かち


かたかたかたかた



ぱたん




かち


かたかたかたかた



ぱたん










がんばれ












さっきから何度も何度も同じ動作を繰り返している。


携帯を取り出して、メール操作をして、送信しないまま途中で画面を閉じる。


何度かその動作を繰り返して、叶は深い溜息をついた。

そしてもう一度携帯を眺めてから、そのまま携帯を放り投げた。



明日、西浦が初めての公式試合を迎えるとルリに聞いた。

応援に行きたいと、そう思った。

練習試合は結構していたらしいけど、軟式から硬式に替わって初めての夏。初めての公式戦。

きっと緊張してるんだろうな、と思った。

そして、自分がその緊張を解してやれたら…そう思った。

西浦の相手はなんと去年の優勝校らしいし、きっと廉は緊張している。

そう思ったら応援に行ってやりたいと思った。

けれど、三星学園も明日は試合で。

一年生の叶はレギュラーどころかベンチ入りも出来なかったけれど、初戦に出向かないなんてわけにはいかなくって。

だからせめて、電話越しでもいいから「がんばれ」って言いたくて。

先ほどから繰り返し携帯をいじっていたけれど、どうしても最後まで操作出来なかった。


何故だかなんて判らない。




逢うことも、電話も無理ならメールでもいい。

そう思って、メール画面を開いて途中で気付いた。



叶は廉のメールアドレスを、知らない。




電話番号は辛うじて知っていたけれど、メールアドレスは聞いていなかった。

三橋辺りなら確実に知っているだろうけれど、昔から叶のことを毛嫌いしている(一応は)幼馴染みから聞き出すのは試すまでもなく不可能で。

結局電話もメールでも出来ないまま今に至る。










ぼすっとベッドに倒れこんで、ごろりと転がると目に入ったのは先ほど投げ出した携帯。


のろのろと手を伸ばして、もう一度操作をする。


宛先が空欄のままメールを作成する。




なんて言ってやればいいのか、考えても判らなくて。

なんて言ってやればいいのか、いくら考えても判らなくて。



結局、宛先が空欄のままの、件名すらなく。


本文たったの4文字。






『がんばれ』






送ることすら出来ないけれど。


直接伝える勇気すらないけれど。







がんばれ。

群馬の空の下。

お前と同じ場所目指して、オレもがんばるから。









目を閉じて、思い浮かべる。

マウンドの上、同じ場所目指して投げる廉の姿を。










がんばれ。




















蒼さんのリクエストによるものです〜。
大変お待たせしましたっ!!
受け取って下さいまし☆