桃色両思い。4 とりあえず食事をして、ショッピングモールを適当にぶらついて。 CDショップで新譜のチェックをして、お守り代わりに持っていたいからプリクラを取って。 「廉、なにしたい?」 「きゃ、キャッチボール」 即答した廉の答えに、思わず叶は噴出した。 廉らしい。 「でもオレ、グローブ持ってないぜ?ボールもないし…」 「うちに行けばある、よっ!」 だからキャッチボールがしたい。 そう上目遣いの廉に強請られたら断れるはずもなく、デートの行き先は急遽三橋家へと変更された。 駅前のバス停からバスで三つ目、そこから更に歩いて5分。 初めて訪れる埼玉の廉の家は群馬の家とは違った、洋風で。群馬の本家ほどではなかったけれど一般的な一戸建てよりもずっとずっと大きなものだった。 己の家も一般に大きな家だといえるけれど。 不釣合いなのかもしれない、不意にそう感じた。 廉は所謂お嬢様というやつで。 学園の理事である祖父からそれはもう、目に入れても痛くないほど可愛がられているということを叶は子供の頃からよく知っていた。 まぁ、子供の頃からの付き合いのおかげで廉と付き合い始めてもあからさまに邪険にされたりはしなかったけれど。 身分違いというか、身の程知らずというか。 そんな言葉は付き合いだした当初から廉の従姉妹である三橋ルリに散々言われてきたけれど。 そんな風に思っていると、廉が駆け足で家の中に入っていきすぐにグローブ二つとボールを持って戻ってきた。 「修ちゃん、キャッチボールしよ?」 えへへと、本当に嬉しそうに笑う廉。 あぁ、好きだなぁと思った。 身の程知らず、釣り合わないと言うなら釣り合うようになればいい。 叶は先ほどまでの己の馬鹿な考えを根底から覆して、廉に微笑みかけた。 「…久しぶりだな、廉とキャッチすんの」 「うんっ!あのね、あのねちょっとだけスピード早くなったんだよ!」 子供が母親に嬉しいことを報告するのと同じような仕草で廉は叶に言う。 よく晴れた空の下。 彼女と二人、彼女の家でキャッチボール。 これがオレラの幸せのかたち。 「廉っ」 叶が投げたボールをグローブの中に納めて、廉は綺麗に笑った。 |
続く…?かないかも。