愛しいと思う。



気が付けば視線が彼女を探していて、偶然にでも彼女の姿を確認出来ただけで嬉しくて、自然と顔が緩んでしまう。


…こんな感情今まで知らなかった。









自覚症状










「あ、キョーコちゃんだ。」

マネージャーの呟きに目をやれば、少し離れた場所にキョーコがいた。

誰かと話し中らしく、こちらには気付いていない様子だ。



『DARKMOON』に出演以来、キョーコはその演技力の高さを認められ少しずつではあったけれどそれなりに仕事が舞い込んできているとタレント部の主任が言っていたなと思い出す。

以前なら局で偶然出会ったときは大抵あのピンクつなぎを着ていたけれど、今日は私服姿だった。

短めのスカートから白い脚がすらりと伸びて思わず視線を逸らす。

…以前ならこんな風な反応、絶対にしなかったのに。

それにしても、嬉しそうな笑顔で誰と話しているのだろうか。

ふと気になって、琴南さんあたりかなぁと思いながらそっと様子を伺うと目に映ったのは思いがけない光景だった。






見知らぬ男三人と楽しそうに笑っているキョーコが、いた。




瞬間的に身体の中に湧き上がる感情。
その光景を見た瞬間、動きが止まってしまって。
身体中の血液が煮えたぎっているかのように感じる、熱さ。
ドロドロとした感情に思考が支配されそうになる。





いやだ。





真っ先に出た言葉。

俺の知らないところで、俺の知らない誰かに、俺には見せない笑顔で笑う彼女。

彼女は俺の前でリラックスした表情を見せない、それは出会った当初からの彼女へ対する俺の行動が原因だって判ってる。

だけど、それでも。

あんな笑顔を俺以外の男へ向けているだなんて、そんなこと考えたこともなかった。

あんな彼女は知らない、あんな彼女は見ていたくない。

想いを自覚した途端に、両思いにすらなっていないというのに。こんな感情は醜い、独りよがりな独占欲だと判っていても。

子供染みた嫉妬、執着なのだと判っていても。



それでも。



いやだと思う。





大切な存在は作らないと、あんなに強く決めていたのに。まさか自分がこんな感情に振り回される日が来るだなんて夢にも思っていなかった。




彼女の笑顔を自分に向けたい。

俺以外の男に笑いかけるなんて、許せない。

俺を見て欲しい。











俺の知らない彼女の笑顔をまるで当たり前のように手にしている、名前も知らない男がひどく羨ましくて、そして憎い。

きっと自分は今、とても冷酷な顔をしている。

鏡なんて見なくても判る。


だけど、今は。


俺は彼女に焦がれるだけの存在でしかないから。

必死で感情を押し留めて。

この想いを仕舞い込んで鍵を掛けてしまうしか術を知らない。


こんな醜い自分を彼女だけには知られたくないから。







無邪気に笑う彼女が愛しくて堪らない、そしてその反面憎くもある。





その瞳に俺を映して、俺に笑いかけて。


俺以外の人になんて笑いかけないで。







口にすることもなく仕舞い込んだこの感情は誰にも知られることは、ない。













蒼しゃん、はぴばすで!
蓮キョになりました(笑)