居留守マイル

確かに俺たちはこの誰よりも美しい子供にいろんないろんな、愛しいゆえの悪いことをしては来た。だけどそれは、いつも言うように心からこの子を、「愛してる」それだけの理由からなのだということはこの子もきっと気付いていること。俺たちは、「俺たちはどうでもいい、だけどお前だけは幸せに」、そんな薄っぺらな事はきっと言わない。俺たちの根底にある気持ちは、「いっしょに、幸せになろう」、俺たちの不幸せがお前にとって、幸せであるはずがない。お前をそんな気持ちだと評価することは、とても失礼なことだし、実際お前は誰より、優しい。

優しいお前の笑顔は、やっぱり優しい。はにかんだように、にっこりと、目を細め唇に甘いラインを描く。俺たちは――いや、限定しようアイツがどういう気持ちかまでは解からないし予想するのは申し訳ない、俺は、その笑顔に、幸福を見出す。「笑う」ということの裏側に見たくない色彩を含んだ笑顔は、どこか固かったり軽薄そうに見えたり、見る側にも不快感を与える代物。だけど、この子の笑顔は……、百万ドル? いや違う。何か、無形の、「柔らかいもの」だ、相変わらずボキャブラリー乏しくて、上手い言葉が見付からないんだけど、でもほんわかしてて、ふんわりしてて、手触りはさらりとしていて。特に、眠そうな時に浮かべるそれは格別だ。砂糖って、たまに舐めるとしびれるみたいに気持ちいいよな、あの感覚。いつでもこの子を胸に抱いていたいと思うんだけど、でも胸に抱きしめてしまうとその笑顔、見たくても見られない、それがちょっと残念。

でも、俺たちの行為がエスカレートしてってるからか、最近はこの子の、そんな柔らか笑顔を見る機会に恵まれない。考えても見れば、セックスしてるときは大体、眉を寄せて涙を浮かべるし、あんまりセックスしたがるもんだから、抱きしめようとすると、ひどいときは爪が飛んでくるし。

いや、笑わなくなったという言い方はおかしいか。もちろん、笑いはする、くすくす笑ったり、きゃあきゃあ笑ったり。でも、あの柔らかい微笑みに出会う機会が、少なくなっているのは事実なのだ。

ああ……。

けど、昔の俺を見ているような気がする。ザックスと暮らしていた頃の俺。あいつも、今の俺と同じですぐに抱いてきた。俺は当時は、抱かれるのが嫌、というか恥ずかしかったのに、アイツときたらいつでもどんなときでも、粘着質にまとわり付いて来ていたから、自然とアイツに対して素直な微笑みを浮かべる回数は減ってしまう。内面に「あんたのこと好きだよ」って気持ちを抱いていてもだ。「笑ってよー、可愛いクラウドちゃん♪」などと言われてはなおさら、へそがぐるぐると曲がっていってしまう。「知らんッ」て殴って、ひとりのベッドを目指していた。

きっとクラウドの内面には今でも、ころころ笑ってた頃と同じ、いや、当時以上の微笑みがあるのだ(と俺は信じている)。だけど、俺がこんな風なものだから、その笑みに雲をかけてしまう、発動する機会はずいぶん少なくなってしまった。

反省すべき点はいくらだってある、ヴィンセントがああいう力を持っているものだからますます調子に乗って。散々嫌な思いさせて泣かせた後、「愛してるよ、大好きだよ」ってぐりぐり撫でてごろごろ言わせても、そりゃ彼としては不快感ばっかりが残ってしまうだろう、全ての行為が愛情によってのことだと解かってはいてもだ。

俺は当時のザックスの年齢を既に大きく越している。なのに、彼とおんなじレヴェルの愛し方しか出来ていない、それってちょっと、よくないんではないかと、思う。ひょっとしたらこれから先、クラウドの笑顔に会うチャンスはどんどん少なくなっていって、いつかクラウドは全く笑わなくなってしまうのかも知れない。一応、ガッコに行けば、ジャミルやアルベルトとサッカーなんかをして楽しく遊んでいるし、その時には笑っているけれど、それを盗み見るだけになったりして……。

それはちょっと、いや、すごく、いや、ぜったいに、嫌だ。

だから俺は、お前に、前のような、俺のことを好きってだけで浮かんでくる笑顔を見せてもらえるように、ちょっと努力をしてみようと思う。出来ることなんてそうたくさんはない――だってこれ以上お前を愛するなんて。上限を既に超えてるんだぜ?――けれど、その「出来ること」を一つ一つ確実にこなしていくことから、始めよう。自分がしていることの、どれが彼の笑顔の妨げになっているのか考えてみる。

いや……「どれ」とか、じゃないよな。 単純に一つだ、セックス、性行為、そしてそれに付随するいくつもの行為。月にかかる群雲はそれ以外にない。風情なんかよりも俺は単純にカスタードクリームみたいな甘みが欲しいんだ。だから、綺麗に払ってしまおう、吹き飛ばしてしまおう。

セックスは、楽しいとか嬉しいとかじゃなく、単純に気持ちいい。大好きなクラウドが相手ならなおさらのことだ。クラウドの服を脱がせて(あるいは脱がせないで)身体を密着し、元々一つだった身体に回帰する。細胞が一番最初にざわめいて、「嬉しい」と歓喜に震え出す。声になるのはせいぜい「大好き」「愛してる」くらいだけど、きっと身体からはもっと複雑で入り組んで、そして大きすぎる心の声が滲み出している、例えばそれは上がってしまう呼吸であり、早くなる心臓であり、勃起する性器であり、上昇する体温であるわけだ。そしてそれを重ねあった結果が、快感なのだ。

「気持ちいい」って言い合い、同じ「好き」を交わし合うための行為なのに、クラウドが何でそれが嫌いになってしまったか。腕を組んで胡座を書いて考えてみる。

記憶をたどってみると、クラウドが生まれてしばらくは、「夢精してパンツを汚さないために」って名目でセックスをしていたような気がする。いや、もちろん俺だってすぐに彼のことが好きになったし、彼に対して性欲も抱くようになったから、セックスは楽しかった、けど、そんな頻繁にやっていたわけでは無かったような気がする。クラウドがベッドの上で、膨らんだパジャマを抑えて、「ざっくすぅ」って甘えた声を出す……、そこから始まるセックスだったように思う。そして、回数も一回か二回――少なくとも、彼のあそこが、立つとズキズキ痛むような状況になるまでは、しなかったと思う。いってるのに精液が出ないなんてことは、少なくとも無かったはずだ。だから、彼としてもセックスは「オネショしないため」って考えがあって、変な言い方かも知れないが「協力的」だった訳だ。

ところが何度かするうちに、俺の中に、悪い物が芽生えはじめてしまったのだ。クラウドが可愛く、例えば風呂場とかでもあんまりじっとそのお尻その他を見つめてると、某所が言うことを聞かなくなるようになって、寝ても醒めてもその身体が欲しくなる、そんな状態になってしまったのだ。身体が「クラウドは、いい」って覚えてしまったのだ。実際、自分のことながら神羅兵をやってた頃に三人の大人を狂わせた身体であると考えれば、合点の行くことではある、決して自己陶酔に浸るわけではないが。ベースがそれで、しかも可愛い猫耳に、感情がすぐに出てしまう尻尾と、色っぽい色の肉球、ふわふわ毛皮。それだけ揃えられてしまうと、ちょっとこっちだって弁解の余地はあるような気がする。しかも、「またたび」という媚薬の存在は、俺たちの関係をさらにいけない方向へ導いてしまう。ヴィンセント、そしてカオスの登場もあって、クラウドはどんどんセックス嫌いになっていく。いや、セックスは好きなんだろう、あんな敏感に反応するし、してるうちにまたたび使わなくても「もっとぉ、いれてよぅ」なんて言うようになってしまったし。セックスをしてる最中の俺たち、そして、乱れてしまう自分が、嫌いなのだ。

でも……。セックスって、悪いことじゃないんだ。確かにあまりたくさんやりすぎると、集中できなくなったりもするけれど、そういう治療はヴィンセントがしてくれるし、出来ないで鬱々としてたりするよりはよっぽどいいし、何より、「好き」を伝える一番原始的で野蛮で、だけど「だからいい」やり方なんだろうと思うけど。違うかな。

まあ、ここのところ、あの子とのセックスの内容がエスカレートしているのは事実だ。俺がされたらちょっと嫌かなってことも、やらせたりしてるし。「セックスが好き」だからといって、全ての前戯を良いと言えるわけではないのだ。それは俺自信身を持って知っているはずなのにな。

……。

結論を言ってしまえば、しばらく控えることだ。必要最低限のセックスに抑えること。あの子は性的に「強い」という結論はこの間出たけれど、早漏だし、そんなやりたがりでないことはもちろん分かってる。昨日さんざん鳴かせたから、三四日はムラムラ来ないだろう、俺は来るけど。

いざとなったらヴィンセントっていう手もある。

かくして。

俺はクラウドに求められるまで、自分からはセックスを求めないことに決めた。ヴィンセントにもクラウドを抱かないよう頼んでおいた。「いざとなったら」って言ったら、彼は案外素直に「お前を抱くのなら、構わないぞ」と。結構お互い、風呂とかベッドとかトイレとか、クラウドのあそこを拝むチャンスのある場所では、自信が無かったりするのだ。

とにかく大好きな可愛いお前の可愛いあそこ。しばらく、ちょっと、触んないでいてみよう。

 甘い優しい笑顔を見るためにも。

 

 

 

 

セックスはしなくても、俺とクラウドは割と、密着する機会が多い。クラウド、もうすぐ四年生になるって言うのに、成長しない身体をいいことに相変わらず甘えん坊。そういうそぶりは出さないようにしているらしいけど、例えばソファで横になって、新聞広げていると側に寄ってきて、無意識のうちに尻尾が足に触れている。俺が新聞たたんで、抱っこしてやると、目を丸くして、不本意なことをされたみたいな顔をする。だけど耳を撫でればすぐ……、ごろごろ、ごろごろごろごろ。俺に擦り寄って、うにゅぅん、だって。そこからふわって愛が広がる、たまにそこで、俺が硬直してしまうのも解かる気がするだろ?

クラウドの身体を、逃げないようにぎゅってして、ほっぺたに、唇にちゅってして。シャツの上から乳首をいじくればもう俺のもの。 でも、二日間それをしていないわけで。新聞を読んでるとやっぱり尻尾を俺の足にそっと乗せて、俺を誘惑してる。駄目だよ、クラウド、俺、お前のあそこをトイレで見てるだけでおかしくなりそうなんだから……。

しかも間の悪いことに今日は一緒にお風呂。見るだけでなく、触んなきゃならない。正直言って自信はない。だから。

立ち上がる。クラウドは少しつまんなそうに、俺が横たわってたソファにごろり。皿洗いを終えたヴィンセントをベッドルームに引っ張って、口で。キてるものだから、俺は節操なし、クラウドもヴィンセントも口の良さは同じだなんて思ったりして。同情心も含んだヴィンセントの舌が、俺を丹念に味わってくれるものだから、本当に、すぐ決着。

「……濃いな……」

「ん……うん、……気持ちよか、った……」

ついでに、俺も熱い熱いヴィンセントのそれを。……大人のこの人にフェラするのなんていつ以来……? なんだか嫌な感じがするほど美味しくて、つまりはよっぽど俺もサカっているんだなと思う。一発抜いてまたちょっとキたから、……ごめんね俺、

「しょうがない子供だ」

から、もう、一回。

「あんん……ん……」

こういう時の声は、ほら、子供みたいでしょう、上ずって掠れてて。

 

 

 

 

クラウドとの風呂は楽しい。普通、小学校三年生の男の子が、チョコボのオモチャを大事そうに抱えてお風呂に入るなんてことは、まずない。ただ、そこは一般よりも発育が遅く、俺たちもまた彼をみんなと同じように教育する必要は無いと思ってるから、いいのだ。それにこっちのほうが可愛い。チョコボがぱちゃぱちゃ進むのを嬉しそうに眺めるクラウドを、水の中、腹と背中を重ね合わせて俺は感じる。そうして、いつも百まで数えてから上がる。変なことなんて何もしないのに、ピンク色に染まったクラウドの身体をふかふかのバスタオルで拭いてやる。全身から揃いの匂い、ありきたりな幸せを感じながら、冷めないうちに布団に潜り込む。 セックスをするときはちょっと様子が違う。身体を洗ってる時から、その体勢に持って行ってしまうのだ。ボディソープで身体を、手のひらで洗う。ただし、乳首と性器、それからお尻の穴を重点的に。よく泡立てて、可愛い所を覆ってやって、「可愛いな、でも、少しいやらしいよ」とか言ってやると、怒った顔をするけれど、言葉が彼の胸の奥を、くすぐる。泡の下、あれが少しずつ形を変える。「冗談だよ」って泡を流すと、もうすでに、俺の顔を指し示している。そこから戦闘開始。「全く、触ってもいないのにこんなにしちゃうなんて」みたいな、羞恥心をそそるような事を言えば、クラウドはどんどん興奮する。あとは口に含むなり、手で扱いてやるなり、それともわざと放置するなり。クラウドは据膳、どこから手を付けたって構わないわけだ。大体は、美味しそうだから口で食べちゃうけど。

今日も、そうしたい気持ちでいっぱいだ。いや、正直に言ってしまえば、今お前のパンツを脱がせた、顔のすぐ目の前に、ふわりと揺れるもの、それにしゃぶりついてしまいたい欲求を止めるのに、俺はかなりの努力を要した。そして脱がせたパンツを持ってどこかに閉じこもって、一発抜いてやりたいくらいの気にもなった。いや、――嗅いでみたけど実際すごく、いい匂いだし(悪いな変態で。けなしたきゃけなしな)――、正直むらっと、来た。いけないイケナイ。俺もトランクス脱いで、前を隠して入る。普段は正々堂々入るのだけれど、今は、ちょっと……。

肩にお湯をかけて、腰掛けに座らせる。……ああ、お尻と尻尾がこちら向き。巻いたタオルの中、湯が流れる珠の肌に、ぴくっ、だって。

「……お湯、温度、大丈夫か?」

「ん、ちょうどいいよ」

せめてうわべだけでも平静を保つ努力をしながら、背中から、洗っていく。こんなことで興奮していてどうする……、この後まだ、股の下とチンチンも洗わなきゃいけないのに……。でも、……ほんとに、背中に押し付けて擦ってやりたい気になってくる。さっきヴィンセントの口で、二回もイッたくせにこの体たらく、俺ってそんな弱かったのか? 息を止めながら、クラウドに、こっちを向かせて立たせる。

だから、目の高さに……。

我慢して、前かがみになりながら、首、肩、胸、腰……、あそこ……、股下………、洗っていく。タオルで擦れるのだけでも、気持ち良すぎてどうにかなりそうだ。俺はだから、背中を向けて自分の身体を洗わなきゃいけなかった。しんどいんだよ、もう……。だから、

「洗ったげようか?」

なんて、首を傾げてそんな美味しい台詞言わないでくれ……、お願い。でも、クラウドは俺の手からひょいとスポンジを取ると、優しく撫ぜるよな心地で、こしこし。なんか、ほんとに、意地悪なんだからお前は……。

「いっつも、思うんだ。ザックスの背中って、大きいなあって……」

俺はとうとう我慢が出来なくなってしまった。クラウドに軽蔑される未来を予測すると、何だか逆に興奮してしまう。俺も結構なマゾヒストなのかも、「最悪っ、なにやってんのザックス!? こんなところで、……この変態っ」そんなクラウドの、軽蔑しきった視線……あ、あ、結構、いいかも……。クラウドはまだ、気付いていない、いっそ気付かせて強姦……、それも、可能だろう、……嫌がられるだろう、だけど、悲鳴が余計俺を、急かせるのだ、きっと。足の間、タオルを持ち上げるところ、ばれないようにタオルの上から先を擦った。ああ、駄目、声出ちゃいそう……。

「にゃん?」

すっ、と寒くなった。冷たい風がながれ込んだ。何かと思ったら、扉が開けられて。 にっこり笑って、ヴィンセント、しかも猫の。

「僕も、一緒に入れて?」

腰にタオル、後ろを伺うと、大人の服が無造作に脱ぎ捨てられている。

クラウドに腰掛けを借りる前に一瞬、俺の耳元で「……助けに来たぞ」と。

「ザックス、クラウド、あのね……僕」

ヴィンセントはぽっと頬を赤らめて、切り出した。

「……ひとりで待ってたんだよ? 二人が上がってくるの。……でも……あのね?」

ヴィンセントは俺の腰に両腕を巻き付けて、頬擦り。何事かと見ていたら、

「……あの……、したく、なっちゃったんだ……。ザックスのが欲しくて、クラウドの中に入れたく、なっちゃった……」

「え……? あ!」

ヴィンセントは俺の腰タオルをさっと捲ると、そこに顔を突っ込んだ。でも、舐めるわけじゃない、舐めてる振り、首をふるふる振って、まるで、してるかのように。

「……ん、……ふっうぅ……」

そんなくぐもった声出して……、でもそれがほんとに上手い。しゃぶられてるみたいな気になって、俺は彼の目の前のそれを、また震わせてしまった。

「……ヴィン……セント」

戸惑った声を上げると、彼は顔を上げて、クラウドの方を向く。

「……くらうどぉ、いっしょに、しよ?」

「え? でも、おふろ……」

「すぐ入らなくても平気だよぉ、ほら、見て……、僕もザックスも、こんななんだよ……?」

「にゅ……」

クラウドの視線が俺とヴィンセントの、大きさも形も全然違うけど全く同じように硬化した物を順に見た。その目にコレは、とても甘そうに見えるのだ。まるで砂糖菓子。

たらんとしてたところが、少し、ふっくらする。

「……わかったよぉ」

クラウドは「しぶしぶ」という演技をした。ふっくらしたところは、むくむく、そして、ぴん。スイッチ、オン。

「……僕、クラウドのお尻、してあげるから、クラウドはザックスの……」

「ん……」

ヴィンセントはクラウドの後ろに回って、尻に顔を突っ込む。

「ひゃぅ、うぅん」

ぷるぷるっ、震えて、クラウドはかぷ、と俺を咥えた。

「あ……っ」

思わず、声が出てしまう。二発いったばっかりだぜ? ……なのに、すごい、気持ちいい、いい、……あ、……いい。

「……くら……クラウド、気持ちいいよ、……はぁ、クラウド……あん……」

なんだか、ヴィンセントに犯されてるときに出るような、カマっぽい声が普通に出てしまう。クラウドはちょっと驚いたような顔で俺を見上げたけど、すぐまた、かぷん、ちゅっ、ちゅっ、ぺろぺろ、くちゅくちゅ……。時折、ヴィンセントの舌に「ん、ふんん」と鼻声を漏らしながら。

「あ……あ、……んっ」

ちゅううう、って吸われて、俺はもう辛抱出来ないまま、クラウドの口の中に。本当に今日三回目か? さっき実は出してなかったんじゃないか? そう疑念を抱くほど、濃いということが自分でも分かるようなのが、出た。クラウドはそのまま、俺のを口から出しはしたが、ヴィンセントに尻をされているものだから、身体を起こせない。俺の腰に抱き着いて、腰をふりふり。

「ひ……ふぅ、んん、ぅん……あ、むぅ、……ああ」

喘ぎながら「ん」と「む」で俺の茎を流れる液体を貪欲に啜る。ヴィンセントが口を離して、尻ごしに、に、と笑う。「感謝しろよ」って、口が動く。そして、また切なげな顔をして、乞う。

「……くらうどぅ……、僕、クラウド、飲みたいよ……」

「えぇ……?」

「クラウド、ザックスのお尻入れて、いいから、咥えさせて? ……のみたいんだよぉ……」

ヴィンセントは、クラウドの頬におねだりのキスを何度もして、クラウドを降伏させる。この人は……、ほんとに、……こういうの上手いよな。

「そしたら、ざっくす、クラウドのあそこ、僕に見えるように、して?」

俺の欲求を、すごく上手に、ヴィンセントが叶えていく。俺は「言われるまま」に、クラウドを起こすと、一応肛門に指を入れてくちゅくちゅしてから、太股を支えて持ち上げる。そして。

「や……はぁ、ぅん! ……ぃい……あ、つぅ…あつぃい……」

滾る俺を差し込んでゆく。向こう向きの股間にヴィンセントが顔を埋め、ちゅぱちゅぱと吸い出す。クラウドの尻の穴がひくひくってして、俺を締め付けては、

「おっきぃよぅ、ざっく……おっきいぃ」

って泣き声を。

「……あ、ひ……ひはぅ……ひゃ…っ」

全身が排泄した後みたいに震える。ヴィンセントはちゅうちゅうと音を立てて吸い、一滴残らず口の中に。そして熱を持った視線で顔を上げ、立ち上がると、俺の口にそれを移してくれる。……サンキュウ……。

「……ん、んー、んんぅ……」

「自分からは、動くなよ」と、ヴィンセントが耳元、俺にしか聞こえない声で忠告した。お前の意志ではない、クラウドが自分で抱かれたいと思っているのだ……。

「……んー……ふう、ん、ん……」

欲望のリメイクが完了したクラウドは、太股を持っているだけで、なかなか揺すってあげない俺に焦れた。お尻を締めるたびに上下する性器をもてあまし、それでも十五秒は保ったのだ。ヴィンセントはその間、猫手でオナニーを始めている。クラウドの裸体を切なげに見て、両手で淫茎を挟んでさする。俺はぞくぞくして、クラウドの身体を揺すりかけたけれど、彼がここまでしてくれているのにそれは、不義理というものだ。

「あぁ……んん、あ、……きもちいぃ、よぉう……、あふ……んにゅう……」

クラウドも、ヴィンセントの淫乱っぽい姿と声に視線を奪われてしまう。そして、また、きゅ、きゅ、って。 とうとう、彼は折れた。

「……ざくしゅ……、おねが……おしりぃ、うごかしてぇ、中に、欲しいのぉ」

言葉が終わってからも、念のため根性で三秒待って、俺は、やっと欲求に素直になった。クラウドのお尻は、たったの二日ぶりだっていうのに、すごくすごく新鮮な快感があった。

「ざっくすぅ、ああ、あ、あひぃん、いぃん、っふうぅ、んっ、きゃう、んっ、んっんっ」

クラウドにとっての「二日」が長いものか、そうでないかということは、俺には判別できない。俺が「久しぶり」と感じるからか、クラウドの声はすごく艶を帯びて、そして壊れていた。精液みたいにとろとろして、粘っこく俺に絡み付いた。 幼い樹液を、自慰に酔うヴィンセントの桃色の身体に撒き散らし、クラウドはいった、俺も、連れて。

 

 

 

 

振り出しに戻る。

いや、まあ、参った。せっかく二日待ってたっていうのに、無しになってしまった。二日じゃクラウドは音を上げないってことが解かっただけでも収穫か。つまりはあと三日四日、また……。 今日は再び、二日目。腹の底の方に、むずがゆい愛欲がとぐろをまいている。

セックスをしない、いや、出来ない、そういう前提でいると、クラウドと一緒に寝るのが辛くなってしまう。クラウドを抱くシチュエーションは、多くの場合がベッドの上で、だからだ。彼の柔らかな微笑みを見るために、性の抑制を効かせ続けているうちに、なんだか乱暴をして、一生その微笑みに会えなくなる危険性があるような気もしてくる。

だから、目的を達成出来るまで、ヴィンセントに預けることにしたのだが、この男がクラウドを好き放題にしないという保証も無い。ヴィンセントは「私はお前とは違う」と言うが、その気になってしまえば無限の湧き水のごとき性欲を発揮するのだから信頼出来ない。欲深いこの男は、俺の頼みに「ならばお前を」と言って、俺を組み敷いた。

クラウドの笑顔を邪魔するのは俺と、そしてこの男の下品な心に他ならないのだ。ふんわか、太陽を吸い込んだ布団みたいな、微笑みを想って。お互いの心を打ち付け合う。だから……、噛み付くなよ、痛いから……。

とりあえず一つ済んでベッドにぐったり。身体を拭かれている最中、髪を引っ張った。

「……猫」

「代わりに使って欲しくはないな」

「俺のこと代わりにしただろう」

「まあ、そうだが」

綺麗にしたばかりだぞ、彼は呟くと、俺に覆い被さる。体重がずっと軽い身体の柳腰に手を廻すと、よく似た声で、「しょうのない人だ」と。目を閉じてしまえば、毛足が長いこと以外は気にならない。眼前に据えられた菊門も同じ物で、肌の滑らかさも寸分違わぬもの。ヒートアップする体温だって。あの子のものが俺と同じなら、この子のものはあの子と同じ。だからひょっとしたら俺とも同じ。似ても似付かぬ形だけど共通項を見つけられれば幸福感が迸る。俺も今度、「にゃあ」なんて鳴いてみようかな、あんたたちと同じになれるかも――いっそあんたに耳と尻尾付けてもらおうか。

「……あ、…っん……ぃ、い……」

そんないろいろを考えながら、く、く、と自動連結器。あのね、先っぽが、ぬるぬるした肉に包まれて、震えてしまうほどにいい。クラウド相手のときには抑える努力をする声が、黒猫相手だとスルーして出てしまう。

「クラウド……、ふっ、……ん、ぅんん、あ……、なんか、いろっぽい、かわいぃ……よ」

切なそうに笑って、俺の首に腕を。そうしたらもう、ほら、裸の肩しか見えないでしょ、そこだけ見たら、目を閉じて……僕、クラウドだよ? 繋がってからは夢の中。手の中に納まったものだけに違いを覚えながら、腰を揺すって、懐かしのあの笑顔を求めていた。 だけど、こんなことをしている俺を知ったら、軽蔑のまなざしを向けて、もう笑ってくれなくなるのだろうか? 余韻はいつも、後悔に塗れて。

「早いところ目的を達してくれないと」

胸の上に乗って、尻尾を揺らす。

「僕も辛いよ、ザックス、僕のこと全然見ないんだもの」

悪趣味だけど優しい恋人を強く抱きしめて、でも、多分、……明日も、お願いします。

いじけたようにいいかげんなキスを二度して彼は立ち上がる。ぶかぶかの服を着てから、元の姿に戻る。少し疲れた背中が、ごくろうさま、だ。

「手淫する分には構わんが」

ヴィンセントは、あの子のあの笑顔を見たいと願う俺の願いが叶うことを願ってくれているのだ。懐の深さに、甘えてしまう自分が少し恥ずかしい、でも、こういう、一人では叶えられないような願いに向き合うときには、あんたの存在がすごくありがたい。

「出来ればあちこちに散らさないでおいてくれ」

「ちゃんとティッシュで……」

「別にお前の精液なら嫌悪感は抱かん」

反対に、俺はこのひとに何か出来ることがあるのかな、そう自問する。ちょっと、自信が無い。

とりあえず暫く、クラウドに平和な夢を見せてあげてください。俺は今夜も眠れない。

「ああ、そうだ」

振り返って、サイドボードを指差す。

「二番目の引き出しに、デジカメが入ってる。必要に駆られたなら、見るといい」

中味には、最後に――と言っても一週間も前じゃないが――した時の画像が何枚も。

覗かれていたことなんかどうでもよくて、見てしまったことによって生じた必要性に、俺はだから、今夜も眠れないのだ。

 

 

 

 

新婚夫婦の夫の方がげっそりして会社に出てくるというのはよくある。要するに、まあ、夜のあれがあれで、睡眠時間があれなものだから、体調不良であれ、って感じの。ぶっちゃけて言えば「やりすぎ」でぐったりしてしまうというものだが、今の俺は逆。精神的栄養失調に陥っている。毎日ヴィンセントが奉仕してくれるけれど、追いつかない。なまじおかずになるような写真があるせいで、ごはんが進むこと進むこと。そして、それでもまだお腹が減ってる。

「も、やだよ……つかれた」

まだ二回しか、してないのに。

「そうだけど……、この身体はヒトガタよりずっと弱いんだ、手加減してよ……」

尻尾を握ればきゅうんと泣く、少年の身体をこき使う。

「覚えていろよ」

怖い声でそんなことを言う。うん……、ほんとうに、ごめんなさい。 とにかく、ヴィンセントの全面的な協力のおかげで、俺は一週間、クラウド無しで耐えた。もうそろそろ、……クラウドの「にっこり」が見られてもいいんじゃないかと思う。頭を撫で撫で、してやったら「ザックス、だぁいすき」って。 ……ただ、その「撫で撫で」しようと近づくことが今の俺にとってはちょっと危険なのだ。多分俺の精巣って、二層式になっていて、ヴィンセント相手に何発いっても、「クラウド対応」の階層には手付かずの状態でたぷんたぷん、入ってるんだと思う。クラウドがちょっと揺らしたら零れてしまうのだ。

「ザックス?」

真っ昼間だっていうのに俺は、お前といるだけで、こんなにみっともない。ヴィンセントはよそ見してるふりして、俺を見つめてる。俺は頬杖付いて何でもない振りして、さわやかに笑って見せる。

「どうした?」

「……いや。なんか最近、元気ないから。風邪とかひいちゃったのかなあ、って」

優しいんだなクラウド、そう、風邪、熱、さまして欲しいよ。

「大丈夫、元気だよ。ちょっと疲れてるだけだ」

「そう……」

ならいいんだけど、その言葉とは裏腹に、クラウドは釈然としない表情を浮かべる。確かに、最近、学校もお風呂もヴィンセント任せだったり、何より一緒に寝ていない。それもこれも、そんな心配そうな表情ではなくて、羽毛の微笑みを見るためなのだ。そのたくらみはもちろんバレようはずもないが、報われるのかどうかわからないので辛い。いっそ、「お前のために」って教えてやりたい。ホントは俺のためなんだけど。

「……ほんとうに、大丈夫? ごはんもあんまり食べてないよね?」

細かいことに気付いてくれる。俺がお前のすることの、日々の小さな差違に神経をとがらせるのと同じように、この子もそうしてくれているのだと思うと、心が煮崩れた蕪になってしまう。抱きたい、抱きたい、我慢して、触れない。

「ありがとう、でも俺は平気だよ、心配要らない」

曇ってしまった表情をすっきりさせるのは容易な事じゃない。それこそ「ふんわり」の笑顔どころではなくなってしまうのだ。

「学校は……どうだ?」

話題を変えてしまうのが一番近道だ。関係無い話をして俺の具合なんて忘れてしまえ。そして俺も、その話に便乗して何とか自分を抑えるから。

「うん、学校……。楽しいよ」

「そりゃそうだろうけど。……何か変わったこととか、面白かったこととか。あったら何でもいいから聞かせてくれよ」

「んー……」

ちょっと考えてから、クラウドは少し寂しそうに笑った。何かを思い付いてしまって、それが何だか悲しいという笑顔。だから、お前のそんな顔は見てたくないって。俺のわがままな気持ちだけど、切ない思いをさせたくないんだ。

「……ザックスもいっしょに行ってれば、そんなの聞かなくていいのにね」

本当に原因は俺のわがまま。別に……いいじゃないか、笑ってくれなくても、側にいてくれるだけで……。俺は俺の責任を果たせばいい。クラウドだって、怒りはするけど認めてくれるんだから、抱きたいときに抱かせてもらって、笑ってくれなくてもクラウドのとなりというかけがえの無い場所にいればいいじゃないか……。

いや、でも、……やっぱり笑わないお前は嫌だ。クラウドを、笑顔にするということの意味をよく知っているから、嫌なのだ、笑ってくれないのは。 ただ表情筋を動かすというだけじゃないんだ。

「そうだな……。じゃあ……明日は」

「明日は第四土曜だから、おやすみだよ」

「……週明けには、一緒に行こう、クラウド」

「うん……。でも、無理しないでいいからね? 具合悪いなら、おうちで」

「だから。具合が悪いんじゃないって。……ちょっと家で、考え事をしてるだけだよ」

ずいぶんとごたいそうな考え事だ。

決意と言っては変だが、この週末の間に問題を解決させよう。いい事なのか悪い事なのか、どっちをしているのかわからなくなってしまいそうで。

「いつかチャンスは来るさ」

うたたね中のクラウドの顔を覗き込んで、ヴィンセントは言った。何だかむなしい励ましのお言葉だ。

「それに、笑わないからといってこの子はお前の事を嫌いなわけじゃないんだ。泣きそうな顔や不貞腐れた顔でも、愛してると言うだろう?」

無い物ねだりに固執するガキみたいになりそうで、俺は苦笑いを浮かべた。こんなカッコつけも、大人っぽく振る舞うガキみたいで、気に食わなかった。

「これ以上クラウドを寂しがらせるつもりはないだろうな」

「もちろん。……今日からまた、一緒に寝るよ。風呂にも俺が入れる。……ありがとうな」

「……この子がお前の愛情を理解していないわけでは無いと思う。ただ、感情が笑顔とは別の場所で働いているだけのことだ。それに笑顔は観葉植物じゃないんだ、見られたら幸運というたぐいのもの、だから最初から思うべき事ではなか

ったんだろうな。……まあ、今言っても仕方の無い事だが」

諦めたのなら早く抱きしめてやれ、俺に命じると、ヴィンセントは夕食前に沸くように、風呂のスイッチを入れて、いっそ見せてやればどうだ? と笑う。お前の事をどれだけ求めているかを。

「それを見て汚いと思うほどお上品な子ではないのだから」

そりゃ確かにそうなんだけどさ。

「でも、お上品な子じゃないからこそ、そうありたいって願うものさ。だから、口癖になってる、『俺はえっちじゃないもん』って」

あーあ、と俺は膨らんだズボンの前をようやっと解放出来ることに、複雑な歓喜を覚えた。

敗北宣言。クラウド……お前を幸せにしよう。

「喜ぶと思うぞ、お前が抱きたいと言えば」

「そんなもんかな」

「……もちろん、素直に表情には出さないだろうさ。だが私から見たら妬ましく思えような顔をするであろうことは保証する」

現金なもので、俺の欲求は解放を見つけたら、前ほど激しく俺を急き立てなくなった。風呂に入って身体を洗ってる最中にもおとなしくて、ぬるま湯なバスタイムを過ごした。何となくわかったのは、気を張って変な意識をしてるよりもずっと、この方が楽で、そして正しい事なのだということだ。クラウドが笑わないと俺が辛い、俺が笑わないと、クラウドもやっぱり辛い。そんな幸せな事に、今更気付いた。でも気付かないままじゃなくてよかった。

クラウドにとって俺が寝心地のいいベッドになれればいい。しょっちゅう暴れて、よしよしって宥めてやらなきゃいけないような俺だけど、でも、広くて暖かなベッドだからこそ、クラウドは俺で眠ってくれるんだと思うことにする。

西日に金髪が燃え上がる。ヴィンセントが綺麗にしておいてくれたベッドの上に、芯のぽかぽかした身体は、俺とお揃いの真っ白なバスローブに身を包み、少し眠そうにたたずむ。毛皮がふっくらと乾いたから、俺はすぐ側に寝転がって、その手にすがり付いて鼻を寄せた。 お前の一欠片を手にするために全部我慢してどうするんだ。桃の花の香りを胸いっぱいに吸い込む。頭の中に花が咲く。クラウドは空いた方の手を俺の頭に置いた。今回たまたま手に入らなかった断片も、幸運な事に俺たちには時間がたっぷりある、明日以降いくらだって、ヴィンセントの行ってたとおり「チャンスはある」、何度だって。クラウドが俺の頭を撫でて、頭の中に花を咲かせているのだと思えば、そのチャンスも、もう手に入れたようなものだ。俺はお前にまつわるトレジャーハンター。

「ねえ、クラウド」

手を頬に乗せて握ったまま、見上げる。クラウドはぼんやり俺を見つめている。邪気のない顔だ。俺の全てを受け止めるには、清潔すぎる。中味がそれほど綺麗じゃないって知っていても、一瞬戸惑ってしまう。 空の瞳の奥で何を考えてるんだろう。

「クラウド……、あのさ」

平坦な表情で俺の言葉を待ってる。ゆっくりとした呼吸の内側ではどんな意識で俺の顔を見ているんだろう。どんな言葉が来るって予想しているんだろう。

俺の喉はまるで童貞だった。クラウドを抱けるのは当たり前の事じゃないって解かったから、言うのにすごい勇気が要った。俺は世に言う「告白」っていうのをした経験がない。いや、する前にしてしまったり、向こうからされてしまったり、ということばかりで。幸運な事なのかもしれないが、経験不足の感も否めない。きっと、こういう気持ち。子供みたいに、心臓がステップを踏み間違えている。

クラウドはすごく単純な顔で俺を見てた。

「抱いていい?」

こんな俺の顔に、どんなものを見つけた? クラウドは俺のほっぺたをぐっと押した。爪は立てないで、でもぎゅぎゅっと押す。思わず笑みが零れてしまった。

「何言い出すかと思ったら、そんなこと……」

怒った声で言われる。肉球が柔らかいものだから、怒られてるって気にならないのが不思議だ。俺は片手を抱いたまま、もう片手ではクラウドに苛められた。ちっとも痛くない、それどころか嬉しい、俺は笑いながら「ごめんよ」って謝った。クラウドはぶつぶつ言いながら俺のほっぺたを突つき続け、そして不意に、俺の身体に乗っかってきた。重い重い、降参だよ、クラウド。

「俺さ、ずっと我慢してたんだよ。セックスしなけりゃお前、昔みたいに笑ってくれるかなって。でも反省してる。そんなことで誤解させて、寂しい思いさせてなあ。俺たちの生活にはやっぱり必要なんだと思うよ」

クラウドは、ぎゅううう、両手で俺のほっぺたを押す。

「痛い痛い、降参だって、クラウドごめんよ、もう言わないから」

「馬鹿っ」

重たいって、いや、軽いけど、鼻の上に乗ったら嫌だって、潰れちゃうだろ。

「人が心配してやったのに、何だよそれ、馬鹿」

「だからぁ……ぶ、う、ごめん、て……いや、だから、降参」

許してくれたわけじゃないんだろうけどようやく鼻でも呼吸可能になった。俺は馬鹿みたい、いや、ほんとに馬鹿な笑顔をへらへら浮かべて、

「な、……ごめんよ」

クラウドを、抱きやすい位置で抱きしめる。髪を撫でる。

「悪かった」

「……二度とするなよ、そんなの、俺を苦しめて何が楽しいんだ」

「ごめん。反省してるよ。お前の事が好きなだけで十分、お前が好きで居てくれるだけで大満足、なのにつまんない理由でこんなことしてな。馬鹿だよ。怒ってくれて構わない」

クラウドは俺に抱かれながら、大きくため息を吐いた。

「ばーか……」

でも、許してくれるんだ?

ごめんな、本当に、馬鹿で。

「お前を抱きたい。我慢してたから、お前のからだに触るの。……すごい、興奮してる」

クラウドはまた少し怒ったような顔になる。だけど、もう顔は押されなかった。俺の胸の上に馬乗りになって、見下ろす。

「ザックスは解かってるんだろ、俺が、ザックスの事好きだって……」

「……解かってるって言うか……、うん、そう願ってる」

「だったら、俺がザックスとえっちするのいやじゃないって解かってるんだろ」

「……うん、そうだったらいいなって。でもお前、俺が誘うといつも嫌がるだろ、だから」

「ザックスとヴィンと、ふたりみたいに強くないもん俺。そんな、ふたりがするみたいにいつもいつもやられてたら、俺だって痛いし、しんどいんだよ?」

「ごめん」

「だから、笑って欲しいなんて、贅沢だよ」

「解かってる」

クラウドは暫く黙ったまま、俺の顔を見下ろしてた。前髪、伸びたな、少し切ったほうがいいかもな。

「……ザックスの、えっち」

「ごめん」

「謝んないでよ、どうせ直せもしないんだから」

お前といる限りは、無理だろう。

「でもね、それが、ザックスのいいところでもあるんだとおもう。恥ずかしがらずに俺の事を好きって言ってくれるから、俺はいつも自分の大切さが解かる。誰も教えてくれない人もいっぱいいるのに、ザックスは、俺に教えてくれるよね、いつも……」

「お……」

「俺の身体がザックスを求めて、ザックスに大切さを教えてあげられるんなら、俺は別にいくらだって。そりゃ……、辛いし痛いし苦しいし恥ずかしいけど! ……ほったらかしになって自分の価値が下がってくのは、やだ」

クラウドが、笑った。

「……変なの、笑っちゃう。くやしいな……、怒ってたいのに」

はぁ……、と息を吐く。

「……一緒に寝よう、……俺と、一緒に寝て? 好きにしていいから、お願い」

お願いするのはこっちだ。 クラウドはふわっと笑う。頬を少し赤らめて。正しいも間違ってるも無い、ただその笑顔が俺の真実、約束、この子を幸せにしなきゃいけないという理由だ。

「……抱きたい」

苦笑いが込み上げた。クラウドは頷いて、いいよ、って。

居留守していた微笑みが扉を開けた。

 

 

 

 

「ザックス、ひょっとして、あんまり寝てない?」

「うん……。怒るかもしれないけど……、ヴィンセントに頼んだりとか、一人でしたりとか……してたんだ、このベッドで。だけど、全然気分が晴れなくて、しんどかったよ」

「……だろうなって。俺も、そうだったから……。ヴィンセントと一緒に寝てても、ちょっと、辛かった。むずむずして……恥ずかしいから黙ってたけど、ザックスの前だから、言うね? ……俺だって、したかったんだよ」

クラウドを身体から下ろして、バスローブを解く。鼓動が目でも微かに解かる。興奮と緊張が入り交じった大切な鼓動だ。肌に触れようとすると、クラウドは「待って」と俺を止める。

「あの……、俺、見たい」

「何?」

「ザックス、見たい。……その、……。見ても、いい?」

クラウドは照れ笑いを浮かべて、いい? って首を傾げる。

「あー……、ああ。いいよ、どうぞ」

俺はバスローブを捲って、下着を下ろした。クラウドは顔をぼうっと上気させて、それを見詰めた。俺はさっき思った「二階層式精巣」の話をしてやった。クラウドは馬鹿みたいって言って、笑った。お前のも見たいって俺が言うと、思っていた以上に素直に、彼も許してくれた。ブリーフを持ち上げてたクラウドの男の子は、俺が汚れた頭の中で描いていたものよりも、ずっと可愛くて、少し小さかった。

「クラウド、あの……」

「キスして、いい?」

顔を見合わせて、笑った。

「一緒に……ね」

横に身体を寝かせて、目の前にお互いのを持ってくる。角度的にちょっと咥えにくい、だから、つるりとした裏側を舐めた。クラウドも舌を伸ばして、俺のをちろちろと舐める。時々鼻を寄せて嗅いでる。その匂い好き? 俺はクラウドの匂い好き。

「……はう」

ぐるっと身体の向きを変えて、クラウドを腹の上に乗せる。股の間に顔を突っ込んで、夢に見るほど欲しかったお尻を舐める。きゅきゅ、動きは、ヴィンセントとちょっと違う。もっと過敏で、興奮させられる。

「ざっくす……」

早くも感極まった鳴き声を上げる。

「……今日、もう、いいよ、ザックスので、好きにして…、気持ちよくなりたい」

そんな余裕が俺にあれば、いいんだけど。 俺はクラウドのここ、舐めるの好きだ。汚いとか思えないんだ、クラウドのここはすごく神聖な場所、俺とヴィンセントしか受け入れない、大事な場所。それに、女の子みたいには濡れないから、しっかりほぐしてあげないと、痛いだろうし。クラウドもいつしか、ここをこされるのが好きになった。「嫌」って台詞、今日は珍しく飲み込んでいるけれ

ど、好きなくせに「やだやだ、きたないよぅ」って。その声がまた、俺を盛らせるのだ。いつも終いには「もっとして」だし。クラウドの口はすぐお留守になった。戦慄く肛門、指で広げて、舌を突っ込んで。そうしたら口はおしまい、指。あれだけ入れられてるのに、猫ヴィンセントよりもきつい感じだ。ずん、って、強い力が波のように指を絞殺する。

「あ、……」

「ここ?」

「うん、ん、そこ、……あ……はっ、……そこ……、ん」

奥の方を、あまり自由には動かない指先でグリグリ押したり擦ったりすると、クラウドは俺の股間にはぁはぁ熱い息を吐き掛けて、泣く。ぐち、ぐちゅ、そんな音を漏らしながら、クラウドの尻は俺を、更に貪欲に飲み込まんとする。二本目の指も。入れてるみたいに、二本で往復させると、クラウドは更に甘く蕩けていく。カラメルだ、熱くて熱くて、そして喉が焼けるくらい甘いカラメル。

「いい?」

「ん、いい、いいぃ、は……ふっ、うぅ……ん、あっ、はぁ……」

「音、聞こえる?」

「ん、やぁ、ん……、聞こえるよぅ、ぐちゅ、ってぇ……はぅん、は、はぁ…ふぅ」

「ここ……も、いい?」

「ん、そこもぉ……ぁう、もっと、つい……そお、いいぃ……」

今日は淫乱になってくれるんだね、俺のために……。俺もお前の望むような変態になる。いや、いつもの通りにやるだけだ、どうせ

普段から変態だよ。

「クラウド、なあ、お尻だけで、いけるだろ?」

「ん、ん、もう、出るっ、……びりびりするよ、なかぁ……あっ、ぅ」

「びりびりする?」

「うん、するぅ……、あひ、ぃっ、出……あ、あ、あ…」

指の引き際、逃さないと言わんばかりに締め上げられ、俺の腹の上にはドロドロと白いカラメルが零された。指を止めないで、そのまま何度も往復させ続けたら、ひぃひぃ鳴いて尻を振る。快感が強すぎてか、尻尾が膨らんでしまったので、止めた。

「……あぅ……」

背中を丸めて、ぷるぷると正直に震えるものだから、俺はさきほどからほったらかしのあそこがはちきれそうに痛い。

「入れたい」

「……ぅう……、まってよぉ……まだ無理」

「じゃあ、それまでに出したの舐めて。濃いからきっと美味しいよ」

クラウドは振り返って嫌そうな顔をしたが決して断らない。体勢を変えて、俺の腹に出したゼリーみたいにぷるんとした精液を、眉間に皺を寄せて、舐める。俺はすごくいいと思う匂いなのに、クラウドは泣きそうになって口に含み、苦しそうに飲み込む。でも溜まってるお互いは淫乱と変態、相手のして欲しい事なら、どんなんでも。 最後の一滴は指で掬い取って、俺が舐めた。心理的にヴィンセントのより美味しく思えたのが、何だか恥ずかしい。

「もう……入れていい?」

「うん……」

仰向けに寝かせる。

「ちょっと乱暴になるかもしれないけどいい?」

「……いいよ」

矢も楯もたまらず、突き入れた。白い喉をのけぞらせ引きつらせ、広げた太股がびりって震えた。包まれた感触に、俺はもう動き出していて、「ああっ」って声を上げた。ただ、俺の声がかき消されるほど、クラウドは高い声で叫んでいた。一瞬我に帰って見ると、大きな瞳から溢れた涙が赤いほっぺたに、オレンジ色の陽光で煌いていた。

「……ごめん、痛かった……?」

首を振るう、強く横に振るう。けなげでしょうがない。その痛みを和らげてあげたいと思う気持ちと、ますます焚き付けられる気持ちが入交る。この状況の俺そのものが「愛」と言うんだろう。

「……動いて、……痛くしていぃから……」

「久しぶりだから、お前だってしんどいだろ……」

「いいの、いいから、……痛くてもいい……、……じゃない、痛く、して?」

よくあるだろ、ハート型の心臓を弓矢でプスッて絵。

「ザックスのちんちんが欲しい……」

俺は心臓が股間に移ったみたいになった。心臓がそのまま気持ちいい。そして矢で射抜かれた。クラウドが悲鳴を上げて掛け布団に爪を立てた。それが羽毛布団で結構いい奴なんだということなどとうに忘れている。きっと敷いた人も敷かれた布団も、こういうフィールドに置く以上、結果は考慮済みだろう。血が出るかもしれないな、そう考えたとき俺はおぞましいことに、身体が焼けるほど感じていた。

溜まり続けてた精液をクラウドの中にぶちまけた――そう、まさに「ぶちまけた」時、俺の心は鮮やかに白く閃くたくさんの感謝の気持ちでいっぱいだった。俺の聞かん棒を優しく慰めてくれたヴィンセントに、こうして抱かせてくれたクラウドに、クラウドを抱く機会を生み出した全ての、俺と出会った人に、宇宙に生き、この偶然を生み出す役割を果たした俺と無関係な人も含む全ての人に、ありがとうって。

「……う……ん……」

クラウドの胎内が苦しげに蠢いた。一度、そっと腰を引いて抜く。俺の先から奥まで一本の細い糸で繋がっていた。

「……ざっくすぅ……、いっぱい、……」

「ああ……、すごい、よかったから……いっぱい出たよ……」

クラウドの肛門がひくつく。中で泡立った精液が噴出して、ベッドを汚した。ここで始めて俺は羽毛布団うんぬんに気付き、ひょっとしたらヴィンセントに怒られるかな、と。まあいいやクリーニング代は俺が出そう。

「……大丈夫か? お腹、苦しくない?」

のぼせたときみたいな呼吸を覗き込むと、クラウドは無理に笑ってしまう。俺は寝そべった身体のあちこちにキスをした。首に肩に腕に胸に腹に太股に、そして頼りなく震える棒に。

「あ、ん……」

若葉のような香りがするのは、さっき出したもののせいだ。ほんの微かにだけど石鹸の匂いも、まだ残っている。たくさん涎で濡らしてから、身体を抱き起こし、俺のあぐらの中に、繋げて、後ろ向きに座らせた。ぐちゃっと濡れた中が、また俺を縛った。手のひらで濡らした部分を、殆ど力を入れずに握り、上下に摩る。

「……あ、あ……」

「震えるほど、いい?」

「ん、いい、いい、いい」

いつもなら飲むところだけど、接続していないのはたまらない。離れていた後遺症だ。入れて、時に引き締められるだけでも十分気持ちいいし、間違いなくクラウドが感じていてくれるというのが解かるから嬉しい。

「あああ、気持ちいいよぉ、ザックス、んっ、…あ、あん」

手でヌルヌル、ホントは何か、ローションみたいなの使ったほうがいいんだろうけど、微妙にべた付くのが何だかいい。だんだん乾いてきて、すれるようになる。色っぽいとしか言いようがないけど変わらぬ「少年の声」が喚いた。俺の手を白蜜で濡らす。

「……んー……んぅ……あ、ぅ……」

「入ったまま。……まだ、感じてる?」

「んん、……感じてる……」

クラウドは俺に寄りかかって、罪な紅い顔で目を閉じる。はぁはぁと唇は今だ興奮を示し、それは生気というものを如実に具体化していた。しかし同時に心配になるほど儚く、消えそうな色に思えた。その色を失わせたくない。

「……クラウド、俺が欲しい? 俺の事好き?」

「ん、……うん、……ん。ん……」

「お願い、ちゃんと言って?」

「……ざくす、好き、欲しいよぉ……もっかい……欲しい」

「……何処に何を。言って? お前が恥ずかしい言葉言うの、また聞きたい」

首筋に紅い紅い痕跡を残す。クラウドは首を反らし、高く揺れた声で、俺の薄汚れた欲求に答える。

「お、しりの穴に……、穴の中にザックスのぉ……、白いの出して……」

「……それだけ? 他には?」

「……ん……、俺の……チンチンもっと、ごしごし、……して、俺もっと、いかせて……」

「お利口さん、ちゃんと言えたな。……でもクラウド、言う度にここ動かしてる。本当に淫乱なんだ」

「ザックスだってぇ、……俺、言うたびに、……なかで、ぴくぴくしてぇ……」

「何がピクピクしてる?」

「……ザックスの……ちんこ……」

うん……また、ピク、って。

「……ザックス、顔見ながらが、いいよ……、いっつもみたいなのが、いい」

仰向けになると、自分でこちら向きになって、乗っかる。いっつもみたいなの、って、お前これあんまり好きじゃないよな……、見られて恥ずかしいって。

でも、そうか、今日は素直なんだな。

「……クラウド、俺のだけでいって……?」

「ん、ん。……ザックスのだけで、いくよ……」

俺を一杯感じて、俺だけで目一杯にして、他の要素は何一つ交えず純な欲求を、汚れた魂を受け入れて解き放って。華奢な腰に指を絡ませ、俺の目は臍にも届かない淫茎と一緒に、往復する。そこに浮かんだ涙は俺との再会を喜んでのもの。茎からふと目を下げれば、誰にも渡せない宝珠を収めた袋が俺の腹にあたるたびピタピタと音を立てる。ああ、俺の、俺の、俺の。どんな風な趣味だと名を付けられたところで屁でもない。俺の、クラウドの。

「……あ、あー、あ、ああ、…あ、あ」

仮に目を閉じて音だけに神経を委ねても、俺は震えるだろう。それを目を開き、性器に焦点を置きそれゆえ周囲の状況も把握できる視界で、お前を捉えているという贅沢。何度、この視界を夢見て、自慰に没した事だろう。尻から泡が漏れ出し、常人ならば汚いと言うかも知れないそれも音も俺には美しく、完成された芸術品のように思えた。そしてその芸術品はずん、ずん、という低い脈動を打って俺を頚動脈まで痺れさせるのだ。 こらえきれず達した瞬間、俺たちが見せた表情と、二つの体が描いた輪郭は、氷のように留め置いたなら、永遠に冷たい輝きを放ち続ける。熱を持った氷だ、しかし決して融けたりはしない。

くたりとかぶさって、ひっ、ひっ、とすすり泣くような音を立ててする呼吸は、生まれた直後の赤ん坊がする鳴咽のようで、ともすれば俺に、この子を産み落とした母親になったかのような錯覚を与えた。母というものの持つ、優しさを内包した強さを俺は持っていないが、それを想像して、抱きしめる。濡れて汚れて、臍の緒のように今だ繋がった、二つの身体は母と子よりもずっとよく似ていて、それはつまり、同じ名前を持った俺たち、クラウド。

「……はぁ……あぁ……、んっ、ん……クラウド……はぁ…っ、クラウド、平気か?」

クラウドは俺の肩の下の布団に爪を立てたり閉じたりしながら、すすり泣きは止めたが、まだ打ちひしがれたように引きつるだけだ。ただ尻の穴だけが別の生き物のように蠢いて、俺を味わい、口から白い涎を零し続けていた。俺は抱きしめて、その背中を、尻を撫でた。中央で俺を咥えたクラウドの尻はいつもより少し熱くて、心臓のように一定のリズムを刻んでいた。

「……ざく……」

「うん……」

「……俺、ザックスに、してほしかったのかも、しれない、こういうふうに」

途切れ途切れに、クラウドは告白した。

「一緒に寝てくれれば、これも、してくれるから、ね? ザックスぅ……、ふにゅぅ……」

ぱちぱちと、瞬いた気配を感じた。

「……今日からは、一緒、に、寝て、ね? また……」

「うん」

「俺、ザックス、好き。……ザックスとする、セックスも、好きだから、やめちゃやだよ、変な事考えて、我慢なんて、しないで。俺、ザックスの好きな、こと、全部、するから」

「うん」

抱きながら身体を起こし、太股を持ち上げた。どぷん、音を立ててクラウドの尻から青臭い塊が溢れた。それが俺の身体を汚すのも気にならなかった。クラウドの中から出たもんだ、別に、と。 そうして俺はクラウドをまた身体に乗せて、羽毛布団を両側からかき集め、その背中を覆った。尻尾だけが布団の合わせ目から出て、心臓にあわせて動いている。俺にはそれが、はじめはメトロノームのように見え、やがて糸につるされた銅貨のように見え、強烈な睡魔に包まれ、裸のまま眠りに就いた。次に目が覚める時にもこの子がこのままいてくれる事に、微塵も疑いを抱かなかった。この子はここにいる俺の腕の中で、そして夢の中でも俺は同じシチュエーションで、抱きしめていた。

お前は俺を、いろんな要素で幸せにする。身体も心も、そういう技術にたけている。無意識のうちにしてくれるからたちが悪い。例えば普段は隠してるその、俺にとって嬉しい微笑み、イル・スマイル。中毒のようにまたいつか欲する事があったら、その時はすんなり、俺がエロくても、見せて?

 


top