鬼の撹乱、という奴だ。昨日学校に連れていったから、今日は俺の家事当番のはずだったのだが、クラウドを連れてかえってきてすぐ買い物に出る羽目に。二階奥の部屋からは朝と同じくゲホゲホと苦しげに咳き込む声が。やれやれと剥いた林檎と水とクスリを盆に乗せてクラウドと二人、ドアの前までは言ったものの、そこから先、どうも妖気が漂ってて入るに入れない。

……伝染りたくない……どうせこの部屋ウィルスだらけだ。

それでも意を決して、入らないわけにはいかない。

「……大丈夫か?」

覗き込むと、ヴィンセントはベッドからズレ落ちてゼイゼイ息している。仕方なく抱き起こして、ベッドに戻し、布団をかけてやる。

「ここにリンゴとクスリ置いとくからな、ちゃんと食べろよ」

俺が言うと、彼は熱で紅潮した顔で、乾いた唇で、なにごとか訴える。

「何だよ」

「……クラ、ウド……」

「クラウドがどうした」

「……クラウドに……食わせて……欲し」

「自分で食え」

突き放すと、わざと死にそうな咳をする。となりに立つクラウドが心配そうな顔で俺を見上げて言った。

「可哀相だよう……俺、食べさせてあげる……」

健気な申し出に、ピタリとヴィンセントの咳が止む。しかし俺はその殊勝な申し出を却下した。……こういう時くらいしか、ヴィンセントに対して優位に立つことなんて出来な

いから。

「駄目だ。コイツは、お前がそうやって甘やかすからどんどん調子に乗るんだ。……忘れたわけじゃないだろう? お前を女装させたりしたんだぞ、コイツは」

そのことに、俺が大いに荷担していたことはまた別のはなし。ややこしくなるから、今は無かったコトに。俺の言葉にクラウドは反抗する。

「でもっ、ザックスだっていろんなえっちなことしてるじゃないかよっ」

「う……」

そりゃ、回数で言えば俺の方が断然多いのだ。

クラウドは俺の脇をするっと抜けて、リンゴの皿を取る。暫く、手で取ってしまおうか(注:フォークが持てない)どうしようか考えた後、出した答えはヴィンセントを一番悦ばせるもの。

三日月もどきの形のリンゴ、片端を咥えて、ヴィンセントに。その口、まるで、別の物を咥えているよう。

「ん」

……何も……そんなことしてやらなくてもいいじゃないかよ。

「おいしい?」

クラウドの口からリンゴを受け取り、ヴィンセントは幸せそうにしゃくっと齧った。

クラウドの頭をそっと撫でる。

「ああ……美味しいよ、クラウド」

ちゃんと声出るじゃないか、やっぱりさっきの咳は仮病。というか、クラウドの、そういう素に見せてくれる愛らしい部分を目にすれば風邪も吹っ飛ぶ。気持ちはすごおくよく、解かる。

 

 

 

 

行く先々の店で珍しがられる。

「おや? 親父さんはどうしたんだい?」

そのたびに、「風邪です」と答えるのはなかなかに億劫だ。もっとも、そう言うと色々オマケをつけてくれるのは有り難いが。というか、俺たちの習慣――一日おきに買い物当番交代――が、こうまで街行くひとびとの記憶に留まっているというのは苦笑を禁じ得ない。

もっとも、一応「よそもの」である俺たちだから仕方ないのかもしれないが、ここまで関心の的に上がっているとは思わなかった。観察されているのだとは思わないが、あまり居心地のいいものではない。

リンゴ三つ余計に入った袋は、結構重たい。

「手伝う?」

クラウドが見上げるけど、手伝わせるくらいなら俺は自分で持ちたい。俺が断ると、そう、と少しつまらなそうな顔をして言う。仕方ないので、リンゴを一つだけ持たせた。

「……あのさぁ」

俺はリンゴをとっかかりに、先程のヴィンセントのことを思い出していた。

「そんなにヴィンセントに甘くすることないんだぞ。いくら熱が50度近くあったって、あの人のからだは特別製なんだから。ちょっとやそっとのことじゃ、ビクともしないように出来てるんだ」

本心はもちろん、ヴィンセントとクラウドがいちゃいちゃするのを見たくない、という嫉妬心。

ただそれを言ってしまうのはカッコ悪いので、嘘はつかずに、且つ、誤魔化す。

クラウドは、でも〜、と言うが、それ以上は続けさせない。軽く頭を撫でる、愛してるから、と一言、そしてトドメに。

「お前に風邪伝染って欲しくなかったんだ」

よく出来た、けどやっぱり嘘。でも、クラウドが頷いてくれたからそれでも本当。

「……っていうか、俺、そんなにやらしいことしてるかなぁ……?」

さっき言われたこと。俺には大いに反論の余地があるように思われたから。もちろん、多少はやらしいことしてるって意識もある。けど、結構クラウドに求められてしてる部分もあると思う。そう言うと、顔を真っ赤にして言い返す。

「前も言ったかもしれないけどっ、俺がするのはザックスが最初んときにしたからだもんっ、あのとき、それがきもちいいって知らなかったら俺、しようなんて思わないよ、あんなことっ」

「どんなこと?」

すかさず聞き返すと、もう反撃終了。

繋げる言葉がない。恥ずかしい言葉が言えないのはお揃い、ということで。

「ばか」

どうやら俺の勝利。まぁ、負ける方法などあるのなら教えてもらいたいくらい、クラウド相手だと余裕満点。

……ん?

でも、そうでもないか。クラウドに「して」って言われて断れたためしがない。どうやっても太刀打ち出来ないよな。……そういう意味では、「弱い」か、俺も。

ひとつひとつ比べてみると、トータルでは俺の方が強いとしても、何かつまらない失点のせいでなんだかんだ、僅差になってるような気もする。大事なところではちゃんと抑えてるだろうけど、セックスとか。

……性的な強さが重要かどうかは解らない。けれど、常人よりもする回数がはるかに多いであろう俺たちにとって、それに勝ってるというのは非常に大きなアドバンテージだ。

俺だって感じやすい方……というか、早漏だけど、耳に息吹きかけただけで陥落するのだから、この子は。そりゃ、性感帯刺激されたら誰だって感じるけど、それは一瞬だけで、完結してしかるべきもの。

そのままラストまで行くことなんて、フツーはない。要は俺たち、フツーじゃないのか。

そして、俺が弱いのもそのあたりだ。

潤んだ瞳で「早く……ねぇ……っ、入れてよぉ……」なんて言われると、やっぱりなぁ?

 実は、「クラウドの中、震えてる……」とか、「俺の指がそんなにいいの?」な

んて、そんなのも俺の弱い言葉なのかも。

そうするとクラウドが感じてくれるって分かってるから。うーん……。そうだよなぁ。

クラウドの性器だって、俺のよりずっと小さいけど、考えただけで。クラウドの後ろは、そりゃ俺よりずっとイイしキレイだし。ひょっとして……負けっぱなし?

 ぶっちゃけた話、クラウドのこと、大好きだし。

……いや、っていうか。

「クラウド、少し休まないか?」

「重たいの? ……やっぱ俺持ってあげるよ」

「いや、荷物じゃなくて……。ほら、ちょうど公園だし、天気もいいしさ。日向ぼっこでもして行かないか?」

返事を待たずに、俺は手近なベンチに腰掛けた。心持ち、前かがみで。

ポケットの中の財布を取り出すように見せかけて、ズボンの前にぶつかって痛いそれの位置を直す。

「ザックス……大丈夫? おなか痛いの? ……風邪伝染っちゃったのかな……」

覗き込む瞳。……気にしちゃ駄目だ。

この胸の昂ぶり、一過性の物で終わらせなきゃ、俺は負け犬だ。

「大丈夫……だ。少し休めばよくなる」

別なことを考えればいい。何でもいい。クラウドのうなじのこととか……考えてどうするそんなこと!

……性欲をそそらないなにか健全な……そう……あそこでカップルがやってるテニスでもいい。テニスのどこに性的魅力を感じるというのか。そう、これでいい。仲睦まじい、爽やかな恋の風景。そんなのを見て立ち続けてたとしたら恥ずかしいだろう、俺。

あんな、健全な交際の極みみたいな光景。テニス……いいよな、スポーツって……テニス……違う……俺は何も考えてないぞやらしいことなんて男性器の単語なんて!

いや……でも、いつかクラウドと一緒にスポーツをしてみたいよな。ラケット持てないから、テニスは駄目にしても、サッカーとかバスケとかなら出来るだろう。

……いや、テニスも猫手用のラケットを作ってやれば一緒に出来る。そんなことくらい何でもない。クラウドのためなら万難を排する。難ですらない。ちゃんとウェアも用意して。

あのポロシャツ、自分で着るのは結構恥ずかしいものがあるけれど、クラウドに着せるぶんには平気だ。……いや、でもクラウドにはあの短いスカートみたいなのも似合うかもしれない。

ボールを追いかけて風で捲れ上がってクラウドの細くて白い太股と小振りのお尻が…………。

「ざ、ザックス? ホントに熱あるんじゃない? 耳まで真っ赤になってる……」

クラウドはベンチから下りて、俺の額に額を当てる。

「すご……い、あつい……」

その言葉すら違って解釈してしまう。そう、別のところがもう既に熱くなってるからだ。

俺に出来る我慢の限界――。

家まで待つことなど出来るハズもなく、ただ人目から隠れるためにベンチの後ろの茂みにクラウドを抱きかかえて入るだけ。

クラウドの抗いの声をキスして殺し押さえつけて、一旦茂みから顔を出してあたりを確認。

気付かれてはいない、例のカップルたちにも。

……というか、あのカップルの片方(……もちろん、女性の方)のスカートが風に靡いてるのを見ても感じないが、クラウドの姿を想像するだけで感じてる俺。

……馬鹿とホモにつけるクスリは、多分無い。

「やっ、な、な、なにするんだよぅ……」

「黙って。クラウドが悪いんだからな」

どこをどう捻ればそういう結論に達するのか自分にも分からない。けど、かなり苦しい状態の下半身に急かされて、俺はクラウドを抱え、茂みから藪の奥へと。

うざったい雑草を蹴散らしながら、時速三十キロで街から遠ざかる。

「うっ、うにゃ〜っ」

クラウドが脇に抱えられて不平の声を上げる。

けど止まらない……ゴメン、あとでちゃんと謝るし、お前の好きなかつおぶし、たくさんあげるから、今は俺の言う通りに。

「クラウド……なぁ、俺の、して。いかせて」

呼吸が荒くなってるのは、走ったからというよりも寧ろ。

「え……? ……え?」

事態をクラウドが飲み込んだ頃には、俺は手ごろな木に寄りかかって物をクラウドに見せていた。

恥ずかしい事に、俺のはもう先濡らして、トランクスを少し汚してた。クラウドはそんな俺の見せられて、どうしようもなく困った顔。ちなみに、俺の中には、もしクラウドが逃げようとしたなら尻尾をつかんで強姦するところまで、いや、出来もしないくせに、ちょっと可能性に含めていた。

……切羽詰まると、人間何するか解らない。

「こ……ここで?」

頷く。

「いいだろ? 前に学校でしたときのお返し、してくれよ」

その時の貸しはその場で返してもらったはずだが。

「う〜……」

クラウドはやがて意を決して、膝を突いて俺のに顔を近づける。

先の蜜をいつも通りキスで吸いとって、亀裂に舌をねじ込ませ俺に尽くし始めた。手をそえて、まんべんなく舌を這わせて唾液を纏わせて、それをまた飲み込むように頬張る。

……なんか……どんどん上手になってくな……もう、多分俺より上手い。

口を離して、手を添えて袋も吸う。中の珠も舌で弄んで。そこからまた、つーっと先の方へ舐め上げて。

「……クラウ、ド」

名を呼ぶ俺の声だけで意図を察したか、再び喉の奥に付くくらい深く咥え込んだ。

少し口を動かされて、まるで突っ込んでるみたいな気になる。

「は……っ」

「ん……!」

クラウドの金髪を掴んで、俺はいった。

「……言うまでも、ないだろうけど……クラウド」

口を離すと、唇からつっと精液が糸を引いた。クラウドは俺の言葉にこくんと頷いて、飲み込んだ。

「……っ、な、なんでっ、急にこんなトコでっ」

一息ついて、クラウドは怒りがこみ上げてきたらしく俺をキッと睨んで怒った。

「……解るだろ、突発的にしたくなることもある」

間違えてはいない。クラウドだって尻尾掴まれたらすぐいきたがる。

「でもっ、おうちまで我慢出来るだろっ、恥ずかしいじゃん、こんなとこでっ。そ、それに、ゆうべだって二回もしたのにっ」

……言われてみると確かに相当恥ずかしい。けれど一時の欲求の迸りはそれよりも更に強い物なのだ。

「悪かったよ。……じゃあ、人が来るまでに帰るか……」

だがズボンを上げベルトを締めた俺には確信があった。まだ暫くは俺たち、ここにいることになるだろうという確信が。

俺はクラウドに手を貸して、立ち上がらせる。

「んっ……」

ぴくん、とクラウドは震えて体を強張らせた。

「どうした? ちゃんと立てよ」

しきりにズボンの前を気にしている。どういう状況になっているかは、改めて推理するまでもないこと。シチュエーションと、自分のしてることの恥ずかしさだけで、クラウドは感じてしまったのだ。

だから、立ちにくい。別のところが立ってるから。

「どうした? クラウド」

俺は呆けた振りで。だけど、後ろから抱きしめてクラウドのズボンの中に手を入れる。

「あっ……やだっ、さわるなよっ」

何とか反抗だけはするけど、だけど。

すぐにぬるっとした感触、先端に辿り着く。指先でぬるぬると撫でると、クラウドは俺の手にすがり付いて来る。

「濡れてるな……。何で?」

ズボンから抜いた指先を目の前に示す。俺から離れようとするけれど、しっかり抱き締めてるから、それは無駄なこと。

「やぁ……っ、やだよっ、離してぇ……」

ぴくんぴくんと震える体は、もう俺の腕だけで支えているような物だ。

膝には殆ど力が入っていない。クラウドのズボンを片手で下ろし、試しに一旦手を放すとクラウドはずるずると、落ち葉の散らばる地にしりもちをついた。

「ほら、かわいいお尻が汚れちゃうだろ?」

もっとも、俺がこれから汚すんだけど。

「う……っ、ぅ……」

また、両手で抱き上げて、立たせる。

「おうちまで我慢出来ないんだろ?」

指でつんと突つくと震えるミニチュアは銃口を斜め上方に向けている。俺に向けられて、撃ち殺されても別に構わない。……いいや、もう負けでも。乾杯、完敗宣言。

「セーター、捲って」

言われたとおり、クラウドは片手で白のセーターの裾から捲って、紅く膨れた乳首を晒す。ズボンはとうの昔に足元にずれ落ちている。この中途半端な裸がまた、いい。

「っふ……あぁあ……いやあぁ……」

細い首を仰け反らせて、もう多分、ここが外だっていう意識もないだろう。……俺にもないし。

「なぁ……男の子なのにここ、感じるんだもんな。っていうか、クラウドここされるの、大好きだよな」

この間されたときに、ふとクラウドが浮かべた疑問だ。俺にとって、クラウドがここ弱いっていうのは、ただ単に、難しいこと抜きに、クラウドが幸せになってくれるポイントだという意識しかない。ついでに俺も幸せに。

「やぁあ……やだよぉ……っ」

言ってみれば、ありがちだけど。

「体の方が正直だな」

「ひっ……ひぃい……ぁあっ」

指を絡めたそこ、軽く刺激をしたあと、ぎゅっと握って、動かしてやる。もちろん、さっきから溢れた蜜があって、それのせいで扱くとくちゅくちゅ音がする。

「クラウド、言っとくけどここ、外だからな。……どっかで誰かが、お前がいくところ見てるかも知れないぞ」

クラウドは俺の言葉に、必死にいくのを堪えてる様子だったけど、左手で胸の先、右手で一番弱いところを刺激されて、何も無い叢に向けて射精した。

「ひっ……ぃあぁ……」

「あーあ、いっちゃった。……クラウドがエッチだっていう事、ばれちゃったかもな」

「や……やだっ、やだっ……俺っ、えっちじゃないよぉ……」

「充分エッチじゃないか。……誰かに見られてるって思うと感じちゃうんだろ?いっぱい出てたもんな……」

ちょっと可哀相な気もしないでもないけど、火が消える前にまた薪を焼べてやればもう訳も分からなくなるだろう。

「ここも、欲しいだろ?」

クラウドの尻の方に左手を忍ばせて、片手で、乾いた指先を蕾に這わせる。入り口は先程の余韻で、未だひくひくと微かな震えを残していた。触れると、きゅっと力が入る。俺は再度手を前に回して、クラウドの放った蜜を指に絡め、

俺だけの場所――正確に言えば、俺とヴィンセントだけの場所に押し入れる。

「んあっ」

びくんっ、と体に激しく電流が流れる。ぎゅううぅっと俺のを締め上げて来るのに逆らって、俺は指をグイグイ奥に埋め込んで、折り曲げたり、回したりする。クラウドの幼稚な性器はまたむくむくと大きくなる。

「はぁっ、んっ、っ、いやぁあ……っ、指っ、ゆび、抜いて……っ、あぁんっ」

と言われても、食い付いて離してくれないのはクラウドの方だ。心はどうあれ、ココは俺の指、大歓迎らしい。俺は嬉しくなって、また一本入れる。

「ひっ……」

その二本を使って、まるで俺のが入って動いてるみたいに往復運動。擦れる感覚に、クラウドの声の甘さの比率が益々高まる。

「あぁん、やぁ……んん……んっ、っふ……ぅ……」

どうしても漏れてしまう声を必死に抑えようとするのだけれど、それはやっぱり無駄。もう誰に見られてもいいから気持ちよくなりたいっていうハシタナイ衝動が理性を食い尽くすのに、そう時間はかからない。

完全に復活して、またいきたがってるそこはあえて放置して、乳首をまた指でくりくりと弄くる。

「ああああぁぁっ」

タガが外れた。クラウドはピンク通り越して紅く弾けそうなほどの先端に自分の手を伸ばす。

が、俺はそれを許さなかった。胸に当てていた手で、クラウドの腕を抑える。

「やっ」

「……どうせ、一人じゃいけないんだから。……もうちょっと我慢して、な?」

「やぁあっ、ガマン出来ないよぉっ、俺のっ……もう、駄目なのっ」

「……いきそう?」

「っ、いくっ……もぉダメっ、んっ、あぁ……いっちゃうっ」

可愛い。

ああゴメンな、お前にはやっぱり敵わない、俺の負けだ。

「お利口さん……素直になったな」

「あああぁ」

クラウドの砲身に手をかけて、さっきと同じ形でいかせてやる。けれどさっきと違うのは、さっきよりも薄いからより遠くまで精液が飛んだ、ということ。

「あぁ……っ……はぁっ、ん……」

ひくひくと、中に入ったままの俺の指を不規則に締め付けながら脱力していく。紅く震える前を一なですると、また震える。そろそろキツイかな、と思ったけど、でも俺の方が今もっとキツイ状態だし。

「なぁ……三回くらい、出来るよな?」

耳元で囁く。咄嗟に逃げだそうとする。

「っ……やあぁ……」

けれど、片手で簡単に抑えられる。木に寄りかかって、クラウドを抱上げて、俺の指で充分慣らした後孔をゆっくりと穿つ。

「やだっ……もうっ……口でしてあげるからぁ……」

「遅いよ……もう入っちゃった。……指で充分しておいたから、痛くないだろう?」

両の太股を支えて、けどそのままだと前に落ちそうだからクラウドは後ろ手を俺の腰に、爪を立てる。

セーターは、新しいの買えば済むことだ。……あ、でもこのセーター結構良い奴……。

「ふっ……ぁあ……ああ……っ……すご……い……ザックス、あつい……」

……でもまあいいか。

覗かれてたとしたら、もう、どうぞこれをオカズに抜いてくださいと言わんばかりの体勢、クラウドと俺の繋がってる部分も丸見えだ。もちろん、クラウド本体も。

真っ正面に立ったら精液引っ掛けられるかも。いや、でももうそんなたくさんは出ないか。

「ねぇ……っ、んっ……ザックスぅ、っ、はやくっ、うごいて……」

嫌がってたくせに。

舌足らずに甘える声はもうただの淫乱のそれ。断れない俺は変態。

今はどうでもいいことだ。言われたとおり、激しく揺する。

クラウドの中は貪欲に俺のを求めて、深い収縮を繰り返して快感のままに乱れている。

「ああぁんっ、んっ、んんっ」

「……クラウド……どうだ?」

「はぁあっ、あんっ、っ、きもち、いいっ、……ああぁっ、ザックスっ、……まえも……、ちんちんもしてぇ……っ」

いくら魔晄&ジェノバ入りでも、手が三本あるわけじゃないから難しい注文だ。

仕方なく、俺は片手を離してクラウドの右足を解放すると、その手でクラウドのをする。

「……大丈夫か? キツくないか?」

「んぅ、っ、へいき……ぃぃい……っはあっ、あああっ」

痙攣して、クラウドの先端からはまた白濁が少し飛び出し、そのあと勢いなくポタポタと滴る。昨晩からトータルで五発、そろそろ空っぽに近いかも知れない。だが、まだやめる訳には行かない。俺はまだ、だからだ。

「あぁっ、あああっ、おれっ、もぅ、しんじゃうよおぉ……」

いった直後でも無慈悲に与える快感。

「ッ……ぅ……安心しろ、……俺がっ、お前を殺、したりするわけ、ないだろ?」

そういう問題ではないだろうと冷静に自分で突っ込んでみたりする。

「いっ、ああぁっっああああ……ぁあんっ」

「っ……ぅあ……ッ」

激しい締め付け、本当はもう、直ぐにでもいきたい。

……まぁ、もう完敗宣言はしてるから、いつ出してもいいんだけど、でもやっぱり、最後は一緒、がいい。

「はやくっ……ざっくすぅ……俺、も……ぅ、あんっ、ぁぅっ」

俺たち二人、同時に激しく震えて、到達。

クラウドのからは、これだけ放っても一応、白く濁った精液が少し零れた。

 

 

 

 

うー。

「へんたいザックス」

結構無理のある体勢でしたから、クラウドの腰を痛めてしまった。その為におんぶして帰ることになってしまったのだが、その帰り道の間中、ずっとクラウドからぶちぶち文句を言われている俺。

「あんなとこじゃフツーしないよ。変態。おねえちゃんに電話しちゃおうかな」

「っ、ちょっ、待てよ、それだけは勘弁……」

「やだ。絶対するもんね。ザックスがえっちでヘンタイでゴーカン魔なんだよって。言って怒ってもらうもん」

「お、お前はユフィの雷を知らないからそんなことが言えるんだぞ。アイツが怒ると……」

少なくとも、「血祭」に上げられてしまうのは間違い無い。真剣に、死んでしまう。死んだ上に、ファイガかけられて、灰にされるかも知れないと思う俺の予想は決して大袈裟ではないだろう。

「知らないもん。まったく……ザックスのばかっ」

「クラウド……」

俺今すごく情けない。なんか、本家本元のザックスみたいな状態だ。

……負けるにも程がある……。

後ろ手、ふりふりと不機嫌な尻尾を。

「ふにゃ!?」

感じさせてしまえばこっちのもの。……どっちにしたって負けるのだけど。

「なぁ、クラウド……ユフィには、ナイショな?」

「んぁあっ……もぅ、でないよぉ……」

 


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