はもう二連発の後だし、これ以上したらクラウドに嫌われてしまうかもしれないから、純粋に洗うだけだ。
「ん……」
「痒いところ無いか?」
「へい、き……」
温かい湯で、クラウドはぼんやりと眠そうだ。頭にシャンプーの泡をつけて、ぼーっとしてる姿からは、まさかあんなにイヤラシイものは想像しようにも出来ない。今は小学校二年生の姿だ。
「今日はお疲れさま」
ふわふわのバスタオルで彼の髪を拭いてやりながら、労う。立ったまま寝てしまいそうだ。
「どうだった?」
俺が聞くと僅かに機嫌を損ね、不貞腐れたように。
「……恥ずかしかった」
ヴィンセントの演技指導に最後まで忠実に従って、俺たちに尽くしてくれたのだ。恥ずかしいのも耐えて。
「……でも……」
「でも?」
「……きもち、よかった」
……俺は、ここで喜ぶべきなのかどうか。
ただ、複雑な心境のハズの俺の脳裡にはナース服のクラウドが浮かんでいた。