Dance In the Dark.

ごん、と鈍い音がして目を覚ます。

「……い、い、いたい……」

「…………」

真っ暗な闇の中、やたらに手術台が広い。俺は手探りで温もりを探す(一応、クーラーが付いているので寒いのだ)、が、俺の手は空を掻き、いい匂いに辿り着かない。

「……クラウド?」

「いたいよぅ……」

その言葉に、俺は起き上がり、ベッドから転げ落ちたクラウドのチョコボ頭にようやく指先が触れた。

俺の手にすがり付いて来たのを支えて持ちあげ、ベッドの上に取り戻す。

「……寝相悪いな……」

「……狭いんだもん」

……それはその通りなのだが、一緒に寝て欲しいと頼むのはクラウドの方だ。

「……もっと真中寄りに寝ればいいだろ」

「うん……」

暗闇では解らないが、俺の胸に、多分頭であろう部分を押し付けて、ふぅとクラウドは安堵の息をついた。

ふと気になって、俺はクラウドに訊ねる。

「……クラウド」

「にゃ……?」

「いま、ひょっとして何も見えないのか?」

「……まっくら」

俺が、もう随分前、クラウドが生まれた直後に、猫の生態を調べるために広げた本には以下の通り。

――猫は視覚が非常に発達しており、僅かな光でもものを見ることができる――

「本当に?」

「……見えないよ……」

こういう、猫ともニンゲンともつかない矛盾な部分を見つけるたび、頭に過ぎる諦めのような文字列。クラウドは、半猫半人だから……。

どこまでが猫でどこまでが人なのかよく解らないが、目に関して言えば、暗いところでは丸く、電球の光を真っ向に当てると細くなる、その性質は猫なのだが、恐らく視野視界の能力での限界は人間のレベルなのだろう。

今明かりを点けたなら、きっと真ん丸の目で俺のことを見つめ返して来るに違いない。

「じゃあ、改めて、寝ようか?」

「……ん……」

そうして、翌朝までまた夢を見ることにする。俺は毛布の端をつかんで目を閉じた。毛布やタオルケットの端は、俺と同じ匂いがするから好きだ(要は汗や涎の臭いなのだろうが)。

 

 

 

 

「ん……っ…………ん……」

目を閉じて、短い夢の尻尾を追いはじめた頃、クラウドの様子がおかしいことに気付いた。

俺は真っ暗な中薄目を開けた。クラウドが、何かもじもじと身じろぎをして、俺の腕の中で落着かないのだ。

「……トイレか?」

「んぅ……っ、ちが、うっ…………んん……」

「…………?」

「し、しっぽ、……ザックス、しっぽ、持ってるの……」

「…………尻尾?」

俺はそこでようやく、握った毛布が手の中でぴくぴくと小刻みに震えていることに気付いた。

「……済まない、暗くて解からなかった。……大丈夫か?」

手を離してクラウドの頭を軽く撫でる。そうか、俺と同じ匂いがして当然だ。俺なんだから……。

苦笑して、また眠りの体勢に入る、

が。

「っ、だ、だいじょうぶじゃ、ない……っ」

浅い呼吸、震えた身体、頭痛を伴う、存在を俺の下半身に押し付けて……。

「……いや……だから、済まない、って謝っただろ?」

「やぁ……ザックスが、わるいんだっ、しっぽ、いじるから……」

「…………俺のせいなの……?」

故意に、ではない。 が、結果からしたら、過失致……立?

若しくは、過失致達……。

俺に責められる非はあるのだろうか……。

「い、いじわるっ……ザックス……ッ」

はぁはぁと涙混じりの息で、求めて来る可愛らしい……。

でも、今は眠る時間だ……とかいいつつ、自分がしたいときにはどんな状況でもしてしまう俺だから、言い訳は聞いてくれないだろう。

「……ざ、っくすも、……おっきくなってる……」

痛いところを指摘してくる。クラウドの肉球な両手が、パジャマの上から俺を包み込んで来る。

暖かい。

睡眠中は、性的欲求不満のブレーキが壊れる。それゆえ、枷を失い自由になった欲求は、持ち主の都合など全く無視してむくりと起き上がる。……朝立ち、の原理である。

「……いや……これは……」

俺は何とか誤魔化そうとするが、クラウドが本当に不器用にパジャマの上から俺のを摩って来るのは、息が上がるほどに気持ちいい。微妙に快感のポイントを外して(もちろん、意図的にではないだろうが)、甲斐甲斐しくして来るのだ、その心にも感じてしまった俺を、誰が責められよう。

「明日の朝は……寝坊だな」

呟いて、俺はクラウドの手を取り、悪い子な肉球に軽いキスをし、手探りでパジャマのズボンを下ろす。

どこに何があるかよく把握できないが、右手が太股と思われる部分に触れた。そのまま手を左にずらしいくと、熱くなったクラウドの砲身に辿り着く。

茎の部分に手を添え、幼いそれの先端を被う皮を下ろせるところまで下ろし、恐らく浮き出ている透明な蜜を舐め、ぱくんと口に咥える。

「はぁ……んっ、ああ……、あああ……」

ふるふると震え、か細い声を上げる顔がどんな風なのか、見たい。けれど、真っ暗ではどうしようもない、明かりのスイッチに手を伸ばそうにも、クラウドのを咥えているわけだし。手は届かない。

想像の中、これまで抱いた数だけ見てきたクラウドのイキ顔が、堪らなく俺を感じさせる。

言って見れば、ひとりでしているのと原理は変らないのだが、それでもリアルタイムで官能的で俺のを奮い立たせる声を上げてくれるクラウドの存在が肉感的でいい。

「い、いく、っ、出るッ、ぁあっ」

到達を告げる言葉を発すると同時に、俺の口内にどくどくと温かい精液が放たれる。

夜―一もう昨日、になるのか? ――抜いてやった(ついでに俺のも)割に精液は濃く多量。 美味しい。

「クラウド、俺のもしてよ」

仰向けになって快感の余韻に打ちひしがれている(らしい)クラウドを抱き起こし、俺は反り立つ俺のをズボンから取り出す。

「解るか? ……ここ」

「ん……匂いで……」

……匂い。

……考えるのはやめた。クラウドは俺の先に優しくキスをし、先の方から根本とか袋の方まで、一生懸命に奉仕する。前よりも、ずっと上手くなっている。

……俺のを見て覚えたのだとしたら、本当にイイ子に育ってくれたと喜ぶべきか、自分の異常さを反省すべきか。

「ん……ふ……っ」

口いっぱい、奥まで俺のを頬張って、俺のいいように。ついでに、クラウドもこういう行為に感じるのなら、一石二鳥。

「んっ、……ん……ぅ……」

「出すから……ちゃんと、残さず飲めよ」

「んんっ」

クラウドの柔らかい口腔の中に注ぎ込んで、満足感と背徳感の対比が九対一。一度いってしまえば後は結構勢いで事が進むことが多い俺たち、こんなのでいいのか、わからないけれど、

お互いのことを第一に考えるなら。

「お尻、こっちに向けて……」

「……っ、……ど、っち?」

「……今と逆……、多分」

ごそごそとクラウドが体勢を変える音がする。クラウドの双丘と思われる部分を見つけ、そこから少し手を動かすと、尻尾の根本に。

「やぁあっ」

「あぁ……済まない、間違えた」

力いっぱい握り締めた尻尾、もちろん、わざとだ。手をかけた尻が震える感触が楽しい。

「ぁあん……んん……」

頭の中でイメージを作る、どこにクラウドの蕾があって……とか。割り開き、顔を近づけ、舌先が中心部に触れる。どこをどう責められるか解らない緊張と恥ずかしさでクラウドの感度はいつもよりいいみたいだ。貪欲に俺の舌を誘い込むような動きの蕾に答えるよう、舌先で入口を這い回る。

「んっ、ああ、ぁ、ザックス、っ、まえ、も……」

「……す、ごい、熱くなってる」

興奮して熱くなっている俺の手よりも更に熱くなっているそこは、いった直後から漏れ出ていた余韻と先走りと、ついでに俺の唾液でぬるぬるになっていた。

握らないでその粘液質に包まれたそこを摩り微妙な快感を与えると堪らなく感じて、舌先の蕾は深い収縮を繰り返す。

「もぉ……だめ……っ、ザックスの……、欲しいよぅ……」

一体どんな顔でそんな科白を言っているんだろう。

きっと、涙を流して、顔を真っ赤にして、羞恥と快感の追いかけっこを感じながら。俺にとっては、こういう時に感じる胸の疼きがときめきだ。顔を放し、いきなり指を二本、抽送して慣らし、その次に俺自身を入口に押し当てる。

「……解る?」

「っ、んん、っ、熱い、っ、ザックスの……」

これだけ興奮してるんだ、当たり前だ。入口で上手に――といっても、意識外で――俺のを刺激して来るのを我慢して、ゆっくりとクラウドの中へ自分を埋め込んでいく。その作業の最中、クラウドは壊れたような間抜けな鳴き声で、内側を擦られる感じに酔っている。

俺は奥の奥を一度強く突いて、激しい侵食の合図をクラウドに送る。俺が腰を引くとそれについてくるような内壁の肉の動きが、気持ちいい。暗闇で、知らず知らずのうちに余計興奮してしまったのか、今日に限り俺はどうやら早漏らしい(……ひょっとして……いつも……)。

ヤバイ。

「にゃっ、んん、ぁあああ、あんっ」

猫混じりの悲鳴は聴覚を通じて下半身に疼きを与え……。

「んッ」

「ぁあんっ」

俺は、クラウドを置いて先にいってしまった。……クラウドも、俺と同様の理由でいつもよりきつく締め上げてきていたから、責められることはないだろう。……やっぱ、早漏なのかな俺、ヴィンセントに入れられてなくても、無意識のうちにいってしまう、早い……。

何だか恥ずかしい。

「……ザックス、っ、もっと……」

「……いや……、いったばかりだから、無理」

「早く……」

……でも、俺はいつもいったばかりのクラウドのを何だかんだ言って刺激して、またムリヤリ立たせたりしているよな。けれど、正直、少し萎えはじめたそこをクラウドの中に突っ込んで、尚も刺激を与えられるのは相当、堪える。何かくすぐったい上に、ツライ、痛い気もする、何というか……。

「っ、おい、クラウド!?」

「んんんっ」

止むを得ず抜こうとした俺の腰に爪を立てて拒む。……いつも俺がしている逆バージョン、ひく付く内部で、性の再発を促す。

「っ、……よ、せ、クラウドッ」

「あぁ……ん……ズルイ、よぅ……、ひとりだけぇっ」

クラウドの中は快感の坩堝だ。俺の分身が、その甘さを感じて、俺のは……。ちなみに、次は三発目ということになる。

「さ、わって……俺のっ」

クラウドがいくまでは、抜くことは許されていないらしい。

俺は、微かな痛みを孕み、三度立ちはじめた俺で奥まで塞ぎ、つかみ所が無いくらいぬるぬるのを握って、乱暴に扱く。グチュグチュという音が、視覚が塞がれているぶん余計に耳に届く。俺も、乏しい精力だけでクラウドを感じさせるのが疲れてきたから、そういった精神的な部分も苛めて、カバーする。

「すごい……音してるぞ、クラウド……っ、こんな、ぬるぬるさせて……やらしい子」

「やぁっ……ああん……恥ずかしい、よぉ……」

「でも、っ、事実、だからな」

苛めてる俺の声も上擦って、何だか馬鹿馬鹿しい。というか、インターバル殆ど無しで三連発も……なんて。

先っぽがチリチリする、袋の中はカラカラだ、腰が痛いんだ!

……阿呆なコトを言っている場合じゃない。実際、まだ何回かはいけるけれど。ただ、現実的に(この状況の中で考えられるのか)考えたとき、このアホらしい疲れを翌朝に引き摺って、全身筋肉痛になるのは好ましいはずがない。

「……あぁんっ、っ、もぉ、っ、だめぇ……っ」

「ちょ、っと、待て……俺もっ、いくから……」

暗闇にクラウドの精液が放たれる。タイミングを逃した。……何が悔しいのか解らないが、チッと舌打ちをし、俺も早く行こうと、激しく腰を動かす……痛い。

「ああっ、あんっ、んんっ、んっ、んぁ、ぁあんっ」

到達直後の、麻痺と対極に位置する感覚が止む前に、クラウドの後ろを苛み、俺も、何とか、クラウドの中に薄い精液を注ぎ込んだ。

「んっ、ぁああ、はぁ……っ、ぁ……っ」

十分に満足したらしいクラウドの吐息が届く。

疲労いっぱい、僅かな気力を精液に混じらせて捨ててしまったらしい。

「……クラウド……」

「ん、にゃぁ……」

「もぅ……寝よう……」

 

 

 

 

「……馬鹿、だな」

「うるさいっ、見てないで手伝え!」

皺のよったシーツにばら撒かれた乾いた精液は固まってとんでもない事に。しかも、その上で寝ていた俺たちの身体にも、張り付いて剥がれない跡が。

「……どうも夜中に地下の方から声がすると思ったのだ。……てっきりインとヤンが喧嘩でもしてたのかと思ったぞ」

喩えかたがまた嫌らしい。そっくり同じ物だからって。

「ぎにゃ〜」

髪の毛に張り付いたそれをがしがしと取ろうとするが、引っ張るたびに髪の毛はつっぱり、クラウドはじたばたと。

「……とりあえず、クラウド、私と風呂に入るか」

「なっ」

泡だらけになってシーツを洗う俺の背後で、奴の策略はまた始まっている。

「んにゃ〜、髪の毛、やだよぅ」

「よし、私が洗ってやろう……ザックス! お前は早くそのシーツを処理しろ」

……あの野郎……。

ただ少なくとも俺は、このシーツをきれいにするまで、クラウドを手許に置いておくことは許されていないらしい。

いそいそとタオルを用意して、二人はバスルームへと向かった。

「……湯加減はどうだ?」

「あったかい……」

悔しい。

最近すっかり風呂になれたクラウドは、ヴィンセントの胸の中に身を任せ、ぬくぬくしている。

というか、やはり気になって覗きに来てしまった俺はヴィンセントと同罪だろうか。

けれど、俺は一応クラウドの保護者なわけで。ゼッッタイ、ヴィンセントはクラウドに手を出すに決まっている。そして。

「……昨夜は随分、楽しんでいたようだな」

「…………………………うん」

ヴィンセントの言葉に、顔を赤らめてこくんと頷く。……そういう、可愛い仕種をするとまた……。

「そうか、クラウドは、ザックスのことが大好きなのだな」

「うん!」

今度は、元気よく頷く。……胸キュン……だ。 可愛すぎる……。

そういう可愛いところを知っているから、また次回可愛がってあげようと思ってしまうのだ、どんなに疲れても。

「……そうか」

そこで、ヴィンセントはフッと寂しげに笑う。

「ならば……」

後ろからクラウドの事を優しく抱きしめて、ヴィンセントは耳元に囁きかける。

「……私のことは?」

「にゃ……っ、ヴィンのことも、すき……だよっ」

始めやがった、あっさりと。

ヴィンセントは抱きしめた腕の中の俺の存在を掌握、耳元、ふぅっと息を吹き入れ、戦闘開始。

「やっ、だめっ、ヴィン……」

その抗う言葉を無視して、ヴィンセントは水中、クラウドの胸先を抓み、そして言葉で。

「昨夜、何回した?」

ますます顔を赤らめて、クラウドはそれでも答える。

「……さんかい」

「……三回もして、まだこんなに元気なのだな、お前のここは」

横からだと見えないが、多分、クラウドのを緩く刺激しているのだ、クラウドはぴく、ぴく、と小さく震えている。

「あんっ……」

堪えていた声が漏れた。ヴィンセントはニヤリと笑うと、クラウドを抱き上げて、浴槽から出る。

――完全に勃起しているのが見えた。

「クラウド、いつもザックスにしているように、やってみてくれないか?」

自分は浴槽の縁に座り、クラウドの目の前にそれを示す。

「ん……」

素直に、こくんと、頷いた。

俺はお前をそんな風に育てた覚えは…………ある。

「ヴィンの……おっきいね」

…………。

「ザックスのが小さいだけだ」

…………。

……そしてクラウドは、俺にしたように先端に一度口付けてから、ヴィンセントのを咥える。

「……上手だな、ザックスに教わったのか?」

咥えたまま、こくんとクラウドの頭が動く。ヴィンセントのが俺のよりも大きいからか、少し苦しそうな息が聞こえて来る。

「無理をしなくてもいいぞ、それくらいで構わん」

「ん……はぁ……、ヴィン、まだ、いかないの?」

「……ザックスが早すぎるだけだ」

…………。

ヴィンセントは、浴室の床に湯を流し、クラウドを底に四つん這いにさせる。

「ん……、な、何……?」

「私の研究によると」

……何の研究だ。

「……お前は嫌がっているわりに、ここを舐められるのが好きらしいからな」

……研究でも何でも無いじゃないか。

「にゃっ、やだぁ、っ」

予め指で少し慣らしてから、顔を近づけて、ふっと息を吹きかける。

「あぁん……ん、やぁ……」

「……可愛いな、震えて。そんなに私の舌が欲しいか?」

「んっ、ば、ばかあっ」

……いいぞ、クラウド、もっと罵れ。……というか、何というか。

「……フフ、ここの方が正直だな」

嫌らしい科白、そして舌先を蕾へ。言葉に関してヴィンセントに敵う奴などいないだろう。

「やあぁ……やめ、……ああん」

実際、そうなのだ、クラウドは「嫌がる」程「良い」のだ。つまりは俺と同じ。ヴィンセントにとってはこれほど組し易い身体はないだろう。

「んんっ、ぁあん、あんっ」

可愛すぎる鳴き声を上げるクラウドを苛めるヴィンセント、目が笑っている。精神衛生上よくないというのが本当によく解る、前回の延長線上で。ヴィンセントが、クラウドのに手を伸ばした。

「ああぁ、やぁ、だめっ、いっちゃ、うっ」

言葉通りに、クラウドは、二十四時間中トータル四発目を放つ。

「……こんなところを舐められていってしまうのか、イヤラシイ子だな、クラウド」

ふっと笑い、ヴィンセントはクラウドに休む間も与えず、

自分のをクラウドの入口に押し当てる。

「んっ、やっ、まだ、だめっ、まってよぅっ」

熱い感触に慌ててもがくが、ヴィンセントは止めない。

「……欲しかったのだろう? 舌だけで満足するようなお前ではあるまい」

「あぁん……っ、いやぁ……」

「……お前は後ろからよりも膝の上でされる方が好きだったな、確か」

それにはちゃんと理由があって、俺が初めてアイツを抱いた時の体位がそうだったからだ。

一旦入れかけたそれを離し、浴槽の縁に座った自分の上で、クラウドをゆっくり入れていく。

重力が余計な快感となってクラウドに圧し掛かる。奥の奥まで穿たれる快感に、もう真っ正面にあるクラウドが震えている。

ヴィンセントのが深々と突き刺さっているのが解る。

使い込まれた(相手は九割以上俺で)ヴィンセントのと比べると、クラウドのは幼すぎて、本当に自分のやっていることは大丈夫か不安になる。

「ぁあん……、ヴィンのちんちん、おっきいよぅ……」

いよいよ、クラウドの科白がAVじみてきた。危険だ。喘ぎ声から教育の必要があるのか。が、よくよく考えてみると、俺のときに言われるとあれほど美味しい科白は無いのだ。

しかも……おっきくて、イタイハズなのにも関わらず、内壁全体でヴィンセントを味わいたいクラウドは自ら腰を動かしはじめる。

「……キツイな」

……どうせ俺は小さいよ。

「あんっ、あぁあん、ぁあ、っ」

「……どうだ、気持ち良いか?」

「んっ、いい……気持ちいいよぅ……」

……次回以降、俺はクラウドのことをちゃんといかせられるのか自信が無くなる。

ヴィンセントほど大きくないし、太くないし、長持ちもしない。

「どこが、気持ち良い?」

「奥……おくのほう……っ」

……その上、ああやって言葉で上手に攻めたりも出来ない。

……自信喪失、けれど、俺はこれからますます自信を喪失することになるだろう。なぜって。

「…………」

あの二人の様子を見せられて、どうして耐えられる。

トランクスの中、情けないほど硬く立ち上がった俺。クラウドの声だけじゃない、ヴィンセントの存在も、俺の神経を突いてくるから。

「さ、さわって、俺のっ、ああぁ」

「……もう四回もいっているのに……またこんなに硬くして、ヤラシイな、本当に」

放っとけ。気持ちいいものは仕方がない。気持ちよくて、したいから、するのだ。ヴィンセントがクラウドのを動かし始めると同時に、俺は、自分のに手をかけ、ゆっくり扱きはじめる。

「あぁ、っ、あああん」

激しく体を震わせてクラウドは到達し、自分の体に薄い精を放った。が、ヴィンセントは当然まだ終わっていないから、クッと腰を上げ、奥の奥の奥に自らを味あわせる。

「……奥に欲しいのだろ?」

「あぁん……」

「欲しいなら、欲しいと言うのだな。でないと、もういかせてやらないぞ」

「っ、欲しい……ちょうだいっ、ヴィンの……」

自分の吐いた淫猥な白い液を身体に垂らしながらも、またすぐ復活する。

「……いい子だ」

そして、更に刺激を求め、ヴィンセントの遂精を促すように括約筋を最大限活用。

締め上げるついでに自らも悦びながら。

「ヴィンっ、はや、くっ……」

扱かれて、またすぐに射精に追い込まれてしまう。俺は、精液塗れになったクラウドの媚態に手のスピードを早め、そしていった。

「あぁん……んっ、はぁ……」

……ちなみに、ヴィンセントはいまだ、一発もいっていない。化け物。

 

 

 

 

「どうした、ザックス」

俺は布団に包まってフテ寝だ。何か、悔しくて。

「悪いものでも食べたか? 顔色が悪いな」

そりゃあ、七発もいけば具合も悪くなるだろう。

「暇なら、クラウドをなんとかしてくれ」

いかされ過ぎて、気を失ったクラウドを俺の上に乗せて、奴は冷蔵庫から取り出したビールをうまそうに飲む。

碌な死に方をしないだろうな。って、それで抜いていた俺も、だが。

とんでもない奴。悪魔のような奴。だけどそれに惚れていて、この生活にこの人が加わったことで、甘味を更に甘く感じるための苦味が加わった。愛していると、舌打ちしながら言う今は、満更でもない。


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