HAPPY BIRTHDAY








カチカチと秒針が進んでいくのを真剣な眼差しで見詰める。

いつもだったらとっくに夢の世界の住人になってしまっている時刻。



手には携帯電話を持って、重たい瞼と格闘している。

あと少しで日付が変わる。


メールはもう打った。あとは送信ボタンを押すだけだ。




…多分、向こうはとっくに寝てしまっているんだろうけれど。




自己満足、としかいえないけれど。
それでもそうしたいと思うから。




…6、5、4、3、2、1


ゼロ



同時送信ボタンを押した。

メールの内容はとても簡単で短い。






   件名:HAPPY BIRTHDAY

   本文:誕生日おめでとう。ホント
       は直接言いたかったんだ
       けどメールでごめんな。






たった、それだけだけど。


誰よりも一番先におめでとうと伝えたかったから。

送信ボタンを押したのと同時に、睡魔と闘うのはもう限界だと感じた。

明日も…いやもう今日だ。いつも通りに練習がある、いい加減寝ないと起きられなくなる。




「おめでと、れん…。」



ぽつりと小さく呟いて。

次の瞬間には、意識を手放していた。