あんな風に、たくさんの人に誕生日を祝ってもらうのは初めてであんまり嬉しくて涙が出そうになった。

今まで、誕生日に「おめでとう」なんて言ってくれたのは家族と従姉妹のルリ。

…それから叶くん。










鳴らない電話











勉強会の予定が急遽、廉の誕生会となって。皆でわいわいと騒いで、それからやっぱり勉強をして。予定よりもかなり遅い時間にようやくお開きとなって、ついさっき皆を見送った。

あんまり嬉しい出来事で、まだ心臓がどきどきと早鐘のように鼓動を打っている。

ばふっとベッドに身を投げ出すと、急激な眠気に襲われて。

慣れない勉強で疲れた頭とはしゃぎ疲れた身体は休眠を欲していて、そのまま眠り込んでしまいそうになるのを必死でこらえてもぞもぞと携帯電話を開いた。

着信は、ない。

メールが届いてるかもしれない、メールセンターで止まってしまっているのかもしれない。

そう思って、問い合わせの操作をしたけれど新着メッセージは1件もなかった。



きりきりと心が痛むのが判った。



あんな風にたくさんの人に「おめでとう」と言ってもらうのは今年が初めてで、嬉しかった。

それは心からの、正直な気持ち。…けれど。

たった一人、どうしても「おめでとう」と言って欲しい人からの言葉をまだ貰っていない。





去年まではすぐ傍に、隣にいたから。

だから朝、顔を合わせて真っ先に。

おめでとうと言ってくれていた。眩しい笑顔で、誕生日を祝ってくれていた。

廉はそれが何よりも嬉しかった。

けれど今年は、未だにその言葉を聞いていない。埼玉と群馬、離れているんだから当然だと言われてしまえばそれまでだけれど。






もしかしたら、叶くんはオレの誕生日なんて忘れてるのかもしれない。






ふいに暗い考えが頭をよぎり、またきりきりと心が痛んだ。

それでもまだ日付は変わっていない、まだ5月17日だ。






微かな期待と、不安で胸をいっぱいにさせて。

眠ってしまいそうになるのを必死で堪えて。

ベッドの上で、携帯を握り締めた。

たった一人からの着信を待って。






携帯は、鳴らない―――。

鳴らないままに、日付は変わりもう18日になってしまった。

初めての、叶から祝ってもらえない誕生日。



ベッドの中で、携帯を握り締めて。

小さな声でかのうくん、と呟いて。





初めて、とても幸せでとても哀しい誕生日を過ごした。











誕生日記念更新!…2日遅れ。
えー、みことさんがね。カノミハカノミハばっか言ってて
可哀想な頭悪い子全開だった私のためにって書いて
くれた誕生日話のミハ版を勝手に書きました。
勝手にみことさんに捧げます。